日常のこととかオリジナル小説のこととか。
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ashita
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女性
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地主(土地貸してます)
趣味:
漫画やアニメを見るのが好きです。最推しはフーディーニ ♡
自己紹介:
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ブログ、もう書かないと思ってました。
けれど、去年から書き始めた小説によって、過去に書いてた小説も書き始め、ここに載せることにしたのです。
小説は、主に『時間と時間を繋ぐ恋の物語』と『妖精村と愉快な仲間たち』をメインに書いています。
現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。
純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。
元々このブログは病気の記録用として立ち上げたものですが、小説載せるようになってからは、ここは出来るだけ趣味的なことを綴りたいと思っております。
病気の記録や様々な思いを綴るブログは移転済みなのです。
ただ、今は日記は個人的な徒然、或いはお知らせとして綴ることが多いかと思います。
小説、ぼちぼちマイペースに書いてゆきます。
よろしくお願い致します。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
お知らせ。
イラストは現在「ナノハナ家の日常」に載せております。サイドバーにリンクあります。
また、「カラクリよろずや」にてフリーイラスト素材について考えるブログはじめました✩.*˚
不定期に更新していく予定です。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
模倣・無断転載などは、ご遠慮ください。
ブログの小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
小説・純愛偏差値に関しましては、武家名・貴族名(程度による) / 及び、武官の階級 / 扇子・羽子板・花札・百人一首・紙飛行機などのアイテム使用方法の模倣の一切を禁じております。
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X @kigenzen1874
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けれど、去年から書き始めた小説によって、過去に書いてた小説も書き始め、ここに載せることにしたのです。
小説は、主に『時間と時間を繋ぐ恋の物語』と『妖精村と愉快な仲間たち』をメインに書いています。
現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。
純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。
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〈資格履歴〉
2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
→茶道アドバイザー 合格
→お点前インストラクター 合格
2025年04月17日
→着物マイスター 合格
→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
→サイキックアドバイザー 合格
→サイキックヒーラー 合格
2025年07月01日
→アンガーカウンセラー 合格
→アンガーコントロール士 合格
2025年08月04日
→漢方コーディネーター 合格
→薬膳調整師 合格
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〈資格証明バナー〉

2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
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2025年04月07日
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2025年04月17日
→着物マイスター 合格
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2025年05月19日
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2025年07月01日
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2025年08月04日
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〈資格証明バナー〉

Happy birthday!!!
ナミネ(♡´▽`♡)
ささやかながらに二段ケーキ作りました(*ˊᗜˋ)
プレートは簡易的ですが手作りなのです♬.*゚
ちなみに、二段ケーキ一度失敗してるんですよね( ˟ ⌑ ˟ )
気になる方はXご覧ください(笑)
失敗したときはめちゃくちゃショックでした。
でも、素材買い直して再度作ったんです(*´︶`)
トッピングの花は食用花なので食べれます( 'ᢦ' )
クリームはやっぱりナノハナ家色かなと✩.*˚
イラストクッキーは失敗用に3回も焼いたのに。
やっぱり一発描きが非常に苦手で(>ㅿ<;;)
暑い中での作業は忍耐力持たず。
いつもより焼きすぎちゃって。
途中で集中力切れちゃった(>_<)
作り直しは出来なかったけど。
ナミネとラルクだけでも描けて良かったかな(*´▽`*)
何世紀経っても大好きだよ(*>ω<*)♡♡♡
オリジナル小説 純愛偏差値 誕生日祝い
PR
純愛偏差値 未来編 一人称版 133話
《セナ》
私は、ずっと貴族との付き合いが殆どだった。全てが全てそうではないが、ほぼ騙し合いの世界なのである。言い寄ってくる男もたくさんいたけれど、私の財産目当てだろう。
そんな人間関係にウンザリして私はアルフォンスと紅葉町に引っ越してきたのだ。
けれど、王女と言うだけでクラスメイトからは避けられ、時にはイジメ紛いのこともされていた。でも、カラルリは違った。クラスに馴染めない私に色々と優しくしてくれて、グループも出来ていた。そして、私とカラルリは、次第に親しくなっていったのである。
はじめての好青年に、私は時間と共にカラルリのことを友達以上に見るようにもなっていた。セレナールがカラルリと仲良くするのを見るのは嫌だったし、私のカラルリへの気持ちは恋に近いものであったと思う。そして、私は確信が持てたら気持ちを伝えるつもりでいた。
けれど、あの日突然、クレナイ家のミナクが別荘に来て、私の気持ちは大きく揺さぶられた。事故とはいえ、クローゼットの部屋でミナクにファーストキスを奪われてからはミナクを意識するようになっていた。カラルリがミナクは女遊びをしていると言っていたけれど、それでも私の心は、あの一瞬でカラルリからミナクへ移り変った。正直、セレナールがミナクの腕を組んだ時は、かなり妬いてしまっていた。
ある日、学校の広場でミナクが他校の女の子を殴り付けているのを見てからは、急にミナクとの距離が縮まった。
私だけを見てほしい。そんな思いで、私はミナクを幸せにする決意をした。そして、ミナクとデートを重ねるほどに私の中の淡いカラルリへの想いは消えていた。今は、ミナクのことが好きだとハッキリ自覚している。
それで私は思った。カラルリに対しては恋と呼ぶには時が熟していなかったのではと。
「セナ王女って幼なじみとかいるんですか?」
夜の公園も悪くはない。
「あなたたちのようなものではないけれど、レナードが幼なじみよ。高校に上がってからも一緒にお風呂に入るくらい仲が良いの」
レナードとは幼稚園に入る前から親しくしていた。
「えっ、皇太子様ですか? やっぱりセナ王女とは住む世界が違いすぎます」
こんな風にミナクからは時折距離を置かれる。
「ミナクだってカナエと親しいじゃない。本当は恋愛感情あるんじゃないの?」
カナエはキクリ家の末っ子で、頭も良くて料理も出来て可愛い。学年のマドンナとしてはセレナールを支持する人が圧倒的だけど、カナエにはセレナールにはない魅力がある。
「カナエさんは大切な存在です。でも、姉以上に見たことはありません」
姉……か。
「じゃあ、セレナールのことはどう思う?」
やっぱり気にしてしまう。みんなで歩いていると通りかかる男はみんなセレナールのことを見ている。悔しいけど、かなり美人だと思う。
「うーん、綺麗だとは思いますが、どちらかと言うと姉のような存在ですかね」
また姉……。何となく都合良く誤魔化されている気がするのは被害妄想だろうか。私はミナクにもたれかかった。
好き。その一言が言えたら、どれだけ楽だろう。
「ミナクってキュート動画とか見るの?」
今や、そういったアプリは溢れ返っている。
「今日は質問が多いですね。男なら誰でも見てると思いますけど。カラルリさんも」
いや、今となってはカラルリのプライベートにはさほど興味はない。いつから興味がなくなったのかも薄れてゆく。それも全部ミナクのせい。
「そう。どういうキュート女優がタイプなの?」
私は出来心でミナクのフェアホを奪った。え、待ち受けは私とのツーショット? そして中を見る前に取り戻されてしまった。
どうしよう、めちゃくちゃ気まずい。その時、ミナクが私にフェアホ画面を見せた。
「前は色んなアプリ取ってましたが、今はたまにサイトで見る程度です。露骨な整形や派手な女は好みではないんで。フラワー女優がキュート女優だったら、まだ見応えあるんですけどね」
露骨や派手だっただろうか。
「そ、そう」
私は俯いた。
「三日連続で会ってますが良いんですか? カラルリさんのことは」
私とカラルリって、そういう風に見えるのだろうか。けれど、時間と共にカラルリからの好意的なようなものは感じられるようになって来た。
「あ、そのことなんだけど、クレナイ家に泊まった時のことフェアリー日記に書いていいかしら? それとミナクと交際はじめたってことも書きたいんだけど。後、出来ればミナクにもフェアリー日記登録してほしいの」
カラルリから好意を寄せられるような時は気まずい。私はもうミナクのことが好きだから。
「構いませんが、カラルリさんに嫉妬させたいならやめた方が良いです。フェアリー日記は今登録します」
うーん、こんなにミナクにくっついているのに気づいてもらえないものなのだろうか。
「そうじゃなくって、私カラルリのことは好きだけど恋愛感情じゃないのよ。でも、カラルリからは好意的なもの感じられて、このままだとグループに居づらくなるなあて。そうなりたくないの」
ミナクは一瞬驚いたような表情をした。私は勢いからかフェアリー日記に投稿をした。
『ミナクと交際スタート&初白咲』
その瞬間、カラルリから着信があった。けれど、私は出なかった。
「出なくていいんですか? 今頃カラルリさんショック受けてますよ。正直、セナ王女はカラルリさんに気があると思ってました」
確かに、意識はしていた。けれど、今思えば口付けしたいとかは思ったことがない。
「うーん、淡い想いを抱いていた時期はあったけど、多分、カラルリとは友達以上にはなれてなかったと思う。クレナイ家でミナクにされたこと、カラルリにはされたくない……」
恋じゃなかったとまでは言わない。けれど、どこか違和感はあった。
「それって私がセナ王女のファーストキス奪った時からですか?」
今度はミナクがやたら質問してくる。
「うーん、それもあると思うけど、友達としての触れ合いなら全然良かった。両想いだったとして、私はカラルリに友達以上のことは許せてない気がする」
上手く表現出来ない。意識はしていたし、セレナールと仲良くされるたびにヤキモチを妬いたのも事実。でも、ミナクに許せたことをカラルリにも許せていたかと考えたら、拒んでいたと思う。
「難しいですね。そういうカップルも世の中には多くいますが、セナ王女は無理そうですね。あんなに大胆でしたし」
思い出すと恥ずかしい。別に白梅まで捧げたわけじゃないけれど、多分にたような状況だったかもしれない。
時計を見ると22時を過ぎていた。
「あ、もうこんな時間。送って行くわ」
私は立ち上がった。その時、ミナクは後ろから私を抱き締めた。
「こういうこともされたくないですか?」
どうして、ここまで聞いてくるのだろう。
「ハッキリ言うわ! 最初は恋してたかもしれない! でも、少なくとも今はこういうことはされたくない!」
私が好きなのはカラルリじゃなくミナク。ミナクは私から離れた。
「そうですか。送って行きます」
私がミナクを幸せにするって決めたけど、少しづつミナクを求めはじめて今は、たびたび胸が苦しくなる。私はミナクの手を握った。
「そういえば、まだキープの子いるの?」
もっと楽しく過ごしたいのに、好きが募るほどそれが難しくなる。
「います。キープは辞めるつもりはありません」
これが嘘だということに私は全然気付けなかった。
「ええ、そこは止めないわ。ミナクのやりたいようにしたら良いと思う。でも、あなた。そのうち刺されるわよ?」
似たようなニュースは飛び交っている。人を貶めたら貶め返されるのが道理。正直そこはかなり心配だけれど、これまでの習慣をいきなり否定しては、それはそれでミナクの居心地を悪くするだけだし、こういった問題は難しい。
「セナ王女が言うと、めちゃくちゃリアリティありますね。刺されはされてませんが、復讐はされたことあります」
はあ、やっぱり心配だ。
「どんな?」
キープの子、何人いるのだろう。内官に調べさせるか。
「美人局です」
絶対ミナクがキレるパターンだ。
「全てを変えろとは言わないけど、やっぱり、ほどほどにしたほうが良いと思うわ。弄ばれるって良い気しないし。送ってくれてありがとう。気を付けて帰ってね」
その時、ミナクに手を握られた。
「幻滅しました?」
大人なことしてるけど、まだまだ子供ね。
「してないわ。最初に言ったことは覆さないし、ミナクの幸せは私が守る」
私はミナクに口付けしかけてやめた。まだ時は熟していない。ミナクがキープをやめるまでは支えることに集中しよう。
別荘に入るとリビングにアルフォンスがいた。
「セナ、何時だと思ってんの?」
しまった。互いに探り合いしているうちに、すっかり時間過ぎてしまった。
「ごめん、話し込んでた」
気を付けなきゃ。
「フェアリー日記のこと事実? ミナクはセナの白梅ゲットって書いてあるけど」
え、嘘。思わず胸が高鳴ってしまった。
「えっと、交際はしてない。白梅も」
でも、あの日のクレナイ家でのことだけは事実だ。
「もう書いた以上は嘘でしたはやめた方がいいと思う。嘘通すしかないと思うよ。でも、白咲の時、白空鈴になった?」
最初はそのつもりだった。嘘は通すつもり。嘘の中だけでもミナクと交際していたい。
「ううん、なってないし、普通に座布団に座ってるだけだったわ」
ミナクは私を気遣って変なことはさせなかった。
「そっか。でも、カラルリのことはどうするの?」
カラルリには悪いと思っている。けれど、私はもう引き返せない。
「私、ミナクが好きなの! 交際は出来ないかもしれないし、まだキープの子いるみたいだけど、真面目なカラルリよりミナクが好きなの! だから、ミナクと一緒にいたい」
周りは理解しないだろう。けれど、どうしてもミナクと離れたくない気持ちが強い。
「そうだね。カラルリのことは、それとなく気付いてた。セナがそこまでミナクを好きなら私は止めない。ただ、もうキープの子いないと思うよ?」
え、どういうこと? だって、ミナクはキープはやめないって言ってた。その時、アルフォンスが内官に調べさせた報告書を机に置いた。私は報告書を手に取った。
『報告書
クレナイ家、長男のミナクさんは小さい頃から虐待を受けている。相手は実の母親。虐待は酷く、ミナクさんや他の兄弟は生まれて間もない時から、たびたびナノハナ家に預けられていた。クレナイ家の母親とナノハナ家の母親は学生時代からの大親友。今でも家族ぐるみの付き合いをしている。
虐待のこともあってか、ミナクさんは年齢と共に不良と化していき、小学三年生のある日、学年の女子と白梅咲をした。その後も、好きでもない女の子を弄び続け、弄んだ女の子は貴族と同級生合わせて、80人を上回る。
小学五年生の頃には、女の子をキープするようになった。
キープした女の子には気に入らないことがあるたび、暴力をふるっていた。
デビュー仕立てのアイドルやフラワー女優、その他役者などもキープされていた。
ミナクさんのタイプは以下の芸能人たち。
ずっとキープの女の子は絶やさなかったが、今月の中頃に全て切ったと思われる。今のところは新しくキープする予定はなし。
以上、報告でした!』
知らなかった。ミナクはこれまでのこと話してくれていたけれど、虐待のことは聞いたこともないし、ナノハナ家の存在も私は知らない。簡単にミナクの幸せ守るだなんて言ったけれど、思ったより時間がかかりそうな気がする。それでも、私はミナクが立ち直るまで傍にいるつもりである。
キープしてない云々のことは今は期待は出来ない。やっぱり直接確かめたい。
それにしても、ミナクって思った以上に面食いだ。
「そう。でもミナクもいつかは本命に出会うだろうし、私も諦めなければいけない日が来ることは分かってるから」
分かってはいる。でも、心の中ではミナクの本命になりたくてたまらない。
「さっき、ミナクのこと好きって言ってたよね? 正直、セナにはミナクが他の人と一緒になるの耐えきれないと思う。だったら、素直になるべきなんじゃない?
でも、白梅はもっと慎重になってほしい。白咲でも何度も許せば、いずれ飽きは来るからさ。今のミナクはセナに優しくしてるけど、関係は確実に変わるよ」
それも分かってる。でも、好きだから許したくなる。そして、多くのカップルはたくさん後悔してきた。向こうにいた時、貴族の女の子が恋愛絡みで、よく泣いていたのを見てきた。自分はそうはならないと思っていたけれど、結局は私も、あの時の貴族と同じなのである。常に優しいカラルリとのほうが、きっと恋愛は穏やかだろうけど、それではダメなのだ。私は好きな人と交際したい。例え後悔しても。
翌日、私とセレナールは二時間目の途中、誰もいない体育館で椅子にロープで縛り付けられた。それも、授業中に外に出た私が良くなかったかもしれない。
突然、二人で話したいからとセレナールからレインが来て、私は体育館へ向かった。ミナクとのことだろうと、早く白黒ハッキリさせたかったのだ。
けれど、ミナクとの今の関係に気が緩んでいたのだろう。突然、背後からフェアリーホルムを嗅がされ、セレナールは即眠り、私は眠りはしなかったものの、身動きが取れなくなり、大学生だろう男たちに運ばれたのである。
こんな緩い結びなんて、普段の力量なら直ぐに解けるのに。このまま、大学生たちに人生を奪われることだけは絶対に嫌。私はセレナールには申し訳ないと思いながら自分に森林の結界をかけた。これで大学生は私に触れることさえ出来ない。今の力量で譲渡は出来ないからセレナールの分まではかけられない。
五分すれば少し身体が動くようになって来た。私は真っ先に紙飛行機をアルフォンスに飛ばした。セレナールが起きる前にロープを緩めておかないと。
けれど、セレナールは目を覚ました。そしてキョロキョロしはじめたのである。丸越しで……こんなの相手の思うツボではないか。私は眠ったフリを続けながらロープを緩めていった。
「どうなっているの?」
はあ……一緒に捕らえられたのがカナエならスムーズに事を運べただろうに。早くロープを解けるようにしないと用意されているのは最悪の未来だ。
「こっちの美少女は起きたか。
よく聞け。今から王子様が来る。俺らは、その王子様に『助けられるのは一人の姫』だとメールを飛ばした。つまり、王子様に助けてもらえなかった姫は俺らがたっぷり可愛がってあげるってわけ」
つまり、私かセレナールのどちらかを助けて逃げた後、助けられなかった方は大学生たちの餌食ってわけか。けれど、王子様って誰のことだろう。やはりアルフォンスだろうか。いや、ミナクという可能性もある。それだけは避けたい。はたまた、カラルリやエミル、セリルかもしれない。セリルだったら、真っ先にセレナールを助けるだろう。だとしたら、二人とも無傷でいられる。けれど、最悪なのは私を先に助けてしまった時だ。
「そんな! お願い見逃して!」
こんな相手にまともが通用するはずがない。
「じゃあ、向こうのお姫様の相手していいかな? 一分以内に答えてくれたら王子様の選択より君の選択で手を打つよ」
いっそ、私を差し出してくれた方が誰も傷つかずに済む。けれど、差し出されたなら私の胸は傷むだろう。
それにしても、私とセレナールの距離が20メートルほどあるのは、大学生の策略と言ったところか。本当に一人しか助からないんだ。
この時の私は、セイがセレナールの乱れた姿を見たいがために大学生からお金をもらって取り引きしていたことを私は知らなかった。その王子様とやらをカラルリにしていたこともセレナールを孤立させるための、セイの思い通りになるための手段であることを知る余地もなかったのであった。
「30秒たった。君が選ばれなかったら君は俺らと遊ぶことになるよ?」
セレナールはどのような選択をするのだろう。
「けど、こっちの銀髪の女の方が上玉じゃね? スタイルもいいし、すんげー美人だし」
やっぱり、みんなセレナールなんだ。はじめて会った時から苦手意識を感じていた。転校前は私が美人だとチヤホヤされてきただけに、上には上がいると思い知らされた。
「私を助けてほしい」
そうか。セレナールは私を捨てるんだ。だったら、この後何が起きても私もセレナールを助けない。セレナールの自分だけ助かりたい本音を直接聞いてしまうと思うより落ち込むものである。
けれど、これが大学生の嘘ということは私もセレナールも知らざにいた。
その時、カラルリが体育館に入って来た。そして、真っ先に私の方へ向かって来たのである。
「セナさん!!」
私は結界を解いた。
「じゃあ、やっぱりさっきのはなしで、こっちのお姫様の勝利ということで君にはこれから俺らの相手をしてもらおうか」
セレナールはジタバタした。
「約束が違うわ! お願い、見逃して!」
セレナールの頼みなど聞く耳はもたれず、セレナールは少しロープを緩められブレザーを脱がされた。
「いや! カラルリ助けて!」
ここの体育館は広い。けれど、カラルリはセレナールのほうには向かわない。そうしている間にもセレナールの上半身は下着姿になっていた。
「いやー! いやー!」
セレナールは必死にもがいたが、ロープは解かれ五人がかりで床に押さえつけられた。そして、スカートも脱がされた。
「うわー、めちゃくちゃ上玉。こっちの女が選ばれなくて良かった」
セレナールは泣きながら叫んだけどカラルリは見向きもしなかった。
大学生の一人がセレナールの下着に手をかけた時、私に花札3枚が飛んで来た。私に巻き付いていたロープは一瞬にして切れた。ミナクは扇子でセレナールを押さえつけている大学生を吹き飛ばした。
この子、思ったより判断力がいい。けれど、あれ? 私はカラルリが花札を使うところを一度も見たことがない。そんなことより、とっとと大学生を始末しないと。私は素早く一人一人拘束した。
「セナ! って、もう片付いてるじゃん」
アルフォンス、地味に来るの遅い。他の人に紙飛行機飛ばせば良かった。
「セレナールさん、立てますか? 保健室に行きましょう」
ミナクはブレザーを脱いでセレナールにかけた。こんな時まで嫉妬してしまう私って身勝手なのかもしれない。
「セナさん、無事で良かった」
カラルリは私を抱き締めた。カラルリが私を選んでくれたことは感謝するけれど、おかけでまたセレナールと拗れてしまう。セレナールはミナクに抱き着いている。
「ミナクが保健室に連れていくことなんてない!」
私はカラルリを振り払って、ミナクに抱き着いた。
「セナ王女、大丈夫か!?」
委員長、そしてハルミ先生とセリル、カナエ!
「委員長!」
「委員長!」
あれ、ミナクとハモった。私とミナクは思わず顔を見合せた。
「また、問題を起こしたのかね? 全く君はどうしようもないな」
髪はショートヘアだけど、私のクラスの委員長と似ている。姉妹だろうか。
「委員長、そりゃないだろ」
同級生の女の子のことも弄んでいたそうだけど、委員長とは仲良さげ。
「日頃の行いが悪いから疑われるのだよ」
確かに正論かもしれない。
「兄さん! 私、何の力もないのにまた後回しにされた!」
こういう時だけセリルに泣きついて……。そもそも、セレナールが私を呼び出したからこうなったわけで、先に私を見捨てる発言したのセレナールじゃない。
「こんな状況だけど、当事者が全員揃ってる今、何があったか全て話してくれないかしら」
ハルミ先生は、かなり真剣な表情をしている。
「あの、それでしたら体育館に取り付けられている防犯カメラの映像を先に見たほうが早いと思います。当事者に聞くのはその後の方が良いかと」
ミナクって思ったより頼りになる。女遊びではなく、本命と交際してたなら良い彼氏になっていただろうに。
「あ、そうよね。今外すわ」
ハルミ先生はどこか天然なところがある。私は防犯カメラのところへ走って大きく飛び上がりチップを抜いて着地した。
「流石はセナ王女だな。このフェアパットで確認しよう」
委員長は用意周到だ。
「ええ、お願い」
私は委員長にチップを渡した。
「やめて!」
突然セレナールがチップを奪おうとしたが、ミナクのクラスの委員長がセレナールの前に立った。
「口頭では食い違いが生じるだろう。これだけの人数がいるのだからな。映像で事実確認をした方が皆が動かない証拠を見られると思うが」
ミナクのクラスの委員長もしっかりしている。
そして、委員長によって映像は再生された。皆は、輪になって真剣に映像を見はじめた。
映像は体育館に入ったところからだけど、セレナールとのやり取りは映像を全て見た後に話した。
映像を見た後は、みんな険しい表情をしている。
「ま、君にしては良い判断だな、ミナク」
ミナクのクラスの委員長って、どこか変わっている。そして、ミナクは大学生たちを見た。
「この大学生ら、誰が拷問します? エミルさんが聞き出しますか?」
そうか、まだ謎はあった。どうしてカラルリのメールアドレスを知っていたのか、今思えば不思議で仕方ない。大学生にも真実を話してもらう必要がある。
その時、カラルリがミナクを殴り付けた。
「ミナク、お前わざと私を侮辱しただろう!」
こんなに怒っているカラルリを見たのははじめてだ。
「やめて、カラルリ! ミナクは何も悪くないじゃない!」
私はフェアリー日記に投稿したことを地味に後悔した。
「全く君は人をイラつかせやすいヤツだな」
ミナクのクラスの委員長はミナクの手当をした。私もミナクに駆け寄った。
「一言多いけど、ありがと、委員長」
アザが出来ている。
「向こうにも問題はあるようだが、見ていた限り後ろめたさがあったのだろう。人の闇を無闇に引き出してはいけないのだよ」
後ろめたさ……。確かに、誰にでも欠点はいくらでもある。そこを突かれてしまえば人はいい気はしないだろう。
「けれど、映像を見る限り、セナ王女とセレナールさんは二人ともロープで縛られていた。つまり、二人に同時に花札を投げた後、大学生を扇子で飛ばして拘束すれば平等に助けられたと私は思うが」
言われてみれば確かにそうだ。私たちは大学生の『どちらか一人しか助けられない』に拘っていたのだ。恐らくカラルリも。これも、大学生の計算の中に加わっていたのだろうか。
「おい、もう一度殴られたいか、ミナク!!」
どうしてここまで怒鳴るのだろう。私の知っているカラルリじゃない。
「カラルリ、やめないか。相手は中学生だろう」
委員長はカラルリの腕をつかんだ。
「カラルリ、どうしたんだよ。あの言い分はあくまでミナクの場合はってだけで、私なら大学生から始末するが」
そうか。強い人ほど、その人のやり方があるわけか。エミルは確実な方法を選ぶタイプだ。
「全く君は。今さっき忠告しただろうに。そこまで言うなら、君が拷問とやらをしてくれ。と言いたいところだが、それは校則に反しているゆえ、ここはハルミ先生に聞き出してもらうのが一番だな。ハルミ先生、聞き出してくれ」
この子、頭脳戦のタイプだ。ちょっと羨ましい。相当知力があるようにも見える。
「分かったわ。あなたたち、どうしてこんなことしたの?」
多分答えないだろう。拷問が出来ないのだから。
「負傷者もおるゆえ、もっと要点だけ聞いてくれんかのお? 君たちは、どうしてカラルリという者のメールアドレスを知っていたのかね?」
やっぱり答えない。その間にもセレナールの震えが強くなっている。セリルが手を握っているけれど、多分長くは持たない。
あの時、ミナクが保健室に連れて行こうとするのを阻止するべきではなかった。
「ふむ、答えないか。では、そのセレナールという者だけ姉君が病院に連れて行って、君たちが答えるまで何日も居座ろうではないか」
えっ、正気なのかしら。その時、セリルがセレナールから離れ、大学生たちの前に立った。
「カラルリのメールアドレスはどこで入手したのかな?」
あれ、これって、カナエが制服と体操着盗まれた時に使っていた催眠術的なものだ。
「名前分かんねえけど、高等部の男子がいきなり銀髪の女の写真見せてきて、千円くれたら好きにしていいって言うから千円渡して話に乗った。後は相手の指示通りに動いただけ」
何だかいやな予感がする。
「そっか。その高校生は何年生か分かる?」
セイ……なのだろうか。だったら、私も停学になるかもしれない。監督不行届だった。
「分かんねえけど多分一年」
私が立ったまま震えはじめたらミナクが肩をだいてくれた。私はミナクにもたれかかった。
「画面小さいけど……」
セリルが言いかけて委員長はフェアパットをセリルに差し出した。
「これを使ってくれ」
なんか、こういうのをチームワークと言うのだろうか。
「ありがとう。その一年生は、この中にいるかな?」
大学生はフェアパット画面を見た。
「コイツ、コイツっす!」
誰だろう。どうかセイ以外の人に……。
「目的は聞いてる?」
もう逃げようとしても仕方ない。こんなことするのはセイしかいない。
「なんか、女の乱れたところが見たいとか云々言ってたけど」
どうしてこうなってしまったのだろう。セイはどうしてまともになれなかったのだろう。この時の私はセイを戸籍から外したいと思っていた。
「それだけ? 他には何かある?」
全ての狙いはセレナールだったんだ。
「第二を突破して苦しむところも見たいとか。後は特に何も聞いてないし、俺らも見たこともない美人の水花卒業させれるならって、そればかり考えていたから」
上手い話に乗る大学生も大学生だけど、一番悪いのはセイだ。それでも、心のどこかでセイでないことを願っていた。
「君たちがしたことは罪にも問えるんだよね。同じこと繰り返せば少年院行きにもなる。もう二度と誰も傷付けないって約束出来そう?」
一瞬会話は途切れたかのように見えた。
「分かった。もう二度としない」
五人が同意した。
そして、セリルは委員長にフェアパットを戻した。
「じゃあ、聞き取りは済んだから大学生の始末はハルミ先生に任せて私はセレナールを月城総合病院に連れて行く」
ミナクのクラスの委員長が言うと共にショウゴ先生が来た。
「コイツらは俺が始末書書かせるからハルミもハルんとこ行って!」
こういうチームワーク、多分私は経験してこなかった。そして、他のメンバーも行くと言い出した。
「しかしなあ、あまりゾロゾロ行くとセレナールが負担だろう」
その時、カラルリが再びミナクに殴りかかった。私は咄嗟にカラルリを止めた。
「お兄様、もうおやめ下さい! ミナクは悪くないではありませんか!」
カナエはミナクを抱き締めた。
そして、救急車が到着した頃、私は突如セレナールに引っぱたかれた。
「本当にどこまでも最低な人ね! 何が大切な弟よ! 犯罪者じゃないの! 一生恨んでやる! あなたの弟には散々な目に合わされたから私も弟に復讐してもらうわ!」
やっぱり黒幕はセイだった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
あとがき。
いつもより長くなってしまいました。
古代編も書き始めているので、もう古代編のことは伏せないでおきます。
カラルリが迷わずセナを選んだ裏側には、ある約束があったんですよね。それは、古代編が進むごとに知ってゆくでしょう。
二人の大切な人のうち、一人しか救えない。
もし、そういう状況があって、助けてもらえなかったなら誰だってセレナールのようになると思うんですよね。
これまでも、みんなの自覚なしにセレナールは傷付いてきましたし。
グループ付き合いで、不利な状況を耐えている人がいるとするなら私は悲しく思います。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
また、程度によりますが模倣はご遠慮願います。
詳しくは《カテゴリ》→《説明事項》→《模倣のご遠慮願います》をご覧ください。
小説の無断転載もご遠慮くださいませ〜♪
《セナ》
私は、ずっと貴族との付き合いが殆どだった。全てが全てそうではないが、ほぼ騙し合いの世界なのである。言い寄ってくる男もたくさんいたけれど、私の財産目当てだろう。
そんな人間関係にウンザリして私はアルフォンスと紅葉町に引っ越してきたのだ。
けれど、王女と言うだけでクラスメイトからは避けられ、時にはイジメ紛いのこともされていた。でも、カラルリは違った。クラスに馴染めない私に色々と優しくしてくれて、グループも出来ていた。そして、私とカラルリは、次第に親しくなっていったのである。
はじめての好青年に、私は時間と共にカラルリのことを友達以上に見るようにもなっていた。セレナールがカラルリと仲良くするのを見るのは嫌だったし、私のカラルリへの気持ちは恋に近いものであったと思う。そして、私は確信が持てたら気持ちを伝えるつもりでいた。
けれど、あの日突然、クレナイ家のミナクが別荘に来て、私の気持ちは大きく揺さぶられた。事故とはいえ、クローゼットの部屋でミナクにファーストキスを奪われてからはミナクを意識するようになっていた。カラルリがミナクは女遊びをしていると言っていたけれど、それでも私の心は、あの一瞬でカラルリからミナクへ移り変った。正直、セレナールがミナクの腕を組んだ時は、かなり妬いてしまっていた。
ある日、学校の広場でミナクが他校の女の子を殴り付けているのを見てからは、急にミナクとの距離が縮まった。
私だけを見てほしい。そんな思いで、私はミナクを幸せにする決意をした。そして、ミナクとデートを重ねるほどに私の中の淡いカラルリへの想いは消えていた。今は、ミナクのことが好きだとハッキリ自覚している。
それで私は思った。カラルリに対しては恋と呼ぶには時が熟していなかったのではと。
「セナ王女って幼なじみとかいるんですか?」
夜の公園も悪くはない。
「あなたたちのようなものではないけれど、レナードが幼なじみよ。高校に上がってからも一緒にお風呂に入るくらい仲が良いの」
レナードとは幼稚園に入る前から親しくしていた。
「えっ、皇太子様ですか? やっぱりセナ王女とは住む世界が違いすぎます」
こんな風にミナクからは時折距離を置かれる。
「ミナクだってカナエと親しいじゃない。本当は恋愛感情あるんじゃないの?」
カナエはキクリ家の末っ子で、頭も良くて料理も出来て可愛い。学年のマドンナとしてはセレナールを支持する人が圧倒的だけど、カナエにはセレナールにはない魅力がある。
「カナエさんは大切な存在です。でも、姉以上に見たことはありません」
姉……か。
「じゃあ、セレナールのことはどう思う?」
やっぱり気にしてしまう。みんなで歩いていると通りかかる男はみんなセレナールのことを見ている。悔しいけど、かなり美人だと思う。
「うーん、綺麗だとは思いますが、どちらかと言うと姉のような存在ですかね」
また姉……。何となく都合良く誤魔化されている気がするのは被害妄想だろうか。私はミナクにもたれかかった。
好き。その一言が言えたら、どれだけ楽だろう。
「ミナクってキュート動画とか見るの?」
今や、そういったアプリは溢れ返っている。
「今日は質問が多いですね。男なら誰でも見てると思いますけど。カラルリさんも」
いや、今となってはカラルリのプライベートにはさほど興味はない。いつから興味がなくなったのかも薄れてゆく。それも全部ミナクのせい。
「そう。どういうキュート女優がタイプなの?」
私は出来心でミナクのフェアホを奪った。え、待ち受けは私とのツーショット? そして中を見る前に取り戻されてしまった。
どうしよう、めちゃくちゃ気まずい。その時、ミナクが私にフェアホ画面を見せた。
「前は色んなアプリ取ってましたが、今はたまにサイトで見る程度です。露骨な整形や派手な女は好みではないんで。フラワー女優がキュート女優だったら、まだ見応えあるんですけどね」
露骨や派手だっただろうか。
「そ、そう」
私は俯いた。
「三日連続で会ってますが良いんですか? カラルリさんのことは」
私とカラルリって、そういう風に見えるのだろうか。けれど、時間と共にカラルリからの好意的なようなものは感じられるようになって来た。
「あ、そのことなんだけど、クレナイ家に泊まった時のことフェアリー日記に書いていいかしら? それとミナクと交際はじめたってことも書きたいんだけど。後、出来ればミナクにもフェアリー日記登録してほしいの」
カラルリから好意を寄せられるような時は気まずい。私はもうミナクのことが好きだから。
「構いませんが、カラルリさんに嫉妬させたいならやめた方が良いです。フェアリー日記は今登録します」
うーん、こんなにミナクにくっついているのに気づいてもらえないものなのだろうか。
「そうじゃなくって、私カラルリのことは好きだけど恋愛感情じゃないのよ。でも、カラルリからは好意的なもの感じられて、このままだとグループに居づらくなるなあて。そうなりたくないの」
ミナクは一瞬驚いたような表情をした。私は勢いからかフェアリー日記に投稿をした。
『ミナクと交際スタート&初白咲』
その瞬間、カラルリから着信があった。けれど、私は出なかった。
「出なくていいんですか? 今頃カラルリさんショック受けてますよ。正直、セナ王女はカラルリさんに気があると思ってました」
確かに、意識はしていた。けれど、今思えば口付けしたいとかは思ったことがない。
「うーん、淡い想いを抱いていた時期はあったけど、多分、カラルリとは友達以上にはなれてなかったと思う。クレナイ家でミナクにされたこと、カラルリにはされたくない……」
恋じゃなかったとまでは言わない。けれど、どこか違和感はあった。
「それって私がセナ王女のファーストキス奪った時からですか?」
今度はミナクがやたら質問してくる。
「うーん、それもあると思うけど、友達としての触れ合いなら全然良かった。両想いだったとして、私はカラルリに友達以上のことは許せてない気がする」
上手く表現出来ない。意識はしていたし、セレナールと仲良くされるたびにヤキモチを妬いたのも事実。でも、ミナクに許せたことをカラルリにも許せていたかと考えたら、拒んでいたと思う。
「難しいですね。そういうカップルも世の中には多くいますが、セナ王女は無理そうですね。あんなに大胆でしたし」
思い出すと恥ずかしい。別に白梅まで捧げたわけじゃないけれど、多分にたような状況だったかもしれない。
時計を見ると22時を過ぎていた。
「あ、もうこんな時間。送って行くわ」
私は立ち上がった。その時、ミナクは後ろから私を抱き締めた。
「こういうこともされたくないですか?」
どうして、ここまで聞いてくるのだろう。
「ハッキリ言うわ! 最初は恋してたかもしれない! でも、少なくとも今はこういうことはされたくない!」
私が好きなのはカラルリじゃなくミナク。ミナクは私から離れた。
「そうですか。送って行きます」
私がミナクを幸せにするって決めたけど、少しづつミナクを求めはじめて今は、たびたび胸が苦しくなる。私はミナクの手を握った。
「そういえば、まだキープの子いるの?」
もっと楽しく過ごしたいのに、好きが募るほどそれが難しくなる。
「います。キープは辞めるつもりはありません」
これが嘘だということに私は全然気付けなかった。
「ええ、そこは止めないわ。ミナクのやりたいようにしたら良いと思う。でも、あなた。そのうち刺されるわよ?」
似たようなニュースは飛び交っている。人を貶めたら貶め返されるのが道理。正直そこはかなり心配だけれど、これまでの習慣をいきなり否定しては、それはそれでミナクの居心地を悪くするだけだし、こういった問題は難しい。
「セナ王女が言うと、めちゃくちゃリアリティありますね。刺されはされてませんが、復讐はされたことあります」
はあ、やっぱり心配だ。
「どんな?」
キープの子、何人いるのだろう。内官に調べさせるか。
「美人局です」
絶対ミナクがキレるパターンだ。
「全てを変えろとは言わないけど、やっぱり、ほどほどにしたほうが良いと思うわ。弄ばれるって良い気しないし。送ってくれてありがとう。気を付けて帰ってね」
その時、ミナクに手を握られた。
「幻滅しました?」
大人なことしてるけど、まだまだ子供ね。
「してないわ。最初に言ったことは覆さないし、ミナクの幸せは私が守る」
私はミナクに口付けしかけてやめた。まだ時は熟していない。ミナクがキープをやめるまでは支えることに集中しよう。
別荘に入るとリビングにアルフォンスがいた。
「セナ、何時だと思ってんの?」
しまった。互いに探り合いしているうちに、すっかり時間過ぎてしまった。
「ごめん、話し込んでた」
気を付けなきゃ。
「フェアリー日記のこと事実? ミナクはセナの白梅ゲットって書いてあるけど」
え、嘘。思わず胸が高鳴ってしまった。
「えっと、交際はしてない。白梅も」
でも、あの日のクレナイ家でのことだけは事実だ。
「もう書いた以上は嘘でしたはやめた方がいいと思う。嘘通すしかないと思うよ。でも、白咲の時、白空鈴になった?」
最初はそのつもりだった。嘘は通すつもり。嘘の中だけでもミナクと交際していたい。
「ううん、なってないし、普通に座布団に座ってるだけだったわ」
ミナクは私を気遣って変なことはさせなかった。
「そっか。でも、カラルリのことはどうするの?」
カラルリには悪いと思っている。けれど、私はもう引き返せない。
「私、ミナクが好きなの! 交際は出来ないかもしれないし、まだキープの子いるみたいだけど、真面目なカラルリよりミナクが好きなの! だから、ミナクと一緒にいたい」
周りは理解しないだろう。けれど、どうしてもミナクと離れたくない気持ちが強い。
「そうだね。カラルリのことは、それとなく気付いてた。セナがそこまでミナクを好きなら私は止めない。ただ、もうキープの子いないと思うよ?」
え、どういうこと? だって、ミナクはキープはやめないって言ってた。その時、アルフォンスが内官に調べさせた報告書を机に置いた。私は報告書を手に取った。
『報告書
クレナイ家、長男のミナクさんは小さい頃から虐待を受けている。相手は実の母親。虐待は酷く、ミナクさんや他の兄弟は生まれて間もない時から、たびたびナノハナ家に預けられていた。クレナイ家の母親とナノハナ家の母親は学生時代からの大親友。今でも家族ぐるみの付き合いをしている。
虐待のこともあってか、ミナクさんは年齢と共に不良と化していき、小学三年生のある日、学年の女子と白梅咲をした。その後も、好きでもない女の子を弄び続け、弄んだ女の子は貴族と同級生合わせて、80人を上回る。
小学五年生の頃には、女の子をキープするようになった。
キープした女の子には気に入らないことがあるたび、暴力をふるっていた。
デビュー仕立てのアイドルやフラワー女優、その他役者などもキープされていた。
ミナクさんのタイプは以下の芸能人たち。
ずっとキープの女の子は絶やさなかったが、今月の中頃に全て切ったと思われる。今のところは新しくキープする予定はなし。
以上、報告でした!』
知らなかった。ミナクはこれまでのこと話してくれていたけれど、虐待のことは聞いたこともないし、ナノハナ家の存在も私は知らない。簡単にミナクの幸せ守るだなんて言ったけれど、思ったより時間がかかりそうな気がする。それでも、私はミナクが立ち直るまで傍にいるつもりである。
キープしてない云々のことは今は期待は出来ない。やっぱり直接確かめたい。
それにしても、ミナクって思った以上に面食いだ。
「そう。でもミナクもいつかは本命に出会うだろうし、私も諦めなければいけない日が来ることは分かってるから」
分かってはいる。でも、心の中ではミナクの本命になりたくてたまらない。
「さっき、ミナクのこと好きって言ってたよね? 正直、セナにはミナクが他の人と一緒になるの耐えきれないと思う。だったら、素直になるべきなんじゃない?
でも、白梅はもっと慎重になってほしい。白咲でも何度も許せば、いずれ飽きは来るからさ。今のミナクはセナに優しくしてるけど、関係は確実に変わるよ」
それも分かってる。でも、好きだから許したくなる。そして、多くのカップルはたくさん後悔してきた。向こうにいた時、貴族の女の子が恋愛絡みで、よく泣いていたのを見てきた。自分はそうはならないと思っていたけれど、結局は私も、あの時の貴族と同じなのである。常に優しいカラルリとのほうが、きっと恋愛は穏やかだろうけど、それではダメなのだ。私は好きな人と交際したい。例え後悔しても。
翌日、私とセレナールは二時間目の途中、誰もいない体育館で椅子にロープで縛り付けられた。それも、授業中に外に出た私が良くなかったかもしれない。
突然、二人で話したいからとセレナールからレインが来て、私は体育館へ向かった。ミナクとのことだろうと、早く白黒ハッキリさせたかったのだ。
けれど、ミナクとの今の関係に気が緩んでいたのだろう。突然、背後からフェアリーホルムを嗅がされ、セレナールは即眠り、私は眠りはしなかったものの、身動きが取れなくなり、大学生だろう男たちに運ばれたのである。
こんな緩い結びなんて、普段の力量なら直ぐに解けるのに。このまま、大学生たちに人生を奪われることだけは絶対に嫌。私はセレナールには申し訳ないと思いながら自分に森林の結界をかけた。これで大学生は私に触れることさえ出来ない。今の力量で譲渡は出来ないからセレナールの分まではかけられない。
五分すれば少し身体が動くようになって来た。私は真っ先に紙飛行機をアルフォンスに飛ばした。セレナールが起きる前にロープを緩めておかないと。
けれど、セレナールは目を覚ました。そしてキョロキョロしはじめたのである。丸越しで……こんなの相手の思うツボではないか。私は眠ったフリを続けながらロープを緩めていった。
「どうなっているの?」
はあ……一緒に捕らえられたのがカナエならスムーズに事を運べただろうに。早くロープを解けるようにしないと用意されているのは最悪の未来だ。
「こっちの美少女は起きたか。
よく聞け。今から王子様が来る。俺らは、その王子様に『助けられるのは一人の姫』だとメールを飛ばした。つまり、王子様に助けてもらえなかった姫は俺らがたっぷり可愛がってあげるってわけ」
つまり、私かセレナールのどちらかを助けて逃げた後、助けられなかった方は大学生たちの餌食ってわけか。けれど、王子様って誰のことだろう。やはりアルフォンスだろうか。いや、ミナクという可能性もある。それだけは避けたい。はたまた、カラルリやエミル、セリルかもしれない。セリルだったら、真っ先にセレナールを助けるだろう。だとしたら、二人とも無傷でいられる。けれど、最悪なのは私を先に助けてしまった時だ。
「そんな! お願い見逃して!」
こんな相手にまともが通用するはずがない。
「じゃあ、向こうのお姫様の相手していいかな? 一分以内に答えてくれたら王子様の選択より君の選択で手を打つよ」
いっそ、私を差し出してくれた方が誰も傷つかずに済む。けれど、差し出されたなら私の胸は傷むだろう。
それにしても、私とセレナールの距離が20メートルほどあるのは、大学生の策略と言ったところか。本当に一人しか助からないんだ。
この時の私は、セイがセレナールの乱れた姿を見たいがために大学生からお金をもらって取り引きしていたことを私は知らなかった。その王子様とやらをカラルリにしていたこともセレナールを孤立させるための、セイの思い通りになるための手段であることを知る余地もなかったのであった。
「30秒たった。君が選ばれなかったら君は俺らと遊ぶことになるよ?」
セレナールはどのような選択をするのだろう。
「けど、こっちの銀髪の女の方が上玉じゃね? スタイルもいいし、すんげー美人だし」
やっぱり、みんなセレナールなんだ。はじめて会った時から苦手意識を感じていた。転校前は私が美人だとチヤホヤされてきただけに、上には上がいると思い知らされた。
「私を助けてほしい」
そうか。セレナールは私を捨てるんだ。だったら、この後何が起きても私もセレナールを助けない。セレナールの自分だけ助かりたい本音を直接聞いてしまうと思うより落ち込むものである。
けれど、これが大学生の嘘ということは私もセレナールも知らざにいた。
その時、カラルリが体育館に入って来た。そして、真っ先に私の方へ向かって来たのである。
「セナさん!!」
私は結界を解いた。
「じゃあ、やっぱりさっきのはなしで、こっちのお姫様の勝利ということで君にはこれから俺らの相手をしてもらおうか」
セレナールはジタバタした。
「約束が違うわ! お願い、見逃して!」
セレナールの頼みなど聞く耳はもたれず、セレナールは少しロープを緩められブレザーを脱がされた。
「いや! カラルリ助けて!」
ここの体育館は広い。けれど、カラルリはセレナールのほうには向かわない。そうしている間にもセレナールの上半身は下着姿になっていた。
「いやー! いやー!」
セレナールは必死にもがいたが、ロープは解かれ五人がかりで床に押さえつけられた。そして、スカートも脱がされた。
「うわー、めちゃくちゃ上玉。こっちの女が選ばれなくて良かった」
セレナールは泣きながら叫んだけどカラルリは見向きもしなかった。
大学生の一人がセレナールの下着に手をかけた時、私に花札3枚が飛んで来た。私に巻き付いていたロープは一瞬にして切れた。ミナクは扇子でセレナールを押さえつけている大学生を吹き飛ばした。
この子、思ったより判断力がいい。けれど、あれ? 私はカラルリが花札を使うところを一度も見たことがない。そんなことより、とっとと大学生を始末しないと。私は素早く一人一人拘束した。
「セナ! って、もう片付いてるじゃん」
アルフォンス、地味に来るの遅い。他の人に紙飛行機飛ばせば良かった。
「セレナールさん、立てますか? 保健室に行きましょう」
ミナクはブレザーを脱いでセレナールにかけた。こんな時まで嫉妬してしまう私って身勝手なのかもしれない。
「セナさん、無事で良かった」
カラルリは私を抱き締めた。カラルリが私を選んでくれたことは感謝するけれど、おかけでまたセレナールと拗れてしまう。セレナールはミナクに抱き着いている。
「ミナクが保健室に連れていくことなんてない!」
私はカラルリを振り払って、ミナクに抱き着いた。
「セナ王女、大丈夫か!?」
委員長、そしてハルミ先生とセリル、カナエ!
「委員長!」
「委員長!」
あれ、ミナクとハモった。私とミナクは思わず顔を見合せた。
「また、問題を起こしたのかね? 全く君はどうしようもないな」
髪はショートヘアだけど、私のクラスの委員長と似ている。姉妹だろうか。
「委員長、そりゃないだろ」
同級生の女の子のことも弄んでいたそうだけど、委員長とは仲良さげ。
「日頃の行いが悪いから疑われるのだよ」
確かに正論かもしれない。
「兄さん! 私、何の力もないのにまた後回しにされた!」
こういう時だけセリルに泣きついて……。そもそも、セレナールが私を呼び出したからこうなったわけで、先に私を見捨てる発言したのセレナールじゃない。
「こんな状況だけど、当事者が全員揃ってる今、何があったか全て話してくれないかしら」
ハルミ先生は、かなり真剣な表情をしている。
「あの、それでしたら体育館に取り付けられている防犯カメラの映像を先に見たほうが早いと思います。当事者に聞くのはその後の方が良いかと」
ミナクって思ったより頼りになる。女遊びではなく、本命と交際してたなら良い彼氏になっていただろうに。
「あ、そうよね。今外すわ」
ハルミ先生はどこか天然なところがある。私は防犯カメラのところへ走って大きく飛び上がりチップを抜いて着地した。
「流石はセナ王女だな。このフェアパットで確認しよう」
委員長は用意周到だ。
「ええ、お願い」
私は委員長にチップを渡した。
「やめて!」
突然セレナールがチップを奪おうとしたが、ミナクのクラスの委員長がセレナールの前に立った。
「口頭では食い違いが生じるだろう。これだけの人数がいるのだからな。映像で事実確認をした方が皆が動かない証拠を見られると思うが」
ミナクのクラスの委員長もしっかりしている。
そして、委員長によって映像は再生された。皆は、輪になって真剣に映像を見はじめた。
映像は体育館に入ったところからだけど、セレナールとのやり取りは映像を全て見た後に話した。
映像を見た後は、みんな険しい表情をしている。
「ま、君にしては良い判断だな、ミナク」
ミナクのクラスの委員長って、どこか変わっている。そして、ミナクは大学生たちを見た。
「この大学生ら、誰が拷問します? エミルさんが聞き出しますか?」
そうか、まだ謎はあった。どうしてカラルリのメールアドレスを知っていたのか、今思えば不思議で仕方ない。大学生にも真実を話してもらう必要がある。
その時、カラルリがミナクを殴り付けた。
「ミナク、お前わざと私を侮辱しただろう!」
こんなに怒っているカラルリを見たのははじめてだ。
「やめて、カラルリ! ミナクは何も悪くないじゃない!」
私はフェアリー日記に投稿したことを地味に後悔した。
「全く君は人をイラつかせやすいヤツだな」
ミナクのクラスの委員長はミナクの手当をした。私もミナクに駆け寄った。
「一言多いけど、ありがと、委員長」
アザが出来ている。
「向こうにも問題はあるようだが、見ていた限り後ろめたさがあったのだろう。人の闇を無闇に引き出してはいけないのだよ」
後ろめたさ……。確かに、誰にでも欠点はいくらでもある。そこを突かれてしまえば人はいい気はしないだろう。
「けれど、映像を見る限り、セナ王女とセレナールさんは二人ともロープで縛られていた。つまり、二人に同時に花札を投げた後、大学生を扇子で飛ばして拘束すれば平等に助けられたと私は思うが」
言われてみれば確かにそうだ。私たちは大学生の『どちらか一人しか助けられない』に拘っていたのだ。恐らくカラルリも。これも、大学生の計算の中に加わっていたのだろうか。
「おい、もう一度殴られたいか、ミナク!!」
どうしてここまで怒鳴るのだろう。私の知っているカラルリじゃない。
「カラルリ、やめないか。相手は中学生だろう」
委員長はカラルリの腕をつかんだ。
「カラルリ、どうしたんだよ。あの言い分はあくまでミナクの場合はってだけで、私なら大学生から始末するが」
そうか。強い人ほど、その人のやり方があるわけか。エミルは確実な方法を選ぶタイプだ。
「全く君は。今さっき忠告しただろうに。そこまで言うなら、君が拷問とやらをしてくれ。と言いたいところだが、それは校則に反しているゆえ、ここはハルミ先生に聞き出してもらうのが一番だな。ハルミ先生、聞き出してくれ」
この子、頭脳戦のタイプだ。ちょっと羨ましい。相当知力があるようにも見える。
「分かったわ。あなたたち、どうしてこんなことしたの?」
多分答えないだろう。拷問が出来ないのだから。
「負傷者もおるゆえ、もっと要点だけ聞いてくれんかのお? 君たちは、どうしてカラルリという者のメールアドレスを知っていたのかね?」
やっぱり答えない。その間にもセレナールの震えが強くなっている。セリルが手を握っているけれど、多分長くは持たない。
あの時、ミナクが保健室に連れて行こうとするのを阻止するべきではなかった。
「ふむ、答えないか。では、そのセレナールという者だけ姉君が病院に連れて行って、君たちが答えるまで何日も居座ろうではないか」
えっ、正気なのかしら。その時、セリルがセレナールから離れ、大学生たちの前に立った。
「カラルリのメールアドレスはどこで入手したのかな?」
あれ、これって、カナエが制服と体操着盗まれた時に使っていた催眠術的なものだ。
「名前分かんねえけど、高等部の男子がいきなり銀髪の女の写真見せてきて、千円くれたら好きにしていいって言うから千円渡して話に乗った。後は相手の指示通りに動いただけ」
何だかいやな予感がする。
「そっか。その高校生は何年生か分かる?」
セイ……なのだろうか。だったら、私も停学になるかもしれない。監督不行届だった。
「分かんねえけど多分一年」
私が立ったまま震えはじめたらミナクが肩をだいてくれた。私はミナクにもたれかかった。
「画面小さいけど……」
セリルが言いかけて委員長はフェアパットをセリルに差し出した。
「これを使ってくれ」
なんか、こういうのをチームワークと言うのだろうか。
「ありがとう。その一年生は、この中にいるかな?」
大学生はフェアパット画面を見た。
「コイツ、コイツっす!」
誰だろう。どうかセイ以外の人に……。
「目的は聞いてる?」
もう逃げようとしても仕方ない。こんなことするのはセイしかいない。
「なんか、女の乱れたところが見たいとか云々言ってたけど」
どうしてこうなってしまったのだろう。セイはどうしてまともになれなかったのだろう。この時の私はセイを戸籍から外したいと思っていた。
「それだけ? 他には何かある?」
全ての狙いはセレナールだったんだ。
「第二を突破して苦しむところも見たいとか。後は特に何も聞いてないし、俺らも見たこともない美人の水花卒業させれるならって、そればかり考えていたから」
上手い話に乗る大学生も大学生だけど、一番悪いのはセイだ。それでも、心のどこかでセイでないことを願っていた。
「君たちがしたことは罪にも問えるんだよね。同じこと繰り返せば少年院行きにもなる。もう二度と誰も傷付けないって約束出来そう?」
一瞬会話は途切れたかのように見えた。
「分かった。もう二度としない」
五人が同意した。
そして、セリルは委員長にフェアパットを戻した。
「じゃあ、聞き取りは済んだから大学生の始末はハルミ先生に任せて私はセレナールを月城総合病院に連れて行く」
ミナクのクラスの委員長が言うと共にショウゴ先生が来た。
「コイツらは俺が始末書書かせるからハルミもハルんとこ行って!」
こういうチームワーク、多分私は経験してこなかった。そして、他のメンバーも行くと言い出した。
「しかしなあ、あまりゾロゾロ行くとセレナールが負担だろう」
その時、カラルリが再びミナクに殴りかかった。私は咄嗟にカラルリを止めた。
「お兄様、もうおやめ下さい! ミナクは悪くないではありませんか!」
カナエはミナクを抱き締めた。
そして、救急車が到着した頃、私は突如セレナールに引っぱたかれた。
「本当にどこまでも最低な人ね! 何が大切な弟よ! 犯罪者じゃないの! 一生恨んでやる! あなたの弟には散々な目に合わされたから私も弟に復讐してもらうわ!」
やっぱり黒幕はセイだった。
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あとがき。
いつもより長くなってしまいました。
古代編も書き始めているので、もう古代編のことは伏せないでおきます。
カラルリが迷わずセナを選んだ裏側には、ある約束があったんですよね。それは、古代編が進むごとに知ってゆくでしょう。
二人の大切な人のうち、一人しか救えない。
もし、そういう状況があって、助けてもらえなかったなら誰だってセレナールのようになると思うんですよね。
これまでも、みんなの自覚なしにセレナールは傷付いてきましたし。
グループ付き合いで、不利な状況を耐えている人がいるとするなら私は悲しく思います。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
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純愛偏差値 古代編 2話 修正前
《アラン》
未来はどうなっているか分からない。けれど、少なくとも、古代のこの町は賑わっている。何もないけれど、常に人々の明るい声が聞こえてくる。
あの後、レストランで食事を済ませ、公衆紙電話からセレナールにメモを何通か飛ばした。そうしているうちに眠くなって、気づいたら公衆紙電話の中で眠ってしまっていた。
家に戻るとエミリはいなかった。僕はエミリが悩んでいるとも知らず、出かけたのだろうと森の湖に行く準備をした。
エミリのことは変わらず好きでいる。けれど、3ヶ月前、気まぐれで森の湖へ行った時、セレナールに魅了されたのだ。心変わりしたわけではないし、エミリのことは今でも好きだけれど、セレナールにときめく気持ちも抱くようになっていた。
僕はセレナールが湖で水浴びをしているところを見たことがないのである。セレナールはいつも衣をまとっていて湖を見つめていた。
ちなみに、森の湖では男はパンツ一枚で、女は膝上の薄い衣のみしか着れない決まりがある。と言っても、この時代は本当に何もなくて普段着も簡易的なものだけれど。女の子は、薄いワンピースで、男は多分、未来で言うところのステテコ。けれど、森の湖では女の子は衣のみで下着を身につけてはいけないのだ。丈も膝上だし、セレナールの衣姿は男心をくすぐる。
僕はは森の湖へ着くとすぐさまセレナールの元へ行った。セレナールはこの日も水浴びはしていなかった。
「セレナールはいつも湖にははいらないけど水浴びしないの?」
ふいに聞いた。
「ええ、私は美少女妖精たちの楽しそうな姿を眺めているのが好き」
やっぱり、ここまでの美人となると白空鈴にはなれないのだろうか。少し前までは、ここは男性は立ち入り禁止だったけれど、恋人の誕生が増えるほどに、男も立ち入りして良くなったのである。
「そっか。でも、たまには水浴びしてみたらどうかな?今日とか」
セレナールの水浴びしているところを見てみたい。これは不純な気持ちだろうか。
「ううん、今日も湖を眺めているわ」
「そっか」
僕は肩を落とした。変な気持ちのつもりはないけれど、ただ美しいものを眺めたい気持ちが芽生えていた。それは見事な美術作品を見るような感覚だと思う。
けれど、心のどこかでセレナールを求めているのも事実だった。
エミリは可愛いし僕の好みでもあり、僕にとっては理想の彼女で2年経った今も変わらず好きで、他の男に取られたくない存在である。決してセレナールに心変わりをしたわけではない。けれど、 エミリを好きでいながらもセレナールは僕の中で気になる存在となっていた。
どことなくエミリを裏切っているようで複雑な心境だった。
どうして一人だけにときめくことが出来ないのか。どうして綺麗な人を見るとドキドキしてしまうのか。未来は答えが出ているのかもしれない。けれど、今の時代は誰もが彼女以外の女性にときめいてしまう不可思議に悩んでいたのであった。
翌日も僕は相変わらず森の湖へ行った。
セレナールは相変わらず湖には入らず、衣姿のままだった。
「おはよう、セレナール」
僕は昨日より少しだけセレナールに近付いた。
「おはよう、アラン。今日は1人でピクニックしようとお弁当作ってきたのだけど、一緒に食べない?」
ピクニックかあ。エミリと付き合い始めの頃は、二人でお弁当作って、どこかの広場で微笑み合いながらやっていたなあ。
「食べる!」
僕はおかずをいくつかを食べた。
「美味しい!セレナールは美人で料理も上手だなんて。いいお嫁さんになれるね。僕も立候補しちゃおうかな」
本当は、味は微妙だったけどセレナールを傷付けたくなくて僕は嘘をついた。
「ふふっ、アランにはエミリがいるでしょ。最近エミリとはどうなの?」
エミリとは、ずっと変わっていないと思う。ただ、僕のときめきが増えただけだろう。
「付き合い始めた時とそんなに変わらないよ。エミリは可愛いし帰るといつも抱き締めたくなる。エミリに触れていると落ち着くし、エミリを他の男に渡したくない。僕はいつまでも優しく包み込んでくれるエミリを好きでいると思う」
僕はセレナールに良く思われたくて、大袈裟に言った。
「アランはとてもエミリが好きなのね。2人の好き合う様子は羨ましいわ」
羨ましい……か。
「セレナールは恋愛とかしないの?言い寄ってくる男いっぱいいるでしょ?いい人いたら付き合ったりしないの?」
好きな人なんていないことを期待していた。
「私、誰とも付き合ったことないの。でも今は好きな人がいるわ。私の片想いだけど」
めちゃくちゃガッカリした。どうしてだろう。僕には、あんなに可愛いエミリがいるのに。
「そっか。実るといいね!」
信じたくない。本音では、その恋が実らなければいいって思う。一日だけ彼女になってほしい。その一言が言えなかった。
2週間後、セレナールと皇太子の交際が妖精村の新聞にて発表された。妖精村の人々もセレナールと皇太子の交際の話題で持ち切りだった。
目を覚まして下に降りていった僕は新聞を見て目を疑った。
「嘘だろ……」
僕は、あまりのショックに固まった。
「どうしたの?アラン」
エミリは何事もなかったような素振りだ。
「この記事だよ」
僕は指をさした。
「ああ、セレナールと皇太子の交際ね。なんだか微笑ましいわね」
不自然に上機嫌なエミリの心境が僕には分からなかった。
「あんなに綺麗なセレナールが皇太子に全てを捧げるなんて! とてもじゃないけど皇太子が独り占めなんて許せない!」
思わず本音が出てしまった。けれど、手さえ握ったことのないセレナールが他の男のものになるだなんて。受け入れるに受け入れられない気持ちは隠せなかったのである。
「やっぱり心変わりしてたのね」
気付いていたのか。
「ち、違う!エミリのことは好きだ。でもセレナールの存在も気になるんだ。ずっとエミリには申し訳ないと思ってた」
僕は取り乱した。セレナールのことを考えながら。
「……心変わりはしてないのね。それなら今のままでいいんじゃないかしら。セレナールに対しての傷はいずれ消えると思うわ」
エミリはかなり落ち込んでいる。
「エミリ……僕は狡い男だ。セレナールに気持ち傾けながらも、エミリを他の男に渡したくない」
自分が嫌になる。エミリがいながらも、セレナールにの虜になっていたことも、セレナールの美貌に魅了されていたことも。全てが情けなく感じる。
「アランの本音を聞けてスッキリしたわ。ずっとセレナールに心変わりしたのではないかと思っていたの。でも心変わりでないならアランさえ良ければ今のままでいない?」
どうしてエミリは、裏切った僕に優しくしてくれるのだろう。裏切ったと言ってもセレナールとは何もないが。言葉にさえ出さなければ僕の心の中だけの問題なのも事実だ。
「エミリ……君は優しすぎる。いけないよ、こんな僕と一緒にいちゃ。僕はエミリ意外の異性セレナールの白空鈴を見たいがために毎日森の湖に通ってた最低男だ」
どうしてもセレナールへの高鳴る胸の鼓動を消すことは出来なかった。そして、そのまま僕はセレナールに鼻の下を伸ばし続けていた。
「アラン、自分を責めないで。セレナールは綺麗だもの。男なら誰でも求めてしまうわ。それよりセレナールと皇太子の交際発表で傷ついてるアランのほうが心配よ」
エミリは涙ぐみながら僕を抱き締めた。
「エミリ……どうして君はそんなにも優しいんだ。まるで天使のようだ」
僕はしばらくエミリの温もりに包まれていた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
あとがき。
現代では答えが出ていることも、当時は手探りだったことって、きっと多かったでしょうね。
公衆紙電話とは。
武家は小さい頃から飛ばしたい方向に紙飛行機を飛ばす訓練をしますが、一般人は当然のごとく、そのような訓練は行いません。そんな紙飛行機を手紙として飛ばすことが出来ない人たちのために、皇帝陛下のはからいで設置されました。
紙にメッセージを書いて小さい窓を通せば、届けたい人の元に届くシステムになっております。もちろん、お金はかかります。
現代編では全く出てこないから正直かなり懐かしいです(笑)
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
また、程度によりますが模倣はご遠慮願います。
詳しくは《カテゴリ》→《説明事項》→《模倣のご遠慮願います》をご覧ください。
小説の無断転載もご遠慮くださいませ〜♪
《アラン》
未来はどうなっているか分からない。けれど、少なくとも、古代のこの町は賑わっている。何もないけれど、常に人々の明るい声が聞こえてくる。
あの後、レストランで食事を済ませ、公衆紙電話からセレナールにメモを何通か飛ばした。そうしているうちに眠くなって、気づいたら公衆紙電話の中で眠ってしまっていた。
家に戻るとエミリはいなかった。僕はエミリが悩んでいるとも知らず、出かけたのだろうと森の湖に行く準備をした。
エミリのことは変わらず好きでいる。けれど、3ヶ月前、気まぐれで森の湖へ行った時、セレナールに魅了されたのだ。心変わりしたわけではないし、エミリのことは今でも好きだけれど、セレナールにときめく気持ちも抱くようになっていた。
僕はセレナールが湖で水浴びをしているところを見たことがないのである。セレナールはいつも衣をまとっていて湖を見つめていた。
ちなみに、森の湖では男はパンツ一枚で、女は膝上の薄い衣のみしか着れない決まりがある。と言っても、この時代は本当に何もなくて普段着も簡易的なものだけれど。女の子は、薄いワンピースで、男は多分、未来で言うところのステテコ。けれど、森の湖では女の子は衣のみで下着を身につけてはいけないのだ。丈も膝上だし、セレナールの衣姿は男心をくすぐる。
僕はは森の湖へ着くとすぐさまセレナールの元へ行った。セレナールはこの日も水浴びはしていなかった。
「セレナールはいつも湖にははいらないけど水浴びしないの?」
ふいに聞いた。
「ええ、私は美少女妖精たちの楽しそうな姿を眺めているのが好き」
やっぱり、ここまでの美人となると白空鈴にはなれないのだろうか。少し前までは、ここは男性は立ち入り禁止だったけれど、恋人の誕生が増えるほどに、男も立ち入りして良くなったのである。
「そっか。でも、たまには水浴びしてみたらどうかな?今日とか」
セレナールの水浴びしているところを見てみたい。これは不純な気持ちだろうか。
「ううん、今日も湖を眺めているわ」
「そっか」
僕は肩を落とした。変な気持ちのつもりはないけれど、ただ美しいものを眺めたい気持ちが芽生えていた。それは見事な美術作品を見るような感覚だと思う。
けれど、心のどこかでセレナールを求めているのも事実だった。
エミリは可愛いし僕の好みでもあり、僕にとっては理想の彼女で2年経った今も変わらず好きで、他の男に取られたくない存在である。決してセレナールに心変わりをしたわけではない。けれど、 エミリを好きでいながらもセレナールは僕の中で気になる存在となっていた。
どことなくエミリを裏切っているようで複雑な心境だった。
どうして一人だけにときめくことが出来ないのか。どうして綺麗な人を見るとドキドキしてしまうのか。未来は答えが出ているのかもしれない。けれど、今の時代は誰もが彼女以外の女性にときめいてしまう不可思議に悩んでいたのであった。
翌日も僕は相変わらず森の湖へ行った。
セレナールは相変わらず湖には入らず、衣姿のままだった。
「おはよう、セレナール」
僕は昨日より少しだけセレナールに近付いた。
「おはよう、アラン。今日は1人でピクニックしようとお弁当作ってきたのだけど、一緒に食べない?」
ピクニックかあ。エミリと付き合い始めの頃は、二人でお弁当作って、どこかの広場で微笑み合いながらやっていたなあ。
「食べる!」
僕はおかずをいくつかを食べた。
「美味しい!セレナールは美人で料理も上手だなんて。いいお嫁さんになれるね。僕も立候補しちゃおうかな」
本当は、味は微妙だったけどセレナールを傷付けたくなくて僕は嘘をついた。
「ふふっ、アランにはエミリがいるでしょ。最近エミリとはどうなの?」
エミリとは、ずっと変わっていないと思う。ただ、僕のときめきが増えただけだろう。
「付き合い始めた時とそんなに変わらないよ。エミリは可愛いし帰るといつも抱き締めたくなる。エミリに触れていると落ち着くし、エミリを他の男に渡したくない。僕はいつまでも優しく包み込んでくれるエミリを好きでいると思う」
僕はセレナールに良く思われたくて、大袈裟に言った。
「アランはとてもエミリが好きなのね。2人の好き合う様子は羨ましいわ」
羨ましい……か。
「セレナールは恋愛とかしないの?言い寄ってくる男いっぱいいるでしょ?いい人いたら付き合ったりしないの?」
好きな人なんていないことを期待していた。
「私、誰とも付き合ったことないの。でも今は好きな人がいるわ。私の片想いだけど」
めちゃくちゃガッカリした。どうしてだろう。僕には、あんなに可愛いエミリがいるのに。
「そっか。実るといいね!」
信じたくない。本音では、その恋が実らなければいいって思う。一日だけ彼女になってほしい。その一言が言えなかった。
2週間後、セレナールと皇太子の交際が妖精村の新聞にて発表された。妖精村の人々もセレナールと皇太子の交際の話題で持ち切りだった。
目を覚まして下に降りていった僕は新聞を見て目を疑った。
「嘘だろ……」
僕は、あまりのショックに固まった。
「どうしたの?アラン」
エミリは何事もなかったような素振りだ。
「この記事だよ」
僕は指をさした。
「ああ、セレナールと皇太子の交際ね。なんだか微笑ましいわね」
不自然に上機嫌なエミリの心境が僕には分からなかった。
「あんなに綺麗なセレナールが皇太子に全てを捧げるなんて! とてもじゃないけど皇太子が独り占めなんて許せない!」
思わず本音が出てしまった。けれど、手さえ握ったことのないセレナールが他の男のものになるだなんて。受け入れるに受け入れられない気持ちは隠せなかったのである。
「やっぱり心変わりしてたのね」
気付いていたのか。
「ち、違う!エミリのことは好きだ。でもセレナールの存在も気になるんだ。ずっとエミリには申し訳ないと思ってた」
僕は取り乱した。セレナールのことを考えながら。
「……心変わりはしてないのね。それなら今のままでいいんじゃないかしら。セレナールに対しての傷はいずれ消えると思うわ」
エミリはかなり落ち込んでいる。
「エミリ……僕は狡い男だ。セレナールに気持ち傾けながらも、エミリを他の男に渡したくない」
自分が嫌になる。エミリがいながらも、セレナールにの虜になっていたことも、セレナールの美貌に魅了されていたことも。全てが情けなく感じる。
「アランの本音を聞けてスッキリしたわ。ずっとセレナールに心変わりしたのではないかと思っていたの。でも心変わりでないならアランさえ良ければ今のままでいない?」
どうしてエミリは、裏切った僕に優しくしてくれるのだろう。裏切ったと言ってもセレナールとは何もないが。言葉にさえ出さなければ僕の心の中だけの問題なのも事実だ。
「エミリ……君は優しすぎる。いけないよ、こんな僕と一緒にいちゃ。僕はエミリ意外の異性セレナールの白空鈴を見たいがために毎日森の湖に通ってた最低男だ」
どうしてもセレナールへの高鳴る胸の鼓動を消すことは出来なかった。そして、そのまま僕はセレナールに鼻の下を伸ばし続けていた。
「アラン、自分を責めないで。セレナールは綺麗だもの。男なら誰でも求めてしまうわ。それよりセレナールと皇太子の交際発表で傷ついてるアランのほうが心配よ」
エミリは涙ぐみながら僕を抱き締めた。
「エミリ……どうして君はそんなにも優しいんだ。まるで天使のようだ」
僕はしばらくエミリの温もりに包まれていた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
あとがき。
現代では答えが出ていることも、当時は手探りだったことって、きっと多かったでしょうね。
公衆紙電話とは。
武家は小さい頃から飛ばしたい方向に紙飛行機を飛ばす訓練をしますが、一般人は当然のごとく、そのような訓練は行いません。そんな紙飛行機を手紙として飛ばすことが出来ない人たちのために、皇帝陛下のはからいで設置されました。
紙にメッセージを書いて小さい窓を通せば、届けたい人の元に届くシステムになっております。もちろん、お金はかかります。
現代編では全く出てこないから正直かなり懐かしいです(笑)
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小説の無断転載もご遠慮くださいませ〜♪
純愛偏差値 古代編 1話 修正前
《エミリ》
私とアランは森の湖で知り合って2年になる。私は半年前からアランの家で暮らし始め、2人は毎週末にデートをするほどラブラブな仲である。お互い助け合いながら生きてきて、今でも周りからは理想のカップルと言われているのだ。
けれど、私は悩んでいた。アランは私と付き合い始めてからは森の湖に行くことはなかったけれど、3ヶ月前から再び通い始めたのである。私としては他の美少女妖精に揺れて欲しくないけれど、喧嘩になると思い、ずっと言い出せずにいる。でも、話し合わずにいるとモヤモヤは募るばかり。
ある日、エミリはアランが森の湖に行く理由を知りたくてアランに見つからないように森の湖に行った。アランは湖に入る前の衣を着た1人の美少女妖精と楽しそうに話していた。エミリはアランに気づかれないように湖に入って美少女妖精たちに話しかけた。
「みんな久しぶり」
「久しぶりね、エミリ。元気だった?」
「え、ええ。ところでアランのことなんだけど……」
エミリが切り出すと美少女妖精たちは気まずそうにした。
「アランとはラブラブなんでしょ?」
「そうかもしれないけど……アランがあそこで話している美少女妖精は誰?」
「セレナールよ」
セレナールは黒く腰まである長い髪を真ん中で分けていて、パッチリとした平行二重で、品があって、美しい美少女妖精だった。男子妖精からは、美男子妖精からおじさん妖精、オタク妖精と幅広い異性から度々告白を受けているのである。
「セレナールとは親しいの?」
「そうね、ここへ来たら決まってセレナールに話しかけているわ」
「アランにセレナールへの恋愛感情はありそう?」
「……分からないわ。でもひと月前アランはセレナールを抱き締めてた」
「そう……」
美少女妖精たちの話を聞いた私の心の中は嫉妬の感情が生まれた。
「私、アランのところへ行くわ」
私はアランの元へ飛び立った。
「え、エミリ……水浴びに来たの?」
アランは驚いた様子でエミリを見た。
「そうよ、アランは?」
「ちょっと通りかかっただけだよ」
「そう。こちらの方は?」
「私はセレナールよ。よろしくね、エミリ」
これが噂のセレナール。
「よろしく」
目の前で見るセレナールはやはり美しく男たちが夢中になるのも無理がないと思った。
「アラン、私は先に帰ってるわね、じゃ」
家に帰った私はポロポロ涙を流した。アランのセレナールを見る目は恋する目だったからである。上手くいっていたと思ったのに気がついたら心変わりされていたと疑い始めた。
私は部屋に閉じこもり、アランが帰って来てもリビングには行かなかった。
「エミリ、帰ったよ。ご飯は?」
最初の頃はアランも家事をしてくれていたのに、気が付けば、全て私がするようになっている。それなのに、アランは毎日毎日、森の湖通い。それも、セレナール一人のために。
許せない気持ちはかなりある。けれど、今は話し合う気分にはなれない。
「エミリ、どうかしたのか?」
アランは何も分かっていない。
「ごめんなさい、具合悪いの。外食してきてくれないかしら」
顔を合わせたくない。
「分かった。エミリ、大丈夫?」
私は答えなかった。アランの足音が消えた後、私は泣きながらカナエとセイが住む近所の家に駆け込んだ。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
あとがき。
今日から古代編も載せることにしました。
純愛偏差値は現代編のみを投稿する予定でしたが、やっぱり古代編がある以上は、現代編をより深く知ってもらいたいと思ったのです。
ただ、走り書きからの書き直しは結構大変な作業なので、どのような頻度で更新出来るかは分からないです。
古代編がシーズン1、現代編がシーズン2となります。
『雨の音を聴きながら』では、古代編がシーズン1、未来編がシーズン2となります。未来編は現代編なのですが、シーズン2を書き始めた頃、古代から見て現代は未来だという概念が強く、未来編と記載したのです。
なので、未来編の記載は、そのままで進めてゆこうと思います。
よろしくお願い致します。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
また、程度によりますが模倣はご遠慮願います。
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《エミリ》
私とアランは森の湖で知り合って2年になる。私は半年前からアランの家で暮らし始め、2人は毎週末にデートをするほどラブラブな仲である。お互い助け合いながら生きてきて、今でも周りからは理想のカップルと言われているのだ。
けれど、私は悩んでいた。アランは私と付き合い始めてからは森の湖に行くことはなかったけれど、3ヶ月前から再び通い始めたのである。私としては他の美少女妖精に揺れて欲しくないけれど、喧嘩になると思い、ずっと言い出せずにいる。でも、話し合わずにいるとモヤモヤは募るばかり。
ある日、エミリはアランが森の湖に行く理由を知りたくてアランに見つからないように森の湖に行った。アランは湖に入る前の衣を着た1人の美少女妖精と楽しそうに話していた。エミリはアランに気づかれないように湖に入って美少女妖精たちに話しかけた。
「みんな久しぶり」
「久しぶりね、エミリ。元気だった?」
「え、ええ。ところでアランのことなんだけど……」
エミリが切り出すと美少女妖精たちは気まずそうにした。
「アランとはラブラブなんでしょ?」
「そうかもしれないけど……アランがあそこで話している美少女妖精は誰?」
「セレナールよ」
セレナールは黒く腰まである長い髪を真ん中で分けていて、パッチリとした平行二重で、品があって、美しい美少女妖精だった。男子妖精からは、美男子妖精からおじさん妖精、オタク妖精と幅広い異性から度々告白を受けているのである。
「セレナールとは親しいの?」
「そうね、ここへ来たら決まってセレナールに話しかけているわ」
「アランにセレナールへの恋愛感情はありそう?」
「……分からないわ。でもひと月前アランはセレナールを抱き締めてた」
「そう……」
美少女妖精たちの話を聞いた私の心の中は嫉妬の感情が生まれた。
「私、アランのところへ行くわ」
私はアランの元へ飛び立った。
「え、エミリ……水浴びに来たの?」
アランは驚いた様子でエミリを見た。
「そうよ、アランは?」
「ちょっと通りかかっただけだよ」
「そう。こちらの方は?」
「私はセレナールよ。よろしくね、エミリ」
これが噂のセレナール。
「よろしく」
目の前で見るセレナールはやはり美しく男たちが夢中になるのも無理がないと思った。
「アラン、私は先に帰ってるわね、じゃ」
家に帰った私はポロポロ涙を流した。アランのセレナールを見る目は恋する目だったからである。上手くいっていたと思ったのに気がついたら心変わりされていたと疑い始めた。
私は部屋に閉じこもり、アランが帰って来てもリビングには行かなかった。
「エミリ、帰ったよ。ご飯は?」
最初の頃はアランも家事をしてくれていたのに、気が付けば、全て私がするようになっている。それなのに、アランは毎日毎日、森の湖通い。それも、セレナール一人のために。
許せない気持ちはかなりある。けれど、今は話し合う気分にはなれない。
「エミリ、どうかしたのか?」
アランは何も分かっていない。
「ごめんなさい、具合悪いの。外食してきてくれないかしら」
顔を合わせたくない。
「分かった。エミリ、大丈夫?」
私は答えなかった。アランの足音が消えた後、私は泣きながらカナエとセイが住む近所の家に駆け込んだ。
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あとがき。
今日から古代編も載せることにしました。
純愛偏差値は現代編のみを投稿する予定でしたが、やっぱり古代編がある以上は、現代編をより深く知ってもらいたいと思ったのです。
ただ、走り書きからの書き直しは結構大変な作業なので、どのような頻度で更新出来るかは分からないです。
古代編がシーズン1、現代編がシーズン2となります。
『雨の音を聴きながら』では、古代編がシーズン1、未来編がシーズン2となります。未来編は現代編なのですが、シーズン2を書き始めた頃、古代から見て現代は未来だという概念が強く、未来編と記載したのです。
なので、未来編の記載は、そのままで進めてゆこうと思います。
よろしくお願い致します。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
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純愛偏差値 未来編 一人称版 132話
《ミナク》
カラルリさんの勝負の前、私とセナ王女はクローゼットの部屋で口付けをした。事故とはいえ、セナ王女は素振りからして、はじめてだった気がする。一瞬戸惑ったような素振りを見せた後は、普通を装っていた。セナ王女はファーストキスを奪われて何も思わなかったのだろうか。私は、口付けなんて行きずりの女と何度もしてきたけど、あの時のことだけは何故か何度も頭を過ぎる。
正直、別荘ではじめてセナ王女を見た時は、あまりの美しさに驚いた。これまで遊んだ女の中でもセナ王女ほどの美人はいなかった。
私は本気で人を好きになったことがない。そして、その理由が遠い前世の彼女であるアヤネという人物とカラルリさんの浮気によるものだということは全く知らなかったのである。けれど、知らないだけでトラウマはキッチリ残っていたから女遊びに明け暮れていたのだと思う。はじめて女の白梅咲かせたのは小三の時だった。それ以降、適当な女見付けては空咲をした。気付けば、貴族と同級生合わせて約80人ほどになっていた。
一度、空咲をした女には興味がなくなっていた。家の近くまで来られて泣かれながら交際を迫られたこともあったけれど、冷たくあしらった。
この先も、特定の女との交際はないと思っていた。なのに、セナ王女と口付けしてから、どうしてもそのことが離れない。それに、あの時セナ王女は水着姿だったから、体型がクッキリ見えていた。身長の割りには、めちゃくちゃ理想の体型だった。ビキニじゃなかったのが惜しいところ。
セナ王女と交際したいわけではないものの、ただ気にしてしまう。でも、セナ王女とカラルリさんは多分両想いだ。私が入る隙など、これっぽっちもないだろう。それに、キクリ家の両親と国王陛下・王妃は同級生。身分違いなのに、カラルリさんはセナ王女と交際出来る特権を持っている。
誰とも交際なんかするはずないって今でも思っているのに、心のどこかでカラルリさんを妬んでしまっている自分が情けない。私はセナ王女のことが好きなのだろうか。ただ、セナ王女だけは他の女と同じ扱いはしたくない。出来れば一度だけでもデートが出来たら……。
時間は遡る。
夜になり、別荘の庭でBBQがはじまった。いつぶりだろう、BBQなんて。小さい時は、よくナノハナ家でしてたけど、今となっては良い思い出だ。
「はい、ミナクの分です」
カナエさんは、どこでも働き者だ。エプロン姿もよく似合う。
「カナエさんは、働き者ですね。私がカナエさんの分入れます」
私がカナエさんの分をお皿に盛っていた時、謝って肉を落としてしまい、セナ王女のスカートが汚れてしまった。
「すみません! 今すぐクリーニングに出してきます!」
多分相当高い服だろう。
「大丈夫よ。気にしないで楽しんで」
セナ王女は微笑んだ。けれど、そういうわけにもいかない。
「あの、やっぱりクリーニングに出しますので別の服に着替えてもらえませんか?」
このままでは、めちゃくちゃ申し訳ない。その時、セナ王女は私の両頬に触れた。
「真面目なのね。でも本当に気にしないで。服が汚れることなんて珍しいことではないわ」
私は間近で見るセナ王女の美しさにドキドキしていた。正直、女にときめいたのは生まれてはじめてだった。
「この程度の汚れなら直ぐ落とせますので、今カナエが落とします」
カナエさんは、BBQ用のレモンを手に取り少し切るとセナ王女のスカートを拭いた後に、汚れの部分にレモン汁をかけた。少しすると汚れは浮かび上がり、カナエさんはタオルに水を濡らして拭き取った。汚れなど最初からなかったかのように綺麗になっている。やっぱりカナエさんは何でも出来る。
「カナエさん、すみません」
どうしてか、セナ王女にカッコ悪いところを見せてしまったことに対して恥ずかしくなっていた。
「ミナク、料理が冷めますよ。それに、あの時、少しユメさんと当たっていたので、その弾みでしょう」
当たっていたっけ。全く覚えていない。
「えっ、気付かなかった。ごめんね」
プールの時は泣いていたけれど、今は機嫌が良さそうだ。
「いえ、私も不注意だったと思いますので」
カナエさんは周りをよく見ている。そして、食べずに動いてばかりだ。
「セナさん、あーん」
はあ、こういう光景は二人きりの時だけにしてもらいたい。やっぱり、二人は好き合っているのだろうか。
「あつつ……」
焼きたてだったのか、セナ王女は唇に触れた瞬間玉ねぎを落とした。かと思ったら、今度はセレナールさんのスカートが汚れた。私は今度こそセナ王女に良いところを見せたくて弟のヨルクにレインをしていた。すると、布のパターン別に対処法が書かれていた。ヨルクはカナエさんに憧れ家事をするようになった。カナエさんほどではないが、部屋は常に片付いていて、ヨルクの作る料理はクレナイ食堂の料理より美味しい。兄弟仲は悪いものの、私はこっそりヨルクの料理中に摘み食いをしていた。
「セレナールさん、服の素材って分かります?」
セレナールさんはロングスカートを膝までめくった。
「えっと、綿90%のポリエステル10%よ」
私は再度フェアホを見た。ヨルクはキッチリしているから、布率もパターン別にズラーっと並んでいた。綿90%のポリエステル10%……割りと上の方にあった。カナエさんが、さっき使っていたレモンの方法は、どの村も共通しているらしい。けれど、綿や麻など繊細な素材は、レモンでも良いが煮詰めると、ブドウとリンゴを混ぜた水に浸した方が布を傷めずに汚れを落とせるらしい。妖精村の果実は不思議な力があって、汚れは勿論のこと時には薬としての効力も発揮すると言われている。そんな感じのニュースを昔見たことがある。
「セレナールさん。ブドウとリンゴを混ぜた水に浸すと汚れが落ちますので、今タライにブドウとリンゴと水入れますので待っていてください」
私は近くにあるタライを手に取った。
「私がやるわ。汚したの私だし」
ここには多くの使用人がいる。なのに、セナ王女はずっと使用人に頼っていない。こういう純粋さは男心をくすぐる。
「あ、いえ、セナ王女は食べていてください」
私がブドウを入れた時、カナエさんが走ってきた。
「カナエがやりますので、お二人共食べていてください。ブドウもリンゴもほんの少しで良いのです」
そうか、分量があったか。やっぱりカナエさんには敵わない。
「汚れたなら僕が舐めてあげる」
突然、セイさんはセレナールさんのスカートを舐めはじめた。そういえば、この人、私が連れて来たんだっけ。もうめちゃくちゃ見てはいけないものを見てしまった気がする。こんな人、本当にいるんだ。正直ありえないし気持ち悪い。
「いや!! やめて!!」
セレナールさんはセイさんを突き飛ばそうとしたが、セイさんはあろうことかセレナールさんのスカートをめくった。意外にも派手目のピンクの下着だった。こういうの流行っているのだろうか。ナンパした女たちも似たようなものを履いている。けれど、よく見たら薄いワンピースに透けている。
「レースのパンツ良いね。こっちも舐めてあげようか」
うわ……この人異常だ。
「いや!! 誰か助けて!!」
どうして誰も助けようとしないのだろう。その瞬間、セナ王女がセイさんを引っぱたいた。
「あなた本当に最低ね! 姉さん恥ずかしいわ!」
私はセイさんからセレナールさんを遠ざけた。
「あの、透けてます」
私はパーカーを脱いでセレナールさんにかけた。
「えっ、全然気付かなかった!」
よく見ると、ワンピースは随分とくたびれている。長く着ていたのだろうか。
「インナーとかもってないんですか?」
見るならセナ王女の下着が良かったと思ってしまう私は確信犯だろうか。
「持ってないわ。ここまで物価が値上がりしたら買うものも買えない。服も下着もセール品だし」
そうだったのか。家、貧乏なのだろうか。何だか勿体ないな。
「そうですか。けれど、勿体ないですね。こんなに美人なのに。オシャレしたらきっと似合うと思うんです」
セレナールさんは美人だ。セナ王女とは違うタイプの。私はセナ王女の方が好みだけれど、多くの男はセレナールさんに釘付けだろう。
「オシャレ……か。したことないわ。うち貧乏だから」
世の中というものは不公平である。ブスという表現は不適切ではないが、男ウケしない女が不釣り合いなオシャレをして、セレナールさんのようなオシャレが映える人がオシャレを出来ないなんて、どうも煮え切らない。
「良かったら今度買いましょうか?」
セレナールさんを見ていると同情してしまい思わず言葉に出てしまった。
「ううん、悪いからいいわ」
セナ王女とは違った形で思ったより控えめ。あまり思いたくはないが、容姿が砕けた女ほど、あれこれ騒ぎ立て、容姿端麗の女はお淑やかだ。
「セレナール、昼間のビキニ姿、超セクシーだったよ。今度、学校の理科室で見せてくれないかな?」
もうここまで来るとホラーだ。セイさんは行き過ぎた恋愛感情をセレナールさんに抱いている。
「やめて! 気持ち悪い! セイが来るなら今日来てなかったわ! 服舐めたりスカートめくったり、私がどれだけ嫌な思いしてるか! それに誰も助けてくれないし!」
セイさんもセイさんだけど、どうして、あの時、誰もセレナールさんを助けようとしなかったのだろう。このままセイさんとセレナールさんが今日ここで泊まるのは良くない気がする。
「あの、セレナールさん。今日はお家に帰りませんか? 送って行きます」
セレナールさんは少し涙ぐみながら私の腕を組んだ。と思いきや、セナ王女まで私の腕を組んだのである。何故か両手に花状態。けれど、セナ王女に密着されると、やっぱり鼓動が速くなってしまう。セナ王女ほどの美人なら速攻で口説いて空咲まで持ち込みたい。でも、どうしてかセナ王女を適当な女と同じにはしたくなかった。
「どうしてミナクが送るのよ。私、セイにちゃんと注意したわ。セレナールを助けなかったわけじゃない!」
言われてみれば、セナ王女がセイさんを引っぱたいたからこそ、あの場は止まったわけで、それは助けなかったというより、セナ王女なりに助けたと位置付けした方がしっくり来る。
「怖いのよ……。好きでもない人に服舐められたり下着見られたり、ハッキリ言って気持ち悪いわ!」
確かに、あれは度を超えている。
「だから、注意したじゃない! でも、一応は弟だから、あまり悪く言われるのも良い気はしないわ! だって、ミナクにはくっついてるじゃない!」
セナ王女は、セレナールさんから私を少し遠ざけようとしたが、セレナールさんが私のタンクトップをつかんで、私はバランスを崩しセナ王女を押し倒す形で転んでしまった。
「ミナ……ク……」
しまった。転んだ時にセナ王女の胸に触れてしまっていた。私は咄嗟に起き上がりセナ王女を起こした。もし、二人きりだったら、どうなっていたか。
「すみません、大丈夫ですか?」
私はセナ王女に付いた草などを払った。
「大丈夫」
その瞬間、不意打ちにカラルリさんに殴り飛ばされた。カラルリさんは昔から私を嫌っている。けれど、私にはどうしてか分からなかった。
「やめて、カラルリ! セレナールがミナクの服つかんだから! ミナクのせいじゃないわ!」
セナ王女はこちらに向かって来たが、それより先にセレナールさんが私を抱き締めた。何だかカナエさんとは違う形で姉のように感じてしまった。弟はヨルクと同い歳だっけ。写真のツーショット見た限り仲も良さそうで羨ましい。
「ごめんなさい」
別にセレナールさんは悪くない。セナ王女に触れてしまったことがカラルリさんの心に火を付けてしまったのだろう。
「あ、いえ、セレナールさん悪くないんで」
と言ってる間に、今度はカナエさんが私からセレナールさんを少し遠ざけ私を抱き締めた。カナエさんの香り、ずっと変わっていない。小さい頃から好きだった。この香りは、いつも私を癒してくれた。
「セレナールのことは食い違いがあるようです。お兄様もミナクばかり攻撃しないでください! セレナールやセナさんの傍にいると無限ループですので、ミナクはカナエの傍にいてください」
本当に姉みたいだ。というか、カナエさんが実の姉だったらどれだけ良かったか。
その後も色々あったが、この日は私も別荘に泊まり、セイさんは、後に越してくるセナ王女とアルフォンス王子の弟の部屋で外側から鍵をかけられ朝まで出れなくなってセレナールさんに危害は及ばなかった。
けれど、私の心は、ほんの少しセナ王女に傾いていた。
昼休みに、他校の女子高校生と歩いていた。
「ごめん、今日はデート出来ない。友達のお見舞い行くの」
この女子高校生とは知り合って二週間ほどキープしている。今や、ご縁系サイトが流行っていて、昔みたいに適当な女がつかまらなくなってしまったからだ。この女だけでなく後二人キープしているが、空咲するだけでデートなんてめんどくさい。
その時、女子高校生のフェアホが落ちて私は拾った。
『愛してる』
『私も。今度いつデート出来る?』
『次の土曜日かな』
『嬉しい! バイキングレストランがいいな! 私の友達、いつも安っぽい店しか入らなくて』
『うん、行こう。奢るよ』
フェアホ画面を見た途端、私は女子高校生を殴り付けていた。
「やめて! お願い!」
女子高校生は怯えながら、この場だけ逃げようとするけれど、私は逃がさなかった。そして、女子高校生を殴る手は止まらなかった。
「何してるの!?」
気が付いたら私は投げ飛ばされていた。相手がセナ王女とも知らずに。正気を失った私は再び女子高校生に近付こうとしたが、また投げ飛ばされた。ダメだ、怒りが収まらない。けれど、勝てそうにもない。
「リリカ……お姉様……」
私は仰向けになったまま動けずにいた。すると、セナ王女が私を起き上がらせた。まさか、セナ王女が!? いや、そんなわけない。
「何があったか分からないけど、無抵抗の人間をあそこまで殴るのは良くないわ」
今はダメだ。セナ王女を傷付けてしまう。
「離れてください……」
セナ王女に手は出したくない。けれど、セナ王女は離れない。せっかく、あの日、別荘で楽しい時間を過ごしたのに。結局私は人間関係を作れない。私はセナ王女に殴りかかった。が、拳はあっさりつかまれてしまった。物凄い力だ。私がセナ王女を押し倒そうとした瞬間、セナ王女は私の上を飛び越え私の後ろに回った。
「あなたは強い。けれど、この世に強い人はいくらでもいるの」
別荘の時のあどけないセナ王女とは真逆の姿にただただ私は驚いていた。と、同時に幻滅されたと胸が傷んだ。けれど、セナ王女は愚かな私を抱き締めた。
「セナ……王女……?」
どうして、こんなみすぼらしい私に構うのだろう。
「これまでにも同じこと繰り返してたの? さっきはどうして殴ってたの?」
今更、嘘なんかついてもどうしようもない。
「他に男がいたのもイラッとしましたが、行きたくもないデートに行かされた挙句に安っぽい店と送信されているのを見た時は侮辱されたと思いました」
金なんてないし、そもそも好きでもない女に奢るなんて真っ平だ。けれど、パパ活が流行りだしてからは女も行きずりを選ぶより、好きでもないおっさんと空咲して儲けている。結局、世の中金なんだ。
「どんなお店?」
どうしてそこまで聞くのだろう。私のことなんて放っておけば良いのに。
「古びれたレトロカフェです」
2024年だというのに、レトロカフェは案外残っている。けれど、時代も時代だからレトロなんて、あまり流行らなくなって、今ではフェアスタ映えするメニューが豊富のカフェやレストランに行きたがる女ばかりだ。そういうのを、フェァリーZ広場などに載せて、自分の彼はハイスペだとアピールをしてマウントを取り合うのが女の日課になっている。
「合わないのよ。相手はSNSに載せたいためにカフェに入りたいけど、あなたはカフェに入る1ターンをなくしたい。本音がぶつかり合ってるのでは、いくら遊びでも、そのうち拗れると思うのよね」
セナ王女の言う通りだ。私は、ただ二人きりになることしか考えていない。女のSNS状況なんてどうでもいい。
「はい……。私が愚かでした……」
情けない。それでも、私にはリリカお姉様みたいに推しもしなければ、本命もいない。いつも何かに苛立って発散してしまう。
「あなたの求めてるのは好みの子と関係持つこと? それとも癒し?」
考えたことなかった。ただ、恐怖から逃れることしか考えてこなかった。
「癒し……だと思います」
何故か涙が溢れた。女の前で涙を溢すのは、はじめてだった。セナ王女の温もりが、私の凍り付いた心を溶かしたのかもしれない。
その時、セナ王女は私のピアスを片方外すとブレザーに付けた。
「だったら、あなたに色んな世界見せてあげる。もうこれからは一人で悩まないで。私が傍にいるから。遊びの代わりにはなれないけど、それ以上の幸せを与えるわ」
そして、私たちは連絡先交換をした。
この瞬間からセナ王女と頻繁に二人きりで会うようになった。
「昨日は晴れているから公園デートもいいわね」
デートって言われると、まるで恋人みたいだ。けれど、セナ王女とならカフェの個室で二人きりになりたい。
セナ王女は私に商店街で買ったサンドイッチを渡した。
「あの、やっぱり自分の分は払います。悪いですし」
情けなくも、これまで奢ってもらってばかりだ。
「気にしないで。まずは、あなたが楽しまないと。無理無理の遊びじゃなくて」
そういえば、カラルリさんとはどうなっているのだろう。
「あの、カラルリさんと会わなくて良いんですか? 両想いですよね?」
もう白梅は済んでいるのだろうか。こういう風に妬いてしまうのが嫌になる。セナ王女は本命ってわけではないのに。ただ、私の方が、ほんの少し意識しているに過ぎない。
「普通に会ってるけど?」
やっぱりそうか。セナ王女は狡い。こんなに思わせぶりなことしておきながら、カラルリさんからも好かれていて。まるで両手に花。
「家でですか?」
こんな風に聞いてしまうのが本当に嫌になってくる。
「ええ、カラルリの部屋で宿題してる」
部屋……。ってことはカラルリさんとはもう既に……。
「カラルリさんと関係持ったんですか?」
完全な嫉妬だ。
「何もしてないわ。強いて言うなら、あなたにファーストキス奪われた程度ね」
本当にそうなのだろうか。あの事故のファーストキスだけって、男女が同じ部屋に二人きりでいて、そんなことありえるのだろうか。
「カラルリさんのこと好きなんじゃないんですか?」
聞いてしまった。遊ぶ側の私がセナ王女の前では女々しくなっている。
「うーん、好きは好きね。転校して友達作れない私に何かと優しくしてくれて、今のグループがあるのもカラルリのお陰だし。良い人って思うわ。でも、恋愛感情かて言われてみれば正直分からないの」
それって、私と恋人のようにデートしながら、あわよくばカラルリさんと交際するってことじゃないか。狡い。
「狡いですね。ここまで思わせぶりなことしておいて、カラルリさんにも気があるだなんて」
その時、セナ王女は私に口付けをした。私はカラルリさんの存在を気にしてセナ王女を抱き寄せ激しく口付けをした。そして、軽くセナ王女の太ももを触ろうとした時、セナ王女は私の手をつかんだ。
「場所変える? 休日だから、ここだと家族連れもいるし」
セナ王女は真剣な眼差しで私を見た。そうか、揺れているのは私の方だった。
「い、いえ。すみません」
私はセナ王女から離れた。
この日、セナ王女は初白咲をした。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
あとがき。
流れでは明らかカラルリと付き合うはずだったのに。
ひとたび、人が加われば心境の変化も起きうる。
恋愛って分からないものですね。
けれど、カラルリにとっては二の舞にならなくて済んだのではないでしょうか。
記憶を思い出さないなら、三角関係突入だったでしょうけど。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
また、程度によりますが模倣はご遠慮願います。
詳しくは《カテゴリ》→《説明事項》→《模倣のご遠慮願います》をご覧ください。
小説の無断転載もご遠慮くださいませ〜♪
《ミナク》
カラルリさんの勝負の前、私とセナ王女はクローゼットの部屋で口付けをした。事故とはいえ、セナ王女は素振りからして、はじめてだった気がする。一瞬戸惑ったような素振りを見せた後は、普通を装っていた。セナ王女はファーストキスを奪われて何も思わなかったのだろうか。私は、口付けなんて行きずりの女と何度もしてきたけど、あの時のことだけは何故か何度も頭を過ぎる。
正直、別荘ではじめてセナ王女を見た時は、あまりの美しさに驚いた。これまで遊んだ女の中でもセナ王女ほどの美人はいなかった。
私は本気で人を好きになったことがない。そして、その理由が遠い前世の彼女であるアヤネという人物とカラルリさんの浮気によるものだということは全く知らなかったのである。けれど、知らないだけでトラウマはキッチリ残っていたから女遊びに明け暮れていたのだと思う。はじめて女の白梅咲かせたのは小三の時だった。それ以降、適当な女見付けては空咲をした。気付けば、貴族と同級生合わせて約80人ほどになっていた。
一度、空咲をした女には興味がなくなっていた。家の近くまで来られて泣かれながら交際を迫られたこともあったけれど、冷たくあしらった。
この先も、特定の女との交際はないと思っていた。なのに、セナ王女と口付けしてから、どうしてもそのことが離れない。それに、あの時セナ王女は水着姿だったから、体型がクッキリ見えていた。身長の割りには、めちゃくちゃ理想の体型だった。ビキニじゃなかったのが惜しいところ。
セナ王女と交際したいわけではないものの、ただ気にしてしまう。でも、セナ王女とカラルリさんは多分両想いだ。私が入る隙など、これっぽっちもないだろう。それに、キクリ家の両親と国王陛下・王妃は同級生。身分違いなのに、カラルリさんはセナ王女と交際出来る特権を持っている。
誰とも交際なんかするはずないって今でも思っているのに、心のどこかでカラルリさんを妬んでしまっている自分が情けない。私はセナ王女のことが好きなのだろうか。ただ、セナ王女だけは他の女と同じ扱いはしたくない。出来れば一度だけでもデートが出来たら……。
時間は遡る。
夜になり、別荘の庭でBBQがはじまった。いつぶりだろう、BBQなんて。小さい時は、よくナノハナ家でしてたけど、今となっては良い思い出だ。
「はい、ミナクの分です」
カナエさんは、どこでも働き者だ。エプロン姿もよく似合う。
「カナエさんは、働き者ですね。私がカナエさんの分入れます」
私がカナエさんの分をお皿に盛っていた時、謝って肉を落としてしまい、セナ王女のスカートが汚れてしまった。
「すみません! 今すぐクリーニングに出してきます!」
多分相当高い服だろう。
「大丈夫よ。気にしないで楽しんで」
セナ王女は微笑んだ。けれど、そういうわけにもいかない。
「あの、やっぱりクリーニングに出しますので別の服に着替えてもらえませんか?」
このままでは、めちゃくちゃ申し訳ない。その時、セナ王女は私の両頬に触れた。
「真面目なのね。でも本当に気にしないで。服が汚れることなんて珍しいことではないわ」
私は間近で見るセナ王女の美しさにドキドキしていた。正直、女にときめいたのは生まれてはじめてだった。
「この程度の汚れなら直ぐ落とせますので、今カナエが落とします」
カナエさんは、BBQ用のレモンを手に取り少し切るとセナ王女のスカートを拭いた後に、汚れの部分にレモン汁をかけた。少しすると汚れは浮かび上がり、カナエさんはタオルに水を濡らして拭き取った。汚れなど最初からなかったかのように綺麗になっている。やっぱりカナエさんは何でも出来る。
「カナエさん、すみません」
どうしてか、セナ王女にカッコ悪いところを見せてしまったことに対して恥ずかしくなっていた。
「ミナク、料理が冷めますよ。それに、あの時、少しユメさんと当たっていたので、その弾みでしょう」
当たっていたっけ。全く覚えていない。
「えっ、気付かなかった。ごめんね」
プールの時は泣いていたけれど、今は機嫌が良さそうだ。
「いえ、私も不注意だったと思いますので」
カナエさんは周りをよく見ている。そして、食べずに動いてばかりだ。
「セナさん、あーん」
はあ、こういう光景は二人きりの時だけにしてもらいたい。やっぱり、二人は好き合っているのだろうか。
「あつつ……」
焼きたてだったのか、セナ王女は唇に触れた瞬間玉ねぎを落とした。かと思ったら、今度はセレナールさんのスカートが汚れた。私は今度こそセナ王女に良いところを見せたくて弟のヨルクにレインをしていた。すると、布のパターン別に対処法が書かれていた。ヨルクはカナエさんに憧れ家事をするようになった。カナエさんほどではないが、部屋は常に片付いていて、ヨルクの作る料理はクレナイ食堂の料理より美味しい。兄弟仲は悪いものの、私はこっそりヨルクの料理中に摘み食いをしていた。
「セレナールさん、服の素材って分かります?」
セレナールさんはロングスカートを膝までめくった。
「えっと、綿90%のポリエステル10%よ」
私は再度フェアホを見た。ヨルクはキッチリしているから、布率もパターン別にズラーっと並んでいた。綿90%のポリエステル10%……割りと上の方にあった。カナエさんが、さっき使っていたレモンの方法は、どの村も共通しているらしい。けれど、綿や麻など繊細な素材は、レモンでも良いが煮詰めると、ブドウとリンゴを混ぜた水に浸した方が布を傷めずに汚れを落とせるらしい。妖精村の果実は不思議な力があって、汚れは勿論のこと時には薬としての効力も発揮すると言われている。そんな感じのニュースを昔見たことがある。
「セレナールさん。ブドウとリンゴを混ぜた水に浸すと汚れが落ちますので、今タライにブドウとリンゴと水入れますので待っていてください」
私は近くにあるタライを手に取った。
「私がやるわ。汚したの私だし」
ここには多くの使用人がいる。なのに、セナ王女はずっと使用人に頼っていない。こういう純粋さは男心をくすぐる。
「あ、いえ、セナ王女は食べていてください」
私がブドウを入れた時、カナエさんが走ってきた。
「カナエがやりますので、お二人共食べていてください。ブドウもリンゴもほんの少しで良いのです」
そうか、分量があったか。やっぱりカナエさんには敵わない。
「汚れたなら僕が舐めてあげる」
突然、セイさんはセレナールさんのスカートを舐めはじめた。そういえば、この人、私が連れて来たんだっけ。もうめちゃくちゃ見てはいけないものを見てしまった気がする。こんな人、本当にいるんだ。正直ありえないし気持ち悪い。
「いや!! やめて!!」
セレナールさんはセイさんを突き飛ばそうとしたが、セイさんはあろうことかセレナールさんのスカートをめくった。意外にも派手目のピンクの下着だった。こういうの流行っているのだろうか。ナンパした女たちも似たようなものを履いている。けれど、よく見たら薄いワンピースに透けている。
「レースのパンツ良いね。こっちも舐めてあげようか」
うわ……この人異常だ。
「いや!! 誰か助けて!!」
どうして誰も助けようとしないのだろう。その瞬間、セナ王女がセイさんを引っぱたいた。
「あなた本当に最低ね! 姉さん恥ずかしいわ!」
私はセイさんからセレナールさんを遠ざけた。
「あの、透けてます」
私はパーカーを脱いでセレナールさんにかけた。
「えっ、全然気付かなかった!」
よく見ると、ワンピースは随分とくたびれている。長く着ていたのだろうか。
「インナーとかもってないんですか?」
見るならセナ王女の下着が良かったと思ってしまう私は確信犯だろうか。
「持ってないわ。ここまで物価が値上がりしたら買うものも買えない。服も下着もセール品だし」
そうだったのか。家、貧乏なのだろうか。何だか勿体ないな。
「そうですか。けれど、勿体ないですね。こんなに美人なのに。オシャレしたらきっと似合うと思うんです」
セレナールさんは美人だ。セナ王女とは違うタイプの。私はセナ王女の方が好みだけれど、多くの男はセレナールさんに釘付けだろう。
「オシャレ……か。したことないわ。うち貧乏だから」
世の中というものは不公平である。ブスという表現は不適切ではないが、男ウケしない女が不釣り合いなオシャレをして、セレナールさんのようなオシャレが映える人がオシャレを出来ないなんて、どうも煮え切らない。
「良かったら今度買いましょうか?」
セレナールさんを見ていると同情してしまい思わず言葉に出てしまった。
「ううん、悪いからいいわ」
セナ王女とは違った形で思ったより控えめ。あまり思いたくはないが、容姿が砕けた女ほど、あれこれ騒ぎ立て、容姿端麗の女はお淑やかだ。
「セレナール、昼間のビキニ姿、超セクシーだったよ。今度、学校の理科室で見せてくれないかな?」
もうここまで来るとホラーだ。セイさんは行き過ぎた恋愛感情をセレナールさんに抱いている。
「やめて! 気持ち悪い! セイが来るなら今日来てなかったわ! 服舐めたりスカートめくったり、私がどれだけ嫌な思いしてるか! それに誰も助けてくれないし!」
セイさんもセイさんだけど、どうして、あの時、誰もセレナールさんを助けようとしなかったのだろう。このままセイさんとセレナールさんが今日ここで泊まるのは良くない気がする。
「あの、セレナールさん。今日はお家に帰りませんか? 送って行きます」
セレナールさんは少し涙ぐみながら私の腕を組んだ。と思いきや、セナ王女まで私の腕を組んだのである。何故か両手に花状態。けれど、セナ王女に密着されると、やっぱり鼓動が速くなってしまう。セナ王女ほどの美人なら速攻で口説いて空咲まで持ち込みたい。でも、どうしてかセナ王女を適当な女と同じにはしたくなかった。
「どうしてミナクが送るのよ。私、セイにちゃんと注意したわ。セレナールを助けなかったわけじゃない!」
言われてみれば、セナ王女がセイさんを引っぱたいたからこそ、あの場は止まったわけで、それは助けなかったというより、セナ王女なりに助けたと位置付けした方がしっくり来る。
「怖いのよ……。好きでもない人に服舐められたり下着見られたり、ハッキリ言って気持ち悪いわ!」
確かに、あれは度を超えている。
「だから、注意したじゃない! でも、一応は弟だから、あまり悪く言われるのも良い気はしないわ! だって、ミナクにはくっついてるじゃない!」
セナ王女は、セレナールさんから私を少し遠ざけようとしたが、セレナールさんが私のタンクトップをつかんで、私はバランスを崩しセナ王女を押し倒す形で転んでしまった。
「ミナ……ク……」
しまった。転んだ時にセナ王女の胸に触れてしまっていた。私は咄嗟に起き上がりセナ王女を起こした。もし、二人きりだったら、どうなっていたか。
「すみません、大丈夫ですか?」
私はセナ王女に付いた草などを払った。
「大丈夫」
その瞬間、不意打ちにカラルリさんに殴り飛ばされた。カラルリさんは昔から私を嫌っている。けれど、私にはどうしてか分からなかった。
「やめて、カラルリ! セレナールがミナクの服つかんだから! ミナクのせいじゃないわ!」
セナ王女はこちらに向かって来たが、それより先にセレナールさんが私を抱き締めた。何だかカナエさんとは違う形で姉のように感じてしまった。弟はヨルクと同い歳だっけ。写真のツーショット見た限り仲も良さそうで羨ましい。
「ごめんなさい」
別にセレナールさんは悪くない。セナ王女に触れてしまったことがカラルリさんの心に火を付けてしまったのだろう。
「あ、いえ、セレナールさん悪くないんで」
と言ってる間に、今度はカナエさんが私からセレナールさんを少し遠ざけ私を抱き締めた。カナエさんの香り、ずっと変わっていない。小さい頃から好きだった。この香りは、いつも私を癒してくれた。
「セレナールのことは食い違いがあるようです。お兄様もミナクばかり攻撃しないでください! セレナールやセナさんの傍にいると無限ループですので、ミナクはカナエの傍にいてください」
本当に姉みたいだ。というか、カナエさんが実の姉だったらどれだけ良かったか。
その後も色々あったが、この日は私も別荘に泊まり、セイさんは、後に越してくるセナ王女とアルフォンス王子の弟の部屋で外側から鍵をかけられ朝まで出れなくなってセレナールさんに危害は及ばなかった。
けれど、私の心は、ほんの少しセナ王女に傾いていた。
昼休みに、他校の女子高校生と歩いていた。
「ごめん、今日はデート出来ない。友達のお見舞い行くの」
この女子高校生とは知り合って二週間ほどキープしている。今や、ご縁系サイトが流行っていて、昔みたいに適当な女がつかまらなくなってしまったからだ。この女だけでなく後二人キープしているが、空咲するだけでデートなんてめんどくさい。
その時、女子高校生のフェアホが落ちて私は拾った。
『愛してる』
『私も。今度いつデート出来る?』
『次の土曜日かな』
『嬉しい! バイキングレストランがいいな! 私の友達、いつも安っぽい店しか入らなくて』
『うん、行こう。奢るよ』
フェアホ画面を見た途端、私は女子高校生を殴り付けていた。
「やめて! お願い!」
女子高校生は怯えながら、この場だけ逃げようとするけれど、私は逃がさなかった。そして、女子高校生を殴る手は止まらなかった。
「何してるの!?」
気が付いたら私は投げ飛ばされていた。相手がセナ王女とも知らずに。正気を失った私は再び女子高校生に近付こうとしたが、また投げ飛ばされた。ダメだ、怒りが収まらない。けれど、勝てそうにもない。
「リリカ……お姉様……」
私は仰向けになったまま動けずにいた。すると、セナ王女が私を起き上がらせた。まさか、セナ王女が!? いや、そんなわけない。
「何があったか分からないけど、無抵抗の人間をあそこまで殴るのは良くないわ」
今はダメだ。セナ王女を傷付けてしまう。
「離れてください……」
セナ王女に手は出したくない。けれど、セナ王女は離れない。せっかく、あの日、別荘で楽しい時間を過ごしたのに。結局私は人間関係を作れない。私はセナ王女に殴りかかった。が、拳はあっさりつかまれてしまった。物凄い力だ。私がセナ王女を押し倒そうとした瞬間、セナ王女は私の上を飛び越え私の後ろに回った。
「あなたは強い。けれど、この世に強い人はいくらでもいるの」
別荘の時のあどけないセナ王女とは真逆の姿にただただ私は驚いていた。と、同時に幻滅されたと胸が傷んだ。けれど、セナ王女は愚かな私を抱き締めた。
「セナ……王女……?」
どうして、こんなみすぼらしい私に構うのだろう。
「これまでにも同じこと繰り返してたの? さっきはどうして殴ってたの?」
今更、嘘なんかついてもどうしようもない。
「他に男がいたのもイラッとしましたが、行きたくもないデートに行かされた挙句に安っぽい店と送信されているのを見た時は侮辱されたと思いました」
金なんてないし、そもそも好きでもない女に奢るなんて真っ平だ。けれど、パパ活が流行りだしてからは女も行きずりを選ぶより、好きでもないおっさんと空咲して儲けている。結局、世の中金なんだ。
「どんなお店?」
どうしてそこまで聞くのだろう。私のことなんて放っておけば良いのに。
「古びれたレトロカフェです」
2024年だというのに、レトロカフェは案外残っている。けれど、時代も時代だからレトロなんて、あまり流行らなくなって、今ではフェアスタ映えするメニューが豊富のカフェやレストランに行きたがる女ばかりだ。そういうのを、フェァリーZ広場などに載せて、自分の彼はハイスペだとアピールをしてマウントを取り合うのが女の日課になっている。
「合わないのよ。相手はSNSに載せたいためにカフェに入りたいけど、あなたはカフェに入る1ターンをなくしたい。本音がぶつかり合ってるのでは、いくら遊びでも、そのうち拗れると思うのよね」
セナ王女の言う通りだ。私は、ただ二人きりになることしか考えていない。女のSNS状況なんてどうでもいい。
「はい……。私が愚かでした……」
情けない。それでも、私にはリリカお姉様みたいに推しもしなければ、本命もいない。いつも何かに苛立って発散してしまう。
「あなたの求めてるのは好みの子と関係持つこと? それとも癒し?」
考えたことなかった。ただ、恐怖から逃れることしか考えてこなかった。
「癒し……だと思います」
何故か涙が溢れた。女の前で涙を溢すのは、はじめてだった。セナ王女の温もりが、私の凍り付いた心を溶かしたのかもしれない。
その時、セナ王女は私のピアスを片方外すとブレザーに付けた。
「だったら、あなたに色んな世界見せてあげる。もうこれからは一人で悩まないで。私が傍にいるから。遊びの代わりにはなれないけど、それ以上の幸せを与えるわ」
そして、私たちは連絡先交換をした。
この瞬間からセナ王女と頻繁に二人きりで会うようになった。
「昨日は晴れているから公園デートもいいわね」
デートって言われると、まるで恋人みたいだ。けれど、セナ王女とならカフェの個室で二人きりになりたい。
セナ王女は私に商店街で買ったサンドイッチを渡した。
「あの、やっぱり自分の分は払います。悪いですし」
情けなくも、これまで奢ってもらってばかりだ。
「気にしないで。まずは、あなたが楽しまないと。無理無理の遊びじゃなくて」
そういえば、カラルリさんとはどうなっているのだろう。
「あの、カラルリさんと会わなくて良いんですか? 両想いですよね?」
もう白梅は済んでいるのだろうか。こういう風に妬いてしまうのが嫌になる。セナ王女は本命ってわけではないのに。ただ、私の方が、ほんの少し意識しているに過ぎない。
「普通に会ってるけど?」
やっぱりそうか。セナ王女は狡い。こんなに思わせぶりなことしておきながら、カラルリさんからも好かれていて。まるで両手に花。
「家でですか?」
こんな風に聞いてしまうのが本当に嫌になってくる。
「ええ、カラルリの部屋で宿題してる」
部屋……。ってことはカラルリさんとはもう既に……。
「カラルリさんと関係持ったんですか?」
完全な嫉妬だ。
「何もしてないわ。強いて言うなら、あなたにファーストキス奪われた程度ね」
本当にそうなのだろうか。あの事故のファーストキスだけって、男女が同じ部屋に二人きりでいて、そんなことありえるのだろうか。
「カラルリさんのこと好きなんじゃないんですか?」
聞いてしまった。遊ぶ側の私がセナ王女の前では女々しくなっている。
「うーん、好きは好きね。転校して友達作れない私に何かと優しくしてくれて、今のグループがあるのもカラルリのお陰だし。良い人って思うわ。でも、恋愛感情かて言われてみれば正直分からないの」
それって、私と恋人のようにデートしながら、あわよくばカラルリさんと交際するってことじゃないか。狡い。
「狡いですね。ここまで思わせぶりなことしておいて、カラルリさんにも気があるだなんて」
その時、セナ王女は私に口付けをした。私はカラルリさんの存在を気にしてセナ王女を抱き寄せ激しく口付けをした。そして、軽くセナ王女の太ももを触ろうとした時、セナ王女は私の手をつかんだ。
「場所変える? 休日だから、ここだと家族連れもいるし」
セナ王女は真剣な眼差しで私を見た。そうか、揺れているのは私の方だった。
「い、いえ。すみません」
私はセナ王女から離れた。
この日、セナ王女は初白咲をした。
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あとがき。
流れでは明らかカラルリと付き合うはずだったのに。
ひとたび、人が加われば心境の変化も起きうる。
恋愛って分からないものですね。
けれど、カラルリにとっては二の舞にならなくて済んだのではないでしょうか。
記憶を思い出さないなら、三角関係突入だったでしょうけど。
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この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
また、程度によりますが模倣はご遠慮願います。
詳しくは《カテゴリ》→《説明事項》→《模倣のご遠慮願います》をご覧ください。
小説の無断転載もご遠慮くださいませ〜♪