日常のこととかオリジナル小説のこととか。
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ashita
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地主(土地貸してます)
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漫画やアニメを見るのが好きです。最推しはフーディーニ ♡
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ブログ、もう書かないと思ってました。
けれど、去年から書き始めた小説によって、過去に書いてた小説も書き始め、ここに載せることにしたのです。
小説は、主に『時間と時間を繋ぐ恋の物語』と『妖精村と愉快な仲間たち』をメインに書いています。
現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。
純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。
元々このブログは病気の記録用として立ち上げたものですが、小説載せるようになってからは、ここは出来るだけ趣味的なことを綴りたいと思っております。
病気の記録や様々な思いを綴るブログは移転済みなのです。
ただ、今は日記は個人的な徒然、或いはお知らせとして綴ることが多いかと思います。
小説、ぼちぼちマイペースに書いてゆきます。
よろしくお願い致します。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
お知らせ。
イラストは現在「ナノハナ家の日常」に載せております。サイドバーにリンクあります。
また、「カラクリよろずや」にて無料のフリーイラスト素材配布もはじめました✩.*˚
フリーイラスト素材も増やしていく予定です(*'ᴗ'*)
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
模倣・無断転載などは、ご遠慮ください。
ブログの小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
小説・純愛偏差値に関しましては、武家名・貴族名(程度による) / 及び、武官の階級 / 扇子・羽子板・花札・百人一首・紙飛行機などのアイテム使用方法の模倣の一切を禁じております。
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X @kigenzen1874
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けれど、去年から書き始めた小説によって、過去に書いてた小説も書き始め、ここに載せることにしたのです。
小説は、主に『時間と時間を繋ぐ恋の物語』と『妖精村と愉快な仲間たち』をメインに書いています。
現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。
純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。
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〈資格履歴〉
2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2010年02月10日
→セルフ・カウンセリング
ステップ2 合格
2011年05月28日
→セルフ・カウンセリング
指導講師資格審査 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年01月20日
→鉛筆デッサンマスター 合格
→絵画インストラクター 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
→茶道アドバイザー 合格
→お点前インストラクター 合格
2025年04月17日
→着物マイスター 合格
→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
→サイキックアドバイザー 合格
→サイキックヒーラー 合格
2025年07月01日
→アンガーカウンセラー 合格
→アンガーコントロール士 合格
2025年08月04日
→漢方コーディネーター 合格
→薬膳調整師 合格
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〈資格証明バナー〉

2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2010年02月10日
→セルフ・カウンセリング
ステップ2 合格
2011年05月28日
→セルフ・カウンセリング
指導講師資格審査 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年01月20日
→鉛筆デッサンマスター 合格
→絵画インストラクター 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
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→お点前インストラクター 合格
2025年04月17日
→着物マイスター 合格
→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
→サイキックアドバイザー 合格
→サイキックヒーラー 合格
2025年07月01日
→アンガーカウンセラー 合格
→アンガーコントロール士 合格
2025年08月04日
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〈資格証明バナー〉

純愛偏差値 未来編 一人称版 95話
《ヨルク》
私は人魚の湖で1枚の写真にショックを受け、勢いでナミネに別れを告げてしまった。ナミネはすがることなく、私の別れを受け入れてしまったのである。
その後、キクリ家の庭ではアヤネさんが、ラァナさんとミドリさんの過去を打ち明け、ナミネは正気を失ってしまった。
私は何も出来なかった。セリルさんがいなかったら、ナミネはアヤネさんに酷い暴力を奮っていたかもしれない。
アヤネさんとは仲良くなれると思っていたのに、紀元前村から、みんなとの関係が変わってしまったようにも思う。
キクリ家に来るのは久しぶりだ。ここも昔と変わっていないな。
ナミネと2人きりの客間。何だか気まずい。けれど、ちゃんと誤解解かないと。
「ヨルクさん、お腹すきました」
「あ、うん、今夜食作ってくるね」
私が立ち上がろうとしたら、ナミネは私の袖を掴んだ。
「ヨルクさん、もう別れるなんて言わないでください。私、ヨルクさんに捨てられたら生きていけません」
「絶対言わない!ごめんね、ナミネ」
私はナミネを抱き締めた。
どうして、あの時、たかがあの写真1枚で混乱したのだろう。ナミネだって私のことしか見てないのに。
「ヨルクさん、トイレに行きたいです」
「うん、分かった。私も行く」
私はナミネのポーチを持って外のトイレにナミネを連れて行った。
ナミネが出てくると、またビニール袋を持っていた。
「また汚してしまいました」
「ナミネ、まだ生理多いの?」
「はい」
「分かった。汚したのは洗っておくね」
私はナミネからビニール袋を受け取った。
家の中に入るとルリコさんがいた。あまりに久しぶりだから一瞬誰か分からなかった。
「お風呂が湧いております」
「入ってもいいのですか?」
「はい、この非常事態ゆえ、第1母屋の管理を任されております」
「なんか、大勢で押しかけてすみません」
ルリコさん、全然変わってない。
「ルリコさん、お久しぶりです。元気でしたか?」
「お久しぶりです、ナミネお嬢様。カラルリ坊っちゃまの様子がずっとおかしく心を病んでおります」
カラルリさんは、失恋してから、ずっとああだ。
「カラルリさんは、もうセナ王女を愛していた時のカラルリさんではありません」
「あの日、中絶薬を盛ったのは私です。カラルリ坊っちゃまには大学まで行って欲しかったのです。中卒では就職なんて殆どありません。妊娠1つで人生を台無しにして欲しくなかったです」
ルリコさんだったのか。けれど、今更話したところで、セナ王女の心はもうカラルリさんにはないだろう。
「ルリコ、あんた、自分のしたこと分かっているのか?」
落ち武者さん、エルナ。第3居間にいるかと思ってた。
「私はカラルリ坊っちゃまの世話係です。カラルリ坊っちゃまを中卒で働かせるわけにはいきません」
「だったら、人殺してもいいのかよ?」
「本当に愛し合っているなら、結婚後、子供は作ればいいだけの話です。お風呂が冷めてしまいますよ」
「あ、入ってきます。ナミネ、私が戻るまで、さっきの部屋にいるんだよ」
「はい」
ナミネを置いて行くのは不安だったが私は、お風呂に向かった。
五右衛門風呂。
まだあったんだな。出来ればナミネと入りたかった。昔はラルクとナミネと入っていた。
紀元前村に、妖精村の停電で、なかなかナミネと2人になれる機会がない。ナミネは、色んな人と恋愛して来たかもしれないけど、やっぱり私にはナミネしかいない。もう二度とナミネを突き放したりしない。私がいないと、ナミネのお世話をする人がいなくなってしまう。私はどこまでもナミネのお世話をし続けたい。
私はナミネの汚した下着に少しの水と石鹸を付けて、またビニール袋に入れた。明日タライでまとめて洗おう。
私は髪と身体を洗って、お風呂を出た。
客間を開けるとナミネはいなかった。私は荷物を置いて浴衣のままナミネを探した。
歩いていると第1居間から物音がする。私は恐る恐る第1居間の扉を開けた。すると、セナ王女が泣きながら暴れていた。こうなると誰も止められない。
「どうして、どうして、私の子供殺したのよ!犯人があなただと分かっていれば、カラルリと別れたりしなかったわ!」
ルリコさんは、セナ王女からずっと殴られ続けている。カナコさんとレイカさんが止めようとしても近づくことさえ出来ない。ルリコさんが気絶するたび、セナ王女はルリコさんに水をかけて起こした。
「ねえ、落ち武者さん、どうして余計なことしたの?」
「は?余計なこと?無断で食事に盛るとか犯罪だろ!この後、警察に突き出す」
「待って!ルリコは、キクリ家に必要な人間なの!」
ナミネもいる。ラルクの隣りに。この状況下はナミネにもよくないし、早くここからナミネを連れ出さないと。
「私もいやだな。好きな男の子供妊娠して、それを赤の他人に中絶薬なんて盛られたりしたら。中絶薬って普通は病院で処方してもらうものだし、相手の許可なく盛れば、やっぱり犯罪だよ。いくら学生だからって、他人の決めることじゃないと思う。人の命を殺めるかなんて。そんなの当人同士が決めることだよ。ルリコさんは立派な人殺しでしかないと私は思う」
ナミネ、ナミネが妊娠したら、私はナミネもナミネのお腹の子供も必死に守り通す。ナノハナ家でナミネのこと見てるし、少々休学しても復学したら、遅れはあっても普通に学べるし。
「そうだね。僕もルリコさんは、決してやってはいけないことをしたと思うよ。カラルリが望んだことじゃない。カラルリは悩んでた。その悩みの種を殺人という形で他人が終わらせて、今、カラルリはどんな状況かな?ルリコさん、あなたがカラルリの幸せを奪ったのですよ」
セリルさんもルリコさんの肩は持たない。化学流産とはいえ、そこに人の手が加われば殺人ということか。それに時期的にセナ王女の妊娠発覚から、キクリ家での食事まで期間はあった。着床していたなら、もう立派な殺人だ。
「僕もルリコさんは殺人を犯したと思います。そんなルリコさんを何もなかったかのようにキクリ家で働かせていたのは、これはもう犯人蔵匿罪として、キクリ家も罪に問われる問題かと。ルリコさんは、一度でもセナ王女の子供のお墓参りに行ったんですか?カラルリ先輩の将来が安泰なら周りのことは、どうでも良かったんじゃないですか?その判断がカラルリさんの将来を、セナ王女との関係を壊してしまったんです。僕たちがここにいる以上、誰かが通報しないと、ここにいる全員が、いずれは重要参考人として事情聴取されるでしょう」
確かに、ここを拠点として、しばらく滞在するなら、私たちも重要参考人となる。まだ時効も過ぎてないし、そもそも殺人に時効はなくなった。もう一昔前ではないのだ。
「セナさん、通報するから、もう暴力はやめて!法で裁いてもらえばいいのよ!このルリコって使用人には懲役がつくわ。刑務所で苦しめばいいのよ」
「じゃ、紙飛行機飛ばす」
その時、カナミさんが落ち武者さんを阻止しようとして、返り討ちにあった。
「あんた、弱い。僕に勝てるとでも思ったわけ?あんたごと皇室に飛ばしてやろうか?」
「待って!分かった、もう阻止はしない」
カナミさんは落ち武者さんには適わないと諦めた。
「ねえ、みんな、犯罪がどうこう言ってるけど、ルリコさんを通報するかは、セナ王女とカラルリ、もしくはキクリ家が決めることじゃないかな?他人が首を突っ込むことではないと思う」
確かにナノハさんの言う通りかもしれない。匿っているのは、このキクリ家なわけだし。
「僕もナノハお姉様の言うように、当事者でもないのに他人が首を突っ込む問題ではないと思うよ」
やはり、ナルホさんもそう出るか。
「お言葉ですが、ナルホお兄様。セナ王女が救急で病院にかかる時、私やラルクもいました。仲間は他人ですか?もし、ナルホお兄様の大切な人が同じ目にあっても他人ですか?」
「ナミネ、それは飛躍してるよね。いくらナミネがセナ王女の病院に付き添っても、ナミネは当事者じゃないんだよ」
また、ナミネの目が紫色になっている。
「ねえ、ラァナやレイカさんは、今回の件、どう思うかしら?」
あれ、ミドリさんは以前のようにオドオドしていない。気のせいだろうか。
「私は、ここでルリコさんを見過ごしたら、またルリコさんは同じことすると思う。他人のことだからって声もあるけど、私は犯罪者が野放しになるのは怖いし、そういうのいけないと思うの。誰も通報しないなら、私が交番に行く」
ラァナさんも過去に何かあったみたいだけど、やはり、それが原因で犯人と位置付けされる人物を恐れているのだろうか。
「カナコ、悪いけどルリコは、もうキクリ家の使用人ではなく、殺人者よ。いくら有能な人でも人を殺せば匿っちゃいけないのよ」
リーダーとも言えるレイカさんの答えがハッキリした。
「私も同じよ。ナノハは、他人って言ってるけど、その言葉がラァナを脅かすの。他人ならラァナが苦しんでいいのかな?犯人が野放しされるほどに、怯える人はたくさんいるの!」
「酷い言い方するのね。私が何かした?ミドリお姉様はいつもそう。長女だからって下の人間を支配する」
あれ、ナノハナ家を仕切っているのはナノハさんなのではないのだろうか。そもそも、ミドリさんは引っ込み思案な気がする。
「あはは、イジワルされた同士慰め合って滑稽」
その瞬間、カナコさんがアヤネさんを蹴り飛ばした。急所に当てたか。アヤネさんは凄い悲鳴をあげた。
「カナコさん、暴力はやめてください!」
セリルさんは必死でカナコさんを止めている。
「なあ、重要な話してるんだから、アヤネは黙っててくれないか?」
「あら、貧乏人の二軍女子。顔もブスだし、パパ活三昧。お金あげましょうか?」
「私は慣れてるから何言われてもいいけど、言われていやな人間もいるって、アヤネは分からないのか?」
ロォラさんって気が強い。更に気の強いズームさんと一緒になれば将来……。
「セナ王女、これが最後の質問です。皆さんの意見の間を取って、セナ王女本人に決めてもらいます。死んだ人は生き返りませんが、でも、セナ王女を陥れたルリコさんを、どうしたいのか、正確に言葉にしてもらえませんか?」
ナミネ、それを聞いてどうするのだろう。
「私は、ずっとカラルリが仕組んだことだと、どうにも出来ないと思い、別れることを決意した。けれど、カラルリが何も知らなかったのならカラルリに罪はないと思う。でも、ルリコさんのことは許せない。遠い昔から私を嫌っていたみたいだけど、よもや殺人なんて絶対私は許さない。ルリコさんには体重200キロの激ブサ武官の妾となって、毎日の拷問、無期懲役、7つ先までの来世は不細工に生まれニートとなって不幸になってほしい」
あまりにも重たい刑だな。それでも、セナ王女がそう思うなら、誰も口出しは出来ない。
「甘えセナ、あんた勘違いしてないか?僕はただ、このクソルリコを通報すると言っただけで、あんたの希望は聞いてないけど?」
「落ち武者さんは黙っていてください!セナ王女、それだけですか?」
ナミネのこの余裕はどこから出ているのだろう。強い番人でもいるのだろうか。
「ええ、私の子はもう帰って来ないから、だからせめてルリコさんにはそれ相応の罰を与えてほしい」
「セナ王女の子供なら、もしかしたら天界にいるかもしれません。セナ王女の気持ち次第ですが、カラルリさんと復縁して月に1度会いに行くのもいいかもしれませんね。では、セナ王女の言った通りの罰をルリコさんには受けてもらいます」
「待って!病院に運ばれた時、セナ王女は着床してたの?してなかったら、殺人罪は成立しないから!」
私は咄嗟に事実確認を求めた。
「してたんだよ!甘えセナは妊娠してたんだよ!だから、こうやって、みんなが自分の身勝手な意見してんだろうが!」
して……たのか。てっきり化学流産かと思い込んでいた。あの時、既にセナ王女の中には胎嚢が存在したんだ。
「セナ王女本人が決めたわ。これでも不服?ナノハ?ナルホ?
ナノハ、あなたはセリルに会って心理学の道を歩んだけど、才能がなくって、いつも自暴自棄になってたわね、ナクリのように。裏で何してたのかしらね?近年、犯罪者を野放しにしたことで二次被害が起きているのよ。あなたは自分さえよければいい人間ね」
ミドリさん、いつからこんなにも強気になったのだろう。カナコさんのグループに入れてもらったからだろうか。
「酷いわ……。私のことそんなふうに思っていたのね」
ナノハさんは、珍しく泣きはじめた。私は咄嗟にナノハさんに駆け寄った。
「ナノハさん、泣かないでください。ナノハさんは私が辛い時、いつも慰めてくれました。私はそんなナノハさんが大好きなんです」
「ヨルク……」
ナノハさんは私を抱き締めた。やっぱり大学生の身体は大きい。中学生の私からしたら、ナノハさんは大人だ。
「強気なナミネ、1回だけ言う。僕は、ただ殺人犯したクソルリコを通報するだけで、妾だの拷問だの来世が不幸だの望んでないからね?強気なナミネ、いくら甘えセナの言うことでも、その通りにするのはやり過ぎだ!」
「そうですか。では、私は何もしませんので、ご自分で思うような内容の紙飛行機を飛ばしてください」
ナミネは急に素知らぬ顔をした。
「じゃ、飛ばす」
落ち武者さんは皇室に紙飛行機を飛ばした。
数分後、返事が来た。落ち武者さんは紙飛行機を開けた。私は横目で落ち武者さんの返事を見た。
『ルリコを不問に処する』
どうしてだ。ルリコさんがしたことは決してしてはいけないこと。それなのに、どうして皇帝陛下は不問にするのだろう。
「あ、みんな今更だけど。殺人罪ではないからね。不同意堕胎罪だよ。懲役も半年から7年と、そこまで長くはなく、無期懲役とまではいかないんだよね」
突然のナヤセスさんの言葉に、みんな、それぞれが焦っていたことを思わせられた。言われてみれば、外に出てきてないのなら殺人罪は成立しない。セナ王女のお腹の子供の命が奪われてしまったから殺人と錯覚してしまっていたのかもしれない。
人は、多数の言葉に惑わされる生き物だ。私もその1人なのだろう。
「はい、これでルリコさんは不問になりました。よかったですね、ナルホお兄様。ご自分の思い通りになって。普段ストレス溜め込んでるの見え見えですよ。で、落ち武者さんが仕切られたのですから、この結果で幕を閉じるとしますか。ルリコさん〜まだここにいていいそうですよ〜!」
「強気なナミネ、あんた何した?」
落ち武者さん、かなり怒っている。
「何もしていません。落ち武者さんの説得力のなさでしょう。私を疑う前に、皇室に理由を聞いてはいかがでしょうか?」
「あんたが何もしてないなら、もういい」
「落ち武者さん、私が飛ばすから落ち込まないで」
その時、メンバーたちが突然紙飛行機を飛ばしはじめた。
数分後、返事は来るものの、どれもルリコさんを不問にする内容だった。いや、ラルクのだけ違う。
「落ち武者さん、これが限界です」
ラルクは落ち武者さんに文を見せた。
『ルリコを皇室で1日の初級武官による1時間の拷問に処する』
「ダメだ。全然罰になってない。これじゃ、不問と同じだ」
「落ち武者さん、私が紙飛行機飛ばすから待ってて」
私は皇室に向けて紙飛行機を飛ばした。
数分後、返事が来た。私は紙飛行機を開いた。
『ルリコを、懲役2年に処する』
まともなのが返ってきた。
「いつも、何の能力もないアンタが人を動かすんだな」
「うーん、でも、みんなのも不問ばっかだったし」
落ち武者さん、かなり落ち込んでいる。どうしたらいいのだろう。ラルクの文でさえ、1日限りの罰則なのに。
「セナ王女、懲役2年となりましたが、問題ないですか?」
「みんな、どうして私の問題に首突っ込むのよ!懲役2年だなんて、認められないわ!ナミネ……礼は弾む。だから……」
「皆さん分かりましたか?これは皆さんの意思で決める問題ではありません!セナ王女、自ら意見をする問題です!それを、我がごとのように勝手な真似をして、不問ばかりじゃないですか!皇帝陛下を動かすのは人の真心です!上辺だけの内容で皇帝陛下は動きません!私は本人が意見するべきだと思いますので、セナ王女の意見を尊重します!」
ナミネは紙飛行機を皇室に飛ばした。
数分後、返事が来た。ナミネは紙飛行機を開いた。
『ルリコは体重200キロの不細工な武官の妾となって、毎日の拷問、無期懲役、7つ先までの来世は不細工に生まれニートとなり不幸になる処分を下す』
何故だ。何故、ナミネが飛ばしたらセナ王女の言う通りになるのだ。
「アヤネがナミネを怒らせたから、キクリ家の問題がめちゃくちゃになったじゃないですか!」
その時、カナナさんがアヤネさんを殴り付けた。
「強い人怒らせて、他人の家めちゃくちゃにして気は済んだかしら?」
「暴力はやめてください!お父様に言いつけますよ!」
「へえ、今度は権力。だったら、私はアヤネの敵にまわる。ロリハー家とブランケット家、強いのはどっちかな?」
「卑怯です!みんなしてどうして私のみをイジメるんですか!」
そうか、アヤネさんがラァナさんとミドリさんの過去を嘲笑ったから、ナミネは内心激怒してるんだ。
「カナエや、この家の人が怒るのも分かるけど、セナ王女がセナ王女の意思を伝えた結果なんだから、呑むしかないんじゃないか?」
「ルリコの件は、これで終わり。セナ王女の意思なら何も言えない。でも、ラァナとミドリを侮辱したアヤネのことは今から話し合うわ」
カナコさんが、ルリコさんを切った。皇帝陛下の決断は絶対だ。セナ王女が、そこまで苦しむなら誰も何も言えない。
「助けてください!私はカラルリ坊っちゃまのことを思ってしたまでです!このような罰を受けるなら今すぐ死にます!」
「どうぞどうぞ、死にたい人は好きにしてください」
ラルクはため息をついた。
「本来なら単独で動いたナミネを問うべきことでしょうけど、ナミネが一度怒れば終始つきません。ヨルクお兄様の返事の処分でよかったものの、あえてめちゃくちゃにして。加害者にも加害者側のそれ相応の処分というものがあるんですよ。アヤネ先輩、あなたがしでかしたことなので、全てあなたが元に戻してください。この拗れた人間関係を」
「どうしてイジメるんですか!」
「ハッキリ言って僕も胸糞悪いね?懲役2年でいいものを、それ以上の罰にするほど、強気なナミネ怒らせて、アンタ何様だ!天然ラァナ傷付けた落とし前はつけてもらうから!」
落ち武者さんとラァナさんはお隣さんだっけ。落ち武者さんが帰ってきた時には、ラァナさんは、どん底から復帰していた感じなのだろうか。
「ラルク、ごめん!私、ミドリお姉様侮辱されて、また前見えてなかったよ」
「ナミネのせいじゃない。人を怒らせて、冷静さを奪って嘲笑うアヤネ先輩が悪い!」
ラルクとナミネは抱き締め合った。正直ナミネの彼氏としてこういうのを見るのは辛い。
「セナさん、本当にごめん!私は月に1度、私たちの子供に会いに行く。女神の湖に」
私はカラルリさんが完全に白とは思っていない。女神の湖にいるのなら、育てなくていいから、何も背負わなくていいから楽だろう。
「カラルリ……私、もう一度カラルリと交際する」
この時の私は何も知らなかった。ナミネが飛ばした紙飛行機にミドリさんの刻印が押されていたことを。ミドリさんはナミネの紙飛行機に刻印を押すために、わざとナノハさんを挑発したことを。
……
あとがき。
セリルが適わない人が2人も出てきてしまった。
現世では最強なはずのセリルが、ズームとミドリには適わない。
けれど、ナミネが不本意に怒れば怒るほど、ミドリの力が知られてしまうかもしれません。
キクリ家に集合しても、内容はとても悲しいです。
……
この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
《ヨルク》
私は人魚の湖で1枚の写真にショックを受け、勢いでナミネに別れを告げてしまった。ナミネはすがることなく、私の別れを受け入れてしまったのである。
その後、キクリ家の庭ではアヤネさんが、ラァナさんとミドリさんの過去を打ち明け、ナミネは正気を失ってしまった。
私は何も出来なかった。セリルさんがいなかったら、ナミネはアヤネさんに酷い暴力を奮っていたかもしれない。
アヤネさんとは仲良くなれると思っていたのに、紀元前村から、みんなとの関係が変わってしまったようにも思う。
キクリ家に来るのは久しぶりだ。ここも昔と変わっていないな。
ナミネと2人きりの客間。何だか気まずい。けれど、ちゃんと誤解解かないと。
「ヨルクさん、お腹すきました」
「あ、うん、今夜食作ってくるね」
私が立ち上がろうとしたら、ナミネは私の袖を掴んだ。
「ヨルクさん、もう別れるなんて言わないでください。私、ヨルクさんに捨てられたら生きていけません」
「絶対言わない!ごめんね、ナミネ」
私はナミネを抱き締めた。
どうして、あの時、たかがあの写真1枚で混乱したのだろう。ナミネだって私のことしか見てないのに。
「ヨルクさん、トイレに行きたいです」
「うん、分かった。私も行く」
私はナミネのポーチを持って外のトイレにナミネを連れて行った。
ナミネが出てくると、またビニール袋を持っていた。
「また汚してしまいました」
「ナミネ、まだ生理多いの?」
「はい」
「分かった。汚したのは洗っておくね」
私はナミネからビニール袋を受け取った。
家の中に入るとルリコさんがいた。あまりに久しぶりだから一瞬誰か分からなかった。
「お風呂が湧いております」
「入ってもいいのですか?」
「はい、この非常事態ゆえ、第1母屋の管理を任されております」
「なんか、大勢で押しかけてすみません」
ルリコさん、全然変わってない。
「ルリコさん、お久しぶりです。元気でしたか?」
「お久しぶりです、ナミネお嬢様。カラルリ坊っちゃまの様子がずっとおかしく心を病んでおります」
カラルリさんは、失恋してから、ずっとああだ。
「カラルリさんは、もうセナ王女を愛していた時のカラルリさんではありません」
「あの日、中絶薬を盛ったのは私です。カラルリ坊っちゃまには大学まで行って欲しかったのです。中卒では就職なんて殆どありません。妊娠1つで人生を台無しにして欲しくなかったです」
ルリコさんだったのか。けれど、今更話したところで、セナ王女の心はもうカラルリさんにはないだろう。
「ルリコ、あんた、自分のしたこと分かっているのか?」
落ち武者さん、エルナ。第3居間にいるかと思ってた。
「私はカラルリ坊っちゃまの世話係です。カラルリ坊っちゃまを中卒で働かせるわけにはいきません」
「だったら、人殺してもいいのかよ?」
「本当に愛し合っているなら、結婚後、子供は作ればいいだけの話です。お風呂が冷めてしまいますよ」
「あ、入ってきます。ナミネ、私が戻るまで、さっきの部屋にいるんだよ」
「はい」
ナミネを置いて行くのは不安だったが私は、お風呂に向かった。
五右衛門風呂。
まだあったんだな。出来ればナミネと入りたかった。昔はラルクとナミネと入っていた。
紀元前村に、妖精村の停電で、なかなかナミネと2人になれる機会がない。ナミネは、色んな人と恋愛して来たかもしれないけど、やっぱり私にはナミネしかいない。もう二度とナミネを突き放したりしない。私がいないと、ナミネのお世話をする人がいなくなってしまう。私はどこまでもナミネのお世話をし続けたい。
私はナミネの汚した下着に少しの水と石鹸を付けて、またビニール袋に入れた。明日タライでまとめて洗おう。
私は髪と身体を洗って、お風呂を出た。
客間を開けるとナミネはいなかった。私は荷物を置いて浴衣のままナミネを探した。
歩いていると第1居間から物音がする。私は恐る恐る第1居間の扉を開けた。すると、セナ王女が泣きながら暴れていた。こうなると誰も止められない。
「どうして、どうして、私の子供殺したのよ!犯人があなただと分かっていれば、カラルリと別れたりしなかったわ!」
ルリコさんは、セナ王女からずっと殴られ続けている。カナコさんとレイカさんが止めようとしても近づくことさえ出来ない。ルリコさんが気絶するたび、セナ王女はルリコさんに水をかけて起こした。
「ねえ、落ち武者さん、どうして余計なことしたの?」
「は?余計なこと?無断で食事に盛るとか犯罪だろ!この後、警察に突き出す」
「待って!ルリコは、キクリ家に必要な人間なの!」
ナミネもいる。ラルクの隣りに。この状況下はナミネにもよくないし、早くここからナミネを連れ出さないと。
「私もいやだな。好きな男の子供妊娠して、それを赤の他人に中絶薬なんて盛られたりしたら。中絶薬って普通は病院で処方してもらうものだし、相手の許可なく盛れば、やっぱり犯罪だよ。いくら学生だからって、他人の決めることじゃないと思う。人の命を殺めるかなんて。そんなの当人同士が決めることだよ。ルリコさんは立派な人殺しでしかないと私は思う」
ナミネ、ナミネが妊娠したら、私はナミネもナミネのお腹の子供も必死に守り通す。ナノハナ家でナミネのこと見てるし、少々休学しても復学したら、遅れはあっても普通に学べるし。
「そうだね。僕もルリコさんは、決してやってはいけないことをしたと思うよ。カラルリが望んだことじゃない。カラルリは悩んでた。その悩みの種を殺人という形で他人が終わらせて、今、カラルリはどんな状況かな?ルリコさん、あなたがカラルリの幸せを奪ったのですよ」
セリルさんもルリコさんの肩は持たない。化学流産とはいえ、そこに人の手が加われば殺人ということか。それに時期的にセナ王女の妊娠発覚から、キクリ家での食事まで期間はあった。着床していたなら、もう立派な殺人だ。
「僕もルリコさんは殺人を犯したと思います。そんなルリコさんを何もなかったかのようにキクリ家で働かせていたのは、これはもう犯人蔵匿罪として、キクリ家も罪に問われる問題かと。ルリコさんは、一度でもセナ王女の子供のお墓参りに行ったんですか?カラルリ先輩の将来が安泰なら周りのことは、どうでも良かったんじゃないですか?その判断がカラルリさんの将来を、セナ王女との関係を壊してしまったんです。僕たちがここにいる以上、誰かが通報しないと、ここにいる全員が、いずれは重要参考人として事情聴取されるでしょう」
確かに、ここを拠点として、しばらく滞在するなら、私たちも重要参考人となる。まだ時効も過ぎてないし、そもそも殺人に時効はなくなった。もう一昔前ではないのだ。
「セナさん、通報するから、もう暴力はやめて!法で裁いてもらえばいいのよ!このルリコって使用人には懲役がつくわ。刑務所で苦しめばいいのよ」
「じゃ、紙飛行機飛ばす」
その時、カナミさんが落ち武者さんを阻止しようとして、返り討ちにあった。
「あんた、弱い。僕に勝てるとでも思ったわけ?あんたごと皇室に飛ばしてやろうか?」
「待って!分かった、もう阻止はしない」
カナミさんは落ち武者さんには適わないと諦めた。
「ねえ、みんな、犯罪がどうこう言ってるけど、ルリコさんを通報するかは、セナ王女とカラルリ、もしくはキクリ家が決めることじゃないかな?他人が首を突っ込むことではないと思う」
確かにナノハさんの言う通りかもしれない。匿っているのは、このキクリ家なわけだし。
「僕もナノハお姉様の言うように、当事者でもないのに他人が首を突っ込む問題ではないと思うよ」
やはり、ナルホさんもそう出るか。
「お言葉ですが、ナルホお兄様。セナ王女が救急で病院にかかる時、私やラルクもいました。仲間は他人ですか?もし、ナルホお兄様の大切な人が同じ目にあっても他人ですか?」
「ナミネ、それは飛躍してるよね。いくらナミネがセナ王女の病院に付き添っても、ナミネは当事者じゃないんだよ」
また、ナミネの目が紫色になっている。
「ねえ、ラァナやレイカさんは、今回の件、どう思うかしら?」
あれ、ミドリさんは以前のようにオドオドしていない。気のせいだろうか。
「私は、ここでルリコさんを見過ごしたら、またルリコさんは同じことすると思う。他人のことだからって声もあるけど、私は犯罪者が野放しになるのは怖いし、そういうのいけないと思うの。誰も通報しないなら、私が交番に行く」
ラァナさんも過去に何かあったみたいだけど、やはり、それが原因で犯人と位置付けされる人物を恐れているのだろうか。
「カナコ、悪いけどルリコは、もうキクリ家の使用人ではなく、殺人者よ。いくら有能な人でも人を殺せば匿っちゃいけないのよ」
リーダーとも言えるレイカさんの答えがハッキリした。
「私も同じよ。ナノハは、他人って言ってるけど、その言葉がラァナを脅かすの。他人ならラァナが苦しんでいいのかな?犯人が野放しされるほどに、怯える人はたくさんいるの!」
「酷い言い方するのね。私が何かした?ミドリお姉様はいつもそう。長女だからって下の人間を支配する」
あれ、ナノハナ家を仕切っているのはナノハさんなのではないのだろうか。そもそも、ミドリさんは引っ込み思案な気がする。
「あはは、イジワルされた同士慰め合って滑稽」
その瞬間、カナコさんがアヤネさんを蹴り飛ばした。急所に当てたか。アヤネさんは凄い悲鳴をあげた。
「カナコさん、暴力はやめてください!」
セリルさんは必死でカナコさんを止めている。
「なあ、重要な話してるんだから、アヤネは黙っててくれないか?」
「あら、貧乏人の二軍女子。顔もブスだし、パパ活三昧。お金あげましょうか?」
「私は慣れてるから何言われてもいいけど、言われていやな人間もいるって、アヤネは分からないのか?」
ロォラさんって気が強い。更に気の強いズームさんと一緒になれば将来……。
「セナ王女、これが最後の質問です。皆さんの意見の間を取って、セナ王女本人に決めてもらいます。死んだ人は生き返りませんが、でも、セナ王女を陥れたルリコさんを、どうしたいのか、正確に言葉にしてもらえませんか?」
ナミネ、それを聞いてどうするのだろう。
「私は、ずっとカラルリが仕組んだことだと、どうにも出来ないと思い、別れることを決意した。けれど、カラルリが何も知らなかったのならカラルリに罪はないと思う。でも、ルリコさんのことは許せない。遠い昔から私を嫌っていたみたいだけど、よもや殺人なんて絶対私は許さない。ルリコさんには体重200キロの激ブサ武官の妾となって、毎日の拷問、無期懲役、7つ先までの来世は不細工に生まれニートとなって不幸になってほしい」
あまりにも重たい刑だな。それでも、セナ王女がそう思うなら、誰も口出しは出来ない。
「甘えセナ、あんた勘違いしてないか?僕はただ、このクソルリコを通報すると言っただけで、あんたの希望は聞いてないけど?」
「落ち武者さんは黙っていてください!セナ王女、それだけですか?」
ナミネのこの余裕はどこから出ているのだろう。強い番人でもいるのだろうか。
「ええ、私の子はもう帰って来ないから、だからせめてルリコさんにはそれ相応の罰を与えてほしい」
「セナ王女の子供なら、もしかしたら天界にいるかもしれません。セナ王女の気持ち次第ですが、カラルリさんと復縁して月に1度会いに行くのもいいかもしれませんね。では、セナ王女の言った通りの罰をルリコさんには受けてもらいます」
「待って!病院に運ばれた時、セナ王女は着床してたの?してなかったら、殺人罪は成立しないから!」
私は咄嗟に事実確認を求めた。
「してたんだよ!甘えセナは妊娠してたんだよ!だから、こうやって、みんなが自分の身勝手な意見してんだろうが!」
して……たのか。てっきり化学流産かと思い込んでいた。あの時、既にセナ王女の中には胎嚢が存在したんだ。
「セナ王女本人が決めたわ。これでも不服?ナノハ?ナルホ?
ナノハ、あなたはセリルに会って心理学の道を歩んだけど、才能がなくって、いつも自暴自棄になってたわね、ナクリのように。裏で何してたのかしらね?近年、犯罪者を野放しにしたことで二次被害が起きているのよ。あなたは自分さえよければいい人間ね」
ミドリさん、いつからこんなにも強気になったのだろう。カナコさんのグループに入れてもらったからだろうか。
「酷いわ……。私のことそんなふうに思っていたのね」
ナノハさんは、珍しく泣きはじめた。私は咄嗟にナノハさんに駆け寄った。
「ナノハさん、泣かないでください。ナノハさんは私が辛い時、いつも慰めてくれました。私はそんなナノハさんが大好きなんです」
「ヨルク……」
ナノハさんは私を抱き締めた。やっぱり大学生の身体は大きい。中学生の私からしたら、ナノハさんは大人だ。
「強気なナミネ、1回だけ言う。僕は、ただ殺人犯したクソルリコを通報するだけで、妾だの拷問だの来世が不幸だの望んでないからね?強気なナミネ、いくら甘えセナの言うことでも、その通りにするのはやり過ぎだ!」
「そうですか。では、私は何もしませんので、ご自分で思うような内容の紙飛行機を飛ばしてください」
ナミネは急に素知らぬ顔をした。
「じゃ、飛ばす」
落ち武者さんは皇室に紙飛行機を飛ばした。
数分後、返事が来た。落ち武者さんは紙飛行機を開けた。私は横目で落ち武者さんの返事を見た。
『ルリコを不問に処する』
どうしてだ。ルリコさんがしたことは決してしてはいけないこと。それなのに、どうして皇帝陛下は不問にするのだろう。
「あ、みんな今更だけど。殺人罪ではないからね。不同意堕胎罪だよ。懲役も半年から7年と、そこまで長くはなく、無期懲役とまではいかないんだよね」
突然のナヤセスさんの言葉に、みんな、それぞれが焦っていたことを思わせられた。言われてみれば、外に出てきてないのなら殺人罪は成立しない。セナ王女のお腹の子供の命が奪われてしまったから殺人と錯覚してしまっていたのかもしれない。
人は、多数の言葉に惑わされる生き物だ。私もその1人なのだろう。
「はい、これでルリコさんは不問になりました。よかったですね、ナルホお兄様。ご自分の思い通りになって。普段ストレス溜め込んでるの見え見えですよ。で、落ち武者さんが仕切られたのですから、この結果で幕を閉じるとしますか。ルリコさん〜まだここにいていいそうですよ〜!」
「強気なナミネ、あんた何した?」
落ち武者さん、かなり怒っている。
「何もしていません。落ち武者さんの説得力のなさでしょう。私を疑う前に、皇室に理由を聞いてはいかがでしょうか?」
「あんたが何もしてないなら、もういい」
「落ち武者さん、私が飛ばすから落ち込まないで」
その時、メンバーたちが突然紙飛行機を飛ばしはじめた。
数分後、返事は来るものの、どれもルリコさんを不問にする内容だった。いや、ラルクのだけ違う。
「落ち武者さん、これが限界です」
ラルクは落ち武者さんに文を見せた。
『ルリコを皇室で1日の初級武官による1時間の拷問に処する』
「ダメだ。全然罰になってない。これじゃ、不問と同じだ」
「落ち武者さん、私が紙飛行機飛ばすから待ってて」
私は皇室に向けて紙飛行機を飛ばした。
数分後、返事が来た。私は紙飛行機を開いた。
『ルリコを、懲役2年に処する』
まともなのが返ってきた。
「いつも、何の能力もないアンタが人を動かすんだな」
「うーん、でも、みんなのも不問ばっかだったし」
落ち武者さん、かなり落ち込んでいる。どうしたらいいのだろう。ラルクの文でさえ、1日限りの罰則なのに。
「セナ王女、懲役2年となりましたが、問題ないですか?」
「みんな、どうして私の問題に首突っ込むのよ!懲役2年だなんて、認められないわ!ナミネ……礼は弾む。だから……」
「皆さん分かりましたか?これは皆さんの意思で決める問題ではありません!セナ王女、自ら意見をする問題です!それを、我がごとのように勝手な真似をして、不問ばかりじゃないですか!皇帝陛下を動かすのは人の真心です!上辺だけの内容で皇帝陛下は動きません!私は本人が意見するべきだと思いますので、セナ王女の意見を尊重します!」
ナミネは紙飛行機を皇室に飛ばした。
数分後、返事が来た。ナミネは紙飛行機を開いた。
『ルリコは体重200キロの不細工な武官の妾となって、毎日の拷問、無期懲役、7つ先までの来世は不細工に生まれニートとなり不幸になる処分を下す』
何故だ。何故、ナミネが飛ばしたらセナ王女の言う通りになるのだ。
「アヤネがナミネを怒らせたから、キクリ家の問題がめちゃくちゃになったじゃないですか!」
その時、カナナさんがアヤネさんを殴り付けた。
「強い人怒らせて、他人の家めちゃくちゃにして気は済んだかしら?」
「暴力はやめてください!お父様に言いつけますよ!」
「へえ、今度は権力。だったら、私はアヤネの敵にまわる。ロリハー家とブランケット家、強いのはどっちかな?」
「卑怯です!みんなしてどうして私のみをイジメるんですか!」
そうか、アヤネさんがラァナさんとミドリさんの過去を嘲笑ったから、ナミネは内心激怒してるんだ。
「カナエや、この家の人が怒るのも分かるけど、セナ王女がセナ王女の意思を伝えた結果なんだから、呑むしかないんじゃないか?」
「ルリコの件は、これで終わり。セナ王女の意思なら何も言えない。でも、ラァナとミドリを侮辱したアヤネのことは今から話し合うわ」
カナコさんが、ルリコさんを切った。皇帝陛下の決断は絶対だ。セナ王女が、そこまで苦しむなら誰も何も言えない。
「助けてください!私はカラルリ坊っちゃまのことを思ってしたまでです!このような罰を受けるなら今すぐ死にます!」
「どうぞどうぞ、死にたい人は好きにしてください」
ラルクはため息をついた。
「本来なら単独で動いたナミネを問うべきことでしょうけど、ナミネが一度怒れば終始つきません。ヨルクお兄様の返事の処分でよかったものの、あえてめちゃくちゃにして。加害者にも加害者側のそれ相応の処分というものがあるんですよ。アヤネ先輩、あなたがしでかしたことなので、全てあなたが元に戻してください。この拗れた人間関係を」
「どうしてイジメるんですか!」
「ハッキリ言って僕も胸糞悪いね?懲役2年でいいものを、それ以上の罰にするほど、強気なナミネ怒らせて、アンタ何様だ!天然ラァナ傷付けた落とし前はつけてもらうから!」
落ち武者さんとラァナさんはお隣さんだっけ。落ち武者さんが帰ってきた時には、ラァナさんは、どん底から復帰していた感じなのだろうか。
「ラルク、ごめん!私、ミドリお姉様侮辱されて、また前見えてなかったよ」
「ナミネのせいじゃない。人を怒らせて、冷静さを奪って嘲笑うアヤネ先輩が悪い!」
ラルクとナミネは抱き締め合った。正直ナミネの彼氏としてこういうのを見るのは辛い。
「セナさん、本当にごめん!私は月に1度、私たちの子供に会いに行く。女神の湖に」
私はカラルリさんが完全に白とは思っていない。女神の湖にいるのなら、育てなくていいから、何も背負わなくていいから楽だろう。
「カラルリ……私、もう一度カラルリと交際する」
この時の私は何も知らなかった。ナミネが飛ばした紙飛行機にミドリさんの刻印が押されていたことを。ミドリさんはナミネの紙飛行機に刻印を押すために、わざとナノハさんを挑発したことを。
……
あとがき。
セリルが適わない人が2人も出てきてしまった。
現世では最強なはずのセリルが、ズームとミドリには適わない。
けれど、ナミネが不本意に怒れば怒るほど、ミドリの力が知られてしまうかもしれません。
キクリ家に集合しても、内容はとても悲しいです。
……
この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
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