日常のこととかオリジナル小説のこととか。
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ashita
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地主(土地貸してます)
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漫画やアニメを見るのが好きです。最推しはフーディーニ ♡
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ブログ、もう書かないと思ってました。
けれど、去年から書き始めた小説によって、過去に書いてた小説も書き始め、ここに載せることにしたのです。
小説は、主に『時間と時間を繋ぐ恋の物語』と『妖精村と愉快な仲間たち』をメインに書いています。
現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。
純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。
元々このブログは病気の記録用として立ち上げたものですが、小説載せるようになってからは、ここは出来るだけ趣味的なことを綴りたいと思っております。
病気の記録や様々な思いを綴るブログは移転済みなのです。
ただ、今は日記は個人的な徒然、或いはお知らせとして綴ることが多いかと思います。
小説、ぼちぼちマイペースに書いてゆきます。
よろしくお願い致します。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
お知らせ。
イラストは現在「ナノハナ家の日常」に載せております。サイドバーにリンクあります。
また、「カラクリよろずや」にて無料のフリーイラスト素材配布もはじめました✩.*˚
フリーイラスト素材も増やしていく予定です(*'ᴗ'*)
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
模倣・無断転載などは、ご遠慮ください。
ブログの小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
小説・純愛偏差値に関しましては、武家名・貴族名(程度による) / 及び、武官の階級 / 扇子・羽子板・花札・百人一首・紙飛行機などのアイテム使用方法の模倣の一切を禁じております。
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X @kigenzen1874
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現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。
純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。
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〈資格履歴〉
2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2010年02月10日
→セルフ・カウンセリング
ステップ2 合格
2011年05月28日
→セルフ・カウンセリング
指導講師資格審査 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年01月20日
→鉛筆デッサンマスター 合格
→絵画インストラクター 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
→茶道アドバイザー 合格
→お点前インストラクター 合格
2025年04月17日
→着物マイスター 合格
→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
→サイキックアドバイザー 合格
→サイキックヒーラー 合格
2025年07月01日
→アンガーカウンセラー 合格
→アンガーコントロール士 合格
2025年08月04日
→漢方コーディネーター 合格
→薬膳調整師 合格
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〈資格証明バナー〉

2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2010年02月10日
→セルフ・カウンセリング
ステップ2 合格
2011年05月28日
→セルフ・カウンセリング
指導講師資格審査 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年01月20日
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→絵画インストラクター 合格
2025年03月07日
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→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
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2025年04月17日
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2025年05月19日
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2025年07月01日
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2025年08月04日
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→薬膳調整師 合格
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〈資格証明バナー〉

純愛偏差値 未来編 一人称版 99話
《カラルリ》
セナさんの妊娠が発覚した時、本音では私はかなり焦っていた。まだ、お互い高校2年生だし、何より私自身が大学まで行きたかったのだ。だから、本音では今回は諦めてもらって、結婚してから、また作ればいいと思っていた。そんな私の思いとは別に、セナさんは、強引に私に責任を取らせようとした。
私は、使用人のルリコに相談した。
『カラルリ坊っちゃま、私にお任せくださいませ』
私はルリコの、たった一言の言葉に自分の問題を丸投げした。
向き合わなきゃ。そんなことは重々承知だった。妖精村学園は事情によっては復帰出来るまで休学することが出来る。そうは言えども、セナさんが出産して、その子供が大きくなってから高等部に復帰しても世間の恥だ。かといって、高校を辞め中卒では、今の時代、何の職業にも就けない。例え、ありつけたとしても、そんなの若い時だけで、歳を取ると共に仕事は、ほぼゼロになる。そうなってしまえば、セナさんと結婚どころか、私は生涯無職でいなければならない。子供を抱えたまま。
私なりにキクリ家で、ちゃんと考えたつもりだ。けれど、やっぱり高校生で責任を取ることは考えられなかった。
あの食事会の日。
まさか、ルリコが中絶薬を持っていたとは全く知らなかった。それに、ピックティーも用意していただなんて。私はただ、セナさんが産んだあと、子供を孤児院にでも預けるのかと思い込んでいた。お腹の子を殺されてしまうとは本当に知らなかったのだ。それでも、セナさんが流産した以上、もう後の祭りだった。
私は自分の子を失った。それでも、父親になった感覚など全くなかった私は、セナさんの苦しみを理解してあげられなかった。
その後、セナさんはミナクと交際し、私はひとりぼっちになった。後悔してもしきれなかった。せめて、あの時、現状と向き合うくらいはするべきだったと。けれど、中卒で世帯を持ちたくない私の思いがそうさせてしまったのだろう。他の方法だってあっただろうに。そもそも、どうして私はあの時、すぐに世帯を持たなければならない概念にとらわれていたのだろう。出産までセナさんが休学して、子供が生まれれば使用人が育て、私たちは普通の高校生でいるという思考が全くなかった。すぐに責任を取ることが出来なくても、中絶させるよりかなりマシな選択だったと思う。
その後、本当の黒幕はルリコと知ったセナさんの矛先はルリコに向いた。ルリコは、いっときナミネの書いた厳しい処罰が適用されたものの、あとでズルエヌさんがナミネ越しに書いたセナさんの希望処罰を取り消し、ルリコを交番に連れて行った。本来なら不同意堕胎罪で罪に問われるところだったが、妖精村全域停電により、殺人罪かそれと同等の罪のみしか裁判が開かれなくて、ルリコは幸いにも裁きを受けなくて済んだ。あの時、カナコお姉様が身元引受け人としてルリコを迎えに行き、ルリコは今も私の使用人として働いている。
また、私はセナさんと、やり直すことになった。私がちゃんと向き合わず、自分の子を死なせてしまったことは、もう十分に反省した。セナさんには二度とそんな思いはさせない。
私も、ナミネやヨルクみたいに清い関係でいればよかったのだろうけど、高校生にもなれば、やっぱりそうも行かなかった。復縁した今でもセナさんとは去年の交際時のような関係でいる。
ナミネやヨルクは、まだ子供だ。大人の事情など一切知らないのだろう。
ヨルクは、万が一はナミネの責任を取るなどと戯言を言っていたが、一介の中学生なんかに何が出来る。どうせ、その万が一が来たらナミネに中絶同意書を書かせるのだろう。
ヨルクの優しさなど、上辺だけに過ぎない。ナミネは騙されているのだ。所詮、顔でモテる男には女などいくらでもいる。私とて、それなりにモテて来たが、ヨルクは別だ。あれまでに容姿の整った男は珍しい。ナミネもヨルクのイケメンさに惚れたのだろう。でなきゃ、辻褄が合わない。
ラルク、ラルク言っていたナミネが、ヨルクから突然告白されたらすんなり受け入れたのだから。所詮、女にとって交際する基準は相手の容姿と家柄、職業である。つまり、ブサメンはエリートでもない限り彼女など出来ないというわけだ。
セリルがカナコお姉様に手紙を残し、姿を消したあと、何故かセリルはナミネに紙飛行機を飛ばし、ナミネがキクリ家に伝えに来て、カナコお姉様とレイカさんがセリルを迎えに行った。
私は知らなかった。容姿端麗、頭脳明晰、常に成績は学年トップのセリルにも悩みがあったことを。遠い昔なら気付いていたかもしれないけど、3年生になって、クラスが変わった今、セリルの様子は全く知らなかったのである。
セリルは、セレナールがマモルから受けたことをずっと悩んでいたらしい。更に言うなら、遠い昔、セレナールがカナエを陥れようとして自分が陥れられてしまったことに対しても長らく悩んでいたそうだ。
あの時、私もセレナールを助けたかった。だから、カナエに結界を解くように言った。同時にセナさんも武官に押し倒されていたのに、私はセナさんを見て見ぬふりして、セレナールの元に走った。けれど、間に合わなかった。私はセナさんの信用を失い、セレナールを救えなかった最低な男となってしまった。
あの時のことは、今でも鮮明に覚えている。
私はボロボロになったセレナールを地面に下ろすとセナさんに駆け寄った。
『あの、セナさん』
セナさんは泣きながら私を引っぱたいた。
そして、みんなはレストランで話し合うことになった。放心状態のセレナールもみんなに着いて行った。またセイも後を追った。
レストランに着くとみんなは席に座った。
カナエも私をを引っぱたいた。
『何故ですか。セナさんの危ない時にどうしてセナさんを見捨てたのですか!』
私は言葉が見つからなかった。
『答えてください!お兄様!』
確かに私は、セナさんよりセレナールを優先した。けれど、それはセナさんなら自力でどうにか出来ると思ったからだ。
『セナさん、どうしたら許してくれる?』
私はもう見切りを付けられたと思いながらも、セナさんにすがっていた。
『カラルリ……もう遅いよ』
セナさんは立ち上がった。
『天界の結界 000 無限大 000 無限大 000 無限大 確定!』
セナさんはみんなを結界に閉じ込めて逃げ出した。
天界の結界は同時に3つまでの結界を張ることが出来る。また、0を無限大にくっつけることで、それ以上の技を使わなければ結界は解けなくなるのだ。セナさんは森林の結界と壁の結界、霧の結界をかけたのである。
『お兄様、どうするのですか!これではみんなが結界から出れません!』
セナさんが逃げ出し、追うことさえ出来ず私たちは結界に閉じ込められ身動きが取れなくなっていた。もはや、カナエの声さえ耳に届いていなかったかもしれない。
『カナエ、大丈夫だから』
アルフォンス王子はカナエの頭を撫でカナエの肩を抱き寄せた。
『でも、ここで白黒ハッキリさせたい。正直、セナを見捨てたことは見過ごせない。でも、カラルリがセレナールと縁を切って今後セレナールが危険な目にあっても一切助けない、そしてセナを第1に優先するならカラルリがセナと別れないようセナを説得する。でも、それが出来ないならセナを説得せず、私はカナエを連れてカラクリ家に戻るよ』
私のミスで、アルフォンス王子は私に条件を提示した。
『アルフォンス王子様、この結界を解けるのですか?』
『分からない。でも、大丈夫だと思う。結界のことなら心配しないで。今はカラルリが今後セナとどうするかを聞くことが肝心だと思う』
結界を解けたとして、本当にセナさんは戻ってきてくれるのだろうか。
『ですが、セナさんはもうお兄様に見切りをつけたように思います』
『カラルリ次第では私が説得する』
今のセナさんに説得など通用するのだろうか。
『分かりました。お兄様、どうするか選んでください。けれど、チャンスは1度しかありません。2度同じことを繰り返せば、その時はセナさんのお心からお兄様はいなくなるでしょう』
カナエは念を押した。
『私はセレナールと縁を切ります。今後一切セレナールに関わらず、セナさんを1番に優先します。同じ過ちは繰り返しません』
セレナールと縁を切りたくなどない。けれど、あの時の私はセナさんと別れないことのみしか考えられなかった。
『本当に?ほとぼりが冷めたら、またセレナールを放っておけなくてセナを見捨てたりしない?』
セレナールを助けに行った。たったそれだけのことで、ここまでの、おおごとになるとは思わなかった。
『セナさんを二度と見捨てません。約束します』
それでも私は、こうなった以上、何がなんでもセナさんと別れたくはなかったのである。
『お兄様、本当ですか?カナエは信じられません』
『カナエ、私はもう二度とセレナールと関わらないし、セナさんを第1に優先する』
もう手段は選べない。
『お兄様、2度目はありませんよ。同じ過ちを繰り返した時は誰もお兄様を助けません。本当にアルフォンス王子様の言ったことを守れますか?』
『必ず守る。アルフォンス王子、本当申し訳ありませんでした。私はセナさんと別れたくありません。これほどまでに愚かで弱くて誰も救えないですが、セナさんが好きです』
私とてセレナールと縁を切りたくない。でも、それよりセナさんが大事なんだ。セナさんを失うなんて生きながらも死んでいるのと同じだ。
カナエはアルフォンス王子を見た。
『分かった。約束は絶対守って』
アルフォンス王子は全ての気を体内に取り込んだ。
『解 0000 無限大 0000 無限大 0000 無限大!』
そして、アルフォンス王子は結界を解いた。
あの頃のアルフォンス王子の力量はとんでもないものだったと思う。今とは大違いだ。
セナさんの居所を突き止めるとアルフォンス王子はセナさんに話を持ちかけた。
『セナ、前置きとして最初に言うけれど、カラルリはあの状況でセナよりセレナールを選んだ。これはもうカラルリはセレナールを妹以上に見てるとしか思えない。多かれ少なかれカラルリはセレナールを好きだと思う。
でも、今回のことでカラルリは反省して、セレナールとは縁を切り二度とセレナールと接触しなければセレナールが危険に晒されていてもセレナールを助けず、セナを1番に優先すると言ってる。
決めるのはセナだけど、正直ここまで来ると最後のチャンスだと思う。セナがここでカラルリを見捨てたらカラルリはセレナールの元に行くと思うよ。今でも少しでもカラルリのことを好きならカラルリが他の女性と付き合って欲しくないなら別れることはオススメしない。
もう一度言うけれど、これがセナとカラルリが仲直りする最後のチャンスだと私は思ってる』
アルフォンス王子の話を聞いてセナさんは薄々は気づいていたらしい。これまでの私へのセレナールの態度はもはや妹以上に対する振る舞い方だと。それに対してセナさんはいつもセレナールに嫉妬していたのだ。でも今回はセナさんが大切なものを奪われかけたのに私はセナさんよりセレナールを選んだ。それはセナさんにとって許し難いことであったのである。
『私は正直今は気持ちの整理が付けられない。けれど、カラルリがアルフォンスが言ったことを本当に守ってくれるのなら私は1度だけカラルリにチャンスを与えようと思う。ただ、今回のことは私も相当堪えたからこれまで通りに戻るにはそれなりの時間がかかると思う。もしかしたら、今回のことで前みたいな関係には戻れないかもしれない』
セナさんは自分の心境をありのまま話した。
『カラルリはどう?セナはチャンスは与えるけど前みたいな関係には戻れないかもしれないと言ってるよ』
アルフォンス王子が私に確認した。答えは決まっている。
『それでも構いません。私はアルフォンス王子に約束したように今後セレナールとは縁を切るし、二度とセレナールに接触しなければセレナールが聞きに陥ってもセレナールを助けません。これからはセナさんを1番に優先します。セナさんが直ぐに私に気持ちが戻らなくてもセナさんが私にチャンスを与えてくれるのなら私はセナさんとの交際を続けたいです。セナさんと別れたくありません。セナさんの気持ちの整理がつくまで待つし、ずっとセナさんの傍にいます。セナさん今更謝っても無駄だろうけど、それでも本当に申し訳なかったと思ってる』
あの時の私はただただセナさんと別れたくなくて必死だった。
『セナ、カラルリはこう言ってるけどセナはカラルリと交際を続けられそう?』
アルフォンス王子が確かめた。
『今は分からないけど努力してみる』
本当に最後のチャンスだったと思う。セレナールのことは心苦しかったが、どうしてもセナさんを失いたくなくて失いたくなくてしかたなかったのだ。
その後、セナさんとはかなり気まずい雰囲気が続いたが、もう一度私のことを信じると言ってくれた。
あの頃は、何もなかった。
けれど、私たちは人と人との愛情で成り立っていたと思う。
そして、現世では、あの時、博物館でアルフォンス王子から言われたことが忘れられなくて、体育館でセナさんとセレナールが拘束されていた時、真っ先にセナさんを助けた。それが、セレナールから恨みを買い、ラルクに攻撃される事態を招くとは思ってもみなかった。
もう、あの時の博物館のことを思い出すだけで辛くなる。今は改装されているけれど、それでも、みんなで博物館に行った時は胸が締め付けられていた。
けれど遠い昔、あれだけセナさんと愛し合ったのだから、二度とセナさんを手放さない。私は二度とセナさんを苦しめない。そう心に誓った。
セリルの望んだ話し合いが近付いている。
どんな結果になるかは分からない。それでも、セリルの苦しみに気付けなかったのは不覚だ。セレナールの身体はもう元には戻らないけれど、せめて、セリルが納得いくような結果になってほしい。今回の話し合いは、遠い昔の博物館のことも出るだろう。私も覚悟しなければ。
あれから、ナミネがナノハナ家に戻ると言った途端に、みんな戻る方向になってしまった。第4居間ではナミネとヨルクがじゃれ合っている。
「もうすぐキクリ家で話し合いだというのに、ナミネとヨルクは何も思わないのか?特に、カンザシはナミネの実の兄なのに、責任感じないの?セレナールにしたことナミネがされたらどうするのかな?」
私は半ば苛立っていた。セリルとは遠い昔からの付き合いだし、セレナールは妹同然の存在。いくらセレナールを嫌っているからといって、無神経すぎる。
「私は、話し合いは話し合いの時にするものだと思っていますし、ここで過ごすこととはまた違うのではないでしょうか?」
何だ、この反応は。
「それは、それだけヨルクがセリルに無関心だからだろう。問題をすり替えるな!」
ダメだ。ナミネとヨルクを見ていると、何故か苛立ってしまう。
「一目惚れカラルリ、アンタ何をそんなに苛立ってんのさ」
こんなふうに、セリルの弟にいつも擁護してもらっている。自分では何もしない。私の嫌いなタイプだ。
「別に苛立っているわけではないけど、問題が問題なだけに、みんなにはそれ相応の覚悟を持って欲しかっただけだが」
「あの、カラルリさん。ここ私の家なので」
ナミネも馬鹿にしたような発言をする。こちらとて、妹同然のセレナールを、あんな目にあわされて黙ってはいられない。
「ナミネは子供だな。大人の恋愛が分からないから大人の事情も分からないんだな」
「逆に言わせてもらいますが、カラルリさんはセナ王女の妊娠をどこまで本気で捉えていたのでしょうか?あまり無駄口叩くと落ち武者さんにフェアリーングかけてもらいますよ」
最年少なのに生意気な口を叩いて本当に腹が立つ。けれど、フェアリーングで確かめられるのは分が悪い。
「セナさんの妊娠については、キクリ家で相当考え込んだ。けれど、突然のことでどうしたらいいのか分からなくて、ただひたすら悩み続けた。何がセナさんにとっての最善策なのか」
「今となっては、それが真実なのか分かりませんけどね」
どんな育ち方をしたらこうなるんだ。生意気にもほどがある。
「もし、ナミネが妊娠してもヨルクは中絶同意書書かせるよ」
「一目惚れカラルリ、アンタ何の話してんのさ?」
「あまりにナミネが子供だから責任というものを教えてあげてるだけだけど」
中学生なんて小学生の延長線のガキだ。ヨルクに騙されているとも知らずナミネも呑気なもんだ。
「私、別にヨルクさんに責任取ってもらおうなんて思ってません」
「ナミネ、悲しいこと言わないで。ナミネ1人に考え込ませたりしないよ。ナミネには苦労させない」
また綺麗事。憶測で物事を考えるヤツはタチが悪い。
「どうせ、ナミネに中絶同意書書かせるんだろ」
「私はそんなことしません。ナミネとナミネのお腹の子を大切にします」
どこまでも鬱陶しいな。
「そうだな。清い関係だから、妊娠なんてないよな。けど、高校に上がったらどうかな?」
ヨルクとて1人の男。どこまでも清い関係では耐えきれないだろう。
「あの、カラルリさんって、かつてアヤネさんと浮気してましたよね?汚れた人からの指摘って気分が悪いです」
また出た。ナミネお得意の理屈論。これだから末っ子は話が通じにくくて面倒なんだ。
「ナミネこそ、何人の男と付き合ったんだよ?浮気してんのナミネじゃん」
「ナミネ、もう相手にすんな。頭のネジ取れてんだろ」
「だねー!どうせセナ王女にまた妊娠されるの恐れてるようにしか見えないねー!」
どこまで人を馬鹿にすれば気が済むんだ。セナさんとは運命だ。遠い昔、セレナールと縁を切ってまでセナさんを選んだ。その想いは、今でも続いてる。
「ナミネは子供だから妊娠とか分からないんだな」
返事は来ない。私は思わずナミネに花札を投げた。が、ナミネは素早く避けた。こんなガキに力量で敵わないなんて悔しい。そう思っている間に私はナミネに扇子で肩を叩かれた。遠い昔は、軽い冗談でよくカナエに叩かれていたが、それも現代はなくなっている。ナミネはどれだけ馬鹿力なんだ。肩に凄い痛みが走る。
「今度は暴力か。フラれるぞ、この暴力女」
「ねえ、カラルリ。あなた急にどうしたのよ」
「ナミネが暴力振るうから、こっちも辛くて」
私は扇子で叩かれた肩をさすった。
「あの、カラルリさん。言いたいことがあるなら私に言ってください。ナミネをイジメないでください」
ここで、またヨルクがカッコつけるか。
「これ、ヨルクだろ。あれだけナミネ以外愛したことはないって言ってたけど、嘘もいいとこだな」
私は、いつかのヨルクが他の女と口付けしている写真を見せつけた。これは、カナコお姉様のアルバムに挟んであったものだ。
「覚えてませんし、本当に私ですか?私と言い切れる根拠って何ですか?」
私は完全にブチ切れた。気付いたら第4居間の物をヨルクに投げ付け、アヤネを蹴った。そして、知らない間に花瓶がエルナに当たっていた。
「一目惚れカラルリ、アンタ、何してるのか分かってんのか?エルナに危害加えるな!」
しまった。セルファを怒らせてしまった。私は咄嗟に庭に逃げようとしたが、ナミネとラルクが道を塞いだ。
……
あとがき。
古代編って、カラルリはアルフォンスに敬語だったんですね。
短期間なのに、めちゃくちゃ忘れてました。
……
この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
《カラルリ》
セナさんの妊娠が発覚した時、本音では私はかなり焦っていた。まだ、お互い高校2年生だし、何より私自身が大学まで行きたかったのだ。だから、本音では今回は諦めてもらって、結婚してから、また作ればいいと思っていた。そんな私の思いとは別に、セナさんは、強引に私に責任を取らせようとした。
私は、使用人のルリコに相談した。
『カラルリ坊っちゃま、私にお任せくださいませ』
私はルリコの、たった一言の言葉に自分の問題を丸投げした。
向き合わなきゃ。そんなことは重々承知だった。妖精村学園は事情によっては復帰出来るまで休学することが出来る。そうは言えども、セナさんが出産して、その子供が大きくなってから高等部に復帰しても世間の恥だ。かといって、高校を辞め中卒では、今の時代、何の職業にも就けない。例え、ありつけたとしても、そんなの若い時だけで、歳を取ると共に仕事は、ほぼゼロになる。そうなってしまえば、セナさんと結婚どころか、私は生涯無職でいなければならない。子供を抱えたまま。
私なりにキクリ家で、ちゃんと考えたつもりだ。けれど、やっぱり高校生で責任を取ることは考えられなかった。
あの食事会の日。
まさか、ルリコが中絶薬を持っていたとは全く知らなかった。それに、ピックティーも用意していただなんて。私はただ、セナさんが産んだあと、子供を孤児院にでも預けるのかと思い込んでいた。お腹の子を殺されてしまうとは本当に知らなかったのだ。それでも、セナさんが流産した以上、もう後の祭りだった。
私は自分の子を失った。それでも、父親になった感覚など全くなかった私は、セナさんの苦しみを理解してあげられなかった。
その後、セナさんはミナクと交際し、私はひとりぼっちになった。後悔してもしきれなかった。せめて、あの時、現状と向き合うくらいはするべきだったと。けれど、中卒で世帯を持ちたくない私の思いがそうさせてしまったのだろう。他の方法だってあっただろうに。そもそも、どうして私はあの時、すぐに世帯を持たなければならない概念にとらわれていたのだろう。出産までセナさんが休学して、子供が生まれれば使用人が育て、私たちは普通の高校生でいるという思考が全くなかった。すぐに責任を取ることが出来なくても、中絶させるよりかなりマシな選択だったと思う。
その後、本当の黒幕はルリコと知ったセナさんの矛先はルリコに向いた。ルリコは、いっときナミネの書いた厳しい処罰が適用されたものの、あとでズルエヌさんがナミネ越しに書いたセナさんの希望処罰を取り消し、ルリコを交番に連れて行った。本来なら不同意堕胎罪で罪に問われるところだったが、妖精村全域停電により、殺人罪かそれと同等の罪のみしか裁判が開かれなくて、ルリコは幸いにも裁きを受けなくて済んだ。あの時、カナコお姉様が身元引受け人としてルリコを迎えに行き、ルリコは今も私の使用人として働いている。
また、私はセナさんと、やり直すことになった。私がちゃんと向き合わず、自分の子を死なせてしまったことは、もう十分に反省した。セナさんには二度とそんな思いはさせない。
私も、ナミネやヨルクみたいに清い関係でいればよかったのだろうけど、高校生にもなれば、やっぱりそうも行かなかった。復縁した今でもセナさんとは去年の交際時のような関係でいる。
ナミネやヨルクは、まだ子供だ。大人の事情など一切知らないのだろう。
ヨルクは、万が一はナミネの責任を取るなどと戯言を言っていたが、一介の中学生なんかに何が出来る。どうせ、その万が一が来たらナミネに中絶同意書を書かせるのだろう。
ヨルクの優しさなど、上辺だけに過ぎない。ナミネは騙されているのだ。所詮、顔でモテる男には女などいくらでもいる。私とて、それなりにモテて来たが、ヨルクは別だ。あれまでに容姿の整った男は珍しい。ナミネもヨルクのイケメンさに惚れたのだろう。でなきゃ、辻褄が合わない。
ラルク、ラルク言っていたナミネが、ヨルクから突然告白されたらすんなり受け入れたのだから。所詮、女にとって交際する基準は相手の容姿と家柄、職業である。つまり、ブサメンはエリートでもない限り彼女など出来ないというわけだ。
セリルがカナコお姉様に手紙を残し、姿を消したあと、何故かセリルはナミネに紙飛行機を飛ばし、ナミネがキクリ家に伝えに来て、カナコお姉様とレイカさんがセリルを迎えに行った。
私は知らなかった。容姿端麗、頭脳明晰、常に成績は学年トップのセリルにも悩みがあったことを。遠い昔なら気付いていたかもしれないけど、3年生になって、クラスが変わった今、セリルの様子は全く知らなかったのである。
セリルは、セレナールがマモルから受けたことをずっと悩んでいたらしい。更に言うなら、遠い昔、セレナールがカナエを陥れようとして自分が陥れられてしまったことに対しても長らく悩んでいたそうだ。
あの時、私もセレナールを助けたかった。だから、カナエに結界を解くように言った。同時にセナさんも武官に押し倒されていたのに、私はセナさんを見て見ぬふりして、セレナールの元に走った。けれど、間に合わなかった。私はセナさんの信用を失い、セレナールを救えなかった最低な男となってしまった。
あの時のことは、今でも鮮明に覚えている。
私はボロボロになったセレナールを地面に下ろすとセナさんに駆け寄った。
『あの、セナさん』
セナさんは泣きながら私を引っぱたいた。
そして、みんなはレストランで話し合うことになった。放心状態のセレナールもみんなに着いて行った。またセイも後を追った。
レストランに着くとみんなは席に座った。
カナエも私をを引っぱたいた。
『何故ですか。セナさんの危ない時にどうしてセナさんを見捨てたのですか!』
私は言葉が見つからなかった。
『答えてください!お兄様!』
確かに私は、セナさんよりセレナールを優先した。けれど、それはセナさんなら自力でどうにか出来ると思ったからだ。
『セナさん、どうしたら許してくれる?』
私はもう見切りを付けられたと思いながらも、セナさんにすがっていた。
『カラルリ……もう遅いよ』
セナさんは立ち上がった。
『天界の結界 000 無限大 000 無限大 000 無限大 確定!』
セナさんはみんなを結界に閉じ込めて逃げ出した。
天界の結界は同時に3つまでの結界を張ることが出来る。また、0を無限大にくっつけることで、それ以上の技を使わなければ結界は解けなくなるのだ。セナさんは森林の結界と壁の結界、霧の結界をかけたのである。
『お兄様、どうするのですか!これではみんなが結界から出れません!』
セナさんが逃げ出し、追うことさえ出来ず私たちは結界に閉じ込められ身動きが取れなくなっていた。もはや、カナエの声さえ耳に届いていなかったかもしれない。
『カナエ、大丈夫だから』
アルフォンス王子はカナエの頭を撫でカナエの肩を抱き寄せた。
『でも、ここで白黒ハッキリさせたい。正直、セナを見捨てたことは見過ごせない。でも、カラルリがセレナールと縁を切って今後セレナールが危険な目にあっても一切助けない、そしてセナを第1に優先するならカラルリがセナと別れないようセナを説得する。でも、それが出来ないならセナを説得せず、私はカナエを連れてカラクリ家に戻るよ』
私のミスで、アルフォンス王子は私に条件を提示した。
『アルフォンス王子様、この結界を解けるのですか?』
『分からない。でも、大丈夫だと思う。結界のことなら心配しないで。今はカラルリが今後セナとどうするかを聞くことが肝心だと思う』
結界を解けたとして、本当にセナさんは戻ってきてくれるのだろうか。
『ですが、セナさんはもうお兄様に見切りをつけたように思います』
『カラルリ次第では私が説得する』
今のセナさんに説得など通用するのだろうか。
『分かりました。お兄様、どうするか選んでください。けれど、チャンスは1度しかありません。2度同じことを繰り返せば、その時はセナさんのお心からお兄様はいなくなるでしょう』
カナエは念を押した。
『私はセレナールと縁を切ります。今後一切セレナールに関わらず、セナさんを1番に優先します。同じ過ちは繰り返しません』
セレナールと縁を切りたくなどない。けれど、あの時の私はセナさんと別れないことのみしか考えられなかった。
『本当に?ほとぼりが冷めたら、またセレナールを放っておけなくてセナを見捨てたりしない?』
セレナールを助けに行った。たったそれだけのことで、ここまでの、おおごとになるとは思わなかった。
『セナさんを二度と見捨てません。約束します』
それでも私は、こうなった以上、何がなんでもセナさんと別れたくはなかったのである。
『お兄様、本当ですか?カナエは信じられません』
『カナエ、私はもう二度とセレナールと関わらないし、セナさんを第1に優先する』
もう手段は選べない。
『お兄様、2度目はありませんよ。同じ過ちを繰り返した時は誰もお兄様を助けません。本当にアルフォンス王子様の言ったことを守れますか?』
『必ず守る。アルフォンス王子、本当申し訳ありませんでした。私はセナさんと別れたくありません。これほどまでに愚かで弱くて誰も救えないですが、セナさんが好きです』
私とてセレナールと縁を切りたくない。でも、それよりセナさんが大事なんだ。セナさんを失うなんて生きながらも死んでいるのと同じだ。
カナエはアルフォンス王子を見た。
『分かった。約束は絶対守って』
アルフォンス王子は全ての気を体内に取り込んだ。
『解 0000 無限大 0000 無限大 0000 無限大!』
そして、アルフォンス王子は結界を解いた。
あの頃のアルフォンス王子の力量はとんでもないものだったと思う。今とは大違いだ。
セナさんの居所を突き止めるとアルフォンス王子はセナさんに話を持ちかけた。
『セナ、前置きとして最初に言うけれど、カラルリはあの状況でセナよりセレナールを選んだ。これはもうカラルリはセレナールを妹以上に見てるとしか思えない。多かれ少なかれカラルリはセレナールを好きだと思う。
でも、今回のことでカラルリは反省して、セレナールとは縁を切り二度とセレナールと接触しなければセレナールが危険に晒されていてもセレナールを助けず、セナを1番に優先すると言ってる。
決めるのはセナだけど、正直ここまで来ると最後のチャンスだと思う。セナがここでカラルリを見捨てたらカラルリはセレナールの元に行くと思うよ。今でも少しでもカラルリのことを好きならカラルリが他の女性と付き合って欲しくないなら別れることはオススメしない。
もう一度言うけれど、これがセナとカラルリが仲直りする最後のチャンスだと私は思ってる』
アルフォンス王子の話を聞いてセナさんは薄々は気づいていたらしい。これまでの私へのセレナールの態度はもはや妹以上に対する振る舞い方だと。それに対してセナさんはいつもセレナールに嫉妬していたのだ。でも今回はセナさんが大切なものを奪われかけたのに私はセナさんよりセレナールを選んだ。それはセナさんにとって許し難いことであったのである。
『私は正直今は気持ちの整理が付けられない。けれど、カラルリがアルフォンスが言ったことを本当に守ってくれるのなら私は1度だけカラルリにチャンスを与えようと思う。ただ、今回のことは私も相当堪えたからこれまで通りに戻るにはそれなりの時間がかかると思う。もしかしたら、今回のことで前みたいな関係には戻れないかもしれない』
セナさんは自分の心境をありのまま話した。
『カラルリはどう?セナはチャンスは与えるけど前みたいな関係には戻れないかもしれないと言ってるよ』
アルフォンス王子が私に確認した。答えは決まっている。
『それでも構いません。私はアルフォンス王子に約束したように今後セレナールとは縁を切るし、二度とセレナールに接触しなければセレナールが聞きに陥ってもセレナールを助けません。これからはセナさんを1番に優先します。セナさんが直ぐに私に気持ちが戻らなくてもセナさんが私にチャンスを与えてくれるのなら私はセナさんとの交際を続けたいです。セナさんと別れたくありません。セナさんの気持ちの整理がつくまで待つし、ずっとセナさんの傍にいます。セナさん今更謝っても無駄だろうけど、それでも本当に申し訳なかったと思ってる』
あの時の私はただただセナさんと別れたくなくて必死だった。
『セナ、カラルリはこう言ってるけどセナはカラルリと交際を続けられそう?』
アルフォンス王子が確かめた。
『今は分からないけど努力してみる』
本当に最後のチャンスだったと思う。セレナールのことは心苦しかったが、どうしてもセナさんを失いたくなくて失いたくなくてしかたなかったのだ。
その後、セナさんとはかなり気まずい雰囲気が続いたが、もう一度私のことを信じると言ってくれた。
あの頃は、何もなかった。
けれど、私たちは人と人との愛情で成り立っていたと思う。
そして、現世では、あの時、博物館でアルフォンス王子から言われたことが忘れられなくて、体育館でセナさんとセレナールが拘束されていた時、真っ先にセナさんを助けた。それが、セレナールから恨みを買い、ラルクに攻撃される事態を招くとは思ってもみなかった。
もう、あの時の博物館のことを思い出すだけで辛くなる。今は改装されているけれど、それでも、みんなで博物館に行った時は胸が締め付けられていた。
けれど遠い昔、あれだけセナさんと愛し合ったのだから、二度とセナさんを手放さない。私は二度とセナさんを苦しめない。そう心に誓った。
セリルの望んだ話し合いが近付いている。
どんな結果になるかは分からない。それでも、セリルの苦しみに気付けなかったのは不覚だ。セレナールの身体はもう元には戻らないけれど、せめて、セリルが納得いくような結果になってほしい。今回の話し合いは、遠い昔の博物館のことも出るだろう。私も覚悟しなければ。
あれから、ナミネがナノハナ家に戻ると言った途端に、みんな戻る方向になってしまった。第4居間ではナミネとヨルクがじゃれ合っている。
「もうすぐキクリ家で話し合いだというのに、ナミネとヨルクは何も思わないのか?特に、カンザシはナミネの実の兄なのに、責任感じないの?セレナールにしたことナミネがされたらどうするのかな?」
私は半ば苛立っていた。セリルとは遠い昔からの付き合いだし、セレナールは妹同然の存在。いくらセレナールを嫌っているからといって、無神経すぎる。
「私は、話し合いは話し合いの時にするものだと思っていますし、ここで過ごすこととはまた違うのではないでしょうか?」
何だ、この反応は。
「それは、それだけヨルクがセリルに無関心だからだろう。問題をすり替えるな!」
ダメだ。ナミネとヨルクを見ていると、何故か苛立ってしまう。
「一目惚れカラルリ、アンタ何をそんなに苛立ってんのさ」
こんなふうに、セリルの弟にいつも擁護してもらっている。自分では何もしない。私の嫌いなタイプだ。
「別に苛立っているわけではないけど、問題が問題なだけに、みんなにはそれ相応の覚悟を持って欲しかっただけだが」
「あの、カラルリさん。ここ私の家なので」
ナミネも馬鹿にしたような発言をする。こちらとて、妹同然のセレナールを、あんな目にあわされて黙ってはいられない。
「ナミネは子供だな。大人の恋愛が分からないから大人の事情も分からないんだな」
「逆に言わせてもらいますが、カラルリさんはセナ王女の妊娠をどこまで本気で捉えていたのでしょうか?あまり無駄口叩くと落ち武者さんにフェアリーングかけてもらいますよ」
最年少なのに生意気な口を叩いて本当に腹が立つ。けれど、フェアリーングで確かめられるのは分が悪い。
「セナさんの妊娠については、キクリ家で相当考え込んだ。けれど、突然のことでどうしたらいいのか分からなくて、ただひたすら悩み続けた。何がセナさんにとっての最善策なのか」
「今となっては、それが真実なのか分かりませんけどね」
どんな育ち方をしたらこうなるんだ。生意気にもほどがある。
「もし、ナミネが妊娠してもヨルクは中絶同意書書かせるよ」
「一目惚れカラルリ、アンタ何の話してんのさ?」
「あまりにナミネが子供だから責任というものを教えてあげてるだけだけど」
中学生なんて小学生の延長線のガキだ。ヨルクに騙されているとも知らずナミネも呑気なもんだ。
「私、別にヨルクさんに責任取ってもらおうなんて思ってません」
「ナミネ、悲しいこと言わないで。ナミネ1人に考え込ませたりしないよ。ナミネには苦労させない」
また綺麗事。憶測で物事を考えるヤツはタチが悪い。
「どうせ、ナミネに中絶同意書書かせるんだろ」
「私はそんなことしません。ナミネとナミネのお腹の子を大切にします」
どこまでも鬱陶しいな。
「そうだな。清い関係だから、妊娠なんてないよな。けど、高校に上がったらどうかな?」
ヨルクとて1人の男。どこまでも清い関係では耐えきれないだろう。
「あの、カラルリさんって、かつてアヤネさんと浮気してましたよね?汚れた人からの指摘って気分が悪いです」
また出た。ナミネお得意の理屈論。これだから末っ子は話が通じにくくて面倒なんだ。
「ナミネこそ、何人の男と付き合ったんだよ?浮気してんのナミネじゃん」
「ナミネ、もう相手にすんな。頭のネジ取れてんだろ」
「だねー!どうせセナ王女にまた妊娠されるの恐れてるようにしか見えないねー!」
どこまで人を馬鹿にすれば気が済むんだ。セナさんとは運命だ。遠い昔、セレナールと縁を切ってまでセナさんを選んだ。その想いは、今でも続いてる。
「ナミネは子供だから妊娠とか分からないんだな」
返事は来ない。私は思わずナミネに花札を投げた。が、ナミネは素早く避けた。こんなガキに力量で敵わないなんて悔しい。そう思っている間に私はナミネに扇子で肩を叩かれた。遠い昔は、軽い冗談でよくカナエに叩かれていたが、それも現代はなくなっている。ナミネはどれだけ馬鹿力なんだ。肩に凄い痛みが走る。
「今度は暴力か。フラれるぞ、この暴力女」
「ねえ、カラルリ。あなた急にどうしたのよ」
「ナミネが暴力振るうから、こっちも辛くて」
私は扇子で叩かれた肩をさすった。
「あの、カラルリさん。言いたいことがあるなら私に言ってください。ナミネをイジメないでください」
ここで、またヨルクがカッコつけるか。
「これ、ヨルクだろ。あれだけナミネ以外愛したことはないって言ってたけど、嘘もいいとこだな」
私は、いつかのヨルクが他の女と口付けしている写真を見せつけた。これは、カナコお姉様のアルバムに挟んであったものだ。
「覚えてませんし、本当に私ですか?私と言い切れる根拠って何ですか?」
私は完全にブチ切れた。気付いたら第4居間の物をヨルクに投げ付け、アヤネを蹴った。そして、知らない間に花瓶がエルナに当たっていた。
「一目惚れカラルリ、アンタ、何してるのか分かってんのか?エルナに危害加えるな!」
しまった。セルファを怒らせてしまった。私は咄嗟に庭に逃げようとしたが、ナミネとラルクが道を塞いだ。
……
あとがき。
古代編って、カラルリはアルフォンスに敬語だったんですね。
短期間なのに、めちゃくちゃ忘れてました。
……
この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
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