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日常のこととかオリジナル小説のこととか。
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ashita
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女性
職業:
地主(土地貸してます)
趣味:
漫画やアニメを見るのが好きです。最推しはフーディーニ ♡
自己紹介:
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ブログ、もう書かないと思ってました。

けれど、去年から書き始めた小説によって、過去に書いてた小説も書き始め、ここに載せることにしたのです。

小説は、主に『時間と時間を繋ぐ恋の物語』と『妖精村と愉快な仲間たち』をメインに書いています。
現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。

純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。

元々このブログは病気の記録用として立ち上げたものですが、小説載せるようになってからは、ここは出来るだけ趣味的なことを綴りたいと思っております。
病気の記録や様々な思いを綴るブログは移転済みなのです。

ただ、今は日記は個人的な徒然、或いはお知らせとして綴ることが多いかと思います。

小説、ぼちぼちマイペースに書いてゆきます。

よろしくお願い致します。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

お知らせ。

イラストは現在「ナノハナ家の日常」に載せております。サイドバーにリンクあります。

また、「カラクリよろずや」にてフリーイラスト素材について考えるブログはじめました✩.*˚
不定期に更新していく予定です。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

模倣・無断転載などは、ご遠慮ください。

ブログの小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。

小説・純愛偏差値に関しましては、武家名・貴族名(程度による) / 及び、武官の階級 / 扇子・羽子板・花札・百人一首・紙飛行機などのアイテム使用方法の模倣の一切を禁じております。

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X @kigenzen1874

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〈資格履歴〉

2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
→茶道アドバイザー 合格
→お点前インストラクター 合格
2025年04月17日
→着物マイスター 合格
→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
→サイキックアドバイザー 合格
→サイキックヒーラー 合格
2025年07月01日
→アンガーカウンセラー 合格
→アンガーコントロール士 合格
2025年08月04日
→漢方コーディネーター 合格
→薬膳調整師 合格

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〈資格証明バナー〉

宝石鑑定アドバイザー資格認定試験資格取得証明
鉱石セラピスト資格資格保持証明
茶道アドバイザー資格認定試験資格取得証明
お点前インストラクター資格資格認定証
着物マイスター®資格認定試験資格取得証明
着付け方インストラクター資格資格認定証
サイキックアドバイザー®資格資格証明
サイキックヒーラー資格資格保持証明
アンガーカウンセラー®資格資格保持証明
アンガーコントロール士資格資格認定証
漢方コーディネーター®資格認定試験資格保持証明
薬膳調整師®資格認定試験資格保持証明
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純愛偏差値 未来編 一人称版 39話

《ヨルク》

セレナールさんは流産をした。
誰かが盛ったトケイ草によって。
いったい誰が……。みんなはセナ王女を疑っているみたいだけど、何となく違う気がする。

夜中にここに来たのに、もう明け方になっている。ナミネは大丈夫だろうか。
「ナミネ、聴き取りが終わったら帰って寝ようね」
「はい」
夜中にクレナイ家の第1母屋でセレナールさんが騒いだから、みんなそれに起こされ、今の時間まで、ほとんど寝ていない。

今回のセレナールさんの流産はセナ王女の時とは違って、中期の流産で死産届も埋葬も必要になる。まして、胎児を殺すなど、現代の法律では不同意堕胎容疑となる。
だから、ハル院長は妖精村警察に通報したのだと思う。

妖精村警察の人が来ると、一人一人に聴き取りを行った。警察はアルフォンス王子が容疑者だと断定し、連行しようとしたが、アルフォンス王子はF938を出し、警察はアルフォンス王子を連行出来なくなってしまった。

「F938か。そんなもので一時しのぎしても君は、いずれ自分のしたことは何らかの形で返ってくるよ」
今のハル院長は多分怒っている。私も苛立たしい。王族だからって何でもかんでもF938で免れるだなんて。

警察官が帰って行った後、私は眠そうなナミネをクレナイ家に連れて帰り、私の部屋の布団に寝かせた。セレナールさんは2日入院することとなった。二度までも同じ現場に直接居合わせてナミネはどう思っただろう。ナミネは1人で抱え込みやすいから私は心配した。

それからは、セレナールさんはアルフォンス王子を恨み、学校の階段からアルフォンス王子を突き落としたり、落ち武者さんはカナエさんがアルフォンス王子にピルを飲まされる映像や、セレナールさんの送り届けの途中で襲われた映像をカナエさんの学年にばらまいたりした。ロングさんが止めるものの犯罪なのに裁かれずF938で逃げ切ったほうに言えと落ち武者さんは強気に出て、ロングさんはアルフォンス王子の説得をした。ロングさんに何を言われたのか分からないが、その後のアルフォンス王子は酷く怯えていた。
王室は更に窮地に追い込まれた。落ち武者さんが、王室の3分の1の慰謝料を国王に払わせたのだ。セナ王女とアルフォンス王子はアパートからも追い出され、古い空き家住まいとなったが、耐えきれずセナ王女はクレナイ家にアルフォンス王子はキクリ家に居候をした。

後日、飛べない翼の撮影をするため、私はナミネと虹色街のスタジオに来た。が、何故かみんな着いてきた。
私はとりあえずラハルさんに挨拶しようと駆け寄った。
「あの、いつも姉がご迷惑をおかけしまして……」
あれ?ラハルさん驚いたような表情をしてる?何故だろう。
「姉って?」
「リリカお姉様です」
「え、君がリリカの弟……。全然似てなさすぎてビックリした」
その時、リリカお姉様とナナミさんが来た。
「ほら、ヨルクはあっち行って」
私はリリカお姉様に扇子で吹き飛ばされた。

ナミネのところへ行くと、みんな私を見ながら笑っていた。
「ねえ、何?どうして笑うの?」
「もう双子レベルだな」
「本当ね。写真よりずっとそっくりでビックリしたわ」
双子?そっくり?誰と誰のことだろう。
「ヨルクさん、あちらがニンジャ妖精さんです」
「あ、そうなんだ」
て、ニンジャ妖精さんもサムライ妖精さんもガッツリ、セレナールさんのこと見ている。セレナールさんも術後だから無理に来ることなかったのに。
「ラルク、全然気付いてないね」
「まあ、ヨルクお兄様は鈍いからな」
え、何のこと?落ち武者さんまで笑っているけど、私には何がそんなにおかしいのかさっぱり分からなかった。

撮影がはじまるため、ナミネとラハルさんは指定の制服に着替え、ナミネはメイクをしてもらった後、髪を三つ編みにしてもらっていた。
セーラー服姿のナミネ可愛すぎる。

「飛べない翼 撮影スタート!」
そして、撮影ははじまった。

新学期。
中学2年生のナミネは勉強も運動も出来て、クラスの男子の憧れの的だった。

そんなある日、ナミネは高等部1年生のラハルさんに呼び出された。
「ナミネ、好きだ。僕と交際して欲しい」
「はい、私、ラハルさんと交際します」
ナミネはあっさりラハルさんの告白をOKした。

その後、2人は休日になると、ファミレスに行ったり、映画を見に行ったり、ウィンドウショッピングを楽しんでいた。
誰が見ても仲良しのカップルだった。

ナミネは、はじめての彼氏だったけれど、ラハルさんに頻繁に手作りのお菓子を渡した。
「あの、美味しくないかもだけど……」
「ナミネ、ありがとう。凄く嬉しいよ」
ラハルさんはいつもナミネの手作りお菓子を嬉しそうに食べていた。

ナミネとラハルさんは、互いの家を行き来するようになっていた。

季節は巡り、春から夏へと移り代わっていた。
ある日、ナミネの部屋でナミネとラハルさんが勉強をしていたら、ラハルさんはナミネをベッドに押し倒した。
「ナミネ、好きだ」
「私もラハルさんが好き」
「してもいい?」
「うん、ラハルさんに全てを捧げるよ」
ナミネはラハルさんにセーラー服を脱がされタンクトップ姿になった。
「ナミネ、0.3ミリhappy付けなくてもいいよね?」
「うん、ラハルさんならいいよ。それに現代は第3破らないと妊娠しないから」
そして、ラハルさんはことに及んだ。
避妊もせずに。

その後も、ラハルさんは頻繁にナミネを抱いた。
ナミネもラハルさんも、とても幸せそうだった。

季節は巡り秋となった。

いつものようにナミネとラハルさんはナミネの部屋にいた。
「あのね、ラハルさん、私、妊娠したの。8週目だって」
「そ、そっか。責任はちゃんと取るよ。だから心配しないで。僕たちの子供、2人で育てていこう」
「ありがとう、ラハルさん」
ナミネはラハルさんに抱き着いた。

ナミネはラハルさんの言葉を聞いて嬉しそうに母子手帳を眺めていた。けれど、ナミネは5000年前の女性の身体の作りで、第1で妊娠するように出来ていた。更には、他の人の2倍のスピードでナミネのお腹の子は成長していった。これは5000年前の妊婦さんに稀にあったことだったのである。
ナミネはまだ妊娠8週目なのに、お腹の子はまるで妊娠15週目のような大きさになっていた。

ナミネがラハルさんを信じる一方で、ラハルさんは仲の良い友達に話していた。
「彼女妊娠したんだけど、正直責任までは取れない」
「それヤバイだろ」
「流産でもしてくれたらな」
「それならトケイ草を料理の中に混ぜて食べさせれば6〜20時間の間に流産するらしいぜ」
友達の言葉を聞いたラハルさんはスーパーで大量のトケイ草を買った。

数日後、ラハルさんはナミネに手料理を振舞った。
「ナミネ、栄養満点の料理だから食べて元気な子産んで」
「美味しそう!ラハルさんが作ったの?」
「うん、ナミネに栄養つけて欲しくて」
「ありがとう!」
ナミネは嬉しそうにラハルさんの手料理を食べた。
「美味しい!ラハルさんは料理上手だね」
ナミネはラハルさんの手料理を完食した。
大量のトケイ草が入っているとも知らずに。

その夜、ナミネは大量の出血を起こし腹痛を訴えた。ナミネの両親は近くの産婦人科にナミネを連れて行った。
ナミネは緊急オペを受けたものの、お腹の子は流産して、中期中絶となった。

ナミネが目覚めると医師は説明をした。
「残念ですが中絶流産です。トケイ草ですね。それも大量に検出されました。トケイ草は普通の人には害は及びませんが、妊娠している人の体内に入ると6〜20時間内に流産します。トケイ草は昨日食べただろうお粥の中に入っていました。また、中期中絶ですので、死産届と埋葬が必要になります。これがあなたのお腹にいた子です」
医師はナミネにえぐり出され、顔や身体がぐちゃぐちゃになった胎児を見せた。
「これが……私の赤ちゃん……」
ナミネは嗚咽をあげながら大粒の涙を零し続けた。

ナミネは2日の入院の後、死産届を出し、胎児を埋葬した。その足でナミネはラハルさんの家に上がり込んだ。
「ラハルさん、お腹の子いなくなったよ。どうしてこんなことしたの……!」
ナミネは涙を流した。
「やっぱりまだお互い学生だし、子供とか重たいなあて感じた。でも、子供なら大人になってからまた作ろうよ」
ラハルさんの言葉にナミネは泣きながらラハルさんを引っぱたいた。
「私、許さないよ。何年経っても許さないよ。ラハルさんを訴えるね」
「え、ナミネ、待って!ほんの気の迷いだった。悪かったと思ってる」
「これが私たちの赤ちゃんだよ!」
ナミネはラハルさんにバラバラになった胎児を見せた。ラハルさんは吐いた。

2ヶ月後、ラハルさんの裁判は行われた。
「被告を懲役40年に処する」
ラハルさんは刑事裁判で有罪となった。

ナミネは毎日母子手帳を握り締めながら泣き続け、ラハルさんは少年院で自分のしたことに何度も後悔をした。

ナミネとラハルさんは二度と会うことはなかった。

「カット!OK!」
2時間に及ぶ映画撮影は無事に終わった。

撮影後、ナミネとラハルさんは映画に対するコメントを残した。
「これは実際にあったことです。しかしながら、いくら産まれてきていなくても生命は宿っているんです。そんな1つの小さな命を無理矢理奪ってしまうなんて、あまりに悲しすぎます。僕は、このようなことが決して起きないよう、今回の飛べない翼の主役を演じました。少しでも皆さんの心に届いたらと思います」
続いてナミネがマイクを持った。
「芸能人でない私にヒロインが務まるかとても悩みましたが、私もラハルさんと同じで妖精村の恋人たちに伝えるためにヒロインを演じることを決意しました。映画では、お腹の中の子はヒロインの中から羽ばたくことは出来ず、1つの翼である小さな命が奪われてしまいました。まさに飛べない翼です。けれど、決してあってはならないことです。人を好きになり交際するとはどういうことなのか、愛とは何なのか、この映画を見た全ての人に考えて欲しいと思います」
後に、このコメントは映画の最後やDVDの最後に登場することになる。また、映画がテレビで放送される頃にはテレビでも流れるかもしれない。

2時間に及ぶ映画を演じきったナミネとラハルさんは汗だくで、マネージャーによって、メイクを落とされると別の服で出てきた。
「ナミネ、大丈夫?」
「はい!やり切った感があります!」
「ナミネ、ありがとう。ナミネが教えてくれたから、作品として形になって僕たちは演じることが出来た」
「こちらこそありがとうございます。ラハルさんが相手だったので演技もしやすかったです」
ナミネは芸能人なんて目指したことないのに。演技の才能には驚かされた。このまま芸能界に入るのだろうか。それでも、ナミネが決めた道なら応援したい。私はそう思った。
「ナミネ、はじめてとは思えない演技力だよ。芸能界デビューしないのがもったいないくらい」
「ラハルさんのサポートあってこそです」
その時、カンザシさんとレオルさんが駆け寄ってきた。
「ナミネさん、迫真の演技でした!」
「ナミネさん、ナミネさんの演技が多くの人に伝わるといいですね」
「レオルさん、カンザシさん、ありがとうございます」
後ろを見ると、セナ王女とセレナールさんが泣いていた。悔し泣き……。
気が付けば夕方になっていて、今日はグルグル妖精さんのマンションに泊まることになった。

グルグル妖精さんのマンションに行く前、みんなは温泉に寄った。
「ナミネ、混浴行くの?」
「いえ、今日は女湯入ります」
「そっか、後で限定品のお土産買おうね」
「はい」
ナミネが混浴に入らなくて良かった。カンザシさんもレオルさんもナミネのことずっと見てるし。
私が男湯に入るとメンバーはあまりいなかった。というか、サムライ妖精さんもニンジャ妖精さんも混浴に行ったの?まさかセレナールさん目当てで?尚更ナミネが女湯に入ってくれて良かった。

私が温泉から出るとナミネは椅子に座っていた。
「ナミネ、ゆっくり出来た?」
「はい」
「お土産屋さん見に行こうか」
「はい」
私とナミネは手を繋いでお土産屋さんを見た。するとナミネはロバのぬいぐるみを2つ持った。
「動物園のロバはこんなふうにメスを追いかけていました。メスは逃げていました。交尾は難しいものですな」
「ナミネ、どうしてそういうこと言うの!お土産買わないよ!」
「そうですか」
「もう、変なこと言わないで好きなの選んで」
全くナミネはどうしていつも変なことばかり言うのだろう。その時、みんな上がってきた。
「ミナク、このたこ焼き妖精のストラップ、お揃いで持ちましょうよ!」
「はい、セナ王女。今買ってきます」
「ナミネさん、何か買うんですか?」
「うーん、迷ってます」
やっぱり、マモルさんとフタバさんはセレナールさんのこと見てるし、サムライ妖精さんだってサンゾウさんとレオルさん以外セレナールさんのこと見てる。
「ラルク、私、温泉うさぎのストラップが欲しいわ」
「分かりました」
「温泉に入るカピバラ妖精さん可愛いです」
「そっか、じゃあ、そのストラップお揃いで持とうか」
私はカピバラ妖精のストラップを2つ手に取った。
「カピバラ妖精さんは温泉の中でメスを追いかけるわけですな」
「もう、変なこと言わないで!」
「ナミネって見かけによらず直球だね」
「でも、事実です!オスはメスと交尾することしか考えてません!」
「生きるためだからね」
生きるためかあ。でも、こんなところで交尾とか、ナミネって可愛いけど何だか変なこと言われると恥ずかしい。人目もあるし。
「じゃあ、カピバラ妖精にするからね!もう変なこと言わないで!」
私はカピバラ妖精のストラップを2つ購入した。
「あれはビタミン不足ですな」
もう、本当何?まるで私がおかしいみたいじゃない。
「ナミネさんが送ってきてくれた映像、参考になりました!ナミネさんが伝説最上級武官だなんて最初は信じられませんでしたが、映像を見てとても関心持ちました!撮影の参考にします」
「レオルさんのお役に立てたなら良かったです!」
「ナミネ、あの花の舞の映像かなり良かったよ。PV化出来るか聞いてみる」
「本当ですか?嬉しいです」
ナミネ、まるで芸能界デビューしたみたい。何だか距離が遠く感じる。その時、ナミネが私の手を握った。ナミネ……。
温泉を出るとみんなはグルグル妖精さんのマンションに向かった。グルグル妖精さんとサムライ妖精さんは同じマンションらしい。でも、何故かサムライ妖精さんも着いてくる。

グルグル妖精さんのマンションは6LDKの高級マンションだった。デビューして2年でこのようなところに住めるのだろうか。サムライ妖精さんなんて最近デビューしたばかりだし。やっぱり芸能人って違うんだ。
「へえ、思ったより広いわね」
セナ王女……今は別荘暮らしじゃないのに。
「ラルク、お手伝いさんいるよ」
「エプロン付けてるからそうだろうな」
「あ、すみません〜紅茶2つお願いします〜!」
「ナミネ、恥ずかしいからやめて!」
もう、どうして初対面の人をこき使うの!ここナノハナ家じゃないんだから。
「いいよ。今日は出前も取ったし、タコパもするから」
「そ、そうですか。ナミネ、こっち来て大人しくしてて」
私はナミネを抱きかかえリビングに座らせた。
「あのさ、なんでサムライ妖精とニンジャ妖精がいるの?帰ってくれる?」
「別にいいだろ。ラハルってちょっとドラマとかコマーシャルに出てるからって調子に乗ってるよな」
「はあ、何度もオーディションに落ちてるカンザシに言われたくない」
仲悪いのかな。てか、なんでまたみんな笑ってるの?
「ねえ、どうして私見て笑うの?」
「あんた流石に鈍すぎ。あんたとカンザシ、瓜二つなんだよ」
え?私とカンザシさんが?似てないと思うけど。年齢だって違うし。
「ねえ、ラルク、ヨルクさん、自分の顔が分からないみたいだね」
「そのうち相貌失認になるかもな」
「ちょっと!全然似てないでしょ!もう、みんなこじつけで笑わないで!」
その時、落ち武者さんが黒髪時代のカンザシさんを見せてきた。え、ちょっと似てるかも。でも、似てる人って世の中いくらでもいるし、そんなに大袈裟なリアクションするものなのかな。
「私もラハルとコマーシャル出たい」
「私も!」
「それならオーディション受けないとね」
あれ、ナミネはオーディションとか受けてなかったはずだけれど。
「でも、ナミネは受けてないじゃない!」
ナナミさんも気が強い……。
「ナミネは、スタジオに来た時によく台本読んでてその才能を色んな脚本家や監督に認められたんだよ。だから、ナミネにはまたドラマの仕事が来るかもしれない」
そうだったんだ。そういえば、ナミネって、小学生の時もガラス姫や花雪姫とかのヒロインを文化祭とかで演じてたなあ。あの頃からナミネは既に才能があったのだろうか。
「ナミネだけ狡い!」
「ドラマやコマーシャルに興味あったら、一度オーディション受けてみて。そこで力量分かるから」
ラハルさんはパンフレットをリリカお姉様とナナミさんに渡した。
「ラハルさん〜実家の外観の写真見せてください〜!」
「もう、ナミネ、恥ずかしいからやめて!」
「普通の家だよ。外観とか写してないなあ」
「そうですか」
「ところで、ナミネから聞いた話だけど、直接、本人からその時のこと聞かせてもらえないかな?」
そっか。映画撮影しただけのことあるから、上映までに、パンフレットに記載しないといけないのかな。ここに来て、いよいよ本題に入りかかっていた。

セナ王女とセレナールさんは、ちゃんと話せるだろうか。
ラハルさんは真剣な表情をしていた。

……

あとがき。

何だかいつも長くなっちゃいます。なので、一旦区切ります。

さて、ナミネとラハルが演じた『飛べない翼』ですが、私は、同じ過ちを繰り返す人が出てこないためにも、世の中に伝えていくべきだと思うんです。それで、小説の中に入れました。

まあ、現実世界でも実話を映画化して伝えようとしていますが、なかなか伝わらないものなんですよね。

悲しいですが、それをあえて、ドラマ化、映画化することで多くの人に伝わればいいなと思います。
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純愛偏差値 未来編 一人称版 38話

《ナミネ》

10月ももう半ば。
昨日、ラルクからセレナールさんが妊娠したとメールがあった。セレナールさんは5000年前の一部の人が妖精だった頃の身体の作りで第1で妊娠するそうだ。そして、その遥か大昔に稀にいた妊娠すれば、お腹の子は普通の妊婦さんより2倍の速度で成長するとハル院長は言っていたらしい。
まだ、7週目なのに、お腹の子は、まるで14週目のような大きさで、もし中絶するならセレナールさんの場合、後2日以内だそうだ。

けれど、ラルクは避妊していたはず。どうしてセレナールさんは妊娠したのだろう。まあ、これでラルクとセレナールさんの仲が深まったならいいのだけれど。でも、いつも一緒だったラルクが世帯を持つだなんて、ちょっとラルクが遠く感じてしまう。

お昼休み。
私たちはいつもの広場に集まっている。
ラルクからのメールのようにセレナールさんのお腹は、まるで大人の妊婦さんみたい。
「ラルク、これでクレナイ家の跡取りが出来て良かったね」
「まあな」
あれ、あまり嬉しくないのかな。
「クレナイ家は男3人いるから将来は安泰だね」
「ミナクお兄様がいるからな」
うーん、やっぱり嬉しくないのかな。というか、全然嬉しそうじゃない。
妖精村では10歳になれば婚姻届を出すことが可能だ。ラルクとセレナールさんも望めば今すぐ夫婦になれるというわけだ。
「ラルク、入籍はいつするの?」
「僕はまだ中学生だし、セレナール先輩のお腹の子はセレナール先輩の家族が面倒を見て、僕が大学を卒業したら入籍しようって昨日話してた」
今すぐじゃないんだ。そうだよね。まだ中学生だし、今学校辞めて仕事しても、仕事限られちゃうもんね。大学卒業かあ。まだまだ先だな。
「セレナール、妊娠おめでとう。明日、カランの別荘で料理をご馳走してあげるわ」
「ごめんなさい。カラルリがセナさんに中絶薬盛ったこと思い出すと怖いから遠慮しておくわ。この子はちゃんと産んであげたいの」
そうだよね。あんなことあったんだから、行くに行けないよね。
「毒味もさせるし、安全は保証する。それに私の誘いを断るなんて失礼じゃない?」
「わ、分かったわ。行くわ」
何だか無理矢理って感じ。でも、断りにくいよね。私だったら何がなんでも断るけど。だって、今回も何かされそうな気がする。セナ王女は無理矢理中絶させられたのだし、セレナールさんの妊娠を本気で祝福しているのだろうか。

ちなみに、あの後、王室は第1王子や第2王女の働きと皇室の支援もあって、復旧に向かっているそうだ。あの別荘を取り戻せる日も早いかもしれない。

「ナミネ、ラハルさんとコマーシャル出たの?ナミネはラハルさんが好きなの?芸能界デビュー目指してるの?」
えっ、今完全にセレナールさんの話題なのに、どうしてそんなこと言うの?てか、あのコマーシャル、もう放送されてるんだ。
「はい、スタジオ見学したらラハルさんに会って、共演者が来ないからと代わりを頼まれました。ラハルさんは私ではなくナナミお姉様の最推しです。芸能界デビューは全く目指してません」
「そっか。良かった。でも、心配だから今度は私も一緒に行くね」
えっ、めちゃくちゃ気まずい。でも、ヨルクさんを不安にさせたくないし……。
「分かりました」
「出産予定日っていつなの?」
「3ヶ月後くらいらしいわ。もっと早まる可能性もあるみたい」
「私は初期で無理矢理中絶させられたけど、中期ってどんな感じ?」
セナ王女、どうしてそんなこと聞くのだろう。辛くないのかな。それにしても、セレナールさん幸せいっぱい。カップル日記にも
『妊娠発覚ꯁꯧ
現在7週目ꯁꯧ

ラルクとの愛の絆ꯁꯧ
とても嬉しすぎるꯁꯧ

お腹の子供と共に3人で幸せになりますꯁꯧ』
って書いてあったし。
やっぱり嬉しいものなのかな。正直行きたくないけど、主役じゃないし適当に過ごせばいっか。
「うーん、やっと悪阻が落ち着いてきたって感じかしら」
「羨ましいわ。私もミナクとの子供欲しいな」
ミナクさん苦笑してる。
「ナミネも芸能界デビューしたし、ダブルでお祝いね」
「えっ、そんなデビューとかしてませんし、私はいいです。主役はセレナールさんなので。あ、そういえば、ニンジャ妖精さんのライブチケット、皆さんの分ももらってきたので、どうぞ」
私はみんなにニンジャ妖精のライブチケットを渡した。
「ナミネって馬鹿ね。私は行けないのに仲間はずれして、これってイジメよね。ラルク、辛いわ」
ラルクも私もスルーした。
「ねえ、ラルク、今月、森の湖とカナエさんとセイさんが住んでたとこ行くんだよね?」
「ああ、行くまでは遭難の危険もあるけど、テント持って行ったら3日で着くと思う。森の湖にいられる時間は2時間だ。それを超えたらそこから出れなくなってしまう」
「ちゃんと準備していかないとね」
確か、森の湖って遠い昔は、すぐに行ける場所だったのに。どうして現代はこんなに遠い場所になっているのだろう。
「仲間はずれはイジメよ、ナミネ。ストレスになるわ。お腹の子にも悪影響だし、流産したらナミネのせいね」
こういうのがいやだから、スタジオ行って気分転換したんだよね。
「というか、カナエを差し置いて妊娠だとかカナエに悪いとは思わないのか!」
「あら、カナエってピル飲んでるのよね。だったら妊娠出来ないわね。アルフォンス王子はモラハラ男だったのね。カナエ可哀想〜!」
「やめてください!カナエはピルなんて飲んでいません!アルフォンス王子様を悪く言わないでください!」
「そう、じゃあ、飲んでないか、放課後月城総合病院で確認してくれるかしら?」
「カナエはセレナールと違って暇人ではありません!どうしてカナエばかりに攻撃するのですか!」
私の次はカナエさんか。でも、どうしてピルなんて飲ませているのだろう。私だったら、そんな男とは絶対に別れると思う。
セレナールさんも家で療養とかしていればいいのに。
「セレナール!これ以上カナエを攻撃するとお父様に頼んで流産させるぞ!」
「あら、今の王室に何が出来るのかしら?カナエはピル〜カナエはピル〜!学年中に広めちゃおうかしら」
その瞬間、カナエさんがセレナールさんを突き飛ばした。
「痛い!何するの!私、妊娠してるのよ!」
同情はするけど、何かやたらと私責められてばかりだし、巻き込まれたくないや。
「悪いのはセレナールです!セレナールの脱ぎたての靴下は臭いのです!」
カナエさんはセレナールさんの靴下を扇子を開いて遠くへ吹き飛ばした。
「やめてよ!どうして私ばかりイジメるのよ!もう明日行かないわ!カナエのせいよ!」
「カナエ、靴下取ってきなさい」
「カナエは知りません」
「セナ、カナエを攻撃するのはやめろ!セレナールも自分で取ってこい!」
アルフォンス王子、何をそんなに怒っているの?セレナールさん、妊娠してるし、あんな遠くまで取りに行けるわけないじゃない。カナエさんとアルフォンス王子って上手くいってなさそう。

放課後、私とラルクは教壇の中にいた。
「ねえ、ラルク、新しい家族が出来るね」
「ナミネ、この際だからハッキリ言う。僕はセレナール先輩とは結婚しない。養育費も払わなければ認知もしない。こんなハメられ方するとは思わなかった」
「えっ、どういうこと?」
「細工されたんだ。でないと、妊娠7週目なんてありえない。もうセレナール先輩とは潮時だと思っている」
えっ、言ってることが分からない。昼休みは、そんなこと一言も言ってなかったよね。
「ラルク、セレナールさんを愛してないの?」
「分からない。でも、少なくとも遠い昔のような感情は持てない」
どうして?セレナールさんと出会った時、あんなにも喜んでいたのに。変わってしまったの?
「そっか、望まれない子なんだね。ラルクがあまり嬉しそうじゃないのも、もう冷めかかっているんだね。何だか悲しいね」
「僕は、動物園でナミネに酷いことしてしまったのを後悔してる。こんなにもナミネを愛しているのに、どうしてあんなことしてしまったんだろうって」
「もういいよ、ラルク。私たち親友じゃない。もう恨んでないよ。私、ラルクがセレナールさんを愛せないなら仕方ないと思う。セレナールさんにはシングルマザーになってもらって、ラルクは本気で愛せる人と一緒になったらいいと思う」
仕方ないよね。人の心は移ろいやすい。いくら永遠の愛を誓ったとて、一日一日で感情は少しずつ変わってしまうものなのだ。
私とヨルクさんも、いつかすれ違ってしまうのだろうか。ううん、私の気持ちは変わらない。ヨルクさんがいないと、何も楽しめない。私にはヨルクさんが必要。

学校帰り、私はクレナイ家のお風呂でヨルクさんと一緒にいた。今日はセナ王女とセレナールさんも来ている。
「あ、ヨルクさん、セナ王女のことあったじゃないですか。それ、ラハルさんに話したんです。そしたら、ある脚本家が『飛べない翼』という脚本を書きまして、その映画のヒロイン演じることになりました。主役はラハルさんです。私も映画とかドラマまではと思ったんですが、迂闊なことして後で後悔する人がいるかと思うと、世の中の学生に現実を伝えたくなったんです」 
あの後、脚本家が内容を走り書きしたことはラハルさんからのメールで知ったけど、まさかヒロインをラハルさんが私を指名するとは思わなかった。でも、ヒロインを演じる以上は全ての学生に伝えたい。
ちなみに、台本も中絶薬で流産させるんだよな。
「そっか、ナミネがやりたいなら応援する!撮影見に行くからね」
「ヨルクさん……」
良かった。反対されるかと思ってたけど、すんなり受け入れてくれた。
「ヨルクさんはもし、0.3ミリhappyに私が細工したらどうします?」
「ナミネのことは責任取る。細工でも何でもナミネのことなら私がナミネの面倒を見る」
ヨルクさん凄く真剣。こうやって見ると、やっぱりカッコイイなあ……。ヨルクさんは優しいし、何でも許してくれる。私はそんなヨルクさんに甘えっぱなしなのだ。

お風呂から上がると私はヨルクさんの部屋の布団でゴロゴロしていた。
「あ、ヨルクさん、あの、細工のことなんですけど、最近友達が細工されたんです」
「ラルクでしょ?」
えっ、どうして知ってるの?
「どうして知っているんですか?」
「何となくそう思った」
な、何となくって。って、私ヨルクさんに喋っちゃったよ。その時、リリカさんとセレナールさんが入って来た。いったいどうしたのだろう。あっ、ラハルさんグッズ渡さなきゃ。
「リリカさん、スタジオでもらったラハルさんグッズです」
「ありがとう。ありがたく頂くわ」
リリカさんは私からラハルさんグッズを受け取った。何かよく分からないけど、ラハルさんもカンザシさんもレオルさんもやたら私にグッズくれるんだよね。非売品ももらっちゃったし。
「ヨルク、よく聞いて。ラルクがセレナールに細工されたの。セレナールも認めたわ」
えっ、どうやって吐かせたのだろう。
「リリカお姉様、もう今更です」
「セイに中絶同意書を書かせたから、今から月城総合病院に行くわ!」
「リリカ、許して!孤児院に預けるから中絶だけはどうか許して!」
え、孤児院って何?そんな軽い気持ちで産むの?
「リリカお姉様、落ち着いてください。何も無理矢理中絶させなくても、孤児院に預けて、表向きには流産したことにしたらいいでしょう。ただ、一筆ラルクが別れると決めたらそれを受け入れると書かせたほうがいいとは思いますが」
リリカさんは、ため息をついた。
「分かったわ。セレナール、一筆書いてちょうだい!それから、明日の食事会は私も行くわ」
「わ、分かった」
セレナールさんは、誓約書を書いてリリカさんに渡した。私も、せっかく授かった命だし、セナ王女の時みたいに無理矢理中絶は流石に悲しすぎると思う。ラルクが結婚望まなければ、孤児院も仕方ないかもだけど、どこかで生きているなら、殺すよりマシだと思う。分かんないけど、お腹の中の子供には何の罪もないから。

翌日、私たちはカラン王子の別荘に来ていた。
「ねえ、ラルク、カラン王子の別荘広いね」
「そうだな。王妃の家族は余程の金持ちなんだな」
「セレナール、セナ王女みたいに中絶薬盛られないようにね」
「ユメ!」
ユメさん、嫉妬してる?ユメさんには委員長がいるのに。今は子供より今しかない青春を楽しんだらいいと思うんだけどな。
「ユメさんて、怖い〜!負け犬の遠吠えかしら?」
「何ですって!」
その時、アルフォンス王子がユメさんの背中を押した。その結果、セレナールさんは転んだ。
「やめてくれるかしら。不愉快だわ」
リリカさんの声にみんなは黙り込んだ。
でも、アルフォンス王子はどうしてそんなにもセレナールさんの妊娠を許せないのだろう。
「私だってラルクの彼女がセレナールだなんて物凄くいやだわ!別れて欲しいし、子供だなんて早く気づいて中絶させれば良かったと思ってる。でも、我慢してるのよ!」
リリカさん、認めてなかったんだ。
「分かった。リリカがそう言うなら私もセレナールのことは我慢する。正直、セナがあんなことされて、食事会なんて気分悪いけど」
そうなんだよね。どうして、中絶薬盛られたセナ王女が、この食事会を計画したのか私も謎だった。まさか、セナ王女、何かしたりしないよね?
「リリカ、あんた姉さんのこと馬鹿にしてんのかよ。だったらなんでここにいんだよ!」
「馬鹿にはしてないわ。ただ、クレナイ家の嫁には相応しくないと言っているの。ラルクの縁談を何度もナミネに送ったけど、ナノハさんはヨルクを選んだ。同じクレナイ家だし、ヨルクの縁談がまとまるならと、ナミネは諦めて他の縁談探してたら、セレナールとちゃっかり交際しちゃって。見守っていたら細工で妊娠して、流石に怒りが収まらなかったわ」
えええええ!私、ラルクと交際してたかもしれなかったんだ。でも、ナノハお姉様は、どうしてヨルクさんを選んだのだろう。
「なるほど、そゆこと。姉さん、あんた細工で妊娠したのかよ」
「セルファ違うのよ。不良品だったのよ!」
確かに不良品も中には存在する。でも、ラルクも細工されたって言ってた。
「あ、とりあえず食事運ばれてきましたし、温かいうちに食べませんか?」
「そうね」
「セレナール、使用人が毒味済みよ」
「そう、それじゃあ安心ね」
私たちは運ばれて来た食事を食べはじめた。もち米のお粥かあ。健康によさそう。
「セレナール!細工で妊娠したのですね!まるで望まれない妊娠ですね!」
その瞬間、セレナールさんはカナエさんを引っぱたいた。
「もうハッキリ言うわ!弟たちにはもっとまともな彼女と交際して欲しかった!セレナールは何の能力もないのに、ワガママばかり。セナ王女もワガママでめんどくさい女。こんなことならミナクだけでも、エミリと交際させるべきだったわ!」
エミリさんかあ。可愛いし強いし、頭もいいし、縁談もいっぱい来てるんだよね。でも、まさかの皇太子がエミリさんの心掴んじゃったからなあ。
「リリカお姉様、セナ王女は、私を元に戻してくれた恩人です。私がはじめて本気で愛した人です。どうかお怒りをお静めください」
ミナクさん、すっかり別人。でも、セナ王女はカラルリさんが見ていたようなラブリーフェアリーは認めてない。ミナクさん、上手くやれるのかな。
それに、リリカさんは誰とも交際しないのだろうか。
「美味しいね、ラルク」
「そうだな。お粥って普段食べないけど、工夫すると案外いけるな」
「ナミネ、今度お粥作ってあげる」
「ヨルクは昔から料理好きですね」
「カナエさんには叶いませんけど、趣味でやっています」
そっか。カナエさんもカップル日記によく料理中の画像載っけてたりするなあ。アルフォンス王子はカナエさんの料理、頻繁に載せてるし。分からないんだよなあ。誰が見ても理想のカップルなのに。
「あ、落ち武者さんもエルナさんとカップル日記登録しませんか?」
「私は構わないわ」
「相手がエルナってとこが癪に障るけど、みんなの投稿見れるなら投稿する」
エルナさんと落ち武者さんはカップル日記を登録しはじめた。
あ、セレナールさん投稿してる。

『今日は私の妊娠祝いのためにカラン王子の別荘で食事会。
とても美味しそうな料理。

元気な子を産んで、ラルクと幸せになるぞꯁꯧ』
セレナールさん、ラルクはセレナールさんとは結婚しないんだよ。セレナールさんもいい人見つかるといいね。

『ナミネに作ってあげたい』
ヨルクさん……。やっぱり私、ヨルクさんじゃないとダメ。

『今度ユメと一緒に料理する』
委員長は本当にユメさんのこと好きなんだなあ。何かMake Loveは偽り!?のユメさんとは違いそうだけど。

みんな完食した。今回は何もなかった。本当良かった。ラルクと一緒になれなくても、セレナールさんにはシングルマザーとしてでも幸せになって欲しい。

その晩、私はクレナイ家でヨルクさんと布団の中でお喋りしていた。セナ王女とセレナールさんもお泊まりだった。
私が眠りについた頃、クレナイ家の第1母屋はドタバタしていた。どうしたんだろう。
私は目を覚ました。
「ヨルクさん……?」
「ナミネ、セレナールさんが、出血して痛み訴えてるの。今から月城総合病院に行くけど、ナミネはどうする?」
え……どういうこと?私は頭が回っていなかった。
「い、行きます!」
私はルームウェアのまま、クレナイ家 運転手の車に乗り込んだ。

月城総合病院に着くとセレナールさんの緊急オペがはじまった。みんなはセレナールさんのお腹の子の無事を願った。
「はあ、こんなことだろうと思ったわ」
「リリカ、まだ分からないわよ」
「そうじゃなくて、何かされたのは事実じゃない!セナ王女の時みたいに」
どうして?みんな完食してたよね。味も美味しかったし、中絶薬なんて入ってなかった。それなのに……二度までも罪もない子が……。

2時間後、オペは終わった。セレナールさんは病室のベッドに移された。
「トケイ草だね。トケイ草は毒味では分からないし、2日も経てば体内から消えてしまう。普通の人には害はないけれど、妊娠してる人の体内に入ったら6〜20時間の間に流産するんだよ。セレナールは7週目とはいえ、お腹の子は14週目くらいに育っていたから、初期中絶は出来ず、中期中絶になるんだ。死産届は役所に届けないといかないし、埋葬もしないといけない。また一度だけ聞くね。誰が何のためにこんなことしたのかな?」
みんなは真っ先にセナ王女を見た。
「これがセレナールから取り出した胎児だよ。出来るだけ形を壊さないように心がけたけど、セレナールの身体を優先したらこれが最善策だった」
そんな……頭と胴体が……。
ミナクさん、ユメさん、セナ王女、アルフォンス王子、ヨルクさん、カラルリさんは吐いた。
ラルク、ラルクは!?
「ラルク、大丈夫!?」
「ああ、何ともない。食事会って聞いた時点で何となく予想はしてた」
え、だったら、どうして止めなかったの?ラルク、どうして!!

1時間後、セレナールさんは目を覚ました。
「どうなったの?私の子は?」
「セレナール、流産よ。誰かがあなたにトケイ草を盛ったのよ」
「そんな……いったい誰が……!誰が私の子を殺したのよ!死刑にしてやるわ!!」
セレナールさんは大泣きした。
「残酷だけど、取り出した胎児は死亡届と埋葬が必要だわ」
リリカさんはセレナールさんから取り出された箱に入った胎児をセレナールさんに見せた。
「いやぁあああああああああ!!!!返して!!!生きて返してよ!!!!!」
「姉さん、あんたの子もう死んでんだ。犯人は分かってるから皇帝陛下に罰してもらう。帰ろう」
落ち武者さん、せっかく叔父さんになれるかもしれなかったのに……。
「これは殺人だから帰れないよ。これから警察の取り調べがあるからね」
ハル院長は妖精村警察を呼んだようだ。
私たちは警察官が来るのを待った。ここで白黒ハッキリさせないといけない。犯人には生きて償って欲しい。

気が付けば明け方になっていた。

……

あとがき。

文字数多くなったので一旦区切ります。

セナの時は小説内では大袈裟に書いたものの、セレナールはまた別ですよね。

いったい誰がセレナールにトケイ草を盛ったのでしょう。

もしセナの子が生きていたら……セレナールの子が生きていたら……。でも、一度死んだ人間は蘇りません。
純愛偏差値 未来編 一人称版 37話

《カンザシ》

僕はニンジャ妖精として芸能界デビューしたばかりの芸能人の卵。けれど、僕には音楽の道しかないから、ずっとミュージシャンを続けたいと思う。

デビューしてすぐにファンからの手紙は多く届いたが僕は返事を書かないどころか中身さえみない。けれど、ある1つの手紙からは菜の花の香りがした。とても懐かしくて僕が大好きだった香り。僕は即手紙を開いた。筆跡も見覚えがあった。
あのナミネさんかもしれない。僕の胸は高鳴った。
僕がナミネさんに返事を出した後、ナミネさんとたまたまカフェで再会した。幼く可愛らしかったが一目見た瞬間、僕と深く関わりのあったナミネさんだと確信した。

どれくらい遡るだろう。妖精村半ば頃だろうか。
前世と呼ぶのかは分からないけれど、あの頃の僕は駆け出しミュージシャンをしていた。ほぼ毎日、桜木町でコンサートを開いていたのである。

そんなある日、仕事帰りだろうナミネさんが現れた。白い制服を着て、腰まであるロングヘア。整った容姿。正直、これまで見たことのない、どの女より綺麗だと思った。僕はその日のうちにナミネさんに一目惚れをした。
年齢は20歳前後だろうか。最初は彼氏がいると少し消極的になっていたけど、飲み会の時に彼氏がいないと言っていて、僕は飲み会の途中でナミネさんを連れ出し、告白をした。
『あの、いつも僕のコンサート来てくれていますよね。友達からでいいので、交際を視野に入れてもらえないでしょうか』
『はい、私、カンザシさんと交際します』
ナミネさんはかなり酔っていて、その日は僕のアパートに連れて帰った。

朝起きてナミネさんに昨日のことを覚えているか聞いたら全く覚えていないと言われ、僕はかなりガッカリした。そして、もう一度ナミネさんに告白をし直した。
『昨日も告白したのですが、友達からでいいので、僕との交際を視野に入れてもらえないでしょうか?』
『では、今日からカンザシさんの彼女になります』
告白はすんなり受け入れてもらえた。

告白後、すぐにナミネさんは僕のアパートに引っ越してきた。正直、僕の住んでいたアパートは築50年のワンルームで2人で住むには狭すぎた。

そして、何よりも不安だったのがナミネさんに別れを告げられることだった。僕は、これまで20人ほどの女と交際してきたが、ブランドを貢がされるだけ貢がされ、最後には別れを切り出された。
『ちゃんとシューカツして欲しい』
『売れないミュージシャンだと結婚も出来ない』
『いつ正社員になるの?』
『もう23なんだから夢見るなんて遅すぎ』
『彼氏がニートだなんて恥ずかしくて友達に紹介できない』
誰も僕の夢を応援してくれなかった。

けれど、ナミネさんは違った。
『つまりカンザシさんは芸能界デビューをしたいわけですね?』
『はい……』
『では、私がお手伝いします。生活費は全て私が出しますのでカンザシさんは家事全般をしてください』
『分かりました!』
ナミネさんの給料はかなり良かった。
けれど、ナミネさんは見かけとは違ってかなり気の強い人だったのだ。

いつもナミネさんは、帰るなり玄関に仕事着を脱ぎ捨て、下着姿で畳に寝転び、ポロポロお菓子を零しながらテレビを見ていた。僕は毎日のように、ナミネさんの脱ぎ捨てた仕事着を洗濯機に入れて、お風呂を沸かし、ご飯を作った。
ナミネさんは、お風呂から上がると僕の作ったシチューをポタポタ零しながら食べた。

ある日、ナミネさんを求めたら拒まれ僕は思わずナミネさんに殴りかかったが、逆に返り討ちにあった。
ナミネさんはこれまで誰とも交際はしないそうだ。僕は待つしかないと思ったが、ナミネさんはすぐに許してくれた。ことが終えると僕はナミネさんを抱き締め続けていた。

けれど、機嫌の悪い日の僕は、ナミネさんがすぐに仕事着を脱ぎ捨てっぱなしにすることに苛立ち、殴りかかったが、また返り討ちにあってしまった。
『家事全般はカンザシさんがすると言ったでしょう!誰のお陰で生活が出来ていると思ってるんですか!』
『すみません……』
僕は黙って食事を作った。

その後、ナミネさんから引越しの提案があった。
『このアパートだと2人で住むには狭いし、音楽ルームのあるマンションに引越しませんか?費用は全て私が出します』
『そうします』
僕はナミネさんの好意に甘えた。

ナミネさんが契約したマンションは2人で住むには広すぎる5LDKの高級マンションだった。そこには防音の音楽ルームもあり、僕はそこでいつもギターの練習をしていた。
お風呂も広く毎日ナミネさんと一緒に入った。

ナミネさんが休みの日は、遊園地や美術館、博物館などでデートをし、僕の古いギターも新しいギターに買い換えてくれて、ピアノも買ってくれた。デート費用も全てナミネさん持ちだった。

僕とナミネさんはかなり上手くいっていたと思う。そして、ナミネさんとの幸せはずっと続くと思っていた。
けれど、ある日マンションに帰るとナミネさんはまだ帰っていなかった。夜中になっても帰って来ないから僕は浮気を疑ったが、後日、ナミネさんの死亡届がポストに入っていた。ナミネさんは任務中に戦死したらしい。僕と結婚予定だったナミネさんは遺産を全て僕に遺してくれた。けれど、ナミネさんがいなくなった僕は心に穴がぽっかり開いて、酒に溺れる生活を送るようになっていた。

あの夢のような生活をもう一度……。

そう願っていたら、現世で再びナミネさんと再会出来た。僕は、またナミネさんに恋をした。

レオルもナミネさんを狙っているようだけど、僕のほうがずっとナミネさんを知っている。レオルに家事全般なんて出来るはずがない。それに、演技も下手なのにナミネさんにドラマの主役に出ると自慢して、かなり腹が立った。

ラハルもそうだ。いきなりナミネさんをコマーシャルに誘って何様のつもりだ。僕はいくらオーディションを受けてもドラマもコマーシャルも取れないのに。簡単にコマーシャルとドラマに出ているラハルが気に入らなかった。

けれど、現世でまたナミネさんと再会出来たのは運命だと思った。また、あの頃のように深い仲になりたい。僕はナミネさんと会ったことがきっかけに前より仕事がはかどるようになっていた。

……

あとがき。

ラハルに続いて今度はカンザシの過去編です。

けれど、ヨルクがナミネはカンザシともラハルとも前世で交際していたと知ったらどうなるのだろうか。
ナミネさえもまだ知らない前世。

果てして、この先のナミネの人間関係はどうなっていくのだろう。
純愛偏差値 未来編 一人称版 36話

《ラハル》

前世なんて誰も信じてはいないだろう。それに、人に語れば馬鹿にされる。けれど、僕は鮮明に覚えている。

先日ナミネから手紙があった。
けれど、同じ住所からナナミという人から大量に手紙をもらっていた僕は、もし、僕の知っているナミネでなかったらと思うと切なくなり、返事はしなかった。

そんなナミネが、この前、スタジオに来たのだ。僕はビックリした。中学生と幼かったが、あのナミネに間違いなかった。年頃のナミネの面影がちゃんとあった。

あれは、遠い前世になる。

ナミネは、星空絵画展を開いていた。たまたま立ち寄った僕は、一目ナミネを見るなり一目惚れをした。スタイルは良くて、髪は腰まであるロングヘアを下ろしていて、これまで出会ったことのない美しい女性だった。
僕はその日のうちに声をかけて、連絡先を交換した。

17歳前後だっただろうか。
ナミネはバイト帰りにあるコンサートに行っていると言っていた。カンザシのコンサートだった。
カンザシはかなり整った容姿で、ナミネはカンザシに気があるのかと最初は思った。
僕は慌てて、ナミネに自分も駆け出しミュージシャンをしていたけど、デビューが決まったことを話した。

カンザシのコンサートでカンザシと親しくするナミネを見るたびに胸が傷んだ。

ある日僕はレストランにナミネを呼び出した。
『ナミネ、僕と交際して欲しい』
『はい、私、ラハルさんと交際します』
すんなりOKをもらえた。

その後、ナミネは僕が新しく契約したマンションに引っ越した。

ナミネは帰るなり、仕事着をリビングに脱ぎっぱなしにして、お菓子をポロポロ零しながらテレビを見ていた。
『あ、ラハルさん、おかえりなさい』
『ただいま、今食事作るね』
僕はナミネの脱ぎ捨てた仕事着を洗濯機に入れると、食事を作った。ナミネはカレーライスをポタポタ零しながら食べていた。

ある日僕は聞いた。
『ナミネってこれまで付き合った人いるの?』
『ラハルさんがはじめてです』
最初聞いた時は信じられなかった。このような美しい女性が誰とも交際したことがないだなんて。

ナミネは広いお風呂を嬉しそうによく泳いでいた。

そんなある日、ナミネは僕に家賃を渡した。僕は大金に驚いた。そして、ナミネを心配した。
『ナミネ、何のバイトしてるの?危険なバイト?』
『普通のバイトです』
ナミネはそれ以上は言わなかった。

心配になった僕は、ある日のナミネの学校帰りにナミネの後をつけた。
ナミネは株式会社 伝説武官ということろに入って行った。
ナミネが?武官?どういうことだろう。
僕は気が付いたらナミネの職場の中まで入ってしまっていた。
するとナミネはお菓子をポロポロ零した後、上官による訓練を受けていた。

ナミネは、1日に2つほどの任務をこなしていた。
中には危険な任務もあった。

『ナミネ、バイトやめられないの?』
『仕事が好きなのでやめません』

その後、僕は猫を助けようと道路に飛び出した小学生の女の子を助けようとした時、トラックに轢かれそうになった。もうダメだと思った時、ナミネが片手で女の子と猫を、もう片方の手で僕を抱え、高く飛び上がると、道路の端に着陸した。

僕とナミネは確かに愛し合っていた。
けれど、どんな手を使ったのか、カンザシに無理矢理別れさせられた。

僕は、今でもカンザシを恨んでいる。
人は簡単には変われない。今のカンザシは女遊びに明け暮れている。

なのに、現世でのナミネといるカンザシはやたらナミネに話しかけていた。台本の読み合わせなのかナミネを抱き締めていたし、見ているだけで腹が立った。

僕とナミネが、はじめてのコマーシャル撮影をした後、カンザシは僕に何度も暴言を吐いた。

歌も下手。
演技も下手。
ブサメン。
ナミネさんに気安く話しかけるな。

カンザシはあの頃と何も変わっていない。

ナミネのあの身のこなし方は、やはりあの頃と同じだと思う。僕がよく知っているあのナミネに違いない。初対面で僕はナミネだと気付けた。
ナミネは現世でも武官を目指しているのだろうか。

その後もナミネはスタジオ来た。
僕はすかさずナミネをコマーシャルに誘った。グルグル妖精のラベルのペットボトルを2つ買ったらクリアファイルがもらえ、更に応募したら高価ディナーの食事券が当たるという宣伝のコマーシャル内容だった。
ナミネは緊張しながらもコマーシャル共演をしてくれた。

ナミネが帰った後、またカンザシから憎まれ口を叩かれたが、僕は少しでもナミネとの時間を持てて嬉しく感じていた。

今のナミネは彼氏はいるのだろうか。
ラルクという幼なじみとかなり仲良さそうだが交際しているのだろうか。

何にもない日常の中にナミネが現れてから、僕はナミネを待つという楽しみが出来ていた。

……

あとがき。

ナミネ視点、ヨルク視点に比べたら文字数がめちゃくちゃ変わってしまう。でも、こういう回もあってもいいかなと思いはじめた。
純愛偏差値 未来編 一人称版 35話

《ナミネ》

私は流行りのことには興味がない。
ミナクさんみたいに特定のミュージシャンの曲も聴かなければヨルクさんみたいにアニソンも聴かない。

ナナミお姉様は、グルグル妖精というアイドルグループのラハルさんに激ハマリだが、どこがいいのか分からない。
流行りに着いていけないのもそれはそれで切なかったりする。

そんなある日、コンビニに行くと、最近デビューした忍者妖精さんの缶バッジがあった。その中にカンザシさんというメンバーがいるが、ヨルクさんに瓜二つだったのだ。私は思わずカンザシさんの缶バッジを買った。

そして、ニンジャ妖精のカンザシさんとサムライ妖精のレオルさん、グルグル妖精のラハルさんに手紙を送った。
数日後、カンザシさんとレオルさんから返事が来た。2人ともサイン入りの写真、ライブチケット、連絡先の記載された名刺を入れてくれていた。でも、手紙もサインも本人が書いたのか分からない。ちなみにカンザシさんからは、1人で駆け出ししていた頃のCDも入れてくれていた。

サムライ妖精さんのライブは先日みんなで行ったところだった。しかし、デビューして2年か知らないけど、あのような高級なマンションに住むことが出来るのだろうか。

それにしても、やっぱり手紙が本人が書いたのか気になる。

私は確認のためにカンザシさんにテレビ電話をかけた。
『はい』
一般人の電話に出るんだ。
「おはようございます!」
『あの、どちら様でしょうか?』
あれ?私も着物姿のサイン入り写真入れたはずなのにな。入れ忘れたのだろうか。
「先日、お手紙送ったナミネです!」
『あ、ナミネさん。返事届きましたか?』
「はい、届きました!」
髪は灰色に染めているけど、やっぱりヨルクさんに似ている。
『良かったです。ナミネさんは手紙の文字からもう少し大人の方かと思っていたのですが、まだ中学生の可愛らしい方なんですね』
あれ、筆跡を可愛い系にするの忘れていたのかな。
「中学1年生です!」
『青春の真っ只中ですね』
「カンザシさんは、皆さんにお返事書いているのですか?」
『流石に量が多すぎて全員には書けないです』
そっか。公式デビューしたらそれだけファンも着くというものか。
「私、カンザシさんの駆け出し時代の音楽好きです!」
あの曲、どっかで聴いたことあるんだよな。どこで聴いたのだろう。
『嬉しいです。あ、マネージャーさんから連絡入ったので切ります』
「はい、頑張ってください」
私は電話を切った。

うーん、分かんないや。
ヨルクさんに似てるから気になって手紙送ったけど、やっぱりヨルクさんのほうが、いつも優しくて好きだな。
それでも、私はカンザシさんを他人と思えない自分がいた。

そんな私は今、学校を休んでオシャレをして、ラルクと虹色街のある高級カフェにいる。
完全に許したわけではないし、もう誰のことも助けなくなったけれど、全く話さないのも何だかそれはそれでぎこちないし、誘うだけ誘ってみたら着いてきたのだ。
「その後、セレナールさんとはどう〜?」
「セレナール先輩からはいっぱいメール来るし、クレナイ家にも頻繁に来るけど、交際前のような想いは薄れてるかも」
あんなに愛し合っていたのに、もう別れの予感だなんて流石に早すぎる。
「ふむふむ、カップルの危機ですな」
「ナミネが許してくれるのずっと待ってた。もう二度とあんなことしない!」
「うん、全然許してないけどね」
許さないよ。末裔まで呪ってやる。
「ナミネさんですよね?」
「あ、レオルさん!」
「おい、レオル、知り合いか?」
あ、カンザシさん。やっぱりヨルクさんとは全然似ていない。ヨルクさんはカッターシャツにベスト、スリムズボン履いてるけど、カンザシさんはダボダボのワイドパンツにトレーナーに黒いカーディガン着てる。
「この前、サムライ妖精のライブに来てくれたナミネさんだよ」
「ナミネさん……」
私は微笑んだ。
「ナミネさんの着物姿素敵ですね。あれ、自分で撮影したんですか?」
「はい、そうです!」
レオルさんとカンザシさんは私の隣に座った。
「ナミネさん、僕にも写真ください」
「あ、やっぱり入れ忘れていましたか」
私はショルダーバッグから写真を出してカンザシさんに渡した。
「ナミネさんは着物がよく似合いますね」
「ありがとうございます!皆さんは打ち合わせか何かですか?」
「はい、ニンジャ妖精さんとテレビでコラボ出演するので、その打ち合わせに来ました」
「ナミネさんって、お嬢様ですね」
「そんなことないです!普通の中学生です!」
ニンジャ妖精さんとサムライ妖精さんて仲良いのかな。でも、芸能界にいれば、コラボもあるか。
「この後、スタジオ行くんですけど、見学しますか?」
「行きます!あの、ラハルさんもいますか?」
「ラハルのファンなんですか?」
「はい、姉がラハルさんの大ファンです!」
「そうですか。ラハルは台本の読み合わせしてると思うので案内します」
そっか。ラハルさんて役者もしているのか。ラハルさんだけ返事来なかったし、忙しいのかな。
「ありがとうございます!」
「ナミネさんて、やっぱり可愛いですね」
あえて言われると照れるな。
「おい、レオル、恋愛禁止だからな。それに彼女とはどうなったんだよ!」
「別に付き合ってないし、向こうが勝手に勘違いしてただけだし、カンザシのほうこそ、女遊びやめなよ」
芸能界は芸能界で人間関係色々あるのかな。ラルクはクリスタルカードで会計を済ませ、レオルさんはニンジャ妖精さんの分もシルバーカードで支払いをしていた。

スタジオに着くとラハルさんはいなかった。
「ラハルまだ来てないみたいです」
「あ、そうですか。来るまで待ちます」
ラハルさんのことはナナミお姉様だけでなくて、リリカさんもハマっているんだよね。いきなり来て、サインくれるだろうか。
「ナミネさん、台本読んで見ませんか?」
「あ、はい、読みます!」
私がヒロイン役か。カンザシさんも俳優業しているのだろうか。それより試したい。私はいきなりカンザシさんを押し倒した。
「カンザシさんにとって私は何番目なの?」
私は涙を流した。やっぱり突然押し倒したからびっくりしたよね。
「ナミネさんだけです。誤解させてしまってごめんなさい」
「嘘……ホテルから女の人と出てくるところ見たんだよ。ねえ、どうして……私を騙してたの?」
うーん、やっぱり密着しても何も感じないや。そりゃそうか。顔似てるだけでは当たり前か。でも、何だか他人とは思えないんだよな。
「あれは、食事をしていただけです!本当に信じてください」
私は手で涙を拭って起き上がった。
「一度だけ……だよ……」
「ナミネさん、好きです!」
カンザシさんは私を抱き締めた。
うーん、ヨルクさんに抱き締められるのとは全然違う。
あ、ラハルさんだ!私はカンザシさんを振り解き、ラハルさんに駆け寄って、ラハルさんの写真を撮った。
「ナミネ、流石に無断で撮るのは不味いだろ」
「ラハル、ナミネさんがずっと待ってたんだぞ!」
「ナミネって?」
「私です!先日お手紙出しました!」
気付いてくれるかな?
「いつも頻繁に手紙くれる子?」
「いえ、先日出した1通だけです」
「それってこれ?」
えええええ!何で持ってるの!?何か怖いんだけど。
「はい、それです」
「住所同じだから、いつもの子かと思った」
ナナミお姉様のことか。
「あ、それ姉です。ラハルさんの大ファンで、ライブも欠かさず行っていて、グッズも全部持ってるんです!」
「そっか。あのさ、今からコマーシャル撮影なんだけど、相手の子来なくて、ナミネ代わりに出てくれない?」
「は、はい、私で良ければ」
とは言ってみたものの、いきなりコマーシャル撮影なんて上手く出来るだろうか。けれど、時すでに遅し。私はスタイリストさんに髪などをセットアップしてもらって、衣装も着せられた。
何だかキャンペーンガールみたい。
「こっち来て」
「は、はい」
ラハルさんてクールというか、あまり人に興味無いのだろうか。私は渡されたコマーシャルの台本を見た。カップルのマグカップのコマーシャルなんだ。何だか緊張して来た。

そして、コマーシャルの撮影は始まった。
「モルモット妖精のペアマグカップ コマーシャル撮影 スタート!」
私はカーテンを開けた。
「今日は雨かあ……お散歩出来ないですね」
「ナミネ、コーヒー入れたよ」
私はソファーに向かいラハルさんの横に座った。
「可愛い!でも、こんなマグカップありましたっけ?」
「付き合って1年記念だから、プレゼント」
私はマグカップを手に取った。
「ありがとうございます!とても嬉しいです!あれっ、これって、もしかしてペアですか?」
「うん、ナミネとのお揃いが良かったから。これからもよろしくね」
「こちらこそよろしくお願いします」
私はコーヒーを1口飲んだ。
「外は雨だけど、こんなふうに過ごすのもいいですね」
ラハルさんは私の肩を抱いた。
何だろう。初対面なのに、とても懐かしい感じ。ラハルさんといると落ち着く。
私はラハルさんにもたれかかった。
「モルモット妖精のペアマグカップ 絶賛発売中!」
「モルモット妖精のペアマグカップ 絶賛発売中!」
最後に、私とラハルさんは笑顔で声を揃えた。
「カット!OK!」
はあ、何とか終わった。あ、サイン、もらわないと!

「ラハルさん、サイン2枚お願いします!宛名はナナミお姉様とリリカさんです!」
「ああ、あの2人。フェアリーZ広場で、しょっしゅう話しかけられる」
ラハルさんは色紙を2枚私から取るとサインを書いた。
「はい、2人はもうラハルさんを軸に回っているんです!」
「はい、これはナミネにあげる」
えっ、写真付き直筆サイン。いいのかな。
「あ、ありがとうございます」
「それと、コマーシャル出てくれたから、このマグカップあげる」
「えっ、いいんですか?モルモット妖精大好きなので嬉しいです!」
私はラハルさんから色紙とペアマグカップと……名刺?を受け取った。
「ナミネ、また一緒にコマーシャル出よう」
「は、はい、私で良ければいつでも!」
「じゃあ、ドラマ撮影行ってくるよ」
「頑張ってください、ラハルさん〜!」
ふう、緊張した。少し休もう。

「ラルク、お水」
「ここ出たら直ぐにあるだろ」
「ラルク、どう思う?」
「もう双子レベルだな」
その時、カンザシさんが私とラルクにお茶をくれた。
「あ、すみません」
喉が渇いていた私は、すぐにお茶を飲んだ。
「あ、カンザシさん、黒髪時代の写真送ってくれませんか?」
「分かりました」
カンザシさんは私に黒髪時代の写真を私に送った。私は携帯を斜めに向けてラルクに見せた。するとラルクからメールが来た。
『もう本人だな』
黒髪時代のカンザシさん、ヨルクさんと入れ替わっても誰も気づかなさそう。身長も大して変わんないし。
「ナミネさんは芸能人目指してるんですか?」
「あ、いえ、全く目指してないです。あ、カンザシさんもドラマとか出るんですか?」
「まだデビューしたてなので、今は出ませんが俳優業もするつもりではいます」
そっか、カンザシさんも役者目指してるんだ。
「僕、伝説のヒーローというドラマの主役で伝説初級武官演じます!」
レオルさんも俳優業やってるんだ。芸能人って歌うだけでなくて、色々やるんだなあ。
「そうですか!レオルさんのドラマ見ます!」
「レオルって演技下手なのにドラマの主役とか視聴率取れないだろ」
「カンザシって何の努力もしてないのにすぐに人の悪口言うよね」
この2人、仲悪いのかな。あれ、さっきまでいた宮廷の衣装着た人とか、チャンバラしてた人たちがいなくなってる。
「ナミネ、ちょっとトイレ行ってくる」
「分かった」
その時、別のグループが入って来た。

え、カンザシさんの目の前に立った?友達かな。
「はーい!この中で、コイツと変わるってヤツは手を上げろ!20秒だ!」
「あの、どちら様でしょうか?」
「タツマキ妖精。覚えといてね」
「分かりました!」
タツマキ妖精さん……聴いたことないな。ふた昔前なら、こういうミュージシャンいなかったのに。
「で、コイツと変わってあげられる人いるわけ?」
カンザシさん震えてる。
「た、助けて……」
誰も手を挙げなかった。私はヨルクさんを思い出し、咄嗟に手を挙げた。
「仲間は見捨てたけど、彼女には見捨てられなくて良かったな」
「ナミネさん、手を下ろしてください」
私は何も答えなかった。
「じゃあ、彼女に20秒スタート!」
私はタツマキ妖精の人に火のついたタバコを押し当てられた。
「彼女、根性あるじゃん。カンザシなんか毎回泣きながら悲鳴あげてるよな」
「どうしてカンザシさんにそんなことするんですか!」
「ナミネ!」
「ラルク!」
ラルクは私にタバコを押し当てているタツマキ妖精を花札で拘束して、羽子板で肩を叩いた。
「ゆ、許して欲しい。こっちが彼氏だとは分からなかった」
何なの、この人たち。その時、伝説初級武官が5人ほど入って来た。今度は誰を狙っているの?
そう思っていたら真っ先にカンザシさんを攻撃した。
「カンザシ、お前どれだけ敵作ってんだよ」
タツマキ妖精さんの他のメンバーは笑ってる。何だかこういうのやだ。私が百人一首で取り囲んだ後、ラルクが花札で伝説初級武官を拘束した。
私とラルクは羽子板を持った。
「で、どうしてカンザシさん狙ったんですか?」
「答えないなら拷問しますよ!」
伝説初級武官は何も言わなかった。
「ラルク!」
ラルクは1人を羽子板で叩いた。まとめて拘束されてるから、1人叩けば他の人にも電流が通るはず。
「カンザシに弄ばれた女に頼まれた」
「でも、伝説初級武官1人雇うのに1000万円はかかりますよね!お金どうしたんですか!」
「公爵令嬢だ」
「なるほど、余裕でお金出せる人に雇われたというわけですね」
「失敗しても前払いだしな」
けれど、失敗したら解雇されるだろう。この人たち、その後の暮らしどうするんだろう。これまで稼いだお金で繋ぐのかな。
とりあえず、私とラルクは伝説初級武官を警備員に引き渡した。

あれ?ラハルさん?
「ナミネ、大丈夫?」
「は、はい、大丈夫です」
ラハルさんは私の手を手当した。ラハルさんて本当は優しいんだ。やっぱり何だか懐かしい。
「カンザシ!いい加減にしろ!」
「あ、別にカンザシさんのせいじゃないです」
「ナミネさん、すっごくカッコイイです!伝説武官知ってるんですか?」
「全然知らないですが、レオルさんがドラマに出るて言っていたので調べていました」
うーん、もう帰らないといけないしな。心配だけど、また人も増えて来たし大丈夫かな。
「あ、手当てありがとうございます。私とラルクはそろそろ帰ります。また来ます」
そう言うと私とラルクはニンジャ妖精さんとサムライ妖精さん、ラハルさんに手を振り、スタジオを出ると、ナノハナ家ヘリコプターで紅葉町まで戻って行った。

その夜、私とヨルクさんはソファーに座りながらテレビを見ていた。
「ナミネ、今日学校休んだみたいだけど具合悪かったの?」
「いえ」
流石にカンザシさんと会ったなんて言えないや。
「ナミネ、それどうしたの?ペアマグカップだよね?」
「ラハルさんからもらいました」
「ナミネ、スタジオに行ったの?」
「はい」
「そっか、ペアマグカップは一緒に使おうね」
「はい」
ヨルクさんは私を抱き締めた。私はヨルクさんの腕の中で眠ってしまっていた。ヨルクさんの紅葉の香り……大好き。

……

あとがき。

他にも書きたい場面いっぱいあったのですが、もうまとめて会わせる人と会わせちゃいました。小説の時間だと2ヶ月早いですが。

ヨルクと顔が瓜二つのカンザシ。
ナミネはカンザシにも心揺れるのだろうか。

まだまだキャラクターはいます。
まだまだ行かなくてはいけない場所もあります。

ナミネたちは無事に、古代にリンクする場所に行けるのでしょうか。
Copyright (C) 2009 雨の音を聴きながら, All right Resieved.
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