日常のこととかオリジナル小説のこととか。
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ashita
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地主(土地貸してます)
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漫画やアニメを見るのが好きです。最推しはフーディーニ ♡
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ブログ、もう書かないと思ってました。
けれど、去年から書き始めた小説によって、過去に書いてた小説も書き始め、ここに載せることにしたのです。
小説は、主に『時間と時間を繋ぐ恋の物語』と『妖精村と愉快な仲間たち』をメインに書いています。
現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。
純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。
元々このブログは病気の記録用として立ち上げたものですが、小説載せるようになってからは、ここは出来るだけ趣味的なことを綴りたいと思っております。
病気の記録や様々な思いを綴るブログは移転済みなのです。
ただ、今は日記は個人的な徒然、或いはお知らせとして綴ることが多いかと思います。
小説、ぼちぼちマイペースに書いてゆきます。
よろしくお願い致します。
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お知らせ。
イラストは現在「ナノハナ家の日常」に載せております。サイドバーにリンクあります。
また、「カラクリよろずや」にて無料のフリーイラスト素材配布もはじめました✩.*˚
フリーイラスト素材も増やしていく予定です(*'ᴗ'*)
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
模倣・無断転載などは、ご遠慮ください。
ブログの小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
小説・純愛偏差値に関しましては、武家名・貴族名(程度による) / 及び、武官の階級 / 扇子・羽子板・花札・百人一首・紙飛行機などのアイテム使用方法の模倣の一切を禁じております。
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X @kigenzen1874
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ブログ、もう書かないと思ってました。
けれど、去年から書き始めた小説によって、過去に書いてた小説も書き始め、ここに載せることにしたのです。
小説は、主に『時間と時間を繋ぐ恋の物語』と『妖精村と愉快な仲間たち』をメインに書いています。
現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。
純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。
元々このブログは病気の記録用として立ち上げたものですが、小説載せるようになってからは、ここは出来るだけ趣味的なことを綴りたいと思っております。
病気の記録や様々な思いを綴るブログは移転済みなのです。
ただ、今は日記は個人的な徒然、或いはお知らせとして綴ることが多いかと思います。
小説、ぼちぼちマイペースに書いてゆきます。
よろしくお願い致します。
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お知らせ。
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〈資格履歴〉
2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2010年02月10日
→セルフ・カウンセリング
ステップ2 合格
2011年05月28日
→セルフ・カウンセリング
指導講師資格審査 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年01月20日
→鉛筆デッサンマスター 合格
→絵画インストラクター 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
→茶道アドバイザー 合格
→お点前インストラクター 合格
2025年04月17日
→着物マイスター 合格
→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
→サイキックアドバイザー 合格
→サイキックヒーラー 合格
2025年07月01日
→アンガーカウンセラー 合格
→アンガーコントロール士 合格
2025年08月04日
→漢方コーディネーター 合格
→薬膳調整師 合格
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〈資格証明バナー〉

2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2010年02月10日
→セルフ・カウンセリング
ステップ2 合格
2011年05月28日
→セルフ・カウンセリング
指導講師資格審査 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年01月20日
→鉛筆デッサンマスター 合格
→絵画インストラクター 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
→茶道アドバイザー 合格
→お点前インストラクター 合格
2025年04月17日
→着物マイスター 合格
→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
→サイキックアドバイザー 合格
→サイキックヒーラー 合格
2025年07月01日
→アンガーカウンセラー 合格
→アンガーコントロール士 合格
2025年08月04日
→漢方コーディネーター 合格
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〈資格証明バナー〉

純愛偏差値 未来編 一人称版 87話
《ナミネ》
16時。
テントの中では重たい空気が漂っていた。
果樹園から戻る時には大雨は小降りになっていて、朝、私が汲んだ水はタルリヤさんが家の中に入れてくれたらしい。
「率直に言うわ!アルフォンス王子、これからは果物係は任せられない。加熱係に回ってちょうだい」
「それは出来ない。私はそのような屈辱を味わえない」
やはり、簡単に果物係を引退はしてくれないか。加熱係だって十分ハードル高い役割なのに。
「じゃあ、これから何をするのかしら?何もしない人には新鮮な食事は与えられないわ」
「それでも構わない。他の役割をするくらいなら死んだほうがマシだ」
何だその軍人のような考え方は。カラン王子でさえ洗濯をしているというのに、アルフォンス王子はカッコばかり気にしている。こんなことでは、次の国王はカラン王子に決まったようなものではないか。
その時、金のリンゴの成分を調べ終えたナヤセス殿がリリカさんにリンゴを戻した。
「ナヤセス殿、金のリンゴは全ての病気を治せるのですよ」
「そうみたいだね。これはまさに新種だ。帰ったら量産出来ないかハル院長に話したいと思う」
ナヤセス殿は運動神経は全然だけれど、持ち前の知識で、ここでは好奇心いっぱいに過ごしている。とてもイキイキしていると思う。
「そうね、いきなりのことで気持ちの整理もすぐにはつかないだろうから、何日か考えてちょうだい」
誰でもそう言うしかないだろう。その日に割り切れるものではない。もし、アルフォンス王子が、ここで何かしら作業をする気になれるのなら、ここは本人に現状と向き合ってもらうしかないだろう。
あれ、セレナールさんの下着がまた変わっている。別に持って来ていたのだろうか。それにしても、指定の下着を付けないなんて、私は認められない。
「あの、セレナールさん、その下着どうしたんですか?私言いましたよね?指定の下着つけるようにと。公衆浴場でも分かったように、ここには、とんでもないイジワル魔もいます。そのように透けるものを着られては迷惑です」
「だって、ここの下着ダサイんだもん。下着なら他の町の売れ残りが入って来て市場でセールしてるわよ」
他の町のものが、ここで売られているのか?セレナールさんの着ている下着は確かに現代物だ。他にも何か、ここで役立つものが売られているだろうか。
「ねえ、ラルク。市場行ってみようよ」
「そうだな。他の町のものが手に入る機会なんて、そうそうないからな」
「じゃ、僕も行く」
市場に行くメンバーは、私とラルク、落ち武者さん、ヨルクさん、リリカさん、ロォラさん、ズームさんが行くことになった。
市場に行くと、はじまったのが昨日かして、品物は少なくなっていた。えっと、カーディガンとセーターは確保しておいたほうがいいだろう。あ、米も売っている。他の客に取られないようロォラさんが手に持った。
「じゃ、確認する。カーディガン2つ、セーター3つ、ニット帽2つ、米10キロ、紅茶の茶葉20グラム、マグボトル3つ、栄養ドリンク10本でいいな?」
初日はもっとあったのだろうか。あのガタイの大きい男にとらわれすぎていた。セレナールさんも教えてくれたら良かったのに。
「はい、それでお願いします」
落ち武者さんは店主にお金を支払った。
その時、公衆浴場で会ったお姉さんがいた。お母様と着ているのだろうか。
「あ、お姉さん」
私が声をかけるとお姉さんの母親は怪訝した。
「あら、今も蓮華町暮らしなのかしら?こんなところで見たくもない顔を見るだなんてね。我が子じゃない子を5年も育ててやったのに恩知らずが!」
この人が……この人が、本当の子供が見つかるなり私を捨てたんだ。お姉さんも、私が追い出されて、そのまま知らぬフリして暮らしていたのだろうか。
「あの、よくもヌケヌケとそんなこと言えますね!ナノハナ家に私を届ける約束はどうしたんですか?そもそも、どうして私を追い出したのですか!」
「ナノハナ家?そんな約束したかしらね?あなたは私の我が子じゃないの!とやかく言わないでくれるかしら?それにあなたと娘は何度も取り違えられたわ!」
何度も取り違えられた?1回だけじゃないの?それにしても酷い言い方。私は知らない村で1人きりで心細く暮らしていたというのに。許せない。許せない。許せない。
私はお姉さんが縫い物をして作った衣類に扇子で穴をあけ、ウジ虫をつけた。
「あ、おばさん、この衣類不良品ですよ!」
「あら、本当だわね。昨日見た時はこんなんじゃなかったのに。これでは売り物にならないから捨てるしかないわね」
こんなことだけでは私は許さない。
「え、何?どうなっているの!?」
「あの、お姉さん。私、大昔に産婦人科であなたと取り違えられたんです!でも、あなたの家族があなたを見つけるなり5歳だった私は家から追い出された。それなのにお姉さんは助けてもくれなかったんですか!私は空き家で1人で心細く暮らしている中、お姉さんはぬくぬくと暮らしていたんですね」
公衆浴場では暮らしは酷いと言っていたけれど、お姉さんは、ここで幸せに暮らしてたんじゃない。大昔とはいえ、私は確かに生きていた。生きていたんだよ。
「ごめんなさい。そんなことがあったなんて全く知らなかった。償いはするから、許してくれないかしら?」
お姉さんも私を見捨てた1人だ。許せるわけがない!
私は紀元前村の皇室に紙飛行機を飛ばした。数分すると返事は帰ってきた。私は紙飛行機を開いた。
『シリアを50年死ねない身体にして、蓮華町のど真ん中で公開赤花咲に処する』
私は皇帝陛下からの文をお姉さんに見せた。
「皇帝陛下の決断は絶対です!逃げても無駄です!人を辱めたら自分が辱め返されるんです!私をあんな目に合わせた以上、もっと苦しみながら生きてください」
「本当にごめんなさい!あなたの家にはちゃんと謝りに行く!だから助けて!!こんな屈辱受けたら生きていけない!!」
妖精村もそうだけれど、紀元前村にも復讐権が存在する。誰かに家族を殺されたり、誘拐されたり、過度なイジメを受けたりなど、酷いことをされ、暮らしに支障が出たり、精神的に立ち直れなくなるなどの困難に陥れば、自分を陥れた人を復讐する権利が与えられるのである。
「50年は生きられるからいいじゃないですか」
「お願い、許して!母さん、謝って!出ないと、私の人生が奪われるわ!」
「結婚しないなら誰かに授けてもらえばいいじゃないの。私は悪くないから謝らないわ!」
こんな下賎な親なら町の評判も悪いだろう。娘1人大切に出来ないのか。お姉さんも運のない人だ。
「謝らないなら、皇帝陛下の罰は受けてもらいます!」
「待って!私は本当に何も知らないの!母さん、お願いだから謝って!」
その時、落ち武者さんが、ある映像を見せた。
映像はかなり古いものだった。少なくとも妖精村時代ではないだろう。
妖精村の紅葉町の産婦人科にて私とお姉さんは取り違えられた。紀元前村の蓮華町に住む、お姉さんの母親は私を我が子だと思い家に連れて帰った。
私は、お姉さんの家で、腐った煮物を食べていた。それでも、家族は私を可愛がってくれた。
けれど、私が5歳になった頃、妖精村の紅葉町の産婦人科から連絡があり、私とお姉さんが取り違えられたことが分かった。お姉さんの家族は、すぐにお姉さんを迎えに行った。
そして、私はお姉さんの家から追い出され空き家で住むことになる。
私は何度もお姉さんの家に行ったが、お姉さんの母親が私を育てることを認めず、私の家は一夜にしてなくなってしまった。
ある日私はお姉さんに相談した。
『あの、助けてもらえないでしょうか?私、まだ5歳で、とてもじゃないけど、1人では暮らしていけないんです』
『分かった。私から母に話してみる』
私はその言葉を何日も何ヶ月も信じて待ち続けた。けれど、市場でお姉さんを見かけるたび、お姉さんは平然としていた。
『あの、相談の件どうなったでしょうか?』
『ごめんなさい。母がどうしても、その話をするとヒステリーを起こすの。何も出来なくて本当にごめんなさい』
お姉さんも私のことを救えなかった。
『そうですか』
2年経った頃、私はお姉さんと、その友人との会話を聞いてしまった。
『ねえ、シリア。妹追い出したって本当?』
『妹なんかじゃないわ。母さんは産んでないもの。それに母さんは、あの子が武家のお嬢様と知って、わざと妖精村に返さないのよ。なんかちょっといい気味。私がこんなに苦労しているのに、あの子だけ楽に暮らすなんて許せないもの』
『でも、本当の親が知ったら不味いんじゃないか?』
『シラを切り通すに決まってるじゃない。あの子は、ここで1人で苦労すればいいわ。助けてあげるもんですか』
お姉さんたちの会話を聞いた私は泣きながら、家でもない空き家に戻った。
映像はそこで途切れていた。
なにが何も知らないだ。母親と共犯して私をイジメていたんじゃない。この映像を見た以上は、絶対にお姉さんを許さない。
「あんた、罰受けろ」
「許して!ここの暮らしが辛くて、この子に嫉妬してしまったのよ!お願い、赤花咲だけは見逃して!」
許すもんですか!あの時、私が苦しんだ分、今度はお姉さんが苦しめばいい。
「お姉さん、人を辱めれば、時を超えて自分が辱められるものですよ」
「お願い、あなたの家にはちゃんと謝りに行く!だから許して欲しい!」
その時、皇室の武官が来た。
「これより、皇帝陛下の命により、シリアを赤花咲とする!」
内官が読み上げたあと、ものの一瞬だった。40代くらいの太った武官はお姉さんを赤花咲した。お姉さんは、途中で気絶したが、終わった後に内官に水をかけられ、目を覚ました。
「いやぁあああああああああ!!!見ないで!!!!」
お姉さんは叫んだものの、後の祭りであった。市場に来ていた多くの町の人がバッチリ罰を見ていたのだ。お姉さんは、あっという間にこの町の笑いものになった。
「お姉さん、あの時はあなたの嫌がらせで妖精村に帰れませんでしたが、私、今、婚約者もいて、学校も楽しくて幸せなんです。お姉さんも幸せになってくださいね」
最後に私はそう言い残した。
お姉さんは、ただただ無言で悲鳴を上げていた。
ちなみに、私とお姉さんの年齢は、やはり当時も同じだけ差があった。聞くところによると、お姉さんは未熟児で成長も遅く、大きかった私と取り違えられたそうだ。
復讐なんてしないほうがいい。幸せになることが1番の復讐などと戯れ言を言う者もいるが、復讐権がある限り、私は私なりに公平な判断をしていく。
黙ったままでは、同じように私自身が生きられなくなってしまう。生きるということは白黒問わず公平を保つことの中に存在している。
「じゃ、帰る」
私は米を、ラルクは栄養ドリンクを、他の人は適当に品物を持ち、私たちはタルリヤさんの家に向かった。
店仕舞いの準備はじめていたから少しでも買うことが出来てよかったのかもしれない。
「ここはチームワークを大切にしてもらわないと困るわ。市場のセールを教えなかったセレナールには米も紅茶も栄養ドリンクも与えない。カーディガンやセーターは必要な人が使って」
私はすかさずヨルクさんにセーターを着せた。下に履いてるステテコもどきとは全然合わないけれど。
「ありがとう、ナミネ。でも、私は大丈夫だからナミネが着て」
「昼間は比較的温かいので私は今のままで大丈夫です」
色んなことを聞いた私は頭の中がぐちゃぐちゃになって、ヨルクさんに抱き着いた。
その後、果物も薬草も順調に採取され、加熱によって料理となった。洗濯係も洗い物係もサボらず働いてくれて、サプリメントも紙も市場では人気となり、売るたびに多くのお金が入って来た。
けれど、あの日以来、アルフォンス王子は何もしなくなってしまった。
ちなみに、あの後お姉さんは、母親に無理に市場に連れて行かれるものの、そのたびに悲鳴をあげ、周りの迷惑となった。縫い物の件も信用を失い、あの一家は町の人のイジメの対象になったのであった。
人は、おじいさんみたいに儀式で人魚の肉を食べて不老不死となり、ずっと生き続ける人もいれば、そうでなくても、初代前世からずっと繋がっている。いくら、昔、大昔とはいえ、人に対してよくないことをしてしまえば、何らかの形で自分に返ってくる。死んだらそこで終わりではないのだ。消された記憶は、そのうち蘇り、償わなかったものに関してはいつかは償わなくてはならない。転生したからといって人にしたことが消えるわけではない。お姉さんには、今すぐでなくても人を辱めた罪を現世にて償ってくれればと思う。
金がなっている。
町が荒れている。
「コロディーだ!」
「今すぐ避難所に行け!」
「コロディーだ、コロディーだ!」
「怖い!」
この町に来て、ひと月半が経とうとしている。こんなにも早くコロディーがやって来るとは思わなかった。
コロディー。主な症状は下痢で、それが悪化すると下痢と嘔吐を繰り返す。そして、そのうちに酷い脱水症状が起きる。下痢が多く排泄されてしまうためだ。ここまでは、コロリに似ている。しかし、コロディーはコロリとは違って発熱がある。それも酷い時は46度も熱が出て、生死を彷徨う。
コロディーもコロリと同じで感染症である。感染した人は隔離する必要がある。ひとたびコロディーが流行れば、町の病院は患者でいっぱいになり、入り切らなかった患者は外に敷かれたワラに寝かされる。
かつてのカナエさんたちが患者の世話をしていた時は医師免許なんて必要なかった。けれど、現代は違う。医師免許なしでの医療行為は問題に問われてしまう。
皇帝陛下にナヤセス殿とロォハさんの医療行為の許可をもらわないと。
「皆さん、感染症コロディーがやってきました!持って来た不織布マスクをマスクカバーに挟んでつけてください!不織布マスクだけでは大量の汗をかくことが予測されますので!マスクカバーは少なくとも2日に1度は替えてください!洗濯は各々でするように!病院はここから5キロもあるため、感染した患者は近くの人で溢れかえるでしょう。まずは感染している隣人を1箇所に集め、結界をかけます!いくら暮らしが古代とはいえ、無免許の医療行為は認められません!今すぐ、紀元前村と妖精村の皇室にナヤセス殿とロォハさんの医療行為の許可を申請します!皆さんは経口補水液を作ってください!ラルク!」
私は、ナヤセス殿とロォハさんの経歴を紙飛行機に挟むと紀元前村の皇室に飛ばした。問題は、妖精村に飛ばす方法だ。ここからでは少なくとも1週間かそれ以上はかかるだろう。
「ラルク、妖精村の皇室にどうやって飛ばそう」
「少なくとも、時速300キロで飛んでもらわないとな」
時速300キロ。もはや新幹線レベルだ。そのような速度で飛ばすことは出来ない。どうすればいいのだろう。
「ラルク、そんな速度で飛ばせないよ」
「セナ王女、すみませんがこの紙飛行機を時速300キロくらいで妖精村の皇室に飛ばしてもらえませんか?」
ラルクはセナ王女に紙飛行機を渡した。
「分かったわ!」
セナ王女は、妖精村の皇室に紙飛行機を飛ばした。
……。
物凄い猛スピードだ。はやり、セナ王女は遠い昔の力量は残っている。こんなスピードで紙飛行機を飛ばせるのは、このメンバーの中ではセナ王女くらいしかいないだろう。
20分後、紀元前村の皇室から紙飛行機が飛んで来た。45分後、妖精村の皇室から紙飛行機が飛んで来たのである。
私は紙飛行機の中を開いた。
『ナヤセスとロォハのコロディーに対する医療行為を認める。紀元前村 皇帝陛下』
『ナヤセスとロォハのコロディーに対する医療行為を認める。妖精村 皇帝陛下』
やった!これで、ここには2人の医者がいるも同然だ。
「ナヤセス殿、ロォハさん、コロディーに対しての医療行為が認められました。感染者の診察をお願いします。他の皆さんは疎らにタライを置いて、水に塩と砂糖を入れてください」
紙飛行機を飛ばしている間に、リリカさんたちが感染者をワラに寝かせ、岩の結界をかけてくれていた。もう既に嘔吐をしている人がいる。私は、ヨルクさんが作ってくれたマスクカバーにマスクを通して付けると、通し(とおし)でタライを置きに行った。
ふとテントを確認すると、セレナールさんとアヤネさん、カンザシさん、アルフォンス王子が、何もしないまま寝袋に入っていた。
「あの、4人ともコロディーで町が大変なんです。看病手伝ってもらえませんか?」
「私も具合悪いのよ!」
「怖いです」
「無理です」
「手伝うことは出来ない」
4人とも何なの。寝袋に入っているからといって感染を防げるわけではないのに。他のメンバーは必死で経口補水液を作っている。ここで口論している暇はない。私も感染者の面倒を見なければ。私は再びテントから出た。
外は感染者が増えている。結界かけて隔離しているのに。
「皆さん、患者さんに触れたあとは、必ず持って来た消毒液で消毒してください」
私は感染者が吐いたあとの口元を拭いてから感染者に、持って来た薄型のオムツを履かせた。
「カナエさん、ナルホお兄様、熱の酷い患者には、熱を冷ます薬草を煎じたものを与えてもらえませんか?」
麻黄、杏仁、桂枝、甘草。これを調合したものが現代で言うところの麻黄湯だ。普段飲む機会なんて今ではないけれど、昔の人は熱が強くなった時に飲んでいたんだなあ。
「分かりましたのです」
「分かった」
薬のことはカナエさんとナルホお兄様に任せるとして……。
「ねえ、ラルク、セレナールさんと、アヤネさん、カンザシさん、アルフォンス王子が寝袋に入っているよ」
「放っておけ。ここに来てもどうせ何もしないだろ」
だよね。ここまで何もしない人、はじめて見た。ナノハナ家での私みたい。アルフォンス王子は帰ったらしばらくはトラウマに苦しむだろうか。
「患者の手をシートで拭いて、シートがなくなったら、消毒液を布に付けて拭いてあげてください。布はハギレがたくさんあるため、一度使ったものは捨ててください。くれぐれも自分の消毒を忘れないでください」
「ナミネ、消毒液なんだけど、1人1つの持って来たものだけなのよね。今は足りているけれど、そのうちなくなると思うわ」
そうか。消毒液はサバイバルリュックに入れてきたものだから市場には売っていない。
「消毒液がなくなったらズームさんが作った石鹸を使ってください。患者の手を拭く時も患者の手に石鹸を付けたら、水で濡らした布で拭いてください。紙オムツもなくなった時に誰か布オムツを作っていただけませんか?」
下痢と嘔吐を1日に何度も繰り返すなら紙オムツも、そのうちなくなる。補充をしないと。
「分かった。私が作る」
「では、ロォラさんにお願いします。患者の汚れたお尻は水を濡らした布で1日に数回拭いてあげてください」
完全に汚れ作業だ。これでは、こちらもいつ感染してもおかしくない。ナヤセス殿とロォハさんは経口補水液を飲めない人に点滴を打っている。吐いたり下したりすると、体内の水分がなくなる。だから、定期的に経口補水液を与える必要がある。今は嘔吐だけだけれど、そのうち下す人も出てくるだろう。
みんなとても苦しそうだ。けれど、誰1人死なせたりはしない。
「皆さん、エプロンは必ず付けてください。患者の嘔吐なとで服が汚れてしまうと厄介ですので」
「うん、分かった」
「分かったわ」
「りょーかい」
「ああ、分かった」
(以下略)
これでみんなエプロンを付けた。本当は病院にあるような作業着があればいいのだけど、この町にはまず存在しない。この町の病院には医師のみに白衣は配布されているが、看護師には何も配布されない。女は薄いワンピース、男は薄いステテコもどきの上にエプロンを付けるといった心細いものだけれど、ないよりかはマシだ。
そういえば、遠い昔、占い師が遠い未来にコロナという感染症が流行ると言っていた。デマなのか本当なのか分からないけれど、コロディーでさえ未だに完治する方法は見つかっていないらしい。蓮華町以外の町では、試験的に開発されたワクチンを受けているらしい。けれど、そのワクチンは蓮華町だけには配布されない。
その時、お姉さん家族が来た。弟さんも一緒だ。
「病院は満員で治療薬も尽きたみたい。ここで治療してるって聞いて来たの。どうか助けて」
家族全員が感染したパターンか。私は通し(とおし)を使って空いているところにワラの敷物を敷いた。
「この紙オムツを履いて、あのワラの敷物に横になってください」
会いたくなかったけれど、死なせるわけにもいかない。弟さんは私くらいの年齢の子が3人いる。お姉さん家族は通し(とおし)で結界の中に入った。
みんな、これから一日中患者の看病をすることになるだろう。料理を作っている余裕などない。しばらくはドライフルーツや干し肉、干し魚などでしのいでいくしかない。
……
あとがき。
しばらくイラストのほうに集中していて、更新遅れました。
コロナじゃないけど、コロディーは遠い昔、カナエたちが感染者を看病していたのだ。The 古代編。
ずっと続いている感染症なのに今でも完治する方法が見つからないなんて、今後のコロナみたいだな。
今後もイラストは描くけど小説も定期的に更新していくよ!
……
この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
《ナミネ》
16時。
テントの中では重たい空気が漂っていた。
果樹園から戻る時には大雨は小降りになっていて、朝、私が汲んだ水はタルリヤさんが家の中に入れてくれたらしい。
「率直に言うわ!アルフォンス王子、これからは果物係は任せられない。加熱係に回ってちょうだい」
「それは出来ない。私はそのような屈辱を味わえない」
やはり、簡単に果物係を引退はしてくれないか。加熱係だって十分ハードル高い役割なのに。
「じゃあ、これから何をするのかしら?何もしない人には新鮮な食事は与えられないわ」
「それでも構わない。他の役割をするくらいなら死んだほうがマシだ」
何だその軍人のような考え方は。カラン王子でさえ洗濯をしているというのに、アルフォンス王子はカッコばかり気にしている。こんなことでは、次の国王はカラン王子に決まったようなものではないか。
その時、金のリンゴの成分を調べ終えたナヤセス殿がリリカさんにリンゴを戻した。
「ナヤセス殿、金のリンゴは全ての病気を治せるのですよ」
「そうみたいだね。これはまさに新種だ。帰ったら量産出来ないかハル院長に話したいと思う」
ナヤセス殿は運動神経は全然だけれど、持ち前の知識で、ここでは好奇心いっぱいに過ごしている。とてもイキイキしていると思う。
「そうね、いきなりのことで気持ちの整理もすぐにはつかないだろうから、何日か考えてちょうだい」
誰でもそう言うしかないだろう。その日に割り切れるものではない。もし、アルフォンス王子が、ここで何かしら作業をする気になれるのなら、ここは本人に現状と向き合ってもらうしかないだろう。
あれ、セレナールさんの下着がまた変わっている。別に持って来ていたのだろうか。それにしても、指定の下着を付けないなんて、私は認められない。
「あの、セレナールさん、その下着どうしたんですか?私言いましたよね?指定の下着つけるようにと。公衆浴場でも分かったように、ここには、とんでもないイジワル魔もいます。そのように透けるものを着られては迷惑です」
「だって、ここの下着ダサイんだもん。下着なら他の町の売れ残りが入って来て市場でセールしてるわよ」
他の町のものが、ここで売られているのか?セレナールさんの着ている下着は確かに現代物だ。他にも何か、ここで役立つものが売られているだろうか。
「ねえ、ラルク。市場行ってみようよ」
「そうだな。他の町のものが手に入る機会なんて、そうそうないからな」
「じゃ、僕も行く」
市場に行くメンバーは、私とラルク、落ち武者さん、ヨルクさん、リリカさん、ロォラさん、ズームさんが行くことになった。
市場に行くと、はじまったのが昨日かして、品物は少なくなっていた。えっと、カーディガンとセーターは確保しておいたほうがいいだろう。あ、米も売っている。他の客に取られないようロォラさんが手に持った。
「じゃ、確認する。カーディガン2つ、セーター3つ、ニット帽2つ、米10キロ、紅茶の茶葉20グラム、マグボトル3つ、栄養ドリンク10本でいいな?」
初日はもっとあったのだろうか。あのガタイの大きい男にとらわれすぎていた。セレナールさんも教えてくれたら良かったのに。
「はい、それでお願いします」
落ち武者さんは店主にお金を支払った。
その時、公衆浴場で会ったお姉さんがいた。お母様と着ているのだろうか。
「あ、お姉さん」
私が声をかけるとお姉さんの母親は怪訝した。
「あら、今も蓮華町暮らしなのかしら?こんなところで見たくもない顔を見るだなんてね。我が子じゃない子を5年も育ててやったのに恩知らずが!」
この人が……この人が、本当の子供が見つかるなり私を捨てたんだ。お姉さんも、私が追い出されて、そのまま知らぬフリして暮らしていたのだろうか。
「あの、よくもヌケヌケとそんなこと言えますね!ナノハナ家に私を届ける約束はどうしたんですか?そもそも、どうして私を追い出したのですか!」
「ナノハナ家?そんな約束したかしらね?あなたは私の我が子じゃないの!とやかく言わないでくれるかしら?それにあなたと娘は何度も取り違えられたわ!」
何度も取り違えられた?1回だけじゃないの?それにしても酷い言い方。私は知らない村で1人きりで心細く暮らしていたというのに。許せない。許せない。許せない。
私はお姉さんが縫い物をして作った衣類に扇子で穴をあけ、ウジ虫をつけた。
「あ、おばさん、この衣類不良品ですよ!」
「あら、本当だわね。昨日見た時はこんなんじゃなかったのに。これでは売り物にならないから捨てるしかないわね」
こんなことだけでは私は許さない。
「え、何?どうなっているの!?」
「あの、お姉さん。私、大昔に産婦人科であなたと取り違えられたんです!でも、あなたの家族があなたを見つけるなり5歳だった私は家から追い出された。それなのにお姉さんは助けてもくれなかったんですか!私は空き家で1人で心細く暮らしている中、お姉さんはぬくぬくと暮らしていたんですね」
公衆浴場では暮らしは酷いと言っていたけれど、お姉さんは、ここで幸せに暮らしてたんじゃない。大昔とはいえ、私は確かに生きていた。生きていたんだよ。
「ごめんなさい。そんなことがあったなんて全く知らなかった。償いはするから、許してくれないかしら?」
お姉さんも私を見捨てた1人だ。許せるわけがない!
私は紀元前村の皇室に紙飛行機を飛ばした。数分すると返事は帰ってきた。私は紙飛行機を開いた。
『シリアを50年死ねない身体にして、蓮華町のど真ん中で公開赤花咲に処する』
私は皇帝陛下からの文をお姉さんに見せた。
「皇帝陛下の決断は絶対です!逃げても無駄です!人を辱めたら自分が辱め返されるんです!私をあんな目に合わせた以上、もっと苦しみながら生きてください」
「本当にごめんなさい!あなたの家にはちゃんと謝りに行く!だから助けて!!こんな屈辱受けたら生きていけない!!」
妖精村もそうだけれど、紀元前村にも復讐権が存在する。誰かに家族を殺されたり、誘拐されたり、過度なイジメを受けたりなど、酷いことをされ、暮らしに支障が出たり、精神的に立ち直れなくなるなどの困難に陥れば、自分を陥れた人を復讐する権利が与えられるのである。
「50年は生きられるからいいじゃないですか」
「お願い、許して!母さん、謝って!出ないと、私の人生が奪われるわ!」
「結婚しないなら誰かに授けてもらえばいいじゃないの。私は悪くないから謝らないわ!」
こんな下賎な親なら町の評判も悪いだろう。娘1人大切に出来ないのか。お姉さんも運のない人だ。
「謝らないなら、皇帝陛下の罰は受けてもらいます!」
「待って!私は本当に何も知らないの!母さん、お願いだから謝って!」
その時、落ち武者さんが、ある映像を見せた。
映像はかなり古いものだった。少なくとも妖精村時代ではないだろう。
妖精村の紅葉町の産婦人科にて私とお姉さんは取り違えられた。紀元前村の蓮華町に住む、お姉さんの母親は私を我が子だと思い家に連れて帰った。
私は、お姉さんの家で、腐った煮物を食べていた。それでも、家族は私を可愛がってくれた。
けれど、私が5歳になった頃、妖精村の紅葉町の産婦人科から連絡があり、私とお姉さんが取り違えられたことが分かった。お姉さんの家族は、すぐにお姉さんを迎えに行った。
そして、私はお姉さんの家から追い出され空き家で住むことになる。
私は何度もお姉さんの家に行ったが、お姉さんの母親が私を育てることを認めず、私の家は一夜にしてなくなってしまった。
ある日私はお姉さんに相談した。
『あの、助けてもらえないでしょうか?私、まだ5歳で、とてもじゃないけど、1人では暮らしていけないんです』
『分かった。私から母に話してみる』
私はその言葉を何日も何ヶ月も信じて待ち続けた。けれど、市場でお姉さんを見かけるたび、お姉さんは平然としていた。
『あの、相談の件どうなったでしょうか?』
『ごめんなさい。母がどうしても、その話をするとヒステリーを起こすの。何も出来なくて本当にごめんなさい』
お姉さんも私のことを救えなかった。
『そうですか』
2年経った頃、私はお姉さんと、その友人との会話を聞いてしまった。
『ねえ、シリア。妹追い出したって本当?』
『妹なんかじゃないわ。母さんは産んでないもの。それに母さんは、あの子が武家のお嬢様と知って、わざと妖精村に返さないのよ。なんかちょっといい気味。私がこんなに苦労しているのに、あの子だけ楽に暮らすなんて許せないもの』
『でも、本当の親が知ったら不味いんじゃないか?』
『シラを切り通すに決まってるじゃない。あの子は、ここで1人で苦労すればいいわ。助けてあげるもんですか』
お姉さんたちの会話を聞いた私は泣きながら、家でもない空き家に戻った。
映像はそこで途切れていた。
なにが何も知らないだ。母親と共犯して私をイジメていたんじゃない。この映像を見た以上は、絶対にお姉さんを許さない。
「あんた、罰受けろ」
「許して!ここの暮らしが辛くて、この子に嫉妬してしまったのよ!お願い、赤花咲だけは見逃して!」
許すもんですか!あの時、私が苦しんだ分、今度はお姉さんが苦しめばいい。
「お姉さん、人を辱めれば、時を超えて自分が辱められるものですよ」
「お願い、あなたの家にはちゃんと謝りに行く!だから許して欲しい!」
その時、皇室の武官が来た。
「これより、皇帝陛下の命により、シリアを赤花咲とする!」
内官が読み上げたあと、ものの一瞬だった。40代くらいの太った武官はお姉さんを赤花咲した。お姉さんは、途中で気絶したが、終わった後に内官に水をかけられ、目を覚ました。
「いやぁあああああああああ!!!見ないで!!!!」
お姉さんは叫んだものの、後の祭りであった。市場に来ていた多くの町の人がバッチリ罰を見ていたのだ。お姉さんは、あっという間にこの町の笑いものになった。
「お姉さん、あの時はあなたの嫌がらせで妖精村に帰れませんでしたが、私、今、婚約者もいて、学校も楽しくて幸せなんです。お姉さんも幸せになってくださいね」
最後に私はそう言い残した。
お姉さんは、ただただ無言で悲鳴を上げていた。
ちなみに、私とお姉さんの年齢は、やはり当時も同じだけ差があった。聞くところによると、お姉さんは未熟児で成長も遅く、大きかった私と取り違えられたそうだ。
復讐なんてしないほうがいい。幸せになることが1番の復讐などと戯れ言を言う者もいるが、復讐権がある限り、私は私なりに公平な判断をしていく。
黙ったままでは、同じように私自身が生きられなくなってしまう。生きるということは白黒問わず公平を保つことの中に存在している。
「じゃ、帰る」
私は米を、ラルクは栄養ドリンクを、他の人は適当に品物を持ち、私たちはタルリヤさんの家に向かった。
店仕舞いの準備はじめていたから少しでも買うことが出来てよかったのかもしれない。
「ここはチームワークを大切にしてもらわないと困るわ。市場のセールを教えなかったセレナールには米も紅茶も栄養ドリンクも与えない。カーディガンやセーターは必要な人が使って」
私はすかさずヨルクさんにセーターを着せた。下に履いてるステテコもどきとは全然合わないけれど。
「ありがとう、ナミネ。でも、私は大丈夫だからナミネが着て」
「昼間は比較的温かいので私は今のままで大丈夫です」
色んなことを聞いた私は頭の中がぐちゃぐちゃになって、ヨルクさんに抱き着いた。
その後、果物も薬草も順調に採取され、加熱によって料理となった。洗濯係も洗い物係もサボらず働いてくれて、サプリメントも紙も市場では人気となり、売るたびに多くのお金が入って来た。
けれど、あの日以来、アルフォンス王子は何もしなくなってしまった。
ちなみに、あの後お姉さんは、母親に無理に市場に連れて行かれるものの、そのたびに悲鳴をあげ、周りの迷惑となった。縫い物の件も信用を失い、あの一家は町の人のイジメの対象になったのであった。
人は、おじいさんみたいに儀式で人魚の肉を食べて不老不死となり、ずっと生き続ける人もいれば、そうでなくても、初代前世からずっと繋がっている。いくら、昔、大昔とはいえ、人に対してよくないことをしてしまえば、何らかの形で自分に返ってくる。死んだらそこで終わりではないのだ。消された記憶は、そのうち蘇り、償わなかったものに関してはいつかは償わなくてはならない。転生したからといって人にしたことが消えるわけではない。お姉さんには、今すぐでなくても人を辱めた罪を現世にて償ってくれればと思う。
金がなっている。
町が荒れている。
「コロディーだ!」
「今すぐ避難所に行け!」
「コロディーだ、コロディーだ!」
「怖い!」
この町に来て、ひと月半が経とうとしている。こんなにも早くコロディーがやって来るとは思わなかった。
コロディー。主な症状は下痢で、それが悪化すると下痢と嘔吐を繰り返す。そして、そのうちに酷い脱水症状が起きる。下痢が多く排泄されてしまうためだ。ここまでは、コロリに似ている。しかし、コロディーはコロリとは違って発熱がある。それも酷い時は46度も熱が出て、生死を彷徨う。
コロディーもコロリと同じで感染症である。感染した人は隔離する必要がある。ひとたびコロディーが流行れば、町の病院は患者でいっぱいになり、入り切らなかった患者は外に敷かれたワラに寝かされる。
かつてのカナエさんたちが患者の世話をしていた時は医師免許なんて必要なかった。けれど、現代は違う。医師免許なしでの医療行為は問題に問われてしまう。
皇帝陛下にナヤセス殿とロォハさんの医療行為の許可をもらわないと。
「皆さん、感染症コロディーがやってきました!持って来た不織布マスクをマスクカバーに挟んでつけてください!不織布マスクだけでは大量の汗をかくことが予測されますので!マスクカバーは少なくとも2日に1度は替えてください!洗濯は各々でするように!病院はここから5キロもあるため、感染した患者は近くの人で溢れかえるでしょう。まずは感染している隣人を1箇所に集め、結界をかけます!いくら暮らしが古代とはいえ、無免許の医療行為は認められません!今すぐ、紀元前村と妖精村の皇室にナヤセス殿とロォハさんの医療行為の許可を申請します!皆さんは経口補水液を作ってください!ラルク!」
私は、ナヤセス殿とロォハさんの経歴を紙飛行機に挟むと紀元前村の皇室に飛ばした。問題は、妖精村に飛ばす方法だ。ここからでは少なくとも1週間かそれ以上はかかるだろう。
「ラルク、妖精村の皇室にどうやって飛ばそう」
「少なくとも、時速300キロで飛んでもらわないとな」
時速300キロ。もはや新幹線レベルだ。そのような速度で飛ばすことは出来ない。どうすればいいのだろう。
「ラルク、そんな速度で飛ばせないよ」
「セナ王女、すみませんがこの紙飛行機を時速300キロくらいで妖精村の皇室に飛ばしてもらえませんか?」
ラルクはセナ王女に紙飛行機を渡した。
「分かったわ!」
セナ王女は、妖精村の皇室に紙飛行機を飛ばした。
……。
物凄い猛スピードだ。はやり、セナ王女は遠い昔の力量は残っている。こんなスピードで紙飛行機を飛ばせるのは、このメンバーの中ではセナ王女くらいしかいないだろう。
20分後、紀元前村の皇室から紙飛行機が飛んで来た。45分後、妖精村の皇室から紙飛行機が飛んで来たのである。
私は紙飛行機の中を開いた。
『ナヤセスとロォハのコロディーに対する医療行為を認める。紀元前村 皇帝陛下』
『ナヤセスとロォハのコロディーに対する医療行為を認める。妖精村 皇帝陛下』
やった!これで、ここには2人の医者がいるも同然だ。
「ナヤセス殿、ロォハさん、コロディーに対しての医療行為が認められました。感染者の診察をお願いします。他の皆さんは疎らにタライを置いて、水に塩と砂糖を入れてください」
紙飛行機を飛ばしている間に、リリカさんたちが感染者をワラに寝かせ、岩の結界をかけてくれていた。もう既に嘔吐をしている人がいる。私は、ヨルクさんが作ってくれたマスクカバーにマスクを通して付けると、通し(とおし)でタライを置きに行った。
ふとテントを確認すると、セレナールさんとアヤネさん、カンザシさん、アルフォンス王子が、何もしないまま寝袋に入っていた。
「あの、4人ともコロディーで町が大変なんです。看病手伝ってもらえませんか?」
「私も具合悪いのよ!」
「怖いです」
「無理です」
「手伝うことは出来ない」
4人とも何なの。寝袋に入っているからといって感染を防げるわけではないのに。他のメンバーは必死で経口補水液を作っている。ここで口論している暇はない。私も感染者の面倒を見なければ。私は再びテントから出た。
外は感染者が増えている。結界かけて隔離しているのに。
「皆さん、患者さんに触れたあとは、必ず持って来た消毒液で消毒してください」
私は感染者が吐いたあとの口元を拭いてから感染者に、持って来た薄型のオムツを履かせた。
「カナエさん、ナルホお兄様、熱の酷い患者には、熱を冷ます薬草を煎じたものを与えてもらえませんか?」
麻黄、杏仁、桂枝、甘草。これを調合したものが現代で言うところの麻黄湯だ。普段飲む機会なんて今ではないけれど、昔の人は熱が強くなった時に飲んでいたんだなあ。
「分かりましたのです」
「分かった」
薬のことはカナエさんとナルホお兄様に任せるとして……。
「ねえ、ラルク、セレナールさんと、アヤネさん、カンザシさん、アルフォンス王子が寝袋に入っているよ」
「放っておけ。ここに来てもどうせ何もしないだろ」
だよね。ここまで何もしない人、はじめて見た。ナノハナ家での私みたい。アルフォンス王子は帰ったらしばらくはトラウマに苦しむだろうか。
「患者の手をシートで拭いて、シートがなくなったら、消毒液を布に付けて拭いてあげてください。布はハギレがたくさんあるため、一度使ったものは捨ててください。くれぐれも自分の消毒を忘れないでください」
「ナミネ、消毒液なんだけど、1人1つの持って来たものだけなのよね。今は足りているけれど、そのうちなくなると思うわ」
そうか。消毒液はサバイバルリュックに入れてきたものだから市場には売っていない。
「消毒液がなくなったらズームさんが作った石鹸を使ってください。患者の手を拭く時も患者の手に石鹸を付けたら、水で濡らした布で拭いてください。紙オムツもなくなった時に誰か布オムツを作っていただけませんか?」
下痢と嘔吐を1日に何度も繰り返すなら紙オムツも、そのうちなくなる。補充をしないと。
「分かった。私が作る」
「では、ロォラさんにお願いします。患者の汚れたお尻は水を濡らした布で1日に数回拭いてあげてください」
完全に汚れ作業だ。これでは、こちらもいつ感染してもおかしくない。ナヤセス殿とロォハさんは経口補水液を飲めない人に点滴を打っている。吐いたり下したりすると、体内の水分がなくなる。だから、定期的に経口補水液を与える必要がある。今は嘔吐だけだけれど、そのうち下す人も出てくるだろう。
みんなとても苦しそうだ。けれど、誰1人死なせたりはしない。
「皆さん、エプロンは必ず付けてください。患者の嘔吐なとで服が汚れてしまうと厄介ですので」
「うん、分かった」
「分かったわ」
「りょーかい」
「ああ、分かった」
(以下略)
これでみんなエプロンを付けた。本当は病院にあるような作業着があればいいのだけど、この町にはまず存在しない。この町の病院には医師のみに白衣は配布されているが、看護師には何も配布されない。女は薄いワンピース、男は薄いステテコもどきの上にエプロンを付けるといった心細いものだけれど、ないよりかはマシだ。
そういえば、遠い昔、占い師が遠い未来にコロナという感染症が流行ると言っていた。デマなのか本当なのか分からないけれど、コロディーでさえ未だに完治する方法は見つかっていないらしい。蓮華町以外の町では、試験的に開発されたワクチンを受けているらしい。けれど、そのワクチンは蓮華町だけには配布されない。
その時、お姉さん家族が来た。弟さんも一緒だ。
「病院は満員で治療薬も尽きたみたい。ここで治療してるって聞いて来たの。どうか助けて」
家族全員が感染したパターンか。私は通し(とおし)を使って空いているところにワラの敷物を敷いた。
「この紙オムツを履いて、あのワラの敷物に横になってください」
会いたくなかったけれど、死なせるわけにもいかない。弟さんは私くらいの年齢の子が3人いる。お姉さん家族は通し(とおし)で結界の中に入った。
みんな、これから一日中患者の看病をすることになるだろう。料理を作っている余裕などない。しばらくはドライフルーツや干し肉、干し魚などでしのいでいくしかない。
……
あとがき。
しばらくイラストのほうに集中していて、更新遅れました。
コロナじゃないけど、コロディーは遠い昔、カナエたちが感染者を看病していたのだ。The 古代編。
ずっと続いている感染症なのに今でも完治する方法が見つからないなんて、今後のコロナみたいだな。
今後もイラストは描くけど小説も定期的に更新していくよ!
……
この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
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