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日常のこととかオリジナル小説のこととか。
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ashita
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女性
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地主(土地貸してます)
趣味:
漫画やアニメを見るのが好きです。最推しはフーディーニ ♡
自己紹介:
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ブログ、もう書かないと思ってました。

けれど、去年から書き始めた小説によって、過去に書いてた小説も書き始め、ここに載せることにしたのです。

小説は、主に『時間と時間を繋ぐ恋の物語』と『妖精村と愉快な仲間たち』をメインに書いています。
現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。

純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。

元々このブログは病気の記録用として立ち上げたものですが、小説載せるようになってからは、ここは出来るだけ趣味的なことを綴りたいと思っております。
病気の記録や様々な思いを綴るブログは移転済みなのです。

ただ、今は日記は個人的な徒然、或いはお知らせとして綴ることが多いかと思います。

小説、ぼちぼちマイペースに書いてゆきます。

よろしくお願い致します。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

お知らせ。

イラストは現在「ナノハナ家の日常」に載せております。サイドバーにリンクあります。

また、「カラクリよろずや」にて無料のフリーイラスト素材配布もはじめました✩.*˚

フリーイラスト素材も増やしていく予定です(*'ᴗ'*)

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

模倣・無断転載などは、ご遠慮ください。

ブログの小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。

小説・純愛偏差値に関しましては、武家名・貴族名(程度による) / 及び、武官の階級 / 扇子・羽子板・花札・百人一首・紙飛行機などのアイテム使用方法の模倣の一切を禁じております。

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X @kigenzen1874

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〈資格履歴〉

2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2010年02月10日
→セルフ・カウンセリング
ステップ2 合格
2011年05月28日
→セルフ・カウンセリング
指導講師資格審査 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年01月20日
→鉛筆デッサンマスター 合格
→絵画インストラクター 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
→茶道アドバイザー 合格
→お点前インストラクター 合格
2025年04月17日
→着物マイスター 合格
→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
→サイキックアドバイザー 合格
→サイキックヒーラー 合格
2025年07月01日
→アンガーカウンセラー 合格
→アンガーコントロール士 合格
2025年08月04日
→漢方コーディネーター 合格
→薬膳調整師 合格

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〈資格証明バナー〉

鉛筆デッサンマスター®認定試験資格取得証明
絵画インストラクター資格資格認定証
宝石鑑定アドバイザー資格認定試験資格取得証明
鉱石セラピスト資格資格保持証明
茶道アドバイザー資格認定試験資格取得証明
お点前インストラクター資格資格認定証
着物マイスター®資格認定試験資格取得証明
着付け方インストラクター資格資格認定証
サイキックアドバイザー®資格資格証明
サイキックヒーラー資格資格保持証明
アンガーカウンセラー®資格資格保持証明
アンガーコントロール士資格資格認定証
漢方コーディネーター®資格認定試験資格保持証明
薬膳調整師®資格認定試験資格保持証明
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純愛偏差値 未来編 一人称版 92話

《ナミネ》

パーティーの途中で、突然現れたレタフルという人魚。今日は人間の姿でいる。けれど、まさかのキクスケさんが主人公の未来望遠鏡に登場しているユウサクさんが今彼だなんて。少しぶっ飛んでいる気がする。
それでも、ヨルクさんがレタフルさんを愛していた事実がなかったことは、よかったけれど、どことなくまだ安心しきれていない自分がいる。
「ナヤセス殿〜!ここに人魚いますよ」
ナヤセス殿はすぐに飛んで来た。それにしても、この人魚、帰りどうするんだろう。ユウサクさん怒らせて、送ってもらえるのだろうか。
「はじめて見たよ。今日は人間の日なんだね。血液採取してもいいかな?」
「ええ、構わないわ」
ナヤセス殿はレタフルさんの血液を採取しはじめた。人魚って何型なんだろう。
「ヤオビクニ型だ。はじめて採取した。人魚の肉を食べれば不老不死になって、人魚の血を体内に入れれば殆どの病が治ると言われている。けれど、今や人魚は天然記念物だから、昔のような儀式的なことは一切行えないけどね」
ヤオビクニ型。はじめて聞く。女神のヨウセイ型のようなものなのだろうか。
「ねえ、ラルク。この人魚、今日帰れなかったら不味くない?」
「完全に不味いな。レタフルさんはパーティーが終わったら、僕らで送り届けるしかない。人魚の湖町は行ったことないけれど、宿がないなら、テント張って一晩過ごすしかないな」
やっぱりそうなっちゃうか。でも、このまま帰さないと死んじゃうかもしれないし、送り届ける人らだけで送り届けるしかない。
「てか、ユウサク、あんた今何してんのさ?」
「農作業……」
え、flowerグループの社員なんじゃないの?いつから農家になったのだろう。
「あの、ユウサクさんて、キクスケさんの大学の同期ですよね?」
「そうだけど、昔に死んだよ。あの頃は景気もよく大手企業で務められたけど、今は大学出てても就職にありつけないんだ」
「そのこと、サトコさんは知ってるんですか?」
「知らないよ。言うに言えないし、大手企業で務めてるって嘘ついてる」
もし、ヨルクさんが会社クビになって、農作業していて、私にはクビになったこと何も言ってくれなかったらいやだな。というか、それサトコさんが知ったら別れるか別れないかの危機に陥るんじゃないだろうか。
「人魚の湖の近くに農家があるんですか?」
「うん、もう誰も住んでないような家が並んでて、何もないところだよ。流石に電気、ガス、水道はあったけどね」
何という都落ちだ。けれど、農業も立派な職業だし、それで食べていけているなら問題はないか。サトコさんからは別れ切り出されそうだけど、それならレタフルさんと一緒になればいい。
「パーティーまだあるんだから、あんたらは、石鹸作り体験でもしてろ!パーティーが終われば登山着に着替えて、レタフル送り届ける」
1日のことだから、サバイバル服じゃなくて登山服で大丈夫か。
「ラルク、石鹸作り体験行こ」
「そうだな、まだ時間あるしな」
私はラルクと石鹸作り体験に向かった。パーティーが終わるなり、どこの誰だか分からない人魚を送り届けないといけないのは心が重たいけど、今はイベントを楽しもう。
石鹸作り体験コーナーには、それなりに人がいる。やっぱり普段馴染みないものほど人は興味を示すものなのかもしれない。
私は材料を混ぜはじめた。
「ねえ、ラルク。レタフルさん、どう思う?」
「顔は普通よりかは綺麗なほうかもしれないけど、痩せすぎな気がして、ちょっとタイプからは外れるな」
レタフルさんはユメさんより痩せている。ヨルクさんは、痩せすぎな人が好みなのだろうか。恋愛感情はないとはいえ、目の前でタイプとか言われたら、やっぱりいい気はしないし、それにレタフルさんがヨルクさんやアルフォンス王子と出会う前のことを何も知らない。大昔とはいえ、ヨルクさんが夢中になった女がいたらいやだな。私はヨルクさん以外の人とも恋愛したし、ヨルクさんのこと責められる立場じゃないけど、それでもヨルクさんが他の人と大恋愛してた事実があったら受け止めきれないと思う。
「あんた、何個型に入れてんのさ」
あ、考えごとしてたら、石鹸いっぱい作っちゃった。
「えへへ」
「なあ、ズーム。あの人、本当に人魚なのか?」
「さっきから何度もメンバーがそう言ってただろ!」
ロォラさん、石鹸作り慣れてる。今となっては、ズームさんをイジメてたキラキラ女子とは思えないな。
「ズームも人魚に興味あるのか?」
「少なくとも、あのレタフルって人魚は痩せすぎていて、どこに魅力があるのか分からないし、人魚の湖で少し見たら二度までもは行かないだろうな」
「昔は痩せてなかったんだ。セレナールのようにスタイルがよかった。顔も一目見ただけで恋に落ちたし。だから、余計にヨルクに心変わりされたことが胸が痛む」
アルフォンス王子いたんだ。人って、体型でそこまで変わるものなのだろうか。太ったりしたら魅力に欠けるかもしれないけど、痩せただけで顔つきまで大きく変わるものなのかな。
「ねえ、ラルク。人って体型で印象変わる?」
「まあ、多少はそうだろうな。けど、ナミネはナミネでいいと僕は思うけど」
そうなのかなあ。ヨルクさんって、ナナクサガユさんみたいに太った人がタイプかと思いきや、現在のやせ細ったレタフルさんがタイプとか言い出すし、ヨルクさんのタイプよく分からない。
「君も人魚の湖に行くの?」
「ナミネが心配だからね」
「じゃあ、私も行く!君は2人の人を好きになったらどうする?」
「唐突な質問だね。そんな経験ないけど、もしそうなったら、どっちとも交際しないよ」
「君は真面目だね。私は卑怯かも」
「君のしたいようにしたらいいと僕は思うけどね」
何だかんだでズームさんとロォラさんて心の距離近いし、結局ナルホお兄様とミネスさんだって1月に色んなこと変えたのに、また元に戻っている。2組とも自覚なし。ナルホお兄様にはカナエさんがいるのに、やっぱりミネスさんとのほうが話しやすいのだろうか。
「あ、お2組とも仲が宜しゅうことで」
「気のせいですよ、ナミネさん。僕は異性として見れない人はノーカウントなので」
異性として見れない。どこがだ。今となっては学校で1番仲良いのではないのだろうか。
「ねえ、ラルク。どう思う?」
「まあ、そんなもんだろ。ナミネだって、ヨルクお兄様への気持ちに気付くまでかなり時間かかっただろ?」
それはそうだけど、最後の天使村であのようなお願いをしてしまったわけで、それがなかったら、妖精村時代も変わらずヨルクさんのこと好きだったと思う。
「うーん、最後の天使村で、あんなお願いしちゃったからなあ。ね、この先、ラルクに本当に好きな人が出来たら心から応援するよ」
「その必要はない。僕はヨルクお兄様みたいに何でも許せる人間ではないから、セレナール先輩との関係は壊れてるけど、新たに好きな人が出来たとしても気持ちは伝えない」
ラルク、どうしてそんなこと言うの。私はラルクに幸せになってほしい。セレナールさんとの恋愛が偽物だったからって諦めてほしくないよ。
「ラルクは幸せになっていいんだよ!ヨルクさんは、ただのMなだけ!許せないならそれでいいんだよ。新しく好きな人出来るの待とうよ」
私はラルクを抱き締めた。ラルクへの好きは確かに好きだったけど、ヨルクさんのほうが、もっともっと好きだった。けれど、どれだけ愛していても相手が浮気したり壊れてしまう時は、とことん壊れるものだ。
「あんたらさ、どんな関係なわけ?」
「え、ラルクとは、ずっと一緒でしたし学年も同じで大切な存在です」
「僕は男女の友情なんて存在しないと思うけど?」
そういう考え方はメジャーかもしれないけど、私とラルクは特別なの。
「ねえ、2人とも離れて!そんな関係じゃないでしょ!」
ヨルクさんは、ラルクから私を引き離した。ヨルクさんって、こんなにヤキモチ妬きだっけ。
「私、ヤキモチ妬く男、嫌いです!ラルクとは幼なじみでずっと一緒だったんです!大切な人の幸せ応援するのは当然なことでしょう!」
私は立ち上がるなり、パーティー会場を出てトイレに走った。

また、ヨルクさんのこと突き放してしまった。ヨルクさんは誰よりも大切な人なのに。どうしていつも些細なことで拗れてしまうのだろう。私は恋愛向けではない。でも、ヨルクさんと一緒にいたい。
トイレは案の定汚れている。来客者が汚したのなら仕方がない。私はウエットティッシュでトイレを拭いて、タライで手を洗った。あ、これヨルクさんからもらったナプキンだ。ここで使おう。ヨルクさんのマグボトルの水飲みすぎたかな。レタフルさんの送り届けもあるし、気を付けないと。
時計を見ると14時。停電のため、パーティーは14時半までだ。戻らないと。
客室の扉を開くと、ヨルクさんがいた。
「ナミネ、さっきはごめんね。レタフルさんのことで気を張りつめてた。ナミネとの間に溝出来てほしくなくて」
私はヨルクさんに抱き着いた。ヨルクさんの紅葉の香り。私の大好きな香り。
「溝が出来てもヨルクさんとは離れません」
「ナミネ……」
「あんたら、なんでいつもそうなのさ。雨降って来たから来客も帰りはじめてる!向こうで宿がなければテント張るし、レタフル送り届ける準備しろ!」
雨が降り出しているのか。人魚の湖に行く人は、登山服に着替えて、リュック対応のレインウェアを着ないと。
私たちはパーティー会場に向かった。

パーティー会場には殆どの人がいなくなっていた。
「本日は、停電の中、お越しくださりありがとうございました。雨が降ってきましたので、予定より早くパーティーを終えます。気を付けてお帰りになられてください。また、このようなパーティーを開くことがありましたら、是非来てください。お帰りの際は、受け付けでレインコートを受け取ってください」
閉会式が終わった。使用人たちが片付けをしはじめている。来客者も慌ててパーティー会場を出て行った。来客者の殆どは馬で来ていたのだろう。そして、私たちも馬で人魚の湖まで行かないといけない。
「皆さん、これからレタフルさんを人魚の湖まで送り届けます。送り届ける人は、登山服に着替え、リュック対応のレインウェアを来てください。無線は絶対に忘れないでください。レタフルさんのことは0時までに送り届けないといけません。ですので、馬に乗れない人は送り届けは、ご遠慮していただけると助かります。宿がなければテントを張ります」
行かないのはユメさん、委員長、アヤネさん、ミネルナさん、カラン王子だけか。
「じゃ、女はここで男は廊下で着替えろ!」
男性陣が廊下に出たあと、私たちは登山服に着替えた。パーティーのあとは、ナノハナ家に戻るとばかり思っていたからリュックは少し軽くしてある。けれど、朝には戻るわけだから足りるだろう。私はレインウェアを着た。靴はスニーカーだけど仕方ない。一応サバイバルに適しているし、少々濡れてもやむを得ないだろう。

外に出ると大雨だ。王室の馬がいる。
「ねえ、ラルク。王室の馬、仮面かぶいてるよ」
「撃球だってそうだろ」
もう随分と行っていない。キクリ家ではやく大会が行われているそうだけれど。そういうスポーツ系はヨルクさん、全くやらないし。下手でも、ヨルクさんの有志見たいんだけれどなあ。
「じゃ、馬乗れないヤツは乗れるヤツに乗せてもらえ!」
アルフォンス王子、ちゃっかりレタフルさんを馬に乗せている。何だかんだで帰るところなだけに、ユウサクさんも行かなきゃならないか。
「あ、セレナールさん。服、指定しましたよね?こんな大雨なのにレインコート1つ着ないのでは濡れてしまいます」
みんなレインウェア着ているのに、どうしてセレナールさんだけ着替えさえしていないのだろう。
「そんなの聞いてないもの」
私は、みんなの前で言ったのに。セレナールさんて、本当人をイラつかせる。
「セレナールはお留守番ね」
「リリカ、本当に聞いてなかったのよ」
「セレナール、私のを着ろ」
カラルリさんって、セレナールさんに甘い。やっぱり、ずっと妹同然の存在として可愛がってきたからかな。セレナールさんは、カラルリさんのレインウェアを着た。
「ラルク、一緒に乗ろ」
「あんた、それだとバランス悪くなるだろ。クソレタフルを0時までに送り届けないといけないからね?本来、電車3本分の道だからね?」
電車3本分。実際に馬走らせると、どのくらいで着くのだろう。停電となると乗れるのは馬くらいだから遠くの移動は厄介だ。
「ヨルクさんは、馬乗れますよね。誰か、馬乗れない人、私の馬に……」
「私がナミネと一緒に乗る!」
ヨルクさんは、馬に乗れるのに。
「君の馬に乗せてくれる?」
「いいよ」
そっか。ナルホお兄様もカナエさんも乗馬は得意だから別々になっちゃうか。
私とヨルクさん、ラルクとロォハさん、ユウサクさん、カラルリさんとセレナールさん、落ち武者さんとエルナさん、ナルホお兄様とミネスさん、ズームさんとロォラさん、リリカさんとラハルさん、アルフォンス王子とレタフルさん、セナ王女とミツメさん、ナナミお姉様とナヤセス殿、カナエさんとカンザシさん、ミナクさん。
ユウサクさんは、乗ってきた馬があるから、どうしても偶数になりきらない。って、ズームさん、馬乗れたんだ。
「じゃ、行く。とにかく飛ばせ!」
私は、落ち武者さんから渡された地図を元に赤線で引かれたルートを見た。ここからだとかなり距離がある。それでも0時までにレタフルさんを送り届けないと。私は地図をレインウェアのポケットにしまうと、馬を走らせた。ユウサクさん以外の馬は全て親衛隊が使う馬だ。武家にも速度の出る馬はたくさんいるけれど、やっぱり王室の馬は違う。
常歩は長距離移動には向いているものの、時速5~6キロしか出ない。速歩は1時間走らせることは可能だが、時速13~15キロが限界。駆歩は20~30キロ出るが30分しか走らせられなく長距離には向いていない。襲歩の場合だと60~70キロ出るが、たったの5分しか走らせることが出来ない。
けれど、親衛隊の馬はフェアリーサラブラーといって乗る人によれば、時速170キロ出せる。遠い昔は、貴族や一般市民の乗る馬と王室の乗る馬は、ほぼ同じだったが、王室の武官が馬を早く走らせているうちに、馬も進化し、フェアリーサラブラーが生まれたらしい。今となっては伝説話だが。
前にはセナ王女がいる。最近のセナ王女は、どことなく垢抜けている気がする。
「ねえ、ラルク。セナ王女、速いよね」
「もう、フェアリーサラブラーのプロだな」
「後ろの人、着いてこれるかな」
「まあ、レタフルさんさえ時間内に人魚の湖に入ればいいからな」
けれど、何か様子がおかしい。でも、この時の私は大雨で周囲がよく見えていなかった。
私はフェアリーサラブラーに乗るのははじめてである。生きている間に乗れるとは思っていなかった。セナ王女は、この馬でずっと訓練してたんだな。
時計を見ると15時半。別荘を出たのが15時くらいだから、30分経ったのか。けれど、まだ殆ど進めていない。150キロは出しているのに。人魚の湖ってどれだけ遠いの。

私たちはガムシャラに馬を走らせた。
時刻は19時。それでも、まだ中間地点だ。霧が出てきている。セナ王女は見えなくなっているし、後方も同じ。
その時、後方でおかしい音がした。
「落ち武者さん、後ろで何が起きてるか見てもらえませんか?」
「りょーかい。エルナ、手綱しっかり持て!」
「分かったわ!」
落ち武者さんは立ち上がって後ろを見た。
「おい、不味いぞ。時速90キロで平凡アルフォンスがクソレタフルと落馬しかけてる!」
そんな……。これでは、アルフォンス王子とレタフルさんが命を落としてしまうかもしれない。
「ラルク!」
「戻るしかないな」
一刻を争う。戻らないと。
「ヨルクさん、すみませんが引き返します」
「うん、分かった」
私とラルクは、引き返しアルフォンス王子の馬に向かって馬を走らせた。気付かなかったけど、アルフォンス王子って、それなりに後方にいたんだ。その時、アルフォンス王子の馬が竿立ちした。このままでは、アルフォンス王子とレタフルさんが落馬してしまう。私とラルクはもうスピードで馬を走らせ、アルフォンス王子の馬のところで止まると、私はアルフォンス王子をラルクはレタフルさんを受け止めた。
「僕はレタフルさんを乗せるから、ナミネはアルフォンス王子乗せろ!」
「分かった、ラルク!ヨルクさん、ロォハさんを乗せてゆっくり来てください」
「うん、分かったよ。ナミネ、気を付けてね」
ロォハさんはラルクの馬からヨルクさんの馬へ移動し、ラルクはレタフルさんを乗せ、私はアルフォンス王子を乗せて、再び速度を出して走らせた。
けれど、どうして竿立ちなんかしたのだろう。アルフォンス王子の乗り方が不安定だったのだろうか。
時刻は21時。もう間に合うかどうかも分からない。
「ラルク、21時だよ」
「ギリギリというレベルではないな。それでも向かうしかない」
もし、間に合わなかったらどうなるのだろう。
「甘えセナに無線飛ばす」
何の無線だろう。
落ち武者さんは、無線を手に持った。
「甘えセナ、人魚の湖に着いたら、湖の水をタライに入れろ!」
『こちらセナ。了解』
間に合わなくても僅かな湖の水だけで、こと足りるのだろうか。でも、ないよりかはマシかもしれない。
停電の中、こんなことに巻き込まれたくなかった。けれど、放っておいたら、それはそれで後悔するだろう。
地面が土のところに入った。さっきより走りにくい。
霧も濃くなってきて後方が見えない。
「ヨルクさん、大丈夫ですか?」
私は無線で話しかけた。
『大丈夫だよ』
「あんた、なんで顔だけヨルクだけなのさ」
あ、つい無意識にヨルクさんのことしか考えてなかった。
「い、いえ、皆さんのこと心配してますよ。地面もぬかるんでますし」
「あんたさ、もっとマシな嘘つけないわけ?」
落ち武者さんて、最初から距離感近かったように思うけど、それって私からじゃなく、落ち武者さんから私に歩み寄ってたからなんだ。昔からの知り合いなのだろうか。
馬を走らせる速度が落ちてゆく。だんだん進みにくくなっている。ぬかるんだ地面に、どんどん時間を奪われてゆく。

時刻は23時半。
まだ、距離はあるのに……。それでは間に合わない。それでもギリギリまで走らせるしかない。多分、私は諦めかけている。この世に生きたものは、いつかは死んでゆくものだし。レタフルさんも転生して新しい人生を歩めば今より……。
ダメだ。この進みにくさで思考がマイナスになっている。
それでも、コクコクと0時に近付いている。
「どうしてヨルクなんだ……」
アルフォンス王子の眠そうな声。また落馬されては困る。
「アルフォンス王子、目を覚ましてください!あと少して0時です!」
「分かっている。けれど、永遠だと思っていた。カナエには悪いが、それでもレタフルだけが私の生きる全てだった。レタフルと別れた瞬間から私は自暴自棄になった」
今更知る事実に私は戸惑いさえ持てなかった。それでも、アルフォンス王子の性格は何度も疑った。それさえも、時代の流れだと位置付けしてしまっていたと思う。あれだけ冷静沈着で、カナエさんを心から愛していたアルフォンス王子が、失恋で、ここまで変わってしまうものなのか。
きっと、私もそうかもしれない。ヨルクさんに愛想つかれたら、アルフォンス王子みたいに冷酷な人間になっている気がする。
「レタフルさんのことは、いつ思い出したんですか?」
「カナエと交際してすぐだ」
それで、カナエさんにピルなんか飲ませていたのか。
「どうしても、レタフルさんじゃないとダメなんですか?」
「ナミネだってヨルクが他の女と交際していたら今みたいな幸せを失うだろ」
ああ、そうか。他者視点だと分からないけど、自分がなってみたら、他者からすれば、とんでもない人間に見えてしまうものか。
「確かにそうですが……」
ダメだ。言葉を失ってしまった。
「どうして人は心変わりなどしてしまうのだろう。この世に永遠というものはないのだろうか」
愛してやまない人がいれば、誰だって永遠を求む。私だって、大昔にヨルクさんが誰かを愛していたりしたら、いっぱい悩むだろうし、今心変わりされたら、とてもじゃないけど耐えきれない。
私の見た夢はいったいなんだったのだろう。
「0時、3分前だ!もう間に合わない。強気なナミネ、ラルクごとクソレタフル吹き飛ばせ!」
「分かりました!ラルク、頑張って!」
私は扇子を開いて、ラルクごとレタフルさんを人魚の湖に向けて吹き飛ばした。

……

あとがき。

最近、クレナイ家 三兄弟 描きました。

何千年、何億年も、同じ人のみを愛することの方が無理かもしれません。でも、ずっと想ってる側からすれば、受け入れがたい事実ですね。

あれだけ冷静沈着で余裕のあったアルフォンスの現代が悲しすぎます。

……

この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
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