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日常のこととかオリジナル小説のこととか。
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プロフィール
HN:
ashita
Webサイト:
性別:
女性
職業:
地主(土地貸してます)
趣味:
漫画やアニメを見るのが好きです。最推しはフーディーニ ♡
自己紹介:
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ブログ、もう書かないと思ってました。

けれど、去年から書き始めた小説によって、過去に書いてた小説も書き始め、ここに載せることにしたのです。

小説は、主に『時間と時間を繋ぐ恋の物語』と『妖精村と愉快な仲間たち』をメインに書いています。
現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。

純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。

元々このブログは病気の記録用として立ち上げたものですが、小説載せるようになってからは、ここは出来るだけ趣味的なことを綴りたいと思っております。
病気の記録や様々な思いを綴るブログは移転済みなのです。

ただ、今は日記は個人的な徒然、或いはお知らせとして綴ることが多いかと思います。

小説、ぼちぼちマイペースに書いてゆきます。

よろしくお願い致します。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

お知らせ。

イラストは現在「ナノハナ家の日常」に載せております。サイドバーにリンクあります。

また、「カラクリよろずや」にてフリーイラスト素材について考えるブログはじめました✩.*˚
不定期に更新していく予定です。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

模倣・無断転載などは、ご遠慮ください。

ブログの小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。

小説・純愛偏差値に関しましては、武家名・貴族名(程度による) / 及び、武官の階級 / 扇子・羽子板・花札・百人一首・紙飛行機などのアイテム使用方法の模倣の一切を禁じております。

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X @kigenzen1874

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〈資格履歴〉

2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
→茶道アドバイザー 合格
→お点前インストラクター 合格
2025年04月17日
→着物マイスター 合格
→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
→サイキックアドバイザー 合格
→サイキックヒーラー 合格
2025年07月01日
→アンガーカウンセラー 合格
→アンガーコントロール士 合格
2025年08月04日
→漢方コーディネーター 合格
→薬膳調整師 合格

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〈資格証明バナー〉

宝石鑑定アドバイザー資格認定試験資格取得証明
鉱石セラピスト資格資格保持証明
茶道アドバイザー資格認定試験資格取得証明
お点前インストラクター資格資格認定証
着物マイスター®資格認定試験資格取得証明
着付け方インストラクター資格資格認定証
サイキックアドバイザー®資格資格証明
サイキックヒーラー資格資格保持証明
アンガーカウンセラー®資格資格保持証明
アンガーコントロール士資格資格認定証
漢方コーディネーター®資格認定試験資格保持証明
薬膳調整師®資格認定試験資格保持証明
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トイレ代理人 七話


<望>


「斎藤さん。あなたの言う正しいというのは、あなたのみの正しいなんですよ。言ってる意味分かります?」
冴木は完全に勝ち誇ったように僕を見た。そりゃそうだろう。今の僕と冴木では冴木のほうが断然有利なのだから。
「もういいです」
「はい?」
僕は訴えられる。その後どうなるのだろう。
家族は?
妹は?
妹は大手企業で勤務している。もし、僕が裁判沙汰になったら家族諸共路頭に迷うだろう。それでも、僕は正義とやらを貫きたかったのだろうか?いったい何のために……?

小学生から中学生の頃までイジメられていた。
体育が終わってカバンを見るとタバコが入っていたり、母さんの作ったお弁当が捨てられたり、誰かが吸ったタバコを僕のせいにされたり、誰もいないところでは殴る蹴るの暴行を加えられた。
『やめてほしい』
そんなこと言えなかった。
普通の学校だったのに、スクールカーストが存在した。1軍とか2軍とか、今考えればそんなローカルルールなんてみっともないのに、それなのに、お金持ちで容姿の整ったヤツが有利だった。
そんな僕をイジメていたヤツらは、今幸せな社員生活を過ごしている。
不公平だ。
あまりに不公平すぎる。
僕は登校拒否をしていた期間もあったというのに。
そして、僕は大人になってからのほうが、柄の悪い男を見ては目の敵にするようになっていた。

「警察に突き出すなり、裁判沙汰にするなりなんなりしてください。けれど、関係のない家族には危害を加えないでください」
「なるほど。降伏するというわけですか。残念ながら家族への今後の対応は被害者側、そして世間が決めることです」
世間……。この世で1番くだらない存在だ。
僕がしたことは間違っていない。けれど、現代では人が人を裁くのではなく、法が人を裁く。そんなこと僕にだって分かっている。
逃げ場のなくなった僕は、今はじめて罪に問われたくないと思った。どうして今までそんな概念がなかったのだろう。どうして1人で突っ走り過ぎたのだろう。
「そうですか」
「斎藤さん、あなたとは、このような形で出会いたくありませんでした。残念です」
そう言うと冴木は僕を通報した。

警察署で僕は色々聞かれ、一つ一つの質問に正確に答えた。そして、留置所で拘留されることになり、刑事裁判にかけられることになった。

寝て起きるだけの日々。
何日経ったのかも分からない。
けれど、何故か僕は釈放された。
後から聞くところによると、会社側が揉み消したらしい。裁判にかけられることもなくなり、僕は一度家に戻った。
会社からは、いつも通りに出勤して欲しいと言われた。

翌日、僕は出勤をした。
すると、冴木は数々の電話に対応していたのである。
「申し訳ございません。僕の力不足でした」
「本当に力及ばずすみません」
「会社側に揉み消されてしまいました」
「誠に申し訳ありません」
(以下略)

「冴木さん、斎藤さんを裁判にかけて、被害者全員を救うつもりだったらしいですよ」
「山田……」
久しぶりに話た気がする。僕に幻滅した後、山田はどうしていたのだろう。
「一度は斎藤さんを信じられなくなりました。けれど、斎藤さんがミスに追い込んだのは普段悪さばかりしている依頼人です。ルール違反ではありますが、僕は斎藤さんのみが悪いとは思えなくなりました」
山田は山田なりに色々考えていてくれていたのだろうか。ごめんな、山田。僕は間違っていた。
二度と同じ誤ちは繰り返さない。
「山田……迷惑をかけてごめん」
「水臭いですね、斎藤さん。こうやって元に戻れたんですから、また、ここからはじめましょうよ」
その時、冴木が立ち上がった。そして、僕のほうに向かってきたのである。
「正義とはなんなんでしょうね、斎藤さん」
冴木は、それだけ言い残し、会社を去った。

僕がタイムカードを押し、退社した帰り道で1人の男性に声をかけられた。
「正義までは貫けませんでしたが、救われた気持ちはどうですか?斎藤望さん」
「あの、どちら様でしょうか?」
「申し遅れました。私(わたくし)は菊助と申します。以後お見知り置きを」
「はあ」
見知らぬ男が僕に何の用なのだろう?もしかして、これから僕は裁かれるのだろうか?
「斎藤さん、あなたは確かに誤ちを犯しました。けれど、あなたの境遇を考えると、あなたのみ責任を負うというのも、いささかおかしいと思い、私(わたくし)が揉み消しました。最初で最後の私(わたくし)からあなたへのチャンスです。斎藤さん、今後は今回の誤ちを踏まえ、二度と同じ誤ちは繰り返さず、真っ当に生きてください」
そして、菊助と名乗る人物は去って行った。

数日後、テレビを付けるとニュースが流れていた。
『株式会社 トイレ代理人に乗り込んだ冴木良介は、社員のミスを疑い、被害者に必ず真実を明らかにし、匿名で加害者を訴え、被害者の人生を取り戻すと言ったところ、株式会社 トイレ代理人には何の過失もなく、被害者が冴木良介を訴えました。裁判は2ヶ月後になる予定です』
僕はテレビを切って会社へ出勤した。

なあ、正義っていったい何なのだろう?

〈完〉

……

あとがき。

6話まで書いて、7話のみが残っていました。年月も経っていますし、最初はどう繋げたらいいか分からなかったものの、とりあえず書き上げました。

私にしては呆気ない終わり方になったと思います。

正義とはなんなのか。
そんなこと誰にも分かりませんよね。一人一人が訳の分からない正義とやらを胸に刻んで生きているのですから。正義に関わらず物事に答えなど存在しないと私は思っています。

書き始め当初は望の正義を貫くつもりでしたが、私の中の正義というもの少しずつ変わったのでしょうか。終わりは予定していなかったものとなりました。

純愛偏差値では、菊助が登場する小説は全て現実で起きていることとされています。ゆえに、今の純愛偏差値は、色んなことでバタバタしちゃってます。

トイレ代理人。
終わらないまま横に置いておくつもりでしたが終わらせることが出来て良かった。

次は未来望遠鏡を復旧させたいですね。
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純愛偏差値 未来編 一人称版 14話

《ヨルク》

7月も末。
予定していた海に来た。
私が選んだ上はキャミソールっぽくて下はスカートの黄色い花柄の水着を着て髪をお団子にしているナミネ可愛すぎる。
「ラルク、海に入ろ」
「そうだな、せっかく海に来たんだしな」
「え、待って!ナミネ、浮き輪持ってくるから先に行かないで」
「私、泳げますし、浮き輪とか恥ずかしいのでいりません」
ここ最近、ナミネは私に懐くようになって来ていたと思っていたのだが、やはりナミネはラルクのほうが私のことより何倍も好きなのだろうか。海に入っていく、ナミネを私は追いかけた。しかし、ナミネとラルクは猛スピードで泳ぎ、私は全く追いつけなかったのだ。そして、ナミネとラルクは境界線を超えて海の中へ入っていった。
「ナミネ、危ないから戻って来て!」
けれど、ナミネとラルクはどんどん海へ海へと遠ざかって行った。私は必死に泳いでナミネのところまで行こうとした。私が境界線を超えた頃、ナミネとラルクは戻って来た。
「ナミネ、危ないでしょ。ラルクだってセレナールさん置き去りにしていいの?」
「セレナールさんはカナエさんといます」
私は後ろを振り向いた。けれど、カナエさんしかいなかったのだ。
「セレナールさん、いないじゃない」
その時セレナールさんが、浮き輪ボートでラルクを迎えに来た。
「ラルク、一緒に乗りましょ」
「分かりました」
周りの男性の視線はセレナールさんに向いていた。ラルクもミナクお兄様に似て面食いだったんだな。私は弟のことを何も知らずにいた。
「ナミネ、私たちもボート取ってこよう」
するとナミネは私とのツーショットを撮った。
「ヨルクさん、お話があります」
え、話?話って?まさか別れ話じゃないよね?私は突然切り出された言葉にかなり不安になった。
「ナミネ、話って何?」
私は恐る恐る聞いた。
「私、ある人から聞きました。妖精村の前に天使村があって、その時に私とヨルクさんは殆ど恋人だったらしいです。しかし、結婚後、私は病んで入退院を繰り返し衰弱死することが多く、最後の天使村の番人に二度とヨルクさんを好きにならないようお願いしたそうです。けれど、あの婚約指輪に触れた時、少しですがヨルクさんを好きだった記憶を思い出しました。私はヨルクさんのことが好きだったんです。もうラルクへの気持ちは薄れて来ています。私、ヨルクさんが好きです」
天使村……。何だろう……。あの写真のことだろうか。突然のナミネの告白に頭が着いていかなかった。けれど、ナミネの話を一つ一つ辿ると、元々はラルクではなく、私を好きだったということになるのだろうか。ナミネが私を好きでいてくれるなら凄く嬉しい。いっぱいいっぱい待った甲斐があったと思う。
「そっか、あの結婚式の写真の時代かな?ナミネ……私は……」
私は重要なことを言いかけて気付いたら涙が流れていた。
「私は未来永劫、ナミネに片想いかと思っていたから、ナミネが私を好きになってくれて嬉しい……本当に嬉しい……」
せっかくナミネが気持ちを伝えてくれたのに、泣いてしまって情けない。
「私はもうヨルクさんを待たせません!」
そう言うとナミネは私を抱き締めた。
ナミネの温もり、とても温かい……。ずっとこうしていたい。二度とナミネを失いたくない。するとナミネは私を離し、突然私から離れたのだ。
「ナミネ、待って!」
私が追いかけようとすると、携帯が鳴った。私は携帯を開いた。すると、カップル日記に1のマークが付いていた。私はカップル日記を開いた。そこにはナミネの投稿があった。
『漂流したヨルクさん』
ナミネはこっちに戻って来た。
「ナミネ、心配するでしょ。急に離れないで」
「はい」
私はナミネに近付き、ナミネとのツーショットを撮るとカップル日記に投稿した。
『時を超えて……』
その時、境界線の向こう側でセナ王女が溺れている見知らぬ男性を助けに行こうとしていた。
「セナ王女!行くよ、ラルク!」
「え?ナミネ?」
ナミネとラルクはあっという間にセナ王女の元に泳いで行った。私もナミネを追いかけた。どうして、ナミネとラルクは何もかもがずば抜けているのだろう。セレナールさんは不安じゃないのだろうか。
私がナミネに近付くと、セナ王女は助けただろう男性からセクハラを受けていた。全く気付かなかった。あの男性はわざと溺れたフリをしてセナ王女を襲うつもりだったのか。
ラルクが男性を突き飛ばすと、ナミネはセナ王女を受け止めていた。
「セナ王女、大丈夫ですか?」
「許せないわ!溺れているから助けようとしたのに、こんな仕打ちされるだなんて!」
「セナ、男は私が連れて行くからセナはカラルリのとこに行って」
アルフォンス王子が言うとセナ王女は
「この最低野郎!」
と一言吐き捨て、カラルリさんのところへ行った。
「ナミネ、突然離れないで」
その時、何かが私たちの近くにいた。
「ラルク、サメだよ!」
「ナミネ!戻ろう!」
私が言うものの、ナミネはサメの上に乗ってしまった。そして、ラルクもナミネの後ろに乗ったのだ。
「ナミネ!早く下りて!」
「ヨルクさん!写真!写真!」
「ナミネ!お願いだから下りて!!」
その時、カナエさんが写真を撮った。
「ヨルクは心配しすぎです。ナミネとラルクも下りるのです!」
カナエさんは扇子でサメを遠くまで吹き飛ばした。
「ラルク、楽しかったよね」
「そうだな。貴重な体験だな」
「みんなとにかく、境界線の中に入るのです!」
カナエさんの言葉にナミネもラルクも大人しく従った。境界線の中に入った私は泣きながらナミネの手を握った。
「ナミネ……危険なことしないで……せっかくナミネの気持ち知れたのに……」
「すみません、ヨルクさん。一度海から出ますか?」
ナミネは心配そうに私を見つめた。
「ナミネはどうしたいの?」
「あ、ユメさんだ!ラルク、ユメさん来てるよ!行こうよ!」
「ナミネ、待って!置いて行かないで!」
「はい」
ナミネは私を見つめていた。ナミネの気持ちを知ったものの、私はどこまでナミネに近付けばいいのか分からなかった。そして、ラルクはセレナールさんのボートに乗った。
その時、見知らぬ女子中高生が寄ってきて私に連絡先を聞いた。私はどうしたらいいのか分からず一人一人に連絡先を教えようとした。
「行きますよ、ヨルクさん」
ナミネは私の手を握るとスピードを飛ばし泳ぎはじめた。あっという間に浜辺に着くとナミネはユメさんに駆け寄った。
「ユメさん、来てたんですか?」
「ええ、何だか久しぶりね。私、彼が出来たの」
「えっ、そうなんですか?」
ユメさんが言うと向こうから誰かが近付いてきた。
「私の彼なの」
え……ミナクお兄様……?
「あ、ミナクさん、久しぶりです」
「ナミネか。一瞬誰か分かんなかったわ」
「ミナク、元気にしていましたか?」
「はい、カナエさん。私はずっと元気です」
ナミネとラルクは携帯でメールのやり取りをしはじめた。ミナクお兄様がユメさんの彼氏だなんて、何ていう神様のイタズラなのだろう。
「アルフォンス王子、ユメさんとは関係を持っていたのでしょうか?」
やっぱりミナクお兄様は何も変わっていない。
「いや、ユメさんとは何もないまま別れた」
「どうしてですか?」
「女として見れなかったからだ」
「もう、ミナクったら、疑いすぎよ」
気付くとナミネとラルクは遠ざかっていた。私はナミネに駆け寄った。
「ミナクさん、まだ金髪にピアスなんだ」
「まあな。あの頃から何も変わってないからな」
「ユメさんが危ないよ」
「別れさせるしかないな」
「そんなこと出来るわけないでしょ!ナミネは危険なことに関わらないで!」
ユメさんは薄いパーカーに長いスカートを着ていた。まるで何かを隠すように。どうしてユメさんがミナクお兄様と交際をしたのだろう。
とにかくミナクお兄様と交際している以上、ユメさんにはメンバーに加わって欲しくないと私は思ったのだ。
「ねえ、ラルク、ミナクさんに他の女紹介する?」
「例えば誰だよ!」
「副委員長とか」
「第2の犠牲が出るだけだろうがよ!とにかく戻るぞ!」
ラルクはナミネを連れてみんなのところへ戻って行った。私も慌てて着いて行った。
「あの、皆さん、お昼は屋台のを食べますか?」
「ええ、私は屋台のを食べるわ」
セレナールさんに続いて、みんな屋台の料理を気にしはじめ、昼食は屋台の料理ということになった。けれど、ここにミナクお兄様がいることがとても不安である。
「では、お昼は屋台の料理で、その後、温泉行きませんか?」
「いいわね、私行くわ」
「カナエも行きます」
「ユメさん、泳ぎに行こう」
「え、ええ」
ミナクお兄様はユメさんの手を引っ張って海に入って行った。ユメさん、DV受けていないだろうか……。心配はするものの、私は何も出来ずにいた。
「ナミネ、何食べる?」
「私、広島焼き買ってきます」
「え、待って!ナミネ、一緒に食べよう?」
「はい」
「じゃあ、買ってくるね」
私が屋台へ向かうとナミネも着いて来た。私は内心かなり舞い上がっていた。屋台に着くと私は広島焼きを買って、お箸を2つ付けてもらった。
ナミネと恋人らしくなれる日が来るだなんて本当夢のようだ。
ナミネと私は広島焼きが見えるようツーショットを撮った。私は早速、カップル日記に投稿をした。
『恋人になってから、はじめてのシェア』
ふとセナ王女の投稿を見ると
『今朝からカラルリとラブリーしちゃいました♡今日は海に行くよ』
と書いてあった。
高校生ならそういう年頃なのだろうか。けれど、私はミナクお兄様みたいにはなりたくない。ナミネのこと大切にしたいし、大人になっても今と変わらずナミネとの時間を取りたいと思っていた。

温泉に着くと、セナ王女とカラルリさんは混浴に入るようだった。
「ラルク、一緒に混浴入ろうよ」
「そうだな」
「ナミネ、もう小学生の頃とは違うんだよ。混浴だなんてダメだからね」
「えっ、でも、ヨルクさん、私のプライベートには口を挟まないって……」
私はナミネが混浴に入る前に、女湯のカーテンの中に入れた。確かにプライベートに口を挟まない云々は言ったが、それはナミネがラルクのことを好きだと思って言っただけで、両想いの今なら、やっぱり干渉せずにはいられなかったのだ。
私が男湯から上がると、ナミネは男湯の前で1人ムスッとしていた。
「ナミネ、早かったね」
「女湯、私1人でした!女性陣はみんな混浴に入ってました!つまらなかったのですぐに出ました!」
「えっ、そうだったの?うーん、ごめんね。みんな女湯に入ってるかと思ってた」
「もういいです」
「ナミネ、拗ねないで。お土産屋さんで好きなもの買ってあげる」
拗ねたナミネも可愛い。ナミネの全てが愛おしくてたまらない。
「金で買収ですか。まるで国会議員ですな」
「ナミネ、そういう言い方良くないよ。いらないなら買わないから」
その時、混浴勢が出てきた。カナエさんとアルフォンス王子も入っていたのか。ラルクとセレナールさんも?というか、ミナクお兄様とユメさん、いたの?私は色々混乱して来た。
「ラルク、聞いて。女湯、私1人だったの」
「ヨルクお兄様は気が回らないからな」
「ラルク、簡単に混浴入るの私はどうかと思う。他のお客さんもいるわけだし。ナミネは年頃だし」
「ラルク、ここ遠い前世は料亭だったよね。料亭あった場所見に行こうよ」
ナミネは完全に拗ねている。何とかしなくては。
「ナミネ、お土産屋さん、見るだけでも見よう?」
「分かりました」
私たちがお土産屋さんに入ると、みんなもお土産屋さんに入った。ナミネはモルモット妖精の限定品ストラップを手に取った。
「ナミネ、それお揃いで携帯に付けよっか」
「はい」
私はモルモット妖精の限定品ストラップを2つ手に取りクリスタルカードで購入をした。ちなみに、クリスタルカードは、日本村で言うところのクレジットカードのようなもので、武士の殆どは持っているのである。貴族レベルになってくると、レインボーカードを持つ人が殆どだ。芸能人だとシルバーカードを持っていたりする。
「はい、ナミネ」
「ありがとうございます」

温泉の後は、デパートへ行った後、星空レストランというところで夕ご飯を食べることになった。
それにしても、このレストラン、星空の絵がたくさん飾られている。
「ねえ、ラルク、この絵画たち、どこかで見たことあるよ」
「そうか?僕ははじめて見るけどな」
「あっ!この絵画たちの再現してるのタルリヤさんだったんだ」
「ナミネ、知ってるの?」
「遠い前世でエミリさんと浮気していた人です」
「ナミネ、変な言い方するなよ」
エミリさんはカラクリ家の長女である。今は皇太子様と交際しているらしいが……。
「ナミネ、どれ食べる?」
私はナミネにメニューを見せた。
「わあ、どれも可愛い」
「一緒に食べようね」
メニューに目を輝かせているナミネ可愛すぎる。
「皆さん、少しカナエに時間をくれませんか?」
「はい、どうぞ」
「ええ、構わないわ」
私たちはカナエさんのために静まった。カナエさんは席を立った。幸いカナエさんに攻撃的なセレナールさんはトイレに行っていていなかった。
「アルフォンス王子様、カナエはアルフォンス王子様のことが好きです。アルフォンス王子様はカナエのこと、妹だと言っていましたので、最初はそこからでも構いません。カナエはアルフォンス王子様の純粋無垢で、いつもカナエのことを思いやってくれているアルフォンス王子様に日に日に惹かれるようになりました。カナエとの交際を考えて頂けないでしょうか?」
えっ、まさかの告白!?時間の問題だとは思っていたけれど、カナエさん、行動力あるなあ。
「カナエ、私もカナエが好きだ。時期を見て私から告白するつもりだったけれど、先を越されてしまうとは思わなかった。カナエのことは私が全力で守るし幸せにする。私はカナエと交際する」
その瞬間、カナエさんは店員さんに預けていただろう100本の薔薇の花束をアルフォンス王子に渡した。2人ともとても幸せそう。それにしても、7月だけで3組もカップルが生まれるとは思いもしなかった。しかし、カラルリさんの50本の薔薇といい、兄妹揃って似てるなあ。
「へえ、あんたら交際するんだ。いい女そうに見えて男に尽くしすぎる女子高生と平凡王子か。ま、精々幸せになれば?」
いきなり突っ込んで来たのは、私と同年代くらいの男の子だった。いったい何なのだろう。
「何このガキ」
セナ王女が反応すると銀髪の少年は真っ先にセナ王女を見た。
「あんた、強いけど恋愛に夢見すぎ」
確かにセナ王女は少し恋愛にのめり込んでいる気もする。
「あんた、やたら惚れっぽい一目惚れ主義」
うーん、これはどうだろう。キクリ家にはそれなりに行っていたものの、1番下のカナエさんが私より年上だからそこまでカラルリさんのこと知らないんだよな。
「あんた、いつも1番目の幸せ逃して2番目の幸せで生きてる」
カラン王子にまで文句言うだなんて、ちょっと人間性を疑ってしまう。
「あんた、女にしては随分気が強いな」
ナミネは確かに強いけど、弱いところだってある。何も知らないのに、ごちゃごちゃ人を見た目で判断する。
「あんた、頭良さそう」
何故、ラルクだけ褒める。
「あんた、顔だけ」
え、顔だけって何?
「ねえ、どうしてみんなを悪く言うの?」
思わず私は声に出してしまった。
「思ったこと言っただけだけど?」
私は立ち上がって、少年に近付こうとした。その瞬間、ガラの悪そうな男子大学生3人組のうちの1人とぶつかってしまった。
「すみません」
「は?ぶつかっといてそれだけかよ!」
謝ったものの、男子大学生は私に対して怒りが収まらないようだった。
「おい、顔だけ!あんた馬鹿だな!」
こういう状況で何故煽る。私は何も言わなかった。
「あの、すみません。お代はこちらでお支払いしますので許してもらえないでしょうか?ヨルクさんはわざとぶつかったわけではないんです」
私を心配してか、ナミネは男子大学生に頭を下げた。
「顔だけあんた、ヨルクって言うのか。変な名前だな。気の強いあんたも悪いことしてないんだから謝る必要ないと思うけど?ていうか、あんたら3人組ダサイな」
「ちょっと!せっかくナミネが謝ったのにわざわざ拗らせるようなことしないで!」
男子大学生は銀髪の少年に掴みかかろうとしたが、ものの一瞬だった。銀髪の少年は扇子で男子大学生を操り、色んな机につぶけさせ、料理を台無しにした。この少年も武士なのだろうか。それにしても、料理がもったいなさすぎる。
「ねえ、ラルク、あの人強いね。落ち武者?」
「さあな。でも、あの扇子ちょっと古くないか?」
銀髪の少年は男子大学生が起き上がる頃に何やら映像を見せているようだった。
「あんたらが裏で浮気してるように、あんたらの彼女も浮気してんだよ。お似合いカップルだな」
「そ、そんな、嘘だろ!」
「許せねえ」
「ボコボコにしてやる」
「は?浮気してんのはあんたらも同じだろうがよ!」
その時、店長らしき人が来た。また、今到着しただろう警察も付いていた。
「他のお客様に迷惑がかかっております。床に落とした料理の代金はきっちり請求させてもらいますのでこちらに来てください」
「は?何で俺らの責任になるんだよ!俺らは被害者なんだよ!」
男子大学生は抵抗したものの無理矢理警察に連れて行かれていた。ここまですることだったのだろうか。話し合いで何とかなった気もするし、私は銀髪少年のしたことが理解出来なかった。それに、私が原因を作ったゆえ、この店にいづらい。
「おい、顔だけヨルク、助けてやったんだから礼の1つくらい言えよ」
「何故、私のみ侮辱する。それに、ここまですることはなかったと思う」
その時、セレナールさんが駆け寄って来た。
「セルファ!何したの!店内めちゃくちゃじゃないの!」
セレナールさんの弟さん……?よく見れば似ている。けれど、3人とも全然似てない。
「ヘマな顔だけヨルク助けただけだけど?」
「ヨルクさん、戻りましょう。あ、落ち武者さんもご一緒しますか?」
何故見ず知らずの人を誘う。
「じゃ、僕もみんなと食べる」
セレナールさんの弟さんはカナエさんの隣に座った。
「なるほど。セレナール先輩は、この人から古い映像を提供してもらっていたというわけですね」
「へえ、あんた、やっぱり鋭いね。姉さんがどうしても必要って言うからさ」
「セレナール!実の弟を利用してカナエに攻撃するなんて卑怯です!」
「ふーん、姉さん、あんた仲間と仲違いしてるってわけ」
「あの、お話中ですが、お店に入ったわけですし、そろそろ料理選びませんか?」
困ったようにカラン王子が言った。確かに、さっきのゴタゴタで、料理のことすっかり忘れていた。何か選ばなくては。私は再びナミネにメニューを見せた。
「ナミネ、どれにする?」
「イルカカレーにします」
イルカカレー。カレーなのに、真っ青だった。この店の料理はどこか変わっている。
「うん、じゃあ、これを一緒に食べようね」
「セレナール、もうカナエをイジメるのはやめてくれないか?」
「あら、彼氏気取りってわけね。アルフォンス王子、これ見なさいよ。あなた、カナエと結婚した後、若い女囲っていたのよ。浮気者ね」
「私はやめてくれと言っている!」
アルフォンス王子はかなり苛立っている様子だった。2人、とてもいい感じに見えるけど、いつかの前世ではアルフォンス王子は側室を持っていたのか。
「姉さん、あんた何があったのさ」
「聞いてよ、セルファ。私、メンバーからずっと仲間外れにされていたの。武官に襲われた時はいつも私は後回し。『後回しにしないで欲しい』と言えば『後回しになんかしてない』と言われ、『苦痛だ』と言えば、みんなで無視をされ、『やめて欲しい』と言えば、みんなが私を悪者にしたわ。特にカナエなんか、襲われている私ごと結界に閉じ込めたわ!トラウマになってるのに、現世でもイジメられて、どうしても許せない!」
後回し。自分がされたら確かにいやだろうけど、だからと言って、セレナールさんのカナエさんに対する反撃は度を超えている。男の私は女性の気持ちとか分からないけど、それでも、弟に頼んでまで古い映像を見せるほどのことなのだろうか。私はモヤモヤしながら、注文した料理を待っていた。

……

あとがき。

文字数が結構来ているので、一旦ここで区切ります。

ちなみに、このシーンも走り書きにはないし、セナとカラルリは体育祭で、その後、カナエとアルフォンスはセナの別荘で、ナミネとヨルクはレストランで交際をはじめている。年内は年内でも同じ月ではない。また、セルファもここでは登場しません。

その辺色々異なっているけど、走り書きではナミネは2年生になっているので、一人称版では、走り書きよりまとまった形で綴りたいなあと思います。
純愛偏差値 未来編 一人称版 13話

《ラルク》

いよいよ、夏休みがはじまった。海開きもしているし、今日は海に行くはずだったが、生憎の雨で、みんなでキクリ家に集まることになった。
ちなみに、セイさんのお母様の寿命はあの後、我に返って咄嗟に戻したのである。

キクリ家の第1母屋の第3居間。
少し改装はされているけど、あの頃と殆ど変わってねえな。その時、テレビからニュースが流れてきた。
『桜木町に住む、ある高校生カップルの女子高生が突然死をしました。女子高生の交際相手に事情聴取を行ったら、第3を破った直後に彼女が苦しみはじめ、救急車を呼んだものの、間に合わず息を引き取ったとのことです。同じ事件はもう150件を超えています。皇帝陛下は今後、第3を破った男性には100~500万円の罰金、或いは3~5年の懲役刑が課せられると言っております。詳しいことは調査中です』
また、このニュースか。迂闊な人間もいるもんだな。学生で責任も取れないどころか人が死んでいるのに、それでも同じことをする人間がいることが僕には理解出来なかった。
「ねえ、ラルク、最近このニュースばかりだよね」
「そうだな。何度放送しても伝わらない人間には伝わらないだろうに」
「そういえば私、カラルリに第2突破されちゃった」
早速ここにいた。オタクらの頭の中はお花畑か?そもそもカラルリ先輩何かあったら責任取れるのかよ。
「ねえ、セナさんたちって、どういうきっかけだったの?」
どうして聞くかなあ、セレナール先輩。
「一言で言うなら運命かしら。カラルリとは遠い前世でも愛し合っていたから」
「いいな」
「私たち100%愛し合っているから第3も平気よ」
そういう安易な考えの人が、あのニュースみたいなことになるんだよな。ニュースから学習というものが出来る人は、この世にいったい何人いるのだろう。
「あ、皆さんは前世とか信じますか?」
「ハッキリ言って前世とかくだらない」
真っ先に答えたのはヨルクお兄様だった。本当は覚えているだろうに、なんで嘘つくかな。ナミネに知られたくない前世でもあるのか?
「私は遠い前世、カラルリと交際してたの。あの時は21歳だったわ」
「そうね、カナエってアルフォンス王子をすぐに誘惑してたわね」
「セレナール!どうしてカナエにばかり楯突くのですか!」
「あ、カナエさんって確か、今は改装された、あの五つ星ホテルのレストランでアルフォンス王子に告白したんでしたっけ?100本の薔薇の花束を持って。まるでヨルクさんの告白の仕方と同じですね」
ナミネはヨルクお兄様を見た。しかし、レストランで告白など有り触れている。ヨルクお兄様がカナエ先輩を真似したとも考えにくい。
「私は前世など信じない」
「そうですか」
ナミネは机に携帯を置いて見はじめた。随分と古い写真だな。いつ頃のものなのだろうか。考えているうちにナミネは待受画面に戻した。
「ナミネ、それ何?」
「前世とかくだらないって言ったヨルクさんには教えません」
「ナミネが信じるなら信じるから教えて。それ、結婚式の写真だよね?」
「教えません」
ナミネは一度意地を張ると、なかなか素直にならないからな。ヨルクお兄様も不器用だな。
「ねえ、ラルク、この指輪見て」
「ナミネ、これどうしたんだよ」
僕は箱から指輪を取り出した。すると、中にナミネとヨルクお兄様の名前が刻印されてあった。メッセージカードの筆跡もヨルクお兄様のものだし、どこかの前世で結婚していたのか?
「メッセージカードはヨルクお兄様の筆跡だし、指輪にもナミネとヨルクお兄様の名前が刻印されてるな」
「え、見せて!」
早速、ヨルクお兄様が飛びついてきた。ヨルクお兄様は指輪の刻印とメッセージカードを見るなり、かなり驚いた様子だった。それにしても、指輪の箱もメッセージカードもかなり古い。色褪せているどころか黒ずんでいる。いったいいつのものなんだ?けれど、指輪の状態はかなりいい感じで保存されていたようだ。
「ナミネ、こんな高価なもの、持って来ちゃダメでしょ。言ってくれれば私がナノハナ家まで行ったのに」
「ヨルクさんは前世はくだらなくて信じないんですよね?だったら、見る必要なんかありませんよね?」
「ナミネ、ごめん……怒らないで。ナミネが信じるなら私も信じるから待受の写真送って」
「分かりました」
ナミネも流石にここまでヨルクお兄様に迫られたら断り続けることを可哀想に思ったのか写真を送ったようだ。そして、早速ヨルクお兄様はカップル日記に投稿していた。
『いつかのナミネとの結婚式の写真と婚約指輪。
現世でもこうなりたいし、ナミネには幸せになって欲しい。たった1枚だけでも結婚式の写真があることはとても嬉しく思う。たった1枚だからこそ、今後のナミネとの関係をより大切にしたい』
ヨルクお兄様らしいな。ん?ナミネも投稿しているのか?結婚式の写真とはまた別の写真だ。
『いつかのヨルクさんと私の成人式の写真。ヨルクさんは一つ上だから私を迎えに来てくれたのだと思う。当時は白黒写真だっただろうから、何色の着物を着ていただなんて分からないけど、何色だったのだろう。
そして、現世の成人式ではどんな着物を着るのだろう。まだまだ先だけど楽しみになってきた』
なんだかんだでナミネもヨルクお兄様のことが好きなんだな。また、セナ王女とカラルリ先輩も投稿していた。セナ王女のほうはまだ夏休みに入る前の投稿だろうか。
『カラルリと初Fメモリイ♡
私たちは前世でも恋人だったし、運命の絆で結ばれていると思うの。
カラルリ、ずっと好きよ』
布団に入ったツーショットだった。よくこんなの載せられるな。僕なら絶対に載せたくない。
『セナさん、私たちは運命の絆で繋がれている。毎日セナさんのことが好きで好きでたまらない。この感情は一生ものだよ』
そう書いておいて、別れたらどうするんだよ。僕は2人の投稿を半ば白い目で見ていた。
「カラルリ、私たちもウエディングドレスとタキシード着て写真撮りましょうよ。待ち受けにしたいわ」
「うん、今度写真館で撮ろう。セナさんのウエディングドレス姿、綺麗だろうな」
ナミネとヨルクお兄様を羨ましがったのか、セナ王女はナミネたちの真似をしようとしはじめていた。別に待ち受けなんて何でもいいだろうに。そういう僕もセレナール先輩に言われて同じツーショットの待ち受けにしているけれど、正直同級生に見られたりなんかしたら、めちゃくちゃ恥ずかしい。
「ナミネ、私も結婚式の写真、待ち受けにしたよ」
「どうしてですか?」
「ナミネと同じがいいから」
「そうですか」
ナミネは少しヨルクお兄様にくっついているのか?いつの間に、そこまで仲良くなったのだろう。けれど、ヨルクお兄様のほうはナミネの変わりように驚いている様子。いったいどうなっているんだ?
「ラルク、私もウエディングドレス着たいわ」
「セレナール先輩、少し早すぎませんか?」
「皆さんはどんな水着着るんですか?」
「もちろんビキニよ」
セナ王女はやはりそうか。小柄だけど、スタイルは良さそうだしな。
「私もビキニ」
え、セレナール先輩も!?僕は少し不安になった。セレナール先輩ならナンパもされるだろう。常に目を離すことが出来ない。
「カナエもビキニです」
「では、私もビキニにします」
「ナミネはまだ中学生だから、ビキニはやめようね。私が選んであげる」
「えっ、でも、みんなビキニなら私もビキニがいいです」
「ナミネは似合わないよ。私と一緒に見に行こうね」
ヨルクお兄様の地味な束縛にナミネは膨れた。けれど、僕も中学生のナミネには似合わない気がする。
「ナミネは胸ないんだし他のにしといたほうがいいと思うぞ」
「うーん、分かったよ、ラルク」
ナミネはまたヨルクお兄様にもたれかかった。ナミネの好きな人ってヨルクお兄様だったのだろうか。
「ねえ、カナエ、今日ユメさんが来ないのはカナエのせいよ。カナエって人から大切なものばかり奪って。汚いわね。ほら、これ見なさいよ」
「どうして……どうして、このような古い映像があるのですか!セイと交際していたのは、ずっとずっと古い前世です!こんな汚いやり方でカナエを脅すのはやめるのです!」
古い映像?セイさんと交際していた時の?どうしてそんなものがセレナール先輩の携帯の中にあるのだろう。これはもうセレナール先輩のバックには誰かいるとしか思えなかった。

……

あとがき。

これも走り書きにはないシーンです。

セレナールは古代編の恨みが残っているのでしょうか。紀元前村にいる時のセレナールとカナエは仲良しだったのに。

いつから恨み合う仲になってしまったのだろう。
この先、セレナールとカナエは仲直りする日が来るのだろうか。
純愛偏差値 未来編 一人称版 12話

《ナミネ》

私は、無自覚でカラクリ家の近くの川に身を投げ、月城総合病院に運ばれ、解離性愛情欠落症候群と診断された。自分でも、どうして自殺しようとしたのかは分からない。けれど、私は現世ではヨルクさんと幸せになる。絶対幸せになる。

そういえば、ユメさんとアルフォンス王子別れたんだっけ。やっぱり、気持ちのない恋というのは実らないものなのだろうか。

お昼休み。
私はいつもみんなが集まる広場に行く途中だった。
「ナミネ、調子はどう?」
振り向くとヨルクさんがいた。
「あ、えっと、その節はご迷惑をおかけしてすみませんでした」
私は気まずくて先に行こうとしたけど、躓いて転んでしまったのだ。ヨルクさんは私を起き上がらせてくれた。
「すみません……」
「ナミネ、私とナミネはもう交際してるんだし、気を遣わないで。私もナミネの助けになりたいし、ナミネには元気でいて欲しい。ナミネ、ラルクとはどうなの?交際上手く言ってるの?」
そっか、ヨルクさんに言ってなかったんだった。
「ラルクとは交際してません」
「え、どういうこと?」
「セレナールさんの身を守るため、私とラルクが交際しているという設定を設け、その噂を広めました」
そう、そのことで、私とヨルクさんの交際は仲間に祝福されることはなかったのだ。
「どうして言ってくれなかったの?ずっと心配してたんだよ」
「すみません。中学生になって、仲間が出来たはいいものの毎日が目まぐるしくて……」
「そっか、ナミネ無理しないで」
「はい」
交際してからのヨルクさんは、いつも私に優しくしてくれる。毎日メールもくれるし、ラルクによると解離性愛情欠落症候群の本も買っていたらしい。
やっぱりヨルクさんは、あの頃と変わらない。遠い前世と何も変わらない。優しいヨルクさんのままなんだ。

広場にいると、ユメさん以外来ていた。
「さて、今日はヨルクさんの手作り弁当ですかな」
私はラルクの上に座った。
「なんで僕の上に座るんだよ」
「だって、地面って硬いし」
気が付くと私はヨルクさんの膝の上に乗っていた。ヨルクさんの鼓動が聞こえてくる。何だか恥ずかしい。私は手足をジタバタさせた。
「ナミネ、暴れないで。大声も出さないでね」
「はい」
私はヨルクさんから下りた。
「昨日、キクリ家でお泊まりしちゃった」
「そうですか。また、みんなでお泊まりしたいですな」
「ナミネって子供ね。私、カラルリと愛し合っちゃったの」
そっか。少し早い気もするけど、セナ王女とカラルリさん、関係持ったんだ。ラルクとセレナールさんもいずれはそうなるのかな。
「あ、でも、あのようなニュースも流れていますし怖くないですか?」
妖精村の女性の処女膜は遠い遠い昔は2つまでと言われていた。けれど、妖精村半ばに3つ目があることが研究で判明されたのである。少し前までは、2つ目で妊娠は可能だったのだが、時代が進み、3つ目が妊娠の条件となってしまったのだ。
しかし、3つ目を失った中学生のカップルの女の子が次々に突然死し、皇帝陛下は3つ目は喪失しないよう禁止令を出したのであった。3つ目は遠い昔は、お互い100%好き同士なら死ぬことはなく、どちらか一方でも100%でなければ、死ぬという研究結果が出ていたけれど、現代はまた別の仮説があると言われているらしい。
でも、子供が産めないとなると妖精村、滅亡しちゃうよね。
そういえば、私とヨルクさんも3つ目の後、突然光る道が現れ、辿ると天使の輪っかがあったんだっけ。……あれ、今の何の記憶?私とヨルクさんが……?
私はヨルクさんの顔を見れなくなり、ラルクのほうに近付くと、ヨルクさんの手作り弁当を写真に撮った。
「ニュースなんて恐れていたら青春なんか楽しめないわよ。私は好きな人とは常に愛し合いたいわ」
セナ王女って大胆過ぎる。何かあった時、カラルリさん責任取れるのかな。
お弁当、どっちの日記に付けよう。ヨルクさんのお弁当、完成度高いし、やっぱり個人日記かな。私は個人日記にお弁当を投稿した。
「カナエ、お弁当ありがとう」
「あ、私もヨルクさんに作ってもらいました」
「ヨルクは、昔から家事をしてますからね」
そういえば、そうだった気もする。クレナイ食堂にもよく出入りしてたっけ。
その時、ユメさんが来た。ユメさんはさっきの会話を聞いていたのか、カナエさんが作ったアルフォンス王子のお弁当をひっくり返したのだ。
「ユメさん、いくらなんでもこれは酷すぎるよね。カナエに謝って」
「カナエ、カナエって何なのよ!アルフォンス様の彼女は私だったのよ!酷いのはどっちよ!」
私は正直、関わりたくないと思ってしまった。
「ねえ、ラルク、もうすぐ夏休みだね。プール行こうよ!」
「そうだな。やっぱり、夏休みと行ったらプールだよな」
私とラルクが話している間にもユメさんはカナエさんを攻撃し続け、そこへセレナールさんも入っていった。
「本当、カナエって人の男取るの上手いわね」
「カナエは、仲間の彼氏を取ったりしません!」
「だったら、この映像見なさいよ!まるで風俗嬢みたい。汚らわしいわね」
「やめるのです!セレナールは卑怯です!人の弱みに付け込んで何が楽しいのですか!」
カナエさん、ずっと堪えてる。可哀想だけど、巻き込まれるのもいやだしな。
「言っておくけど、私に危害を加えたら死ぬわよ?」
「セレナール!脅しはやめるのです!どうしていつもカナエを目の敵にするのですか!」
「卑怯な手で男奪って、自分のみ助かろうとするからよ!ほら、これ見なさいよ!」
「セレナール、カナエを攻撃するのはやめてくれないか?これ以上カナエを攻撃するならメンバーから抜けてもらう」
アルフォンス王子は言い切った。ユメさんの時は何も庇いも助けもしなかったのに、カナエさんのこととなると全力で庇うのか。
恋愛は時に差別にも思えてくる。
「ラルク、助けて……アルフォンス王子が私をイジメるの」
「えっ、でも、暴力とか一切なかったですよね」
セレナールさんって、こんな性格だっけ?それとも、弱さゆえに仲間外れにされたことで、歪んでしまったのだろうか。
「セレナール先輩、言葉での口論までなら僕は何もしません」
はあ、良かった。ここでまたラルクにキレられたら打つ手なしだよ。
「カナエ、よーく見て」
その瞬間、カナエさんを庇ってかアルフォンス王子がセレナールさんを突き飛ばした。
「いい加減にしてください!自分らのしたことなんですから、後から言われても仕方ないでしょう!前世か現世か知りませんが、人の恨み買うようなことしないでください!」
横を見るとラルクは誰かとメールをしているようだった。何のやり取りをしているかは分からなかったが、私はいやな予感がした。
「そんな……母さんの余命があと5年だなんて……どうしてこんなことに……」
セナ王女は突然泣きはじめた。
ラルクだ。ラルクがやったんだ。でも、どうやって?
番人……。確かラルクは現世では2番目の番人だったはず。だとしたら、番人であるキクスケさんの力を使ったんだ。私はラルクだとバレないよう黙っていた。
「無様ね。カナエが騒ぐからこんなことになったのよ」
「カナエは何もしていません!」
セナ王女とアルフォンス王子を見たがラルクを怪しんでいる様子はなかった。その時、ヨルクさんからメールが来た。
『ラルクがしたの?』
『分かりません』
『ラルクでしょ?だったら、どうして何もしないで黙っているの!』
『何か証拠でもあるのですか?だったら、その証拠見せてください!憶測で物事を語るなど武士の恥です!』
私は、直接ラルクに言わず敢えて私に言うヨルクさんにも少し苛立った。
『そうだよね……ごめん……』
『どうして、先にラルクに聞かず私に聞いたんですか!ラルクを恐れているからでしょう!ヨルクさんは卑怯です!交際は白紙に戻します!』
私は食べ終わったお弁当箱をカバンに入れて立ち上がった。
「待って、ナミネ!」
ヨルクさんは私の手を掴んだが、私は振り払い、猛スピードで理科室に駆け込んだ。
『ナミネ、ごめん。別れるだなんて言わないで』
『ナミネと別れたくない。どうしたらいい?』
『ちゃんと会って話がしたい』
私は少し言い過ぎたかもしれない。ごめんね、ヨルクさん。
『もういいです。別れませんから、そっとしておいてください!』
『ナミネ、どこにいるの?』
私は携帯を閉じた。少しすると数個の紙飛行機が理科室の窓を突いた。その瞬間、ヨルクさんは理科室に入って来た。
ちなみに、携帯電話も公衆電話も何もなかった時代、武士は手紙を紙飛行機にし、飛ばしたい方向へ飛ばす訓練を小さい頃からするのである。慣れれば遠くへも飛ばすことが出来るのだ。
「ナミネ、ごめんね」
「もういいです。過ぎたことですし。私、クラスに戻ります」
「ナミネ、簡単に別れるだなんて言わないで」
ヨルクさんは涙を零した。
えっ、どうしてヨルクさんが泣くの?ヨルクさんは私のこと何とも思ってないのに交際申し込んだんじゃないの?
「うーん、すみません。もう言いません」
私はヨルクさんにハンカチを渡した。
「ヨルクさんて、私に恋愛感情ないんですよね?」
「ナミネがラルクのこと好きだから重荷になると思って言えなかった。私はナミネが好き!ずっとずっと好きだった。小さい頃からずっとナミネだけを見てきた」
そんな……。だったら、どうして言ってくれなかったの?ヨルクさんて、どこか優柔不断。でも、今ここでハッキリ告白してくれたヨルクさんのことが今は愛おしい。私はヨルクさんを抱き締めた。

その夜、私は懐中電灯を持って、廃墟になった写真館に行った。私が、一つ一つアルバムを見ていると、知らないアドレスからメールが来た。
『ヨルクとの写真を探しているなら、入口から2番目の棚の2段目5列目、6列目、7列目、4番目の棚の3段目10列目、11列目、12列目だ』
『あの、どちら様でしょうか?』
『初代妖精村番人、ヨナラタスだ』
何故初代番人と交流出来るのか分からないが、私は、ヨナラタスさんから言われた6冊を扇子で取り出した。
1つ目を開いた。真ん中らへんに、ヨルクさんの部屋で教科書とノートを背景に高校生くらいの私とヨルクさんが微笑んでいる写真があった。
2つ目には、最後のほうに学校の庭園で高校生くらいの私とヨルクさんが制服を着て2人で立っている写真と庭園の噴水の前でベンチに座って2人ならんでいる写真があった。妖精村学園は初代からあの場所だったっけ。
3つ目には、最初の方に高校生くらいの私とヨルクさんが着物を着て羽子板を持って2人並んでいる写真があった。
4つ目には、2ページ目に大学生くらいの私とヨルクさんがメリーゴーランドの前で2人並んでいる写真があった。
5つ目には、真ん中らへんに大学生くらいの私とヨルクさんが雪降る中、成人式の建物の前で2人並んでいる写真があった。
6つ目には、1番最後のページに20歳前後の私とヨルクさんの結婚式の写真があったのである。
全てのページを見たが、私とヨルクさんの想い出の写真は7つだった。
でも、どうして最後だけ結婚式の写真なの?
とりあえず私は、7枚の写真を携帯に収めた。
『あの、どうして1枚だけ結婚式の写真があるのでしょうか?』
『6つ目までの写真は妖精村時代の写真で、7つ目は天使村時代の写真だ。天使村時代のナミネとヨルクは、まるで運命のように互いを求め愛し合っていた。けれど、結婚後、殆どの時代のナミネはヨルクへの想いに耐え切れず入退院を繰り返し、衰弱死をした。天使村から妖精村に変わる時、ナミネは最後の天使村の番人に《二度とヨルクを好きにならないように》とお願いをしたんだ。そして、妖精村時代、ナミネはラルクを好きになるループを繰り返すようになった』
ヨナラタスさんのメールを見た私は、その場に崩れた。そんな……自ら私はヨルクさんへの想いを捨ててしまっただなんて……。けれど、天使村とやらの記憶が私には全くない。どう思い出せばいいのだろう。
『あの、私がヨルクさんを愛していた記憶を思い出したいのですが方法はありますか?』
『6番目の棚の上から1番目の1番右端に箱がある。その中を見れば僅かな時間だけ頭の中に記憶が流れる』
私はアルバムを扇子で戻した後、ヨナラタスさんが言う箱を見つけ、扇子で取り出しだ。手に取ると小さな箱だった。
箱を開けると大きなハート型のダイヤモンドの指輪とメッセージカードが入っていた。私はメッセージカードを開いた。
『ナミネ、結婚してください。
ヨルク』
その瞬間、私の脳内にある記憶が流れた。
とてもとても古い時代のものだった。
18歳くらいの私とヨルクさんは手を繋いで町を歩いていた。
『ヨルクさん、大好き』
『私もナミネが大好きだよ』
私とヨルクさんは虹夜美術館に入った。
そこには虹で照らされた夜の町並みが描かれた絵が並んでいた。
『とても綺麗』
『ナミネ、お土産買って帰ろうね』
『はい!』
私は嬉しそうにヨルクさんの腕を組んだ。
そして時は流れ私は22歳になっていた。
『ヨルクさん、今日はどこへ行くのですか?』
すっかり夜だった。歩いていると高価そうなレストランが見えてきた。私とヨルクさんは、そこへ入った。
料理を食べている途中で、ヨルクさんは小さな箱を私に渡した。
『ナミネ、結婚して欲しい。必ず幸せにする』
『はい!ヨルクさん!』
私は箱を開けた。
記憶はそこで途切れていた。

そっか、私、ヨルクさんのこと好きだったんだ。ラルクじゃなくてヨルクさんが好きだったんだ。
ラルクへの想いは完全に消えたわけではない。けれど、私の心は物凄いスピードでヨルクさんを好きになっていきそうな気がする。もう既にラルクと一緒になることは求めていないし、ヨルクさんを好きという自覚がちゃんとある。ヨルクさんにドキドキしてたのはこういうことだったのか。
ヨルクさんには、かなりの時間待たせちゃったな。ヨルクさん、ごめんね。もう二度とヨルクさんを待たせないよ。

私は婚約指輪を見た。
これ、持って帰ってもいいのかな?でも、一応、私とヨルクさんの名前刻んであるし。メッセージカードの文字もヨルクさんの筆跡だし。
私は婚約指輪を持ってナノハナ家に戻って行った。

……

あとがき。

理科室のシーンは走り書きにはありません。
けれど、時間軸が本当バラバラ。

どうしても、セナとカラルリからのカナエとアルフォンスからのナミネとヨルクになってしまったからなあ。

夏休みのはじまり。
ナミネたちはどのように過ごすのだろう。
純愛偏差値 未来編 一人称版 11話

《ヨルク》

ラルクの一言で、ナミネは次々に同年代の見知らぬ人に告白をしに行った。私は慌ててナミネを連れ戻しに行った。
「あの、すみません、何でもありません」
どうにかナミネを席に座らせたものの、ラルクの余計な一言でナミネはまた見知らぬ人に声をかけに行こうとした。私はもう今しかタイミングがないと思い、土壇場でナミネの手を掴んで立ち上がった。
「ナミネ、私と結婚を前提に交際して欲しい」
唐突過ぎたのは分かっている。けれど、私は、この食事会という日を逃したくなかった。ナノハナ家に縁談用紙を預けるのではなく、直接告白してナミネの気持ちを確認したかったのだ。
「ほう、ヨルクさんは私に興味をお持ちかな?」
ナミネも も立ち上がった。そして、ナミネは真剣に私を見た。
「正直、恋愛感情があるわけではないけれど、未来の結婚相手として結婚を前提に交際して欲しい。ナミネはこのままラルクと交際を続けても口を挟まないしナミネの気になる人に対しても口を挟まなければ、ナミネのプライベートにも口を挟まない。出来れば今すぐ返事が欲しい」
ナミネはラルクのことが好きだからナミネを好きだと言う勇気がなかった。気持ちはちゃんと伝えるべきだっただろうか。それでも交際をしたい意思はちゃんと伝えた。
ナミネは一度私が掴んだ手を離し、私の両手を握り、再び真剣に私を見た。
「ふむふむ、つまり、ゆくゆくは私とヨルクさんは、結婚をするというわけですかな?」
ナミネはどう思ったのだろう。どう感じたのだろう。
「そういうことになる」
やっぱり、またラルクが好きだからと断られてしまうのだろうか。もう少し告白を遅らせるべきだっただろうか。それでも、縁談の返事が全くないことは、やっぱり気になったし、ナミネから直接どう考えているのかすぐに知りたかったのである。
「分かりました。その話、お受けしますぞ!」
え、告白を受け入れてくれた?ナミネは私と交際してくれるの?
ナミネは私の両手を離した。そして私は、支配人に預けていた菜の花とかすみ草の花束と小さい箱をナミネに渡した。
ナミネは箱を開けた。ナミネが星型のサファイアのネックレスを手に取ると私はナミネにネックレスを付けた。
「あ、ありがとうございます」
ナミネが私と交際してくれた。私は心の中で舞い上がった。けれど、周りの意見は厳しかった。
「ねえ、おかしくない?ナミネってラルクと交際してるんでしょ?なのにヨルクとも交際するの?そんなの二股じゃない!祝福出来ないわ」
二股など。ナミネはそのようなことをする女子ではない。私もラルクとセレナールさんが、ほぼ交際状態なのにナミネとラルクが交際をしているというのは少し変だと感じていた。
「あの、セナ王女……」
ラルクが何か言おうとしたのをナミネは遮った。
「ドキドキするから……ヨルクさんといるとドキドキするからヨルクさんからの告白を受け入れたんです!皆さんもドキドキして、その人と一緒にいたいと思うから交際するんじゃないんですか?」
ナミネ……。私は完全な片想いだと思っていたけれど、ナミネは私に少しでも気持ちがあったんだね。この場で嬉し泣きをしてしまいそう。ナミネ、可愛すぎる。抱き締めたくてたまらない。

私は、レストランでナミネと交際しはじめたことを何度も繰り返し考えては幸せな気持ちでいた。
けれど、そんな幸せは、あっという間に崩れてしまった。私とナミネが交際をしはじめた2日後の夜、ナミネはカラクリ家の近くの川に身を投げたのだった。
私とラルクは救急車を呼び、私はナミネに付き添い、ラルクはクレナイ家運転手の車で月城総合病院に向かった。

月城総合病院は、いつの間にか若先生のハル院長に変わっていた。ハル委員長はショウゴ先生の同級生でハルミ先生の元教え子らしい。

ハル委員長は言った。
「解離性愛情欠落症候群の可能性が高いと思う。境界性人格障害や機能不全家族、見捨てられ不安、全般性不安障害に重なる症状はそれなりにあるけれど、ナミネの場合は、姉の死という悲しい体験をし、それを1人で抱えているうちに、自分は1人だと自分を愛してくれる人は誰もいないと強度に考え込むようになったんじゃないのかな。
今のナミネの欠けたものを補えるのはヨルクだと思う。何も特別なことをしなくたって構わない。
それに、ナミネの気持ちが完全にヨルクに向いた時、ナミネは今の大きな不安の波からかなり解放されると思うよ。
入院はナミネとナミネの家族が話し合ってすることも出来る。でも、ナミネは登校を選ぶだろうね。
ヨルクもカサンドラ症候群にならないように、あまり気を張り詰めず、ゆっくりナミネを見守って」
解離性愛情欠落症候群……。はじめて聞く病名である。誰からも可愛がられてきたナミネが、自殺未遂をするほど愛情に飢えていただなんて……。ナミネを救いたい。ナミネに元気になって欲しい。
ナミネ、私を置いて行かないで……。ナミネがいなければ、私には何も残らない。
その時、ナミネは目を覚ました。
「ここはどこですかな?」
「ナミネ!どうして川に身を投げたの?」
私は泣きながらナミネを抱き締めた。
「川に身を投げた……?私が……?何も覚えていないです」
覚えてない……?ナミネの意思ではないのか?
「ナミネは今、或いは普段何を感じているかな?」
ハル委員長の問いかけにナミネはしばらく考えている様子だった。
「私、誰にも愛されないんです。前世でもです。私は好きな人とは一緒になれず、別の人と結婚したものの、殴る蹴るのDVや浮気を毎日され、毎日罵られました。私と結婚した人はモラハラ男ばかりだったんです」
ナミネがそんな男とばかり結婚していただなんて知らなかった。そんなことなら、一生ナミネを待ち続けるべきだった。
「そっか。ナミネは前世を覚えているんだね。そこでの酷い生活の記憶にずっと悩まされてきたのかな。最近、ヨルクと交際したみたいだけど、幸せじゃないのかな?」
ナミネはやはり、ラルクとの交際を望んでいるのだろうか。私ではナミネを幸せには出来ないのだろうか。
「いやな夢は度々見ます。ミドリお姉様の夢も。私には好きな人がいます。いくつかの前世でその人を好きでした。でも、その人には常に好きな人がいたんです。好きな人がいるのに、ヨルクさんといるとドキドキするんです。ヨルクさんと一緒にいたいし、かつて愛し合っていた気がするんです。ヨルクさんといると幸せな気持ちになれます。確実な答えは出ないままヨルクさんと交際してしまいましたが、交際したいんです!」
ナミネの心の中はラルクのみというわけではなかったのか。ナミネが私と交際したいと思ってくれているなら、私は全力でナミネを愛したい。
「そっか。お姉さんのことは本当に何て言ったらいいのか上手な言葉が見つからないけれど、いつかは今とは違うナミネになってお姉さんのことも少しずつ薄らいでいくと思うよ。ヨルクに気持ちがあるなら俺はヨルクとこのまま交際していていいと思う。どちらにしても、曖昧な今のナミネはこれから1つになってくよ。ただ、自分の意思ではないとしても命を絶とうとしたのは事実だから、今後は週3回カウンセリングに来てくれるかな?」
「分かりました」
ハル委員長はカウンセリング予約用紙をナミネに渡した。

その後、私は少しでもナミネのことを知るために解離性愛情欠落症候群の本を買って読んだ。しかし、ナミネはその後も何度か無自覚で川に身を投げ、その度に月城総合病院に運ばれたのであった。
ナミネは、遠い前世、ラルクと少しでも一緒にいるためにミナクお兄様に嫁ぎ、ラルクの死後から7年後の42歳の時に、川に身を投げて自殺をしたと話してくれた。無意識に川に身を投げてしまうのは、ラルクと添い遂げられなかった未練があるからだろうか。

私はナミネを刺激しないように、セリルさんに相談しながらナミネに接した。セリルさんからのメールではこう書かれていた。(メールは一部)
『ヨルクと交際した安心感で、今まで1人で張り詰めていた糸がプツンと切れてしまったのかもしれないね。でも、これは悪いことではなくて、心の膿を出す時期だと僕は思うんだ』
心の膿……。私から見ても今のナミネは多くの問題を抱えすぎていると思う。
ナミネを助けたい。ナミネとの交際を出来るだけ楽しいものにしたい。私はナミネを苦しみから救い出し、ナミネと必ず結婚すると決めたのである。

……

あとがき。

走り書きでは、この場面は、ヨルクと口論になったナミネがラブホテルの4号室で首吊りをし、月城総合病院に運ばれ、ヨルクはナミネへの『好き』の感情は薄れたものの、ナミネを助けたいという設定だった。

でも、ここでは、まだ番人も出ていないし、走り書きでのルームシェアもしていない。
あくまで純愛偏差値なので、純愛でいこうと、整理していくつもりです。
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