日常のこととかオリジナル小説のこととか。
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ashita
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女性
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地主(土地貸してます)
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漫画やアニメを見るのが好きです。最推しはフーディーニ ♡
自己紹介:
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ブログ、もう書かないと思ってました。
けれど、去年から書き始めた小説によって、過去に書いてた小説も書き始め、ここに載せることにしたのです。
小説は、主に『時間と時間を繋ぐ恋の物語』と『妖精村と愉快な仲間たち』をメインに書いています。
現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。
純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。
元々このブログは病気の記録用として立ち上げたものですが、小説載せるようになってからは、ここは出来るだけ趣味的なことを綴りたいと思っております。
病気の記録や様々な思いを綴るブログは移転済みなのです。
ただ、今は日記は個人的な徒然、或いはお知らせとして綴ることが多いかと思います。
小説、ぼちぼちマイペースに書いてゆきます。
よろしくお願い致します。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
お知らせ。
イラストは現在「ナノハナ家の日常」に載せております。サイドバーにリンクあります。
また、「カラクリよろずや」にて無料のフリーイラスト素材配布もはじめました✩.*˚
フリーイラスト素材も増やしていく予定です(*'ᴗ'*)
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
模倣・無断転載などは、ご遠慮ください。
ブログの小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
小説・純愛偏差値に関しましては、武家名・貴族名(程度による) / 及び、武官の階級 / 扇子・羽子板・花札・百人一首・紙飛行機などのアイテム使用方法の模倣の一切を禁じております。
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X @kigenzen1874
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けれど、去年から書き始めた小説によって、過去に書いてた小説も書き始め、ここに載せることにしたのです。
小説は、主に『時間と時間を繋ぐ恋の物語』と『妖精村と愉快な仲間たち』をメインに書いています。
現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。
純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。
元々このブログは病気の記録用として立ち上げたものですが、小説載せるようになってからは、ここは出来るだけ趣味的なことを綴りたいと思っております。
病気の記録や様々な思いを綴るブログは移転済みなのです。
ただ、今は日記は個人的な徒然、或いはお知らせとして綴ることが多いかと思います。
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〈資格履歴〉
2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2010年02月10日
→セルフ・カウンセリング
ステップ2 合格
2011年05月28日
→セルフ・カウンセリング
指導講師資格審査 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年01月20日
→鉛筆デッサンマスター 合格
→絵画インストラクター 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
→茶道アドバイザー 合格
→お点前インストラクター 合格
2025年04月17日
→着物マイスター 合格
→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
→サイキックアドバイザー 合格
→サイキックヒーラー 合格
2025年07月01日
→アンガーカウンセラー 合格
→アンガーコントロール士 合格
2025年08月04日
→漢方コーディネーター 合格
→薬膳調整師 合格
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〈資格証明バナー〉

2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2010年02月10日
→セルフ・カウンセリング
ステップ2 合格
2011年05月28日
→セルフ・カウンセリング
指導講師資格審査 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年01月20日
→鉛筆デッサンマスター 合格
→絵画インストラクター 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
→茶道アドバイザー 合格
→お点前インストラクター 合格
2025年04月17日
→着物マイスター 合格
→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
→サイキックアドバイザー 合格
→サイキックヒーラー 合格
2025年07月01日
→アンガーカウンセラー 合格
→アンガーコントロール士 合格
2025年08月04日
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〈資格証明バナー〉

純愛偏差値 未来編 一人称版 91話
《ヨルク》
「あんたら、何してんのさ。もうすぐはじまるから、とっとと配置につけ!」
「落ち武者さん、それがカンザシさんがこの写真ナミネに見せて、ナミネ大泣きちゃって」
カンザシさんは、どうしていきなりこんな写真見せてきたのだろう。それにこれだけ古いと私かカンザシさんか分からない。
「強気なナミネ、この写真、別に密着してるわけでもないだろ。真相は人魚の湖で確認するって言ってただろ。今日は大切な日なんだから、ちゃんと1日やり切れ!」
ナミネ、どうして写真1枚でこんなにもショックを受けるのだろう。私はレタフルなんて人魚を知らない。
「はい……すみません……」
私はナミネを立ち上がらせた。何か言葉にしようとした時、ナミネはラルクのところへ行ってしまった。
「カンザシ、あんた、あとで覚えとけよ!平凡アルフォンスも、いつまでそうしてんのさ。時代が違えばパートナーだって違うだろ、普通」
「レタフルは、怪我をした時、知らない男に手当してもらったと言っていた。もしかしたら、その男がヨルクでレタフルはヨルクに心変わりして私との交際をやめたのかもしれない」
手当て。やっぱり全く覚えていない。そもそも、どうしてカンザシさんが、この写真持っているかも分からないし、ナミネが心配だ。
「それが事実だったとしても、今日1日はやり切れ!」
「けれど、事実を言って何が悪いんですか!受け取り方は相手の問題でしょう!」
こんな大切な日を台無しにしようとしているカンザシさんの気持ちが全く分からない。紀元前村でのことは私たちが命懸けで暮らした証なのに。
「あんた、本気で言ってるのかよ!今すぐ転生させてやろうか?」
「セルファ、セナ王女がマイク持ってる。はじまるわ」
そういえば、気付いたら貴族や一般市民でパーティー会場は埋め尽くされている。セナ王女が持っているのは電池式のマイクか。予備の電池も一応は買っているが、そう多くはない。
「落ち武者さん、ナミネが心配だからナミネのところに行きたいんだけど」
「今あんたが行っても余計に追い詰めるだけだろ!ラルクに任せとけ!平凡アルフォンス、あんたここの別荘の主だろ!写真1枚でクヨクヨしてんな!」
こういう時にナミネを慰められないのは悔しいし辛い。私よりラルクのほうが癒されるのだろうか。何だか複雑な気持ちだ。彼氏の私が傍にいて励ましてあげたかった。
セナ王女はセッティングされたスクリーンの前に立った。
「本日は、妖精村全域が停電の中、お越しくださりありがとうございます。本日は、皆様にも知ってもらいたいことがあり、あえてこの状況でパーティーを決行しました。
紀元前村は先進国です。しかし、1つの町だけ差別を受け、まるで古代のような暮らしをしています。その町は蓮華町です。
友人が蓮華町出身で、話を聞いて直接行ってみたところ、その環境は酷いものでした。電気、ガス、水道は一切なし。まさに、今の妖精村のような状況ですね。けれど、蓮華町は、この紅葉町とは異なりすぎています。市場で野菜は買えますが、殆ど腐っています。学校にも通えず、職業もなく、女性は家事をし、男性は食糧を取りに行くのが蓮華町の1日です。果物や薬草は崖の上にあり、家族のために登った人が何人も転落死しています。かといって、新鮮な魚や肉は高くて手が出せません。お風呂に入りたくても家にはなく、公衆浴場まで通わないといけないのです。
衣類は、今まさに私とカランが着ているものしかありません。
私たちは蓮華町で約2ヶ月過ごしました。果物係、薬草係、加熱係、洗濯係、料理係、洗い物係などに役割を分けて、それぞれがそれぞれの役割をして暮らしていました。
そうしているうちに感染症コロディーが町で流行り、私たちは感染者の看病をしたのです。蓮華町に病院はありますが、ひとたび感染症が流行れば満員になります。そのため、私たちは紀元前村と妖精村の皇帝陛下の許可を得て医者志望のナヤセスとロォハが患者の治療を行いました。コロディーが終息したあと、2人はその功績が認められ、医師免許を取得しました。そのお2人がこちらの高校生です。
今日、机に置かれているものは全て紀元前村で作っていた料理を再現しました。石鹸作り体験や紙作り体験も行っております。
話は長くなりましたが、今から後ろにあるスクリーンで、私たちがどのような暮らしをしていたのか、映像を流します。妖精村が停電の今、少しでも何か感じ取っていただけたら嬉しいです。
また、トイレや手洗いなど分からないことは使用人に聞いてください。
それでは、パーティースタート!」
セナ王女は演説を終わるなりマイクを置いた。来客者は映像を見はじめた。この映像で普段何不自由ない暮らしをしている貴族たちに蓮華町の暮らしの厳しさが少しでも伝わればいいのだが。私たちが死ぬ気で過ごした2ヶ月だから伝わって欲しい。
その時、ナミネが来た。
「ナミネ!大丈夫?」
「ヨルクさん、お腹痛いです」
ナミネ、顔色が悪い。
「ナミネ、すぐに痛み止めとマグボトル持ってくるから待ってて!」
「はい」
私はロッカーに入れたリュックを取り出し、マグボトルと痛み止めを持った。ナミネやラルクは結界を物凄い数値でかけることが出来る。けれど、私も10までならかけられるから、カンザシさんにイタズラされないためにも念の為かけている。
結界も舞も公式は10までだが、研究者によって、それ以上か があることが分かり、公式ではないものの、最後に想定と言うことで使うことが出来る。その研究者による結界と舞の公式以上の数値は古代には既に存在していたのだ。
「ナミネ、痛み止めとマグボトルだよ」
「ありがとうございます、ヨルクさん」
ナミネは私からマグボトルと痛み止めを受け取った。
こういう時、頼ってくれると嬉しい。やっぱりナミネの役に立ちたい。
来客者は料理を食べながら映像を見ている。
「お水に味がついてる」
ナミネの驚いた顔、可愛い。
「果物の皮で味付けしたんだよ」
「てか、あんた、そのマグボトル大きすぎだろ」
「ナミネが飲み物に困らないように大きいの持ってきたの!」
「ナミネ、ナミネって、あんたの頭の中それしかないのかよ」
誰だってそうだろうに。落ち武者さんとてエルナのこと特別扱いだし。普通だと思う。
「ヨルクさん、大好き」
ナミネ……。生きててよかった。もう二度とナミネに振り向いてもらえないと思っていただけに、現世は悔いのないものにしたい。私はナミネの手を握った。
「そうやって見せ付けていてもヨルクさんがレタフルさんを好きだった事実は変わりませんよ」
いくらナミネのことが好きだからって、今のナミネの彼氏は私だし、こういう邪魔のされ方は気に食わない。
「気にすることないわ。カンザシは焦ってる。余裕があるなら、こんなふうに言葉のみで追い詰めたりしない。人魚の湖まで待てばいいだけのことよ」
エルナって落ち武者さんの元カノなだけに、気が強い。相手の策略に簡単にハマったりはしないんだろうな。
「カンザシさん、私は前世で他の男と交際したように、ヨルクさんも、たくさんの嫁がいたんです。だから気にしません」
何だか複雑な気持ちにさせられる言葉だけれど、今私たちは愛し合っている。ちゃんと同じ気持ちで。だから、カンザシさんにはどうかナミネを諦めてほしい。
「ナミネさん、好きでもない女と結婚するのと、本気で惚れた女と大恋愛するのとでは違いますよね。本気で惚れた女は何世紀経っても忘れられないものです。ナミネさんがいくらヨルクさんのことが大好きでもヨルクさんはナミネさん以上にレタフルさんを愛していたんです」
私はナミネ以上に愛した女子(おなご)などいない。カンザシさんのハッタリとしか思えない。
「へえ、あんた、それ証明出来るわけ?映像でもあるわけ?人魚の湖は乗り継ぎが必要でクレナイ家からは遠い。それを定期的に通ってた証拠でもあるのかよ!」
「ご自分で調べたらどうです?」
「なるほどね?手駒はないってわけ」
「言葉ではなんとでも言えますよね。人は直接見て聞いてはじめて自覚するものなんですよ」
いくらナミネのことが好きでも、こんなやり方で私とナミネを引き裂こうだなんて気分が悪い。
「ヨルク、今すぐ確認したい。もういても経ってもいられない」
何故ここでアルフォンス王子自ら巻き込まれる。私もナミネも悩んでいるというのに、ことを荒らげられては困る。
「アルフォンス王子、気持ちは分かるんですけど、流石に今すぐはどうこう出来ないです」
その時、ナミネがまた料理を手で掴んで食べている。私はナミネを机から下ろした。
「ナミネ、手で食べないで。今、お皿に入れるから」
「はい」
私は紀元前村で使っていた今にも折れそうなお箸ではないものの、お箸で料理をお皿に入れてナミネに渡そうとしたら、今度は私がナミネ用に持って来たマグボトルの水をナミネがカブ飲みしている。
「ナミネ、そんなに飲んだらトイレ行きたくなるでしょ!ほら、この料理食べて」
私はナミネからマグボトルを取り上げ、ナミネに料理の入ったお皿を渡した。
「はい」
その時、ナミネが私に何かを握らせた。手を開いてみるとスフェーンの原石だった。
「ナミネ、これどうしたの?」
「蓮華町の市場で買いました」
あの時、ナミネを怒らせて砕けてしまったスフェーン。けれど、また買ってくれたんだ。
「ありがとう、ナミネ。大切にするね」
私はマグボトルと痛み止めとスフェーンを一度リュックに入れに行った。何だかんだでナミネは私を想ってくれている。私は少し浮かれていた。
スクリーンの映像が終わったのか、映像ではなく、写真が流れはじめた。
「では、ひと通り私たちの紀元前村での暮らしの映像を見てもらったところで、蓮華町出身のタルリヤに話を聞いてみましょう。
また、スクリーン映像の感想はよかったら意見箱に入れてください」
セナ王女はタルリヤさんにマイクを渡した。
「はじめまして、紀元前村出身のタルリヤです。僕はかなり昔から紀元前村の蓮華町で暮らしています。基本この世の仕組みは、転生後も同じところに生まれますから。それでも、古代はよかったんです。紀元前村は発展途上国で、全ての町が同じ暮らしをしていましたから。どこも同じだと不思議とその時代に染まりますよね。でも、2020年現代も蓮華町のみが差別を受け、古代のような暮らしをしているんです。セナ王女も仰ったように、電気、水道、ガスは存在しません。
蓮華町には恋愛感情もないので、世帯を持つ人も少ないです。蓮華町の人は殆どお金なんて持っていません。だから、だいたい腐った煮物しか食べるものはないです。けれど、蓮華町に生まれるたびに、辛いというかコンプレックスになったのは、学問を学べないことです。誰だって学校に行きたいし、将来の進路を決めて、それに向かって進みたいものです。蓮華町にいる限り未来はありません。だから、僕は妖精村の紅葉町に引っ越してきたんです。今は生活保護を受けながら学校に通っています。僕はたまたま引っ越すことが出来ましたが、蓮華町の周りには高い囲いがあって、隣町に行くことさえ許されません。
今でも多くの蓮華町民が苦しくてもどかしい暮らしを送っています。ナミネたちが実際に僕の故郷を見に来てくれたことには感謝しています。また、映像を撮ってくれたラハルさん、このパーティーを開いてくれたセナ王女にも感謝です。
今はどうにもならないことだとは思いますが、いつか蓮華町も、この紅葉町のような暮らしが出来ることを心より祈っております。
本日は停電の中、お越しくださりありがとうございます」
タルリヤさんは一礼をしてマイクをセナ王女に戻した。
もし、私がタルリヤさんの立場だったらどうしていただろう。私には何の力もない。だから、流されるまま死ぬまで暮らしていた可能性が高いだろう。
「スクリーン映像の暮らしをタルリヤさんは大昔からしています。今だからこそですが、電気、水道、ガスは必要ですよね。昔はそんなものありませんでしたし、妖精村も、今の蓮華町と似たような暮らしをしていたでしょうけど。現代は、もう昔ではありません。まして、古代のような暮らしなんて考えられませんよね。タルリヤさんから、直接話を伺ったところで、引き続きパーティーをお楽しみください」
セナ王女はマイクを置いて、こちらに向かって来た。
「あー、喉乾いた」
セナ王女はグラスに入ったフルーツで味付けした水を飲んだ。そういえば、ミナクお兄様とはどうなったのだろう。ミナクお兄様は最近しょっちゅう、ナナミさんの部屋に行っているみたいだけど、2人は交際しているのだろうか。
「セナ王女は、レタフルさんを知ってますか?」
ナミネ、やっぱり気にしてるんだ。
「ええ、知っているわ。その昔、と言っても、妖精村半ばくらいかしら。あの近くの別荘で住んでたのよ」
「アルフォンス王子は、カナエさんよりレタフルさんが好きですか?この写真は事実ですか?」
ナミネは、私とレタフルさんのツーショットをセナ王女に見せた。
「そうね、アルフォンスは、カナエと交際していたけど、人魚の湖でレタフルに会ってから心変わりしたのよ。写真は色褪せているからヨルクかカンザシか分からないわね。けれど、私が知っている限り、その後レタフルが交際したのは確かに人間だったけど、ヨルクではないはずよ」
やはり、私ではなかったか。では、いったい誰と交際していたのだろう。その人がレタフルさんが心変わりした人なのだろうか。
「レタフルさんは心変わりしたのですか?」
「そこまでは分からないわね。本人が話さなかったから。けれど、人魚は結婚すれば人間になるの。レタフルは彼と盛大な結婚式を挙げていたわ」
結婚すれば人間になるだなんて、まるでおとぎ話の世界だ。
「そうですか。レタフルさんは、幸せになったのですね」
「どうかしらね。何となく、本命ではない気がしたけどね」
そういうパターンか。本命の人とは一緒になれない何かしらの事情があって、別に交際した人と結婚したわけか。
「レタフル!」
え、ここにいるの?
ふと少し遠くを見るとアルフォンス王子が貴族の腕を掴んでいる。
「ナミネ、レタフルさんをこっちに連れてくるぞ!」
「分かった!ラルク!」
ナミネとラルクはレタフルさんか分からない貴族を連れに行った。
「顔だけヨルク。あんたは、机の下で隠れてろ」
え、どうして。でも、ナミネたちがこっちに向かってくる。私は咄嗟に机の下に隠れた。ナミネたちが貴族を連れてくるなり、落ち武者さんはフェアリーングをかけた。
「あんた、レタフルか?」
「ええ、そうよ」
ダメだ。ここからだと何も見えない。
「この写真の相手はコイツで間違えないか?」
多分、カンザシさんのことを聞いているのだろう。
「ええ、そうよ」
「コイツの名前なんだ?どういう関係だったんだ?」
何だか緊張してきた。
「ヨルクよ。ひと目見た瞬間、一目惚れして、私の傷の手当てをしてくれたわ。ずっと好きで今でも好きでたまらないの。でも、会ったのは、この一度だけ。写真もその時に撮ったものなの」
何故、重要なところを間違える。ナミネは私とカンザシさんを間違えたことないのに。
「で、あんた人間だけど、結婚したのか?」
「いいえ、独身よ。彼の馬で帰るわ」
彼氏いるのか。でも、何だかアルフォンス王子みたいな状況だな。
「どいつと付き合ってんだ?」
「ユウサクさんという普通の人よ」
まさか、ここで未来望遠鏡のキクスケさんの大学の同期の名前が上がるだなんて思ってもみなかった。
「その彼氏は、あんたがコイツ好きなこと知ってんのかよ」
「知らないわ。ただ、もう会えないかと思って新しい道を歩んだのよ」
人は何百年、何千年も1人の人を待ってはいられない。その人は今を生きなくてはいけないから。
「強気なナミネ、ユウサク連れてこい!」
「分かりました」
ナミネはユウサクさんを連れに行った。少しすると、ナミネの足音が聞こえてきた。
「なあ、ユウサク。あんた、サトコとはどうしたんだよ?」
「今も交際している」
何なんだ、それ。完全な二股じゃないか。本命はどっちなのだろう。
「あんたら揃って同じことしてんだな。レタフルもコイツが忘れられないらしいぜ」
「レタフル!どういうことだ!俺を裏切っていたのか!」
何故、自分のことは棚に上げる。
「違う!もう大昔のことで、一度しか会ったことなくて、その人とは何もないわ!300年待ったけど、もう二度と会えないと思って、新しい道を歩むことにしたの」
ユウサクさんとで、本当に幸せになれるのだろうか。私は立ち上がってズームさんの後ろに隠れた。
「疑似恋愛ですよ」
「疑似恋愛?」
つまり、レタフルさんは本気で私を好きではないということなのだろうか。
「人魚は1番に見た目を重視します。レタフルさんは、ハンサムなアルフォンス王子に惹かれたものの、それよりイケメンなあなたを好きにはなりましたが、あくまで人魚の本能である見た目のみです。言ってしまえば人魚も本当の意味では恋愛感情を知らないのでしょうね」
そういうことか。何だか、不憫だな。アルフォンス王子がカナエさんより好きになった人魚なのに。
「ごめんなさい、ユウサク。私、片想いでも構わない。ヨルクと再会して、私、自分の気持ち偽れない」
レタフルさんはカンザシさんに抱き着いた。その瞬間、カンザシさんは、レタフルさんを殴り付けた。
「あなた方、どこまで僕を侮辱したら気が済むんですか!」
「ヨルク……どうして……」
カンザシさんは、またレタフルさんを殴った。
「やめてくれ!レタフルはかつて私の恋人だった」
落ち武者さんが、レタフルさんから本心を聞き出したことで、アルフォンス王子はボロボロだ。ボロボロながらにアルフォンス王子はレタフルさんを抱き締めた。
「強気なナミネ、これで疑いは晴れたか?ま、人魚の湖は、近いうちに行くけどね?」
「ヨルクさんの想いも聞いてもらえないでしょうか?」
「りょーかい。顔だけヨルク、あんた、レタフルのことどう思ってる」
ダメだ。落ち武者さんの、フェアリーングに逆らえない。
「綺麗な人だなあて思うし、結構タイプ。水着姿見てみたい。会ったこととか全然覚えてないけど、毎日眺めてたい」
落ち武者さんは、ため息をついた。
「で、レタフルとはどうなりたいんだよ。強気なナミネはどうするんだよ」
「どうこうなりたいわけじゃないけど、目の保養というか……。ナミネとは別れないよ」
ダメだ。ナミネに嫌われてしまった。人の本心というのは、知るべき時に知るものであって、知らないほうがいいことのほうが断然に多い。
落ち武者さんは、フェアリーングを解いた。
「ナミネ、レタフルさんに恋愛感情はないから!」
「ヨルクって双子だったの!?」
何故そうなる。
「あ、レタフルさん、ヨルクさんが、あなたの水着姿見たいらしいので着てもらえませんかね?」
「いらない!そんなのいらない!私が好きなのはナミネだから!」
私はナミネを抱き締めた。
「レタフルなんか、こっちから願い下げだ!この不細工人魚!」
ユウサクさんは怒ってしまった。
「ヨルク、どうして!そんな子供より私のほうがずっと綺麗でしょ?」
「ずっとずっと昔からナミネのこと好きだったんです!レタフルさんのこと何とも思ってないですし、やっとの思いでナミネと交際出来たので、邪魔しないでください」
「あんたも気の多い男だな。こんな下賎な女、僕なら絶対にいやだけどね?」
私だって別に好きとかじゃないし、タイプかもしれないけど、人魚と交際とか考えられないし、ナミネ以外の女子(おなご)を好きになったことなどない。
「私はナミネ以外の人好きになったことないの!」
「ミネス、この不気味な人魚を不細工な男と結婚させてほしい」
「いいよ。適当な人探しとく」
「やめて!私はただ、片想いでもいいからヨルクを想っていたいの!邪魔しないで!私の幸せ奪わないで!」
どうしたものか。レタフルさんが、私とカンザシさんを間違えたことで、カンザシさんは完全にキレてしまった。
セナ王女はカンザシさんの肩にイエローカードを貼った。
……
この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
《ヨルク》
「あんたら、何してんのさ。もうすぐはじまるから、とっとと配置につけ!」
「落ち武者さん、それがカンザシさんがこの写真ナミネに見せて、ナミネ大泣きちゃって」
カンザシさんは、どうしていきなりこんな写真見せてきたのだろう。それにこれだけ古いと私かカンザシさんか分からない。
「強気なナミネ、この写真、別に密着してるわけでもないだろ。真相は人魚の湖で確認するって言ってただろ。今日は大切な日なんだから、ちゃんと1日やり切れ!」
ナミネ、どうして写真1枚でこんなにもショックを受けるのだろう。私はレタフルなんて人魚を知らない。
「はい……すみません……」
私はナミネを立ち上がらせた。何か言葉にしようとした時、ナミネはラルクのところへ行ってしまった。
「カンザシ、あんた、あとで覚えとけよ!平凡アルフォンスも、いつまでそうしてんのさ。時代が違えばパートナーだって違うだろ、普通」
「レタフルは、怪我をした時、知らない男に手当してもらったと言っていた。もしかしたら、その男がヨルクでレタフルはヨルクに心変わりして私との交際をやめたのかもしれない」
手当て。やっぱり全く覚えていない。そもそも、どうしてカンザシさんが、この写真持っているかも分からないし、ナミネが心配だ。
「それが事実だったとしても、今日1日はやり切れ!」
「けれど、事実を言って何が悪いんですか!受け取り方は相手の問題でしょう!」
こんな大切な日を台無しにしようとしているカンザシさんの気持ちが全く分からない。紀元前村でのことは私たちが命懸けで暮らした証なのに。
「あんた、本気で言ってるのかよ!今すぐ転生させてやろうか?」
「セルファ、セナ王女がマイク持ってる。はじまるわ」
そういえば、気付いたら貴族や一般市民でパーティー会場は埋め尽くされている。セナ王女が持っているのは電池式のマイクか。予備の電池も一応は買っているが、そう多くはない。
「落ち武者さん、ナミネが心配だからナミネのところに行きたいんだけど」
「今あんたが行っても余計に追い詰めるだけだろ!ラルクに任せとけ!平凡アルフォンス、あんたここの別荘の主だろ!写真1枚でクヨクヨしてんな!」
こういう時にナミネを慰められないのは悔しいし辛い。私よりラルクのほうが癒されるのだろうか。何だか複雑な気持ちだ。彼氏の私が傍にいて励ましてあげたかった。
セナ王女はセッティングされたスクリーンの前に立った。
「本日は、妖精村全域が停電の中、お越しくださりありがとうございます。本日は、皆様にも知ってもらいたいことがあり、あえてこの状況でパーティーを決行しました。
紀元前村は先進国です。しかし、1つの町だけ差別を受け、まるで古代のような暮らしをしています。その町は蓮華町です。
友人が蓮華町出身で、話を聞いて直接行ってみたところ、その環境は酷いものでした。電気、ガス、水道は一切なし。まさに、今の妖精村のような状況ですね。けれど、蓮華町は、この紅葉町とは異なりすぎています。市場で野菜は買えますが、殆ど腐っています。学校にも通えず、職業もなく、女性は家事をし、男性は食糧を取りに行くのが蓮華町の1日です。果物や薬草は崖の上にあり、家族のために登った人が何人も転落死しています。かといって、新鮮な魚や肉は高くて手が出せません。お風呂に入りたくても家にはなく、公衆浴場まで通わないといけないのです。
衣類は、今まさに私とカランが着ているものしかありません。
私たちは蓮華町で約2ヶ月過ごしました。果物係、薬草係、加熱係、洗濯係、料理係、洗い物係などに役割を分けて、それぞれがそれぞれの役割をして暮らしていました。
そうしているうちに感染症コロディーが町で流行り、私たちは感染者の看病をしたのです。蓮華町に病院はありますが、ひとたび感染症が流行れば満員になります。そのため、私たちは紀元前村と妖精村の皇帝陛下の許可を得て医者志望のナヤセスとロォハが患者の治療を行いました。コロディーが終息したあと、2人はその功績が認められ、医師免許を取得しました。そのお2人がこちらの高校生です。
今日、机に置かれているものは全て紀元前村で作っていた料理を再現しました。石鹸作り体験や紙作り体験も行っております。
話は長くなりましたが、今から後ろにあるスクリーンで、私たちがどのような暮らしをしていたのか、映像を流します。妖精村が停電の今、少しでも何か感じ取っていただけたら嬉しいです。
また、トイレや手洗いなど分からないことは使用人に聞いてください。
それでは、パーティースタート!」
セナ王女は演説を終わるなりマイクを置いた。来客者は映像を見はじめた。この映像で普段何不自由ない暮らしをしている貴族たちに蓮華町の暮らしの厳しさが少しでも伝わればいいのだが。私たちが死ぬ気で過ごした2ヶ月だから伝わって欲しい。
その時、ナミネが来た。
「ナミネ!大丈夫?」
「ヨルクさん、お腹痛いです」
ナミネ、顔色が悪い。
「ナミネ、すぐに痛み止めとマグボトル持ってくるから待ってて!」
「はい」
私はロッカーに入れたリュックを取り出し、マグボトルと痛み止めを持った。ナミネやラルクは結界を物凄い数値でかけることが出来る。けれど、私も10までならかけられるから、カンザシさんにイタズラされないためにも念の為かけている。
結界も舞も公式は10までだが、研究者によって、それ以上か があることが分かり、公式ではないものの、最後に想定と言うことで使うことが出来る。その研究者による結界と舞の公式以上の数値は古代には既に存在していたのだ。
「ナミネ、痛み止めとマグボトルだよ」
「ありがとうございます、ヨルクさん」
ナミネは私からマグボトルと痛み止めを受け取った。
こういう時、頼ってくれると嬉しい。やっぱりナミネの役に立ちたい。
来客者は料理を食べながら映像を見ている。
「お水に味がついてる」
ナミネの驚いた顔、可愛い。
「果物の皮で味付けしたんだよ」
「てか、あんた、そのマグボトル大きすぎだろ」
「ナミネが飲み物に困らないように大きいの持ってきたの!」
「ナミネ、ナミネって、あんたの頭の中それしかないのかよ」
誰だってそうだろうに。落ち武者さんとてエルナのこと特別扱いだし。普通だと思う。
「ヨルクさん、大好き」
ナミネ……。生きててよかった。もう二度とナミネに振り向いてもらえないと思っていただけに、現世は悔いのないものにしたい。私はナミネの手を握った。
「そうやって見せ付けていてもヨルクさんがレタフルさんを好きだった事実は変わりませんよ」
いくらナミネのことが好きだからって、今のナミネの彼氏は私だし、こういう邪魔のされ方は気に食わない。
「気にすることないわ。カンザシは焦ってる。余裕があるなら、こんなふうに言葉のみで追い詰めたりしない。人魚の湖まで待てばいいだけのことよ」
エルナって落ち武者さんの元カノなだけに、気が強い。相手の策略に簡単にハマったりはしないんだろうな。
「カンザシさん、私は前世で他の男と交際したように、ヨルクさんも、たくさんの嫁がいたんです。だから気にしません」
何だか複雑な気持ちにさせられる言葉だけれど、今私たちは愛し合っている。ちゃんと同じ気持ちで。だから、カンザシさんにはどうかナミネを諦めてほしい。
「ナミネさん、好きでもない女と結婚するのと、本気で惚れた女と大恋愛するのとでは違いますよね。本気で惚れた女は何世紀経っても忘れられないものです。ナミネさんがいくらヨルクさんのことが大好きでもヨルクさんはナミネさん以上にレタフルさんを愛していたんです」
私はナミネ以上に愛した女子(おなご)などいない。カンザシさんのハッタリとしか思えない。
「へえ、あんた、それ証明出来るわけ?映像でもあるわけ?人魚の湖は乗り継ぎが必要でクレナイ家からは遠い。それを定期的に通ってた証拠でもあるのかよ!」
「ご自分で調べたらどうです?」
「なるほどね?手駒はないってわけ」
「言葉ではなんとでも言えますよね。人は直接見て聞いてはじめて自覚するものなんですよ」
いくらナミネのことが好きでも、こんなやり方で私とナミネを引き裂こうだなんて気分が悪い。
「ヨルク、今すぐ確認したい。もういても経ってもいられない」
何故ここでアルフォンス王子自ら巻き込まれる。私もナミネも悩んでいるというのに、ことを荒らげられては困る。
「アルフォンス王子、気持ちは分かるんですけど、流石に今すぐはどうこう出来ないです」
その時、ナミネがまた料理を手で掴んで食べている。私はナミネを机から下ろした。
「ナミネ、手で食べないで。今、お皿に入れるから」
「はい」
私は紀元前村で使っていた今にも折れそうなお箸ではないものの、お箸で料理をお皿に入れてナミネに渡そうとしたら、今度は私がナミネ用に持って来たマグボトルの水をナミネがカブ飲みしている。
「ナミネ、そんなに飲んだらトイレ行きたくなるでしょ!ほら、この料理食べて」
私はナミネからマグボトルを取り上げ、ナミネに料理の入ったお皿を渡した。
「はい」
その時、ナミネが私に何かを握らせた。手を開いてみるとスフェーンの原石だった。
「ナミネ、これどうしたの?」
「蓮華町の市場で買いました」
あの時、ナミネを怒らせて砕けてしまったスフェーン。けれど、また買ってくれたんだ。
「ありがとう、ナミネ。大切にするね」
私はマグボトルと痛み止めとスフェーンを一度リュックに入れに行った。何だかんだでナミネは私を想ってくれている。私は少し浮かれていた。
スクリーンの映像が終わったのか、映像ではなく、写真が流れはじめた。
「では、ひと通り私たちの紀元前村での暮らしの映像を見てもらったところで、蓮華町出身のタルリヤに話を聞いてみましょう。
また、スクリーン映像の感想はよかったら意見箱に入れてください」
セナ王女はタルリヤさんにマイクを渡した。
「はじめまして、紀元前村出身のタルリヤです。僕はかなり昔から紀元前村の蓮華町で暮らしています。基本この世の仕組みは、転生後も同じところに生まれますから。それでも、古代はよかったんです。紀元前村は発展途上国で、全ての町が同じ暮らしをしていましたから。どこも同じだと不思議とその時代に染まりますよね。でも、2020年現代も蓮華町のみが差別を受け、古代のような暮らしをしているんです。セナ王女も仰ったように、電気、水道、ガスは存在しません。
蓮華町には恋愛感情もないので、世帯を持つ人も少ないです。蓮華町の人は殆どお金なんて持っていません。だから、だいたい腐った煮物しか食べるものはないです。けれど、蓮華町に生まれるたびに、辛いというかコンプレックスになったのは、学問を学べないことです。誰だって学校に行きたいし、将来の進路を決めて、それに向かって進みたいものです。蓮華町にいる限り未来はありません。だから、僕は妖精村の紅葉町に引っ越してきたんです。今は生活保護を受けながら学校に通っています。僕はたまたま引っ越すことが出来ましたが、蓮華町の周りには高い囲いがあって、隣町に行くことさえ許されません。
今でも多くの蓮華町民が苦しくてもどかしい暮らしを送っています。ナミネたちが実際に僕の故郷を見に来てくれたことには感謝しています。また、映像を撮ってくれたラハルさん、このパーティーを開いてくれたセナ王女にも感謝です。
今はどうにもならないことだとは思いますが、いつか蓮華町も、この紅葉町のような暮らしが出来ることを心より祈っております。
本日は停電の中、お越しくださりありがとうございます」
タルリヤさんは一礼をしてマイクをセナ王女に戻した。
もし、私がタルリヤさんの立場だったらどうしていただろう。私には何の力もない。だから、流されるまま死ぬまで暮らしていた可能性が高いだろう。
「スクリーン映像の暮らしをタルリヤさんは大昔からしています。今だからこそですが、電気、水道、ガスは必要ですよね。昔はそんなものありませんでしたし、妖精村も、今の蓮華町と似たような暮らしをしていたでしょうけど。現代は、もう昔ではありません。まして、古代のような暮らしなんて考えられませんよね。タルリヤさんから、直接話を伺ったところで、引き続きパーティーをお楽しみください」
セナ王女はマイクを置いて、こちらに向かって来た。
「あー、喉乾いた」
セナ王女はグラスに入ったフルーツで味付けした水を飲んだ。そういえば、ミナクお兄様とはどうなったのだろう。ミナクお兄様は最近しょっちゅう、ナナミさんの部屋に行っているみたいだけど、2人は交際しているのだろうか。
「セナ王女は、レタフルさんを知ってますか?」
ナミネ、やっぱり気にしてるんだ。
「ええ、知っているわ。その昔、と言っても、妖精村半ばくらいかしら。あの近くの別荘で住んでたのよ」
「アルフォンス王子は、カナエさんよりレタフルさんが好きですか?この写真は事実ですか?」
ナミネは、私とレタフルさんのツーショットをセナ王女に見せた。
「そうね、アルフォンスは、カナエと交際していたけど、人魚の湖でレタフルに会ってから心変わりしたのよ。写真は色褪せているからヨルクかカンザシか分からないわね。けれど、私が知っている限り、その後レタフルが交際したのは確かに人間だったけど、ヨルクではないはずよ」
やはり、私ではなかったか。では、いったい誰と交際していたのだろう。その人がレタフルさんが心変わりした人なのだろうか。
「レタフルさんは心変わりしたのですか?」
「そこまでは分からないわね。本人が話さなかったから。けれど、人魚は結婚すれば人間になるの。レタフルは彼と盛大な結婚式を挙げていたわ」
結婚すれば人間になるだなんて、まるでおとぎ話の世界だ。
「そうですか。レタフルさんは、幸せになったのですね」
「どうかしらね。何となく、本命ではない気がしたけどね」
そういうパターンか。本命の人とは一緒になれない何かしらの事情があって、別に交際した人と結婚したわけか。
「レタフル!」
え、ここにいるの?
ふと少し遠くを見るとアルフォンス王子が貴族の腕を掴んでいる。
「ナミネ、レタフルさんをこっちに連れてくるぞ!」
「分かった!ラルク!」
ナミネとラルクはレタフルさんか分からない貴族を連れに行った。
「顔だけヨルク。あんたは、机の下で隠れてろ」
え、どうして。でも、ナミネたちがこっちに向かってくる。私は咄嗟に机の下に隠れた。ナミネたちが貴族を連れてくるなり、落ち武者さんはフェアリーングをかけた。
「あんた、レタフルか?」
「ええ、そうよ」
ダメだ。ここからだと何も見えない。
「この写真の相手はコイツで間違えないか?」
多分、カンザシさんのことを聞いているのだろう。
「ええ、そうよ」
「コイツの名前なんだ?どういう関係だったんだ?」
何だか緊張してきた。
「ヨルクよ。ひと目見た瞬間、一目惚れして、私の傷の手当てをしてくれたわ。ずっと好きで今でも好きでたまらないの。でも、会ったのは、この一度だけ。写真もその時に撮ったものなの」
何故、重要なところを間違える。ナミネは私とカンザシさんを間違えたことないのに。
「で、あんた人間だけど、結婚したのか?」
「いいえ、独身よ。彼の馬で帰るわ」
彼氏いるのか。でも、何だかアルフォンス王子みたいな状況だな。
「どいつと付き合ってんだ?」
「ユウサクさんという普通の人よ」
まさか、ここで未来望遠鏡のキクスケさんの大学の同期の名前が上がるだなんて思ってもみなかった。
「その彼氏は、あんたがコイツ好きなこと知ってんのかよ」
「知らないわ。ただ、もう会えないかと思って新しい道を歩んだのよ」
人は何百年、何千年も1人の人を待ってはいられない。その人は今を生きなくてはいけないから。
「強気なナミネ、ユウサク連れてこい!」
「分かりました」
ナミネはユウサクさんを連れに行った。少しすると、ナミネの足音が聞こえてきた。
「なあ、ユウサク。あんた、サトコとはどうしたんだよ?」
「今も交際している」
何なんだ、それ。完全な二股じゃないか。本命はどっちなのだろう。
「あんたら揃って同じことしてんだな。レタフルもコイツが忘れられないらしいぜ」
「レタフル!どういうことだ!俺を裏切っていたのか!」
何故、自分のことは棚に上げる。
「違う!もう大昔のことで、一度しか会ったことなくて、その人とは何もないわ!300年待ったけど、もう二度と会えないと思って、新しい道を歩むことにしたの」
ユウサクさんとで、本当に幸せになれるのだろうか。私は立ち上がってズームさんの後ろに隠れた。
「疑似恋愛ですよ」
「疑似恋愛?」
つまり、レタフルさんは本気で私を好きではないということなのだろうか。
「人魚は1番に見た目を重視します。レタフルさんは、ハンサムなアルフォンス王子に惹かれたものの、それよりイケメンなあなたを好きにはなりましたが、あくまで人魚の本能である見た目のみです。言ってしまえば人魚も本当の意味では恋愛感情を知らないのでしょうね」
そういうことか。何だか、不憫だな。アルフォンス王子がカナエさんより好きになった人魚なのに。
「ごめんなさい、ユウサク。私、片想いでも構わない。ヨルクと再会して、私、自分の気持ち偽れない」
レタフルさんはカンザシさんに抱き着いた。その瞬間、カンザシさんは、レタフルさんを殴り付けた。
「あなた方、どこまで僕を侮辱したら気が済むんですか!」
「ヨルク……どうして……」
カンザシさんは、またレタフルさんを殴った。
「やめてくれ!レタフルはかつて私の恋人だった」
落ち武者さんが、レタフルさんから本心を聞き出したことで、アルフォンス王子はボロボロだ。ボロボロながらにアルフォンス王子はレタフルさんを抱き締めた。
「強気なナミネ、これで疑いは晴れたか?ま、人魚の湖は、近いうちに行くけどね?」
「ヨルクさんの想いも聞いてもらえないでしょうか?」
「りょーかい。顔だけヨルク、あんた、レタフルのことどう思ってる」
ダメだ。落ち武者さんの、フェアリーングに逆らえない。
「綺麗な人だなあて思うし、結構タイプ。水着姿見てみたい。会ったこととか全然覚えてないけど、毎日眺めてたい」
落ち武者さんは、ため息をついた。
「で、レタフルとはどうなりたいんだよ。強気なナミネはどうするんだよ」
「どうこうなりたいわけじゃないけど、目の保養というか……。ナミネとは別れないよ」
ダメだ。ナミネに嫌われてしまった。人の本心というのは、知るべき時に知るものであって、知らないほうがいいことのほうが断然に多い。
落ち武者さんは、フェアリーングを解いた。
「ナミネ、レタフルさんに恋愛感情はないから!」
「ヨルクって双子だったの!?」
何故そうなる。
「あ、レタフルさん、ヨルクさんが、あなたの水着姿見たいらしいので着てもらえませんかね?」
「いらない!そんなのいらない!私が好きなのはナミネだから!」
私はナミネを抱き締めた。
「レタフルなんか、こっちから願い下げだ!この不細工人魚!」
ユウサクさんは怒ってしまった。
「ヨルク、どうして!そんな子供より私のほうがずっと綺麗でしょ?」
「ずっとずっと昔からナミネのこと好きだったんです!レタフルさんのこと何とも思ってないですし、やっとの思いでナミネと交際出来たので、邪魔しないでください」
「あんたも気の多い男だな。こんな下賎な女、僕なら絶対にいやだけどね?」
私だって別に好きとかじゃないし、タイプかもしれないけど、人魚と交際とか考えられないし、ナミネ以外の女子(おなご)を好きになったことなどない。
「私はナミネ以外の人好きになったことないの!」
「ミネス、この不気味な人魚を不細工な男と結婚させてほしい」
「いいよ。適当な人探しとく」
「やめて!私はただ、片想いでもいいからヨルクを想っていたいの!邪魔しないで!私の幸せ奪わないで!」
どうしたものか。レタフルさんが、私とカンザシさんを間違えたことで、カンザシさんは完全にキレてしまった。
セナ王女はカンザシさんの肩にイエローカードを貼った。
……
この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
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