日常のこととかオリジナル小説のこととか。
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ashita
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漫画やアニメを見るのが好きです。最推しはフーディーニ ♡
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ブログ、もう書かないと思ってました。
けれど、去年から書き始めた小説によって、過去に書いてた小説も書き始め、ここに載せることにしたのです。
小説は、主に『時間と時間を繋ぐ恋の物語』と『妖精村と愉快な仲間たち』をメインに書いています。
現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。
純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。
元々このブログは病気の記録用として立ち上げたものですが、小説載せるようになってからは、ここは出来るだけ趣味的なことを綴りたいと思っております。
病気の記録や様々な思いを綴るブログは移転済みなのです。
ただ、今は日記は個人的な徒然、或いはお知らせとして綴ることが多いかと思います。
小説、ぼちぼちマイペースに書いてゆきます。
よろしくお願い致します。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
お知らせ。
イラストは現在「ナノハナ家の日常」に載せております。サイドバーにリンクあります。
また、「カラクリよろずや」にてフリーイラスト素材について考えるブログはじめました✩.*˚
不定期に更新していく予定です。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
模倣・無断転載などは、ご遠慮ください。
ブログの小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
小説・純愛偏差値に関しましては、武家名・貴族名(程度による) / 及び、武官の階級 / 扇子・羽子板・花札・百人一首・紙飛行機などのアイテム使用方法の模倣の一切を禁じております。
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X @kigenzen1874
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小説は、主に『時間と時間を繋ぐ恋の物語』と『妖精村と愉快な仲間たち』をメインに書いています。
現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。
純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。
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〈資格履歴〉
2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年01月20日
→鉛筆デッサンマスター 合格
→絵画インストラクター 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
→茶道アドバイザー 合格
→お点前インストラクター 合格
2025年04月17日
→着物マイスター 合格
→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
→サイキックアドバイザー 合格
→サイキックヒーラー 合格
2025年07月01日
→アンガーカウンセラー 合格
→アンガーコントロール士 合格
2025年08月04日
→漢方コーディネーター 合格
→薬膳調整師 合格
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〈資格証明バナー〉

2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2012年10月25日
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2025年01月20日
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2025年03月07日
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→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
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2025年04月17日
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→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
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2025年07月01日
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〈資格証明バナー〉

純愛偏差値 未来編 一人称版 20話
《カラルリ》
イルカのショーの後、レストランに来た。
この場所、今でもよく覚えている。
遠い前世、この場所には博物館が建っていた。今は移転しているけど。そこで、私は襲われているセナさんを放置してセレナールを優先し、セナさんと別れの危機に陥った。
そんな時、アルフォンス王子が私に言った。
『もうここまで来たらこれが最後のチャンスだと思う。セレナールとはキッパリ縁を切る。彼女であるセナを1番に優先する。これを守るならセナを説得する』
私はセナさんと別れたくなくて、セレナールを見捨てた。セナさんとはその後、復縁出来て、幸せに暮らせた。
そして、現世で、セレナールとセナさんが体育館で同時に捕まった時、その時はセナさんとはまだ交際していなかったものの、私はかつてのアルフォンス王子の言葉を思い出し、真っ先にセナさんを救った。無論、その後にセレナールも救うつもりだったけれど。
遠い前世もそうだった。21にして、セナさんが初恋の人だった。現世でもそうだ。これは運命としか言いようがない。
殆どの男女は交際から一定の期間が経つと交際当初の相手への気遣いなどがなくなってしまう。オマケに異性として見れなくなる人もいるとか。
けれど、私はセナさんとは交際当初の関係のままだとハッキリ言える。いつかの前世、あれだけ愛し合って来た仲なわけだから。そんなに簡単に崩れるような関係ではない。
一方、ナミネとヨルクは今は仲良くしているけれど、ナミネはワガママだし、すぐにヤキモチも妬くし、あんなのが彼女だと正直やっていられない。
ヨルクが何故ナミネとの交際を望んでいたかは分からないが、そのうちナミネのことがいやになって別れるに決まっている。
人間というのは表あれば裏もあるもの。交際となれば、相手の裏も暗黙に知ってしまう。それでも、喧嘩せず冷静に話し合って対処するのが大人の恋愛だと私は思う。
セナさんは、美人だしワガママも言わないし私の全てを受け入れてくれているし、セナさんといると癒される。私とセナさんは必ず結婚する。
ヨルクとナミネは私とセレナールのように幼なじみで、互いの家を行き来していたようだが、ヨルクならナミネでなくてもいっぱいいるだろう。
ナミネは成績も学年トップだし、学年1可愛い子と言われているみたいだけど、交際当初は相手のいやな面も可愛く見えてしまうものだ。ヨルクはいっときの感情でナミネと交際したのだろう。
正直、今から2人の別れは目に見えている。
今日はセナさんの別荘でお泊まり。セナさんと一緒にお風呂に入って、その後はセナさんとFメモリイ。ナミネとヨルクはまだまだ子供だから、大人の交際なんて分からないだろうな。ヨルクほどのイケメンなら、こんなに早くに縁談を決めてしまうことなんてないのに。
「ねえ、ラルク、ここメニュー変わったよね」
「そうだな。小さい頃来た時は、レトロでキャラクターものなんてなかったしな」
「ナミネ、どれ食べたい?」
ナミネは幼すぎる。とてもじゃないけど女としては見れない。ヨルクのナミネへの想いも次第に薄くなっていくかと思うと少しだけ同情してしまった。
「ジンベイザメのオムライス食べたいです」
「じゃあ、そうしよっか。券買ってくるね」
何でもかんでもヨルクに任せ切り。中学生ならまだいいけど、高校生になっても、あれなら誰からも相手にされないだろう。
「アルフォンス王子様はどれにしますか?」
「ハート型イルカのクリームシチューがいい」
「では、カナエが券を買ってきます」
「私も一緒に行く」
アルフォンス王子は顔はヨルクほどイケメンではないが、容姿端麗だし、モテるし、強い。カナエの婿にしては合格だろう。
「セナさん、どれにする?」
「私もハート型イルカのクリームシチューがいいわ」
「じゃあ、一緒に買いに行こう」
「ええ」
私とセナさんは手を繋いだ。
料理が運ばれて来ると、みんな写真を撮り始めた。
私はカップル日記を見た。
『やっぱり、ここに来たらこれかなって。
恋人になってからラルクと初シェア。
ハート型のイルカのクリームシチュー可愛いꯁꯧ』
セレナールらしい。ラルクと知り合ってからセレナールはすっかり明るくなった。
『カナエとの愛の想い出』
カナエとアルフォンス王子にも結婚まで仲良くしてほしい。
『カラルリとハート型イルカのクリームシチューをシェア。この後、カラルリにフェアリーウィンラサッヴァのペアリング買ってもらいます♡』
セナさん、私とのペアリングをよっぽど楽しみにしてるんだな。おねだりするセナさん魅力的。
『ナミネが選んだジンベイザメのオムライスをシェア。ナミネとの大切な想い出。
色褪せてもきっと思い出すように今日も綴る』
ヨルクはドラマの見すぎだろうか。どんな前世だったかは知らないが、来世でも見つけ出すみたいな書き方、まるで恋に恋をしているみたいだな。
『ジンベイザメのオムライスを眺めるヨルクさん』
ナミネはやっぱり子供だな。大人の恋愛をまるで知らない。こんなことでヨルクと交際続けられるのだろうか?
「ねえ、セレナールは初Fメモリイどうだったの?」
「正直結構痛かった。でも、大人になれた気がする」
「私も第2の時なんか激痛だった。でも、カラルリと繋がれてるって思うと幸せを感じられたわ」
やっぱり、こういうところセナさん可愛すぎる。セナさんとは避妊はしていないけど、今の時代は第3が条件だから妊娠なんてしないだろう。それにセナさんも生のほうが感じるって言ってるし。
「セレナールは刺激はどうなの?」
「刺激はあるんだけど、よく分からないの」
「そう。刺激はあるけど上手く終われないのね。でも、みんなそうよ。私はすぐに終わってばかりだけど」
「いいなあ。羨ましい」
セナさんとは相性も抜群だし、絶対に回数は今のままだし、セナさんとの相性は一生続くだろう。
「カナエはどうなの?」
「カナエはプライベートなことは話しません」
てことはカナエも既にアルフォンス王子と……。カナエには出来るだけ早く結婚して欲しいから、妊娠でもしてくれないだろうか。
「あの、皆さん、そういうの迂闊にして怖くありませんか?大量出血、或いは妊娠したらどうするんですか?」
ナミネは分かっちゃいないな。第2で妊娠するわけないだろ。
「ナミネって子供ね。第3Fメモリイじゃないと妊娠しないわよ」
「私はラルクに言われて避妊してるわ」
「けれど、第1第2で妊娠する古代の体質の人もいますし、避妊しても3%の確率で妊娠します。また、排卵期間にすると第1でも妊娠の可能性が高まるそうです」
全くナミネは分かっていないな。勉強しすぎだと逆に色んなこと恐れるようになるんだな。
「ナミネは危険を恐れてるんじゃなくて、大人の階段を上がることを恐れているんじゃないのか?まだ子供だな。ヨルクとはお預けだな」
「子供なのは、お花畑Fメモリイなあんたらだ。強気なナミネが言うように、何ごとにもリスクはある。大人の階段上がるだ?妊娠甘く見てると痛い目にあうぞ」
彼女いないだけに幸せな私たちを妬んでいるのだろうか。中学生はまだまだ子供だな。
「ナミネ、本当に古代の体質の人もいるのですか?」
「はい、少ないですが、古代の遺伝子引き継いでいるそうですよ」
その瞬間カナエはしばらく考え込んだ。全くナミネが変なこと言うせいでカナエの将来が上手くいかなかったらどうしてくれるんだ。
「ナミネ、人を脅かすのはやめてくれないか?」
私が言うとナミネは黙り込んだ。
「ねえ、ラルク、ヨルクさん、変なサイト見てるの」
「どんなサイトだよ!」
「あのね、妖精ラブ通信の中のグラドルカテゴリ」
ナミネはラルクに携帯を見せていた。
「水着着てるだけまだいいだろ!」
やっぱりナミネはまだまだ子供だな。その程度で、とやかく言うなんて。セナさんなら快く受け入れてくれるに決まってる。
「顔だけヨルク、あんた気を付けろよ」
セルファは何やらヨルクに映像を見せているようだった。私は後ろに回って映像を見た。映像は現世のものだった。
『ヨルクってクールそうだけど、ちょっと誘惑すればチョロそうじゃない?』
『私、ヨルクに《間違って送っちゃったから消して》って言って下着姿送っちゃった』
『えー、どんなの?』
ヨルクのクラスメイトは画像を見せていた。
中学2年生でこんなにスタイルいいのか。ヨルクはいいな。勝手に可愛い子から送って来てくれるんだもんな。正直、ラブリーフェアリーでは物足りない。
『ちょっと際どくない?』
『私はこれ送っちゃった』
嘘だろ。寝転んで花びらのみで隠しているのか。やっぱりネットより身近な人のほうが満たされるな。
『私はこれ』
『みんな勘違いしてない?ヨルクと付き合うのは私なの。横取りしたら許さないから』
『わ、分かってるわ。ミィミに誘惑されたらヨルクもイチコロよ』
その後、ミィミのいないメンバーで集まっていた。
『ミィミって対して可愛くもないのに調子に乗り過ぎよね』
『本当ウザイ。ねえ、このメンバーでヨルクのファンクラブ作りましょうよ』
『そうね、誰がヨルクを落としても恨みっこなしってことで』
数人の女の子たちはヨルクのファンクラブを作りはじめた。けれど、それは裏のもので表には出されていなかった。でも、ファンクラブに入る人は多く、いかにヨルクと交際するかを話し合うグループになっていた。
映像はそこで途切れていた。
「あんた送られてきてるだろ?保存してないよな?」
「送られてきてるけど保存はしてない。てか、こういうの気持ち悪い。私はナミネだけなのに」
私からしてみれば羨ましいけどな。
「ねえ、妖精ラブ通信て何?」
「このサイトです」
ナミネはセナさんにアドレスを送ったようだ。セナさんはサイトを開いた。
「え、ありえない。彼女いるのに、こんなサイト見るなんて浮気じゃない!」
え、セナさんはアウトなのか。堂々とは見られないな。まあ、そっか。女って自分がいるのに概念強いからな。
「カナエも、このようなサイト見られるのは裏切られた気持ちになるのでいやです!」
「ねえ、ナミネはどうなの?彼氏がこういうの見てるのよ!」
「私は課金しなければ仕方ないと思っています」
ヨルクはかなり気まずそうだった。一応追い討ちかけておくか。
「セナさん、私はこんなサイト一切見てないよ。セナさんいるから、こんなサイト必要ないよ」
「カラルリ……。私、カラルリを信じてる」
まあ、これくらいはいいよな。浮気してるわけでもあるまいし。それに古代では、痴漢防止に雑誌が作られたとも言われている。
「カナエ、私もこんなサイト全く興味ないよ」
「カナエもアルフォンス王子様を信じます!」
ヨルクも簡単にバレるなんて、昔から守りが甘いな。
「僕も見ないな。正直気持ち悪い」
「あー、ラルクはそうだったよね」
ん?ナミネとラルクにしか知らない何かがあるのだろうか。正直、ナミネはヨルクよりラルクのほうが似合っている気もする。
「僕も見ないね」
「本当、彼女いるのに、こんなサイト見るだなんて私もセナさんが言うように浮気同然だと思う。彼女がいるなら、私は一切こんなサイト必要ないし、一生見ない。彼女を裏切るくらいなら最初から付き合うなって思うけどな」
「カラルリの言う通りだわ!彼女いるのにこんなサイト見るだなんて彼女に本気じゃない証拠よ!私、軽い気持ちで告白して交際して、いかにもいい彼氏ですーって人どうかと思うの。そういうモラハラってあるわよね」
「ヨルクには悪いが、私もカナエがいるからこんなの必要ないし、カナエを泣かせるような真似はしない!これは立派な浮気だ。ナミネを裏切るならとっとと別れて欲しい!見てるこっちが迷惑だ!」
セナさんにアルフォンス王子、ここまで叩かれたらヨルクも居場所がないだろう。クレナイ家で何の苦労もせず生きてきた罰だ。
「あの、学生向きのサイトですし、そこまで言わなくてもいいのではないでしょうか?私は別に何とも思っていません。グラビアアイドルもキュート女優も仕事でしているわけですし」
ナミネは何のサイトか分からないようだな。けれど、普通は隠れて見るものだし、バレている時点でアウトだと思うが。
「ねえ、ハッキリ言ってナミネのしてることストーカー。本当何なの?私を陥れて楽しいわけ?」
「ヨルクさん、私じゃありません。同級生から送られてきました。それにヨルクさんの同級生からも嫌がらせのメールが来ています」
そういえば、夏休み前、カナエがアルフォンス王子と仲良くしていたら、黒板に色々書かれたり、体操着がゴミ箱に入れられていたっけ。モテるヤツと付き合うってある意味過酷だな。
「えっ、どうして言ってくれなかったの?」
「ヨルクさん、どうして最初に私の話を聞かずに、いきなり怒るんですか!誓約書を破ったことにもなりますし、お母様に話して破談にします!」
「ナミネ、待って!許して欲しい!」
「顔だけヨルク、誓約書は誓約書だ!どんな理不尽なことであれナミネの自由にさせる。ナミネのすることには一切口を挟まない。ならば、例え、ハッキングされても浮気されても侮辱されても、どんなに理不尽なことでも強気なナミネのことは何でも受け入れろ!それが、強気なナミネと交際するってことだ!さっきみたいに思い込みで怒鳴るなら、別れろ!強気なナミネはミドリのことでいっぱいいっぱいなんだよ!暇人なあんたと違ってな!」
あんな誓約書守れるわけがないのに。それでもヨルクはナミネと交際を続けるのだろうか?
「分かった。私が間違っていた。今後はナミネのする全てのことを受け入れる」
ヨルクは泣き崩れていた。
その瞬間、ナミネが扇子を取り出したかと思うと、セルファが扇子を取り出し、扇子を使いヨルクを隣の机にぶつけ、隣の人の料理を台無しにした。そして、セルファはヨルクのせいにして料理の代金を支払ってその場を収めたのである。
「二度と強気なナミネをイジメんな!次、誓約書破ったら、これ以上のことで、あんたを戒める!」
「二度と同じ過ちは繰り返さない!必ず誓う!」
「破った時は破談にしろ!」
「分かった。そうならないよう誓約書は全て守る!」
ヨルクも馬鹿だな。あんな誓約書守るなんて無理にもほどがあるだろうに。
「では、本当にヨルクさんが誓約書を破らないのか、これから毎日確認しますがいいですか?私のすることには一切口を挟まないでください!それに加え、何かあればヨルクさんが責任を負う項目も追加されました!」
「分かった。ナミネと交際出来るなら全てナミネに合わせるし、ナミネを言葉で攻撃しない!」
その瞬間、ナミネは近くにいる人のスカートを捲りヨルクのせいにした。ヨルクは見知らぬ女性に謝った。
次にナミネは近くの女性にヨルクがブサイクと言っていると罵った。またヨルクは見知らぬ女性に謝った。
その後もナミネは、扇子でヨルクにガラの悪い男子高生を殴らせたり、見知らぬ女性に抱き着かせたり、ヨルクの携帯からあのサイトのチャットでAV女優を侮辱したり、出会い系サイトにヨルクの顔写真を登録し複数の女子高生に交際を迫ったり、ホストのサイトにアクセスするとバイトの登録などをした。ヨルクは、一つ一つをただただ謝り続けた。
「強気なナミネ、あんた、それくらいにしとけ!」
セルファは、ヨルクの携帯を取ると、チャット履歴を消し、ご縁系サイトのチャット履歴の削除と退会、ホストのバイトの登録解除をし、ヨルクに携帯を戻した。
「ラルク、ヨルクさんって身勝手だよね。誓約書守るどころか私ヨルクさんのこと庇ってヨルクさんに怒られたんだよ」
「あんなキズモノ放っておけ。交際続けるとまた因縁付けられるぞ」
「そうだね。別れることも考えてるよ。でも、ヨルクさん、いつまでもつかな?」
「2日ももたないな。ナミネ、安心しろ!あのキズモノと別れても、僕がナミネと一緒になるから!」
その瞬間、セレナールがヨルクに「人殺し!」と水をかけた。
馬鹿げている。こんな交際続くはずがない。
「ナミネ、ごめんね。もうナミネを責めたりしないからね」
ヨルクはボロボロになっていた。
「ねえ、ハッキリ言って迷惑なんだけど。ヨルクが見てるサイトここにいる誰も見てないのに、そんな汚らわしい浮気をナミネは許してヨルクを庇ったのに、どうしてヨルクはナミネ責めたの?」
「すみません……ハッキングされたと思いました……」
「でも、誓約書にはどんな理不尽なことであれナミネの自由にさせる。ナミネのすることには一切口を挟まない。って書いてあるんでしょ?ナミネと交際続けるなら守るのが筋だよね?守れないなら別れてくれない?」
「すみません……二度と誓約書を破りません」
「聞こえなかった?別れてって言ってるの!みんなで楽しく遊びに来たのに、ヨルクのせいで台無しじゃん!」
「本当にすみませんでした」
正直見ているといい気味だ。これまで、その完璧な容姿で何の苦労もせず生きてきたのだから。少しは世の中の苦労を知ってもらいたい。
「言葉が通じないなら仕方ないね」
アルフォンス王子はヨルクに殴る蹴るを繰り返した。
「別れて!迷惑だから!」
「別れません……」
「じゃ、そこまで」
セルファが止めるものの、アルフォンス王子は止めなかった。その瞬間、セルファは扇子でアルフォンス王子を周りの机3つにぶつけさせ、全ての料理を台無しにさせた。
「そこまでと言ってんだろうが!聞こえなかったのかよ!」
セレナールに弟がいたなんて全く知らなかったけど、アルフォンス王子より強いだなんて……。また、アルフォンス王子は慌ててF938を出し、その場を免れた。
ナミネはアルフォンス王子とヨルクの脇腹を思いっきり蹴った。
「ねえ、ラルク、私のお婿さん情けないね。きっとまた誓約書破るよ」
「まあ、キズモノだからな」
クレナイ家は兄弟仲が悪いのだろうか?けれど、ヨルクは終わった、ナミネとは別れる運命だ。そう私は悟ったし、とっとと別れて欲しい。苦労知らずで容姿のみで楽して生きてきて、もっと苦しめばいいのに。私は、心のどこかでヨルクを妬んでいた。
……
あとがき。
ミドリの事件で普通には生きられなくなったナミネ。そんなナミネはラルク並の力量を持ち合わせている。
ヨルクはナミネの全てを許してしまうから、いつも傷付くんです。ナミネを傷付ける度にヨルクも傷付くんです。
けれど、他のメンバーは都合の悪いことには目を背け自分を守り、世渡りをする。そういう生き方もまた傷付くのです。
純愛偏差値はどこまでも悲しい。
《カラルリ》
イルカのショーの後、レストランに来た。
この場所、今でもよく覚えている。
遠い前世、この場所には博物館が建っていた。今は移転しているけど。そこで、私は襲われているセナさんを放置してセレナールを優先し、セナさんと別れの危機に陥った。
そんな時、アルフォンス王子が私に言った。
『もうここまで来たらこれが最後のチャンスだと思う。セレナールとはキッパリ縁を切る。彼女であるセナを1番に優先する。これを守るならセナを説得する』
私はセナさんと別れたくなくて、セレナールを見捨てた。セナさんとはその後、復縁出来て、幸せに暮らせた。
そして、現世で、セレナールとセナさんが体育館で同時に捕まった時、その時はセナさんとはまだ交際していなかったものの、私はかつてのアルフォンス王子の言葉を思い出し、真っ先にセナさんを救った。無論、その後にセレナールも救うつもりだったけれど。
遠い前世もそうだった。21にして、セナさんが初恋の人だった。現世でもそうだ。これは運命としか言いようがない。
殆どの男女は交際から一定の期間が経つと交際当初の相手への気遣いなどがなくなってしまう。オマケに異性として見れなくなる人もいるとか。
けれど、私はセナさんとは交際当初の関係のままだとハッキリ言える。いつかの前世、あれだけ愛し合って来た仲なわけだから。そんなに簡単に崩れるような関係ではない。
一方、ナミネとヨルクは今は仲良くしているけれど、ナミネはワガママだし、すぐにヤキモチも妬くし、あんなのが彼女だと正直やっていられない。
ヨルクが何故ナミネとの交際を望んでいたかは分からないが、そのうちナミネのことがいやになって別れるに決まっている。
人間というのは表あれば裏もあるもの。交際となれば、相手の裏も暗黙に知ってしまう。それでも、喧嘩せず冷静に話し合って対処するのが大人の恋愛だと私は思う。
セナさんは、美人だしワガママも言わないし私の全てを受け入れてくれているし、セナさんといると癒される。私とセナさんは必ず結婚する。
ヨルクとナミネは私とセレナールのように幼なじみで、互いの家を行き来していたようだが、ヨルクならナミネでなくてもいっぱいいるだろう。
ナミネは成績も学年トップだし、学年1可愛い子と言われているみたいだけど、交際当初は相手のいやな面も可愛く見えてしまうものだ。ヨルクはいっときの感情でナミネと交際したのだろう。
正直、今から2人の別れは目に見えている。
今日はセナさんの別荘でお泊まり。セナさんと一緒にお風呂に入って、その後はセナさんとFメモリイ。ナミネとヨルクはまだまだ子供だから、大人の交際なんて分からないだろうな。ヨルクほどのイケメンなら、こんなに早くに縁談を決めてしまうことなんてないのに。
「ねえ、ラルク、ここメニュー変わったよね」
「そうだな。小さい頃来た時は、レトロでキャラクターものなんてなかったしな」
「ナミネ、どれ食べたい?」
ナミネは幼すぎる。とてもじゃないけど女としては見れない。ヨルクのナミネへの想いも次第に薄くなっていくかと思うと少しだけ同情してしまった。
「ジンベイザメのオムライス食べたいです」
「じゃあ、そうしよっか。券買ってくるね」
何でもかんでもヨルクに任せ切り。中学生ならまだいいけど、高校生になっても、あれなら誰からも相手にされないだろう。
「アルフォンス王子様はどれにしますか?」
「ハート型イルカのクリームシチューがいい」
「では、カナエが券を買ってきます」
「私も一緒に行く」
アルフォンス王子は顔はヨルクほどイケメンではないが、容姿端麗だし、モテるし、強い。カナエの婿にしては合格だろう。
「セナさん、どれにする?」
「私もハート型イルカのクリームシチューがいいわ」
「じゃあ、一緒に買いに行こう」
「ええ」
私とセナさんは手を繋いだ。
料理が運ばれて来ると、みんな写真を撮り始めた。
私はカップル日記を見た。
『やっぱり、ここに来たらこれかなって。
恋人になってからラルクと初シェア。
ハート型のイルカのクリームシチュー可愛いꯁꯧ』
セレナールらしい。ラルクと知り合ってからセレナールはすっかり明るくなった。
『カナエとの愛の想い出』
カナエとアルフォンス王子にも結婚まで仲良くしてほしい。
『カラルリとハート型イルカのクリームシチューをシェア。この後、カラルリにフェアリーウィンラサッヴァのペアリング買ってもらいます♡』
セナさん、私とのペアリングをよっぽど楽しみにしてるんだな。おねだりするセナさん魅力的。
『ナミネが選んだジンベイザメのオムライスをシェア。ナミネとの大切な想い出。
色褪せてもきっと思い出すように今日も綴る』
ヨルクはドラマの見すぎだろうか。どんな前世だったかは知らないが、来世でも見つけ出すみたいな書き方、まるで恋に恋をしているみたいだな。
『ジンベイザメのオムライスを眺めるヨルクさん』
ナミネはやっぱり子供だな。大人の恋愛をまるで知らない。こんなことでヨルクと交際続けられるのだろうか?
「ねえ、セレナールは初Fメモリイどうだったの?」
「正直結構痛かった。でも、大人になれた気がする」
「私も第2の時なんか激痛だった。でも、カラルリと繋がれてるって思うと幸せを感じられたわ」
やっぱり、こういうところセナさん可愛すぎる。セナさんとは避妊はしていないけど、今の時代は第3が条件だから妊娠なんてしないだろう。それにセナさんも生のほうが感じるって言ってるし。
「セレナールは刺激はどうなの?」
「刺激はあるんだけど、よく分からないの」
「そう。刺激はあるけど上手く終われないのね。でも、みんなそうよ。私はすぐに終わってばかりだけど」
「いいなあ。羨ましい」
セナさんとは相性も抜群だし、絶対に回数は今のままだし、セナさんとの相性は一生続くだろう。
「カナエはどうなの?」
「カナエはプライベートなことは話しません」
てことはカナエも既にアルフォンス王子と……。カナエには出来るだけ早く結婚して欲しいから、妊娠でもしてくれないだろうか。
「あの、皆さん、そういうの迂闊にして怖くありませんか?大量出血、或いは妊娠したらどうするんですか?」
ナミネは分かっちゃいないな。第2で妊娠するわけないだろ。
「ナミネって子供ね。第3Fメモリイじゃないと妊娠しないわよ」
「私はラルクに言われて避妊してるわ」
「けれど、第1第2で妊娠する古代の体質の人もいますし、避妊しても3%の確率で妊娠します。また、排卵期間にすると第1でも妊娠の可能性が高まるそうです」
全くナミネは分かっていないな。勉強しすぎだと逆に色んなこと恐れるようになるんだな。
「ナミネは危険を恐れてるんじゃなくて、大人の階段を上がることを恐れているんじゃないのか?まだ子供だな。ヨルクとはお預けだな」
「子供なのは、お花畑Fメモリイなあんたらだ。強気なナミネが言うように、何ごとにもリスクはある。大人の階段上がるだ?妊娠甘く見てると痛い目にあうぞ」
彼女いないだけに幸せな私たちを妬んでいるのだろうか。中学生はまだまだ子供だな。
「ナミネ、本当に古代の体質の人もいるのですか?」
「はい、少ないですが、古代の遺伝子引き継いでいるそうですよ」
その瞬間カナエはしばらく考え込んだ。全くナミネが変なこと言うせいでカナエの将来が上手くいかなかったらどうしてくれるんだ。
「ナミネ、人を脅かすのはやめてくれないか?」
私が言うとナミネは黙り込んだ。
「ねえ、ラルク、ヨルクさん、変なサイト見てるの」
「どんなサイトだよ!」
「あのね、妖精ラブ通信の中のグラドルカテゴリ」
ナミネはラルクに携帯を見せていた。
「水着着てるだけまだいいだろ!」
やっぱりナミネはまだまだ子供だな。その程度で、とやかく言うなんて。セナさんなら快く受け入れてくれるに決まってる。
「顔だけヨルク、あんた気を付けろよ」
セルファは何やらヨルクに映像を見せているようだった。私は後ろに回って映像を見た。映像は現世のものだった。
『ヨルクってクールそうだけど、ちょっと誘惑すればチョロそうじゃない?』
『私、ヨルクに《間違って送っちゃったから消して》って言って下着姿送っちゃった』
『えー、どんなの?』
ヨルクのクラスメイトは画像を見せていた。
中学2年生でこんなにスタイルいいのか。ヨルクはいいな。勝手に可愛い子から送って来てくれるんだもんな。正直、ラブリーフェアリーでは物足りない。
『ちょっと際どくない?』
『私はこれ送っちゃった』
嘘だろ。寝転んで花びらのみで隠しているのか。やっぱりネットより身近な人のほうが満たされるな。
『私はこれ』
『みんな勘違いしてない?ヨルクと付き合うのは私なの。横取りしたら許さないから』
『わ、分かってるわ。ミィミに誘惑されたらヨルクもイチコロよ』
その後、ミィミのいないメンバーで集まっていた。
『ミィミって対して可愛くもないのに調子に乗り過ぎよね』
『本当ウザイ。ねえ、このメンバーでヨルクのファンクラブ作りましょうよ』
『そうね、誰がヨルクを落としても恨みっこなしってことで』
数人の女の子たちはヨルクのファンクラブを作りはじめた。けれど、それは裏のもので表には出されていなかった。でも、ファンクラブに入る人は多く、いかにヨルクと交際するかを話し合うグループになっていた。
映像はそこで途切れていた。
「あんた送られてきてるだろ?保存してないよな?」
「送られてきてるけど保存はしてない。てか、こういうの気持ち悪い。私はナミネだけなのに」
私からしてみれば羨ましいけどな。
「ねえ、妖精ラブ通信て何?」
「このサイトです」
ナミネはセナさんにアドレスを送ったようだ。セナさんはサイトを開いた。
「え、ありえない。彼女いるのに、こんなサイト見るなんて浮気じゃない!」
え、セナさんはアウトなのか。堂々とは見られないな。まあ、そっか。女って自分がいるのに概念強いからな。
「カナエも、このようなサイト見られるのは裏切られた気持ちになるのでいやです!」
「ねえ、ナミネはどうなの?彼氏がこういうの見てるのよ!」
「私は課金しなければ仕方ないと思っています」
ヨルクはかなり気まずそうだった。一応追い討ちかけておくか。
「セナさん、私はこんなサイト一切見てないよ。セナさんいるから、こんなサイト必要ないよ」
「カラルリ……。私、カラルリを信じてる」
まあ、これくらいはいいよな。浮気してるわけでもあるまいし。それに古代では、痴漢防止に雑誌が作られたとも言われている。
「カナエ、私もこんなサイト全く興味ないよ」
「カナエもアルフォンス王子様を信じます!」
ヨルクも簡単にバレるなんて、昔から守りが甘いな。
「僕も見ないな。正直気持ち悪い」
「あー、ラルクはそうだったよね」
ん?ナミネとラルクにしか知らない何かがあるのだろうか。正直、ナミネはヨルクよりラルクのほうが似合っている気もする。
「僕も見ないね」
「本当、彼女いるのに、こんなサイト見るだなんて私もセナさんが言うように浮気同然だと思う。彼女がいるなら、私は一切こんなサイト必要ないし、一生見ない。彼女を裏切るくらいなら最初から付き合うなって思うけどな」
「カラルリの言う通りだわ!彼女いるのにこんなサイト見るだなんて彼女に本気じゃない証拠よ!私、軽い気持ちで告白して交際して、いかにもいい彼氏ですーって人どうかと思うの。そういうモラハラってあるわよね」
「ヨルクには悪いが、私もカナエがいるからこんなの必要ないし、カナエを泣かせるような真似はしない!これは立派な浮気だ。ナミネを裏切るならとっとと別れて欲しい!見てるこっちが迷惑だ!」
セナさんにアルフォンス王子、ここまで叩かれたらヨルクも居場所がないだろう。クレナイ家で何の苦労もせず生きてきた罰だ。
「あの、学生向きのサイトですし、そこまで言わなくてもいいのではないでしょうか?私は別に何とも思っていません。グラビアアイドルもキュート女優も仕事でしているわけですし」
ナミネは何のサイトか分からないようだな。けれど、普通は隠れて見るものだし、バレている時点でアウトだと思うが。
「ねえ、ハッキリ言ってナミネのしてることストーカー。本当何なの?私を陥れて楽しいわけ?」
「ヨルクさん、私じゃありません。同級生から送られてきました。それにヨルクさんの同級生からも嫌がらせのメールが来ています」
そういえば、夏休み前、カナエがアルフォンス王子と仲良くしていたら、黒板に色々書かれたり、体操着がゴミ箱に入れられていたっけ。モテるヤツと付き合うってある意味過酷だな。
「えっ、どうして言ってくれなかったの?」
「ヨルクさん、どうして最初に私の話を聞かずに、いきなり怒るんですか!誓約書を破ったことにもなりますし、お母様に話して破談にします!」
「ナミネ、待って!許して欲しい!」
「顔だけヨルク、誓約書は誓約書だ!どんな理不尽なことであれナミネの自由にさせる。ナミネのすることには一切口を挟まない。ならば、例え、ハッキングされても浮気されても侮辱されても、どんなに理不尽なことでも強気なナミネのことは何でも受け入れろ!それが、強気なナミネと交際するってことだ!さっきみたいに思い込みで怒鳴るなら、別れろ!強気なナミネはミドリのことでいっぱいいっぱいなんだよ!暇人なあんたと違ってな!」
あんな誓約書守れるわけがないのに。それでもヨルクはナミネと交際を続けるのだろうか?
「分かった。私が間違っていた。今後はナミネのする全てのことを受け入れる」
ヨルクは泣き崩れていた。
その瞬間、ナミネが扇子を取り出したかと思うと、セルファが扇子を取り出し、扇子を使いヨルクを隣の机にぶつけ、隣の人の料理を台無しにした。そして、セルファはヨルクのせいにして料理の代金を支払ってその場を収めたのである。
「二度と強気なナミネをイジメんな!次、誓約書破ったら、これ以上のことで、あんたを戒める!」
「二度と同じ過ちは繰り返さない!必ず誓う!」
「破った時は破談にしろ!」
「分かった。そうならないよう誓約書は全て守る!」
ヨルクも馬鹿だな。あんな誓約書守るなんて無理にもほどがあるだろうに。
「では、本当にヨルクさんが誓約書を破らないのか、これから毎日確認しますがいいですか?私のすることには一切口を挟まないでください!それに加え、何かあればヨルクさんが責任を負う項目も追加されました!」
「分かった。ナミネと交際出来るなら全てナミネに合わせるし、ナミネを言葉で攻撃しない!」
その瞬間、ナミネは近くにいる人のスカートを捲りヨルクのせいにした。ヨルクは見知らぬ女性に謝った。
次にナミネは近くの女性にヨルクがブサイクと言っていると罵った。またヨルクは見知らぬ女性に謝った。
その後もナミネは、扇子でヨルクにガラの悪い男子高生を殴らせたり、見知らぬ女性に抱き着かせたり、ヨルクの携帯からあのサイトのチャットでAV女優を侮辱したり、出会い系サイトにヨルクの顔写真を登録し複数の女子高生に交際を迫ったり、ホストのサイトにアクセスするとバイトの登録などをした。ヨルクは、一つ一つをただただ謝り続けた。
「強気なナミネ、あんた、それくらいにしとけ!」
セルファは、ヨルクの携帯を取ると、チャット履歴を消し、ご縁系サイトのチャット履歴の削除と退会、ホストのバイトの登録解除をし、ヨルクに携帯を戻した。
「ラルク、ヨルクさんって身勝手だよね。誓約書守るどころか私ヨルクさんのこと庇ってヨルクさんに怒られたんだよ」
「あんなキズモノ放っておけ。交際続けるとまた因縁付けられるぞ」
「そうだね。別れることも考えてるよ。でも、ヨルクさん、いつまでもつかな?」
「2日ももたないな。ナミネ、安心しろ!あのキズモノと別れても、僕がナミネと一緒になるから!」
その瞬間、セレナールがヨルクに「人殺し!」と水をかけた。
馬鹿げている。こんな交際続くはずがない。
「ナミネ、ごめんね。もうナミネを責めたりしないからね」
ヨルクはボロボロになっていた。
「ねえ、ハッキリ言って迷惑なんだけど。ヨルクが見てるサイトここにいる誰も見てないのに、そんな汚らわしい浮気をナミネは許してヨルクを庇ったのに、どうしてヨルクはナミネ責めたの?」
「すみません……ハッキングされたと思いました……」
「でも、誓約書にはどんな理不尽なことであれナミネの自由にさせる。ナミネのすることには一切口を挟まない。って書いてあるんでしょ?ナミネと交際続けるなら守るのが筋だよね?守れないなら別れてくれない?」
「すみません……二度と誓約書を破りません」
「聞こえなかった?別れてって言ってるの!みんなで楽しく遊びに来たのに、ヨルクのせいで台無しじゃん!」
「本当にすみませんでした」
正直見ているといい気味だ。これまで、その完璧な容姿で何の苦労もせず生きてきたのだから。少しは世の中の苦労を知ってもらいたい。
「言葉が通じないなら仕方ないね」
アルフォンス王子はヨルクに殴る蹴るを繰り返した。
「別れて!迷惑だから!」
「別れません……」
「じゃ、そこまで」
セルファが止めるものの、アルフォンス王子は止めなかった。その瞬間、セルファは扇子でアルフォンス王子を周りの机3つにぶつけさせ、全ての料理を台無しにさせた。
「そこまでと言ってんだろうが!聞こえなかったのかよ!」
セレナールに弟がいたなんて全く知らなかったけど、アルフォンス王子より強いだなんて……。また、アルフォンス王子は慌ててF938を出し、その場を免れた。
ナミネはアルフォンス王子とヨルクの脇腹を思いっきり蹴った。
「ねえ、ラルク、私のお婿さん情けないね。きっとまた誓約書破るよ」
「まあ、キズモノだからな」
クレナイ家は兄弟仲が悪いのだろうか?けれど、ヨルクは終わった、ナミネとは別れる運命だ。そう私は悟ったし、とっとと別れて欲しい。苦労知らずで容姿のみで楽して生きてきて、もっと苦しめばいいのに。私は、心のどこかでヨルクを妬んでいた。
……
あとがき。
ミドリの事件で普通には生きられなくなったナミネ。そんなナミネはラルク並の力量を持ち合わせている。
ヨルクはナミネの全てを許してしまうから、いつも傷付くんです。ナミネを傷付ける度にヨルクも傷付くんです。
けれど、他のメンバーは都合の悪いことには目を背け自分を守り、世渡りをする。そういう生き方もまた傷付くのです。
純愛偏差値はどこまでも悲しい。
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純愛偏差値 未来編 一人称版 19話
《ナミネ》
8月ももう後半。
夏休み終わっちゃうよ。
今日は、水族館の後、セナ王女の別荘で泊まることになった。
朝起きたらヨルクさんがいて、ヨルクさんは私の忘れ物がないか確認すると、クレナイ家 運転手の車で待ち合わせ場所の水族館まで行った。
すると珍しくもユメさんがいた。
「ラルク!ユメさん来てるよ!」
「だな。いわゆるお暇の日ってわけか」
そっか、ミナクさん、浮気してるんだ。それにしても、こんなに暑いのに長袖にロングスカートだなんて、やっぱりユメさんDV受けてるの?
私はユメさんに駆け寄った。
「ユメさん、久しぶりですね」
「え、ええ」
「ミナクさんとはどうですか?」
「順調よ」
ユメさんの目の周りにはアザが出来ていた。やっぱり、ミナクさんからDV受けているんだ。
「あ、皆さんカップル日記してるんですけど、ユメさんもしませんか?」
私はユメさんにカップル日記を見せた。あの後、私は再度登録して再びヨルクさんと連携したのである。
「うーん、彼に聞かないと」
「そうですか」
私はみんなの投稿を見た。
『毎日カラルリとFメモリイ♡』
『女の子の日には休ませてくれる優しい彼氏♡』
『カラルリがロキソニンくれた♡』
『カラルリと勉強した後Fメモリイ♡』
(以下略)
セナ王女は相変わらずだった。
こういうの恥ずかしくて載せられないや。
『セナさん、愛してる』
『今日はセナさんとFメモリイ出来ないけど、一緒にいるだけで幸せ』
『早く大人になってセナさんと結婚したい』
カラルリさんも相変わらず。
ロキソニンって結構強いけど、高校生なら普通なのかな。
『カナエに毎朝手料理作ってもらってる。
カナエの料理はどのシェフの料理より美味しいし幸せだ』
『今日はキクリ家でカナエと勉強』
『私の部屋でカナエとDVDを観た』
そっか。カナエさんとアルフォンス王子も互いの家、行き来してたんだ。私とヨルクさんも仲直りした後は、私がよくクレナイ家に行ってたな。
『アルフォンス王子様と一緒に食べる朝食』
『アルフォンス王子様がカナエにプレゼントしてくれました。大切にするのです』
えっ、フェアリーウィンラサッヴァ!?やっぱり、王子って違うんだなあ。
「なんだ、あんたも欲しいのかよ?」
「え?あ、落ち武者さん。いえ、私は高いのはいらないです」
そっか、星空レストランで知り合ってからメンバーに加わってたんだっけ?
その時、ヨルクさんが来た。何か持ってる……?
「ナミネ、もうすぐ生理でしょ」
え、えぇええええええ!待って!みんないるのに、そういうこと言わないで。私は一瞬で気まずくなってしまった。横にいる落ち武者さんは笑っている。
「ナミネ、このポーチの中にショーツとビニール袋とナプキンと痛み止め入ってるから」
めちゃくちゃ気まずいし恥ずかしい。だったら、どうして、朝私の部屋に来た時に言ってくれなかったの?でも、猫のポーチ可愛い。私はヨルクさんからポーチを受け取った。
「あ、ありがとうございます」
私は少しずつヨルクさんから遠ざかった。
「ねえ、カナエってアルフォンスからフェアリーウィンラサッヴァもらったの?」
「はい、とても高価なものを頂いたので、カナエもアルフォンス王子様に何かプレゼントしたいと思っています」
カナエさんって、何でも出来るからハイスペ男子からモテるんだなあ。赤いルビーの花のネックレス似合ってる。
「カラルリ、私もフェアリーウィンラサッヴァのペアリングが欲しいわ!」
「セナさんが欲しいなら、水族館の後、デパートにみな行こうよ」
えっ、カラルリさん、そんなお金あるの?
「ラルク、私も欲しいわ」
「分かりました」
ラルクは、特殊任務でそれなりの貯金貯めてるんだっけ。それにしても、みんなフェアリーウィンラサッヴァなんだ。ブルゥナルとかカルィタァヒエは興味無いのだろうか。
「ねえ、ラルク、フェアリーウィンラサッヴァ人気なの?テイルヮナァとかブルゥナル、カルィタァヒエよりも?」
「まあ、女性の憧れだからな」
「ナミネも欲しいの?」
「私、そんな高いのいりません!それに、このネックレスだけで十分です」
ヨルクさんって、任務あんまりしてなさそうだし、貯金もあまりなさそう。
「ナミネはどういう指輪が好みなの?」
「強いて言うなら、こういうのです」
私はヨルクさんに指輪の画像を見せた。
「えっ、これ何もないよね。このブランド聞いたこともないし。ナミネは本当にフェアリーウィンラサッヴァいらないの?」
「そんな高いのはいらないと言っているでしょう!」
もう何なの。もうすぐ生理とか言ってきたり、みんながフェアリーウィンラサッヴァで盛り上がってるからって無理に会話に入って来たり。
「皆さんは、フェアリーウィンラサッヴァのペアリングはどのように購入するのですか?一括払いですか?それとも分割払いですか?」
「私は場合によっては分割払いかなあ」
「僕は一括払いだと思う」
やっぱり、ラルク、そこそこ貯金あるんだ。私も、特殊武官までは資格取っておこうかな。それにしても、カラルリさん、少し無理してるように見えるけど気のせいだろうか。
「じゃ、水族館入る」
あ、水族館の前ですっかり立ち話してしまってた。みんなは、落ち武者さんに続いてチケットを購入し、水族館の中に入って行った。
何だかお腹痛い。気のせいだろうか。
「ナミネ、イルカさんいるよ。可愛いね」
「あ、はい」
やってしまった。こんなことならヨルクさんからもらった時に使っていればよかった。私はトイレに走った。
やっぱり汚れてる。私はヨルクさんからもらったポーチを開いてショーツに履き替えて汚れたのはビニール袋に入れた。ナプキンを付けるとトイレから出た。
「ナミネ、大丈夫?」
「え、は、はい。大丈夫です」
でも、何だか頭が痛い。
「ナミネ、顔色悪いよ。向こうの椅子に座ろう」
「大丈夫です!」
「うーん、痛みはあるの?」
「少し頭痛がします」
「だったら薬飲もう」
ヨルクさんは、ポーチを手に取り、中にある薬を取り出した。
「はい、お水」
「あ、ありがとうございます」
私は、ヨルクさんから渡されたお水で薬を飲んだ。
「カラルリ、私また女の子の日かも」
「でも、セナさん、この前あったよね?」
「あんた、それ排卵痛なんじゃないの?」
「そうかも」
排卵痛かあ。ある人はあるのかな。薬とかあまり見かけないけど、どうするんだろう。
「カナエのオリジナル漢方飲みますか?」
「ええ、飲むわ」
セナ王女、ちょっと顔色良くないな。
「あんたらFメモリイなお花畑みたいだけど、気を付けろよ。第3でなくても、100万分の1の可能性らしいけど、排卵日が妊娠のきっかけになってるケースもあるみたいだからさ」
そうなんだ。今でも第2で妊娠する古代の身体の人もいるみたいだし、何が起きてもおかしくないよね。
「カラルリ、もし私が妊娠したらどうする?」
「もちろん責任取るよ、セナさん」
「カラルリ愛してる」
この2人大丈夫かな。遥か昔はこういう心配なかったのに。現代は色々進化してきたからなあ。
「ナミネが妊娠したら、すぐに入籍してナミネを支えるからね」
どうしてそんなこと言うの?私たちまだ中学生じゃない。私はセナ王女やカラルリさんみたいな迂闊なことするつもりないし。それに、ヨルクさんとなんて想像出来ないよ。
「何もしてないのに妊娠するわけないでしょう!」
「ヨルクって奥手そうだものね」
「カナエはどうなの?アルフォンス王子とFメモリイなのかしら?」
「セレナール!カナエはアルフォンス王子様とはゆっくり愛を育みたいと思っています!」
カナエさんって真面目。でも、そうだよね。
セナ王女の排卵痛が治まるまで、みんなはソファーで休むことになった。私はカップル日記を見た。
『2019年8月22日
ラルクと交際しちゃった』
『ラルクと初Fメモリイꯁꯧ』
ぇええええええ!ラルクとセレナールさんって交際してたの!?それもFメモリイって……。
「ねえ、ラルク、セレナールさんと交際したの?」
「うん、そうだけど。ナミネにメールしたはずだけどな」
私は受信ボックスを確認した。日付通りではないものの、バグなのか、遅くに来ていた。
『セレナール先輩と交際することになった』
『セレナール先輩と寝た』
そっか。ラルクとセレナールさんが……。つまり、私だけ取り残されたってこと?私は複雑な気持ちになってしまった。何だかんだで、カナエさんとアルフォンス王子も怪しいし、何だか疎外感。
「ナミネ、私はナミネとする時はちゃんと避妊するからね」
ちょっと待って!どうしてそんなこと言うの!みんなが話題で盛り上がってるからって、ヨルクさんが、どうして私に言うの?
「ハッキリ言います!生理のことといい、避妊するとか、セクハラです!私、ヨルクさんとそんなことするつもりありませんし、全く想像つかないです!」
私は走ってトイレに駆け込んだ。ヨルクさんからメールが来た。
『ナミネ、ごめんね。ナミネのこと心配だったから基礎体温アプリ取ってナミネの付けてた。でも、ナミネがいやならもうやめるね。ナミネが私と関係持ちたくないならナミネには何もしないでおく。だから、出て来て』
ヨルクさん……。私のこと気遣ってくれてるのに、私酷いこと言っちゃった。謝らなきゃ。
『ヨルクさん、ごめんなさい!ポーチ嬉しかったです!大切にします!基礎体温もいやじゃないです!少し驚いただけです。ショーツも可愛いし、痛め止めも飲みやすいし、今日生理だったので助かりました!ヨルクさんの気遣い嬉しいです!
でも、みんなの言うFメモリイがよく分からないんです。決してヨルクさんのこと拒んでるわけではありません!』
ヨルクさん、機嫌直してくれたかな。
『そっか、ナミネがいやじゃないならよかった。じゃあ、これからも今まで通りにするね。うーん、私もFメモリイは分からない。でも、天の川村では、カップル同士ある薬を飲むだけで妊娠するかの被験もしてるみたいだし正直現代医学は進んでると思う。ナミネが妊娠したら、働いてナミネ養うし、ナミネのこと大切にする!』
ヨルクさん……。私はトイレを出てトイレで待ってくれているヨルクさんに抱き着いた。
「ナミネ……」
「私、ヨルクさんのこと大切にします!」
カナエさんの薬でセナ王女も落ち着いたみたいだし、みんなはまた歩きはじめた。
「ナミネ、イルカさんのカップルだよ。仲良さそうだよね」
「交尾を求めてますな。所詮、人間も動物も求めることは変わりありませんな」
「ナミネ、そういう言い方良くないよ。お土産買わないからね」
そういえばカップル日記、一度退会しちゃったから、また最初からなんだ。写真撮っておこ。私は写真を撮ってカップル日記に投稿をした。
『イルカを眺めるヨルクさん』
「ねえ、ラルク、大きなジンベイザメいるよ」
「そうだな。水族館のメインて感じだな」
「あんた、顔だけヨルクと撮ってやるよ」
落ち武者さんはジンベイザメを背景に私とヨルクさんを撮ってメールで送ってきてくれた。ヨルクさんは早速カップル日記に投稿していた。
『みんなで水族館行き。
ナミネとの想い出』
一度退会しなければ良かったな。あの時、本気で別れるつもりとかなかったし。それとも、投稿出来そうなのだけ投稿しようかな。何気にラルクとのカップル日記残ってるし。ラルクが消さないなら私も消さないでおこう。
「そういえば、落ち武者さんは彼女いるんですか?」
「いないけど?」
「そうですか」
「顔だけヨルクと別れたら、あんたなら交際してやってもいいけど?」
「ナミネとは別れないから!私の彼女口説かないで!」
落ち武者さん彼女いないんだ。前世で交際してた人はいるのかな。
それにしても、やっぱり私だけ疎外感。あれだけニュースで危険知らせてるのに、どうしてみんな……。
イルカのショーがはじまった。私はヨルクさんが買ったレインコートを着た。
「ナミネ、イルカさん頑張ってるね」
「人間による洗脳ですな」
「ナミネ、どうしてそういうこと言うの!ナミネは、もっと女の子らしいかと思ってたのに」
そんなのヨルクさんの先入観だよ。私、少しも女の子らしくないし、対して可愛くもないし。
「そうですか」
一応、イルカのショーの写真だけ撮っておこう。その時、ヨルクさんが写真を撮った。あ、イルカさんハート型になってる。
「ラルク、イルカさん、ハート型になってるね」
「ショーの定番て感じだな」
「ラルクってカップル日記あまり投稿しないの?」
「頻繁にするほどのことでもないと思うから」
そうなのかな。ラルクとセレナールさんは、遠い前世の記憶で結ばれてるから、それだけで強い絆持っているのだろうか。カップル日記を見ると、セナ王女とセレナールさん、アルフォンス王子が投稿してる。
『カラルリと恋人繋ぎしながらハート型とイルカを見れた。凄く運命を感じる。いつまでも大好き♡』
『初カレのラルクと一緒にハート型のイルカが見れたꯁꯧ』
『カナエと永遠の愛を』
そっか、みんなこういうの逃さないんだ。よく見るとヨルクさんも投稿している。
『ナミネと恋人として再び見ることが出来た。
とても嬉しい。
あれから何千年経ったのだろう。
ハート型のイルカ記念日』
ヨルクさんも、少しずつ思い出しはじめているのかな。
イルカのショーが終わるとみんなはお昼のレストランに向かい始めた。
……
あとがき。
文字数のため、一旦ここで切ります。
小説の中の一日って思ったより長いんだなあ……。
走り書きでは全く別のシーンだし、色々登場していくものが早いなあとは思ってます。
それでも、走り書きでも、ナミネとヨルクが完全に恋人らしくなるまでにはそれなりの時間かかってますし。
セナとカラルリやカナエとアルフォンス、セレナールとラルクの関係も変わってくるかもしれません。
《ナミネ》
8月ももう後半。
夏休み終わっちゃうよ。
今日は、水族館の後、セナ王女の別荘で泊まることになった。
朝起きたらヨルクさんがいて、ヨルクさんは私の忘れ物がないか確認すると、クレナイ家 運転手の車で待ち合わせ場所の水族館まで行った。
すると珍しくもユメさんがいた。
「ラルク!ユメさん来てるよ!」
「だな。いわゆるお暇の日ってわけか」
そっか、ミナクさん、浮気してるんだ。それにしても、こんなに暑いのに長袖にロングスカートだなんて、やっぱりユメさんDV受けてるの?
私はユメさんに駆け寄った。
「ユメさん、久しぶりですね」
「え、ええ」
「ミナクさんとはどうですか?」
「順調よ」
ユメさんの目の周りにはアザが出来ていた。やっぱり、ミナクさんからDV受けているんだ。
「あ、皆さんカップル日記してるんですけど、ユメさんもしませんか?」
私はユメさんにカップル日記を見せた。あの後、私は再度登録して再びヨルクさんと連携したのである。
「うーん、彼に聞かないと」
「そうですか」
私はみんなの投稿を見た。
『毎日カラルリとFメモリイ♡』
『女の子の日には休ませてくれる優しい彼氏♡』
『カラルリがロキソニンくれた♡』
『カラルリと勉強した後Fメモリイ♡』
(以下略)
セナ王女は相変わらずだった。
こういうの恥ずかしくて載せられないや。
『セナさん、愛してる』
『今日はセナさんとFメモリイ出来ないけど、一緒にいるだけで幸せ』
『早く大人になってセナさんと結婚したい』
カラルリさんも相変わらず。
ロキソニンって結構強いけど、高校生なら普通なのかな。
『カナエに毎朝手料理作ってもらってる。
カナエの料理はどのシェフの料理より美味しいし幸せだ』
『今日はキクリ家でカナエと勉強』
『私の部屋でカナエとDVDを観た』
そっか。カナエさんとアルフォンス王子も互いの家、行き来してたんだ。私とヨルクさんも仲直りした後は、私がよくクレナイ家に行ってたな。
『アルフォンス王子様と一緒に食べる朝食』
『アルフォンス王子様がカナエにプレゼントしてくれました。大切にするのです』
えっ、フェアリーウィンラサッヴァ!?やっぱり、王子って違うんだなあ。
「なんだ、あんたも欲しいのかよ?」
「え?あ、落ち武者さん。いえ、私は高いのはいらないです」
そっか、星空レストランで知り合ってからメンバーに加わってたんだっけ?
その時、ヨルクさんが来た。何か持ってる……?
「ナミネ、もうすぐ生理でしょ」
え、えぇええええええ!待って!みんないるのに、そういうこと言わないで。私は一瞬で気まずくなってしまった。横にいる落ち武者さんは笑っている。
「ナミネ、このポーチの中にショーツとビニール袋とナプキンと痛み止め入ってるから」
めちゃくちゃ気まずいし恥ずかしい。だったら、どうして、朝私の部屋に来た時に言ってくれなかったの?でも、猫のポーチ可愛い。私はヨルクさんからポーチを受け取った。
「あ、ありがとうございます」
私は少しずつヨルクさんから遠ざかった。
「ねえ、カナエってアルフォンスからフェアリーウィンラサッヴァもらったの?」
「はい、とても高価なものを頂いたので、カナエもアルフォンス王子様に何かプレゼントしたいと思っています」
カナエさんって、何でも出来るからハイスペ男子からモテるんだなあ。赤いルビーの花のネックレス似合ってる。
「カラルリ、私もフェアリーウィンラサッヴァのペアリングが欲しいわ!」
「セナさんが欲しいなら、水族館の後、デパートにみな行こうよ」
えっ、カラルリさん、そんなお金あるの?
「ラルク、私も欲しいわ」
「分かりました」
ラルクは、特殊任務でそれなりの貯金貯めてるんだっけ。それにしても、みんなフェアリーウィンラサッヴァなんだ。ブルゥナルとかカルィタァヒエは興味無いのだろうか。
「ねえ、ラルク、フェアリーウィンラサッヴァ人気なの?テイルヮナァとかブルゥナル、カルィタァヒエよりも?」
「まあ、女性の憧れだからな」
「ナミネも欲しいの?」
「私、そんな高いのいりません!それに、このネックレスだけで十分です」
ヨルクさんって、任務あんまりしてなさそうだし、貯金もあまりなさそう。
「ナミネはどういう指輪が好みなの?」
「強いて言うなら、こういうのです」
私はヨルクさんに指輪の画像を見せた。
「えっ、これ何もないよね。このブランド聞いたこともないし。ナミネは本当にフェアリーウィンラサッヴァいらないの?」
「そんな高いのはいらないと言っているでしょう!」
もう何なの。もうすぐ生理とか言ってきたり、みんながフェアリーウィンラサッヴァで盛り上がってるからって無理に会話に入って来たり。
「皆さんは、フェアリーウィンラサッヴァのペアリングはどのように購入するのですか?一括払いですか?それとも分割払いですか?」
「私は場合によっては分割払いかなあ」
「僕は一括払いだと思う」
やっぱり、ラルク、そこそこ貯金あるんだ。私も、特殊武官までは資格取っておこうかな。それにしても、カラルリさん、少し無理してるように見えるけど気のせいだろうか。
「じゃ、水族館入る」
あ、水族館の前ですっかり立ち話してしまってた。みんなは、落ち武者さんに続いてチケットを購入し、水族館の中に入って行った。
何だかお腹痛い。気のせいだろうか。
「ナミネ、イルカさんいるよ。可愛いね」
「あ、はい」
やってしまった。こんなことならヨルクさんからもらった時に使っていればよかった。私はトイレに走った。
やっぱり汚れてる。私はヨルクさんからもらったポーチを開いてショーツに履き替えて汚れたのはビニール袋に入れた。ナプキンを付けるとトイレから出た。
「ナミネ、大丈夫?」
「え、は、はい。大丈夫です」
でも、何だか頭が痛い。
「ナミネ、顔色悪いよ。向こうの椅子に座ろう」
「大丈夫です!」
「うーん、痛みはあるの?」
「少し頭痛がします」
「だったら薬飲もう」
ヨルクさんは、ポーチを手に取り、中にある薬を取り出した。
「はい、お水」
「あ、ありがとうございます」
私は、ヨルクさんから渡されたお水で薬を飲んだ。
「カラルリ、私また女の子の日かも」
「でも、セナさん、この前あったよね?」
「あんた、それ排卵痛なんじゃないの?」
「そうかも」
排卵痛かあ。ある人はあるのかな。薬とかあまり見かけないけど、どうするんだろう。
「カナエのオリジナル漢方飲みますか?」
「ええ、飲むわ」
セナ王女、ちょっと顔色良くないな。
「あんたらFメモリイなお花畑みたいだけど、気を付けろよ。第3でなくても、100万分の1の可能性らしいけど、排卵日が妊娠のきっかけになってるケースもあるみたいだからさ」
そうなんだ。今でも第2で妊娠する古代の身体の人もいるみたいだし、何が起きてもおかしくないよね。
「カラルリ、もし私が妊娠したらどうする?」
「もちろん責任取るよ、セナさん」
「カラルリ愛してる」
この2人大丈夫かな。遥か昔はこういう心配なかったのに。現代は色々進化してきたからなあ。
「ナミネが妊娠したら、すぐに入籍してナミネを支えるからね」
どうしてそんなこと言うの?私たちまだ中学生じゃない。私はセナ王女やカラルリさんみたいな迂闊なことするつもりないし。それに、ヨルクさんとなんて想像出来ないよ。
「何もしてないのに妊娠するわけないでしょう!」
「ヨルクって奥手そうだものね」
「カナエはどうなの?アルフォンス王子とFメモリイなのかしら?」
「セレナール!カナエはアルフォンス王子様とはゆっくり愛を育みたいと思っています!」
カナエさんって真面目。でも、そうだよね。
セナ王女の排卵痛が治まるまで、みんなはソファーで休むことになった。私はカップル日記を見た。
『2019年8月22日
ラルクと交際しちゃった』
『ラルクと初Fメモリイꯁꯧ』
ぇええええええ!ラルクとセレナールさんって交際してたの!?それもFメモリイって……。
「ねえ、ラルク、セレナールさんと交際したの?」
「うん、そうだけど。ナミネにメールしたはずだけどな」
私は受信ボックスを確認した。日付通りではないものの、バグなのか、遅くに来ていた。
『セレナール先輩と交際することになった』
『セレナール先輩と寝た』
そっか。ラルクとセレナールさんが……。つまり、私だけ取り残されたってこと?私は複雑な気持ちになってしまった。何だかんだで、カナエさんとアルフォンス王子も怪しいし、何だか疎外感。
「ナミネ、私はナミネとする時はちゃんと避妊するからね」
ちょっと待って!どうしてそんなこと言うの!みんなが話題で盛り上がってるからって、ヨルクさんが、どうして私に言うの?
「ハッキリ言います!生理のことといい、避妊するとか、セクハラです!私、ヨルクさんとそんなことするつもりありませんし、全く想像つかないです!」
私は走ってトイレに駆け込んだ。ヨルクさんからメールが来た。
『ナミネ、ごめんね。ナミネのこと心配だったから基礎体温アプリ取ってナミネの付けてた。でも、ナミネがいやならもうやめるね。ナミネが私と関係持ちたくないならナミネには何もしないでおく。だから、出て来て』
ヨルクさん……。私のこと気遣ってくれてるのに、私酷いこと言っちゃった。謝らなきゃ。
『ヨルクさん、ごめんなさい!ポーチ嬉しかったです!大切にします!基礎体温もいやじゃないです!少し驚いただけです。ショーツも可愛いし、痛め止めも飲みやすいし、今日生理だったので助かりました!ヨルクさんの気遣い嬉しいです!
でも、みんなの言うFメモリイがよく分からないんです。決してヨルクさんのこと拒んでるわけではありません!』
ヨルクさん、機嫌直してくれたかな。
『そっか、ナミネがいやじゃないならよかった。じゃあ、これからも今まで通りにするね。うーん、私もFメモリイは分からない。でも、天の川村では、カップル同士ある薬を飲むだけで妊娠するかの被験もしてるみたいだし正直現代医学は進んでると思う。ナミネが妊娠したら、働いてナミネ養うし、ナミネのこと大切にする!』
ヨルクさん……。私はトイレを出てトイレで待ってくれているヨルクさんに抱き着いた。
「ナミネ……」
「私、ヨルクさんのこと大切にします!」
カナエさんの薬でセナ王女も落ち着いたみたいだし、みんなはまた歩きはじめた。
「ナミネ、イルカさんのカップルだよ。仲良さそうだよね」
「交尾を求めてますな。所詮、人間も動物も求めることは変わりありませんな」
「ナミネ、そういう言い方良くないよ。お土産買わないからね」
そういえばカップル日記、一度退会しちゃったから、また最初からなんだ。写真撮っておこ。私は写真を撮ってカップル日記に投稿をした。
『イルカを眺めるヨルクさん』
「ねえ、ラルク、大きなジンベイザメいるよ」
「そうだな。水族館のメインて感じだな」
「あんた、顔だけヨルクと撮ってやるよ」
落ち武者さんはジンベイザメを背景に私とヨルクさんを撮ってメールで送ってきてくれた。ヨルクさんは早速カップル日記に投稿していた。
『みんなで水族館行き。
ナミネとの想い出』
一度退会しなければ良かったな。あの時、本気で別れるつもりとかなかったし。それとも、投稿出来そうなのだけ投稿しようかな。何気にラルクとのカップル日記残ってるし。ラルクが消さないなら私も消さないでおこう。
「そういえば、落ち武者さんは彼女いるんですか?」
「いないけど?」
「そうですか」
「顔だけヨルクと別れたら、あんたなら交際してやってもいいけど?」
「ナミネとは別れないから!私の彼女口説かないで!」
落ち武者さん彼女いないんだ。前世で交際してた人はいるのかな。
それにしても、やっぱり私だけ疎外感。あれだけニュースで危険知らせてるのに、どうしてみんな……。
イルカのショーがはじまった。私はヨルクさんが買ったレインコートを着た。
「ナミネ、イルカさん頑張ってるね」
「人間による洗脳ですな」
「ナミネ、どうしてそういうこと言うの!ナミネは、もっと女の子らしいかと思ってたのに」
そんなのヨルクさんの先入観だよ。私、少しも女の子らしくないし、対して可愛くもないし。
「そうですか」
一応、イルカのショーの写真だけ撮っておこう。その時、ヨルクさんが写真を撮った。あ、イルカさんハート型になってる。
「ラルク、イルカさん、ハート型になってるね」
「ショーの定番て感じだな」
「ラルクってカップル日記あまり投稿しないの?」
「頻繁にするほどのことでもないと思うから」
そうなのかな。ラルクとセレナールさんは、遠い前世の記憶で結ばれてるから、それだけで強い絆持っているのだろうか。カップル日記を見ると、セナ王女とセレナールさん、アルフォンス王子が投稿してる。
『カラルリと恋人繋ぎしながらハート型とイルカを見れた。凄く運命を感じる。いつまでも大好き♡』
『初カレのラルクと一緒にハート型のイルカが見れたꯁꯧ』
『カナエと永遠の愛を』
そっか、みんなこういうの逃さないんだ。よく見るとヨルクさんも投稿している。
『ナミネと恋人として再び見ることが出来た。
とても嬉しい。
あれから何千年経ったのだろう。
ハート型のイルカ記念日』
ヨルクさんも、少しずつ思い出しはじめているのかな。
イルカのショーが終わるとみんなはお昼のレストランに向かい始めた。
……
あとがき。
文字数のため、一旦ここで切ります。
小説の中の一日って思ったより長いんだなあ……。
走り書きでは全く別のシーンだし、色々登場していくものが早いなあとは思ってます。
それでも、走り書きでも、ナミネとヨルクが完全に恋人らしくなるまでにはそれなりの時間かかってますし。
セナとカラルリやカナエとアルフォンス、セレナールとラルクの関係も変わってくるかもしれません。
純愛偏差値 未来編 一人称版 18話
《ヨルク》
セレナールさんが飛び降りた日から数日が経った。ナミネと仲直りしてからはナミネは毎日私のいない時にクレナイ家に来ては私の部屋の畳で寝ていた。
今日もナミネは来るだろうか。
私がお昼ご飯を作って部屋に入ると、落ち武者さんがいた。対して仲良くもないのに勝手に人の部屋入って何だかいやな感じ。
「何?」
「来てやった」
「呼んだ覚えばない」
私はお昼ご飯を机に置いた。すると落ち武者さんが食べはじめた。
「ちょっと!これ私の分なんだけど!」
「あんた、自分で作ってんのか?」
「だったら何?何の用事で来たの?」
「顔だけヨルク、いいものを見せてやろう」
落ち武者さんは、ノートパソコンにメモリーを入れると、ある映像を再生した。
映像はカラーだけど、制服からしてかなり古い気がする。高校生くらいの落ち武者さんが、貴族の女の子と会っていた。
『エルナ、交際して欲しい』
『セルファ、嬉しい!私、交際するわ!』
エルナさんは落ち武者さんからの薔薇の花束を受け取った。
『じゃ、今日から恋人ってことで』
2人は誰が見ても幸せそうなカップルだった。
落ち武者さんはエルナさんに勉強を教えたり、毎日お弁当を作ったり、エルナさんから電話があればすぐに駆け付けて話を聞いたり、とにかく彼女に尽くしていた。
『エルナ、これからいっぱい想い出作りたいと思ってる』
落ち武者さんはエルナさんに、1月から12月までの予定表をイラスト付きで見せた。
『まあ、素敵!』
2人は頻繁に会っては重なることがないデートをしていた。そして、互いに求め合い心の底から愛し合っていた。その関係は、いつまでも続くと2人は誓い合っていた。
季節は流れ、5年が経った。
落ち武者さんは、花束と高価な婚約指輪の入った小さな箱を持って、プロポーズするレストランに行く前にエルナさんを迎えに行っていた。しかし、落ち武者さんがエルナさんの部屋に入ると、エルナさんはベッドの中で見知らぬ男といた。
「そゆこと、で、いつから?」
落ち武者さんが、声をかけるなり、エルナさんは咄嗟にベッドから出た。
『なあ、コイツ誰だよ?』
『ク、クラスメイト』
『どこの誰か分かんないけど、出てってくれないか?』
落ち武者さんはエルナさんを見た。
『で、いつから?』
『エルナとは3年前から付き合いはじめてる。とっとと出てってくれ!』
男が答えた。
落ち武者さんは、あれほど愛し合ったエルナさんから、まさか3年も前から裏切られていたとは全く知らず呆れ返っていた。
『じゃ、交際は白紙ってことで。2人仲良くねー!』
落ち武者さんは、婚約指輪の箱と花束をエルナさんの部屋に置き、部屋を出ようとした。
『待って!裏切るつもりはなかった!いっときの迷いだった!セルファしか愛してない?』
『ですって?2番手さん』
『エルナ!どういうことだ!二股かけていたのか!』
男も何も知らなかったらしく、エルナを責めはじめた。
『違う!ヌカイスヌとは本当にいっときの迷いだった!許して!セルファ!』
『3年……随分と長いいっときの迷いだねー!』
『セルファ、お願い許して!』
『交際は白紙に戻したから僕は帰るよー!』
エルナさんが落ち武者さんの置いていった箱を開けると婚約指輪が入っていた。エルナさんは、落ち武者さんなら、何でも許してくれるとヌカイスヌさんの他に一夜限りの人もいるようだった。
エルナさんは、その後、落ち武者さんとの話し合いを求めた。
『話って?』
『今すぐ元の関係に戻って欲しいとは言わない。せめて、友達からはじめたい』
『でもさ、エルナのしたことって完全アウトだよね?』
『お願い!友達にだけにでも戻って!』
『いいよー!あくまで友達ね。もうそれ以上の関係にはなれないし、今後は相談にも乗らないし、2人でも会わない。話は終わったし、これからは友達として接するねー!』
エルナさんが引き止める中、落ち武者さんは家に戻った。その後、大学では落ち武者さんはエルナさんとは友達として接した。エルナさんは、いつか落ち武者さんが許してくれると思い、それを待っていたのである。
しかし、落ち武者さんはある数式10個を10枚の紙に書いて、今後のエルナさんの幸せを全て奪い取ったのだ。
ヌカイスヌさんも失い、誰からも相手にされなくなったエルナさんは、落ち武者さんに復縁を求めた。
『友達以上にはなれないって言ったよね?』
そう言うと落ち武者さんは立ち上がった。
『本当に悪かったと思ってる!反省してる!一度だけチャンスが欲しい!』
『ダメだね。交際は白紙に戻したんだから、後は自分の問題は自分で解決したら?』
『セルファ!本当にもう無理なの!これ以上生きていけない!社交界からは追放され、誰からも相手にされず、もうセルファしかいないの』
『そっか、じゃ、今のとこ友達は僕しかいないわけね』
『お願い、一度だけチャンスを与えて欲しい』
エルナさんは何度も落ち武者さんに縋った。
『じゃ、お友達作る努力すれば?』
『セルファ、このままだと自殺してしまう』
『だったらカウンセリング受けたら?』
それだけ言うと落ち武者さんはクラスに戻って行った。
その後、エルナさんは落ち武者さんに何度も謝罪の手紙を送ったが、落ち武者さんはあくまで友達としか返事をしなかった。
そして、月日は流れ、ある日、エルナさんは部屋で首吊り自殺を図り、一命は取り留めたものの、エルナさんはすっかり心を病んで入院をしたのであった。
それを知った落ち武者さんはエルナさんの見舞いに行った。
『セルファ……許して……』
『とりあえず、病気治すことから考えたら?』
落ち武者さんは差し入れを置いて病室を出た。
その後、落ち武者さんは何度かエルナさんのお見舞いに行ったものの、いつしかエルナさんに会わなくなっていた。
そして、適当に縁談を選んで落ち武者さんに干渉しない1番有能な人を数式で割り出し、その人と結婚したのである。しかし、結婚生活は落ち着いていたものの、落ち武者さんはエルナさんにエルナさんから裏切られた時点で、二度と恋愛はしないと決断したのであった。来世もその次の来世も、落ち武者さんは、自分にとって気楽な相手を選んでは、その人との交際後、結婚をしていた。
映像はそこで途切れていた。
まさか、落ち武者さんにここような過去があったことは驚いたが、何故……
「何故、私だけに見せた」
「ヨルク、仲良くしようよ」
落ち武者さんは私が作った昼ご飯を全て食べていた。
「私は仲良くするつもりなどない」
そして、落ち武者さんは夕方まで居座って帰って行った。その後、ナミネが来て私の心はパァッと明るくなった。
けれど、どうして落ち武者さんはわざわざ、私に映像を見せに来たのだろう。この時の私には何も分からずにいた。
……
あとがき。
走り書きでセルファがカラクリ家で見せた映像のシーンです。ここでは、ヨルクの部屋で見せていましたが。
最も愛する人に3年も知らないところで浮気をされていたって、あまりに残酷ですよね。
次回、夏休みラストかな?
《ヨルク》
セレナールさんが飛び降りた日から数日が経った。ナミネと仲直りしてからはナミネは毎日私のいない時にクレナイ家に来ては私の部屋の畳で寝ていた。
今日もナミネは来るだろうか。
私がお昼ご飯を作って部屋に入ると、落ち武者さんがいた。対して仲良くもないのに勝手に人の部屋入って何だかいやな感じ。
「何?」
「来てやった」
「呼んだ覚えばない」
私はお昼ご飯を机に置いた。すると落ち武者さんが食べはじめた。
「ちょっと!これ私の分なんだけど!」
「あんた、自分で作ってんのか?」
「だったら何?何の用事で来たの?」
「顔だけヨルク、いいものを見せてやろう」
落ち武者さんは、ノートパソコンにメモリーを入れると、ある映像を再生した。
映像はカラーだけど、制服からしてかなり古い気がする。高校生くらいの落ち武者さんが、貴族の女の子と会っていた。
『エルナ、交際して欲しい』
『セルファ、嬉しい!私、交際するわ!』
エルナさんは落ち武者さんからの薔薇の花束を受け取った。
『じゃ、今日から恋人ってことで』
2人は誰が見ても幸せそうなカップルだった。
落ち武者さんはエルナさんに勉強を教えたり、毎日お弁当を作ったり、エルナさんから電話があればすぐに駆け付けて話を聞いたり、とにかく彼女に尽くしていた。
『エルナ、これからいっぱい想い出作りたいと思ってる』
落ち武者さんはエルナさんに、1月から12月までの予定表をイラスト付きで見せた。
『まあ、素敵!』
2人は頻繁に会っては重なることがないデートをしていた。そして、互いに求め合い心の底から愛し合っていた。その関係は、いつまでも続くと2人は誓い合っていた。
季節は流れ、5年が経った。
落ち武者さんは、花束と高価な婚約指輪の入った小さな箱を持って、プロポーズするレストランに行く前にエルナさんを迎えに行っていた。しかし、落ち武者さんがエルナさんの部屋に入ると、エルナさんはベッドの中で見知らぬ男といた。
「そゆこと、で、いつから?」
落ち武者さんが、声をかけるなり、エルナさんは咄嗟にベッドから出た。
『なあ、コイツ誰だよ?』
『ク、クラスメイト』
『どこの誰か分かんないけど、出てってくれないか?』
落ち武者さんはエルナさんを見た。
『で、いつから?』
『エルナとは3年前から付き合いはじめてる。とっとと出てってくれ!』
男が答えた。
落ち武者さんは、あれほど愛し合ったエルナさんから、まさか3年も前から裏切られていたとは全く知らず呆れ返っていた。
『じゃ、交際は白紙ってことで。2人仲良くねー!』
落ち武者さんは、婚約指輪の箱と花束をエルナさんの部屋に置き、部屋を出ようとした。
『待って!裏切るつもりはなかった!いっときの迷いだった!セルファしか愛してない?』
『ですって?2番手さん』
『エルナ!どういうことだ!二股かけていたのか!』
男も何も知らなかったらしく、エルナを責めはじめた。
『違う!ヌカイスヌとは本当にいっときの迷いだった!許して!セルファ!』
『3年……随分と長いいっときの迷いだねー!』
『セルファ、お願い許して!』
『交際は白紙に戻したから僕は帰るよー!』
エルナさんが落ち武者さんの置いていった箱を開けると婚約指輪が入っていた。エルナさんは、落ち武者さんなら、何でも許してくれるとヌカイスヌさんの他に一夜限りの人もいるようだった。
エルナさんは、その後、落ち武者さんとの話し合いを求めた。
『話って?』
『今すぐ元の関係に戻って欲しいとは言わない。せめて、友達からはじめたい』
『でもさ、エルナのしたことって完全アウトだよね?』
『お願い!友達にだけにでも戻って!』
『いいよー!あくまで友達ね。もうそれ以上の関係にはなれないし、今後は相談にも乗らないし、2人でも会わない。話は終わったし、これからは友達として接するねー!』
エルナさんが引き止める中、落ち武者さんは家に戻った。その後、大学では落ち武者さんはエルナさんとは友達として接した。エルナさんは、いつか落ち武者さんが許してくれると思い、それを待っていたのである。
しかし、落ち武者さんはある数式10個を10枚の紙に書いて、今後のエルナさんの幸せを全て奪い取ったのだ。
ヌカイスヌさんも失い、誰からも相手にされなくなったエルナさんは、落ち武者さんに復縁を求めた。
『友達以上にはなれないって言ったよね?』
そう言うと落ち武者さんは立ち上がった。
『本当に悪かったと思ってる!反省してる!一度だけチャンスが欲しい!』
『ダメだね。交際は白紙に戻したんだから、後は自分の問題は自分で解決したら?』
『セルファ!本当にもう無理なの!これ以上生きていけない!社交界からは追放され、誰からも相手にされず、もうセルファしかいないの』
『そっか、じゃ、今のとこ友達は僕しかいないわけね』
『お願い、一度だけチャンスを与えて欲しい』
エルナさんは何度も落ち武者さんに縋った。
『じゃ、お友達作る努力すれば?』
『セルファ、このままだと自殺してしまう』
『だったらカウンセリング受けたら?』
それだけ言うと落ち武者さんはクラスに戻って行った。
その後、エルナさんは落ち武者さんに何度も謝罪の手紙を送ったが、落ち武者さんはあくまで友達としか返事をしなかった。
そして、月日は流れ、ある日、エルナさんは部屋で首吊り自殺を図り、一命は取り留めたものの、エルナさんはすっかり心を病んで入院をしたのであった。
それを知った落ち武者さんはエルナさんの見舞いに行った。
『セルファ……許して……』
『とりあえず、病気治すことから考えたら?』
落ち武者さんは差し入れを置いて病室を出た。
その後、落ち武者さんは何度かエルナさんのお見舞いに行ったものの、いつしかエルナさんに会わなくなっていた。
そして、適当に縁談を選んで落ち武者さんに干渉しない1番有能な人を数式で割り出し、その人と結婚したのである。しかし、結婚生活は落ち着いていたものの、落ち武者さんはエルナさんにエルナさんから裏切られた時点で、二度と恋愛はしないと決断したのであった。来世もその次の来世も、落ち武者さんは、自分にとって気楽な相手を選んでは、その人との交際後、結婚をしていた。
映像はそこで途切れていた。
まさか、落ち武者さんにここような過去があったことは驚いたが、何故……
「何故、私だけに見せた」
「ヨルク、仲良くしようよ」
落ち武者さんは私が作った昼ご飯を全て食べていた。
「私は仲良くするつもりなどない」
そして、落ち武者さんは夕方まで居座って帰って行った。その後、ナミネが来て私の心はパァッと明るくなった。
けれど、どうして落ち武者さんはわざわざ、私に映像を見せに来たのだろう。この時の私には何も分からずにいた。
……
あとがき。
走り書きでセルファがカラクリ家で見せた映像のシーンです。ここでは、ヨルクの部屋で見せていましたが。
最も愛する人に3年も知らないところで浮気をされていたって、あまりに残酷ですよね。
次回、夏休みラストかな?
純愛偏差値 未来編 一人称版 17話
《ナミネ》
ヨルクさんがマドンナさんをクレナイ家に泊めた瞬間、私はヨルクさんとの縁談を破談にした。そして、お母様はマドンナさんの家に行き、慰謝料請求をし、マドンナさんのお父様は金融会社から多額の借金をし、ナノハナ家に慰謝料を支払った。
武士に生まれて破談となれば、その先にある未来は、知らない人の妾か使用人。この古い風習は現代でも続いている。気の強いお母様は私の将来を思い、マドンナさんのお母様から多額の慰謝料を支払わせた。その慰謝料は今、私の口座の中にある。マドンナさんがどうなろうが私には関係ない。
私は何度もヨルクさんの浮気を許してきた。
『ナミネ、今夜は同級生の相談に乗るね』
行って欲しくない。でも、それを言えばヨルクさんに束縛って言われてしまう。
『分かりました。明日お会いしましょう』
そして、翌日私はヨルクさんの部屋まで迎えに行った。
『ヨルクさん、迎えに来ましたよ〜!』
するとヨルクさんは、相談相手の同級生と浮気の真っ只中だった。後から、ヨルクさんに『ハメられた』と言われ、私は『一度なら許します。次から夜に相談は乗らないでください』と、ヨルクさんを許したものの、ヨルクさんは学習能力がなく、その後、同じ前世で何度もハメられ、最終的に私は私の人生を守るために、ヨルクさんに別れを告げた。ヨルクさんは、何度も私に謝り、二度と誰も家に入れないと言ったものの、私は結婚後に浮気されたら溜まったもんじゃないと思い、ヨルクさんを見捨てた。そんな前世がいくつか存在していた。
そして、現世でも学習能力のないヨルクさんを私は破談にしたのである。けれど、ある日、第4居間から出た時に、菜の花とかすみ草の花束と手紙が置かれてあった。私は手紙を開いた。
『ナミネへ
あの時、ナミネの涙の意味に気付けなくてごめんね。副委員長とは縁を切ったし、もう誰とも関わらない。間違ってもナミネ以外の誰かを泊めることはもうないし、誓約書のことは全て守る。二度とナミネを裏切らない。
どうか愚かな私を許して欲しい。
やっと、やっとの想いでナミネと交際出来たのに、見捨てないで欲しい。ナミネがいないと生きていけない。
私は副委員長を助けたかっただけで、他意はない。私がいつも見てきたのはナミネだけ。
ナミネ……ナミネ……もう一度、チャンスが欲しい。
ヨルク』
何箇所も滲んだボールペンの文字。
ヨルクさん、泣いているの?
私は、ヨルクさんを見捨てきれず、クレナイ家に走った。
ヨルクさんと、仲直りした直後、セレナールさんはビルから飛び降りたらしい。靴元には遺書があったとか。私はメンバーに連絡をし、セレナールさんが運ばれた月城総合病院へとヨルクさんと向かった。
月城総合病院に着くとセレナールさんは、緊急オペ中だった。セレナールさんのご両親も来ていたし、警察の人も来ていた。
セレナールさんの遺書にはこう書かれていた。
『遺書
私は、メンバーからイジメを受けていた。
どうして力の弱い私が後回しにされなければならなかったのか。私は何度も理解に苦しんだし、何度もみんなに抗議をしたが、『後回しにしないで欲しい』と言えば『後回しになんかしてない』と言われ、『苦痛だ』と言えば、みんなで無視をされ、『やめて欲しい』と言えば、みんなが私を悪者にした。
私は、大勢の武官から襲われた時、わざとカナエに結界をかけられ、逃げられなくなってしまった。
それだけではない。
ヨルクから無理矢理犯され、ラルクからキズモノと罵られ、婚約破棄をされた。
私の人生って何?
どうして、みんな私を苦しめるの?
証拠は封筒の中のメモリーの中にあります。
どうか、今生きている人には公平な処分を下してください。
みんなのこと未来永劫恨みます。
セレナール』
セレナールさんのご両親は、携帯にメモリーを入れ、再生した。その瞬間、セレナールさんのご両親はクレナイ家両親を責め立てた。
でも、何かがおかしい……。これ、ヨルクさんじゃない。
「これ、ヨルクさんじゃないです!」
「うちのヨルクじゃないわ」
ヨルクさんのお母様とほぼ同時だった。
「どう見てもおたくの息子さんじゃないですか!どうして、セレナールをこんな目にあわせたんですか!」
「物分りの悪い親ですこと。あなた方、侮辱罪ってご存知かしら?警察の方、うちの息子と、この映像の人、顔認証してくださるかしら?」
ヨルクさんのお母様は私のお母様並に気が強い。警察の人は、映像の人物とヨルクさんを顔認証した。結果は一致しなかった。何度か試したが一致しなかったのである。
「そんな……どうして……」
「立派な侮辱罪だわ。こんなもの作り上げて、うちの息子を侮辱するだなんて、許せるもんですか!慰謝料はきっちり支払ってもらいます!」
ヨルクさんのお母様は顧問弁護士を通して、書類をセレナールさんのお母様に渡した。慰謝料の金額850万円。セレナールさんのお家にとってはかなり厳しい金額だろう。
「許してください!」
「許しませんわ!払わないなら訴えます」
ヨルクさんのお母様、気が強い。セレナールさんのご両親、その場に泣き崩れちゃった。
けれど、カナエさんのほうは手錠をかけられている。その時、アルフォンス王子がF938を警察に見せた。あれは、王室のものだ。カナエさんは、その場で手錠を外され、逮捕も聴き取りもなくなった。
「そんな……娘がこんな目にあったのに納得いきません!」
「F938を出された以上、国王と同等の命令なため、逮捕は出来ません」
警察の人も流石に、王室の命令となると手も足も出せないのである。その時、落ち武者さんが、警察に皇室のF938を見せた。
えっ、皇室の?どこで手に入れたのだろう。あんなの軍校レベルじゃないともらえないよ。
どうしても王室と皇室では皇室のほうが上。警察は再び、カナエさんを逮捕した。
「カナエは何もしていません!」
「どうして、どうして、カナエをイジメるんだ」
「は?あんたの彼女が姉さんイジメたんだろうがよ。悔しいなら僕以上のことして、てめぇの女救い出せ!」
落ち武者さんって、セリルさんに似ず、気が強いんだ。けれど、ラルク、ラルクは……?
「ラルク!!」
私はラルクに駆け寄りラルクを抱き締めた。
「ラルク、セレナールさんは目覚めるよ!元はと言えば私のせいなんだし、もしも、目覚めなかったら、私が一生ラルクの傍にいる!ラルクと結婚するよ!」
「ナミネのせいなんかじゃない。ヨルクお兄様のせいだ。この二股キズモノ男!」
「ラルク、落ち着いて!私がラルクと結婚して一生ラルクを支えるよ」
私のせいでセレナールさんが、ここまで負いつまるとは予想もしなかった。あの時、ちゃんとヨルクさんを引き止めていれば、こんなことにはならなかったのだろうか。
私の言葉は届かず、ラルクはヨルクさんに熱い飲み物をかけた。私は咄嗟にミネラルウォーターを買ってヨルクさんにかけた。
「ラルク、セレナールさんは助かるよ」
「ヨルクお兄様、飛び降りてください」
ラルク、やっぱり私なんかよりセレナールさんが世界で1番大事なんだ。ラルクのお母様はラルクを殴りはじめた。
「やめなさい!ラルク!」
その時、オペが終わった。オペ室から出てきたセレナールさんは、幸いにも顔に損傷はなかった。セレナールさんは、病室のベッドに移された。
「セレナールのご両親、オペは成功しましたが、残念ながらセレナールは植物状態です。いつ目覚めるかは分かりません。1年後かもしれないし、5年後かもしれない。もしかしたら、一生目覚めないかもしれません。このまま延命治療をするかは、ご家族で決めてください」
「そんな……」
その瞬間、落ち武者さんはヨルクさんを扇子で叩いた。
「顔だけヨルク、あんたが1番悪い!あんたが二股かけなきゃ姉さんは自殺なんかしなかった!」
「悪かったと思ってる」
その瞬間、セレナールさんが目を覚ました。ラルクはセレナールさんに駆け寄った。
「ラルク」
「セレナール先輩、すみません……二度とセレナール先輩を見捨てません」
ラルクは泣きながらセレナールさんに謝っていた。でも、どうなっているの?ラルクは何と引き替えにセレナールさんを目覚めさせたのだろう。
「母さんの寿命があと7年ってどういうこと?誰がこんなことしたの?」
セナ王女は泣き崩れた。
そんな、セイさんのお母様は何の関係もないのに。
「あんたら、FメモリイFメモリイ書いてる場合じゃないな」
その瞬間、落ち武者さんはセナ王女に床に叩きつけられた。
「ここは病院だから、暴れる人は出ていってくれるかな?」
ハル院長の言葉にセナ王女は静まった。私は落ち武者さんに駆け寄った。
「大丈夫ですか?」
「甘えセナがあんなに強いとはな」
「やった!母さんの寿命が元に戻ってる!」
え、どうなってるの?じゃあ、セレナールさんは?私はセレナールさんを見た。普通にラルクと接していた。
「セリルが戻したんだよ」
「え、いったいどうやって」
「それは言えないけどね」
喜んでいいのか分からないけど、セレナールさんは無事だったし、カナエさんもカナコさんが身元引受け人となって迎えに行ったらしい。
これからどうなるのだろう。
私たち、どこへ向かっているのだろう。
私は大きな不安を抱えていた。
……
あとがき。
文字数長くならないように、この辺で切りました。
F938。これは国王または皇帝と同等の力を持ちます。見せられた者は、それに従わなければなりません。
ナミネとヨルク、ラルクとセレナールは元に戻ったけれど、この先どうなっていくのか。
まだまだ続きます。
《ナミネ》
ヨルクさんがマドンナさんをクレナイ家に泊めた瞬間、私はヨルクさんとの縁談を破談にした。そして、お母様はマドンナさんの家に行き、慰謝料請求をし、マドンナさんのお父様は金融会社から多額の借金をし、ナノハナ家に慰謝料を支払った。
武士に生まれて破談となれば、その先にある未来は、知らない人の妾か使用人。この古い風習は現代でも続いている。気の強いお母様は私の将来を思い、マドンナさんのお母様から多額の慰謝料を支払わせた。その慰謝料は今、私の口座の中にある。マドンナさんがどうなろうが私には関係ない。
私は何度もヨルクさんの浮気を許してきた。
『ナミネ、今夜は同級生の相談に乗るね』
行って欲しくない。でも、それを言えばヨルクさんに束縛って言われてしまう。
『分かりました。明日お会いしましょう』
そして、翌日私はヨルクさんの部屋まで迎えに行った。
『ヨルクさん、迎えに来ましたよ〜!』
するとヨルクさんは、相談相手の同級生と浮気の真っ只中だった。後から、ヨルクさんに『ハメられた』と言われ、私は『一度なら許します。次から夜に相談は乗らないでください』と、ヨルクさんを許したものの、ヨルクさんは学習能力がなく、その後、同じ前世で何度もハメられ、最終的に私は私の人生を守るために、ヨルクさんに別れを告げた。ヨルクさんは、何度も私に謝り、二度と誰も家に入れないと言ったものの、私は結婚後に浮気されたら溜まったもんじゃないと思い、ヨルクさんを見捨てた。そんな前世がいくつか存在していた。
そして、現世でも学習能力のないヨルクさんを私は破談にしたのである。けれど、ある日、第4居間から出た時に、菜の花とかすみ草の花束と手紙が置かれてあった。私は手紙を開いた。
『ナミネへ
あの時、ナミネの涙の意味に気付けなくてごめんね。副委員長とは縁を切ったし、もう誰とも関わらない。間違ってもナミネ以外の誰かを泊めることはもうないし、誓約書のことは全て守る。二度とナミネを裏切らない。
どうか愚かな私を許して欲しい。
やっと、やっとの想いでナミネと交際出来たのに、見捨てないで欲しい。ナミネがいないと生きていけない。
私は副委員長を助けたかっただけで、他意はない。私がいつも見てきたのはナミネだけ。
ナミネ……ナミネ……もう一度、チャンスが欲しい。
ヨルク』
何箇所も滲んだボールペンの文字。
ヨルクさん、泣いているの?
私は、ヨルクさんを見捨てきれず、クレナイ家に走った。
ヨルクさんと、仲直りした直後、セレナールさんはビルから飛び降りたらしい。靴元には遺書があったとか。私はメンバーに連絡をし、セレナールさんが運ばれた月城総合病院へとヨルクさんと向かった。
月城総合病院に着くとセレナールさんは、緊急オペ中だった。セレナールさんのご両親も来ていたし、警察の人も来ていた。
セレナールさんの遺書にはこう書かれていた。
『遺書
私は、メンバーからイジメを受けていた。
どうして力の弱い私が後回しにされなければならなかったのか。私は何度も理解に苦しんだし、何度もみんなに抗議をしたが、『後回しにしないで欲しい』と言えば『後回しになんかしてない』と言われ、『苦痛だ』と言えば、みんなで無視をされ、『やめて欲しい』と言えば、みんなが私を悪者にした。
私は、大勢の武官から襲われた時、わざとカナエに結界をかけられ、逃げられなくなってしまった。
それだけではない。
ヨルクから無理矢理犯され、ラルクからキズモノと罵られ、婚約破棄をされた。
私の人生って何?
どうして、みんな私を苦しめるの?
証拠は封筒の中のメモリーの中にあります。
どうか、今生きている人には公平な処分を下してください。
みんなのこと未来永劫恨みます。
セレナール』
セレナールさんのご両親は、携帯にメモリーを入れ、再生した。その瞬間、セレナールさんのご両親はクレナイ家両親を責め立てた。
でも、何かがおかしい……。これ、ヨルクさんじゃない。
「これ、ヨルクさんじゃないです!」
「うちのヨルクじゃないわ」
ヨルクさんのお母様とほぼ同時だった。
「どう見てもおたくの息子さんじゃないですか!どうして、セレナールをこんな目にあわせたんですか!」
「物分りの悪い親ですこと。あなた方、侮辱罪ってご存知かしら?警察の方、うちの息子と、この映像の人、顔認証してくださるかしら?」
ヨルクさんのお母様は私のお母様並に気が強い。警察の人は、映像の人物とヨルクさんを顔認証した。結果は一致しなかった。何度か試したが一致しなかったのである。
「そんな……どうして……」
「立派な侮辱罪だわ。こんなもの作り上げて、うちの息子を侮辱するだなんて、許せるもんですか!慰謝料はきっちり支払ってもらいます!」
ヨルクさんのお母様は顧問弁護士を通して、書類をセレナールさんのお母様に渡した。慰謝料の金額850万円。セレナールさんのお家にとってはかなり厳しい金額だろう。
「許してください!」
「許しませんわ!払わないなら訴えます」
ヨルクさんのお母様、気が強い。セレナールさんのご両親、その場に泣き崩れちゃった。
けれど、カナエさんのほうは手錠をかけられている。その時、アルフォンス王子がF938を警察に見せた。あれは、王室のものだ。カナエさんは、その場で手錠を外され、逮捕も聴き取りもなくなった。
「そんな……娘がこんな目にあったのに納得いきません!」
「F938を出された以上、国王と同等の命令なため、逮捕は出来ません」
警察の人も流石に、王室の命令となると手も足も出せないのである。その時、落ち武者さんが、警察に皇室のF938を見せた。
えっ、皇室の?どこで手に入れたのだろう。あんなの軍校レベルじゃないともらえないよ。
どうしても王室と皇室では皇室のほうが上。警察は再び、カナエさんを逮捕した。
「カナエは何もしていません!」
「どうして、どうして、カナエをイジメるんだ」
「は?あんたの彼女が姉さんイジメたんだろうがよ。悔しいなら僕以上のことして、てめぇの女救い出せ!」
落ち武者さんって、セリルさんに似ず、気が強いんだ。けれど、ラルク、ラルクは……?
「ラルク!!」
私はラルクに駆け寄りラルクを抱き締めた。
「ラルク、セレナールさんは目覚めるよ!元はと言えば私のせいなんだし、もしも、目覚めなかったら、私が一生ラルクの傍にいる!ラルクと結婚するよ!」
「ナミネのせいなんかじゃない。ヨルクお兄様のせいだ。この二股キズモノ男!」
「ラルク、落ち着いて!私がラルクと結婚して一生ラルクを支えるよ」
私のせいでセレナールさんが、ここまで負いつまるとは予想もしなかった。あの時、ちゃんとヨルクさんを引き止めていれば、こんなことにはならなかったのだろうか。
私の言葉は届かず、ラルクはヨルクさんに熱い飲み物をかけた。私は咄嗟にミネラルウォーターを買ってヨルクさんにかけた。
「ラルク、セレナールさんは助かるよ」
「ヨルクお兄様、飛び降りてください」
ラルク、やっぱり私なんかよりセレナールさんが世界で1番大事なんだ。ラルクのお母様はラルクを殴りはじめた。
「やめなさい!ラルク!」
その時、オペが終わった。オペ室から出てきたセレナールさんは、幸いにも顔に損傷はなかった。セレナールさんは、病室のベッドに移された。
「セレナールのご両親、オペは成功しましたが、残念ながらセレナールは植物状態です。いつ目覚めるかは分かりません。1年後かもしれないし、5年後かもしれない。もしかしたら、一生目覚めないかもしれません。このまま延命治療をするかは、ご家族で決めてください」
「そんな……」
その瞬間、落ち武者さんはヨルクさんを扇子で叩いた。
「顔だけヨルク、あんたが1番悪い!あんたが二股かけなきゃ姉さんは自殺なんかしなかった!」
「悪かったと思ってる」
その瞬間、セレナールさんが目を覚ました。ラルクはセレナールさんに駆け寄った。
「ラルク」
「セレナール先輩、すみません……二度とセレナール先輩を見捨てません」
ラルクは泣きながらセレナールさんに謝っていた。でも、どうなっているの?ラルクは何と引き替えにセレナールさんを目覚めさせたのだろう。
「母さんの寿命があと7年ってどういうこと?誰がこんなことしたの?」
セナ王女は泣き崩れた。
そんな、セイさんのお母様は何の関係もないのに。
「あんたら、FメモリイFメモリイ書いてる場合じゃないな」
その瞬間、落ち武者さんはセナ王女に床に叩きつけられた。
「ここは病院だから、暴れる人は出ていってくれるかな?」
ハル院長の言葉にセナ王女は静まった。私は落ち武者さんに駆け寄った。
「大丈夫ですか?」
「甘えセナがあんなに強いとはな」
「やった!母さんの寿命が元に戻ってる!」
え、どうなってるの?じゃあ、セレナールさんは?私はセレナールさんを見た。普通にラルクと接していた。
「セリルが戻したんだよ」
「え、いったいどうやって」
「それは言えないけどね」
喜んでいいのか分からないけど、セレナールさんは無事だったし、カナエさんもカナコさんが身元引受け人となって迎えに行ったらしい。
これからどうなるのだろう。
私たち、どこへ向かっているのだろう。
私は大きな不安を抱えていた。
……
あとがき。
文字数長くならないように、この辺で切りました。
F938。これは国王または皇帝と同等の力を持ちます。見せられた者は、それに従わなければなりません。
ナミネとヨルク、ラルクとセレナールは元に戻ったけれど、この先どうなっていくのか。
まだまだ続きます。
純愛偏差値 未来編 一人称版 16話
《ヨルク》
4日前、副委員長をクレナイ家に連れて来て話を聞いて客間に泊めた後、ナミネが泣いていたことを思い出し、何度かナミネにメールをしたけど、ナミネから返信はなかった。
この時点では私はナミネの行った『縁談は白紙に戻す』は、あの時私に苛立って言ったことで本気だとは思っていなかった。
けれど、5日後、副委員長からメールが来た。
『ヨルクの彼女の母親が来て、娘が婚約破棄して自殺未遂したとか、病気の症状が悪化した云々言って7000万円の慰謝料を請求されて、弁護士雇ったけど武士の婚約破棄だと妥当な金額と言われ相手にもされず、父さんは金融会社から多額の借金をして無理矢理払わされたわ!よくも私の人生奪ってくれたわね!あなたに無理矢理犯されたってクラス中に言いふらしてやる!』
婚約破棄……?慰謝料……?どういうこと……?ナミネは本当に私との縁談を白紙に戻したの?けれど、ナノハナ家の母親が動いたということはそういうことなのだろう。
武士の縁談は一般人の縁談とは違う。一度縁談がダメになれば、二度目の縁談が成功しても『キズモノだから妾になれ』とか『キズモノだから使用人として働け』という風習が現代でも当たり前で、武士が破談になった時の慰謝料は女性が1人でも生きていけるため、かなりの額なのである。ゆえに、7000万円は妥当だろう。
けれど、私は知らないうちにナミネから縁談を白紙にされていたことに極度に慌てた。あの時、ちゃんとナミネと話し合うべきだった。今思えば、ナミネが落ち武者さんを泊めると言った時は、私は反対したのに対して、私は副委員長をすんなり泊めた。ナミネが怒るのも無理ないかもしれない。
クラスメイトから大量のメールが入る中、リリカお姉様が入って来た。
「ヨルク、お客様よ。何やら、ラルクから婚約破棄されたらしいわ」
え、セレナールさん……と、落ち武者さん……?入って来たかと思うと、私はセレナールさんからミネラルウォーターをかけられた。
「どうしてくれるのよ!ラルクにナミネを放っておけないから私とは別れてナミネと交際するって言われたじゃないの!」
「あのさ、話すのは言いけど水零したり、ここで暴れないでくれるかしら?それに、だれと交際するかはラルクの意思でセレナールの意思ではないわ!」
「へえ、弟も弟なら姉も姉だな。なあ、顔だけヨルク、9000万円の慰謝料払うか、警察行くか選べ!」
そういうと落ち武者さんは、私にある映像を見せた。え、カラー?最近のものなのだろうか。いや、違う、見たこともない映像で全く記憶にない。私が抵抗するセレナールさんを襲っているだなんて……いったいいつ……?私はずっとナミネが好きだった。それに私はいくら何でも無理矢理人を襲ったりしない。
「こんなはったりで私を脅すと言うのか?それに、ラルクとセレナールさんは交際もしてなければ婚約もしていない。そんな状況で慰謝料なんか請求されても困る」
「へえ、あんたまだ状況分かってないようだな。姉さんのカップル日記もあんたのカップル日記もパートナーが退会してんだよ。そして、新たに強気なナミネとラルクがカップル日記をしている。自分で確認してみろよ」
私は携帯を開き、カップル日記を見た。するとナミネは退会して、ラルクと新たにカップル日記をはじめていた。
『ラルクと交際はじめました。今はナノハナ家で茶道をしています』
嘘……だよね……。やっとナミネと気持ちを確かめ合ったばかりなのに、私のした些細なことで、周りの人生がめちゃくちゃになってしまったというのか?どうして……どうして……。けれど、そんなことよりも、私はナミネを一瞬にして失ってしまったことに酷くショックを受けた。
「顔だけヨルク、あんた、世の中甘く見てないか?僕が起こした裁判で勝てたヤツは誰1人いない。それから、姉さん襲ってる映像もあんたらが違うと言っても警察はどうだ?こんなハッキリした映像、警察は信じるに決まってんだろ!」
「裁判はともかくとして、警察に連れて行きたければ行けば?顔認証通るかしらね?」
顔認証……?どういうことだろう。細工でもしてあるのだろうか。
「へえ、やっぱり家族ってヤツだな。じゃ、慰謝料請求ってことで」
「あなたたち馬鹿なの?警察だの慰謝料だの、たかだか失恋で甘えてんじゃないわよ!」
リリカお姉様が怒鳴った時、セリルさんが入って来た。リリカお姉様は徹底している。私1人では今頃警察に連れて行かれていたかもしれない。
「セレナール、セルファ何やってるのかな?」
「セリル呼び出すなんて、あんた随分卑怯な真似してくれるな」
「あら、卑怯なのはどっちかしら?」
その時、副委員長が入って来た。
「私、ヨルクの子供妊娠したの」
副委員長はいきなり、二重線の入った妊娠検査薬を私に見せた。
「妊娠までさせて最低ね。これでこの馬鹿女の責任取らないといけないわね」
セレナールさんは私を嘲笑った。
妊娠……?そんなはずはない。あの日は別々の部屋で寝て何もなかった。
「姉さん、セリルも来たし、もう諦めよう」
「何言ってるの!セルファ!私はヨルクのせいで人生台無しにされたのよ!責任取ってもらうのが筋じゃない!」
私のせい……なのだろうか。私が副委員長を泊めて、ナミネは私との縁談を破談にして、副委員長の父親はナノハナ家に慰謝料を払い、セレナールさんはラルクを失った。更には副委員長が妊娠したとまで言っている。どうして、私個人のしたことが周りの人生を狂わせてしまうのだろう。私は何も分からずにいた。
その時、ナミネからメールが来た。
『ヨルクさんとは破談にしましたし、ハッキリ言ってこういうの迷惑です!次にしたら、お二方を通報します!私、ラルクと交際したんです。もうそっとしておいて下さい』
私は添付ファイルを開いた。すると、服を着ていないだろう私と副委員長が同じ布団に入っていた。
いったいどういうこと?副委員長は私の服を一度脱がし、その後再び着せたのか?いったいどうして?
「ねえ、副委員長、これどういうこと?彼女にこういうの送らないでくれる?迷惑なんだけど」
「ヨルクから誘ってきたんじゃない。責任取らないなら、この画像、クラスメイトにばら撒くわ!ヨルクに無理矢理妊娠させられたって」
「やれば?それで副委員長の気が済むならやれば?だいたい妊娠なんて、あの日から2ヶ月経ってないと分からないんだから!」
「顔だけヨルク、あんた馬鹿か?9日もすりゃ妊娠検査薬で分かるんだよ!その妊娠検査薬がメギツネのものなら顔だけヨルクの子供ってことになるけどね?でも、今の時代、こういうのフェアリーメルメルで簡単に購入出来るけどね?」
フェアリーメルメル……。副委員長はそこで買ったのだろうか。あのサイトは色んなものが安値で販売されている。妊娠検査薬も、彼氏に結婚をさせるために買う女性がいることをクラスで耳にしたこともある。でも、この線薄い。これが本当に副委員長のものなら副委員長は化学流産する。
「これ、副委員長のものなんだよね?」
「ええ」
「だとしたら、これ、妊娠してないよ」
「してるわ!二重線じゃない!」
「でも、線薄いよね?薄い線はいくら二重線でも、妊娠する前に流産するんだよ」
化学流産。アメリカ村では正式に流産と認められているが、妖精村では流産とは認められていない。日本村もそうだ。『このまま日が経てば妊娠する予定』というのは次に生理が来るかもしれない。これを俗に化学流産と言う。
「えっ……あ、これ私のじゃなかった。今度持ってくる」
「今度じゃなくて、今確かめてくれるかしら?」
リリカお姉様は使用人に買ってこさせた妊娠検査薬を副委員長に渡した。
「い、今は無理です」
「じゃあ、妊娠してないってことで、脅迫罪の名目でもあなたのご両親に追加で慰謝料もらうわ!」
「待ってください!妊娠はしています!」
「ねえ、副委員長いい加減にして!私、副委員長が困ってるから相談に乗ったのに、どうして私の人間関係めちゃくちゃにするの!もういっそホームレスになって!」
「はい、そこまで!」
妊娠してるしていない云々の口論をしていると、セリルさんが、この場にいるみんなにフェアリーングをかけた。
「タレリナ、妊娠は本当かな?」
「いいえ、嘘です」
「どうしてそんな嘘ついたのかな?」
「ヨルクと一緒になれなければ生きている意味がないからです!」
ふざけないで!そうやって嘘ついて私の同情買ってナミネと別れさせられたかと思うと、めちゃくちゃ腹が立つ。私がどんな思いでナミネと交際してたのか。
「どうしてヨルクと一緒になれなければ生きている意味がないのかな?」
「ヨルクがどうしようもなく好きだから!でも、ヨルクはいつもあのナミネって子と交際してた。だから、遠い遠い前世も同じ手を使って別れさせたわ!」
「同じ手って?」
「ヨルクの家に行ってヨルクの布団に入り込んで朝まで過ごしていたら、ナミネって子が迎えに来て私たちを見るなり、ここを出てヨルクに別れを告げたわ。あの時は本当にヨルクの子供妊娠したからヨルクと結婚出来たけど、現代は変わったから」
そんな……。現世だけでなく、副委員長は前世でも私をハメたのか。そして、ナミネとの仲を引き裂いて私と結婚までしていただなんて汚らわしい。ナミネが破談までしたのは、ナミネもその時のことを覚えていたからだろうか。あの時の二の舞になるのがいやで、私が副委員長を泊めると言った瞬間に破談を口にしたのだろうか。だとすれば、ちゃんとナミネの意見を聞いてから決断するべきだった。
もう一度……もう一度……、チャンスが欲しい……。
「今回はヨルクとの子供は妊娠していないみたいだけど、このような形で、ヨルクがナミネと別れてタレリナの気持ちは晴れたかな?仮に、ヨルクの子供を妊娠していてヨルクと一緒になれても幸せになれたと思うかな?」
「いいえ、逆に多額の慰謝料を請求され、親戚中に言いふらされ、親戚がクビになり、私の家も親戚ももうすぐホームレスになります。こんなことなら、彼女がいるヨルクに近付かなければ良かったと後悔しています。もし、ヨルクの子供も妊娠していたとしても、ヨルクはあの時みたいに、ナミネを忘れられず、結婚後ことあるごとに泣いていたと思います。どの道、私は幸せにはなれないんです」
「こうなってしまったからには、後戻りは出来ないよね。まずは、生活保護を申請して、アパートに移り住むしかないと思うな。ちなみに今回はヨルクに手を出してない?」
「分かりました。すぐに申請します。はい、ヨルクには何もしていません。こうやって生きていますので」
本当に何なの!私の幸せ返して!私をイジワルして結婚したとか気持ち悪すぎる。こんな人と友達だと思って接していただなんて。あの時、ナミネが泣きながら私に破談を言い渡した時に気付くべきだった。もう何もかも遅い。
その時、セリルさんは手を2回パチンと鳴らした。
「もう一度聞くね。タレリナはどうして生きている意味がないと思うのかな?」
「自分には何もないからです。俳優のオーディション受けても受からずキュート女優を勧められ、友達と信じていた人からは何度も裏切られ、誰からも愛されない。私はヨルクと過ごしていた時間が全てでした」
「人には向き不向きがあるからね。でも、オーディションだって、何度も受け続けたらいつかは受かるかもしれない。それに、親御さんが慰謝料を支払ったのはタレリナへの愛情じゃないかな?いくらヨルクを好きでもヨルクの人生壊しちゃいけないよね。もうヨルクにイタズラしないって約束出来そう?」
「はい、もうこれ以上慰謝料は払えませんし、結局無理矢理ヨルクと結婚しても、私は苦しみ続けました。もう二度とヨルクに危害は加えません」
今更……今更、そんなこと約束されても遅すぎる。私の人生が終わってしまった。勝手に私を陥れて勝手にどん底に落ちて、本当何なの!
私は副委員長への苛立ちが収まらなかった。
「で、セルファは今後もセレナールに協力するのかな?」
「姉さんがイジメられてるって聞いたから協力したし、今回も流石に男を顔だけヨルクの彼女に取られるなんて、可哀想だと思ったから力貸したけど、何かもう面倒くさくなってきた。今後は姉さんの好きにすればいいと思う」
「セレナール、ラルクはセレナールではなく、ナミネを選んだんだよ。いくらセレナールがヨルクのせいにしても、ラルクの意思は変えられないよね」
「けれど、こんなのあんまりじゃない!ヨルクがナミネを裏切らなければ、私はラルクにフラれることはなかったわ!死ねばいいのに!死んじゃえ!」
そっか。そうだよね。私など生きている価値もない。もうナミネは戻ってこないのだろうか。失いたくない。でも、セレナールさんの人生まで壊して幸せを求めるのも狡い気がする。
どうして、どうして、些細なことが取り返しのつかないことになってしまったのだろう。
いつしか私は部屋に1人になっていた。私は何度も何度もナミネにメールを送り続けた。
ナミネのカップル日記には、ラルクとの仲睦まじそうな投稿がたくさんしてある。
ナミネ……お願いだから戻って来て……私を捨てないで……。
8月も半ばとなっていた。
あの後、ナノハナ家のお母様が、誓約書を持ってクレナイ家に来たらしい。ナミネはミドリさんを失ってから、かなり病んだらしい。人が変わったかのように。ナノハナ家の家族も、深い闇を抱え続けるナミネを心配していたそうだ。そんなナミネを私は安易に傷付けてしまった。
誓約書にはこう書かれていた。
『●二度とナミネを自殺未遂に追い込まない。これを破れば2億円の慰謝料を払う。
●ナミネが死ねば10億円の慰謝料を支払い、ヨルクはクレナイ家から破門され1人で学生生活を送る。
●二度とナミネ以外の女性を泊めさせない。これを破れば5000万円の慰謝料を支払う。
●口論になればナミネの意見を聞く。これを破れば5000万円の慰謝料を支払う。
●ミドリがいなくなりナミネは普通ではなくなったゆえ、他の女性との一切の関わりを禁ずる。これを破れば3500万円の慰謝料を支払う。
●どんな理不尽なことであれナミネの自由にさせる。ナミネのすることには一切口を挟まない。これを破れば2000万円の慰謝料を支払う。
●今回、他の女性を泊めたことは浮気及び裏切りと見なし、ヨルクはキズモノとなりクレナイ家は3ヶ月お武家連盟から外し、1500万円の慰謝料をナノハナ家に支払う。
以上』
厳しいものばかりだけど、サインをせざるを得なかった。いくら何もなくても、泊めた時点でミナクお兄様と同じ扱いになってしまう。私が迂闊だった。
リリカお姉様によると、ナノハナ家両親は、ナミネと今後交際をするなら、ナミネは普通じゃないから、傷つきやすいから、全ての女性と一切の関わりを絶たないと交際は成り立たないだろうとも言っていたらしい。それでも、少しでもナミネと復縁出来る可能性があるなら私は全ての女と縁を切ってナミネだけを大切にしたいと思っていた。
その後、私はお武家全体に婚約者がいるのに浮気をしたキズモノと言いふらされ、毎日お母様から『よくも世間体を悪くしてくれた。恥ずかしくて外も歩けない』と暴力を振られ続けた。
私は、お母様から暴力を振られ続け、生きてきた。
副委員長が生活保護を受けられ、アパートに移り住んだ頃、何度も謝罪のメールが来たが私は一通も返すことはなかった。
ナノハナ家に誓約書と慰謝料を持って謝罪に行った日、第1母屋の第4居間からナミネとラルクの声が聞こえてきた。私は、扉を少し開けて中の様子を伺った。
『ラルク、私、誰からも愛されないよ。ヨルクさんは小さい頃から私に縁談持って来てたみたいだけど、結局私より他の女選んで家に連れ込んだし、私のこと遊びだったんだね』
『ヨルクお兄様は口先だけの約束しかしないからな。ナミネのことより、あの副委員長を交際相手と決めたんだよ。そうでないと、あの時、何がなんでも彼女であるナミネを引き留めただろ?』
違う……。そうじゃない……。あの時は何も分からなかった。ナミネが言おうとしていること全然分からなかった。私が大切なのはナミネだけ。
『そうだね。私が自殺未遂した時、ヨルクさん来なかったもんね。ヨルクさんて彼女死んでもいい人なんだ。別れてよかったよ。あんな口先だけの浮気男と付き合ってたら精神持たないよ。でも、ラルクはセレナールさんのこといいの?』
『ヨルクお兄様がナミネを守らないなら僕がナミネを守る。僕が一生ナミネを愛する。あんなキズモノなんか放っておけ。ナミネが大切なら絶対他の女なんか連れ込まない!ナミネは騙されてたんだよ』
違う……。どうしたら信じてくれるの?キズモノの私はナミネにとってもう用済みなのだろうか。決して軽い気持ちで告白したわけではないのに。小さい頃からナミネのことが好きで好きで仕方なくて縁談を持ってき続けてたのに。信用を失った私はナミネから不審者扱いをされていた。
『何度もメール来るんだけど本当ウザイ。二股してよくメール出来るよね。同じ布団で裸で抱き合ってる写真送って来といて自分で恥ずかしいとも思わないのかな。私何度もヨルクさんに同じことされたから、本当疲れたよ。最初のほうは許してたけど、流石に自分の人生考えると後のほうは見切り付けちゃった。ヨルクさんて二股好きだよね。罰したいくらいムカつく』
『ヨルクお兄様は二股の塊だからな。泣いて頼る女入れば、すぐに相談乗るとか言って家に連れ込んで、朝はいつもああだもんな。正直、弟としてめちゃくちゃ恥ずかしい。ナミネが望むなら罰するよ』
私は二股などしていない。全部全部ハメられたんだ。けれど、今更言ってももう信じてはもらえないだろう。ナミネの中で私は二股男なんだ。あの時、泣きながら破談を迫ったナミネの話を少しでも聞くべきだった。どうして、あの時、彼女であるナミネを優先出来なかったのだろう。ナミネは病気で苦しんでいるのに。いざ、ナミネと交際出来たら安心しきって、前が見えなくなっていた自分を私は呪った。
『ラルク、私、ラルクさえいればそれでいいよ。他の人はもう信じられない。私が現世に耐えきれなくなったら2人だけで転生しようね』
『ああ、そうする。どこまでもナミネに着いていく。死ぬ時も一緒だ。一生ナミネを愛してる』
『私も愛してるよ、ラルク』
抱き締め合うナミネとラルクを私は見ていられなかった。ナミネの信用を、ナミネごと失った私は泣きながら、廊下に菜の花とかすみ草の花束と手紙を置いてナノハナ家を出た。
翌日、私がスーパーに買い出しに行って部屋に戻って来ると、ナミネが畳の上で寝ていた。
「ナミネ!」
私はナミネに駆け寄った。
「ナミネ、来てたの?」
私はナミネをソファーに寝かせた。
「ヨルクさん……」
ナミネはまた眠ってしまった。少しするとうなされはじめた。
「ヨルクさん……どうして浮気したの」
「ナミネ、ごめんね……でも、ハメられたんだ」
「ヨルクさん……どうして裏切ったの」
「ヨルクさん……浮気しないで」
「ヨルクさんが浮気したら死んじゃう……」
「ヨルクさん……その人と行っちゃダメ」
「ヨルクさん……どうして束縛だなんて言うの」
「ヨルクさん……今その人と行ったら永遠の別れだよ」
どうしたらいいのだろう。流石にこれだけの前世を覚えていない。でも、そんなにも私はハメられていたのだろうか。それを浮気と信じ込みナミネが私に別れを告げ、仲直り出来なかった遠い遠い過去があるとするなら、もはや自分を恨むしかなかった。
その時、ナミネは目を覚ました。
「ナミネ!」
「ヨルクさん、一度だけチャンスを与えます。でも、一度だけです。あの誓約書の項目、どれか1つでも破れば本当に破談にします。もうヨルクさんのたくさんのたくさんの浮気に苦しみたくないんです」
「ナミネ、浮気してない!ハメられた!」
「ヨルクさん、連れ込んだ時点でハメられたも浮気のうちなんです。最終的に浮気をしたなら、それは浮気なんです」
そっか。そうだよね。自業自得というわけか。『相談に乗って欲しい』そんな言葉を信じる自分が1番悪いのか。守りの弱さを指摘され、私はナミネの正論に自分が押し潰されていた。
「ナミネ、ごめん!二度とナミネを裏切らないし、誓約書の項目は全て守る!だから、もう一度交際して欲しい!」
私は泣きながら懇願をした。
「分かりました」
その時、リリカお姉様が入って来た。
「セレナールがビルの屋上から飛び降りたそうよ」
「えっ……」
……
あとがき。
長くなってしまったので一旦区切ります。
純愛偏差値は悲しい話なんです。1度書いた走り書きの内容はどうしても変えられないものがありますね。
一人称版のみのオリジナルが多いですが、それでも、走り書きで通ってきた内容と類似した内容を入れないと進めないので。
この先も、ずっとずっと悲しい話が続きます。
《ヨルク》
4日前、副委員長をクレナイ家に連れて来て話を聞いて客間に泊めた後、ナミネが泣いていたことを思い出し、何度かナミネにメールをしたけど、ナミネから返信はなかった。
この時点では私はナミネの行った『縁談は白紙に戻す』は、あの時私に苛立って言ったことで本気だとは思っていなかった。
けれど、5日後、副委員長からメールが来た。
『ヨルクの彼女の母親が来て、娘が婚約破棄して自殺未遂したとか、病気の症状が悪化した云々言って7000万円の慰謝料を請求されて、弁護士雇ったけど武士の婚約破棄だと妥当な金額と言われ相手にもされず、父さんは金融会社から多額の借金をして無理矢理払わされたわ!よくも私の人生奪ってくれたわね!あなたに無理矢理犯されたってクラス中に言いふらしてやる!』
婚約破棄……?慰謝料……?どういうこと……?ナミネは本当に私との縁談を白紙に戻したの?けれど、ナノハナ家の母親が動いたということはそういうことなのだろう。
武士の縁談は一般人の縁談とは違う。一度縁談がダメになれば、二度目の縁談が成功しても『キズモノだから妾になれ』とか『キズモノだから使用人として働け』という風習が現代でも当たり前で、武士が破談になった時の慰謝料は女性が1人でも生きていけるため、かなりの額なのである。ゆえに、7000万円は妥当だろう。
けれど、私は知らないうちにナミネから縁談を白紙にされていたことに極度に慌てた。あの時、ちゃんとナミネと話し合うべきだった。今思えば、ナミネが落ち武者さんを泊めると言った時は、私は反対したのに対して、私は副委員長をすんなり泊めた。ナミネが怒るのも無理ないかもしれない。
クラスメイトから大量のメールが入る中、リリカお姉様が入って来た。
「ヨルク、お客様よ。何やら、ラルクから婚約破棄されたらしいわ」
え、セレナールさん……と、落ち武者さん……?入って来たかと思うと、私はセレナールさんからミネラルウォーターをかけられた。
「どうしてくれるのよ!ラルクにナミネを放っておけないから私とは別れてナミネと交際するって言われたじゃないの!」
「あのさ、話すのは言いけど水零したり、ここで暴れないでくれるかしら?それに、だれと交際するかはラルクの意思でセレナールの意思ではないわ!」
「へえ、弟も弟なら姉も姉だな。なあ、顔だけヨルク、9000万円の慰謝料払うか、警察行くか選べ!」
そういうと落ち武者さんは、私にある映像を見せた。え、カラー?最近のものなのだろうか。いや、違う、見たこともない映像で全く記憶にない。私が抵抗するセレナールさんを襲っているだなんて……いったいいつ……?私はずっとナミネが好きだった。それに私はいくら何でも無理矢理人を襲ったりしない。
「こんなはったりで私を脅すと言うのか?それに、ラルクとセレナールさんは交際もしてなければ婚約もしていない。そんな状況で慰謝料なんか請求されても困る」
「へえ、あんたまだ状況分かってないようだな。姉さんのカップル日記もあんたのカップル日記もパートナーが退会してんだよ。そして、新たに強気なナミネとラルクがカップル日記をしている。自分で確認してみろよ」
私は携帯を開き、カップル日記を見た。するとナミネは退会して、ラルクと新たにカップル日記をはじめていた。
『ラルクと交際はじめました。今はナノハナ家で茶道をしています』
嘘……だよね……。やっとナミネと気持ちを確かめ合ったばかりなのに、私のした些細なことで、周りの人生がめちゃくちゃになってしまったというのか?どうして……どうして……。けれど、そんなことよりも、私はナミネを一瞬にして失ってしまったことに酷くショックを受けた。
「顔だけヨルク、あんた、世の中甘く見てないか?僕が起こした裁判で勝てたヤツは誰1人いない。それから、姉さん襲ってる映像もあんたらが違うと言っても警察はどうだ?こんなハッキリした映像、警察は信じるに決まってんだろ!」
「裁判はともかくとして、警察に連れて行きたければ行けば?顔認証通るかしらね?」
顔認証……?どういうことだろう。細工でもしてあるのだろうか。
「へえ、やっぱり家族ってヤツだな。じゃ、慰謝料請求ってことで」
「あなたたち馬鹿なの?警察だの慰謝料だの、たかだか失恋で甘えてんじゃないわよ!」
リリカお姉様が怒鳴った時、セリルさんが入って来た。リリカお姉様は徹底している。私1人では今頃警察に連れて行かれていたかもしれない。
「セレナール、セルファ何やってるのかな?」
「セリル呼び出すなんて、あんた随分卑怯な真似してくれるな」
「あら、卑怯なのはどっちかしら?」
その時、副委員長が入って来た。
「私、ヨルクの子供妊娠したの」
副委員長はいきなり、二重線の入った妊娠検査薬を私に見せた。
「妊娠までさせて最低ね。これでこの馬鹿女の責任取らないといけないわね」
セレナールさんは私を嘲笑った。
妊娠……?そんなはずはない。あの日は別々の部屋で寝て何もなかった。
「姉さん、セリルも来たし、もう諦めよう」
「何言ってるの!セルファ!私はヨルクのせいで人生台無しにされたのよ!責任取ってもらうのが筋じゃない!」
私のせい……なのだろうか。私が副委員長を泊めて、ナミネは私との縁談を破談にして、副委員長の父親はナノハナ家に慰謝料を払い、セレナールさんはラルクを失った。更には副委員長が妊娠したとまで言っている。どうして、私個人のしたことが周りの人生を狂わせてしまうのだろう。私は何も分からずにいた。
その時、ナミネからメールが来た。
『ヨルクさんとは破談にしましたし、ハッキリ言ってこういうの迷惑です!次にしたら、お二方を通報します!私、ラルクと交際したんです。もうそっとしておいて下さい』
私は添付ファイルを開いた。すると、服を着ていないだろう私と副委員長が同じ布団に入っていた。
いったいどういうこと?副委員長は私の服を一度脱がし、その後再び着せたのか?いったいどうして?
「ねえ、副委員長、これどういうこと?彼女にこういうの送らないでくれる?迷惑なんだけど」
「ヨルクから誘ってきたんじゃない。責任取らないなら、この画像、クラスメイトにばら撒くわ!ヨルクに無理矢理妊娠させられたって」
「やれば?それで副委員長の気が済むならやれば?だいたい妊娠なんて、あの日から2ヶ月経ってないと分からないんだから!」
「顔だけヨルク、あんた馬鹿か?9日もすりゃ妊娠検査薬で分かるんだよ!その妊娠検査薬がメギツネのものなら顔だけヨルクの子供ってことになるけどね?でも、今の時代、こういうのフェアリーメルメルで簡単に購入出来るけどね?」
フェアリーメルメル……。副委員長はそこで買ったのだろうか。あのサイトは色んなものが安値で販売されている。妊娠検査薬も、彼氏に結婚をさせるために買う女性がいることをクラスで耳にしたこともある。でも、この線薄い。これが本当に副委員長のものなら副委員長は化学流産する。
「これ、副委員長のものなんだよね?」
「ええ」
「だとしたら、これ、妊娠してないよ」
「してるわ!二重線じゃない!」
「でも、線薄いよね?薄い線はいくら二重線でも、妊娠する前に流産するんだよ」
化学流産。アメリカ村では正式に流産と認められているが、妖精村では流産とは認められていない。日本村もそうだ。『このまま日が経てば妊娠する予定』というのは次に生理が来るかもしれない。これを俗に化学流産と言う。
「えっ……あ、これ私のじゃなかった。今度持ってくる」
「今度じゃなくて、今確かめてくれるかしら?」
リリカお姉様は使用人に買ってこさせた妊娠検査薬を副委員長に渡した。
「い、今は無理です」
「じゃあ、妊娠してないってことで、脅迫罪の名目でもあなたのご両親に追加で慰謝料もらうわ!」
「待ってください!妊娠はしています!」
「ねえ、副委員長いい加減にして!私、副委員長が困ってるから相談に乗ったのに、どうして私の人間関係めちゃくちゃにするの!もういっそホームレスになって!」
「はい、そこまで!」
妊娠してるしていない云々の口論をしていると、セリルさんが、この場にいるみんなにフェアリーングをかけた。
「タレリナ、妊娠は本当かな?」
「いいえ、嘘です」
「どうしてそんな嘘ついたのかな?」
「ヨルクと一緒になれなければ生きている意味がないからです!」
ふざけないで!そうやって嘘ついて私の同情買ってナミネと別れさせられたかと思うと、めちゃくちゃ腹が立つ。私がどんな思いでナミネと交際してたのか。
「どうしてヨルクと一緒になれなければ生きている意味がないのかな?」
「ヨルクがどうしようもなく好きだから!でも、ヨルクはいつもあのナミネって子と交際してた。だから、遠い遠い前世も同じ手を使って別れさせたわ!」
「同じ手って?」
「ヨルクの家に行ってヨルクの布団に入り込んで朝まで過ごしていたら、ナミネって子が迎えに来て私たちを見るなり、ここを出てヨルクに別れを告げたわ。あの時は本当にヨルクの子供妊娠したからヨルクと結婚出来たけど、現代は変わったから」
そんな……。現世だけでなく、副委員長は前世でも私をハメたのか。そして、ナミネとの仲を引き裂いて私と結婚までしていただなんて汚らわしい。ナミネが破談までしたのは、ナミネもその時のことを覚えていたからだろうか。あの時の二の舞になるのがいやで、私が副委員長を泊めると言った瞬間に破談を口にしたのだろうか。だとすれば、ちゃんとナミネの意見を聞いてから決断するべきだった。
もう一度……もう一度……、チャンスが欲しい……。
「今回はヨルクとの子供は妊娠していないみたいだけど、このような形で、ヨルクがナミネと別れてタレリナの気持ちは晴れたかな?仮に、ヨルクの子供を妊娠していてヨルクと一緒になれても幸せになれたと思うかな?」
「いいえ、逆に多額の慰謝料を請求され、親戚中に言いふらされ、親戚がクビになり、私の家も親戚ももうすぐホームレスになります。こんなことなら、彼女がいるヨルクに近付かなければ良かったと後悔しています。もし、ヨルクの子供も妊娠していたとしても、ヨルクはあの時みたいに、ナミネを忘れられず、結婚後ことあるごとに泣いていたと思います。どの道、私は幸せにはなれないんです」
「こうなってしまったからには、後戻りは出来ないよね。まずは、生活保護を申請して、アパートに移り住むしかないと思うな。ちなみに今回はヨルクに手を出してない?」
「分かりました。すぐに申請します。はい、ヨルクには何もしていません。こうやって生きていますので」
本当に何なの!私の幸せ返して!私をイジワルして結婚したとか気持ち悪すぎる。こんな人と友達だと思って接していただなんて。あの時、ナミネが泣きながら私に破談を言い渡した時に気付くべきだった。もう何もかも遅い。
その時、セリルさんは手を2回パチンと鳴らした。
「もう一度聞くね。タレリナはどうして生きている意味がないと思うのかな?」
「自分には何もないからです。俳優のオーディション受けても受からずキュート女優を勧められ、友達と信じていた人からは何度も裏切られ、誰からも愛されない。私はヨルクと過ごしていた時間が全てでした」
「人には向き不向きがあるからね。でも、オーディションだって、何度も受け続けたらいつかは受かるかもしれない。それに、親御さんが慰謝料を支払ったのはタレリナへの愛情じゃないかな?いくらヨルクを好きでもヨルクの人生壊しちゃいけないよね。もうヨルクにイタズラしないって約束出来そう?」
「はい、もうこれ以上慰謝料は払えませんし、結局無理矢理ヨルクと結婚しても、私は苦しみ続けました。もう二度とヨルクに危害は加えません」
今更……今更、そんなこと約束されても遅すぎる。私の人生が終わってしまった。勝手に私を陥れて勝手にどん底に落ちて、本当何なの!
私は副委員長への苛立ちが収まらなかった。
「で、セルファは今後もセレナールに協力するのかな?」
「姉さんがイジメられてるって聞いたから協力したし、今回も流石に男を顔だけヨルクの彼女に取られるなんて、可哀想だと思ったから力貸したけど、何かもう面倒くさくなってきた。今後は姉さんの好きにすればいいと思う」
「セレナール、ラルクはセレナールではなく、ナミネを選んだんだよ。いくらセレナールがヨルクのせいにしても、ラルクの意思は変えられないよね」
「けれど、こんなのあんまりじゃない!ヨルクがナミネを裏切らなければ、私はラルクにフラれることはなかったわ!死ねばいいのに!死んじゃえ!」
そっか。そうだよね。私など生きている価値もない。もうナミネは戻ってこないのだろうか。失いたくない。でも、セレナールさんの人生まで壊して幸せを求めるのも狡い気がする。
どうして、どうして、些細なことが取り返しのつかないことになってしまったのだろう。
いつしか私は部屋に1人になっていた。私は何度も何度もナミネにメールを送り続けた。
ナミネのカップル日記には、ラルクとの仲睦まじそうな投稿がたくさんしてある。
ナミネ……お願いだから戻って来て……私を捨てないで……。
8月も半ばとなっていた。
あの後、ナノハナ家のお母様が、誓約書を持ってクレナイ家に来たらしい。ナミネはミドリさんを失ってから、かなり病んだらしい。人が変わったかのように。ナノハナ家の家族も、深い闇を抱え続けるナミネを心配していたそうだ。そんなナミネを私は安易に傷付けてしまった。
誓約書にはこう書かれていた。
『●二度とナミネを自殺未遂に追い込まない。これを破れば2億円の慰謝料を払う。
●ナミネが死ねば10億円の慰謝料を支払い、ヨルクはクレナイ家から破門され1人で学生生活を送る。
●二度とナミネ以外の女性を泊めさせない。これを破れば5000万円の慰謝料を支払う。
●口論になればナミネの意見を聞く。これを破れば5000万円の慰謝料を支払う。
●ミドリがいなくなりナミネは普通ではなくなったゆえ、他の女性との一切の関わりを禁ずる。これを破れば3500万円の慰謝料を支払う。
●どんな理不尽なことであれナミネの自由にさせる。ナミネのすることには一切口を挟まない。これを破れば2000万円の慰謝料を支払う。
●今回、他の女性を泊めたことは浮気及び裏切りと見なし、ヨルクはキズモノとなりクレナイ家は3ヶ月お武家連盟から外し、1500万円の慰謝料をナノハナ家に支払う。
以上』
厳しいものばかりだけど、サインをせざるを得なかった。いくら何もなくても、泊めた時点でミナクお兄様と同じ扱いになってしまう。私が迂闊だった。
リリカお姉様によると、ナノハナ家両親は、ナミネと今後交際をするなら、ナミネは普通じゃないから、傷つきやすいから、全ての女性と一切の関わりを絶たないと交際は成り立たないだろうとも言っていたらしい。それでも、少しでもナミネと復縁出来る可能性があるなら私は全ての女と縁を切ってナミネだけを大切にしたいと思っていた。
その後、私はお武家全体に婚約者がいるのに浮気をしたキズモノと言いふらされ、毎日お母様から『よくも世間体を悪くしてくれた。恥ずかしくて外も歩けない』と暴力を振られ続けた。
私は、お母様から暴力を振られ続け、生きてきた。
副委員長が生活保護を受けられ、アパートに移り住んだ頃、何度も謝罪のメールが来たが私は一通も返すことはなかった。
ナノハナ家に誓約書と慰謝料を持って謝罪に行った日、第1母屋の第4居間からナミネとラルクの声が聞こえてきた。私は、扉を少し開けて中の様子を伺った。
『ラルク、私、誰からも愛されないよ。ヨルクさんは小さい頃から私に縁談持って来てたみたいだけど、結局私より他の女選んで家に連れ込んだし、私のこと遊びだったんだね』
『ヨルクお兄様は口先だけの約束しかしないからな。ナミネのことより、あの副委員長を交際相手と決めたんだよ。そうでないと、あの時、何がなんでも彼女であるナミネを引き留めただろ?』
違う……。そうじゃない……。あの時は何も分からなかった。ナミネが言おうとしていること全然分からなかった。私が大切なのはナミネだけ。
『そうだね。私が自殺未遂した時、ヨルクさん来なかったもんね。ヨルクさんて彼女死んでもいい人なんだ。別れてよかったよ。あんな口先だけの浮気男と付き合ってたら精神持たないよ。でも、ラルクはセレナールさんのこといいの?』
『ヨルクお兄様がナミネを守らないなら僕がナミネを守る。僕が一生ナミネを愛する。あんなキズモノなんか放っておけ。ナミネが大切なら絶対他の女なんか連れ込まない!ナミネは騙されてたんだよ』
違う……。どうしたら信じてくれるの?キズモノの私はナミネにとってもう用済みなのだろうか。決して軽い気持ちで告白したわけではないのに。小さい頃からナミネのことが好きで好きで仕方なくて縁談を持ってき続けてたのに。信用を失った私はナミネから不審者扱いをされていた。
『何度もメール来るんだけど本当ウザイ。二股してよくメール出来るよね。同じ布団で裸で抱き合ってる写真送って来といて自分で恥ずかしいとも思わないのかな。私何度もヨルクさんに同じことされたから、本当疲れたよ。最初のほうは許してたけど、流石に自分の人生考えると後のほうは見切り付けちゃった。ヨルクさんて二股好きだよね。罰したいくらいムカつく』
『ヨルクお兄様は二股の塊だからな。泣いて頼る女入れば、すぐに相談乗るとか言って家に連れ込んで、朝はいつもああだもんな。正直、弟としてめちゃくちゃ恥ずかしい。ナミネが望むなら罰するよ』
私は二股などしていない。全部全部ハメられたんだ。けれど、今更言ってももう信じてはもらえないだろう。ナミネの中で私は二股男なんだ。あの時、泣きながら破談を迫ったナミネの話を少しでも聞くべきだった。どうして、あの時、彼女であるナミネを優先出来なかったのだろう。ナミネは病気で苦しんでいるのに。いざ、ナミネと交際出来たら安心しきって、前が見えなくなっていた自分を私は呪った。
『ラルク、私、ラルクさえいればそれでいいよ。他の人はもう信じられない。私が現世に耐えきれなくなったら2人だけで転生しようね』
『ああ、そうする。どこまでもナミネに着いていく。死ぬ時も一緒だ。一生ナミネを愛してる』
『私も愛してるよ、ラルク』
抱き締め合うナミネとラルクを私は見ていられなかった。ナミネの信用を、ナミネごと失った私は泣きながら、廊下に菜の花とかすみ草の花束と手紙を置いてナノハナ家を出た。
翌日、私がスーパーに買い出しに行って部屋に戻って来ると、ナミネが畳の上で寝ていた。
「ナミネ!」
私はナミネに駆け寄った。
「ナミネ、来てたの?」
私はナミネをソファーに寝かせた。
「ヨルクさん……」
ナミネはまた眠ってしまった。少しするとうなされはじめた。
「ヨルクさん……どうして浮気したの」
「ナミネ、ごめんね……でも、ハメられたんだ」
「ヨルクさん……どうして裏切ったの」
「ヨルクさん……浮気しないで」
「ヨルクさんが浮気したら死んじゃう……」
「ヨルクさん……その人と行っちゃダメ」
「ヨルクさん……どうして束縛だなんて言うの」
「ヨルクさん……今その人と行ったら永遠の別れだよ」
どうしたらいいのだろう。流石にこれだけの前世を覚えていない。でも、そんなにも私はハメられていたのだろうか。それを浮気と信じ込みナミネが私に別れを告げ、仲直り出来なかった遠い遠い過去があるとするなら、もはや自分を恨むしかなかった。
その時、ナミネは目を覚ました。
「ナミネ!」
「ヨルクさん、一度だけチャンスを与えます。でも、一度だけです。あの誓約書の項目、どれか1つでも破れば本当に破談にします。もうヨルクさんのたくさんのたくさんの浮気に苦しみたくないんです」
「ナミネ、浮気してない!ハメられた!」
「ヨルクさん、連れ込んだ時点でハメられたも浮気のうちなんです。最終的に浮気をしたなら、それは浮気なんです」
そっか。そうだよね。自業自得というわけか。『相談に乗って欲しい』そんな言葉を信じる自分が1番悪いのか。守りの弱さを指摘され、私はナミネの正論に自分が押し潰されていた。
「ナミネ、ごめん!二度とナミネを裏切らないし、誓約書の項目は全て守る!だから、もう一度交際して欲しい!」
私は泣きながら懇願をした。
「分かりました」
その時、リリカお姉様が入って来た。
「セレナールがビルの屋上から飛び降りたそうよ」
「えっ……」
……
あとがき。
長くなってしまったので一旦区切ります。
純愛偏差値は悲しい話なんです。1度書いた走り書きの内容はどうしても変えられないものがありますね。
一人称版のみのオリジナルが多いですが、それでも、走り書きで通ってきた内容と類似した内容を入れないと進めないので。
この先も、ずっとずっと悲しい話が続きます。