日常のこととかオリジナル小説のこととか。
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ashita
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地主(土地貸してます)
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漫画やアニメを見るのが好きです。最推しはフーディーニ ♡
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ブログ、もう書かないと思ってました。
けれど、去年から書き始めた小説によって、過去に書いてた小説も書き始め、ここに載せることにしたのです。
小説は、主に『時間と時間を繋ぐ恋の物語』と『妖精村と愉快な仲間たち』をメインに書いています。
現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。
純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。
元々このブログは病気の記録用として立ち上げたものですが、小説載せるようになってからは、ここは出来るだけ趣味的なことを綴りたいと思っております。
病気の記録や様々な思いを綴るブログは移転済みなのです。
ただ、今は日記は個人的な徒然、或いはお知らせとして綴ることが多いかと思います。
小説、ぼちぼちマイペースに書いてゆきます。
よろしくお願い致します。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
お知らせ。
イラストは現在「ナノハナ家の日常」に載せております。サイドバーにリンクあります。
また、「カラクリよろずや」にて無料のフリーイラスト素材配布もはじめました✩.*˚
フリーイラスト素材も増やしていく予定です(*'ᴗ'*)
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
模倣・無断転載などは、ご遠慮ください。
ブログの小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
小説・純愛偏差値に関しましては、武家名・貴族名(程度による) / 及び、武官の階級 / 扇子・羽子板・花札・百人一首・紙飛行機などのアイテム使用方法の模倣の一切を禁じております。
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X @kigenzen1874
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けれど、去年から書き始めた小説によって、過去に書いてた小説も書き始め、ここに載せることにしたのです。
小説は、主に『時間と時間を繋ぐ恋の物語』と『妖精村と愉快な仲間たち』をメインに書いています。
現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。
純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。
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〈資格履歴〉
2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2010年02月10日
→セルフ・カウンセリング
ステップ2 合格
2011年05月28日
→セルフ・カウンセリング
指導講師資格審査 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年01月20日
→鉛筆デッサンマスター 合格
→絵画インストラクター 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
→茶道アドバイザー 合格
→お点前インストラクター 合格
2025年04月17日
→着物マイスター 合格
→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
→サイキックアドバイザー 合格
→サイキックヒーラー 合格
2025年07月01日
→アンガーカウンセラー 合格
→アンガーコントロール士 合格
2025年08月04日
→漢方コーディネーター 合格
→薬膳調整師 合格
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〈資格証明バナー〉

2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2010年02月10日
→セルフ・カウンセリング
ステップ2 合格
2011年05月28日
→セルフ・カウンセリング
指導講師資格審査 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年01月20日
→鉛筆デッサンマスター 合格
→絵画インストラクター 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
→茶道アドバイザー 合格
→お点前インストラクター 合格
2025年04月17日
→着物マイスター 合格
→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
→サイキックアドバイザー 合格
→サイキックヒーラー 合格
2025年07月01日
→アンガーカウンセラー 合格
→アンガーコントロール士 合格
2025年08月04日
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〈資格証明バナー〉

純愛偏差値 未来編 一人称版 96話
《ナミネ》
私は、すっかりアヤネさんに流されてしまっていた。ラルクだけは気付いている。逆にこれ以上、気付く人がいては困る。ミドリお姉様は、ただでさえ一度死んでいる。ここでミドリお姉様の力をみんなに知られてしまっては、ナノハお姉様の名誉も傷付けてしまうし、ミドリお姉様を狙う人ばかりになってしまう。気を付けなくては。
せっかく、ヨルクさんが懲役2年にしてくれたのに、それを変えてしまうだなんて。私は私を信じられなくなってしまっていた。
「お願いです、助けてください!」
すがるルリコさん……。けれど、あとの祭りだ。
「アンタ、鬱陶しいから消えろ」
落ち武者さんは、扇子でルリコさんをキクリ家から出した。外ではルリコさんの叫び声が聞こえる。私のせいとはいえ、めちゃくちゃ近所迷惑。
「どうして、みんなして私をイジメるんですか!」
「アンタ、なんで天然ラァナ傷付けた!」
ラァナさんと落ち武者さんは、お隣さんだった。落ち武者さん、ラァナさんに懐いているみたいだし。
「アヤネさん、いくら気に入らないことがあったとしても、このような形で人を傷付けてもいいのでしょうか?僕は理解しかねます」
「なあ、セリル。この場にいる全員にフェアリーングかけろ!」
それをしても、人のいやな本心を知ってしまうに過ぎない。今、アヤネさんの本心を知っても、もう誰も同情なんてしないだろう。
「僕は、あくまで話し合いに参加するだけで、それ以上のことはしないよ」
「セリル!アンタ、天然ラァナが笑い者にされてもいいのかよ!」
「人は全員平等にとまではいかない。けれど、どれだけ許せないことがあっても、アヤネを攻撃するほど、ラァナさんも苦しむよ」
私は平等だなんて思ったことさえない。結局、いつも余裕のある人間が勝者だ。アヤネさんは、公爵家に生まれて随分と楽して生きてきたのだろう。
「セリル、アンタ、ズームに出し抜かれてから億劫になってんじゃないのか?だったら、僕が……」
「せっかく生き返ったんだし、ズルエヌが、この場収めたら?」
ズルエヌさんは、時計騎士なのではないのだろうか?
「ではでは、皆さんはまだ、ここにいらっしゃるようなので……。
改めまして、僕はブランケット家のズルエヌです。
まず、何か言いたいことがある人はいますか?」
え、これ何?フェアリーングじゃない。何かわからないけど、全く解けない。
「あの日、ラァナを1人で帰らせるべきではなかった。今でも悔やんでる。セリルが発見したラァナは酷い姿だった。もし、誰かがラァナと一緒に帰っていれば……ラァナは自分で自分を縛ることなんてなかった」
カナコさん……。親友のラァナさんが、あんな目にあって、もう7年目。セリルさんが発見した時には無惨な姿で横たわっていたらしい。
「カナコさんは、自分を責めるほどラァナさんのことが好きなんだね。起きてしまった過去は変えられないけれど、大学に通ってるってことは、ラァナさんの時間が確実に進んでいる証拠なんじゃないかな?」
そうは言っても、あんな無惨な目にあって、全て忘れられるはずがない。そんなの……そんなの……。
「綺麗事です!ズルエヌさんは綺麗事で解決ですか?」
「どうして綺麗事だと思うのかな?」
どうしてって……。
「あんな無惨な形で発見されて、セリルさんが来るまでどれだけ怖かったか!大学に通っていてもラァナさんの闇は続いているんです!」
「闇はいけないことかな?」
何この人。ズームさんに似てないし、セリルさんみたいに平和的に解決してくれないじゃない。
「いけないとは思いません!でも、ないほうがいいに決まってるじゃないですか!」
「ナミネは闇のない人間を見たことがあるのかな?」
質問ばかり。ズルエヌさんって、人をイラつかせる。
「私が言っているのはそういうことではありません!誰だって闇はあります!けれど、トラウマを抱えるほど苦しむのはあってはならないでしょう!人は誰もが普通のラインで生きれたらって、私はそう思うんです!」
「もし、ナミネが思ってることを実現するには、ナミネがこの村を納めるくらいの力がないといけないよね」
何なの!めちゃくちゃ苛立つ。
「ただ、思ってるだけと言っているでしょう!私は実現するとまでは言っていません!そもそも、あなた何なんですか!失礼極まりないですね!私だって時計騎士の資格持ってます!あなたに負けません!」
「そっかそっか、頑張って取ったんだね。ズームがそうさせたのかな?じゃあ、せっかくだから、このストップウォッチで勝負しようか」
時計騎士ならストップウォッチを完璧に扱わなければならない。私だって試験には受かっている。ストップウォッチも何度も使った。
「分かりました!負けたら、あなたが失礼な人間であることを認めてください!」
「分かったよ。僕が負けたらね」
私はズルエヌさんからストップウォッチを受け取った。
え、何これ。ゼロの数が半端ない。試験でも、こんなの使ったことないよ。
「じゃあ、目をつむって60秒きっかりで止めてくれるかな」
「わ、分かりました」
同様してはダメだ。私だって正確に時刻を読み取れる!
「じゃあ、ズーム、10秒後に合図して」
私は目をつむった。
「分かりました」
そろそろだ。
「はじめ!」
私はストップウォッチを押した。1、2、3、4……10、11……21、22……34、35……46、47……52、53……57……今だ!私はストップウォッチを止めた。
「じゃあ目を開いて」
私は目を開いた。
え、嘘……。なんで……。
「強気なナミネ、60.002547614564521064321457612543!得体の知れないズルエヌ、60.000000000000000000000000000000!勝者、得体の知れないズルエヌ」
負けた。それも、物凄い差で。
「あ、あなた、何がしたいんですか!」
「人はね、得意不得意があるんだよ。僕やズームみたいに運動は苦手だけど時計騎士として時間に狂いのない仕事して来た人間もいれば、ナミネみたいに伝説最上級武官で運動のことなら1寸の狂いもない人間もいるよね。
要は、本人にしか分からないんだよ。これは、他者が意見をしてはいけないってことじゃなくて、その人が受けた痛みは本人にしか分からないんだ。だから、誰かの痛みを他者が無闇に位置付けちゃ、余計にその人のことが分からなくなるんだよ。
ナミネがラァナさんのことを位置付けしたのは、ナミネ自身の経験じゃないかな。人は自分が経験したこと以外は言葉に出来ないからね」
確かに、私は私の持論押し付けていたかもしれない。けれど、それは、その人のことが心配だからで……心配だからで……。それを安易に位置付けとか言われたら、こちらも気分が悪い。
「アドラー心理学ですか。確かに人は自分の経験したこと以外は言えません。知らないからです。けれど、無闇に位置付けと言いますが、それは、相手を思ってのことです!必ずしも相手の心に寄り添う必要はありませんよね。押し付けでも、お節介でも、それでも、伝えなければいけないこと、生きていたらたくさんありますよね?」
「誰の何を思ったのかな?」
「いや、だから、ラァナさんが7年前に無惨な状態で発見されて、それをカナコさんやレイカさんが自分を責めていることに対してです!」
今その話してたじゃない。いきなりストップウォッチ計らさせられたけど。元々はアヤネさんがラァナさんを侮辱したことを話し合ってるんじゃないの!
「本当にカナコさんやレイカさんは、ラァナさんが無惨な形で発見されたことに対して自責しているのかな?どうしてそう思うのかな?」
何この人。この人こそ、いったい何が言いたいの?
「だから、そう言っているじゃないですか!」
「発見されたことに対して。どうしてナミネはそう表現したのかな?1番怖いのは発見された時かな?」
そうか。私はミドリお姉様の死後の姿しか知らない。あまりにも無惨な姿すぎて、襲われている時のことなんて考えたことなかった。ミドリお姉様は、仏になってからではなく、襲われている時が1番怖かったんだ。
「私はミドリお姉様の死後の酷すぎる姿しか知りませんでしたから。ラァナさんも、発見された時はそうかと思ったんです。ミドリお姉様の時は、もう仏だったので襲われた時のことを考える余裕なんてありませんでした」
「やっと、冷静に話してくれたね。
ミドリが死んだ日、僕も死んだ。今でも刃物を見ると怖いよ。ミネスはナミネみたいに悲しんではくれないし。
ナミネ、人は表と裏があるんだよ。人を疑う時、人に対して苛立つ時は、冷静に話をしないと、その人のことを少しも知ることが出来ないんだよ。ナミネに欠けているのは、人を知ろうとする心かな」
そうかもしれない。おじいさんにも似たようなこと言われた。けれど、いくら頑張っても、やっぱり私は冷静さに欠けてしまう。私はズルエヌさんとは違う。
「でも、出来ないんです!
カンザシさんにヨルクさんとの幸せ壊されてから変な病気になるし、妖精村時代は全てヨルクさんとの青春を失いました。
だから、強くならなきゃって必死で……」
私はただ、ヨルクさんを失いたくなくて……。
「それでいいんだよ。出来ないことは出来ない。何の問題もないよ。
ナミネはヨルクとの青春守りたいんだよ。アヤネもそうなんじゃない?自分の踏み込んでほしくないところ、いっぱい踏み込まれて、かつてのナミネのように自分の心の居場所失ってるんじゃないかな?
許せないなら、それはそれで仕方ないけれど。何故人が悲しむのか、怒るのか、安心するのか。それは100人いれば100通りの答えがあるんだよ」
そういうことか。ここにいるメンバーが当たり前だろうことを当たり前と言うことで、みんなが、そんなふうに感じて、アヤネさんがメンバーから弾かれてしまったというわけか。
ズルエヌさんからしてみれば、ちゃんと話し合えば折り合えると言いたいのか。人の心は無数の線で絡まりあっている。自分とさえ折り合えないのに他者との諍いなんか、私にはどうにも出来ないよ。
あれ、最初の変な感じが再び起きている。
「そうですか。言い分は分かります。私だって、みんなと仲良くしたいです。大勢いるから、そこから少人数同士が仲良くするとかの理屈抜きで、仲良くしたいです。でも、私にとって最も大切なのはヨルクさんなんです!どうしても、いつも常にヨルクさんのことが気になって、周りのことが疎かになってしまうんです!そこに悪気はありません」
やだ、どうしてこんなこと言っちゃったの。
「僕も本音ではエルナとのこと、まだ答え出せてない。エルナが好きでたまらない。でも、強気なナミネのことも好き。強気なナミネが傷付けられたら、相手許せない」
あれ、ナノハナ家でも、落ち武者さん私のこと好きって言ってた。あの時は嘘と思って相手にしなかったけど。でも、どうなってるの。
「カナエだって諍いは好みません。でも、アルフォンス王子様が変わってしまったことや、お兄様のことを思うと、本当の意味で楽しめない自分がいるのです」
カナエさんも突然、話し出した。
「みんなで仲良く。そんな余裕ないんです。不幸に生きているだけで精一杯で、人を妬んで苦しんで、生きるために生きるためのことをしたら、人から嫌われて、僕だって苦しいんです」
カンザシさんて、案外表裏ないんだな。
「僕もグループ付き合いは公平に物事を考えたいです。でも、僕自身の悩みや将来のことを考えると回っていかないんです」
ラルク……。助けたいよ。
「決して周りがどうでもいいわけではありません。でも、ナミネのことが心配で仕方ないんです。ナミネのことだけで頭がいっぱいで、周りのこと考えたくても考えられないんです」
ヨルクさん……。ダメだ、こんなふうに言われたら余計に離れられなくなるよ。
「私も仲良くしたいです。人のこと馬鹿にしたりしたくありません。でも、馬鹿にされたら悔しくて、気付いたらまた別の誰かを傷付けてしまっているんです」
そうだよね。好きで人を傷付けたがる人なんていない。
「はい、ズルエヌの能力披露でしたー!」
ズルエヌさんが引き出していたのか。
「だいたい分かったかな?平たく言えば、みんな仲良くしたいんだよ。でも、それぞれの問題と向き合いすぎるあまりに君たちは拗れちゃうんだね」
簡単に言っているのだけれど、ズルエヌさんの理屈は難しい。それでも、みんなの気持ちが同じところに平行していることは、それとなく分かった気がする。
「つまり、昔は皆が心ひとつにしていたのが、時が流れ、一人一人の道が違うようになり、このようになっているということでしょうか?」
ラルクは飲み込みが早い。けれど、私はラルクみたいに自分で解釈するのは苦手だ。
「そうだね。昔は法律も少なかったし、皆がこの村をよくするためにと、心をひとつにしていたね。つまり、みんなの目標は同じだったんだよ。
でも、現代は色んな職業が存在して、世帯持って家のローンなんかも払ったりして昔のようにはいかなくなってしまったね。
けれど、紀元前村にいた時はどうだったかな?みんなが同じ空間で過ごして心ひとつにしてたんじゃないのかな?
無理に何かしようとしなくていいんだよ。簡単に言えば、最初に戻ってみるのが1番早い方法だと思うけどな。1日でいいから出会った頃のように、どこか遊びに行ってみるとかね」
確かに、紀元前村にいた時はみんなが心をひとつにしていた。まるで、遠い昔に戻ったかのように。妖精村に戻ってしまえば、また生活は戻ってしまったけれど。
1日なら、またあの頃のように過ごせるかもしれない。ヨルクさんとの交際前は1人でいたわけだし。今は私の面倒はヨルクさんが見てくれているけれど、それまでは使用人に全てしてもらってたし、恋愛なんてコリゴリだった。
あれ、あの変な感じ、今はなくなっている。いったい何だったのだろう。
「あの、ズルエヌさんは、恋人の浮気を許せますか?」
「遠い昔に二度許したことはあるけど、三度目は流石に冷めちゃって別れたよ」
やっぱり誰も浮気なんて許さない。ヨルクさんは、どうして許してしまうのだろう。
「セリル、アンタもストップウォッチやってみろよ」
「僕は時計騎士じゃないからね」
「アンタ、いつからそんな弱気になったのさ」
「あーあ、お兄ちゃんのせいで、セリル自信なくしちゃった」
けれど、遠い昔はセリルさんには何の力もなかったんじゃないの?でも、人は一度力を付けてしまえば元には戻れない。私がそうであるように。
「ズルエヌさんは最強ですか?」
「最強だったら、ストーカーに刺されて死んだりしてないよね」
ストーカー。そういえば、ズームさんから聞いたような聞いてないような。
「ズルエヌは要領悪いからね」
時計騎士完璧にこなしてるなら要領悪いとは言わない気がする。
「ズルエヌさん、ヨルクさんに、さっきの変な呪術かけてもらえませんか?」
「いいけど」
ズルエヌさんは、変な呪術をヨルクさんにかけた。
「ヨルクから話すことはあるかな?」
「私はナミネが浮気しても、心変わりして戻って来ても別れないですし、ナミネ意外を愛するなんて考えられないです」
ヨルクさん、私もうヨルクさんに何されてもいいよ。
「どうしてナミネ以外考えられないのかな?」
「ナミネ以外愛したことないですし、他の女子(おなご)と縁談で婚姻しても、どうしても愛せませんでした。綺麗でスタイルがよく、胸の大きな人はたくさんいますが、一緒にいて安らげて本当の意味で心を許せるのはナミネだけなんです。これからもナミネのお世話をしたいし、ナミネをいっぱい笑顔にしたいです」
やっぱり、さっきの取り消す。綺麗でスタイルよくて胸の大きな人って何?そんなに胸胸言うなら好みの女と付き合えばいいのに。
あ、変な呪術が解けている。
「うーん、これはナヤセスの分野だね。人間、何千年、何億年と経てば、愛する人も必然的に変わると、随分前に研究者が証明しているけれど、ここまでずっと同じ人を愛し続ける子も珍しいね」
えっ、でも、カナコさんとセリルさんもそうなんじゃないの?
「あの、カナコさんとセリルさんも、ずっと愛し合ってます」
「まあ、大人の事情かな」
お、大人の事情?そんなふうに言われたらめちゃくちゃ気になってしまう。
「大人の事情ってなんですか?」
「ナミネ、ズルエヌさんは随分ヒント言っただろ」
「え、全然分からないよ」
「セリルはカナコだけじゃないんだよ。妖精村時代はそうだったかもしれないけど、もっと前はクソ女に騙されてたんだよ」
え……全然知らなかった。セリルさんとカナコさんこそ永遠かと思ってた。
「そ、そうだったんですか……」
「正直、ナミネとヨルクの関係は僕もずっと気になってたよ。ズルエヌさんの言うように、人は1人のみを何世紀も愛し続けるには無理があると思う。時代と共に出会う人も違ってくるしね」
この時の私は、妖精村の前はカナコさんがセリルさんに気持ちを伝えられずにいたことを知らなかった。そして、2人は相変わらず、どこかで好き合っていたことも知らなかったのである。
「僕もナミネとヨルクのことは調べてはいるんだけど、今のところ収穫なし。2人がずっと愛し合ってきたとしか答えが出ないんだよね。氷河期もあっただろうに、ここまで互いを求め合っているだなんて珍しすぎて、2人の過去を知りたくなったよ」
私とヨルクさんの関係って、そんなに珍しいのだろうか。
「ナミネ、夜食は何がいい?」
「い、いりません!綺麗でスタイルよくて胸の大きな姫君がいいなら、そう言えばいいでしょう!ヨルクさんて浮気性ですね!いつも湖行くたび興奮してましたもんね!」
私はまたヨルクさんを突き飛ばしてしまった。
「ナミネ、違うから!そういう人がいても、小さい頃から妹同然に可愛がってきたナミネのことが好きって意味だから!」
いつも妹って言うけど、何?胸の大きな人がいいんでしょ。
「ヨルクさん、今から綺麗でスタイルよくて胸の大きな人とお楽しみだから、行くよ、ラルク!」
私はラルクの手を引っ張って中庭に向かった。
中庭の井戸は綺麗になっていた。
私は壁の結界をかけた。
「あのね、ラルク。ミドリお姉様は皇帝陛下と皇后陛下の子供なの。なかなか子供が出来ない2人のために、お母様が代理出産したんだよ。2卵生混合受精だからミドリお姉様には母親も父親も2人いるの」
「つまり、本当の皇女はミドリさんか。3つ子にならなかったのは何かしら理由があるんだろうな。ナミネ、このこと誰にも言うなよ」
言うに言えないよ。
「言わないよ。皇女変わっちゃうし、ミドリお姉様にはずっとナノハナ家でいてほしいし」
「なんで、アンタらだけ、いつも抜けがけすんのさ」
落ち武者さん、通しで入って来たんだ。千里眼で口元読まれてたかな。
「あ、落ち武者さん、このことは……」
「言わないけどね?けれど、これで辻褄が合った。アンタの紙飛行機だけミドリの刻印押してあったわけか。アンタ、気を付けろよ。アンタの振る舞い1つで、ミドリは危険に晒されるんだからな」
本当に反省してる。私はミドリお姉様のことより自分の苛立ちを優先してしまってた。
「はい、もう安易な行動はしません!ミドリお姉様にはずっとナノハナ家にいてほしいですし」
「とにかく、誰かに聞かれたら不味いから戻るぞ。顔だけヨルクも落ち込んでたぞ」
そんなこと言われても、あんなふうにピンポイントで好み言われたら本当に私を好きなのか疑ってしまう。なのに、ヨルクさんから離れることなんて出来ない。どうしてか分からない。ずっとずっと昔からヨルクさんのことが愛おしい。
キクリ家の中に入ると、第1居間のランプの明かりは消えていて、第3居間の明かりがついていた。
……
あとがき。
上記のようなストップウォッチが本当にあったら、正確に押せる人いるのだろうか。
どうして、いつもみたいにセリルがまとめなかったのか。
それでも、メンバーで行動してから、それなりの歳月も経って、みんなの、あり方が変わってしまったのかも?
……
この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
《ナミネ》
私は、すっかりアヤネさんに流されてしまっていた。ラルクだけは気付いている。逆にこれ以上、気付く人がいては困る。ミドリお姉様は、ただでさえ一度死んでいる。ここでミドリお姉様の力をみんなに知られてしまっては、ナノハお姉様の名誉も傷付けてしまうし、ミドリお姉様を狙う人ばかりになってしまう。気を付けなくては。
せっかく、ヨルクさんが懲役2年にしてくれたのに、それを変えてしまうだなんて。私は私を信じられなくなってしまっていた。
「お願いです、助けてください!」
すがるルリコさん……。けれど、あとの祭りだ。
「アンタ、鬱陶しいから消えろ」
落ち武者さんは、扇子でルリコさんをキクリ家から出した。外ではルリコさんの叫び声が聞こえる。私のせいとはいえ、めちゃくちゃ近所迷惑。
「どうして、みんなして私をイジメるんですか!」
「アンタ、なんで天然ラァナ傷付けた!」
ラァナさんと落ち武者さんは、お隣さんだった。落ち武者さん、ラァナさんに懐いているみたいだし。
「アヤネさん、いくら気に入らないことがあったとしても、このような形で人を傷付けてもいいのでしょうか?僕は理解しかねます」
「なあ、セリル。この場にいる全員にフェアリーングかけろ!」
それをしても、人のいやな本心を知ってしまうに過ぎない。今、アヤネさんの本心を知っても、もう誰も同情なんてしないだろう。
「僕は、あくまで話し合いに参加するだけで、それ以上のことはしないよ」
「セリル!アンタ、天然ラァナが笑い者にされてもいいのかよ!」
「人は全員平等にとまではいかない。けれど、どれだけ許せないことがあっても、アヤネを攻撃するほど、ラァナさんも苦しむよ」
私は平等だなんて思ったことさえない。結局、いつも余裕のある人間が勝者だ。アヤネさんは、公爵家に生まれて随分と楽して生きてきたのだろう。
「セリル、アンタ、ズームに出し抜かれてから億劫になってんじゃないのか?だったら、僕が……」
「せっかく生き返ったんだし、ズルエヌが、この場収めたら?」
ズルエヌさんは、時計騎士なのではないのだろうか?
「ではでは、皆さんはまだ、ここにいらっしゃるようなので……。
改めまして、僕はブランケット家のズルエヌです。
まず、何か言いたいことがある人はいますか?」
え、これ何?フェアリーングじゃない。何かわからないけど、全く解けない。
「あの日、ラァナを1人で帰らせるべきではなかった。今でも悔やんでる。セリルが発見したラァナは酷い姿だった。もし、誰かがラァナと一緒に帰っていれば……ラァナは自分で自分を縛ることなんてなかった」
カナコさん……。親友のラァナさんが、あんな目にあって、もう7年目。セリルさんが発見した時には無惨な姿で横たわっていたらしい。
「カナコさんは、自分を責めるほどラァナさんのことが好きなんだね。起きてしまった過去は変えられないけれど、大学に通ってるってことは、ラァナさんの時間が確実に進んでいる証拠なんじゃないかな?」
そうは言っても、あんな無惨な目にあって、全て忘れられるはずがない。そんなの……そんなの……。
「綺麗事です!ズルエヌさんは綺麗事で解決ですか?」
「どうして綺麗事だと思うのかな?」
どうしてって……。
「あんな無惨な形で発見されて、セリルさんが来るまでどれだけ怖かったか!大学に通っていてもラァナさんの闇は続いているんです!」
「闇はいけないことかな?」
何この人。ズームさんに似てないし、セリルさんみたいに平和的に解決してくれないじゃない。
「いけないとは思いません!でも、ないほうがいいに決まってるじゃないですか!」
「ナミネは闇のない人間を見たことがあるのかな?」
質問ばかり。ズルエヌさんって、人をイラつかせる。
「私が言っているのはそういうことではありません!誰だって闇はあります!けれど、トラウマを抱えるほど苦しむのはあってはならないでしょう!人は誰もが普通のラインで生きれたらって、私はそう思うんです!」
「もし、ナミネが思ってることを実現するには、ナミネがこの村を納めるくらいの力がないといけないよね」
何なの!めちゃくちゃ苛立つ。
「ただ、思ってるだけと言っているでしょう!私は実現するとまでは言っていません!そもそも、あなた何なんですか!失礼極まりないですね!私だって時計騎士の資格持ってます!あなたに負けません!」
「そっかそっか、頑張って取ったんだね。ズームがそうさせたのかな?じゃあ、せっかくだから、このストップウォッチで勝負しようか」
時計騎士ならストップウォッチを完璧に扱わなければならない。私だって試験には受かっている。ストップウォッチも何度も使った。
「分かりました!負けたら、あなたが失礼な人間であることを認めてください!」
「分かったよ。僕が負けたらね」
私はズルエヌさんからストップウォッチを受け取った。
え、何これ。ゼロの数が半端ない。試験でも、こんなの使ったことないよ。
「じゃあ、目をつむって60秒きっかりで止めてくれるかな」
「わ、分かりました」
同様してはダメだ。私だって正確に時刻を読み取れる!
「じゃあ、ズーム、10秒後に合図して」
私は目をつむった。
「分かりました」
そろそろだ。
「はじめ!」
私はストップウォッチを押した。1、2、3、4……10、11……21、22……34、35……46、47……52、53……57……今だ!私はストップウォッチを止めた。
「じゃあ目を開いて」
私は目を開いた。
え、嘘……。なんで……。
「強気なナミネ、60.002547614564521064321457612543!得体の知れないズルエヌ、60.000000000000000000000000000000!勝者、得体の知れないズルエヌ」
負けた。それも、物凄い差で。
「あ、あなた、何がしたいんですか!」
「人はね、得意不得意があるんだよ。僕やズームみたいに運動は苦手だけど時計騎士として時間に狂いのない仕事して来た人間もいれば、ナミネみたいに伝説最上級武官で運動のことなら1寸の狂いもない人間もいるよね。
要は、本人にしか分からないんだよ。これは、他者が意見をしてはいけないってことじゃなくて、その人が受けた痛みは本人にしか分からないんだ。だから、誰かの痛みを他者が無闇に位置付けちゃ、余計にその人のことが分からなくなるんだよ。
ナミネがラァナさんのことを位置付けしたのは、ナミネ自身の経験じゃないかな。人は自分が経験したこと以外は言葉に出来ないからね」
確かに、私は私の持論押し付けていたかもしれない。けれど、それは、その人のことが心配だからで……心配だからで……。それを安易に位置付けとか言われたら、こちらも気分が悪い。
「アドラー心理学ですか。確かに人は自分の経験したこと以外は言えません。知らないからです。けれど、無闇に位置付けと言いますが、それは、相手を思ってのことです!必ずしも相手の心に寄り添う必要はありませんよね。押し付けでも、お節介でも、それでも、伝えなければいけないこと、生きていたらたくさんありますよね?」
「誰の何を思ったのかな?」
「いや、だから、ラァナさんが7年前に無惨な状態で発見されて、それをカナコさんやレイカさんが自分を責めていることに対してです!」
今その話してたじゃない。いきなりストップウォッチ計らさせられたけど。元々はアヤネさんがラァナさんを侮辱したことを話し合ってるんじゃないの!
「本当にカナコさんやレイカさんは、ラァナさんが無惨な形で発見されたことに対して自責しているのかな?どうしてそう思うのかな?」
何この人。この人こそ、いったい何が言いたいの?
「だから、そう言っているじゃないですか!」
「発見されたことに対して。どうしてナミネはそう表現したのかな?1番怖いのは発見された時かな?」
そうか。私はミドリお姉様の死後の姿しか知らない。あまりにも無惨な姿すぎて、襲われている時のことなんて考えたことなかった。ミドリお姉様は、仏になってからではなく、襲われている時が1番怖かったんだ。
「私はミドリお姉様の死後の酷すぎる姿しか知りませんでしたから。ラァナさんも、発見された時はそうかと思ったんです。ミドリお姉様の時は、もう仏だったので襲われた時のことを考える余裕なんてありませんでした」
「やっと、冷静に話してくれたね。
ミドリが死んだ日、僕も死んだ。今でも刃物を見ると怖いよ。ミネスはナミネみたいに悲しんではくれないし。
ナミネ、人は表と裏があるんだよ。人を疑う時、人に対して苛立つ時は、冷静に話をしないと、その人のことを少しも知ることが出来ないんだよ。ナミネに欠けているのは、人を知ろうとする心かな」
そうかもしれない。おじいさんにも似たようなこと言われた。けれど、いくら頑張っても、やっぱり私は冷静さに欠けてしまう。私はズルエヌさんとは違う。
「でも、出来ないんです!
カンザシさんにヨルクさんとの幸せ壊されてから変な病気になるし、妖精村時代は全てヨルクさんとの青春を失いました。
だから、強くならなきゃって必死で……」
私はただ、ヨルクさんを失いたくなくて……。
「それでいいんだよ。出来ないことは出来ない。何の問題もないよ。
ナミネはヨルクとの青春守りたいんだよ。アヤネもそうなんじゃない?自分の踏み込んでほしくないところ、いっぱい踏み込まれて、かつてのナミネのように自分の心の居場所失ってるんじゃないかな?
許せないなら、それはそれで仕方ないけれど。何故人が悲しむのか、怒るのか、安心するのか。それは100人いれば100通りの答えがあるんだよ」
そういうことか。ここにいるメンバーが当たり前だろうことを当たり前と言うことで、みんなが、そんなふうに感じて、アヤネさんがメンバーから弾かれてしまったというわけか。
ズルエヌさんからしてみれば、ちゃんと話し合えば折り合えると言いたいのか。人の心は無数の線で絡まりあっている。自分とさえ折り合えないのに他者との諍いなんか、私にはどうにも出来ないよ。
あれ、最初の変な感じが再び起きている。
「そうですか。言い分は分かります。私だって、みんなと仲良くしたいです。大勢いるから、そこから少人数同士が仲良くするとかの理屈抜きで、仲良くしたいです。でも、私にとって最も大切なのはヨルクさんなんです!どうしても、いつも常にヨルクさんのことが気になって、周りのことが疎かになってしまうんです!そこに悪気はありません」
やだ、どうしてこんなこと言っちゃったの。
「僕も本音ではエルナとのこと、まだ答え出せてない。エルナが好きでたまらない。でも、強気なナミネのことも好き。強気なナミネが傷付けられたら、相手許せない」
あれ、ナノハナ家でも、落ち武者さん私のこと好きって言ってた。あの時は嘘と思って相手にしなかったけど。でも、どうなってるの。
「カナエだって諍いは好みません。でも、アルフォンス王子様が変わってしまったことや、お兄様のことを思うと、本当の意味で楽しめない自分がいるのです」
カナエさんも突然、話し出した。
「みんなで仲良く。そんな余裕ないんです。不幸に生きているだけで精一杯で、人を妬んで苦しんで、生きるために生きるためのことをしたら、人から嫌われて、僕だって苦しいんです」
カンザシさんて、案外表裏ないんだな。
「僕もグループ付き合いは公平に物事を考えたいです。でも、僕自身の悩みや将来のことを考えると回っていかないんです」
ラルク……。助けたいよ。
「決して周りがどうでもいいわけではありません。でも、ナミネのことが心配で仕方ないんです。ナミネのことだけで頭がいっぱいで、周りのこと考えたくても考えられないんです」
ヨルクさん……。ダメだ、こんなふうに言われたら余計に離れられなくなるよ。
「私も仲良くしたいです。人のこと馬鹿にしたりしたくありません。でも、馬鹿にされたら悔しくて、気付いたらまた別の誰かを傷付けてしまっているんです」
そうだよね。好きで人を傷付けたがる人なんていない。
「はい、ズルエヌの能力披露でしたー!」
ズルエヌさんが引き出していたのか。
「だいたい分かったかな?平たく言えば、みんな仲良くしたいんだよ。でも、それぞれの問題と向き合いすぎるあまりに君たちは拗れちゃうんだね」
簡単に言っているのだけれど、ズルエヌさんの理屈は難しい。それでも、みんなの気持ちが同じところに平行していることは、それとなく分かった気がする。
「つまり、昔は皆が心ひとつにしていたのが、時が流れ、一人一人の道が違うようになり、このようになっているということでしょうか?」
ラルクは飲み込みが早い。けれど、私はラルクみたいに自分で解釈するのは苦手だ。
「そうだね。昔は法律も少なかったし、皆がこの村をよくするためにと、心をひとつにしていたね。つまり、みんなの目標は同じだったんだよ。
でも、現代は色んな職業が存在して、世帯持って家のローンなんかも払ったりして昔のようにはいかなくなってしまったね。
けれど、紀元前村にいた時はどうだったかな?みんなが同じ空間で過ごして心ひとつにしてたんじゃないのかな?
無理に何かしようとしなくていいんだよ。簡単に言えば、最初に戻ってみるのが1番早い方法だと思うけどな。1日でいいから出会った頃のように、どこか遊びに行ってみるとかね」
確かに、紀元前村にいた時はみんなが心をひとつにしていた。まるで、遠い昔に戻ったかのように。妖精村に戻ってしまえば、また生活は戻ってしまったけれど。
1日なら、またあの頃のように過ごせるかもしれない。ヨルクさんとの交際前は1人でいたわけだし。今は私の面倒はヨルクさんが見てくれているけれど、それまでは使用人に全てしてもらってたし、恋愛なんてコリゴリだった。
あれ、あの変な感じ、今はなくなっている。いったい何だったのだろう。
「あの、ズルエヌさんは、恋人の浮気を許せますか?」
「遠い昔に二度許したことはあるけど、三度目は流石に冷めちゃって別れたよ」
やっぱり誰も浮気なんて許さない。ヨルクさんは、どうして許してしまうのだろう。
「セリル、アンタもストップウォッチやってみろよ」
「僕は時計騎士じゃないからね」
「アンタ、いつからそんな弱気になったのさ」
「あーあ、お兄ちゃんのせいで、セリル自信なくしちゃった」
けれど、遠い昔はセリルさんには何の力もなかったんじゃないの?でも、人は一度力を付けてしまえば元には戻れない。私がそうであるように。
「ズルエヌさんは最強ですか?」
「最強だったら、ストーカーに刺されて死んだりしてないよね」
ストーカー。そういえば、ズームさんから聞いたような聞いてないような。
「ズルエヌは要領悪いからね」
時計騎士完璧にこなしてるなら要領悪いとは言わない気がする。
「ズルエヌさん、ヨルクさんに、さっきの変な呪術かけてもらえませんか?」
「いいけど」
ズルエヌさんは、変な呪術をヨルクさんにかけた。
「ヨルクから話すことはあるかな?」
「私はナミネが浮気しても、心変わりして戻って来ても別れないですし、ナミネ意外を愛するなんて考えられないです」
ヨルクさん、私もうヨルクさんに何されてもいいよ。
「どうしてナミネ以外考えられないのかな?」
「ナミネ以外愛したことないですし、他の女子(おなご)と縁談で婚姻しても、どうしても愛せませんでした。綺麗でスタイルがよく、胸の大きな人はたくさんいますが、一緒にいて安らげて本当の意味で心を許せるのはナミネだけなんです。これからもナミネのお世話をしたいし、ナミネをいっぱい笑顔にしたいです」
やっぱり、さっきの取り消す。綺麗でスタイルよくて胸の大きな人って何?そんなに胸胸言うなら好みの女と付き合えばいいのに。
あ、変な呪術が解けている。
「うーん、これはナヤセスの分野だね。人間、何千年、何億年と経てば、愛する人も必然的に変わると、随分前に研究者が証明しているけれど、ここまでずっと同じ人を愛し続ける子も珍しいね」
えっ、でも、カナコさんとセリルさんもそうなんじゃないの?
「あの、カナコさんとセリルさんも、ずっと愛し合ってます」
「まあ、大人の事情かな」
お、大人の事情?そんなふうに言われたらめちゃくちゃ気になってしまう。
「大人の事情ってなんですか?」
「ナミネ、ズルエヌさんは随分ヒント言っただろ」
「え、全然分からないよ」
「セリルはカナコだけじゃないんだよ。妖精村時代はそうだったかもしれないけど、もっと前はクソ女に騙されてたんだよ」
え……全然知らなかった。セリルさんとカナコさんこそ永遠かと思ってた。
「そ、そうだったんですか……」
「正直、ナミネとヨルクの関係は僕もずっと気になってたよ。ズルエヌさんの言うように、人は1人のみを何世紀も愛し続けるには無理があると思う。時代と共に出会う人も違ってくるしね」
この時の私は、妖精村の前はカナコさんがセリルさんに気持ちを伝えられずにいたことを知らなかった。そして、2人は相変わらず、どこかで好き合っていたことも知らなかったのである。
「僕もナミネとヨルクのことは調べてはいるんだけど、今のところ収穫なし。2人がずっと愛し合ってきたとしか答えが出ないんだよね。氷河期もあっただろうに、ここまで互いを求め合っているだなんて珍しすぎて、2人の過去を知りたくなったよ」
私とヨルクさんの関係って、そんなに珍しいのだろうか。
「ナミネ、夜食は何がいい?」
「い、いりません!綺麗でスタイルよくて胸の大きな姫君がいいなら、そう言えばいいでしょう!ヨルクさんて浮気性ですね!いつも湖行くたび興奮してましたもんね!」
私はまたヨルクさんを突き飛ばしてしまった。
「ナミネ、違うから!そういう人がいても、小さい頃から妹同然に可愛がってきたナミネのことが好きって意味だから!」
いつも妹って言うけど、何?胸の大きな人がいいんでしょ。
「ヨルクさん、今から綺麗でスタイルよくて胸の大きな人とお楽しみだから、行くよ、ラルク!」
私はラルクの手を引っ張って中庭に向かった。
中庭の井戸は綺麗になっていた。
私は壁の結界をかけた。
「あのね、ラルク。ミドリお姉様は皇帝陛下と皇后陛下の子供なの。なかなか子供が出来ない2人のために、お母様が代理出産したんだよ。2卵生混合受精だからミドリお姉様には母親も父親も2人いるの」
「つまり、本当の皇女はミドリさんか。3つ子にならなかったのは何かしら理由があるんだろうな。ナミネ、このこと誰にも言うなよ」
言うに言えないよ。
「言わないよ。皇女変わっちゃうし、ミドリお姉様にはずっとナノハナ家でいてほしいし」
「なんで、アンタらだけ、いつも抜けがけすんのさ」
落ち武者さん、通しで入って来たんだ。千里眼で口元読まれてたかな。
「あ、落ち武者さん、このことは……」
「言わないけどね?けれど、これで辻褄が合った。アンタの紙飛行機だけミドリの刻印押してあったわけか。アンタ、気を付けろよ。アンタの振る舞い1つで、ミドリは危険に晒されるんだからな」
本当に反省してる。私はミドリお姉様のことより自分の苛立ちを優先してしまってた。
「はい、もう安易な行動はしません!ミドリお姉様にはずっとナノハナ家にいてほしいですし」
「とにかく、誰かに聞かれたら不味いから戻るぞ。顔だけヨルクも落ち込んでたぞ」
そんなこと言われても、あんなふうにピンポイントで好み言われたら本当に私を好きなのか疑ってしまう。なのに、ヨルクさんから離れることなんて出来ない。どうしてか分からない。ずっとずっと昔からヨルクさんのことが愛おしい。
キクリ家の中に入ると、第1居間のランプの明かりは消えていて、第3居間の明かりがついていた。
……
あとがき。
上記のようなストップウォッチが本当にあったら、正確に押せる人いるのだろうか。
どうして、いつもみたいにセリルがまとめなかったのか。
それでも、メンバーで行動してから、それなりの歳月も経って、みんなの、あり方が変わってしまったのかも?
……
この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
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