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日常のこととかオリジナル小説のこととか。
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プロフィール
HN:
ashita
Webサイト:
性別:
女性
職業:
地主(土地貸してます)
趣味:
漫画やアニメを見るのが好きです。最推しはフーディーニ ♡
自己紹介:
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ブログ、もう書かないと思ってました。

けれど、去年から書き始めた小説によって、過去に書いてた小説も書き始め、ここに載せることにしたのです。

小説は、主に『時間と時間を繋ぐ恋の物語』と『妖精村と愉快な仲間たち』をメインに書いています。
現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。

純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。

元々このブログは病気の記録用として立ち上げたものですが、小説載せるようになってからは、ここは出来るだけ趣味的なことを綴りたいと思っております。
病気の記録や様々な思いを綴るブログは移転済みなのです。

ただ、今は日記は個人的な徒然、或いはお知らせとして綴ることが多いかと思います。

小説、ぼちぼちマイペースに書いてゆきます。

よろしくお願い致します。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

お知らせ。

イラストは現在「ナノハナ家の日常」に載せております。サイドバーにリンクあります。

また、「カラクリよろずや」にてフリーイラスト素材について考えるブログはじめました✩.*˚
不定期に更新していく予定です。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

模倣・無断転載などは、ご遠慮ください。

ブログの小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。

小説・純愛偏差値に関しましては、武家名・貴族名(程度による) / 及び、武官の階級 / 扇子・羽子板・花札・百人一首・紙飛行機などのアイテム使用方法の模倣の一切を禁じております。

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X @kigenzen1874

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〈資格履歴〉

2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年01月20日
→鉛筆デッサンマスター 合格
→絵画インストラクター 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
→茶道アドバイザー 合格
→お点前インストラクター 合格
2025年04月17日
→着物マイスター 合格
→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
→サイキックアドバイザー 合格
→サイキックヒーラー 合格
2025年07月01日
→アンガーカウンセラー 合格
→アンガーコントロール士 合格
2025年08月04日
→漢方コーディネーター 合格
→薬膳調整師 合格

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〈資格証明バナー〉

鉛筆デッサンマスター®認定試験資格取得証明
絵画インストラクター資格資格認定証
宝石鑑定アドバイザー資格認定試験資格取得証明
鉱石セラピスト資格資格保持証明
茶道アドバイザー資格認定試験資格取得証明
お点前インストラクター資格資格認定証
着物マイスター®資格認定試験資格取得証明
着付け方インストラクター資格資格認定証
サイキックアドバイザー®資格資格証明
サイキックヒーラー資格資格保持証明
アンガーカウンセラー®資格資格保持証明
アンガーコントロール士資格資格認定証
漢方コーディネーター®資格認定試験資格保持証明
薬膳調整師®資格認定試験資格保持証明
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私は今もサン新聞記者を尊敬しています。

サンタクロースがいるかいないか。
そんな子供騙しのような質問、普通だったらスルーしちゃうと思うんです。

でも、サン新聞記者は違った。

ひたすらひたすら歴史を遡られた。

そして答えは見つかった。

元々サンタクロースではなく、セント・ニコラスという方が元の人物だったのですね。

そして、彼は貧しい民を来る日も来る日も助け続けた。
私は、そんなセント・ニコラス様を心から尊敬しています( * ॑꒳ ॑* )✨

イエスさん、お誕生日おめでとうございます✩.*˚

そして、ニコラス様に幸あれ(◍ ´꒳` ◍)
PR
純愛偏差値 未来編 一人称版 140話

《ナミネ》

「セナ元帥! もう一度、僕とやり直してもらえませんか?」
どういうこと? 今そんな発言したら、シャナが余計に苦しむじゃない。
私たちは、カラルリさんに襲われてナノハナ家から逃げたセナ王女とミナクさんを探すべく、廃墟になった写真館へ行った。そこで、思いの外、ヨルクさんが記憶を取り戻したのである。ただ、油断は出来ない。真新しいアルバムのみが床に落ちていたあたり、キクスケさんか他の誰かによる何らかを目的としたものである可能性もある。
けれど、私はヨルクさんに思い出してもらえて、とても嬉しかった。
その後、私たちは、セナ王女の汚れた服をどうにかするため紅葉病院へ行った。
そこで、なんとシャナがいたのである。
シャナは、2020年で飛ばされず、2023年までの世界を知っていた。シャム軍医は職場で知り合った同僚と恋仲になりセナ王女に別れを告げたところ、セナ王女はシャナに復讐をしたらしい。
また、ズームさんや落ち武者さんによると、この世界で未来の自分に出会うこともありうるとか。
「私、ミナクと交際してるの。それに、今そういうこと言われたら余計にシャナから恨まれるし迷惑だわ!」
そりゃそうだ。ミナクさんより早くに出会っていたなら可能性もあっただろうけど、こんな状況では付き合えたもんじゃない。
「ていうか、そもそもなんで心変わりしたんだよ?」
それって今重要だろうか。シャナがこんなに苦しんでいるのに。ナヤセス殿とは出会わなかったのだろうか。
「交際して1年くらいしたら、セナ元帥からブランドなど強請られるようになって、転生ローンも組んだし、セナ元帥が喜んでくれるならと最初は負担ではなかったけど、だんだん負担になった。仕事してから転生ローンは返せたけど、癒しがほしかった。そんな時に職場の同僚と両想いになってセナ元帥を見捨ててしまった。後悔している。ちゃんと話し合うべきだったと思うし、同僚のことは恋愛ではなかった。僕が愛していたのはセナ元帥だけだった」
何だか煮え切らない言い分。他に揺れた時点で私だったら元の関係に戻ろうとは思えないと思う。いっときの気の迷いみたいなものでシャナの人生が壊れてしまったかと思うと、シャナが可哀想すぎる。
けれど、シャム軍医にまでブランドを強請っていたとは思わなかった。恋人というのは最初だけなのだろうか。それともセナ王女がもたれかかっただけなのか。
「覚えていないことを言われても私には何も出来ない。もしシャナが何かしてきたらルール違反よ? レナードに今日のこと話すわ」
セナ王女も折れない。といっても、全く身に覚えないことを言われても人は解釈しきれないものだ。寧ろ、取り乱しながら突き放すのが普通だろう。残酷だけど。
けれど、私は今のシャナを助けたい。
「ナミネ、悪いけど、今ナミネに降板されたら困るし、今は映画のことだけ考えてくれないかな?」
そう……だった。私は、ラハルさんと最高の作品にすると誓った。シャナのこと直ぐにでも助けたいけれど今は出来ない。ナヤセス殿も、シャナを選ぶかロナさんを選ぶか分からない。私に出来ることは何もないかもしれない。
「あ、はい、すみません。私、ラハルさんと最高の作品になるよう精一杯演じます!」
一度引き受けた仕事に支障をきたすことは許されない。シャナには申し訳ないけど、ラルクに連絡して意見を伺おう。私は、フェアホを取り出し、ラルクにレインを打った。
「じゃ、僕たちは別のとこで寝る。甘えセナはもう女遊びミナクと付き合ってるし、アンタら迷惑」
何もそんな言い方しなくっても。シャナもシャム軍医も仲間だったはずなのに。やっとカラルリさんの転生ローンがゼロに出来たと思ったら、今度はまた別の問題に苛まれている。私たちに問題のない日は与えられないのだろうか。
「ナミネ、一緒に寝よう」
ヨルクさんは私の手を繋いで来た。シャナの問題さえなければこのまま恋人に戻れるかもしれないのに、シャナがいる手前、私のみ幸せを見せつけてしまったらシャナが可哀想だ。
「すみません。私、一人で寝ます」
どうして……どうして上手くいかないのだろう。
「シャナのことはカナエが見てます。皆さんは休んでください」
ここでもカナエさんは率先して困難な問題を引き受ける。やっぱりカナエさんは変わらない。
「アンタ、聞こえなかった? この二人とこちら側は関わらないけど?」
落ち武者さん、どうしてそんなに冷たいのだろう。氷河期町にいた時、あれだけ助け合った仲じゃない。
「それはセルファさんの身勝手な言い分です。カナエはセルファさんの召使いではありません」
カナエさんて、本当ハッキリ意見言う人だなあ。小さい頃は私たちの面倒見ててくれていたし末っ子にしてお姉さん要素も兼ね備えているのかもしれない。
「召使いのような存在としてって契約だけど?」
そういえば、落ち武者さんに償うような約束してたんだっけ。
「ねえ、セナ王女。今妊娠何ヶ月?」
え、どういうことなのだろう。シャナが何かしたのだろうか。それともミナクさんとの……?
「アンタ、何かすると思ってた。悪いけど、アンタ見た時に裏番人封じしといたから。アンタだったんだな。裏番人と通じてたの。けど、甘えセナを助けるのも今回切り。僕が先手打ってなかったら、今頃アンタ中絶も出来なくなってたけど?」
裏番人!? シャナに仕えているの!? ダメだ。今はこの問題はラルクに預けないと。
「あなた、よくも……!」
セナ王女めちゃくちゃ怒っている。本人には全くもって記憶ないことだし怒るのも当然かもしれないけど、やっぱりシャナが可哀想だ。
「セナ王女、行きましょう。シャナ、お前にはガッカリした」
ミナクさんは半ば無理矢理セナ王女の手を引っ張って、この部屋から出て行った。
「ナミネ、僕らも行こう」
ラハルさんは一瞬、シャナを切なそうに見た。
「あ、はい」
シャナとここで会ったのは本当に予想外だった。助けたい。けれど、私には41%の華の涙を演じ切る使命がある。
「ナミネまで私を見捨てるの? ナミネって自分さえ良ければそれでいいの?」
引き止められるのはいつも私だ。理由は分からないけどモヤモヤする。
「そうじゃないよ! シャナとここで再会すると思わなかった! ラルクには連絡したし、撮影終わったらまた会いに来る! シャナのこと助けるから!」
その気持ちに偽りはない。けれど、シャナからしてみれば酷だろう。私は普通に学校に通って、女優業までする。でも、シャナは全てを失った。私が知らないセナ王女によって人生を奪われた。私たちがシャナと関わること自体が残酷なのかもしれない。
「私より撮影のほうが大事なんだ! そういうの友達と呼ばないし自分の幸せ見せ付けてるだけだよね」
やっぱりこうなってしまう。友人が困っていたら、やりたいこと諦めなければならないのだろうか。
もはや、入院している人とそうでない人とは時間軸が違う。同じ空間に存在しながらシャナは別の世界に生きているのだ。

数日後、私とラハルさんは41%の華の涙の予告コマーシャル撮影を行った。
シャム軍医は相変わらずセナ王女にアプローチしているらしく、シャナはあの後駆け付けたラルクによって落ち着きを取り戻したものの、セナ王女のことを許せないままでいる。また、シャナはラルクを頼りつつもある。ラルクとセレナールさんの間に亀裂が入らないか心配だ。
ナヤセス殿に手紙は出したが返事は返って来ていない。
41%の華の涙は脚本を見た時に、さよなら、ごめん、でも……と殆ど同じだと感じた。脚本家は確実に世に広めるつもりだ。モデルは、この世界に存在しているか分からないし、いつの事件かも今となっては曖昧である。それでも、ラハルさん同様、私も世に伝えたい思いでいる。
そして今日、撮影が行われる。読み合わせはプロの役者さんとしていたため、エキストラのみんなと会うのははじめてだ。
ラハルさん含め、中学2年生という設定だからか、4人のエキストラは中学2年生らしい。私は身長が低いし、みんなより1つ下だけど中学2年生に見えるだろうか。
スカートは思ったより短い。事件に巻き込まれた学生のその時の服装なのだろう。
ラルクはセレナールさんと紅葉病院でシャナを見ている。セナ王女とカラルリさんには同じ空間にはいてほしくないけど、私の撮影ということで来てしまっている。
虹色街は、あの頃とあまり変わっていないと思う。
ナナミお姉様とリリカさんはラハルさんに釘付けだ。
「ナミネ、本当に大丈夫? 撮影中に変なことされたりしたら……」
ヨルクさんは心配しすぎだ。エキストラとはいえプロを目指す役者なのだから。それに、 さよなら、ごめん、でも…… だってフリをするだけだった。あの演技はリアル過ぎて本当の事件を目の前で見ているようだった。
この時の私は、真実を全く知らなかった。さよなら、ごめん、でも…… でヒロインを演じた女優は何も知らないまま黒鈴酷華に持ち込まれ必死に抵抗し、それがリアリティあると評判になったものの、第二まで失った女優は絶ったことを。本当の雰囲気をそのまま出すため、監督が裏でアドリブをするよう話していたことは女優には知らされていなかったのである。それを私が知るのは全然遠くない未来であった。
「ヨルクさん、心配しすぎです。私は大丈夫です」
この時の私の考えは甘すぎた。それに気付くのは数十分後。
撮影がはじまる。私たちは配置に付いた。

「41%の華の涙 撮影スタート!」
はじまった。
エキストラは、レインレルさん、ハランレさん、ミルミークさん、ヨハナカさんの4人。そして、ラハルさん含め私たちは同じ中学校の同級生で同じクラスという設定になっている。
「何だか不気味ね」
真夜中の廃墟になった本屋の中でレインレルさんが身震いした。エキストラとはいえ、演技力はある。
「怖がりすぎじゃないのか?」
ミルミークさんは懐中電灯を顔に当てた。驚いたハランレさんは転んで下着が丸見えになった。レースの下着。確か下着はスポーツタイプのものと指定されていたはず。何かが違う。
「とりあえず、あの畳の部屋に入ろ」
私は脚本を元に戻した。
ラハルさんに手を取られながらハランレさんは立ち上がり、私たち6人は奥の畳の部屋に入って懐中電灯を照らしながら輪になった。
「この時期だから暖房も冷房もいらなくて肝試しにはちょうどいいな」
こんなセリフだっけ? ミルミークさんがアドリブ使ったのだろうか。NGは出ない。
「うん、そうだね。夏に入りかけの春の夜って過ごしやすいよね。私たち2年生だけど、みんな夢とかあるの?」
私はまた脚本通りに戻した。
「うーん、特にないかな」
ラハルさんは脚本通りに進めている。そして、ラハルさんに続くように他のメンバーも特にないと答えた。
「あー、そうだよね。私も勉強についていくだけで精一杯で夢とか考える余裕ないや」
現実は違うけど、ヒロインのモデルたちはそうだったのだろう。
「ナミネ、勉強出来るのに?」
そういう設定ではなかったような。ミルミークさんはセリフ覚えてないのだろうか。
「えー、出来ないよ」
私は苦笑した。
「ナミネ、好きな人いる?」
また台本と違う。
「それよりさ、ここいつから廃墟だっけ?」
ラハルさんが戻してくれた。やっぱりラハルさんは信用出来る。きっとミルミークさんは緊張しているだけだろう。
「当主なくなって跡取りいなかったんじゃないの?」
それって……紅葉町にある商店街を出た……。まさか、紅葉町で起きた事件だったの!?
「幽霊出るんだってな」
やっぱりミルミークさん以外は台本通りに進めている。そして、紅葉町で起きた事件なら幽霊というより転生している可能性も高い。
「怖いよねー」
私は少し後ろず去った。台本通りに少し膝を曲げた。こういうの私は気にしないけど、中には気にする人もいそう。
「みんなで手を繋ごう」
ヨハナカさんの言葉と共に、私たちは輪になり手を握り合った。片方がラハルさんなことに暗黙に安心している私がいる。
その時、レインレルさんが俯き、胸元がはだけた。
ひやー、中学2年生なのに胸ある。ちょっと羨ましい。
その瞬間、ミルミークさんは手を離しレインレルさんの太ももに触れた。ここは台本通りなんだ。男ってみんなそうなのかな。
「今、音鳴ったから見てくる」
レインレルさんは立ち上がった。
「私も……」
ハランレさんも立ち上がり、2人は外へ向かった。
私たちはその後、他愛ない話を10分ほどした。
その時、私はミルミークさんに押し倒された。なんか、息遣い荒いように感じるけど気のせいだろうか。
「や、やめて!」
私は抵抗をした。台本通りラハルさんもヨハナカさんも見ているだけで助けない。
ミルミークさんは私のブラウスを脱がした。私はキャミソール姿となった。
「やめてってば!」
ジタバタする私の両手をヨハナカさんが掴んだ。なんだか、リアリティあるなあ。
その時、戻ってこない設定のレインレルさんとハランレさんが何故か戻ってきた。
「あー、勘違いだった」
レインレルさんもハランレさんも何事もなかったように座った。
私はミルミークさんにパンツを下ろされ……あれ、2枚下ろしている! ここはフリなはずなのに、ミルミークさんもズボンだけでなく下着丸ごと脱いでいる。
「いやー! やめてー!」
私は咄嗟に結界をかけた。
「あ、あれ入んない」
その時、ラハルさんがミルミークさんを突き飛ばした。
「ストップ! ナミネ、大丈夫?」
ラハルさんは私に触れようとした。私は結界を解いた。
「なあ、アンタ、今本当にやろうとしただろ?」
落ち武者さんは、ミルミークさんの前に立った。私は下着とブラウスを元に戻した。
「あ、はい、何ともありません」
信じられない。こんな人が役者志望だなんて。
「あ、いや、僕は台本通りにしただけで……」
台本通り!? どこがだよ。
「台本通りって?」
落ち武者さんはフェアリーングをかけそうな勢いだ。私一人でも多分どうにかなった。けれど、あの時、止めてくれたラハルさんがいるから、私は取り乱さずに済んだのだと思う。私は弄ばれたりなんかしない。けれど、さっきは、ミドリお姉様の過去をリアルに実感した気がする。
「台本通りって言うか、元になっている『さよなら、ごめん、でも……』がヒロインに予告なしで本番したから、41%の華の涙でもヒロインに予告なしで本番って監督から言われてて……」
何それ!? 監督が黒鈴酷華を言い出すだなんて、とてもじゃないけど正気とは思えない。そもそも、『さよなら、ごめん、でも……』のヒロインは無理矢理だったの? 女優はモノなんかじゃない。私は、はじめて知った『さよなら、ごめん、でも……』のヒロインを不憫に思った。映画の撮影で人生を奪われることになるだなんて、もし、転生しているなら、どこかで復讐を考えている可能性も高い。
「監督、本当? 僕は何も聞いてない。ナミネを危険に晒すならナミネにはヒロインやめてもらう。僕も下りる」
ラハルさん……。やっぱり、ラハルさんがいないと私一人では違う展開になっていたかもしれない。
「言わせてもらうが、演技ではダメなんだ。役者は綺麗事では勤まらない。『さよなら、ごめん、でも……』はヒロインの犠牲あったからこそ、リアリティある作品を生み出せた。フリじゃダメなんだ。リアルで行うからこそ良い作品になる。悪いけど、ヒロインにはリアルを行ってもらう。君の容姿でリアリティある作品生み出せたなら2024年ベストな作品を生み出せる。女優業するなら、それくらいの覚悟は持ってもらわないと困るね。実際、今放送しているドラマも何人かの女優が犠牲になってるしね。女優はそういう仕事なんだよ」
完全に狂っている。とてもじゃないけど信じられない。監督に言われたからと、そのまま女優を犠牲にした過去の役者もミルミークさんも、屈折したものの考えで、女優1人亡くなっている以上、人殺しと言っても過言ではない。
私は監督に向かって歩き出した。そして扇子を突き付けた。
「あの、女優は辱められる存在でもなく犠牲になる存在でもありません。仮に……いえ、実際でしたね。その当時の女優を他の役者が黒鈴酷華したことでリアリティな作品になっていたとしても、犠牲では意味がないのです! 女優なら、リアルで行うではなく、リアルを演じられます! 私は『さよなら、ごめん、でも……』以上の演技をします! 私の演技が納得いかなかった場合は、そのリアルを行うとやらをしましょう! まずは、私の演技を見てください!!」
言ってしまった。後には引けない。引くつもりもない。私は、この作品を最高のものにしたいと思っている。
「ナミネ、やめよう。グルグル妖精のマンションで休もう」
ラハルさんは危険を犯さない人だ。いかなる場合でも。常にマイペースを保つ。諦めるところは諦め、本領発揮出来るところで登ってゆく。それがラハルさんだ。でも、私は違う。売られた喧嘩は買う。それが武士なのだ。
「いえ、私やります!」
その時、監督は武家のものではないけれど、芸能界のものなのか、伝統の扇子で、私の扇子をパチンと叩いた。
交渉成立だ。
「ナミネ、ダメだ! この撮影はやめよう! ナミネにもしものことがあったら、僕は生きていけない!」
そこまで私のこと想ってくれてる人、どれだけいるのだろう。
「ナミネは大丈夫。必ず過去超えするわ」
リリカさんはさらりと言った。
「交渉成立した以上、取り消しは不可能! みんな配置に付け!」
監督の言葉に、私たちはさっきの配置についた。ラハルさんは心配そうに私を見ている。私はラハルさんに笑顔で返した。
「では、ミルミークがナミネを押し倒すシーンからスタートだ! 約束通り一度目はナミネの演技力を見させてもらう! けれど、私が納得いかず二度目になった場合、リアルを行ってもらう! シーン2、スタート!」
監督の声と共に、ミルミークさんは私を押し倒した。
「えっ、何!? ミルミーク、どうしたの?」
私は動かなかった。
ミルミークさんは私のブラウスのボタンを外しはじめた。
「な、何してるの!? いや、やめて!!」
私は手足をシタバタさせた。ヨハナカさんは私の両手を掴んだ。
「ちょっと、そういう気持ちになっちゃった」
アドリブだ。
「勘違いだったみたい」
レインレルさんとラハンレさんもアドリブで戻ってきた。後で聞くところによると、2人はヒロインが犠牲になる姿を目に焼き付けて役者を極めたかったらしい。
「ねえ、助けてよ! 見てないで助けてよ!!」
私は涙を零しながらレインレルさんとラハンレさんを見た。2人は目を逸らした。
私は上はキャミソール姿になった。
「どうしてこんなことするの! やめて!!」
私はわざと身体を逸らし片方のキャミソールの肩ひもをブラひもと共に腕10cmくらいのところまで下ろした。
「ナミネって可愛いよな。ナミネみたいな子としてみたかった」
ミルミークさんは私のスカートの中に手を入れ、今度は約束通り下着を1枚だけ脱がした。
「いやー!!」
私は泣き叫びながらミルミークさんの頭を蹴った。
「おい、なにすんだ!」
ミルミークさんはヒートアップし、私の股を開かせた。
「いやー!! いやー!!」
私は大粒の涙を零しながら押さえつけられている両手以外を暴れさせた。けれど、ミルミークさんは容赦なく私の中に入れるフリをした。めちゃくちゃ当たってる。
「いやぁあああああああ!!!」
私は抵抗をやめ、ミルミークさんにされるがまま、声のトーンだけ上げて泣き叫んだ。ミルミークさんが終わると、ヨハナカさん、ラハルさんと腰を振り、私は気絶したフリをした。
「カット! 合格だよ、ナミネ君」
やり切った。と思う私の横で明らかミルミークさんは残念がっている。けれど、これで私は犠牲にならずに済んだ。
「『さよなら、ごめん、でも……』で監督を務めたのは、私の親友だった。女優を犠牲にすると聞いた時は流石に驚いたし、大丈夫なのか聞いたけど、作品は見事なものだった。それ以降、私も同じことで名作を見出してきたつもりだった。私は親友を超える作品を生み出したい執念に取り憑かれていたんだ。けれど、それは間違いだったと気付いたよ。女優ならリアルを演じられる。ナミネ君のような女優の中の女優がいることにやっと目を向けられた。この作品は『さよなら、ごめん、でも……』を超えるだろう。このまま台本通りに演じてほしい」
知り合いが、元の作品の監督だったのか。その人も、この監督と争う上で手段を選ばなかったのだろう。そして、犠牲者は出てしまった。この先も、そういった女優は出てくるかもしれない。けれど、私は私の演技を見る人に伝えたい。
「はい、最後までやります!」
まだ序盤だ。気を緩められない。
その後、撮影は続いた。
廃墟に入っただけで、人生を奪われた私は登校拒否の後、ホスピタルに入居した。ホスピタルでの生活は完全に心が健康な人の人生との関わりをシャットされていたと思う。来る日も来る日も同じ暮らし。けれど、学校には行きたくない。それでも、青春を奪われた恨みはつのってゆく。
そんなある日、ラハルさんが見舞いに来た。
「ナミネ、許してもらえないことは分かっている。それでも謝りたかった。ごめん、本当にごめん……」
ラハルさんは、その場に泣き崩れた。
流石はラハルさん。高校生にして、演技が優れている。努力した分だけの思いが伝わってくる演技だ。
私はラハルさんが持ってきた花束を奪い取り地面に叩き付けた。そして、ラハルさんを引っぱたくフリをした。私の手がラハルさんの頬に少し当たった瞬間ラハルさんは転んだ。
「許すとか許さないじゃないよ! あの日から私、学校行けなくなったんだよ! 家にさえいれなくなったんだよ! 元に戻りたくても戻れない! あの日、私の人生壊れたんだよ!」
私は徐々に声を張り上げ泣いた。
「黙ってないで返してよ、返してよ、私の人生!!」
私はそのまま倒れ、ラハルさんはナースコールを押した。
その後、ラハルさんは何度も私に会いに来た。私は憎しみから来る度にラハルさんを殴り付けた。結界をかけるまでもなく、ラハルさんはその前に転んでくれた。これが本当のプロの演技なのだろう。
そして、いつしかラハルさんが来る度私たちは他愛のない話をし、私はラハルさんが来るのを楽しみに待つようになっていた。
「ナミネ、結婚を前提に付き合ってほしい! 償いじゃなく、本当にナミネが好きなんだ!」
ラハルさんの突然の告白に私は微笑みながら涙を流した。
「うん、私もラハルのこと好きだと思う。私、付き合う! ラハルと付き合うよ!」
この日から私はラハルさんと交際をはじめた。
ラハルさんが来てくれる日は幸せな気持ちを抱けるようになった。
私は、中学三年生の夏に復学をした。
「ナミネ、久しぶり! 元気だった?」
レインレルさんは見下すように私に微笑みかけた。
「うん、元気元気! あのね、私、ラハルと交際してるの」
その瞬間、レインレルさんとハランレさんの顔が強ばった。
「え、それって同情?」
ハランレさんから笑顔が消え失せていた。
「ラハルね、何度も私のお見舞いに来てくれたの。そのうちに、互いに好きになっちゃって。私、ラハルと幸せになるね」
まだ本調子ではない私は、無理して精一杯の笑顔を作った。
「でもさ、ナミネ汚れてるし続かないんじゃない?」
その時、ラハルさんが来た。
「ナミネのことは本気。汚れてるって何? ナミネは純粋だよ。人を嘲笑うほうが心汚れてるんじゃない?」
ラハルさんは私の手を握った。私はラハルさんを見つめた。
下校はいつもラハルさんとするようになり、私は元の自分を取り戻そうとしていた。このまま幸せでいられる。そう信じていた。
レインレルさんとハランレさんがラハルさんのことを好きなのを知っても私は知らぬフリしてラハルさんとの青春を楽しんだ。
そんなある日、ラハルさんと下校していたら新たな廃墟を目にし、私はパニックに陥り、その場に倒れ込んだ。ラハルさんは直ぐに救急車を呼んだ。
搬送先で私は心的外傷後ストレス障害 (PTSD)と診断され、薬も処方された。
「私、治ってなかったんだ……。ラハルといるとあんなに楽しかったのに、こんなに幸せなのに……どうして……どうして!!」
私は突き付けられた現実を受け止めきれず、震えながら涙を零した。ラハルさんは私を優しく抱き締めた。
「ナミネ、直ぐには無理だと思う。でも、僕は支え続ける。だから、僕と一緒に乗り越えていこう?」
私はラハルさんの声さえ耳に入っていなかった。
学校で私は、ことある事に暴れた。
「よくも、よくも私の人生奪ってくれたよね! 私だけ不幸になってみんなは幸せなんて認めない! 許せないよ!」
私は、ミルミークさんとヨハナカさんにカッターナイフを突き付けた。
「ご、ごめん! あの時は魔が差した!」
ミルミークさんはリアルでもしそうで怖い。
「ナミネ、許してほしい! 悪かったと思ってる!」
ヨハナカさんは自分が助かりたいだけ。
この事件の関係者もそうだったのかな。
「ナミネ、落ち着こうか」
ラハルさんが私からカッターナイフを取り上げようとした時、ラハルさんから血が流れた。
実際は朱肉だけど、素早い。何度も練習してきたかのよう。そうか、ラハルさんは、この作品にかけていたんだ。やめなくて良かった。ラハルさんがいれば最後まで演じ切れる。
私は夜は眠れず勉強も出来なくなり、また家に居づらくなった。かといって、ホスピタルにも私の居場所はない。
そんなある日の放課後、理科室から声が聞こえてきた。
「ナミネって男子からチヤホヤされてて、タダでさえウザイから廃墟でハメてやったのに、ラハルと付き合うなんて……」
レインレルさんの声……。あまり悔しさは出ていないけど、この作品はあくまで主役とヒロインにスポットが当たったものだから、これはこれでいいのかもしれない。
「意外にしぶといわね。私たちだってラハルと付き合いたいのに」
廃墟のことはレインレルさんとハランレさんが仕組んだことだと知った私はその場に蹲った。
数日後、私は元グループに提案をした。
「ねえ、あの廃墟、もう一度6人で行ってみようよ」
その夜、私たち6人は私が人生を壊された廃墟へ行った。私とラハルさんは、畳のところまで行くと直ぐに外に出た。そして、中の様子を伺った。
ミルミークさんはレインレルさんを、ヨハナカさんはハランレさんを押し倒していた。
「やめて」
レインレルさんは押し倒されたまま棒読みした。
「いや!」
ハランレさんも抵抗しない。
「カット! せっかくナミネ君が名演技をしたのに、これでは作品として成り立たない! ちゃんとした演技が出来ないなら、この書類にサインしてくれないかね?」
監督はNGを出すなり、書類とやらを2人に突き付けた。いったいなんの書類だろう。
「え、リアルを行うだなんて出来ません」
リ、リアルを行う!? どうして今更!?
「損害賠償も払えません」
損害賠償!? さっきと言ってること違うじゃない。監督はまだ、もういない親友と争ってるんだ。けれど、犠牲者を出した作品になどしたくはない。
「あの、あくまで演技で良い作品をと約束しましたよね? どうして今更覆すんですか?」
作品は作品。失敗する時だってある。必ずしも名作にしなければいけないのなら、もうそれは撮影ではなく拷問だ。
「それはナミネ君の場合だよ。君は素晴らしい演技力を持っている。だからこそ、この作品は原作を超える作品にしなければならない」
監督は折れそうにない。犠牲にする書類を突き付けるあたり、説得出来る人なんているのだろうか。終盤になってのハプニングに私たちは戸惑った。
「うーん、終盤ですし、復讐シーンだけカットするとかは出来ないのでしょうか?」
別に復讐がなくたって、最後は主役とヒロインは幸せになるのだから、カットしたっていいと思う。でないと、せっかくここまで演じてきた努力がもったいない。
「それは出来ない。実際に起きた事件は女性は復讐をして自己嫌悪を抱いたわけだから、その1つの名シーンを抜くわけにはいかないのだよ」
だからって、まだエキストラの若者を犠牲にするのは間違っている。
「ナミネ、ちょっといいかな?」
ラハルさんは、私の手を取り、そして私を押し倒した。
「あ、はい」
なんだか、昔を思い出す。
「レインレルとハランレは、ちゃんと見てて」
ラハルさんは私のブラウスのボタンを外した。こういう時でさえ、ラハルさんは優しい。
「な、なにするの!」
私はラハルさんの手を押さえた。疲れているせいか、胸が高鳴っている。
「ナミネのこと好きだった。だから一度だけ……」
リアルでラハルさんに言われたら断る女いないだろうな。
「いや!」
私は手足をバタバタさせた。ラハルさんは私を殴るフリをした。
「や……め……て……」
私は抵抗出来ないフリをした。
ラハルさんはそこまま無理矢理するフリをした。
「いや……いや……!」
私は大粒の涙を零した。
リアルな演技なのに、相手がラハルさんだと安心してしまう。
「今の演じてくれる?」
ラハルさんは私のブラウスのボタンを付けた。
「じゃあ、廃墟で押し倒されるところからスタート!」
再び撮影ははじまった。
ミルミークさんはレインレルさんを押し倒し、ヨハナカさんはハランレさんを押し倒した。
「い、いやっ!」
レインレルさんは手足をバタバタさせた。
「な、なにするの!やめて!」
ハランレさんも抵抗をした。
ミルミークさんとヨハナカさんは押し倒した相手を殴ったフリをした。レインレルさんとハランレさんは抵抗をやめた。
この二人、ちゃんと訓練したら役者に近付ける。
そのまま、レインレルさんとハランレさんは水花を失った。
私は再び廃墟の中へ入った。
「あはは、私と同じだね」
私はあどけない笑顔で二人を見下した。
その後、レインレルさんとハランレさんは学校へ来なくなった。
「ラハル、復讐したのに……なのに少しも気が晴れない。それどころか私についた汚れが落ちないの……落ちないの!!」
私は泣き崩れた。
「ナミネ、時間はかかると思う。それでも、僕はナミネと人生を共に送りたい」
こんな感じのこと、いつかの交際時にも言ってたな。
「ううん、もういいの。ありがとう、ラハル」
私はラハルさんと別れ、転校をした。
きちんと別れたはずなのに、私はラハルさんのことを忘れきれず、結局引きずったままだった。
1年後の春、高校生になった私はバイト先でラハルさんと再会した。
数日後のバイト帰り、ラハルさんが追ってきた。
「もう二度と離さない。二度と手放さない。僕はナミネと結婚する」
ラハルさんは小さな箱を私に渡した。箱を開けると婚約指輪が入っていた。
「うん……私ももう現実から逃げないよ。ラハルが好き」
私とラハルさんは抱きしめ合った。
「カット! OK!」
4時間にも及ぶ撮影がやっと終わった。
「皆さん、お疲れ様です」
その瞬間、ラハルさんが私を抱き締めた。
「ナミネ、もう危険なことはしないで! 撮影中、どれだけ心配だったか」
ラハルさん……。
「ラハルさん、ありがとうございます。ラハルさんは、この作品にかけていたのですよね? そんな想いを簡単に消したくはなかったですし、ラハルさんがいる撮影だからこそ最後まで演じきれたんです! これからも私はラハルさんの夢を傍で応援し続けます!」
ラハルさん泣いてる。私が戦死したことや、カンザシさんに無理矢理引き離されたことを思い出したのだろうか。
「ナミネが危険な目に遭うなら最後までとかどうでもいい。僕はナミネが全てだから」
私、調和性に欠けてたのかな。いつかの私もそうだった気がする。
「分かりました。次はちゃんと話し合います」
武士はどうしても突っ走りがちだ。それは捨て身の心を常に持っているからである。自分が助かること前提では間に合わないことがあるからだ。されど、時代も2024年。捨て身というのは、殆どの武家では消滅されつつある。私たちは、お武家連盟会議では『各々の判断に委ねる』と位置づけされているが、本気で捨て身を今でも極めているのはコノハ家が強いだろう。
「アンタら、ここ撮影場所なんだけど? それと、デブミルミーク! この動画晒されたくなかったら、今ここで強気なナミネに謝れ!」
落ち武者さんの言葉にラハルさんは私を話した。ヨルクさんには申し訳ないけれど、なんだか愛おしい。人生を共にする相手は今世ではラハルさんではないし、私が命を懸けて守りたいのはヨルクさんだけど、全部ひっくるめて、ラハルさんは良きパートナーであると思う。ラハルさんなら、この先も女優のお仕事を引き受けたい。
「わ、悪かった。ナミネ可愛いし、ラハル先輩とのコマーシャルでもキュンとして、共演出来るって知れた時、思わず監督の指示に飛びついてしまった。ナミネの水花がほしかった」
この人、謝る気あるのだろうか。学校でもスカート捲られたり覗かれたりは当たり前だったけど、まさか本気であんなことするとは思わなくて、ミルミークさんとは友達にはなれそうにはない。
「あー、別にいーよ。監督の指示なら仕方ないよね。でも、本気で俳優目指すなら獣道は歩かない方がいいと思うな」
私はヘラヘラ作り笑いをした。
その時、ラハルさんがミルミークさんの胸ぐらを掴んだ。
「本気で悪いと思ってないよね。俳優目指すのやめてくれる?」
ラハルさんの真剣な顔。私に危機が迫った時は必ず取り乱していた。その時、リリカさんがミルミークさんを突き飛ばした。
「悪いけど、ミルミーク君はエキストラ、クビってことで」
『さよなら、ごめん、でも……』では、ヒロインのみが犠牲となった。けれど、今回は誰も犠牲にならず撮影を終えることが出来てよかった。
「か、監督! 反省しています! もう一度チャンスをください!」
こういうのは、どこの業界も程度によるだろう。私の中ではミルミークさんはアウトだし、ほとぼりが冷めたら、また同じことをしかねない。
「ナミネだけ狡い! 私もラハルと共演したい!」
間近で涙を零しながらラハルさんを見つめるリリカさんに対し、ミナクさんを好きながらも推しとしてラハルさんに迫るナナミお姉様。二人の相反する想いに胸を傷めているのは私だけではないはず。
「僕は、この先もドラマ出演決まってるから、まずはオーディション受けてくれる? ナナミもリリカもね」
オーディションかあ。前の世界では、役を取り戻すためにオーディション受けたっけ。私は普通の中学生でいたいけれど、ラハルさんがいるから女優業もかけもちしてしまっている。それに、今はミドリお姉様も表舞台に立とうとしている。
「ほら、コメントするんだろ。最後まで撮影してこい!」
そうだった。撮影中に色々ありすぎて、映画のコメントの存在を忘れていた。
「ナミネ、行こう」
ラハルさんは私の手を引っ張って走り出した。この光景も懐かしい。そして、この時、ヨルクさんが胸を傷めていたことを私は全く知らなかったのである。

撮影のコメントの後、私はフェアホを見た。
『シャナと交際することになった。セレナール先輩は皇太子様と交際はじめた』
ど、どういうこと? ラルクはセレナールさんを助けるためにセレナールさんに本気じゃなかったの? シャナと付き合うって何……?
私は何がなんだか分からないまま呆然とした。

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あとがき。

予告したかは忘れましたが、41%の華の涙(元は『さよなら、ごめん、でも……』)は実話です。
ある映画を見て、それが実話だと知り、その過酷で切なくて奪われた青春を少しでも多くの人に知ってもらいたくて今回140話に盛り込みました。
あ、えっとブログ 純愛偏差値では17話でしたね。

ある映画のタイトルは伏せてます。
その映画のタイトルを私が勝手に『さよなら、ごめん、でも……』と表記しました。

また、小説内では『紅葉町 廃墟 集団事件』としています。
実際の事件名は忘れちゃいました。

ただ、内容が内容で私も表現力がないため、見た人は一発で、どの映画か分かるとは思いますが。
電子漫画にも似たようなのありましたが、それではなく、あくまで映画ね。

その映画となった事件は本来、あってはならないことだと思うので、今後も私は、マイナーな実際に起きた事件を小説に盛り込んでいくつもりです。
もちろん、タイトルや事件名は変えますが。

『伝える』『知ってもらう』
ということも、時として大切なことだと感じましたm(*_ _)m

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この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。

また、程度によりますが模倣はご遠慮願います。
詳しくは《カテゴリ》→《説明事項》→《模倣のご遠慮願います》をご覧ください。

小説の無断転載もご遠慮くださいませ〜♪
幸子 お前のことは
いまでも 愛してる
幸子 けれど前より
気持ちは 薄れてる

坂道を 駆け上がる
幸せを 零しながら
夕闇の 星の中
心は 陰っていた

切ない なにもかも
儚い そういうもの

幸子 元気でいるか
たまには 飯食うか
幸子 別れ話は
したくは なかった

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同級生からかうために作った歌だけど。
メロディーは思ったより、いい感じに仕上がったので、歌詞変えて2番からラストまで仕上げようと思います(◍ ´꒳` ◍)


『和』ってあまり興味なかったんです。
着付けも。

デイケアでは習っていましたが。
プライベートでは着ないだろうと思ってました。

それが、少し前から着物に興味持ちはじめたんですよね。武家メインの小説書いているからでしょうか。

着物は小紋です。

1着目 1980円。
2着目 1000円。
3着目 1100円。

と『着物一式20~40万円』と言われている中、安くで揃えること出来ました。
長襦袢も安かったです。

私はシンプルに着たいので、飾りとかはあまり付けたくないかもです。

ちなみに、志古貴ないし流石にそんなに高価なのは買えないので、百均のカーテンで代用作りました。

まだまだ着付けはおぼつかないですが、楽しいです。

母からも着物もらったのですが。
遊びでやってるので安いのでいいかな。
下駄とか新品でテカってて履くの勿体ないよ〜。

小説通してですが。
いい趣味出来たなと思います(●︎´▽︎`●︎)
純愛偏差値 未来編 一人称版 139話

《ヨルク》

ナミネが幼稚園に上がる前、私とナミネは婚約していた。けれど、幼稚園の時に『ラルクが好きだから婚約破棄する』と言われ、ずっとそれを引きずっている。けれど、ナミネを諦め切れなくて、何度も縁談書を持って行った。ナミネもナミネで小学生の頃は、よく私の部屋に来てくれていた。でも、ミドリさんがあのようなことになり、ナミネは変わってしまった。
最初はどうにか励まそうとしたけれど、ナミネはしばらく学校に行けなくなり引きこもっていた。それでも、ナミネを幸せにすると何度も何度も、ひたすらナミネとの縁談まとめることだけを考えて生きて来た。
「あのね、ラルク。今回もカラン王子の食事会あるをだって! 私、そこでヨルクさんにプロポーズするんだ!」
ナミネ、ミドリさんのところへ行ったんじゃなかったのか。私は、カナエさんと後片付けがあるから残っているけれど、盗み聞きしているようで、いい気はしない。それでも気になってしまう。
「まあ、いいんじゃね? ナミネ、ヨルクお兄様と交際して落ち着きたいんだろ?」
気持ちは嬉しいけど、ナミネからじゃなくて、私からナミネに花束とプレゼント渡して告白したい。カラン王子って、次期国王の……だよね。
「青春ですね。カナエは、あの兄弟に恋愛感情そのものを奪われてしまったので、お二人が羨ましいです」
今のアルフォンス王子は、まともに見えるし、寧ろカナエさんに気があるように見えるけど。カナエさんは、もうコリゴリか。無理もない。最初がセイさんだったことが、とてもじゃないけど、信じられない。それが不幸のはじまりというか、カナエさんの恋愛にトラウマを与えてしまったのではと思うくらいに。
「カナエさんなら、いっぱいいるでしょう。あ、カナエさんはミドリさんとラハルさんの演奏聴かないのですか?」
ここは私一人で十分だ。
「カナエはカナエで練習しているのでかまいません。キクリ家との行き来ですが、どこにいてもカナエの役目はカナエがやるつもりです」
きっちりしている。カナコさんたちもそうだったな。あ、そういえば、私ってカラルリさんから嫌われているのだろうか。聞いてはいけない気もするけれど、やっぱりはっきりさせておきたい。
「あの、私ってカラルリさんに嫌われているのでしょうか? どうしてでしょうか?」
カナエさんは少し悲しそうな顔をしたように見えた。けれど、私には恨まれる見覚えは全くない。
「お兄様は、チャラチャラしているミナクを嫌っております。けれど、それとは別にコンプレックスがあるのです。クレナイ家はヨルクだけが似ていませんよね? お兄様は、ヨルクの整った容姿に酷く嫉妬しているのです。一方的なものですし、お気になさらないでください」
し、嫉妬!? でも、カラルリさんだってイケメンだし、勉強も運動も出来て、ラブレターだってたくさんもらっている。
「あの、カラルリさんこそイケメンですよね? 文武両道で学年の女子からモテていますし」
私は自分をイケメンだと感じたことはない。私は……ミナクお兄様に憧れていた。服装や髪型を真似しても、ちっとも様似ならなくて。自分は冴えないと思っていた。
「上には上がいます。人は表面上では何も決まりませんが、お兄様は表面的なものも、とても求めています。その一つが容姿なのです。一つのコンプレックスとでも言いましょうか。お兄様は、まだ自分の生き方を見つけられていないようにカナエは思います」
よく分からない。イケメンで文武両道でも悩むということなのだろうか。カラルリさんが、そのようなコンプレックス的なものを抱えていたとは全く知らなかった。
「ねえ、ラルク。さよなら、ごめん、でも……、どう思う?」
何故、今それを聞くのだろう。そもそも、二人はミドリさんのところには行くつもりないのだろうか。
「みんな同級生なら、知れた仲だろうけど、魔が差したんだろうな。仲間割れというより、元々そこまで仲良いメンバーではなかったと思うし、夜中の廃墟で助けを呼べない状況に後々のことは頭になかったと思うが」
そもそも、夜中に廃墟に行く時点でどうかと思う。廃墟だけでない。心霊スポットに行って似たような事件に巻き込まれている若者がたくさんいる。
「そうだねえ。実際かは分からないけど脚本では仕組まれた出来事になってるの」
仕組まれたって、あの事件は興味本位で廃墟に入ったはずだ。けれど、仲良しのグループと見なされ、黒鈴酷華もなかったと少年院にも入れることが出来なかったと書いてあった。
「まあ、そのほうが雰囲気出るしな。でも、良かったじゃん。ナミネまた女優業出来て」
そういう役を中学一年生のナミネが演じるのは正直不安だ。けれど、ナミネの夢も壊したくはない。
「ラハルさんだからだよ。女優とか全然興味ないけど、ラハルさんとなら演じられる、演じたいって思うの」
聞かなければ良かった。物凄く胸が痛む。あくまで演じるだけなのに、二人はそう遠くはない前世、本当に恋人関係だったから。
「まあ、ナミネが今の状況で少しでも、やりたいって思うことあるなら僕は応援する」
ここで話は途切れた。二人はどこかへ行ったのだろうか。
「アンタらミドリんとこ行かなかったのかよ。甘えセナが風呂で話したいことあるって。強気なナミネは行ったけど? ちなみにラルクは姉さんと合流した」
え、セレナールさんにとってラルクは初対面なのに混浴するの? しばし、理解し兼ねる。
「あ、カナエさん、行きましょうか」
他に誰がいるのか不安だし、ナミネまた素っ裸で泳いでるかと思うと早く行きたい。
「カナエはいいです。セナさんに転生ローン払ってもらえませんでしたし。お兄様と入ります」
仲良いんだな。私なら考えられない。姉と混浴とか地獄絵図だ。
「とにかく来い! アンタだけの現在じゃないんだからね? 話し合わなきゃいけないからね?」
落ち武者さんは抵抗するカナエさんの手を無理矢理引っ張った。

私は、慌てて着物を脱ぎ、水着に着替えると露天風呂に向かった。良かった、ナミネちゃんと水着着ている。
「あら、遅かったわね」
セナ王女と、ミナクお兄様と、ズームさん、ロォラさん。なんか微妙なメンバーだな。ラルクとセレナールさんは第二浴場だろうか。
「すみません、カナエさんと後片付けしていました」
てか、二人きりのほうがいいんじゃないのか?
「ロォラ! さっき言ったこと今言え!」
ズームさん、裏表激しい。リリカお姉様ほどではないが。
「あ、ああ。だから、ミネルナさんの痴漢をアニキが助けて、その日に連絡先交換して、交際になって。ブランケット家で食事もしたらしい。アニキ、今は月城総合病院の研究員もしてて、貧乏だった家もすっかり景気良くなって、大学生になったら、医師と掛け持ちになるから、婚約も今年中にするとか」
急展開だな。けれど、カンザシさんと交際するよりずっといいし、幸せになれる気がする。カンザシさんには申し訳ないが。
「ふむふむ、運命ですな。ロォラさんとズームさんも交際したらどうですかな?」
ナミネはどうして真剣な話の時に茶化すのだろう。
「別にズームのこと好きじゃないから!」
今、思いっきり好きだと聞こえたのは気のせいだろうか。
「ロォラとはただの同級生ですよ」
ただの同級生が、ここまで来るだろうか。もう明らかズームさんのこと追いかけてきたよね。ロォラさんてグイグイいくほうなんだな。容姿端麗でスタイルもいい。私はセレナールさんよりロォラさんのほうが好みかもしれない。
「私もバイトしてるし、高卒で働くからアニキに頼らなくても大丈夫だと思う」
ロォラさんバイトしてるのか。
「どんなバイトだ? またパパ活か?」
ズームさんてナミネの話ではロォラさんに散々イジメられていたそうだけど、めちゃくちゃ気にかけている。
「商店街の魚屋。そこに就職する」
意外だなあ。アパレル業界かと思った。
「バイトはいいけど、大学くらい行け! 僕も兄さんも大学は妖精村学園だから!」
大学かあ。武家は基本、大学までは行く。就職の幅を広げるために。今とか就職氷河期だし、奨学金でも大学は行った方がいい気がする。
「うーん、アニキは結婚資金もあるし……」
ロォラさんて誰にも頼らない人なんだ。ナミネも少しは見習ってほしい。
「僕が出す! 出世したら返せ! ロォラならアパレル業界のほうが似合うし、就職ならいくらでも紹介出来る!」
もはや婚約者だな。それもロォラさんが魅力的だからだろうか。人として。
「えと、そろそろ良いかしら?」
そうだった。私たちは今後の話をするんだった。
「あ、ああ。私は正直何の記憶もないけれど、アニキによると私、結婚するらしい」
え、みんな飛ばされたんじゃなかったの? キクスケさんがそういう夢を見せたのだろうか。相手はズームさんだろうか。
「カナエは、お兄様を蔑ろにする時点でセナさんとは関わりたくありません」
カラルリさんも不運な人だな。けれど、ナミネの話ではセナ王女がカラルリさんと交際すれば、妊娠し、中絶薬を盛られてしまう。いくらルリコさんの計画とはいえ、カラルリさんは責任取る気などさらさらなかったのだろう。
「カナエさん、そのことは少し時間もらえませんか?」
ミナクお兄様もカナエさんのこと大好きだよな。夜のキクリ家で一人でトイレ行けないとカナエさん起こしてたっけ。カナエさんは少しも怒らずミナクお兄様をトイレに連れて行っていた。
「ミナク、カナエにとってお兄様は大切な人なのです。いくらセナさんが嫌っていてもカナエのたった一人の兄なのです! カナエはお兄様が幸せなら、それ以上は望みません」
そうだよな。カナエさんとカラルリさんは、まるで恋人のように、いつもベッタリくっついていた。それが羨ましかった。多分今も。
「男尽くしカナエ、焦るな! 僕だってエルナと別れてからずっと一人だけど? 恋人がいることが幸せとは限らない。今はアンタが幸せにしてやれ!」
エルナが本命か。カナエさんと仮交際してるけど、結局、現れてもいないエルナのこと気にしているし。落ち武者さんて恋愛に興味ないようで、めちゃくちゃ引きずっている。
「分かりました。話くらいは聞きましょう」
落ち武者さんもセレナールさんのことで手を焼いている。本音ではセナ王女のこと許せていないだろうな。
「で? 赤線町行きはなくなったからどうする?」
何が何だか頭がついていかないけど、2020年は赤線町に第二王室があることが分かり、セナ王女とアルフォンス王子の実の姉に会うために計画を立てていたけど、今は第二王室の存在の確認が取れていない。
「あ、私も森の湖行ってみたいです」
どうして敢えてそこなんだ。
「へえ、生身がいいってことかしら?」
けれど、セレナールさんが元々は純粋なら私も確認したい。
「いえ、私だけ行っていないので。セナ王女、もう少し離れてもらえませんか?」
惚気けたいのか、今後の話をしたいのか。
「離れたわよ」
セナ王女はビキニの上にタオルを巻いた。やっぱり、二人きりの方がいい気がする。
「あ、やっぱりさっきのほうが……」
はあ、ミナクお兄様がセナ王女の白梅もらったかも分からず、何だかモヤモヤしてしまう。てか、セナ王女のビキニ姿見るの今日がはじめてなのだろうか。それもナノハナ家のものじゃない。白い紐のレースビキニ。セナ王女って、あまり派手なの着ないタイプだろうか。着付け前も素朴な服だったような。
「今日はダメ。カラルリに見られたくないの。前みたいに」
ま、前……。この二人大丈夫だろうか。
「話戻すけど、僕も森の湖行きたい。もう一度、古代の姉さんと話したい。あと、この女優呼び寄せ出来る?」
最後のひと言がなければ姉想いの弟だったのに。呼び寄せって。いくらカナエさんとは仮交際でも、私はそういったものは好かぬ。
「ええ、どの子?」
落ち武者さんはフェアホをセナ王女に見せた。
「新人ね。別荘に呼び寄せ出来るわ。ミナクも来る?」
どうして試すようなことを言うのだろう。
「い、いえ、私はリビングで待ってます」
別荘には行くわけか。
「白梅咲かせていい?」
えっ……女優にとって白梅は命。見たところまだ学生のようだし、芸能生命に関わることはしないほうがいいと思う。
「ええ、契約書にサインしてくれたら構わないわ。それに、この子、白梅はまだだけど、それ以外ので枕営業してるわよ」
いくら清純そうでも、芸能界の裏側は分からない。
「セルファさんはセイ以下ですね!」
最初は落ち武者さんは恋とか知らないあどけなさが特徴だったけど、こんなに女たらしだっただなんて、まるでこれまでのミナクお兄様だ。
「弟をバカにしないで! バカにするくらいなら付き合ったりしないでよ!」
いや、古代のことを言われても誰も何も出来ない。案の定カナエさんは何も言わない。
「セナさん、いる?」
このタイミングでカラルリさんが入って来るとは。セナ王女は、咄嗟に結界をかけた。
「ナミネ、私は第二浴場にいるって言ってくれるかしら? ミナク、私についてきて」
セナ王女は下に降り始めた。てか、命綱なしなのか!? ナミネは結界を出てカラルリさんに近付いた。あんな格好で大丈夫だろうか。
「あ、カラルリさん。セナ王女は10分前第二浴場に移動しました」
そんな嘘は直ぐにバレる。
「分かった」
第二浴場はセレナールさんとラルクがいるんだっけ。
「セナ王女、無事に1階第四居間に着いたらしいですよ」
は、早すぎる。このまま別荘に帰るだろうか。
「なあ、セナ王女って運動神経いいんだな。ズームも運動したらどうだ?」
セナ王女は特別だから。武家でさえも引けを取るくらい優れた運動神経の持ち主だ。
「どうでもいいだろ!」
私もセナ王女くらいの力量ならナミネを守れただろうか。
「カラルリさんが戻る前に出ましょう!」
ナミネは結界を解いた。私たちは慌てて露天風呂を出た。今頃、カラルリさんはセナ王女がいないことに、また苛立っているだろう。

第四居間にセナ王女はいなかった。
「あ、セナ王女とミナクさん、ミドリお姉様のところにいるらしいです」
このままミドリさんのところで朝までいるか、それとも私みたいに使用人の部屋に隠れるか。ここまで来たら別荘に戻るのが安全だと思うけど。
「セナ見なかった?」
え、アルフォンス王子は今までどこにいたのだろう。
「さっきまでは露天風呂にいましたが、その後、カラルリさんが第一浴場に入って来て第四居間に移動し、今はミドリさんのところにいるそうです」
ミドリさんとラハルさんは、まだ演奏をしているのだろうか。
「そっか。セナ、カラルリから変なことされたらしくって」
変なこと? ずっとミナクお兄様と一緒じゃなかったのか?
「ていうか、一度は許し合った仲なんだし、少しくらいいんじゃない?」
落ち武者さんて、どうしてこうも人を苛立たせるようなことを言うのだろう。
「カラルリ、トイレにカメラ仕掛けて、セナとミナクとの様子監視してたんだ。二人がトイレから出る時にミナクに痺れ薬かけて、セナをトイレに押し込めたんだけど結界かけられて逃げられたとか。今はミドリさんとこいないと思うんだよね」
ミナクお兄様もどうして、わざわざトイレまで入るのだろう。前も見られたとか言っていたし、監視カメラとかショックだっただろう。
「とりあえず、データは削除しました。あとはドローンを飛ばして……」
ズームさんの言葉を落ち武者さんは遮った。
「その必要はない。元はと言えば姉さん蔑ろにしたバチが当たったんだろ!」
落ち武者さんはセレナールさんの恨みから協力しようともしない。
「カナエ、転生ローンは私が払う。助けてほしい」
展開が変わりかけている。今、アルフォンス王子がカラルリさんの転生ローンを一括すれば、もう転生ローンのことはカラルリさんの中からもみんなの中からも消えてゆく。何より、カラルリさんにとって、カナエさんにとっても悪くはない話だ。
「本当に払っていただけるのですか? でしたら、前払いでお願いします」
アルフォンス王子は小切手をカナエさんに渡した。交渉成立だ。
「ふぅん、契約と違うけど? アンタとセイの交際写真、学園中にばら撒いてもいいわけ?」
古代のことまで持ち出すだなんて、どうしてそこまで人を許せないのだろう。ロォラさんは写真を手に取った。
「私もイジメしてたから人のこと言えないけど、これ後悔する」
そうなんだけどね。そうなんだけど、落ち武者さんにはまともな話が通用しない。ここまでシスコンだとは思わなかったけど。
「カナエは別に構いません! お兄様の境遇が少しでも良くなるなら、カナエの人生はどうなっても構いません!」
兄妹の絆。私には一生手に入らないもの。カラルリさんの人生もカナエさんの人生もまだ終わってはいない。
セナ王女とは無理でもカラルリさんなら恋愛なんてどうとでもなる。
「いい度胸だね? 今、僕が時間古代に巻き戻したらアンタらどうなる?」
どうして、いつも肝心なところで仲間割れするのだろう。ただ、セナ王女を探すだけじゃないか。カナエさんに扇子を突き付ける落ち武者さんにカナエさんも扇子を突き付けた。
「戻したいのならやってごらんなさい! カナエはセルファさんの脅しでは動揺なんかしません! そもそも古代に戻ればセルファさんは存在さえしていなくて、カナエたちはヨルクの神様呼び出しカードで現代に戻るまでです!」
ああ、そうか。その2020年とやらで所持していたから今も持っているんだっけ。けれど、神様はずっと同じではない。古代が今の神様とも限らないし。でも、神様なら番人以上のことが出来る。理不尽に古代に飛ばされたなら戻してもらえそうな気もするが。
「はあ、仮交際のアンタの償いは、もはや無しに等しく、姉さんは、あの時のアンタの結界で苦しむわけね? アンタ、中身悪魔だ」
カナエさんは悪魔なんかじゃない! そもそも、セレナールさんがカナエさんを陥れようとして、逆に閉じ込められたと聞いているが。どうして落ち武者さんはカナエさんにばかり当たるのだろう。
その時、床が光った。

ここはどこだろう。暗くて何も見えない。
「誰!?」
セナ王女の声だろうか?
「セナ王女! 私です!」
ナミネは炎の舞で明かりを付けた。廃墟になった写真館!? ナミネは確か、ここで私とのことを思い出したと言っていた。
「ナミネ……?」
廃墟とはいえ、本棚にはアルバムがたくさん並べられている。掃除をすれば、また使えそうな気もする。いつまで運営していたのだろう。天使村時代に、ここでナミネとの仮祝言の前撮り写真を撮ったことがある。その他、最後の紅葉橋前のナミネとの思い出も……。辛いから今は押し入れに仕舞ったままだけど。
「セナ王女、何があったのですか!」
パッと見るとミナクお兄様が泣いているセナ王女を抱き締めている。やはりカラルリさん絡みか。あの光はズームさんが数式を書いていたわけか。床に真新しい桜の花びらが落ちているのも、今納得した。
よく見ると足元に数冊積み上げられたアルバムがある。私は無意識に足元の古いアルバムを開いた。
これ、カラーで真新しい。まるで最近撮ったようなものばかりだ。薄い埃で古く見えたのか。確かに、本棚にあるアルバムと比べると色が全然違う。
私はアルバムのページを次々に捲った。まさか、2019年〜2020年までのものなのか!? 私は……私は……。

『ナミネ、私と結婚を前提に交際して欲しい。正直、恋愛感情があるわけではないけれど、未来の結婚相手として結婚を前提に交際して欲しい。ナミネはこのままラルクと交際を続けても口を挟まないしナミネの気になる人に対しても口を挟まなければ、ナミネのプライベートにも口を挟まない。出来れば今すぐ返事が欲しい』
私は、カラン王子の食事会にてナミネに告白をした。ダメ元だったし期待はしていなかった。それでも、あの時は、ただ伝えたかった。ナミネと交際したい気持ちで心が埋め尽くされていた。
『分かりました。その話、お受けしますぞ!』
断られると思っていたが、ナミネはあっさり受け入れてくれた。私は、星型のサファイアのネックレスをナミネに渡した。
その後、ぎこちない関係は続いたものの、私はナノハナ家でナミネのお世話をすることにした。
その後、今のグループと行動をするようになり、森の湖や天使の湖、女神の湖、人魚の湖など、色んなところへ、私たちの真実を求めに行った。紀元前村では電気も水道もない古代の暮らしを体験した。
カラルリさんの転生ローンを返すために、みんなで氷河期町で原石採取のバイトもした。フェアリーフォンは今は寝あがっている。ルナも。
ナミネとは、それなりには上手くいっていたと思う。けれど、あの日の紅葉神社にて全て変わってしまった。
ナミネも……ナミネも……、ここで私との真実を知った時、こんな気持ちだったのだろうか。きっと、ナミネに凄く寂しい思いをさせていただろう。私は思わず涙が溢れた。
「思い出した。全て思い出した。ナミネ、正式に交際してほしい!」
その瞬間、落ち武者さんに扇子で肩を叩かれた。
「アンタさ、今重要な話してんだろうがよ! 一人だけお花畑になってんな!」
あ、忘れていた。抜けた記憶を遡ることで精一杯で周りが見えなくなっていた。
「二人きりで話したいことがあって、ミナクとトイレにいたら生理来ちゃって、ミナクが下着持って来るって出て行った瞬間、カラルリが入って来たの。生理だし何もされないだろうと思っていたけどスカート捲り上げられて壁に押し付けられた。結界かけて逃げて倒れているミナク連れてここまで来たの」
確か2019年ではカラルリさんのほうからセナ王女に冷たい態度取っていたのが、2024年では先にミナクお兄様と交際したため、カラルリさんは孤立したというところだろうか。けれど、聞くところによると、それまではセナ王女とカラルリさんは互いの部屋を行き来していたとか。普通、何とも思っていない男の部屋に行くだろうか。好きでもない異性と部屋に二人きりだなんて私には考えられない。けれど、カラルリさんはまたセナ王女を襲うだろう。
「甘えセナ。アンタ血塗れなんだし、ここから一番近い紅葉病院行くぞ!」
落ち武者さんの提案と共に、みんなは立ち上がり、紅葉病院へと向かった。
紅葉病院……か。かつて、ナヤセスさんが働いていたっけ。

紅葉病院は少しも変わっていなくって、セナ王女を見るなり看護師さんが着替えを用意してくれた。今日はここに休むことになるだろう。けれど、明日は帰らなくてはならない。
「シャナ? シャナなの?」
シャナ? 生きていたのか!? ということはシャム軍医も……。一瞬、私の中にいやな空気が流れた。
「ナミネ……」
シャナはナミネを見たかと思うとベッドから出て、セナ王女に近付くなりセナ王女を引っぱたいた。
「シャナ、どうしたの!?」
何があったのだろう。そもそも、どうしてシャナはここにいるのかも分からない。
「兄さんが月城総合病院で医師として働きはじめた頃、好きな人が出来てセナ王女に何度も別れを告げたもののセナ王女は別れないの一点張りで、私は武官から集団黒鈴酷華を受けた。第二まで喪失したわ!」
どういうことだろう。私たちはそこまでは成長していない。そもそも、運命とも思われたシャム軍医とセナ王女が別れていたという事実には驚いた。
「シャナ、それいつのこと? 私たち、2020年から突然2024年に飛ばされたの!」
そう、私のように記憶を失ったものもいる。
「2023年よ! その後、突然今の世界に飛ばされたけど、私の白梅は元に戻っていないし、あのおぞましい記憶を思い出すたび何度も生きていることがいやになった。私の人生返してよ! 絶対許さない!」
人によって、飛ばされる時間軸が違うということなのだろうか。けれど、聞いている限りではセナ王女は変われていなかったというわけか。シャナを犠牲にするだなんて、いくらなんでも酷すぎる。
「で? シャムはどうしてるわけ?」
シャナがいるなら、当然シャム軍医もいるだろう。氷河期町で再開した時は、セナ王女とあれだけ運命を誓いあっていたのに。時の流れは残酷だ。
「兄さんは実家から妖精村学園に通っているわ。今は高校二年生よ。セナ王女にも同じ目にあってもらうわ! 私には後ろ盾がいるから、足掻いても無駄よ!」
後ろ盾? 誰だろう。シャナも神様呼び出しカードでも持っているのだろうか。
「悪いけど、私にはその記憶はない。2020年から2024年までのことは、皇帝陛下も罪に問わないと公表してるし、私は何も出来ないわ。後ろ盾だろうが、なんだろうが使えば?」
記憶がないから申し訳ないと思わないのだろうか。それとも、また別の理由だろうか。
これで、シャム軍医とセナ王女の恋愛はなくなったけれど、今度はミナクお兄様がナナミさんを好きになってセナ王女に別れを切り出さないか心配だ。
「シャナ、出来ることは何でもする。ただ、私もセナも2023年の記憶は別のものになっているんだ。許してほしいとか図々しいことは言わない。今の私には出来る限りのことをしてあげることしか術がないんだ」
アルフォンス王子は同情するような目でシャナを見た。
「シャナ! 遅れてごめん! セナ元帥……!?」
高校生姿のシャム軍医。考えてみれば、シャナがこんな状況なら毎日でも来るのが当然か。
「シャム軍医……」
セナ王女は切なそうにシャム軍医を見た。二人とも今何を思っているのだろう。
「すみません、セナ元帥。あの時、僕が心変わりしたばかりに、全てがダメになった。あなたを裏切るべきではなかった。後悔してもしきれません」
どうしてシャム軍医が謝るのだろう。恨むでなく、謝る。よく分からない。
「兄さん! どうしてよ! 私はこの女に人生奪われたのよ! 転生しても身体はそのままだった! 許せない!」
そもそもどうしてシャナだけ前の世界のトラウマが身体に残ったままなのだろう。
「シャナ。アンタ、時間飛んでないだろ? 何らかの方法で、いや、シャムが時間を巻き戻したのだろうけど、それが裏目に出たんだよ。記憶もそのまんま。身体もそのまんま」
落ち武者さんの推測が事実なら、シャナはどうして飛ばされたと嘘をついたのだろう。あれ、時間を巻き戻したのなら、どうして出会ってしまったのが2020年のセナ王女でないのだろう。妖精村はいったいどうなっているのだろう。
「でも、だったらどうしてシャナは2024年にいるの?」
私は落ち武者さんみたいに頭が良くないからサッパリ分からない。
「時間は確実に操作したのでしょう。けれど、シャム軍医が書いた数式は過去へ戻るものではなく、未来へ進むものだったのではないでしょうか?」
み、未来? それじゃ、シャナが余計に苦しむだけなのでは。過去だったとしてもシャム軍医がまたセナ王女以外の人を好きになってしまえば同じことの繰り返しだけれど。
「うん、僕は未来へ進ませた。それも80年先の。直ぐに転生してシャナを救ってあげたかった。けれど、番人が現れてルール違反だと記憶も身体もそのまま2024年に戻されてしまった。僕のせいでシャナは人生を失った」
キクスケさんが……。なんだか、残酷に思えて仕方がない。シャナの経験した2023年が、そのまま残った状態で更に若返り不幸を引き継ぐだなんて。
「そんな……兄さんが……」
でも、シャナを救おうとしたシャム軍医をシャナは恨めないだろう。シャナが恨んでいるのはセナ王女1人だ。けれど、2023年のセナ王女や私たちはどうなっているのだろう。
「あの、ズームさん。2023年の私たちはどうなっているのでしょう?」
話についていけない。私は結界は使えても数式に関しては全くの無知。時間というものが全く分からない。
「普通に存在しているでしょう。シャナさんの話が真実なら。成長した本人に会うなんてこともありえると僕は思います」
そ、そんなまさか……! 同じ人が二人!? 常識では検討も付かない。
「僕は未来の自分に会いたくなんかないけどね?」
私とナミネは、あの後結婚したのだろうか。
「うーん、でも、あの世界と今の世界は時間軸が違うので本人同士が出会うことはないと思うんですけど」
確かに私もそこが引っかかっていた。ナミネの言い分のほうが正しく思えるがどうなのだろう。
「兄さんが言ってました。どれだけ別の時間軸に存在していても、時として別々の時間が重なり合うこともあると。遠い昔、そういった事例があったんです。新聞も残っているかと」
ダメだ。また分からなくなってきた。私は、ズームさんや落ち武者さんの世界についていけない。
「セナ元帥! もう一度、僕とやり直してもらえませんか?」
……。何がどうなっているんだ……?

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あとがき。

時間を戻す。これは禁忌だと考えちゃいます。
でも、本当にセナがシャナを……。

それにしても、やっとヨルクの記憶が戻ったのに、新たな問題が発生しちゃいましたね。

最後の告白はシャナにとって残酷……。

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この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。

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