日常のこととかオリジナル小説のこととか。
カレンダー
プロフィール
HN:
ashita
Webサイト:
性別:
女性
職業:
地主(土地貸してます)
趣味:
漫画やアニメを見るのが好きです。最推しはフーディーニ ♡
自己紹介:
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
ブログ、もう書かないと思ってました。
けれど、去年から書き始めた小説によって、過去に書いてた小説も書き始め、ここに載せることにしたのです。
小説は、主に『時間と時間を繋ぐ恋の物語』と『妖精村と愉快な仲間たち』をメインに書いています。
現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。
純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。
元々このブログは病気の記録用として立ち上げたものですが、小説載せるようになってからは、ここは出来るだけ趣味的なことを綴りたいと思っております。
病気の記録や様々な思いを綴るブログは移転済みなのです。
ただ、今は日記は個人的な徒然、或いはお知らせとして綴ることが多いかと思います。
小説、ぼちぼちマイペースに書いてゆきます。
よろしくお願い致します。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
お知らせ。
イラストは現在「ナノハナ家の日常」に載せております。サイドバーにリンクあります。
また、「カラクリよろずや」にて無料のフリーイラスト素材配布もはじめました✩.*˚
フリーイラスト素材も増やしていく予定です(*'ᴗ'*)
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
模倣・無断転載などは、ご遠慮ください。
ブログの小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
小説・純愛偏差値に関しましては、武家名・貴族名(程度による) / 及び、武官の階級 / 扇子・羽子板・花札・百人一首・紙飛行機などのアイテム使用方法の模倣の一切を禁じております。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
X @kigenzen1874
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
ブログ、もう書かないと思ってました。
けれど、去年から書き始めた小説によって、過去に書いてた小説も書き始め、ここに載せることにしたのです。
小説は、主に『時間と時間を繋ぐ恋の物語』と『妖精村と愉快な仲間たち』をメインに書いています。
現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。
純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。
元々このブログは病気の記録用として立ち上げたものですが、小説載せるようになってからは、ここは出来るだけ趣味的なことを綴りたいと思っております。
病気の記録や様々な思いを綴るブログは移転済みなのです。
ただ、今は日記は個人的な徒然、或いはお知らせとして綴ることが多いかと思います。
小説、ぼちぼちマイペースに書いてゆきます。
よろしくお願い致します。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
お知らせ。
イラストは現在「ナノハナ家の日常」に載せております。サイドバーにリンクあります。
また、「カラクリよろずや」にて無料のフリーイラスト素材配布もはじめました✩.*˚
フリーイラスト素材も増やしていく予定です(*'ᴗ'*)
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
模倣・無断転載などは、ご遠慮ください。
ブログの小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
小説・純愛偏差値に関しましては、武家名・貴族名(程度による) / 及び、武官の階級 / 扇子・羽子板・花札・百人一首・紙飛行機などのアイテム使用方法の模倣の一切を禁じております。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
X @kigenzen1874
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
カテゴリー
アーカイブ
最新記事
ブログ内検索
フリーエリア
〈資格履歴〉
2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2010年02月10日
→セルフ・カウンセリング
ステップ2 合格
2011年05月28日
→セルフ・カウンセリング
指導講師資格審査 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年01月20日
→鉛筆デッサンマスター 合格
→絵画インストラクター 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
→茶道アドバイザー 合格
→お点前インストラクター 合格
2025年04月17日
→着物マイスター 合格
→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
→サイキックアドバイザー 合格
→サイキックヒーラー 合格
2025年07月01日
→アンガーカウンセラー 合格
→アンガーコントロール士 合格
2025年08月04日
→漢方コーディネーター 合格
→薬膳調整師 合格
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
〈資格証明バナー〉

2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2010年02月10日
→セルフ・カウンセリング
ステップ2 合格
2011年05月28日
→セルフ・カウンセリング
指導講師資格審査 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年01月20日
→鉛筆デッサンマスター 合格
→絵画インストラクター 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
→茶道アドバイザー 合格
→お点前インストラクター 合格
2025年04月17日
→着物マイスター 合格
→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
→サイキックアドバイザー 合格
→サイキックヒーラー 合格
2025年07月01日
→アンガーカウンセラー 合格
→アンガーコントロール士 合格
2025年08月04日
→漢方コーディネーター 合格
→薬膳調整師 合格
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
〈資格証明バナー〉

純愛偏差値 未来編 一人称版 88話
《ナミネ》
感染症コロディーが蓮華町に流行り出して3日が経った。看病しているメンバーが疲れて来ているのは目に見えている。コロディーは体内の菌を出し切れば10日で治るそうだが、患者は1日目の夜中に嘔吐だけでなく下痢もするようになり、みんなは患者のお尻も拭きはじめた。
ユメさんは貴族ゆえ、かなり抵抗があるみたいだが、それでも頑張ってくれている。
みんな食事もしているし、20時には寝ているものの、このまま患者の看病をし続ければ、この中のメンバーが感染してもおかしくない。
患者は嘔吐と下痢を何度も繰り返すため、消毒液も半分になった。その時、ユメさん、カラン王子、ミネルナさんが倒れた。
「ユメさん!カラン王子!ミネルナさん!」
私が駆け寄るより前にナヤセス殿とロォハさんが診察をした。疲労からかコロディーに感染していた。私とラルクは3人を結界の中に運んだ。
コロディーは止むどころか悪化している。体内から菌を出そうとしているからだろうか。経口補水液もすぐになくなるから、定期的に作らなくてはならない。
「あの、コロディーはまだ完治の方法が分からない病気ですし、リンゴを使うのもやむを得ないのではないでしょうか」
「ナミネ、僕は全員を必ず救う。リンゴは使わないよ」
ナヤセス殿。あくまで持ち前の医療の知識で治すつもりなのか。それでも、熱の酷い人はナヤセス殿とロォハさんが交互で夜中も診ているから、熱冷ましの薬が与えられ、患者の熱は最高でも41度までで治まってくれている。
みんなは、患者の清潔を常に保った。
私は毎日4時に水を汲んでいる。タライの横にはズームさんの作った石鹸と消毒液を置いているのである。
その時、アヤネさんとアルフォンス王子が顔が真っ青なまま、こちらへ向かって来た。ナヤセス殿が診察したところ、コロディーに感染していた。私とラルクは2人を結界の中へ運んだ。
逃げていても感染する時はする。それが感染症なのだ。
コロディーが流行り出して6日が経つと、患者の体内から菌が減っていた。患者の嘔吐も下痢も水っぽくなっていて、酷い時に比べたら、かなり拭きやすくなったと思う。
ロォラさんが作ってくれた布オムツも活躍していた。
点滴を打つ患者も少なくなり、みんな経口補水液を飲むようにもなって来た。あとひと息、あとひと息だ。私たちは辛いながらも患者を救うため、持ち堪えていた。
けれど、コロディーが終息したら、私たちは妖精村に戻る。2ヶ月近くいたこの蓮華町ともお別れだ。そう思うと少し寂しい。
コロディーが流行り出して14日後、結界にいた患者は全員完治し、金が1回鳴った。
「コロディーが終息したぞ!」
「やっと治った!」
「本当辛かった!」
「これでやっと元の暮らしに戻れる!」
(以下略)
蓮華町にやって来たコロディーは終息した。
私は結界を解き、患者だった人に着替えを配った。コロディーに使用したものはワラの敷物やタライも含め全てゴミ捨て場に捨てた。
メンバーのみんなもエプロンを処分し、新しい服に着替えた。
その時、お姉さん家族が来た。
「ナミネ、今更だけどごめんなさい。あの頃の私は、いいところに生まれたナミネに嫉妬してナミネを妖精村に戻さなかった。今となっては取り返しのつかないことをしてしまったと思っている。謝って済むことではないけれど、謝るしかないわ」
「ナミネ、何度も相談に来てくれていたのに、わざと何もしなくて辛い目に合わせてごめんなさい。ここにいる以上、私の人生は楽しむことさえままならないけど、反省しながら生きていく」
お姉さんと私が産婦人科で取り違えられて、どのくらい経ったのだろう。大昔のこととはいえ、フルートさんから聞いた時はショックだったけど、時を超えて謝ってくれた。私も、お姉さんにはやり過ぎたかもしれない。妖精村に戻ったら、お姉さんに下された皇室の罰は番人にお願いして、なかったことにしてもらう。それでも、ここでの暮らしは辛いだろうけど。
「謝っていただいただけで、もういいです。私は明日ここを発ちます。短い間でしたが再び出会えてよかったです。どうか、お元気に過ごしてください」
「もう帰るのね。もう、同じ過ちは繰り返さない。ナミネ、元気でね」
「私は、また縫い物の仕事をして市場に売るわ。妖精村に戻っても、ここで過ごした時間忘れないでね」
今のお姉さんは、いい人だ。古代のような暮らしを受け入れ必死に生きている。辛い場所ではあるかもしれないけれど、お姉さんには、ここでやるべきことをして生きて欲しい。この町が他の町と同じ暮らしになるまで、諦めないでほしい。
「はい、この町はきっといつか変わります。それまで頑張ってください」
お姉さんと母親は一礼すると家族とともに家に帰って行った。
私とラルクと落ち武者さんは、おばあさんの家に行き挨拶をし、必ずまた来ると言った。私は別れの悲しさからさ、おばあさんに少しの間抱き着いていた。
おばあさんは、妖精村に戻っても、ここでの暮らしは忘れないで今後に役立ててと言っていた。おばあさんとは、妖精村でまた会えるかもしれない。それまで、私はガムシャラに生きる。ここの暮らしで学んだように。
その後、タルリヤさんの家に戻るとフルートさんとヤクゼンさんらしきコビトが別れの挨拶に来た。私は2人とも抱き締めた。泣きながら抱き締め、また会おうと約束をした。
ここでの食事は、これで最後だ。
煮物を作ってくれたタルリヤさんのお母様にも感謝をしないと。
その時、紙飛行機が飛んで来た。私は紙飛行機を開いた。
『この度の働き、ご苦労だった。ナヤセスとロォハの功績を認め、2人を正式な医師に認定する。 紀元前村 皇帝陛下』
中には証明書も入っていた。私は2人に証明書を渡すと同時に紙飛行機の内容も見せた。これで2人は晴れて医師だ。妖精村に帰ったらお祝いをしないと。
翌日、私たちは不要なものは全てゴミ捨て場に捨て、テントを畳んだ。タルリヤさんのお母様に挨拶をすると、みんなナノハナ家のヘリコプターに乗って妖精村へと帰って行った。
最初は、現場を見たら帰るつもりだったけれど、流れで2ヶ月少し、この蓮華町で暮らした。右も左も分からない状況だったし、仲間割れもしたけれど、ガス、電気、水道は全てない。携帯も繋がらない。蓮華町の周りには囲いがあって、隣町にさえ行けない。古代のような暮らしは、これからも続くだろう。その暮らしの厳しさを私たちは身を持って知った。ここで学んだことは絶対に忘れない。
妖精村に戻って、どれだけの日が経っただろう。私は紀元前村での暮らしの疲れが一気に出て、ずっと眠り続けていた。私は寝ぼけながらも、テナロスさんを呼び出し、お姉さんが受けた罰をなかったことにしてもらった。
紀元前村では、毎日のように働いていた私だけど、いざナノハナ家に戻ると、私はまたダラけていた。
そんな私も中学2年生になっていた。また、ラルクと委員長と同じクラスだ。まだまだ人生これからだ。
この先、またヨルクさんといっぱい喧嘩するだろうし、そのたびにどちらも傷つくだろう。それでも私はヨルクさんをもう二度と待たせない。ヨルクさんを心から愛していることを二度と記憶から消さない。まだ、交際して1年も経っていないけど、今ではこんなにも愛おしい。
私にはヨルクさんがいる。
それが生きるみなもとなのだ。
数日後、落ち武者さんを連れてラルクと森の湖南町に行ったら、何故かヨルクさんが後から着いてきて、おじいさんに挨拶をした。ヨルクさんは律儀に取り寄せた高価なお菓子をおじいさんに渡したのだ。その日は、息子さん夫婦やお孫さんも来ていた。1年に1度は里帰りをしているらしい。
おじいさんは相変わらず元気にしていた。おばあさんの話をすると、おじいさんは涙を流していた。おじいさんとしては、おばあさんが転生してもまた一緒になりたい気持ちはあるものの、人が亡くなってから転生するまでには60年から3億年かかる。おじいさんは、いつも愛した人の転生を待っているうちに他に好きな人が出来てしまっていたようだ。どれだけ愛し合ってもいなくなった相方を待つというのは、かなりの忍耐力がいるものだ。妖精村では平均転生するまで100~150年はかかる。そんな年月を1人で待つのは辛い。他に好きな人が出来ても不思議ではないと思う。それでも、またおばあさんが転生した時には一緒になって欲しい。何となくだけど、おばあさんとおじいさんにはずっと愛し合っていてほしい。そんな気がするのだ。
お孫さんといっても、20歳を過ぎていて、その日、私はおじいさんと一緒にお風呂に入った。
紅葉町に戻る時、おじいさんには絶対またいっぱい来ると言った。
翌日、自分の部屋で寝ていた。そして夢を見ていた。
夢の中は未来だろう世界だった。
私とヨルクさんは、当たり前のように恋人だった。けれど、ヨルクさんは次第にナノハナ家に来なくなっていた。
ある日、私がクレナイ家のヨルクさんの部屋に行くと、ヨルクさんは他の女と愛し合っていた。
『ヨルクさん、どういうことですか!』
『ずっと話そうと思ってたんだけど、なかなか話せなくて今になった。ナミネ、ごめん。好きな人が出来た。ナミネとはもう一緒にいられない』
そんな……。ずっと私だけを愛してくれていたヨルクさんが心変わりだなんて、とてもじゃないけど信じられない。また、ハメられたのだろうか。
しかし、番人に聞いても変わったことは何もなく、ヨルクさんは本当に心変わりをしたらしい。番人によると、いくら、大昔からずっと愛し合っていても、いつかはその気持ちも色褪せて少しずつ過去になっていって、別の未来が用意されているらしい。
私はヨルクさんをたぶらかした女が許せなくて、ある夜、ヨルクさんの部屋にカンザシさんを布団に寝かせた。
翌日、ヨルクさんが目を覚ますと、別の布団の中で女とカンザシさんは愛し合っていた。ヨルクさんは、かなりショックを受けたものの、女が事情を説明するとヨルクさんは泣きながら女を許した。
悔しい。
どうしたらヨルクさんを取り戻せるの。
私は嫉妬のあまり、女をナノハナ家に連れて、客間に閉じ込めた。また、岩の結界をかけて外に出れないようにした。
そんなある日、客間を開けると、女は人魚の姿をしていた。女は2週間に一度人魚の姿になるらしい。
私は、人魚の尾ヒレを切り落とした。人魚は悲鳴をあげた。その時、ヨルクさんが来た。
『どうしてこんなことするの!結界解いて!病院連れていくから!』
『解きません!私、ヨルクさんがいないとダメなんです!心変わりしないでください!私のところへ戻ってきてください!』
『ナミネって最低だね。私の好きな人にこんなことして!大嫌いだよ』
ヨルクさんが私に対して思ったこともない感情。ヨルクさんを奪ったこの女が憎くて仕方がない。けれど、時間が経つごとに尾ヒレの切断によって人魚は人間に戻れなくなるらしい。
『お願い!元に戻して!このままだと人間に戻れないわ!』
『戻しません!この泥棒猫!』
そのまま朝が来ると人魚は倒れていた。
『レタフルさん!』
『ヨルク……愛してる……この先もずっと……私を忘れないで……』
人魚は息を引き取った。
ヨルクさんは大粒の涙を零しその場に崩れた。
『レタフルさん、行かないで……愛してる……』
『ヨルクさん、目を覚ましてください!』
その瞬間、ヨルクさんは私を引っぱたいた。
『よくこんなことが出来たよね!ナミネのこと一生恨むから!』
その後、クレナイ家に行ってもヨルクさんは会ってくれず、私はひたすらヨルクさんが部屋を出るのを待って話しかけたが全て無視をされた。
『ヨルクさん、無視しないでください!』
翌日、目を覚ますと書き置きがしてあった。
《天の川村に引っ越します。さようなら。
ヨルク》
『ヨルクさん!!』
私は走ってクレナイ家に向かったがヨルクさんは既に妖精村を出たあとだった。
もし、私があの女のこと我慢していれば、片想いでもヨルクさんの傍にいられたの?
全て私が悪いの?
どうしてヨルクさんは心変わりしてしまったの?
片想いでも私はそれで耐えられたの?
「お願い、ヨルクさん行かないで!!」
気が付くと私は目を覚ましていた。
部屋には誰もいない。
「ヨルクさん!ヨルクさん!ヨルクさん!」
私は慌てて布団から出た。
「あんた、どんな夢見てたんだよ。すんごいうなされてけど?」
落ち武者さん、いたんだ。
「あの、夢の中でヨルクさんが心変わりしたんです!」
「ただの夢だろ」
確かに夢だったけど、物凄くリアルだった。
「夢の中は未来でしたが、私たちは人魚の湖に行きますよね?もし、その時にレタフルという人魚がいたら……」
「未来で顔だけヨルクは、その人魚に乗り換えたんだな?だったら、そのレタフルって野郎がいたら本人に聞くしかないな」
そうだよね。夢のことだけで判断しても仕方ないけれど、本当にいたら怖い。ヨルクさんとは、どんな関係だったのだろう。やっぱり恋人かな。夢の内容が本当なら、ヨルクさんが心変わりした理由が知りたいのだけど、どうすればいいのだろう。
「ヨルクさんが心変わりした理由が知りたいです!」
「あんた、流石に焦りすぎ。明日はナヤセスとロォハの医師免許取得祝いだし、そもそも心変わりしたかなんて、その話だけでは判断し兼ねる。とにかく、あんたは明日のことだけ考えろ!顔だけヨルクは何だかんだで、ずっと、あんたを愛してきたんだ!」
そうは言われても、やっぱり気になってしまうのが乙女心。私はヨルクさんみたいに、いつまでも待てる人ではない。ヨルクさんの心が私から離れてしまえば私は他の人を好きになるかもしれない。それでも、ヨルクさんとはやっとの思いで恋人になれたのだから心変わりなんて絶対にいや。
「分かってるんですけど……」
「もうすぐ夕飯だから第4居間行くぞ」
あれ、部屋で食べないのだろうか。私は落ち武者さんに言われるまま第4居間に向かった。
第4居間では、何故か過半数のメンバーが集まっていた。
「あ、皆さん、いらしてたんですね」
「やっぱり、紀元前村の暮らしの名残が残っちゃって」
セナ王女、あれからミナクさんとはどうなったのだろう。ミナクさんはナナミお姉様と話しているけれど、ミナクさんとセナ王女のその後の恋愛事情全く知らないや。
「あー、ですよね」
「ナミネ、銀のリンゴはヨルクが持ってて、金のリンゴ1つはセナ王女、もう1つは私が持ってるけど、それでいいかしら?」
そういえば、病気を治すリンゴもらったんだっけ。
「はい、それで構いません」
あんな夢を見ただけにヨルクさんが同じ空間にいると気まずい。
「あの、この中でレタフルという人魚を知っている方いますか?」
「名前は知ってるけど、それ以上知りたかったら2人で話してくれる?」
って、実在してるの!?凄く怖いけど聞くしかない!
「はい、お願いします」
私とアルフォンス王子は第4居間を出て適当な客間に向かった。
客間に入ると、お互い座布団に座った。
この時、別の客間でラルクが闇の結界をかけて、落ち武者さんとヨルクさんが私とアルフォンス王子の話を盗み聞きしていることは全く知らなかったのである。
結界なんて遠い昔に消滅したのに、また復活するなんて思ってなかった。結界があると有利な面、盗み聞きし放題な気がして微妙な気持ちだ。
「レタフルとはカナエと出会った後に人魚の湖で知り合った。ひと目見るなり恋に落ち、私は毎日人魚の湖に通うようになっていた。そのうちにレタフルと両想いになってカナエに別れを告げた。レタフルと知り合ってからは何度転生してもカナエがどうしても2番になってしまって、今でもレタフルを忘れられずにいる」
人物を変えれば私が見た夢そのまんまだ。人魚の湖にいるだなんて会うのめちゃくちゃ気まずい。けれど、会ってレタフルさんからも話を聞かないと。
「そうでしたか。アルフォンス王子にそのような過去があったとは知りませんでした。どうして今はレタフルさんとは交際していないのですか?」
「私とレタフルは確かに愛し合っていた。けれど、ある日、レタフルは理由も言わず私に別れを告げた。私は何度も人魚の湖に行ったけれど、取り合ってもらえず、現世ではまたカナエと交際していたけど、レタフルのことがどうしても忘れられず、カナエとは上手くいかなかった」
そうだったのか。カナエさんを超える好きな人がアルフォンス王子にいたというわけか。そして、その想いは今でも続いている。
「そうでしたか。あの、レタフルさんて他に交際していた人とかいますか?例えばヨルクさんとか」
「ヨルクではないが、大昔に大恋愛した男がいるとは聞いていた」
「もしかして、レタフルさんて、人間になったりします?」
「ああ、2週間に一度人間になる。私は毎週レタフルが人間になる日を心待ちしていた。レタフルが人間になった夜は朝まで愛し合った」
やっぱり人間になるんだ!私が見た夢、ただの夢じゃないかもしれない。
「私、夢を見たんです。未来の夢でした。ヨルクさんと交際していたのに、ヨルクさんはレタフルさんに心変わりするんです。そのレタフルさんがまさか実在していただなんて、とてもじゃないけど受け入れがたいです」
「そうであったか。未来となると正夢の可能性もあるな。どれだけ愛し合っていても、時が経てば、その人以上に好きになる人も出てくる。ヨルクはどうか分からないが、少なくとも私は、この世で最も美しいのはカナエだと思っていた。けれど、レタフルに会って、その思いは打ち砕かれた。好きで好きでたまらなくて、ずっと一緒にいても飽きるどころか幸せで、出来ることならレタフルが私をフッた理由を知りたい」
カナエさんではなくレタフルさんか。ヨルクさんも、いつか私より好きな人が出来るのかな。
実在なんてして欲しくなかった。けれど、実在していたと聞いたからには、レタフルさんから聞き出せるだけのことは聞き出さないと。
「近いうちに人魚の湖に行くので、レタフルさんとちゃんと話し合ったほうがいいと思います。私もレタフルさんには聞きたいことがたくさんありますので」
「そうだな。随分と時代は流れた。久々に行くなら、あの時のことを全て話し合おうと思う」
人魚の湖行きは私とアルフォンス王子にとっては、精神的かなりダメージを抱くかもしれない。正直、今から気が重たい。けれど、もしかするとアルフォンス王子とレタフルさんの復縁もあるかもしれない。ヨルクさんはレタフルさんを見たらどう思うだろう。
話が終わると私とアルフォンス王子は再び第4居間に戻って行った。
第4居間に入ると、ミナクさんの風俗通いがセナ王女にバレ、セナ王女はミナクさんを責めながらミナクさんを殴り付けていた。メンバーでいると、いつも騒がしい。けれど、1人よりかはきっとマシだ。
そういえば、ミナクさん、妖精村に戻って来てからナナミお姉様の部屋にしょっちゅう出入りしている。
ううん、今はそんなことよりレタフルさんとヨルクさんが本当に恋愛していたかどうかだ。
「強気なナミネ、見ろよ。ラハルが編集した紀元前村での動画が放送されてるぜ」
私はテレビに目を向けた。私たちのサバイバル生活が映っている。
「本当ですね。少しでも多くの人がこれを見て、蓮華町も現代の暮らしが出来るようになるといいですよね」
こんなふうに紀元前村でのサバイバルの映像をみると、私たちが紀元前村に行ったことも無駄ではなかったと思える。私たちが、あの場所で必死に生きたことが大勢の人に伝わってほしい。
「ナミネ、下着変えた?前のはもう着ないの?」
え、どうして今聞くの?いくら彼氏だからってサイズ変わったこと教える必要があるのだろうか。ヨルクさんて、どうしてこんなにデリカシーがないの。
「はい」
「そっか。小さいサイズ売ってるお店見付けたから今度行こうね」
小さいサイズ?ワンサイズ大きくなったのに、どうして気付いてくれないの?ヨルクさんは私と一緒にお風呂入ってても何も思わないのだろうか。結局胸の大きな綺麗な人にしか興味ないのだろう。レタフルさんのこともあるし、私は気分を害していた。
「ヨルクさん、セクハラです!」
私は泣きながら第4居間を出て部屋に戻って行った。
……
あとがき。
古代編でもそうでしたが、やはり紀元前村のサバイバルが終わると気が抜けて、スランプに陥ってしまいました。
けれど、小説は書きたいので、更新遅れてでもゆっくり書いていきたいなあと思っています。
この小説は出来るだけ長く続けたいです。
続けられるかな。
……
この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
《ナミネ》
感染症コロディーが蓮華町に流行り出して3日が経った。看病しているメンバーが疲れて来ているのは目に見えている。コロディーは体内の菌を出し切れば10日で治るそうだが、患者は1日目の夜中に嘔吐だけでなく下痢もするようになり、みんなは患者のお尻も拭きはじめた。
ユメさんは貴族ゆえ、かなり抵抗があるみたいだが、それでも頑張ってくれている。
みんな食事もしているし、20時には寝ているものの、このまま患者の看病をし続ければ、この中のメンバーが感染してもおかしくない。
患者は嘔吐と下痢を何度も繰り返すため、消毒液も半分になった。その時、ユメさん、カラン王子、ミネルナさんが倒れた。
「ユメさん!カラン王子!ミネルナさん!」
私が駆け寄るより前にナヤセス殿とロォハさんが診察をした。疲労からかコロディーに感染していた。私とラルクは3人を結界の中に運んだ。
コロディーは止むどころか悪化している。体内から菌を出そうとしているからだろうか。経口補水液もすぐになくなるから、定期的に作らなくてはならない。
「あの、コロディーはまだ完治の方法が分からない病気ですし、リンゴを使うのもやむを得ないのではないでしょうか」
「ナミネ、僕は全員を必ず救う。リンゴは使わないよ」
ナヤセス殿。あくまで持ち前の医療の知識で治すつもりなのか。それでも、熱の酷い人はナヤセス殿とロォハさんが交互で夜中も診ているから、熱冷ましの薬が与えられ、患者の熱は最高でも41度までで治まってくれている。
みんなは、患者の清潔を常に保った。
私は毎日4時に水を汲んでいる。タライの横にはズームさんの作った石鹸と消毒液を置いているのである。
その時、アヤネさんとアルフォンス王子が顔が真っ青なまま、こちらへ向かって来た。ナヤセス殿が診察したところ、コロディーに感染していた。私とラルクは2人を結界の中へ運んだ。
逃げていても感染する時はする。それが感染症なのだ。
コロディーが流行り出して6日が経つと、患者の体内から菌が減っていた。患者の嘔吐も下痢も水っぽくなっていて、酷い時に比べたら、かなり拭きやすくなったと思う。
ロォラさんが作ってくれた布オムツも活躍していた。
点滴を打つ患者も少なくなり、みんな経口補水液を飲むようにもなって来た。あとひと息、あとひと息だ。私たちは辛いながらも患者を救うため、持ち堪えていた。
けれど、コロディーが終息したら、私たちは妖精村に戻る。2ヶ月近くいたこの蓮華町ともお別れだ。そう思うと少し寂しい。
コロディーが流行り出して14日後、結界にいた患者は全員完治し、金が1回鳴った。
「コロディーが終息したぞ!」
「やっと治った!」
「本当辛かった!」
「これでやっと元の暮らしに戻れる!」
(以下略)
蓮華町にやって来たコロディーは終息した。
私は結界を解き、患者だった人に着替えを配った。コロディーに使用したものはワラの敷物やタライも含め全てゴミ捨て場に捨てた。
メンバーのみんなもエプロンを処分し、新しい服に着替えた。
その時、お姉さん家族が来た。
「ナミネ、今更だけどごめんなさい。あの頃の私は、いいところに生まれたナミネに嫉妬してナミネを妖精村に戻さなかった。今となっては取り返しのつかないことをしてしまったと思っている。謝って済むことではないけれど、謝るしかないわ」
「ナミネ、何度も相談に来てくれていたのに、わざと何もしなくて辛い目に合わせてごめんなさい。ここにいる以上、私の人生は楽しむことさえままならないけど、反省しながら生きていく」
お姉さんと私が産婦人科で取り違えられて、どのくらい経ったのだろう。大昔のこととはいえ、フルートさんから聞いた時はショックだったけど、時を超えて謝ってくれた。私も、お姉さんにはやり過ぎたかもしれない。妖精村に戻ったら、お姉さんに下された皇室の罰は番人にお願いして、なかったことにしてもらう。それでも、ここでの暮らしは辛いだろうけど。
「謝っていただいただけで、もういいです。私は明日ここを発ちます。短い間でしたが再び出会えてよかったです。どうか、お元気に過ごしてください」
「もう帰るのね。もう、同じ過ちは繰り返さない。ナミネ、元気でね」
「私は、また縫い物の仕事をして市場に売るわ。妖精村に戻っても、ここで過ごした時間忘れないでね」
今のお姉さんは、いい人だ。古代のような暮らしを受け入れ必死に生きている。辛い場所ではあるかもしれないけれど、お姉さんには、ここでやるべきことをして生きて欲しい。この町が他の町と同じ暮らしになるまで、諦めないでほしい。
「はい、この町はきっといつか変わります。それまで頑張ってください」
お姉さんと母親は一礼すると家族とともに家に帰って行った。
私とラルクと落ち武者さんは、おばあさんの家に行き挨拶をし、必ずまた来ると言った。私は別れの悲しさからさ、おばあさんに少しの間抱き着いていた。
おばあさんは、妖精村に戻っても、ここでの暮らしは忘れないで今後に役立ててと言っていた。おばあさんとは、妖精村でまた会えるかもしれない。それまで、私はガムシャラに生きる。ここの暮らしで学んだように。
その後、タルリヤさんの家に戻るとフルートさんとヤクゼンさんらしきコビトが別れの挨拶に来た。私は2人とも抱き締めた。泣きながら抱き締め、また会おうと約束をした。
ここでの食事は、これで最後だ。
煮物を作ってくれたタルリヤさんのお母様にも感謝をしないと。
その時、紙飛行機が飛んで来た。私は紙飛行機を開いた。
『この度の働き、ご苦労だった。ナヤセスとロォハの功績を認め、2人を正式な医師に認定する。 紀元前村 皇帝陛下』
中には証明書も入っていた。私は2人に証明書を渡すと同時に紙飛行機の内容も見せた。これで2人は晴れて医師だ。妖精村に帰ったらお祝いをしないと。
翌日、私たちは不要なものは全てゴミ捨て場に捨て、テントを畳んだ。タルリヤさんのお母様に挨拶をすると、みんなナノハナ家のヘリコプターに乗って妖精村へと帰って行った。
最初は、現場を見たら帰るつもりだったけれど、流れで2ヶ月少し、この蓮華町で暮らした。右も左も分からない状況だったし、仲間割れもしたけれど、ガス、電気、水道は全てない。携帯も繋がらない。蓮華町の周りには囲いがあって、隣町にさえ行けない。古代のような暮らしは、これからも続くだろう。その暮らしの厳しさを私たちは身を持って知った。ここで学んだことは絶対に忘れない。
妖精村に戻って、どれだけの日が経っただろう。私は紀元前村での暮らしの疲れが一気に出て、ずっと眠り続けていた。私は寝ぼけながらも、テナロスさんを呼び出し、お姉さんが受けた罰をなかったことにしてもらった。
紀元前村では、毎日のように働いていた私だけど、いざナノハナ家に戻ると、私はまたダラけていた。
そんな私も中学2年生になっていた。また、ラルクと委員長と同じクラスだ。まだまだ人生これからだ。
この先、またヨルクさんといっぱい喧嘩するだろうし、そのたびにどちらも傷つくだろう。それでも私はヨルクさんをもう二度と待たせない。ヨルクさんを心から愛していることを二度と記憶から消さない。まだ、交際して1年も経っていないけど、今ではこんなにも愛おしい。
私にはヨルクさんがいる。
それが生きるみなもとなのだ。
数日後、落ち武者さんを連れてラルクと森の湖南町に行ったら、何故かヨルクさんが後から着いてきて、おじいさんに挨拶をした。ヨルクさんは律儀に取り寄せた高価なお菓子をおじいさんに渡したのだ。その日は、息子さん夫婦やお孫さんも来ていた。1年に1度は里帰りをしているらしい。
おじいさんは相変わらず元気にしていた。おばあさんの話をすると、おじいさんは涙を流していた。おじいさんとしては、おばあさんが転生してもまた一緒になりたい気持ちはあるものの、人が亡くなってから転生するまでには60年から3億年かかる。おじいさんは、いつも愛した人の転生を待っているうちに他に好きな人が出来てしまっていたようだ。どれだけ愛し合ってもいなくなった相方を待つというのは、かなりの忍耐力がいるものだ。妖精村では平均転生するまで100~150年はかかる。そんな年月を1人で待つのは辛い。他に好きな人が出来ても不思議ではないと思う。それでも、またおばあさんが転生した時には一緒になって欲しい。何となくだけど、おばあさんとおじいさんにはずっと愛し合っていてほしい。そんな気がするのだ。
お孫さんといっても、20歳を過ぎていて、その日、私はおじいさんと一緒にお風呂に入った。
紅葉町に戻る時、おじいさんには絶対またいっぱい来ると言った。
翌日、自分の部屋で寝ていた。そして夢を見ていた。
夢の中は未来だろう世界だった。
私とヨルクさんは、当たり前のように恋人だった。けれど、ヨルクさんは次第にナノハナ家に来なくなっていた。
ある日、私がクレナイ家のヨルクさんの部屋に行くと、ヨルクさんは他の女と愛し合っていた。
『ヨルクさん、どういうことですか!』
『ずっと話そうと思ってたんだけど、なかなか話せなくて今になった。ナミネ、ごめん。好きな人が出来た。ナミネとはもう一緒にいられない』
そんな……。ずっと私だけを愛してくれていたヨルクさんが心変わりだなんて、とてもじゃないけど信じられない。また、ハメられたのだろうか。
しかし、番人に聞いても変わったことは何もなく、ヨルクさんは本当に心変わりをしたらしい。番人によると、いくら、大昔からずっと愛し合っていても、いつかはその気持ちも色褪せて少しずつ過去になっていって、別の未来が用意されているらしい。
私はヨルクさんをたぶらかした女が許せなくて、ある夜、ヨルクさんの部屋にカンザシさんを布団に寝かせた。
翌日、ヨルクさんが目を覚ますと、別の布団の中で女とカンザシさんは愛し合っていた。ヨルクさんは、かなりショックを受けたものの、女が事情を説明するとヨルクさんは泣きながら女を許した。
悔しい。
どうしたらヨルクさんを取り戻せるの。
私は嫉妬のあまり、女をナノハナ家に連れて、客間に閉じ込めた。また、岩の結界をかけて外に出れないようにした。
そんなある日、客間を開けると、女は人魚の姿をしていた。女は2週間に一度人魚の姿になるらしい。
私は、人魚の尾ヒレを切り落とした。人魚は悲鳴をあげた。その時、ヨルクさんが来た。
『どうしてこんなことするの!結界解いて!病院連れていくから!』
『解きません!私、ヨルクさんがいないとダメなんです!心変わりしないでください!私のところへ戻ってきてください!』
『ナミネって最低だね。私の好きな人にこんなことして!大嫌いだよ』
ヨルクさんが私に対して思ったこともない感情。ヨルクさんを奪ったこの女が憎くて仕方がない。けれど、時間が経つごとに尾ヒレの切断によって人魚は人間に戻れなくなるらしい。
『お願い!元に戻して!このままだと人間に戻れないわ!』
『戻しません!この泥棒猫!』
そのまま朝が来ると人魚は倒れていた。
『レタフルさん!』
『ヨルク……愛してる……この先もずっと……私を忘れないで……』
人魚は息を引き取った。
ヨルクさんは大粒の涙を零しその場に崩れた。
『レタフルさん、行かないで……愛してる……』
『ヨルクさん、目を覚ましてください!』
その瞬間、ヨルクさんは私を引っぱたいた。
『よくこんなことが出来たよね!ナミネのこと一生恨むから!』
その後、クレナイ家に行ってもヨルクさんは会ってくれず、私はひたすらヨルクさんが部屋を出るのを待って話しかけたが全て無視をされた。
『ヨルクさん、無視しないでください!』
翌日、目を覚ますと書き置きがしてあった。
《天の川村に引っ越します。さようなら。
ヨルク》
『ヨルクさん!!』
私は走ってクレナイ家に向かったがヨルクさんは既に妖精村を出たあとだった。
もし、私があの女のこと我慢していれば、片想いでもヨルクさんの傍にいられたの?
全て私が悪いの?
どうしてヨルクさんは心変わりしてしまったの?
片想いでも私はそれで耐えられたの?
「お願い、ヨルクさん行かないで!!」
気が付くと私は目を覚ましていた。
部屋には誰もいない。
「ヨルクさん!ヨルクさん!ヨルクさん!」
私は慌てて布団から出た。
「あんた、どんな夢見てたんだよ。すんごいうなされてけど?」
落ち武者さん、いたんだ。
「あの、夢の中でヨルクさんが心変わりしたんです!」
「ただの夢だろ」
確かに夢だったけど、物凄くリアルだった。
「夢の中は未来でしたが、私たちは人魚の湖に行きますよね?もし、その時にレタフルという人魚がいたら……」
「未来で顔だけヨルクは、その人魚に乗り換えたんだな?だったら、そのレタフルって野郎がいたら本人に聞くしかないな」
そうだよね。夢のことだけで判断しても仕方ないけれど、本当にいたら怖い。ヨルクさんとは、どんな関係だったのだろう。やっぱり恋人かな。夢の内容が本当なら、ヨルクさんが心変わりした理由が知りたいのだけど、どうすればいいのだろう。
「ヨルクさんが心変わりした理由が知りたいです!」
「あんた、流石に焦りすぎ。明日はナヤセスとロォハの医師免許取得祝いだし、そもそも心変わりしたかなんて、その話だけでは判断し兼ねる。とにかく、あんたは明日のことだけ考えろ!顔だけヨルクは何だかんだで、ずっと、あんたを愛してきたんだ!」
そうは言われても、やっぱり気になってしまうのが乙女心。私はヨルクさんみたいに、いつまでも待てる人ではない。ヨルクさんの心が私から離れてしまえば私は他の人を好きになるかもしれない。それでも、ヨルクさんとはやっとの思いで恋人になれたのだから心変わりなんて絶対にいや。
「分かってるんですけど……」
「もうすぐ夕飯だから第4居間行くぞ」
あれ、部屋で食べないのだろうか。私は落ち武者さんに言われるまま第4居間に向かった。
第4居間では、何故か過半数のメンバーが集まっていた。
「あ、皆さん、いらしてたんですね」
「やっぱり、紀元前村の暮らしの名残が残っちゃって」
セナ王女、あれからミナクさんとはどうなったのだろう。ミナクさんはナナミお姉様と話しているけれど、ミナクさんとセナ王女のその後の恋愛事情全く知らないや。
「あー、ですよね」
「ナミネ、銀のリンゴはヨルクが持ってて、金のリンゴ1つはセナ王女、もう1つは私が持ってるけど、それでいいかしら?」
そういえば、病気を治すリンゴもらったんだっけ。
「はい、それで構いません」
あんな夢を見ただけにヨルクさんが同じ空間にいると気まずい。
「あの、この中でレタフルという人魚を知っている方いますか?」
「名前は知ってるけど、それ以上知りたかったら2人で話してくれる?」
って、実在してるの!?凄く怖いけど聞くしかない!
「はい、お願いします」
私とアルフォンス王子は第4居間を出て適当な客間に向かった。
客間に入ると、お互い座布団に座った。
この時、別の客間でラルクが闇の結界をかけて、落ち武者さんとヨルクさんが私とアルフォンス王子の話を盗み聞きしていることは全く知らなかったのである。
結界なんて遠い昔に消滅したのに、また復活するなんて思ってなかった。結界があると有利な面、盗み聞きし放題な気がして微妙な気持ちだ。
「レタフルとはカナエと出会った後に人魚の湖で知り合った。ひと目見るなり恋に落ち、私は毎日人魚の湖に通うようになっていた。そのうちにレタフルと両想いになってカナエに別れを告げた。レタフルと知り合ってからは何度転生してもカナエがどうしても2番になってしまって、今でもレタフルを忘れられずにいる」
人物を変えれば私が見た夢そのまんまだ。人魚の湖にいるだなんて会うのめちゃくちゃ気まずい。けれど、会ってレタフルさんからも話を聞かないと。
「そうでしたか。アルフォンス王子にそのような過去があったとは知りませんでした。どうして今はレタフルさんとは交際していないのですか?」
「私とレタフルは確かに愛し合っていた。けれど、ある日、レタフルは理由も言わず私に別れを告げた。私は何度も人魚の湖に行ったけれど、取り合ってもらえず、現世ではまたカナエと交際していたけど、レタフルのことがどうしても忘れられず、カナエとは上手くいかなかった」
そうだったのか。カナエさんを超える好きな人がアルフォンス王子にいたというわけか。そして、その想いは今でも続いている。
「そうでしたか。あの、レタフルさんて他に交際していた人とかいますか?例えばヨルクさんとか」
「ヨルクではないが、大昔に大恋愛した男がいるとは聞いていた」
「もしかして、レタフルさんて、人間になったりします?」
「ああ、2週間に一度人間になる。私は毎週レタフルが人間になる日を心待ちしていた。レタフルが人間になった夜は朝まで愛し合った」
やっぱり人間になるんだ!私が見た夢、ただの夢じゃないかもしれない。
「私、夢を見たんです。未来の夢でした。ヨルクさんと交際していたのに、ヨルクさんはレタフルさんに心変わりするんです。そのレタフルさんがまさか実在していただなんて、とてもじゃないけど受け入れがたいです」
「そうであったか。未来となると正夢の可能性もあるな。どれだけ愛し合っていても、時が経てば、その人以上に好きになる人も出てくる。ヨルクはどうか分からないが、少なくとも私は、この世で最も美しいのはカナエだと思っていた。けれど、レタフルに会って、その思いは打ち砕かれた。好きで好きでたまらなくて、ずっと一緒にいても飽きるどころか幸せで、出来ることならレタフルが私をフッた理由を知りたい」
カナエさんではなくレタフルさんか。ヨルクさんも、いつか私より好きな人が出来るのかな。
実在なんてして欲しくなかった。けれど、実在していたと聞いたからには、レタフルさんから聞き出せるだけのことは聞き出さないと。
「近いうちに人魚の湖に行くので、レタフルさんとちゃんと話し合ったほうがいいと思います。私もレタフルさんには聞きたいことがたくさんありますので」
「そうだな。随分と時代は流れた。久々に行くなら、あの時のことを全て話し合おうと思う」
人魚の湖行きは私とアルフォンス王子にとっては、精神的かなりダメージを抱くかもしれない。正直、今から気が重たい。けれど、もしかするとアルフォンス王子とレタフルさんの復縁もあるかもしれない。ヨルクさんはレタフルさんを見たらどう思うだろう。
話が終わると私とアルフォンス王子は再び第4居間に戻って行った。
第4居間に入ると、ミナクさんの風俗通いがセナ王女にバレ、セナ王女はミナクさんを責めながらミナクさんを殴り付けていた。メンバーでいると、いつも騒がしい。けれど、1人よりかはきっとマシだ。
そういえば、ミナクさん、妖精村に戻って来てからナナミお姉様の部屋にしょっちゅう出入りしている。
ううん、今はそんなことよりレタフルさんとヨルクさんが本当に恋愛していたかどうかだ。
「強気なナミネ、見ろよ。ラハルが編集した紀元前村での動画が放送されてるぜ」
私はテレビに目を向けた。私たちのサバイバル生活が映っている。
「本当ですね。少しでも多くの人がこれを見て、蓮華町も現代の暮らしが出来るようになるといいですよね」
こんなふうに紀元前村でのサバイバルの映像をみると、私たちが紀元前村に行ったことも無駄ではなかったと思える。私たちが、あの場所で必死に生きたことが大勢の人に伝わってほしい。
「ナミネ、下着変えた?前のはもう着ないの?」
え、どうして今聞くの?いくら彼氏だからってサイズ変わったこと教える必要があるのだろうか。ヨルクさんて、どうしてこんなにデリカシーがないの。
「はい」
「そっか。小さいサイズ売ってるお店見付けたから今度行こうね」
小さいサイズ?ワンサイズ大きくなったのに、どうして気付いてくれないの?ヨルクさんは私と一緒にお風呂入ってても何も思わないのだろうか。結局胸の大きな綺麗な人にしか興味ないのだろう。レタフルさんのこともあるし、私は気分を害していた。
「ヨルクさん、セクハラです!」
私は泣きながら第4居間を出て部屋に戻って行った。
……
あとがき。
古代編でもそうでしたが、やはり紀元前村のサバイバルが終わると気が抜けて、スランプに陥ってしまいました。
けれど、小説は書きたいので、更新遅れてでもゆっくり書いていきたいなあと思っています。
この小説は出来るだけ長く続けたいです。
続けられるかな。
……
この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
PR