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日常のこととかオリジナル小説のこととか。
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プロフィール
HN:
ashita
Webサイト:
性別:
女性
職業:
地主(土地貸してます)
趣味:
漫画やアニメを見るのが好きです。最推しはフーディーニ ♡
自己紹介:
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ブログ、もう書かないと思ってました。

けれど、去年から書き始めた小説によって、過去に書いてた小説も書き始め、ここに載せることにしたのです。

小説は、主に『時間と時間を繋ぐ恋の物語』と『妖精村と愉快な仲間たち』をメインに書いています。
現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。

純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。

元々このブログは病気の記録用として立ち上げたものですが、小説載せるようになってからは、ここは出来るだけ趣味的なことを綴りたいと思っております。
病気の記録や様々な思いを綴るブログは移転済みなのです。

ただ、今は日記は個人的な徒然、或いはお知らせとして綴ることが多いかと思います。

小説、ぼちぼちマイペースに書いてゆきます。

よろしくお願い致します。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

お知らせ。

イラストは現在「ナノハナ家の日常」に載せております。サイドバーにリンクあります。

また、「カラクリよろずや」にてフリーイラスト素材について考えるブログはじめました✩.*˚
不定期に更新していく予定です。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

模倣・無断転載などは、ご遠慮ください。

ブログの小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。

小説・純愛偏差値に関しましては、武家名・貴族名(程度による) / 及び、武官の階級 / 扇子・羽子板・花札・百人一首・紙飛行機などのアイテム使用方法の模倣の一切を禁じております。

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X @kigenzen1874

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〈資格履歴〉

2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
→茶道アドバイザー 合格
→お点前インストラクター 合格
2025年04月17日
→着物マイスター 合格
→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
→サイキックアドバイザー 合格
→サイキックヒーラー 合格
2025年07月01日
→アンガーカウンセラー 合格
→アンガーコントロール士 合格
2025年08月04日
→漢方コーディネーター 合格
→薬膳調整師 合格

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〈資格証明バナー〉

宝石鑑定アドバイザー資格認定試験資格取得証明
鉱石セラピスト資格資格保持証明
茶道アドバイザー資格認定試験資格取得証明
お点前インストラクター資格資格認定証
着物マイスター®資格認定試験資格取得証明
着付け方インストラクター資格資格認定証
サイキックアドバイザー®資格資格証明
サイキックヒーラー資格資格保持証明
アンガーカウンセラー®資格資格保持証明
アンガーコントロール士資格資格認定証
漢方コーディネーター®資格認定試験資格保持証明
薬膳調整師®資格認定試験資格保持証明
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純愛偏差値 未来編 一人称版 34話

《ヨルク》

一度壊れたものは二度と元には戻らない。
ナミネが私に買ってくれたスフェーンのネックレスのように。せっかくナミネが買ってくれたのに、私はナミネに酷いことを言ってナミネを傷付け怒らせてしまった。もう一度、ナミネが私にスフェーンのネックレスを買ってくれた時に時間を巻き戻したい。今でもバラバラになったスフェーンを思うと涙が止まらない。

どうしてナミネにウザイと言ってしまったのだろう。後悔してもしきれない。そして、私は気付いた。いかなる時も気を緩めてはいけないのだと。傷を背負ったナミネと交際していくには、適当な言葉や適当な態度でナミネを傷付けてはいけない。

あの後も、ナミネに何度も謝った。ナミネは
『ウザイって暴言ですよね?いやなことがあればすぐに言葉の暴力ですか?優しい言葉で意見を言うことさえ出来ないのですか?ヨルクさんの出方次第では破談します』
と言った。
私はナミネの正論に返す言葉もなかった。
あの時、優しい言葉でナミネに意見をしていれば、ナミネは気分を害さずスフェーンは壊されなかった。ウザイだなんて誰が言われてもいやな気持ちになる。あの時の私はナミネは怒らないだろうとナミネとちゃんと向き合わずに、ウザイと言ってナミネをあしらった。何度自分を責めても自分を許せなかった。私は壊されたスフェーンを思い出すたび、何度も嗚咽をあげて泣いた。

誓約書を守ると決めたのに、どうして守れないのだろう。ナミネとは絶対に別れたくない。破談にされないためにも、ナミネには二度と適当な態度であしらわず、ちゃんと話し合うことを心に誓った。
けれど、ナミネはまた私を試すはずだ。忘れた頃にも試すだろう。それに打ち勝たなければ破談にされてしまう。

昼休み。
私たちはいつもの広場に集まった。
「私のお母様とクレナイ家のお母様が皇帝陛下の刻印付きで皆さんに誓約書を渡したと思います。これを破れば皆さんは皇室で罰を受けることになるでしょう。これも全て皆さんが自分のことしか考えず全て私に丸投げした結果です。それでは、今から誓約書を実際に守れるのか試します」
やっぱりナミネは相当怒っている。今までのみんなの態度に。そして、ラルクが無理矢理ナミネを囮にしたことに。
ナミネは、クラフ、ユメさん、ミナクお兄様、落ち武者さん、カラン王子を除くみんなに羽子板で思いっきり脇腹を叩いた。物凄い電流が身体を走る。耐えきれない。
「1人でも蹲れば、蹲まらなくなるまで行います」
みんなは何も言わず耐え抜いた。
「あ、それとセレナールさんの使用済み靴下、全てのクラスの教壇に名前書いて置いておきました。セレナールさんて汗かくと物凄い体臭なんですね。ほら、セナ王女、嗅いで見てください」
ナミネはセレナールさんの使用済み靴下をセナ王女に投げた。
「うっ、臭すぎる。無理だわ」
セナ王女は隣のアルフォンス王子に渡した。セレナールさんは涙を流していた。けれど、誰も助けようとはしなかった。
「ヨルクさん、クラスメイトの生理の女子のパンツを奪ってきました。後で返しておいてください」
追い剥ぎか。ナミネは私にクラスメイトの生理のついた下着を投げた。めちゃくちゃ気持ち悪い。触りたくない。
「うん、分かった。後で返しておくね」
ここでナミネの機嫌を損ねさせるわけにはいかない。私は生理のついた下着をビニール袋の中に入れた。
「皆さんの自分さえ良ければいい思考にも苛立っていますが、ラルクのセレナールさん救出囮作戦は許しがたいものです。この先ラルクの発言によってはセレナールさんの未来の保証はありません」
セレナールさんは何も言えずその場に泣き崩れていた。
「それと、今セレナールさんのクラスメイト全員にセレナールさんとラルクのFメモリイ動画を送りました。クラスメイトも喜ぶことでしょう」
やっぱりラルクがナミネに囮をさせたことでナミネの病状はかなり悪化している。セレナールさんの携帯にはいっぱい着信音が鳴り、そのたびにセレナールさんは怯えた。
「あんたら無様だな。散々強気なナミネに助けられておいて、礼も何もせず文句ばかり言って強気なナミネ追い詰めたからこうなったんだろうがよ!せいぜい、強気なナミネの気が済むまで耐え抜くんだな!」
「ナミネ、ごめんなさい。わざとあなたを悪く言ったわけじゃないの。ただ、ラルクと仲良くして欲しかったの」
その瞬間、ナミネは熱湯をセレナールさんにかけた。セレナールさんは悲鳴をあげた。そこへナヤセスさんが駆け付け、セレナールさんの手当をした。
「カナエさんはセレナールさんにアルフォンス王子と別れてと言われた時は別れなかったのに、いざ自分が同じ立場になればセレナールさんにラルクと別れろと言いましたよね?」
「ナミネ、あの時はカナエも混乱していました」
「言い訳しないでください!!」
ナミネはカナエさんのネックレスとブレスレットを壊すと、呼び出しカードでヨナラタスさんを呼んだ。
「カナエさんを女ウケしないデブ大学生にイジワルさせてください」
「分かった」
「やめるのです!カナエは言い訳なんかしていません!」
その瞬間、3人の大学生がカナエさんをイジワルした。
「カナエ!!」
「来ないでください!!!」
カナエさんはアルフォンス王子を拒絶するなり泡を吹いて倒れた。ナミネはカナエさんに水をかけてカナエさんの意識を取り戻させた。
「カナエさん、回された気分はどうですか?」
カナエさんは震えながら何も言わなかった。
「では次にセレナールさんの第3を傷付けてみましょう。では、ラルク、これをセレナールさんに使用してください」
「待って!私は第2もまだなの!」
「言い訳しないでください!」
ラルクは無言でセレナールさんに私が渡したものを使用した。
「痛い!いやぁああああああ!!!!」
「そこまでだ!」
ヨナラタスさんがストップをかけた。
「セレナールの第3が割れた。このままだと5分後に突然死する」
「なるほど、セレナールさんとラルクは100%の愛情ではなかったわけですね。では、ヨナラタスさん、第3にヒビが入った程度に戻しておいてください」
「分かった」
セレナールさんは大量に出血をしていた。
「これで分かりましたか?恩を仇で返せばこうなるんです。人を陥れたら自分が陥れられるのです。二度と私を陥れないでください」
みんなは何も言わなかった。ナミネの心の傷は思ったより深い。というより、元々ある傷にラルクがナミネに追い打ちをかけて、逃げ場のなくなったナミネは、みんなに何倍返しもしたのだろう。
「ナミネ、やりすぎじゃないか?」
「委員長も同じことしたよね?委員長は良くて私はダメなの?ユメさん襲わせちゃおうかな」
「ごめん……、ユメのことは傷付けないでほしい」
「委員長ってワガママだね。たかが数人程度にユメさん襲われただけで、サユリさんに仕返しして。私はラルクに50人のところに無理矢理突っ込ませられたのに。50人に襲われそうになったのに。ムカつく。ここにいる女性陣みんな50人にイヤガラセさせようかな」
「ナミネ、僕が悪かった!ナミネが囮になってる間何も出来なかった。みんな何もしなかった。罰を受けるのは当然だと思う。でも、ユメだけはどうか見逃して欲しい」
本当、ナミネが50人もの伝説初級武官に襲われそうになっている間、みんなどうして助けようともせず傍観していたのだろう。
自分さえ良ければそれでいい。
それがナミネの心に火に油を注いだんだ。
「では今後も抜き打ちテストは定期的に行います。恩を仇で返したなら、もっと苦しんでください。もっと傷ついてください」
そう言うとナミネは去って行った。

あの後、セレナールさんはハルミ先生の車で月城総合病院に行った。手術は成功したが、ラルクに第3を破られたショックでラルクとの今後の関係に亀裂が入るかもしれない。
カナエさんがナミネの命令でヨナラタスさんが連れて来た大学生にイジワルされたことは、その直後、ナミネがヨナラタスさんに、なかったことにさせたみたいだが、カナエさんの中で記憶は残りカナエさんはアルフォンス王子をまた避けはじめた。アルフォンス王子はやっとカナエさんと元の中になれたのに、また悲しみの渦に包まれた。
私はクラスメイトに下着を返したら、履くものもなく血は流れるばかりで汚れてしまったと引っぱたかれた。

5限目をサボって廊下を歩いていたらナミネが誰かと理科室に入って行った。心配になった私は理科室の扉を少し開けて中の様子を伺った。
「このようなことをして、あなたは幸せになれましたか?逆に恨みやその他いやな感情のほうが大きくなったのではないでしょうか?」
「そうかもしれません……でも、あの時は仲間に裏切られたショックで混乱しました」
「靴下はともかくとして、動画は名誉毀損に値します。いつ誰に訴えられても仕方ないでしょう」
セレナールさんの知り合いだろうか?
「私もやりたくてしたんじゃありません!もうどうしようもないんです!人の汚さに触れるたびに傷付き、人の裏切りに触れるたびに苛立ってコントロール出来なくなるんです!」
ナミネ、いっぱい辛かったんだね。心の中ではいつも『助けて』と叫んでいたんだね。婚約者としてもっと相応しい人間になるから。必ずナミネを悲しみの渦から救ってみせるから。
「そうですか。あなたのプライベートなことは分かりませんが、回復にはそれなりの時間がかかるでしょう。それは5年後、10年後、或いは1年後、いつかは誰にも分かりません。仲間のことはもう助けないで構いません。それが発端なのですから。寧ろこれからは、あなたが傍観者となってください。今のあなたは幸せなことのみをすることに集中してください。わざわざ周りを混乱させるようなことをするのはオススメ出来ません。人を傷つければ多かれ少なかれ自分も傷つきますので」
いくら正論でも、今のナミネにはそんなの通用しない。ナミネは普通には生きられない。
「分かりました……」
「今回は動画も全学年の携帯から削除しましたし、あなたを見逃しますが、次に同じことをしたら通報します。場合によっては少年院行きになるでしょう。セレナールさんを病院送りにしてますし。誓約書も僕が皇帝陛下に書いてもらったものに変わります」
「はい……」
新しい誓約書?ここからでは見えない。皇帝陛下に書いてもらえるだなんて貴族なのだろうか?
「話は以上です。後は当事者で話し合うなりなんなりしてください。僕はあくまで1年5組を守ることが今の仕事ですので」
「助けてください……」
「これが僕の連絡先です。話くらいしか聞けないでしょうけど、連絡したいと思ったらしてきてください」
名刺だろうか?何かをナミネに渡している。
「ありがとうございます……」
男子生徒が理科室を出ようとしていたから、私は慌てて理科室の横に回った。男子生徒が去った後、私は理科室に入った。

「ナミネ!」
「ヨルクさん!」
私はナミネを抱き締めた。
「ヨルクさん、私に未来はないかもしれない。少年院送りになるかもしれない」
「絶対そんなことさせないから!私がナミネを守り切る!」
その時、ナミネの携帯が鳴り、ナミネは携帯を開いた。ナミネは驚いている様子だった。
「ナミネ、どうしたの?」
するとナミネは、私に携帯画面を見せた。ヨナラタスさんからだった。
『初代天使村でナミネたヨルクは結婚するが、結婚して3年後、ヨルクは謎の突然死をし、ショックを受けたナミネは3ヶ月後に自殺した。ナミネはそれがトラウマとなり、天使村時代の大半、結婚後はヨルクへの想いに耐えきれず入退院を繰り返し、若くして衰弱死していた。現世でもヨルクがいなくなる不安からヨルクを縛り付け、仲間に危害を加えている』
そんな……。私が原因でナミネはずっと病んできただなんて……。だから、最後の天使村でナミネは私を好きにならないよう番人にお願いをしたのか。でも、突然死ってなんだろう。殺されたのだろうか。それとも自ら命を絶ったのだろうか。いや、ナミネを置いて死ぬはずがない。だとしたら、やっぱり暗殺とかだろうか。
「ナミネ、私はもう死なないからね。一緒に遠い昔の幸せ取り戻そうね」
「ヨルクさん……」
ナミネの菜の花の香り。小さい頃から大好きだった。ナミネを不幸になんかさせない!時間をかけてでもナミネに幸せな世界を見せる!

放課後、セレナールさんの送り届けの途中で武官がカナエさんとセレナールさん、セナ王女、ユメさんに襲いかかった。ナミネは襲われる前に逃げ切って少し離れたところから何もせずみんなが襲われている様子を傍観している。私も助ける気にはなれず、何もしなかった。けれど、どうしてラルクはセレナールさんを助けないのだろう。
セナ王女はどうにか自力で脱出したものの、残りの3人はもう間に合わないというところまで来ている。
「ラルク、助けて!」
「やめるのです!」
「いやー!助けてー!」
クラフはユメさんを助けようとしたが、武官に突き飛ばされてしまった。ダメだ、間に合わない。
「カナエがアルフォンス王子と別れたら解放する」
やっぱり、カナエさんが標的だったのか。けれど、どうして第1王子より第5王子のアルフォンス王子がここまで重視されるのだろう。それも庶子なのに。
「カナエ、アルフォンス王子と別れて!」
「カナエ、お願い!アルフォンス様と別れて!」
「カナエは別れません!」
カナエさんもギリギリなのに、それでも別れないだなんて……。もう間に合わないというところで、武官たちは突然去って行った。
「ナミネ、どうして助けてくれなかったのよ!傍観は犯罪よ!警察行きましょうか!」
セレナールさんはナミネの腕を掴んだ。ナミネはセレナールさんを背負い投げした。
「ナミネ、どうしてカナエを助けてくれなかったのですか!仲間を見殺しにする気ですか!ナミネはイタズラ魔と同じです!」
「ナミネ、酷いわ!自分さえ助かればそれでいいの?」
セレナールさんもカナエさんもユメさんも、ナミネが襲われている時は何もしなかったのに、いざ自分が襲われたら揃ってナミネのみのせいにする。何て卑怯な人たちなのだろう。
「ユメ、やめよう。ナミネが襲われた時、僕たちは何も出来ずナミネ1人が対処したんだ。もうナミネは誰も助けない」
「クラフ!仲間を見捨てるなんて犯罪よ!訴えてやる!」
本当にムカつく!どうしてみんなナミネだけを責めるの!
「ナミネ、どうしてカナエだけでも助けてくれなかった!セレナールやユメさんは見捨ててもカナエだけは助けるべきだろう!このことはお父様に報告する!罰を受けるがいい」
その時、セレナールさんとカナエさんの携帯が鳴った。2人は携帯を開いた。
「ナミネ、ごめんなさい。さっきは襲われたばかりで気が立っていたわ。許して」
「ナミネ、ごめんなさいです。カナエも襲われて混乱していました」
さっきとは真逆の反応。いったい何があったのだろう。その時キクスケさんからメールが来た。
『ナミネさんは高等部 1年5組の委員長であるロングさんに録音を送信しました。その結果、ロングさんはセレナールさんとカナエさんに侮辱罪に該当し、刑法で有罪になれば少年院送りになる可能性もあると注意をしました。
しかし、ユメさんとアルフォンス王子を説得する人はいないので、ナミネさんはイジメまがいのことにあうかもしれません』
あの人は委員長だったのか。それにしても、ユメさんもアルフォンス王子もなんて汚い人なのだろう。
「ナミネ、警察行くわよ!」
「やめて!ユメさん!そんなことしたら、私たち少年院送りになっちゃう」
「やめるのです、ユメさん!カナエは犯罪者になりたくありません!」
「お父様には報告した。F938があるからカナエは少年院送りにはならない。ナミネ、カナエを救わず傍観していた罪を償うがいい。少年院に入るのはナミネだ!」
本当何なの!いざとなればナミネを責めて。ナミネは何もしてないじゃない!
「あんたら、自分らの状況分かってんのか?姉さんのクラスの委員長は既に強気なナミネの無罪を皇帝陛下に認めさせている。ユメと平凡アルフォンス、あんたもう終わりだ。今頃ナノハナ家の家族が王室に抗議してるだろうな」
「ねえ、ロングさんて貴族なの?」
「GMグループの御曹司だ!」
GMグループ。シューカツするなら誰もが憧れる大企業。そんなお偉いさんの息子だったのか。皇帝陛下の名前を出された途端ユメさんとアルフォンス王子は黙り込んだ。けれど、アルフォンス王子のせいで王室は窮地に立たされることになる。

その後、ナノハナ家のお母様が直接王室に出向き、国王にあの時の録音を聴かせ、セイさんの母親を裁判にかけるしアルフォンス王子を皇帝陛下によって廃位にさせると怒鳴り、国王は王室の3分の1の財産をナノハナ家に渡した。
その結果、王室は酷く傾き、国王が変わるとも噂された。セナ王女たちの別荘は売りに出され、カラン王子は王妃の実家が契約した別荘に住むものの、セナ王女とアルフォンス王子は築30年の2DKのアパート住まいとなった。

口は災いの元と言うが、私はもはや誰にも同情することは出来なかった。ナミネが笑顔でいてくれたらそれでいい。他の人なんてどうにでもなればいい。ナミネと2人で幸せを築く。
「ヨルクさん、お腹すきました」
「今作るからね、ナミネ」
私とナミネを抱きしめた後、ナノハナ家のキッチンで夕ご飯を作りはじめた。

後で知った話だが、皇帝陛下とナノハナ家のお母様は同級生で、皇帝陛下はナノハナ家のお母様に片想いをし続けていたらしい。

……

あとがき。

なかなか人のことまでまわりませんよね。
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純愛偏差値 未来編 一人称版 33話

《ナミネ》

動物園のレストランでラルクから『囮になれ』と言われてから、私はラルクと縁を切った。けれど、何度もラルクのことを考えてしまう。それでも、私はラルクを許すことは出来なかった。
セレナールさんさえ助かれば、私の人生は壊れてもいいだなんて許せるはずがない。

カナエさんは、あの日からアルフォンス王子を極度に避け、セリルさんに泊まり込みでキクリ家に来てもらっているそうだ。けれど、あまり同情は出来ない。セレナールさんが襲われた時はアルフォンス王子と別れなかったくせに、いざ自分が襲われたらセレナールさんにラルクと別れろだなんて、カナエさんて狡い。

セナ王女もカラルリさんもみんなみんな狡い。

そんな私は昨日の今日だが、新しく出来た紅葉町ショッピングモールに来ている。ヨルクさんには服を買ってもらった。

レストランに入るなり、遠い遠い前世の落ち武者さんの彼女である貴族のエルナさんが現れた。落ち武者さんも恋愛してたんだ。またエルナさんと付き合うのかな。

「ヨルクさん、モンブランのケーキが食べたいです」
「勝手に注文して!」
ヨルクさんて、すぐに機嫌損ねる。たかがパンツ1枚で。
「落ち武者さん、モンブランのパフェ、一緒に食べませんか?」
「別にいいけど?」
「もう、分かったから、モンブランのケーキ注文したらいいんでしょ」
たかがパンツ1枚で気まずくなってしまった。ヨルクさんに冗談は禁忌だ。
「はい」
「安全海域っていっぱいアルバム出しているのね。DVDまで……」
「そうですね。一気に買うというよりかは、まずは、ファーストアルバムから追いかけて言って欲しいです。ただ、ファーストアルバムは微妙なのでセカンドアルバムも同時に買うことをオススメします」
「じゃあ、そうするわ」
セナ王女は、ミナクさんの趣味を共有するためなのか、フェアリー地平線のアルバムをネットショッピングで2つ買ったようだ。
「ヨルクさんはどんなミュージシャンがお好きですかな?」
「何でもいいでしょ!」
「やっぱり落ち武者さんとパフェをシェアします」
「アニメソング!クリコさんのアルバムは全部持ってる!」
そういえばヨルクさんって深夜アニメとか見ていたっけ。私はクリコさんのホームページを開いた。一昔前のミュージシャンだろうか。でも、どれも聴いたことないや。
「ふむふむ、ヨルクさんはこのような女子が好みなのですな」
「別に顔とか見てない。子持ちだし。ただ、歌詞が優しいから気に入った」
子持ちなんだ。私はイヤホンを付けて、フェアリーチューブに投稿されているのを聴いてみた。何だかこういう曲って慣れないな。
「私は、懐メロが好きです」
「別に聞いてないから!」
ヨルクさんまだ拗ねてる。こういう時のヨルクさんには何を話しかけても話を繋げてくれない。
「エルナさんは彼氏がラブリーフェアリー見ていたらどうしますか?」
「どうもしないわ。遠い遠い前世、落ち武者さんが毎日のように見てたわ」
えええええ!人って分からない。意外な人が見ているものなんだ。
「エルナってすぐ嘘つく癖直した方がいいと思うけど?僕はそんなサイト見たこともないし、興味もないけど?顔だけヨルクじゃあるまいし」
あれからヨルクさんはまた妖精ラブ通信を見ている。グラドルカテゴリのみだけれど。ナナクサガユさんというあまり男ウケしなさそうな太っている女子高生を推しているうだ。
「ねえ、本当何?見てるの落ち武者さんでしょ!」
そういえば、その後、カラルリさんは新しくアカウント作り直してテンネさんと交流してたんだっけ。
「カラルリさんは、チューリップ妖精さんのテンネさんのやり取りは楽しいですか?」
「そんなこともうどうでもいい。セナさんがいなきゃ意味がない。セナさん、私が間違っていた。もう一度チャンスがほしい」
セナ王女はカラルリさんを無視した。みんなでカラクリ家にいた頃のカラルリさんは純粋だったのに。来世が来るほどに人は変わってしまうのだろうか。
その時、モンブランケーキが運ばれて来た。ナノハナ家に帰ったらヨルクさんから買ってもらった服たちを投稿しよっと。
私はみんなの投稿を見た。

『ミナクが紹介してくれた医師に色々治してもらえた。
頼りになる彼氏♡』
『ミナクとFメモリイ♡』
セナ王女……切り替え早すぎ……。てか、何かあったらミナクさんは責任を取るのだろうか。

『カナエ、こんな状況だけれど、私はカナエを愛してる。一日でも早くカナエの元気が戻りますように』
あれだけ拒絶されたらアルフォンス王子も堪えちゃうか。

『仲間はみんなで私を見捨てたけど、ラルクが命懸けで助けてくれたꯁꯧ』
『ラルクに手料理作ったꯁꯧ』
『ラルクとFメモリイꯁꯧ』
何かいやな感じ。でも、ラルクとは縁を切ったし、もうセレナールさんのことも助けない。

私はヨルクさんの顔にクリームを付けた。そして写真を撮った。
「本当、何?ウザイんだけど」
はあ……昨日が昨日だっただけに居心地が悪くなって来た。
「あ、落ち武者さん、今からFヴィルナェフ行きませんか?」
「ナミネ、まだみんな食べ終わってないでしょ!先に行動しないで」
「私もウザイ ヨルクさんといるのいやなんで」
そう言うと私は扇子を動かしヨルクさんが持ってるフォークを、何度もケーキに突き刺させた。
「ねえ、やめて!本当ウザイ!」
私はトドメにヨルクさんが持っているフォークをセレナールさんの腕に1cm程刺させた。
「きゃーーーーー!!!!」
「そうですか。縁談は破談にします。落ち武者さん、行きましょう!」
「ナミネ、待って!」
引き留めるヨルクさんを隣のテーブルに突き飛ばし、私は落ち武者さんの手を引っ張ってレストランを出た。

少しやりすぎたかもしれない。でも、私はラルクの件でかなり苛立っていた。
「あんたも歯止め効かない女だな」
「それ、落ち武者さんが言います?」
私と落ち武者さんはFヴィルナェフに来ていた。その時、何度も携帯が鳴った。
『ナミネ、ごめん。戻って来て』
『ナミネ、別れたくない』
『別れるだなんて言わないで』
『私が全部悪かった』
『ナミネ戻って来て』
ウザイウザイ言っておいて何?正直めちゃくちゃ苛立つ。たかがパンツ1枚で!こっちは何人の伝説初級武官と闘ったと思ってるの。
『ウザイとか暴言ですよね!お母様に言いつけます!もう二度とチャンスは与えません!破談します!次私の前に姿見せたら他のお客さんとセレナールさん、どうなっても知りませんよ!正直、もうヨルクさんの顔見たくないです!昨日の今日で滅入っているのに、よくウザイなんて言えましたね!一生許しません!』
『ナミネ、破談だけはやめて!ナミネのこと考えてなかった私が悪かった!ナミネの機嫌が直るなら何でもする!』
もうヨルクさんなんか知らない!紙飛行機シャットもしたし、せっかく来たんだし、楽しもう。
「落ち武者さん、大きなシャボン玉ありますよ」
「あんた、それ店ん中でやったら怒られるぞ」
「でも、見本ありますし」
私は大きなシャボン玉を飛ばした。とっても大きい。ふた昔前には人が入れるシャボン玉がコマーシャルで宣伝してたっけ。
「ここ不思議な曲流れてますね」
「最近の曲を誰かがカバーしたんだよ」
「そうなんですか」
「顔だけヨルクなんかと別れてしまえよ」
落ち武者さんは私を抱き締めた。まだ秋なのに落ち武者さんの身体冷えてる。
「こんなことだろうと思ったわ」
エルナさん?落ち武者さんは、咄嗟に私を離した。
「エルナ、なんでここ分かった」
「いつものパターンじゃない。あの時のね」
「いつもの……ですか?」
「そうよ。天使村時代、あなたとヨルクが喧嘩するたびセルファがあなたを慰めてたわ」
えっ、それじゃあ、私とエルナさんって元々は知り合いだったの?覚えてないなあ。この際だから詳しく聞かないと。
その時、ヨルクさんが来た。どうして?紙飛行機では追えないようにしたのに。
「ナミネ……」
「来ないでください!!」
私はヨルクさんの近くの商品を扇子で全て散らかせた。ヨルクさんは駆け付けた店員に何度も謝った。ダメだ。イライラが収まらない。私は扇子を使いヨルクさんのショルダーバッグから天然石店で買ったヨルクさんへのプレゼントを取り出すと箱を開けて、スフェーンを壊した。
その瞬間、ヨルクさんはその場に泣き崩れた。
「ナミネ、ごめん……ごめん……」
ヨルクさんはスフェーンの破片を泣きながら拾いはじめた。
「おい、あんた、落ち着け。顔だけヨルクも今すぐ別れろ!あんたに強気なナミネを支える素質はない!このまま交際続けても関係ない人が傷付くだけだ。姉さんがぶつかった中年ジジイのようにな」
この時の私は酷く混乱していて落ち武者さんの言葉が全く聞こえていなかった。
「別れたく……ない……許して……」
「たかがパンツ1枚でウザイとか暴言吐いて、めちゃくちゃ気分害しました!誓約書の内容も守らなかったので、二度とチャンスは与えません!」
その時、ラルクとセレナールさんが来た。私は扇子を動かし商品のジュースをヨルクさんに持たせると、蓋を開けさせセレナールさんにかけさせた。
「何するのよ!兄さんに言いつけてやる!」
私は何度も商品のジュースをヨルクさんに持たせてはセレナールさんにかけさせるを繰り返した。
「ナミネ……許して……」
店員が来るなり私はヨルクさんとセレナールさんの脇腹を蹴って1人で逃げた。

トイレで私は何度も吐いた。
恵まれているはずなのに辛い。人の汚さがいつもいつも気分を害してしまう。悪くないのに気が付いたら悪者にされていたり、何もしてもらってない人まで助けなきゃいけない。
囮になれとかウザイとか、人はとても穢れている。自ら自分を穢している。そんなことにも気づけない人が私は嫌いだ。
助けて……助けて……。
私はヨルクさんにメールをしていた。
『ヨルクさん……助けて……助けて……助けて……』
『ナミネ、どこにいるの?』
『トイレ……怖いよ……ヨルクさん……』
『今すぐ行く!』
私はトイレの中で蹲った。

「ナミネ!!」
「ヨルクさん!!」
私は大粒の涙を零しながらヨルクさんに抱き着いた。
「ラルクからは囮になれと言われるし、いくらセレナールさんを助けても些細なことで恨まれるし。私はみんなに誕生日プレゼント渡してるのに、みんなはそうじゃないし、誕生日プレゼントくれない人どころか恨まれてる人まで助けないといけない。私は50人の伝説初級武官と闘ったのにヨルクさんはたかが下着1つですぐに怒るし、こんなの不公平だよ。もうこんな人生いらないよ!!死んでやる!!」
「ナミネ、本当にごめん。私の配慮が足りなかった。今後はナミネが何をしても怒らない。許して欲しい」
ストレスで私はヨルクさんの服に吐いた。
「ナミネ、薬飲んで!」
ヨルクさんは私に漢方薬を飲ませた。私はヨルクさんの腕の中でしばらく泣き続けた。あれ、さっきの気分の悪さがマシになってる。
「ナミネが助けなくてもいいんだよ。助けを呼びに行けばいいんだよ。毎回ナミネばかり犠牲になって、みんなは自分と恋人のことしか考えてないじゃない!私はナミネがいなければ生きていけない。だからもう、ナミネは何もしなくていい。ただ私のそばにいて」
ヨルクさんの温かい涙が私の頬に何度も当たる。ヨルクさん……ごめんね……。私、もうみんなを助けられない。私は人間脱落のヨウヘイさんみたいにはなれない。寧ろ、アリューさんの羅生館みたいに生きるしかない。みんなが黒く汚く染まるなら私も同じになる。羅生館のモンジュロウさんは、あれほど人に『盗みはいけない』と言ったのに、最後は追い剥ぎをした。生き抜くために。
私はラルクに協力し、みんなのこと助けて来たけど、みんなは自分と自分のパートナーが助かればそこで終わり。汚すぎる。けれどそれが『人間』というものなのだ。そんな人間助ける筋合いもない。自分のことで精一杯なのに自分のことしか考えられない人間を馬鹿みたいに今まで助けて来た。
自分を大切にするにはにはモンジュロウさんのように闇に溶け込む必要がある。それが『生きる』ということなのだ。
私もヨルクさんさえ無事なら、もうそこで終わる。モンジュロウさんのように他人の幸せだって奪ってやる。
鏡に映る私の目の色は紫色になっていた。

私とヨルクさんはみんなが集まっているフリースペースに行った。するとアルフォンス王子はヨルクさんを睨みつけた。
『セレナールがヨルクに刺された時、カナエが酷く怯えていた。自分の彼女さえまともに管理出来ないのか!ヨルク、今すぐナミネと別れて欲しい。迷惑だ!』
『すみません、二度とナミネの機嫌を損ねません』
『本当迷惑!迷惑どころか人を刺すなんて犯罪じゃない!ヨルクに何度もジュースかけられたし!兄さんに言いつけてやる!』
『ハッキリ言うわ!グループに迷惑かけてるのはヨルクなのよね!今すぐナミネと別れてくれないかしら?でないと、お父様に言いつけるわ!』
みんな自分のことは棚に上げて、タイミングを見計らってこまめに憂さ晴らしをする。もう許さない!私は扇子を取り出した。その瞬間、エルナさんがアルフォンス王子の急所を蹴り、セレナールさんを引っぱたき、セナ王女に水をかけた。
「あなたたちは、親や兄弟がいないと何も出来ないのかしら?グループでちゃんと話し合わず、各々が自分のことしか考えてないからこんなことになるんじゃないの!責任転嫁する前に、自分の短所直しなさいよ!この馬鹿!」
エルナさん……。落ち武者さんと付き合っていただけに、気が強い。エルナさんが、メンバーに加わってくれれば何かが変わるかもしれない。私はそう思った。

後日、お母様とクレナイ家のお母様がカラン王子以外のメンバーを集め、自分のことで精一杯な私に私を助けもしないのに、何かあれば見捨てあって最後に私にケリをつけさせることに関してそれぞれから慰謝料を取り、誓約書にサインをさせた。
『●ナミネ1人を犠牲にしない。これを破れば慰謝料4000万円を支払う。
●ナミネに一言でも憎まれ口を叩かない。攻撃をしない。これを破れば慰謝料7000万円を支払う。
●ナミネに助けられた者はナミネも助ける。これを破れば慰謝料1億円を支払う。
●ナミネに暴言を履かない。これを破れば慰謝料4000万円を支払う。
●イベント時にはナミネにもプレゼントを渡す。これを破れば慰謝料800万円を支払う。
●グループの人は全員ナミネの言い分を全て聞く。これを破れば慰謝料2000万円を支払う。
●ナミネが混乱してもヨルクのせいにしない。これを破れば慰謝料5000万円を支払う。
●ナミネとヨルクの交際を見守る。これを破れば慰謝料3000円を支払う
●何かあった時、ナミネとヨルクを真っ先に助け各々自ら動く。少しでも傍観すれば慰謝料2000万円を支払う。
●グループの誰かの発言でナミネが混乱すればヨルク以外の誰かが責任を追う。これを破れば慰謝料2000万円を支払う。

以上』
また、この誓約書は皇帝陛下の刻印も押されてあり、アルフォンス王子もセナ王女も従わざるを得なくなったのである。
これで、みんなの狡さに押しつぶされなくなるかもしれない。けれど、これまで通り、誰かが襲われても誰も何もしないなら私も助けないし、もう囮になんかならない。
みんな自力で脱出すればいいんだ。

数日後、カナエさんはウルクさんを呼び出し、動物園のレストランで襲われた時の記憶をなくさせた。アルフォンス王子との関係は元通りになった。
カップル日記には久しぶりにカナエさんの投稿があった。
『アルフォンス王子様からフェアリールナのブレスレットをもらいました。大切にするのです
アルフォンス王子様にはたくさん心配をおかけしました。
本当にごめんなさいです。
こんなカナエを待っていてくれてありがとうなのです』
フェアリールナ。それはフェアリーウィンラサッヴァよりずっと高いハイブランドであった。

……

あとがき。

何か、今更ですが、妖精村でも、昔は剣を使っていたのですが、登録証なくせば大変なので、武士であれ日常的に剣を持つ人はいなくなりました。

現代の妖精村の武士たちは剣の代わりに扇子を使っています。また、扇子は買ったものというより、受け継がれてきた家宝なんです。扇子は1人2つ持ってます。
江戸時代の武士もそうでしたよね。
ちなみに扇子は遠くに行っても主の元に戻ってくる設定となっております。

さて、ナミネは本当にミドリの件のみで病気になってしまったのでしょうか。ナミネにはまだまだ隠された謎があるかもしれません。ヨルクがナミネに何度も縁談を持って行ったのも、それだけナミネへの強い気持ちがあったからかもしれませんね。

カナエは遠い遠い昔の番人であるウルクを呼び出し、元の状態に戻しましたが、カナエがアルフォンス王子と交際を続ける限り、また狙われる可能性もあります。

今更ですが、走り書きのほうが楽で良かったです。一人称にした途端、1人の感情しか書けなくて、しばし難儀しております。
純愛偏差値 未来編 一人称版 32話

《ヨルク》

紅葉町動物園のレストランにてセレナールさんが伝説初級武官に襲われた時、ラルクはナミネに『囮になれ』と言った。あれだけナミネと仲良くしていたラルクの言葉とは思えなかったし、表面上は明るく振舞っていてもナミネも相当傷付いていると思う。
ラルクがセレナールさんを助けるためにナミネを犠牲にすると言うならば、ナミネのことは私が守り抜く。

また、ナミネがセレナールさんを救った後、カナエさんが皇室の廃位された第1王子に襲われて、アルフォンス王子との仲に亀裂が入ってしまった。レオナルド王子は強いなんてものじゃない。あんなの右に出る者なんていないだろう。
カナエさんに拒絶されたアルフォンス王子は酷くショックを受けている。
ナミネによると、遠い前世もレオナルド王子はカナエさんを襲ったらしい。

ちなみにセナ王女は、ミナクお兄様の見つけて来た医者によって、第2と流産した手術の時に傷付いた子宮が修復したらしい。こういうことだけはミナクお兄様はアザトイ。けれど、セナ王女の心の傷は簡単には修復されないと思う。

昨日の今日だけれど、落ち武者さんの提案で私たちは新しく出来た紅葉町ショッピングモールにいる。
ナミネは長い髪を三つ編みにして、レトロで民族っぽい赤ずきんちゃん風ワンピースを着ている。可愛すぎる。

そういえば、ミナクお兄様は金髪から黒髪に戻したんだっけ。ピアスもしていない。心境の変化というヤツだろうか。

「じゃ、まずは2階の洋服屋、雑貨屋を端から端まで見る。極力、固まって行動しろ!」
「ねえ、落ち武者さん、カナエさん、あんな状態なのにどうして今日集まったの?」
「あんた馬鹿か?男尽くしカナエは自分の意思で来たんだろうが!来たくなければ来ないだろ!」
落ち武者さんて気が強いというか強引的というか……。グイグイ引っ張っていく人は私は苦手だ。

そういえば、昨日!ナノハナ家のお母様がクレナイ家に着ていた。ナノハナ家とクレナイ家の両親は学友で、元々仲が良いらしい。お母様が子育てに病んで虐待するようになった時とか、私たちはよくナノハナ家に行っていたし、お母様はナノハナ家のお母様に相談していた。ミドリさんが亡くなった時、お母様はナノハナ家のお母様を励ましたりもしていたと思う。
2人は仲が良い。なんだかんだで、ナノハナ家がクレナイ家に請求した慰謝料も、後からクレナイ家に戻しているらしいし。
私のお母様とナノハナ家のお母様は今でも励ましあっている。

「ナミネ、元の関係に戻りたい」
ナミネは何も言わなかった。あれからナミネはずっとラルクを無視し続けている。私も、もうラルクにはナミネと関わって欲しくないと思っている。
「ナミネ、カナエがアルフォンス王子と別れなかったばかりに犠牲にさせてしまってごめんなさい」
また、カナエさんに責任転嫁。セレナールさんは狡い。いざとなれば、セリルさんと落ち武者さんの力借りれるし。ナミネは、ミドリさんのことだってたった1人で耐えてきたというのに。
「カナエのせいにしないでください!弱いセレナールが悪いのです!」
「何ですって!もう一度言ってみなさいよ!」
セレナールさんはカナエさんの髪を掴んだ。その瞬間、カナエさんはセレナールさんを扇子で遠くまで飛ばした。
「今のは姉さんが悪いけど、あんた、あんま調子に乗んなよ」
「あなた方はまるで鬼ですね。ロクな前世を送って来なかったのでしょう」
「あんた、もう一度言ってみろ!」
「落ち武者さん、やめて!話し合いはもうお武家連盟会議で決着着いたし、今更覆せないし、まずはカナエさんが回復しないと」
あの後、お武家連盟会議では、カナコさんがナミネを囮にしたラルクが1番悪いと主張し、クレナイ家は他の武家がする任務を全てすることになった。また、ナノハナ家のお母様は、その場にいたカラン王子以外の人間は傍観者だと言い、キクリ家とセレナールさんに800万円の慰謝料、王室には1億の慰謝料を請求した。
昔はなかった法律でも現代は法律が厳しくなって、助長や傍観も犯罪としてカウントされる。キクリ家と王室からは既にナミネの口座に慰謝料が入っているらしい。落ち武者さんは家族にお金は渡さなかったらしい。
いつかナミネが言っていた。
『どんな状況でも仲間を見捨てたらミドリお姉様を見捨てた4人と同じになります。私はあの4人と同じにはなりたくありません。誰も見殺しにはしません』
もし、ミドリさんのことがなければ、ナミネも自分を守るという概念を持てていただろうか。ナミネには絶対傷付いて欲しくない。あの時、ナミネに何かあれば私は生きていけなかったと思う。
セレナールさんが戻ってきた。かと、思うとセレナールさんは熱い飲み物をカナエさんにかけた。
「セレナール!やめてくれないか!カナエは何もしてないだろ!どうしてカナエにばかり攻撃するんだ!」
アルフォンス王子は強くセレナールさんを突き飛ばした。
「痛い!!」
セレナールさんは大声をあげた。
「ナミネ、もし、セレナール先輩と別れたら元に戻ってくれる?」
何言ってるの?セレナールさんを助けるためにナミネを囮にしたのラルクじゃない。
「ラルク!お願い!別れるなんて言わないで!ナミネも些細なことで無視とか子供じみたことはやめなさいよ!兄さんに言いつけるわよ!」
その瞬間、ナミネは扇子でセレナールさんをガラの悪い男子高生に思いっきりぶつけた。
「ご、ごめんなさい」
「ぶつかったんだから、償えよ」
セレナールさんが、イタズラされそうになった時、落ち武者さんは、扇子で男子高生を吹き飛ばした。その瞬間、ナミネはセレナールさんの脇腹を思いっきり蹴った。
「いやぁあああああ!!!」
セレナールさんは悲鳴と共にその場に蹲った。ナミネ、相当怒ってる。ラルクとは小さい頃からずっと一緒にいただけに、裏切られた悲しみが憎しみと化されているのだろうか。
「ナミネ、本当に悪かったと思ってる。ナミネを失いたくない。セレナール先輩とは別れるから、元の関係に戻って欲しい」
「ラルク……!」
セレナールさんが何か言いかけた瞬間、ナミネは扇子でセレナールさんを宙に浮かせると、そのままセレナールさんを1階へ落とした。このショッピングモールの作りは、真ん中が空白になっていて、その周りを1mくらいのガラスが囲っているのである。
セレナールさんは中年男性の上に落ち、中年男性は大怪我をして救急車で運ばれて行った。中年男性がクッションとなったセレナールさんは無傷で起き上がるなり2階へ走りながら向かっている。しかし後に、セレナールさんは中年男性の奥さんから慰謝料を請求されることになる。
「じゃ、今から歩く」
「ナミネ、行こうか」
「はい」
私はナミネと手を繋いだ。
「あのさ、女性にとってイジワルがどれだけ苦痛かラルクは分からないのか?」
そうだよね。クラフはサユリさんにユメさんを傷付けられ、ユメさんは飛び降り自殺をして死んだから、囮だなんて許せないね。
「本当に申し訳なかったと思ってる。ナミネには一生かけて償うつもりだ」
ナミネはフェアリーガールというお店に入るとワンピースを見始めた。最初、ナミネはオシャレをしている。前まではオシャレなんて少しもしていなかったのに。ナミネも年頃なのだろうか。
「ナミネ、それ買う?去年とはサイズも変わってるだろうし、冬物も買おっか」
「はい」
ナミネは大量の服をレジに持っていこうとした。私は慌てて服を元のところに戻した。
「ナミネ、来年になったら、またサイズ変わるんだし、いっぱい買っても損しちゃうよ。今日は5着までにしようね」
「はい」
ナミネは白いワンピースコートを手に取った。
「ナミネ、それ買おっか。他はどれにする?」
「コートだけでいいです」
「うーん、でも、冬物の服今買っておいた方がいいと思う」
すると、ナミネは淡いオレンジのフリルのニットワンピースと淡いブルーの3段スカートのワンピース、白いカーディガンを持って来た。
「じゃあ、これにしようか。念の為試着しようね」
「はい」
ナミネは試着室に入って一着試着するごとにカーテンを開いた。ナミネ、可愛すぎる。私はナミネを写真に撮った。そしてカップル日記に投稿した。
『ナミネ可愛い』
コートもピッタリだし、とりあえず、4点買おう。ナミネが試着室から出てくると私はナミネの選んだ服を持って、レジに行き、クリスタルカードで購入した。
「ありがとうございます、ヨルクさん」
「全部ナミネに似合ってたよ」
私はナミネの頭を撫でた。
「ミナク〜、これとこれとこれとこれと(省略)これ買って」
「分かりました、セナ王女」
セナ王女ってやっぱりワガママ。それにしても、よく不良のミナクお兄様を元に戻せたよな。ある意味恐ろしい。
「落ち武者さんも何か買いますか?」
「あんた、ここ女物だろうが」
その時セレナールさんが来た。
「セレナール、あなたのせいでナミネが暴れるのは迷惑なの。大人しくしててくれる?」
「わ、分かったわ、セナさん」
女性陣を仕切るのはやはり王室生まれのセナ王女か。
「カナエ……」
「アルフォンス王子様!カナエに近付かないでください!!」
「アルフォンス様、カナエのことは私とクラフで見てるから、カナエの精神状態が落ち着くまでは待ってくれないかしら」
「分かった……」
アルフォンス王子と別れた時のユメさんは随分と荒れていたけれど、クラフと交際してからは随分と落ち着いている。
「ユメは服いいの?」
「ええ、別荘にいっぱい持ってきたから買わないわ」
カナエさん、ココアかけられたのか。私はユメさんにウエットティッシュを渡すとワンピースを一つ買った。
「カナエさん、このワンピースに着替えてください」
「ありがとうございます、ヨルク」
カナエさんは私からワンピースを受け取ると試着室を借りて着替えた。
「カナエって……」
「セレナール」
「ごめんなさい、セナさん」
「じゃ、次は天然石のお店に行く」
みんなは落ち武者さんに着いて行った。
「ユメ、ペアリング買おう」
「ええ、そうね」
そっか。ここで買っていれば、カラルリさんもローン地獄に陥らなかったのかもしれない。でも、カナエさんがフェアリーウィンラサッヴァ持ってた時点でセナ王女は何がなんでもフェアリーウィンラサッヴァかそれ同等のブランドをねだっていただろうな。
ユメさんとクラフは互いの誕生日のペアリングを購入していた。
「ナミネ、青いお星様の指輪があるね」
「はい」
その瞬間、セレナールさんは私とナミネが見ていた青い星型の指輪を手に取った。
「ラルク、これが欲しいわ!」
「セレナール。確かにカナエが悪いわ。狡くて卑怯でいざとなれば仲間を見捨てる汚い人間。でも、セレナールもこれ以上は騒ぎを起こさないで欲しいわ」
「わ、分かったわ」
「どうしてみんなカナエに責任転嫁するのですか!」
確かにカナエさんはセレナールさんがアルフォンス王子と別れてと叫んだ時は別れないと言ったのに、セレナールさんと同じ立場になればラルクと別れるよう言ったけれど、そんなの実際経験してみないと分からないじゃない。
アルフォンス王子を拒絶している今、標的はカナエさんというわけか。
「ナミネ、他にも青いお星様探そうか」
「はい」
デパートの宝石ショップと違ってモールの天然石店はデザインが豊富である。星型の宝石もたくさんある。
「ミナク、この馬蹄のネックレス可愛いわ」
「セナ王女、私はあまり馬には乗りません。ペアで持つなら他のにしませんか?」
「そう。じゃあ、ここでは買わないわ。今度デパートでフェアリーウィンラサッヴァの指輪買ってよ」
「分かりました」
セナ王女、またカラルリさんの時みたいに高いの買わせるのだろうか。その時、ナミネがここで購入しただろう箱を持ってきた。
「ナミネ、買ったの?」
「ヨルクさんにあげます」
「えっ、くれるの?」
私は箱を開けた。スフェーン……私の誕生石。でも、ルビーのほうがサファイアと番になっているように思えるけど、どうしてスフェーンなのだろう。
「ヨルクさんは赤いのは似合いません」
「そっか。ありがとう、ナミネ」
私はスフェーンのネックレスを箱に戻し、ショルダーバッグに入れた。
その後、午前中に全ては回れないと判断した落ち武者さんは先に昼食にし、午後から続きを回るとみんなに伝えた。

私たちはレストランに入った。
「ナミネ、どれにする?」
その時、1人の女の子がこっちに近付いてきた。私と同年代くらいだろうか。そして、女の子は落ち武者さんの隣の席に座った。
「久しぶりね、セルファ」
「久しぶりー、エルナ」
その人がエルナさん……。落ち武者さんとは番になるような金髪。って、リリカお姉様も金髪か。
「元気にしてた?」
「うん、元気だよー!」
「エルナさんと落ち武者さんは恋人ですか?」
「かつてはそうだったわ。ね?落ち武者さん」
「ちょっと覚えてないなー!」
その時、落ち武者さんからメールが来た。
『顔だけヨルク助けろ!』
え、どうして私が……?
「えっと、エルナさんもこの辺に住んでるの?」
「いいえ、桜木町よ。でも、妖精村学園に転校するわ」
「え、引っ越すの?」
「家はそのままよ」
どうして急に転校するのだろう。やっぱり落ち武者さんを探していたのだろうか。
「エルナさんも2年生?」
「そうよ、落ち武者さんと同じ2年生よ。ちなみに、妖精村学園は既に見学済みで2年5組に転校するわ」
私と落ち武者さんのクラス。私は話題が続かず黙り込んでしまった。
「これからは一緒ね、落ち武者さん」
「どうかなー、僕たちいつもこのグループで行動してるからね?」
『おい、顔だけヨルク、早く何とかしろ!』
え、これ以上話題思い出せない。そもそも、どうしてエルナさんがここにいるの?
「エルナさんと落ち武者さんは結婚はしましたか?」
「してないわ。落ち武者さんが浮気したのよ」
「落ち武者さんも隅に置けませんな」
もう、どうして嘘つくの。浮気したのエルナさんじゃない。
「ねえ、浮気したのエルナさんだよね!どうして嘘つくの!」
「あら、あなたは何も知らないのね」
何それ。何も知らないって何?
「エルナさんは貴族ですか?」
「そうよ。落ち武者さんとは身分違いの恋だったの」
「ふむふむ、1つの小説が出来上がりそうですな」
「そうね、書いてくれるかしら?」
「じゃ、注文する」
落ち武者さんはみんなの選んだものを注文した。
「エルナさんはこれ見てどう思いますか?」
え、どうして、どうして、ここにあるの?
「ダサイわね。少なくとも落ち武者さんはそんなパンツ履かないわ」
「落ち武者さんはどんなパンツですか?」
「ねえ、ナミネ、洗濯カゴから取ってきたの?どうしてそんなことするの?これないと困るんだよ」
本当、何なの?どうして、わざわざ持ってくるの。意味分かんない。え、ミナクお兄様とセナ王女笑ってる?
「流石にダサすぎだろ。ありえねえな」
「まあ、私は下着には拘らないけどね」
「ナミネ、どうしてくれるの!今日履くのないじゃない!もう返して!」
私はナミネから不本意に盗まれた下着を取り戻した。
「ヨルクさんは固いですな。2日くらい同じ下着履くなんて何ともないでしょうに」
「そういう問題じゃないよね!もういい!ここで同じ下着買う!」
「ナミネ、学校と全然違うね」
「えっ、そんなことないよ、委員長。私は私だよ」
ナミネは学校では別のキャラなのか?全く気づかなかった。
「ねえ、ミナクってラブリーフェアリーとか見るの?」
「それは何でしょうか?」
セナ王女はカラルリさんが見ていたサイトをミナクお兄様に見せた。
「何だか少々微妙ですね。正直私はこのようなサイトは見たことがありません。セナ王女のような美しい彼女がいて、どうしてこのようなものが必要でしょう」
よくぬけぬけと息を吐くかのように嘘付けるよね。こういう嘘、私は嫌いだ。いずれバレるし、相手を傷付けることだってあるのに。
「じゃあ、チューリップ妖精は?」
セナ王女はチューリップ妖精のホームページを見せた。
「まだ駆け出しですか。こういうのを俗にサイボークと言うのですよ。私はこういうミュージシャンには全く興味ありません。昔からずっと、フェアリー地平線という有名な歌手の曲を聴いてます」
そういえば、ミナクお兄様って、ずっとフェアリー地平線聴いてたな。セナ王女は検索して、イヤホンを付けてフェアリーチューブに投稿されたフェアリー地平線の曲を聴いた。
「何だか不思議な曲ね。アルバム全部買うわ!」
「エルナさんは好きなミュージシャンはいますか?」
「特にいないわ」
「チューリップ妖精さんをどう思いますか?」
「ナミネ、写真撮ったから早く食べて」
私はナミネにキノコ妖精のパスタを食べさせた。
「ハッキリ言って下品だわ。貴族だったらこんな真似したら恥晒しよ」
そっか、水着で歌って踊るって貴族からしたらありえないことなのか。
「エルナさんは、この中だったら誰が1番イケメンだと思いますか?」
「そうね、カラン王子もいいけれど、ヨルクかしら」
どうして私の名前知っているのだろう。落ち武者さんが教えたのだろうか。
「どうしてですか?」
「親ガチャってヤツよ。あなたも容姿には恵まれているわ」
そう、ナミネは今も可愛いけど成長すると共にもっと可愛くなる。
「でも、みんなセレナールさんが好きなんです」
「そうね、それも親ガチャってとこかしら。でも、世の中に綺麗な人なんていくらでもいるわ」
「ナミネって、学校では何でも出来て気配り上手で学年1の美少女って言われてるのに、プライベート違いすぎて正直ビックリした」
「えー、そんなことないよう。普通だよう。委員長の勘違いだよう」
ナミネもミナクお兄様みたいに演じているのだろうか。人って分からないな。でも、私は小さい頃からありのままのナミネをずっと見てきたから。
そして、エルナさんは居座ったままナミネの質問に答え続け、みんなはデザートを注文しはじめた。

……

あとがき。

文字数かなりあるので一旦区切ります。
次の話も続きとは限らないけど。

前回のことあって、相当落ち込んでいるナミネ。
ラルクと仲直り出来るのだろうか。

まだ出さなければいけないキャラは色々いるのですが、小説軸の年内に出せるかどうか。でも、年を越えてもキャラは必ず出します。
純愛偏差値 未来編 一人称版 31話

《ナミネ》

10月初旬。
私とヨルクさんは、あるカフェにいた。私とヨルクさんは鳥さんのケーキセットを注文して、写真に撮るとカップル日記に投稿した。
『今日はヨルクさんと2人でデート』

ヨルクさんの誕生日は7月7日なのである。私たちが交際したのは7月17日だったから、お祝いは出来ずにいたのだ。
それで、休日にヨルクさんを呼び出してここにいるというわけだ。
「ヨルクさん、これ、遅いけど誕生日プレゼントです」
「えっ、わざわざ用意してくれたの?」
「はい」
ヨルクさんはラッピングを開いた。星空と動物たちの自作の絵を額縁に入れたのだけど、喜んでくれただろうか。
「ナミネは絵が上手いね。ありがとう、ナミネ。大切にするね」
その時、携帯が鳴った。私とヨルクさんはカップル日記を開いた。セナ王女からコメントがあった。
『抜け駆けなんて狡いわね』
抜け駆けのつもりなんて全然ないのに。
『私動物園行きたいな』
セレナールさんまで。
『じゃ、19時に紅葉町動物園に集合だ!』
落ち武者さん……。
これって絶対行かなきゃいけないパターンだよね。
今日はヨルクさんと2人でのんびり過ごしたかったのにな。
けれど、私も動物園気になるし、ヨルクさんとバスで紅葉町動物園へ向かった。

紅葉町動物園に着くとユメさんと委員長はまだ来ていなかった。
って、カラルリさん来てるの!?借金どうなったんだろう。
「一目惚れカラルリ、あんたこんなところに来てる場合じゃないだろ!」
「借金は、おばあ様が返してくれた」
結局家族に頼ったわけか。って、セナ王女はとっくにカラルリさんとのカップル日記は退会しているのにカラルリさんは退会してなかったの!?何だか、ストーカーみたいでやだな。
「ねえ、ラルク、早くも10月だね」
「そうだな」
「ハロウィン会楽しみだね」
「まあな」
ラルク、あまり元気ない?どうしたのかな。
「そういえば、セレナールさんもセナ王女もクレナイ家に通ってるんだよね」
「ああ」
「ラルク、私考えたんだけど、ラルクが無理ならセレナールさんのことはラルクが抱える必要ないと思う」
「そうしたいけど、しばらくはセレナール先輩を守ることにする」
そんなこと言っても、もう殆ど好きじゃないんでしょ?セレナールさんが教師してた頃のように愛し合えてないんでしょ?そんな関係続かないよ。
「でも、好きでもないのに交際しても続かないよ」
「別に好きじゃないわけではない。セレナール先輩のことは好きだし、でも、僕が守ることを重視しているせいで、少しのすれ違いがあるだけだと思う。セレナール先輩にはやっぱり生きて欲しい」
「そっか、ラルクがそう思うなら私も協力するよ!一緒にセレナールさん守ろうね!」
「ありがとう、ナミネ」
ラルクは私を抱き締めた。
ラルク、1人じゃないよ。私がいるからね。
その時、ユメさんと委員長が来た。
「ごめん、気づくの遅くて遅れちゃった。今日は私が奢るわ」
「いいのよ、ユメさん。いつも通りアルフォンスの奢りだから」
「じゃ、順番に回るぞ」
みんなは地図の順番に回りはじめた。

ここも随分変わった気がする。いつかのヨルクさんとデートしていた時は、もう少しシンプルだったのにな。
「ナミネ、ロバさんがいるよ。可愛いね」
「交尾のためにメスを追いかけてますな。所詮は脳内は人間と同じ作りですな」
「ナミネ、どうしてそういうこと言うの!お土産買わないからね!」
「だって事実じゃありませんか!動物園の動物は人間に可愛さをアピールしながらも、やることやってるんです!」
「今日はお土産買わないから!」
ヨルクさんは、昔から固い。真面目すぎるというか、冗談は通用しないし、そういう意味ではラルクのほうが話しやすいかも。
「そうですか」
私はラルクに近付いた。
「ラルク、セレナールさんと一緒に歩かないの?」
「セレナール先輩は最近、セナ王女と仲良くしてるし、自由にさせてあげたいと思ってる」
「そっかあ、そうだよね。恋人だからって何もずっと一緒にいることなんてないもんね。ハロウィン会何になるのかな」
そうだよね。セレナールさんはセレナールさんで話したい人と話したらいいよね。
「小さいカボチャのストラップ作りを考えてる」
「そうなの、委員長?楽しそう」
その時、ヨルクさんが私の手を握った。あーあ、ヨルクさんの短パン姿も9月の中旬で見納めだったな。いっぱい写真撮ったからいっか。

この季節だから、動物園はいい時期かもしれないけど、夏とか冬とか客いるのかな。私たちは、ひと通り、動物を見た。歩き回って疲れた私たちは、一昔前の、まだ改装していない大きなレストランに入った。
え、客は誰もいない?休日なのかな。
その瞬間、伝説初級武官が50人ほど現れ、1人の伝説初級武官がセレナールさんに短剣を突き付けた。
「助けて!!」
こんな人数じゃいくら何でも助けられるか分からない。どうしたらいいの。ミナクさんはセナ王女守ってるし、アルフォンス王子もカナエさん守ってるし、委員長もユメさんを守ってる。みんなはセレナールさんから距離を置いて、自分のパートナーだけを守ってる。私もヨルクさんを守りながらセレナールさんを救出する方法を考えた。
でも、この展開って前にも……というか、少し前の前世でもあったみたいなことセレナールさん言ってたよね。あの時は、特殊武官に捉えられたセレナールさんを究極奥義でカナエさんが助けたんだっけ。でも、その時とは人数が違いすぎるよ。
「なあ、あんたら、望みはなんだよ!」
「アルフォンス王子には既に王妃が決めた婚約者がいる。だから、アルフォンス王子がその小汚いカナエと別れなければ、こっちの娘は命は助かるが俺らの自由にさせてもらう」
あの時と同じ条件だ。いったいどうなっているの。どうして、同じことが起きてしまうの。
「カナエ、お願い!アルフォンス王子と別れて!」
「カナエは、アルフォンス王子様とは別れません!でも、必ずセレナールを救います!」
その間にもセレナールさんは、伝説初級武官の好きにされかかっている。
「どうしてなのよ!私はどうなってもいいの?もし、ここを無事で出られたら兄さんに何もかも言うわ!」
「セレナール!カナエはセレナールを必ず救います!」
「セレナール、カナエを責めないでくれ!今、みんなで考えてる!」
そんなの結局セレナールさんを捨てたも同然じゃない。
「あの、お母様の命令でしょうか?」
「違う。アルフォンス王子を後の王にしたい者たちのトップの女官が命じた」
王妃の命令じゃないんだ。王室では跡目争いが既に起きているのか。
「お願いよ、カナエ、アルフォンス王子と別れて!出ないと兄さんから皇帝陛下に掛け合ってもらうわ!」
「セレナール!卑怯な真似はやめるのです!」
「セルファ、兄さんに連絡して!」
「姉さん、ここ圏外」
伝説初級武官がイタズラをするたびにセレナールさんは悲鳴をあげた。同じ状況だったら、私なら別れるだろうか。ううん、別れないと思う。同情はするけど、ヨルクさんとだけは別れられない。
「カナエ!!アルフォンス王子と別れて!!ここで穢されたくない!!カナエだって私と同じ立場なら同じ要求をするでしょ!」
「カナエは別れろなんて言いません!」
その時、落ち武者さんがカナエさんに扇子を突き付けた。
「あんたら別れろ!でないと、今すぐ皇帝陛下に文飛ばす」
「卑怯です!」
「は?姉さんが捕らわれてんだ!何が卑怯なんだよ!」
そう言うと、落ち武者さんは文を書きはじめた。が、カナエさんが破った。落ち武者さんは、走りながら文を書いた。
「やめるのです!カナエの幸せを壊さないでください!」
「いやーー!やめてーー!」
セレナールさん、もうギリギリだ。このままだと、セレナールさんの人生が奪われてしまう。
「ラルク、どうする?」
「ナミネ、囮になって欲しい」
え?今なんて言ったの?囮?私が?それってどういう意味?
「ラルク、一緒にセレナールさん助けようねって言ってたじゃない」
「セレナール先輩は、もうギリギリなんだ!カナエ先輩もアルフォンス王子も別れる気はさらさらない。もう時間がないんだよ!セレナール先輩に傷ついて欲しくない!」
ラルクは突然泣きはじめた。
「ねえ、囮って何?」
「ナミネが1回イタズラされているうちに全てを片付ける!今はそれしかない!」
何それ……。私の知ってるラルクとは思えない発言。セレナールさんが助かれば私はどうなってもいいの?私を捨ててセレナールさんを助けるの?ラルクにとって私はその程度の存在だったの?
「ラルク、何言ってるの?ナミネを囮になんかさせないから!」
「ラルク、あんたちょっと頭冷やせ!こっちも姉さん助けたいけど、誰かを犠牲にするのは流石にアウトだろ!」
「いやーーー!!カナエ!別れて!」
「カナエは別れません!でも、セレナールのことは助けます!セレナールも時間稼いでください!」
ダメだ……カナエさんは宛にならない。その時、カラン王子が、ラルクにF938を見せた。
「どうか、ナミネさんを犠牲にしないでください」
カラン王子……。ラルクがカラン王子からF938を取り上げようとするのを落ち武者さんが止めた。
「あんたF938出されてるんだぞ!王命に背くのかよ!」
「いやーー!助けてーー!カナエ、別れて!」
「ナミネ、囮になれ!!」
そう言うとラルクは扇子で私をセレナールさんのところまで吹き飛ばした。ラルク、無事で戻れたらラルクとの縁はお終いだよ。
「ナミネ!!!」
「あんた何してんだよ!」
もうここまで来たら仕方ない。その時、泣きながらヨルクさんが駆け寄ってきた。
「ヨルクさん、来てはいけません!!」
私は扇子でヨルクさんを吹き飛ばした。そして、セレナールさんを解放し、ラルクの元に吹き飛ばした。
「ラルク!これでいいでしょ!」
私は涙を零していた。
「ああ、完璧だ!ナミネが囮になってる間に全て終わらせる!だから、1回は我慢して欲しい!」
もう遅いよ。
「ラルク、怖かったわ」
「セレナール先輩が無事で良かったです。今後もどんな手を使ってでもセレナール先輩を救います!」
私は走って伝説初級武官を1箇所に集めた。そして、百人一首全てを投げ付けた。伝説初級武官たちの回りを百人一首が猛スピードで回った。私は花札で伝説初級武官をまとめて拘束し、そのうちの1人に思いっきり羽子板で肩を叩いた。これで、全ての伝説初級武官に電流が流れたはず。私は後5人の肩を羽子板で叩いた後、一人一人を花札で拘束した。
終わった……助かった……。
のはずだったのに、今度は1人の男性が、いきなり入ってくるなりカナエさんを押し倒した。アルフォンス王子は何度もカナエさんを救おうとしたが、何度も突き飛ばされた。
この人かなり強い。ん?どこかで見たことのあるような……。廃位になった皇室のレオナルド元第1王子!?
「セレナールとラルクは別れろ!」
何なの、このやり取り。さっきと同じじゃない。
「セレナール!ラルクと別れるのです!」
カナエさん、自分の時は別れないと何度も言ってたのに、これって何だか卑怯。私、囮にまでされたのに。
「別れないわよ?カナエが私にそう言ったんじゃない!」
「男尽くしカナエ、あんた無様だな」
カナエさんは、もうレオナルド王子にイタズラされかける寸前だった。
「セレナール!別れるのです!」
「セレナール、別れないとお父様に言いつけるぞ!」
「やってみなさいよ!こっちも兄さんに言いつけるわ!」
「セレナール!!いい加減にしろ!!カナエが傷ついたらタダでは済まさないぞ!」
みんな、カナエさんからかなり離れてる。そうだよね。レオナルド王子には勝てない。
「セナ王女、あの者には誰にも勝てません。セナ王女だけでも逃げてください」
「ミナクは!?」
「私は残ります」
ミナクさん残るの!?いったいどうして!?
「セレナール先輩、行きましょう」
「そうね」
「セレナール!別れるのです!カナエをイジメないでください!」
ダメだ……。カナエさん、もう助からない。でも、ここで見捨てたら、ミドリお姉様を見捨てた4人と同じになっちゃう。私はカナエさんの元へ走った。するとヨルクさんも着いて来た。
「ヨルクさん、来ないでください!!」
私はヨルクさんを扇子で吹き飛ばそうとしたが、ヨルクさんは逆に私を扇子で吹き飛ばした。私は着地するなり、レオナルド王子に百人一首を飛ばしたが全て剣で切られてしまった。
もう特攻するしかない!私は2つの扇子を手に持ちレオナルド王子に突っ込んだ。
「レオナルド王子は穢されたと思っているんですよね?けれど、あなたの意思なんかではなかったでしょう?だったら、どうして穢されたと位置付け出来ましょう?確かに起きてしまったことは人為的なものであれ、背負っていく必要があります。辛かったかもしれません。死ぬほど苦しかったかもしれません。けれど、あなたの愛した人はずっとあなたに寄り添ってましたよね?ここで、カナエさんに危害を加えてしまったら、それこそあなたは自ら穢れてしまったことになるんです」
ヨルクさんは1枚の写真をレオナルド王子に見せた。隣の人誰だろう。とても綺麗な人。
「今更遅い!私は何もかも失った!人生壊され他人の人生も壊して、いい晒し者だ!」
「そんなことありません。あなたの婚約者だった人は今でもあなたを心配し、愛しています」
あれ、キクスケさんと写真の人……?
「レオナルド!どうして1人で何も言わずいなくなったの!」
「どうしてここにいる!」
「レオナルドのしたことは私も一緒に償っていく!だから、もうこんなことやめて!」
「サユリ……」
え、この人が……。私は委員長を見たが、委員長はずっとユメさんに寄り添っている。でも、後で確認しないと。
レオナルド王子はカナエさんを解放し、サユリさんと抱き締め合った。

レオナルド王子とサユリさんが去った後、アルフォンス王子がカナエさんに駆け寄った。
「来ないでください!!アルフォンス王子様!!」
これって……いつかのセイさんの時と同じ展開だ……。カナエさん、大粒の涙を流している。
「アルフォンス様、一時的なものだと思いますので、カナエにはしばらく私とクラフが寄り添っています」
「あ、ああ、分かった」
アルフォンス王子は酷くショックを受けているようだった。
「委員長、サユリさんのことだけど……」
「何もしない。ユメを危険に晒したくないから」
「そ、そうだよね」
良かった。委員長にとっては許せない相手だろうけど、この世界でサユリさんは新たな道を歩みはじめていた。

全てが片付いた後、みんなはお土産屋さんを見たあと、動物園を出て、カフェに入った。
私は強い。でも、強い人なんてこの世にたくさんいる。強いだけじゃどうにもならないこともある。ヨルクさんは命懸けでレオナルド王子を説得し、私を助けてくれた。
人の心を動かすのは時として強さではなく言葉なこともあるのかもしれない。だとしたら、丸腰でレオナルド王子に突っ込んだ私は馬鹿だ。
でも、私は私を見捨てず、どこまでも愛し抜いてくれるヨルクさんのことを、どうしようもないくらい好きで好きで愛して慈しくて、離れられなくなっていた。
「セレナール!どうしてラルクと別れてくれなかったのですか!カナエを見殺しにした慰謝料はキッチリ払ってもらいます!」
カナエさん、震えながらセレナールさんに扇子を突き付けている。その扇子を落ち武者さんが扇子で振り落とした。
「あんた、随分とずる賢いんだな。姉さんが別れ求めた時は別れないと言って、いざ自分が同じ状況になったら別れろと言うのかよ!でも、あんた終わったな。平凡アルフォンスはいつまでもはあんたを待たない。このまま奈落に堕ちろ!」
カナエさんって、こんなに卑怯な人だったっけ。そもそも、セレナールさんもカナエさんも純粋だったのに。いつから変わってしまったの?
「ナミネ、さっきはごめん。気が動転してて本音じゃないこと言ってしまった」
「私、ラルクとは縁を切るね。もうセレナールさんのことも助けない。クレナイ家に行っても話さないし、ラルクに話しかけられても今後は無視するね」
私はヨルクさんの膝の上に乗った。
「ナミネ、本当に悪かったと思ってる!だから、一度だけ許して欲しい!二度とナミネを危険に晒したりしない!」
私は何も言わなかった。ラルク、もうラルクとは終わりだよ。もうラルクとの想い出全部捨てるね。私、ヨルクさんと生きるよ。
「ナミネ、どれにする?」
ヨルクさんの紅葉の香り。私の大好きな香り。
ヨルクさん、ありがとう。これからはヨルクさんだけを守るよ。
ラルクとは縁を切った。でも、私はヨルクさんからの愛情にいっぱいいっぱい幸せを感じていた。

……

あとがき。

1度目が覚めたら眠れなくて書いちゃいました。

今回はセレナールとカナエのピンチでしたね。カナエは意外にも主人公気取り。自分だけ助かりたい人だったなんて、悲しいです。

みんなもいざとなったら仲間を見捨てるんですね。結局みんな他人の不幸には目をつむる生き物なのかもしれません。
純愛偏差値 未来編 一人称版 30話

《ヨルク》

ユメさんの別荘でのナミネの誕生日会が終わった後、みんなはナヤセスさんのマンションに移動した。
セナ王女やセレナールさんも着いてきている。ナミネを目の敵にしている人には正直来て欲しくない。やっぱりナミネの言ったようにナヤセスさんのマンションでナミネの誕生日会をすれば良かったのだろうか。

ナヤセスさんのマンションは高級そうだった。いったい月にいくら払っているのだろう。よく見るとお手伝いさんもいる。
「ねえ、セナさん、よく考えたんだけど、カナエも狡くないかしら?私もユメさんも前世で穢されているけど、いつもカナエだけ綺麗なままだったわよね。それに、アルフォンス王子から高級なのいっぱいもらってるし」
「そうね、カラルリの妹なだけあって、私も見るのも辛いわ」
ナミネの次はカナエさんを目の敵にするのか。セレナールさんはラルクと付き合って幸せじゃないのか?
「カナエは、お兄様のしようとしていることに全く気が付きませんでした。セナさんとお兄様は愛し合っていると少しも疑いませんでした。セナさんがカナエを憎むならカナエは死んでも構いません」
カナエさんのせいなんかじゃないのに。あれは、完全にカラルリさんが計画したこと。
「セナ、カナエは何もしてないよね?カラルリがカナエの兄だからって何でもかんでもカナエのせいにするわけ?次、カナエ攻撃したら私はセナの敵に回るし、セレナールには慰謝料請求する!」
「もう本気にしないでよ。カラルリに無理矢理流産させられたばかりで滅入ってるのよ」
「甘えセナ、あんた一度病院で診てもらいな」
そっか。セナ王女は、あの一件で心を病んだかもしれない。だとしたら、ナミネの時のように何かしら病名がついている可能性もなくはないよね。
「セナさん、ちゃんと話し合いたい」
「一目惚れカラルリ、あんたもうフラれてんだよ!いい加減受け止めろよ!」
あんなことしておいて、まだセナ王女に復縁迫るだなんてどういう神経してるんだか。
「ねえ、ラルク、そろそろ夢騎士の資格取らない?」
「そうだな。でも、僕も伝説最上級武官取ってから夢騎士に挑戦しようと思う」
「じゃ、僕も伝説最上級武官から挑戦する」
3人とも強くて輪に入っていけない。ナミネもラルクも0歳の頃から究極奥義使っていたらしいし。弟に負けるのはかなり悔しかったけど、今となっては、他のことでナミネを癒したいと思っている。強さも欲しかったけど、私には素質がないようだ。
そうだ、ナミネの誕生日プレゼント渡さないと。でも、今渡すとナミネがまた目の敵にされかねない。寝る時に渡すか。
「強気なナミネ、ほらよ!誕生日プレゼントだ」
「ナミネ、誕生日僕からもお祝いだ」
「ナミネ、私とクラフからよ」
「ナミネ、また大人になったね」
ナミネは、ラルクと落ち武者さんと、ユメさん、クラフ、ナヤセスさんから誕生日プレゼントをもらっていた。
「みんなありがとう!」
「顔だけヨルク、あんたも渡しな」
「え、でも、あれは特別なものだし」
もし、何かあったら……。
「大丈夫だ。他のヤツには触らせたりしない」
「わ、分かった」
私は小さな箱を取り出した。
「ナミネ、誕生日プレゼントだよ」
「ありがとうございます、ヨルクさん」
ナミネは早速箱を開けた。
「星型のサファイアのイヤリングですか?」
「たまたまデパートにあったんだよ。かなり古いものなのに状態はいい。店員がかなり古い時代のものだと気付いた瞬間5000万円以上に値上げしようとしたところ、元の値段で買ったんだよ。遠い遠い前世に顔だけヨルクがあんたに渡したものだ」
「そうだったんですか。記憶にはないですが、とても嬉しいです。ヨルクさん、ありがとう」
ナミネは私に抱き着いた。喜んでくれて良かった。ナミネと私との想い出。私はこれからも探そうと思う。
「良かったね、ナミネ。思いやりのある彼氏で」
「はい、ヨルクさんは女たらしで、すぐ女に変な感情を抱き、女を連れ込んでは浮気をし、とにかく女にはだらしないですが、私、ヨルクさんと結婚するんです」
何故ないことないこと言われないといけない。私はナミネに喜んで欲しくて買ったのに……。
そう言いながらもナミネは私がプレゼントした星型のサファイアのネックレスを菜の花とかすみ草の花束と共に写真に撮った。そして、イヤリングを私の耳につけるとまた写真に撮った。撮影が終わるとナミネは私からイヤリングを外し箱に戻した。
私はカップル日記を見た。

『ヨルクさんから誕生日プレゼントをもらった。
私とヨルクさんの想い出らしい』
私がイヤリングつけてる写真をやっぱり載っけたか。

「ねえ、ナミネ、そのイヤリング見せてくれないかしら?」
やっぱり、セナ王女は即妬んだのか。
「甘えセナ、これは現世では2つとない代物だ。簡単に触らせるわけにはいかないな」
「何よ、ナミネだけいい思いしちゃって。カナエもだけど」
本当、どうしてセナ王女着いてきたの。他人の家で騒がないで欲しい。
「セナ王女、学校でも見てたけど、カラルリの件から、その日のうちに病気になってると思う。ヒステリー本音症候群の可能性が高いし、出来るだけ早く病院で治療したほうがいいと思うよ」
ナヤセスさんは相当頭がいいらしいけど、もうだいたいの知識は備わっている感じなのだろうか。月城総合病院で働くことも決まっているみたいだし。
「あの、ヒステリー本音症候群って何ですか?」
私は思わず聞いてしまった。
「酷いトラウマを経験した人がかかる病気で、トラウマの原因になった人だけでなく、他の人にも責任があると他責とヒステリーを繰り返す病気なんだ。放っておくと、まともに生きられないだろう」
そうだったのか。普通に見えて、セナ王女はとっくに病魔に侵されていたのか。何もかも全てカラルリさんのせいだ。それなのに、ここに来てからカラルリさんはずっとセナ王女に付きまとっている。しつこい人だな。
セナ王女は一瞬カラルリさんを睨むとミナクお兄様と部屋に入っていった。私は部屋の前に立った。すると中から声が聞こえてきた。
『カラルリにあんな卑劣なことされて辛すぎる』
『セナ王女、お腹の子は戻って来ないし第1修復も厳しいですが、有名な医者を何人か探して、第2修復とまた妊娠出来るように、必ず治療してもらいます』
セナ王女はミナクお兄様を頼るために交際したのだろうか。
『お願い……もうミナクしかいないわ』
けれど、治療したところで、カラルリさんのしたことが消えるわけでもない。それでも足掻くしかないのだろうか、今のセナ王女にとっては。私もナミネをカラルリさんには近づけたくなくなってきた。
『セナ王女を全力で今の状態から脱出させる努力をします』
『セレナールもナミネもユメさんもカナエも幸せなのにどうして私だけ……私だけこんな目に……』
確かに、いくらセナ王女がワガママすぎるとはいえ、カラルリさんのやり方はあんまりすぎる、
『ユメさんとカナエさんは分かりませんが、少なくともラルクもヨルクも幸せとは言えないでしょう』
『どうして?』
『ナミネはミドリさんのことがあってから、もう前のナミネには戻れずヨルクでは支えきれないでしょう。ラルクはセレナールさんがクレナイ家に来てもあまり嬉しそうにしていませんし、みんな上辺だけなんですよ。けれど、私はセナ王女を全力で愛し抜きます!』
私はナミネと交際出来て幸せだし、何でもかんでも支えられる人間なんて逆にいないでしょ。ミナクお兄様って適当なこと言って、今はセナ王女と仲良くしていても、いつセナ王女を捨てるか知れたもんじゃない。
私は扉から離れた。
「へえ、あんたが盗み聞きなんて、あんたも人が悪いな」
「落ち武者さん、びっくりさせないでよ」
私は咄嗟に後ろを振り向いた。
「ヨルクさん、あの悪徳商法のパンでクマさんのフレンチトースト作ってください」
どうして悪徳商法だなんて言うのだろう。
「ナミネ、そういう言い方良くないって言ったよね。それに夕食の下ごしらえ、もうお手伝いさんがしてるし」
「ナミネ、ご飯作ってもらってるの?」
「はい、これがヨルクさんが作ったお弁当です」
ナミネは私が学校に行く時用に作っているお弁当をナヤセスさんに見せた。
「可愛いお弁当だね。良かったね、ナミネ。キャラ弁作ってもらえて」
ナヤセスさんはナヤレスさんとは比べものにならないくらい紳士的だ。
「ナミネ、またバイト手伝ってくれないか?」
「ねえ、カラルリさん……」
「カラルリ、ナミネはカラルリの召使いじゃない。妹を巻き込むのはやめて欲しい」
カラルリさんは泣き崩れた。
「ローンは返しきれないし、携帯も持てなくなったし、1番大切なセナさんを失って、私にはもう何も残っていない」
「一目惚れカラルリ、今更後悔しても遅いんだ。あんたが中絶薬盛った時点で、あんたら終わったんだよ」
ナミネにバイト手伝えだなんて何様だろう。その時、チャイムが鳴った。ナヤセスさんは、慌ててドアを開けた。
誰だろう。知り合いかな?
「すみません。思いっきり間違えました。でも、この部屋空き家でしたよね?最近引っ越してきたんですか?」
「うん、そうだよ。君もここのマンションの人かな?」
「副委員長!」
「副委員長!」
え、セレナールさんとカナエさんのクラスの副委員長なのか。世間は狭いな。
「セレナール、カナエ、どうしてここにいるの?」
「今日はユメさんの別荘でナミネの誕生日会でした。帰りにここに来て今日はここに泊まるのです」
「どうぞどうぞ、ご自由に出入りしてください、ロナさん」
「それじゃあ、少しお邪魔しようかな。せっかくだから、ナミネの誕生日祝いも兼ねて私が料理作るねー!」
このマンションの住人ということは、ご両親は相当なお金持ちなのだろうか。人って見かけだけでは分からないな。
「それは悪いからいいよ。ナミネにはプレゼント渡したし」
「いつも作っているので。それにお隣さんになるわけだから、仲良くしましょうー!」
副委員長なだけに随分と社交的だな。ロナさんは夕ご飯を作りはじめた。
「なあ、あんたの親、何してんだよ」
「セリルさんの弟にしては全然似てないねー!父がplantグループの専務してるよー!」
父親が大手企業の重役をしているのか。ナヤレスさんも、こういったお金持ちのところにもらわれていったら、あんなふうにはならなかったのだろうか。
「ナヤセス殿、ロナさんに縁談を持ちかけてはどうですかな?」
「やっと、こっちに戻ってきたばかりで、流石に彼女作ることまで回らないよ」
「タワマンの最上階の暮らしはどうでしたかな?」
「忙しくて夜景も見る暇なかったよ」
「あんた、どれだけ苦労してんだよ。僕も天の川村時代はタワマンの最上階に住んでたけど?303号室にね」
ナヤセスさんも落ち武者さんも、1人でも生きていける素質を持っているから羨ましい。誰の助けもなく、1人でタワマン借りれる稼ぎを得られるだなんて。
「僕は302号室だったよ。何となく見た気はしてたけど、お隣さんだったんだ」
世間は何て狭いのだろう。同じ時期に同じ場所で暮らしていただなんて。

ナミネは私とのツーショットを撮ると、ロナさんの手料理を美味しそうに食べていた。それにしても、ウサギさんのカレーだなんて、ロナさんも料理慣れてるんだな。
「ロナって料理上手なのね」
「毎日作ってるからねー!」
「ロナさんは、いいお嫁さんになりそうですな」
「恋愛には興味ないよー!」
何かあったのだろうか。それとも、元々興味がないだけなのだろうか。人って表面上だけでは何も分からないな。
ケーキもウサギさん。何だか本格的な誕生日パーティー。
「ねえ、クラフもユメさんにお弁当作ってるの?」
「はい、ユメには全力で尽くしたいので」
クラフは彼女思いだな。ユメさんもクラフに巡り会えて良かった。
「ミナク、私にもお弁当作ってくれるかしら?」
「料理経験がないので週に1回からでも構わないでしょうか?」
「ええ、構わないわ」
ユメさんの時とは違って力量でミナクお兄様を支配しているというわけか。だったら、とっととミナクお兄様を王室に連れて行って欲しい。
「ラルクもセレナールさんにお弁当作ってもらってるんだよね」
「そうだな」
「美味しい?」
「まあな」
その時、ロナさんはエプロンを外した。そっか、お家の料理も作らないといけないんだっけ。
「ナミネ、ヨルクと幸せにねー!」
「ロナ、初対面なのに妹を祝ってくれてありがとう」
「ううん、また来るねー!」
そして、ロナさんは隣の部屋に戻って行った。
その時、ナミネがケーキに手を伸ばした。
「ナミネ、何してるの?」
「ケーキ食べます」
「それ、みんなのケーキだよ。手で掴もうとしないで」
「でも、私の誕生日なので私のケーキです」
「もう、困らせないで。私が分けるから」
ナミネが写真を撮った後、私はロナさんの作ったケーキを分けた。口元にクリームを付けながら美味しそうに食べているナミネ可愛すぎる。

食事の後は、短時間だけどナミネと2人でお風呂に入り、部屋を借りて、ナミネと同じ布団に入った。
ナミネ、来年も再来年も、ずっとお祝いするからね。

翌朝、目を覚ますとセレナールさんが隣で寝ていた。身体を起こすと私も服を着ていなかった。どうして?セレナールさんにはラルクがいるのにどうしてこんなこと……。
「ねえ、ラルク、私のお婿さん、セレナールさんと裸で抱き合ってたよ」
「ナミネ、放っておいて行こう」
「でもね、ないの……ヨルクさんからもらったイヤリングがないの……」
私がナミネに弁解しようとした時、セレナールさんが悲鳴をあげた。みんなはこの部屋に来た。
「みんな、私、ヨルクに犯されたの!あんまりだわ!」
「あなたが私の布団に入って来たんじゃないですか!本当何なんですか!」
「とりあえず、2人とも服着ろ!」
私とセレナールさんは服を着た。ナミネは相変わらずイヤリングを探している。
「ラルク、やっぱりないよ」
ナミネは涙をポロポロ零しはじめた。
「カナエ、あなた、羨ましいからってナミネのイヤリング盗んだんじゃないの?」
「カナエはそんなことしてません!セレナール、どうしてカナエにばかり突っかかるのですか!」
「セレナール先輩、あなたと話すことは何もありません」
「違う、ラルク!ヨルクが夜中に私を連れ去って無理矢理犯したのよ!」
まさかセレナールさんに陥れられるとは思っていなかった。でも、どうしてこんなことしたのだろう。イヤリングも盗まれたし、何もかもがめちゃくちゃだ。
「ラルク、玄関に走れ!」
え、何?私も玄関に向かった。すると、落ち武者さんがカラルリさんから荷物を奪い取っていた。
「一目惚れカラルリ、あんた借金返すために顔だけヨルクが強気なナミネにプレゼントしたイヤリング盗んだのか!」
「ち、違う!カナエが私の荷物の中に入れたんだ!」
「どうしてみんなカナエのせいにするのですか!」
本当にカラルリさんが……?
「へえ、まだ開けてもない荷物の中にイヤリングが入ってるって分かるんだ」
落ち武者さんはカラルリさんのカバンの中を開け、箱を取り出すと中身を確認し、ナミネにイヤリングを渡した。
「あんた、通報するぞ!」
「そのイヤリング、5000万円の価値があるって言ってたから、ローンだけでも返したかった」
カラルリさんが借金返すためだけにイヤリングを盗んだなんて……。私とナミネの想い出のイヤリングを……。
「どうしよう、このままだと異父過妊娠してしまうわ」
「何なんですか!もうあなたとは口も聞きたくありません!」
私は穢されてしまったのだろうか。夜中のことなんて覚えていない。ナミネだけの私でいたかったのに……。私は気付いたら涙が流れていた。
「顔だけヨルク、あんたはまだ童貞だ」
その言い方めちゃくちゃ気に触るけど、何もなくて良かった。
「ねえ、ラルク、セレナールさんを許してあげて。中学生に上がってから、みんなでセレナールさん助けてきたんだよ」
「ナミネの言いたいことは分かるし、ナミネに協力してもらったことも感謝しているけど、僕はヨルクお兄様みたいになんでも許す人間じゃない」
ミナクお兄様がセナ王女に言っていたように、ラルクはセレナールさんに冷めてきているのか?
「セレナールは、どうしてラルクがいるのにヨルクと寝たの?」
「何も覚えてないのよ。起きたらヨルクに犯されていたわ」
「セレナール先輩、嘘をついても無駄です。どうしてヨルクお兄様と寝ていたのですか?」
「カラルリに頼まれた……イヤリングが欲しいからヨルクが起きそうになったら睡眠薬飲ませて欲しいって」
何それ。イヤリングのためにナミネとの関係を拗らせようとしただなんて……。
「それだけですか?」
「ナミネが羨ましかった……。お弁当作ってもらえて、プライベートでも料理作ってもらえて、前世の想い出のものまで買ってもらえて……私もナミネみたいに愛されたかった」
「だったら、ラルクに愛してもらえばいいでしょう!」
本当に苛立つ。どうしてナミネとの幸せを壊されるようなことされなきゃいけないのか。
「ラルク、セレナールさんを許して、これまで以上に愛してあげて」
「今回は許すけど、もう愛することは出来ないな」
「ねえ、どうしてナミネはセレナールが犯人だと思うの?」
「私だけでなく、ラルクも落ち武者さんもそう思ってます」
私への疑いはなかったものの、ナミネはラルクを説得し続けた。けれど、ラルクはセレナールさんをこの先、愛することはないと折れることはなかった。

……

あとがき。

めちゃくちゃ具合悪くて集中して書けなかった……。
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