日常のこととかオリジナル小説のこととか。
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ashita
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地主(土地貸してます)
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漫画やアニメを見るのが好きです。最推しはフーディーニ ♡
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ブログ、もう書かないと思ってました。
けれど、去年から書き始めた小説によって、過去に書いてた小説も書き始め、ここに載せることにしたのです。
小説は、主に『時間と時間を繋ぐ恋の物語』と『妖精村と愉快な仲間たち』をメインに書いています。
現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。
純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。
元々このブログは病気の記録用として立ち上げたものですが、小説載せるようになってからは、ここは出来るだけ趣味的なことを綴りたいと思っております。
病気の記録や様々な思いを綴るブログは移転済みなのです。
ただ、今は日記は個人的な徒然、或いはお知らせとして綴ることが多いかと思います。
小説、ぼちぼちマイペースに書いてゆきます。
よろしくお願い致します。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
お知らせ。
イラストは現在「ナノハナ家の日常」に載せております。サイドバーにリンクあります。
また、「カラクリよろずや」にて無料のフリーイラスト素材配布もはじめました✩.*˚
フリーイラスト素材も増やしていく予定です(*'ᴗ'*)
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
模倣・無断転載などは、ご遠慮ください。
ブログの小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
小説・純愛偏差値に関しましては、武家名・貴族名(程度による) / 及び、武官の階級 / 扇子・羽子板・花札・百人一首・紙飛行機などのアイテム使用方法の模倣の一切を禁じております。
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X @kigenzen1874
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現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。
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私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。
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〈資格履歴〉
2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2010年02月10日
→セルフ・カウンセリング
ステップ2 合格
2011年05月28日
→セルフ・カウンセリング
指導講師資格審査 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年01月20日
→鉛筆デッサンマスター 合格
→絵画インストラクター 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
→茶道アドバイザー 合格
→お点前インストラクター 合格
2025年04月17日
→着物マイスター 合格
→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
→サイキックアドバイザー 合格
→サイキックヒーラー 合格
2025年07月01日
→アンガーカウンセラー 合格
→アンガーコントロール士 合格
2025年08月04日
→漢方コーディネーター 合格
→薬膳調整師 合格
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〈資格証明バナー〉

2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2010年02月10日
→セルフ・カウンセリング
ステップ2 合格
2011年05月28日
→セルフ・カウンセリング
指導講師資格審査 合格
2012年10月25日
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2025年01月20日
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→絵画インストラクター 合格
2025年03月07日
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2025年04月17日
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2025年07月01日
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〈資格証明バナー〉

純愛偏差値 未来編 一人称版 56話
《ヨルク》
今日は落ち武者さんの誕生日だ。
淡い膝下丈のオレンジ色のかすみ草の刺繍のドレスを着たナミネ可愛すぎる。パーティー会場は、王室の別荘なだけに貴族がたくさん来ていた。
けれど、落ち込むラルクを見て、ナミネが悲しまないか私は心配だった。
あれ、ナミネがいなくなっている。落ち武者さんも。
私はナミネを探した。すると、ナミネはパーティー会場の入口にいた。私はナミネの元に駆け寄った。
え、リリカお姉様と、セナ王女とアルフォンス王子もいる?ここで何をしているのだろう。
「ナミネ、何してるの?」
「顔だけヨルク!姉さんがラルクに針刺された!」
そんなまさか!ラルクは割り切ったのではなかったのか?
「え……」
どうしたらいいのだろう。私はリリカお姉様に腕を掴まれた。
「ヨルク、もうここまで来たらセレナールを許せないわ!」
「リリカお姉様、これは流石に違うでしょう!」
あれ、目を背けた?
「落ち武者さん、今救急車呼ぶね!」
「無駄だ!」
え、何?セナ王女とアルフォンス王子……。王室のF938……。まさか、リリカお姉様は脅されたのか!?
「セナ王女、アルフォンス王子、リリカお姉様を脅したんですか?」
それともリリカお姉様の意思で組んだのだろうか。どちらにしても、復讐を続けるなんて間違っている。
「あら、リリカが提案したことよ」
でも、リリカお姉様の顔色が悪い。リリカお姉様は2人に話を持ちかけたが、それを利用されてリリカお姉様の不利な結論になってしまったということだろうか。
「姉さんは確かに酷いことした。でも、あれでも、小さい頃は僕の誕生をセリルと一緒に喜んでくれたんだ」
落ち武者さん……。セレナールさんの教師時代は水子だった落ち武者さんが、現世ではこうやって生きている。
あれ、さっきから、ナミネが一言も話してない。どうしてだろう。
「ズームさん!」
え、ズームさん?
「ズーム!姉さんは!」
「毒ですね。速効性のあるものではなく、ゆっくり、刺した部分を腐敗するものです。卵巣に刺されていました。ラルクさんはセレナールさんを現世では妊娠させないおつもりでしょう。毒は24時間で完全に卵巣が機能しなくなります。12時間も経てば取り除かなくてはなりませんが、今この瞬間も毒は進んでいます」
12時間。そんな長時間こんなところで足止めなんて出来ないだろう。だったら、どうして、ナミネたちは足止めされているのだ?
「あの、12時間もこんなところで時間稼ぎなんて出来ませんよね?」
「1時間で妊娠しても奇形児しか生まれなくなり、3時間で妊娠しても悪魔が生まれてしまい、6時間で妊娠しても流産し、9時間で妊娠しても死産、12時間で卵巣の半分に毒が回り取り除く必要があるのです。毒は時針草です。ナミネさんが気付かないと思い、24時間後にセレナールさんの卵巣の腐敗を待つつもりが、予定外となったんです」
つまり、ナミネが気付かなければ、みんなにとって好都合というわけだったのか。
「リリカはどれだけ関わってる?」
「リリカさんは、ラルクさんがセレナールさんに針を刺したのを見るなり、セナ王女と目が合ってしまい、絶対助けるなと言われました。そのことがなければ、セレナールさんの容態を確かめたでしょう」
良かった。リリカお姉様が見て見ぬふりしようとしたわけではなくて。けれど、このまま足止めされては、毒が進行してしまう。
ズームさんは皇室のF938をセナ王女とアルフォンス王子に見せた。いったいどこで手に入れたのだろう。
「人を殺すのはよくありませんね。セレナールさんはもうすぐ病院に運ばれます」
ナミネはズームさんの助けを待っていたのか。
「卑怯じゃない!私、セレナールのせいで二度までもカラルリと交際させられて苦痛だわ!私を流産させたカラルリと!」
「私もセレナールのような悪魔が傍にいたら夜も眠れない。ここでセレナールの人生を奪わないと」
セレナールさんをトケイ草で流産させといて今更被害者ヅラしても遅いだろうに。
「ズーム!何してるの!」
え、誰?随分と綺麗な人だな。友達だろうか。
「姉さん!毒盛られました!あの銀髪の女性をここに連れて来てください」
ね、姉さん!?あまり似てないような……。
「分かったわ!」
「させないわ!」
その瞬間、ズームさんのお姉様は口笛を吹いた。すると、10匹くらいの小さい犬が現れた。随分小さいな。まだ生まれたばかりの犬だろうか。
しかし、その犬はセナ王女とアルフォンス王子に噛み付いた。
「痛い!」
「くっ!」
2人の手はあっという間に血まみれになった。え、この犬何?小型犬はリリカお姉様にも噛み付こうとした。私は咄嗟に庇った。
「ヨルクさん!」
けれどナミネが私を庇った。
「ナミネ!危ないから向こう行って!」
すると、小型犬はナミネに懐き、大人しくナミネに抱っこされた。
「噛んじゃダメだよ」
小型犬を抱っこするナミネ可愛すぎる。けれど、この小型犬っていったい……。
「この犬何なんだよ!」
「番犬です」
こんな小さな犬が番犬なのか。はじめて見る種類だ。その時、ズームお姉様がセレナールさんと皇太子様を連れて来た。
「セナさん、何があったの?……あの、私はキクリ家 長男 カラルリと申す。そなたの名前を教えて欲しい」
え、何この展開。てか、この展開いらないよね。
「ブランケット家 長女 ミネルナ。この銀髪の子、毒を体内に入れられたわ」
ブランケット家。聞いたことないな。
「セレナールが!?」
セナ王女に中絶薬を盛ったカラルリさんが心配した素振り見せると、何だか嘘らしく感じてしまう。
「セナ、どういうことだ!」
「私じゃないわよ!ラルクがやったのよ!」
F938使ってセレナールさんの容態悪化させようとした時点で、もう共犯者だよね。
「ねえ、助けて!」
「ズーム、救急車はどうなってるの?」
「交通事故が発生して大渋滞に呑み込まれてます」
そんな……。だったら、セレナールさんの容態はどんどん悪化するではないか。私は思わず無線を手に取った。
「これより、クレナイ家 第4出動の要請を行います。クレナイ家のヘリコプター操縦者は今すぐ王室の別荘に来てください!」
『申し訳ございません。強い雷雨のためヘリコプターを出すことが出来ません』
そんな……。だったら、どうやってセレナールさんを病院まで連れて行けばいいのだ。
「強気なナミネ、あんた、あの折り鶴で姉さん病院に連れてけ!」
「分かりました」
ナミネはセレナールさんを大きな折り鶴に乗せた。その時、ラルクが来た。
「ラルク!もうやめて!これだとセレナールさんの未来がなくなっちゃう!ラルクのためにもならないよ!」
ナミネはラルクに結界をかけた。けれど、ラルクはすぐに結界を解いた。
「ナミネ、僕を見くびるな!」
ラルクはセレナールさんに結界をかけた。
「ラルク!セレナールさん傷付けてもラルクは前に進めないよ!」
ナミネは折り鶴から降り、扇子を開いた。ラルクとナミネの扇子の風が大きくぶつかり合う。その時、床に光が現れた。ズームさんの錬金術だ!(違います。ズームは数式で結界を解いたのです)
「解!姉さん!あの折り鶴に乗ってセレナールさんを月城総合病院へ連れて行ってください!」
「分かったわ!」
ミネルナさんは、大きな折り鶴に乗り、セレナールさんを支え飛び立った。ラルクは追いかけようとしたが、ナミネが阻止した。
「ラルク、行かせないよ!」
「顔だけヨルク、僕らも行くぞ!」
え、行くって?落ち武者さんが走るとズームさんや皇太子様、リリカお姉様も走り出した。私は慌てて後を追った。
別荘の外に出ると馬がいた。ナノハナ家の馬だ。ナミネは、ラルクとの戦闘中に落ち武者さんに紙飛行機飛ばしたのか。
「顔だけヨルク、乗れ!」
え?落ち武者さんは私の腕を引っ張って馬に乗せた。そして猛スピードで町を走った。私は必死で落ち武者さんにしがみついた。
リリカお姉様と皇太子様は別々に乗っている。何故私だけ落ち武者さんと乗らなければならない。
町は大渋滞していて、物凄い雷雨だった。私たちはひたすら馬で町を駆け抜けた。
月城総合病院に着くと、セレナールさんは既に治療が終わった後で病室で点滴を受けていた。
「姉さん!セレナールさんは!」
「大丈夫よ!針治療で完全に毒を抜いてもらったわ!」
ハル院長は、ミネルナさんの的確な説明でセレナールさんの体内に入った毒を完全に取り除き、セレナールさんの治療を成功することが出来たらしい。でも、後10分遅かったら、ズームさんが言っていたようにセレナールさんは妊娠しても奇形児しか産むことが出来なかったようだ。
時針草は、古代の研究者が皇帝陛下の命令で囚人やそれに類似する者に罰を与えるために開発したらしい。当時の人らは時針草が与えられれば治療は施されず、3ヶ月放置された後にギロチンにかけられた。つまり、死刑執行の合図で与えられていたのだろう。しかし、現代での入手は不可能らしい。ラルクはどうやって手に入れたのだろう。まさか、タイムスリップした時に手に入れたのか?
それにしても、今日は落ち武者さんもセレナールさんも誕生日会だというのに、ラルクのせいで、このようなことになり、何だか可哀想だ。
「セレナール、無事で良かった」
「皇太子様……」
その時、私と落ち武者さんの携帯が鳴った。私と落ち武者さんは携帯を開けた。ナミネからのメールだった。
『ラルクは委員長の通報で、紅葉町の警察署にいます。身元引受け人が必要なので、リリカさんに来てもらうよう言ってください』
ナミネ、無事で良かった。
「リリカお姉様、ラルクが紅葉町の警察署にいるそうで、身元引受け人が必要だそうです」
「分かったわ、今行く」
「私も行くわ!このままじゃ黙ってられない!」
ラルクのしたことは決して許されることではない。セレナールさんは完全に怒ってる。
「セレナール、外は豪雨だ。伝言だけ伝えてもらおう」
セレナールさんはしばらく考えていた。
「分かったわ。手紙を書くわ」
セレナールさんは手紙を書き終わるとリリカお姉様に渡した。
「散々私をイジメておいて、結局犯罪行為したのラルクじゃない!」
セレナールさんはリリカお姉様を引っぱたいた。
「ごめんなさい。弟に変わって謝るわ」
それだけ言うとリリカお姉様は病室を出て紅葉町の警察署に向かって行った。
「あんたも強気なナミネ、迎えに行ってやれ。僕は姉さんに付き添ってる」
「今日は落ち武者さんの誕生日でしょ!私もここにいる」
ナミネのことは心配だけれど、こんな状態の落ち武者さんを放っておけない。
私は何気なくカップル日記を開いた。
『馬に乗るヨルクさん』
ナミネ、タイムスリップした時の写真アップしてくれてたんだ。
『ミナクとFメモリイ♡』
セナ王女は相変わらずだな。
『エミリとFメモリイFメモリイᥫᩣ』
これ、エミリさんの記憶戻ったらセレナールさん、とんでもないことになるんじゃないかな。
『アラン大好き』
何だか同情してしまう。
ナルホさんは、パーティー会場に少し顔を出した後、ナヤセスさんのマンションに行ったらしい。
セナ王女とアルフォンス王子はカラン王子が王妃に相談したことにより、王妃が通報して紅葉町の警察署に連行された後、セイさんの母親が迎えに来て、今日はセイさんの家で泊まるようだ。
セレナールさんは点滴が終わるとミネルナさんにお礼を言い、皇太子様と共に皇室の別荘へと向かって行った。
雨も止んだし、交通面も元に戻っている。
「あ、ズームさんとミネルナさんはクレナイ家に泊まっていきますか?」
え、この間は何だろう。何だか気まずい。
「では、そうさせてもらいます」
「え、ええ、私も」
その時、リリカお姉様からメールが来た。
『紅葉町の警察署に行ったらナミネがずっとラルクに着いてたらしいんだけど、ナミネが顔から全身傷だらけで近くの病院で注射打ってもらったわ!あの子、ずっと痛みを我慢してたのよ!今、クレナイ家で寝てるわ!ニンジャ妖精とラハルも来てる!あんたも早く帰って来なさい!』
そんな、ナミネが……。どうして何も言ってくれなかったのだろう。
「落ち武者さん、ナミネが……!」
「今すぐクレナイ家に行くぞ!」
私たちは月城総合病院を出てタクシーを拾いクレナイ家に向かった。
クレナイ家に着くと、ナミネはラルクの部屋でラルクの隣の布団で寝ていた。そして、何故かニンジャ妖精さんとラハルさんがいる。カナエさんが看病してくれていたのだろうか。
「すみません、カナエさん」
カナエさんはキクリ家に戻らないのかな。
「カナエは夕ご飯を作ってきますので、ヨルクはナミネの側にいてあげてください」
「は、はい」
「ナミネはラルクに結界をかけた後、ラルクから仲直りしたいから結界の中に入って欲しいって言われ、通し(おとし)で入ったら結界を縮められ全身殴られたみたい。ナミネはラルクの気が済むまで殴ってと言ったそうよ」
酷すぎる。ナミネの可愛い顔に大きなアザ。全身もアザだらけなのだろうか。ナミネは守る価値のない人を守って犠牲になったのに。セレナールさんは本当に卑怯な人だ。
「ラルクはどうしてセレナールさんに、あんなことしたんですか?」
「伝説武官に届かなかったのを馬鹿にされたことと、皇太子様と交際して自分だけ幸せになることが気に入らなかったのよ」
そんな理由でおおごとにしたのか。でも、これで誰がセレナールさんを嫌っているのかハッキリはした。けど、いつも自信満々のラルクがここまで追い詰められるなんて。
「ヨルクさん……行かないで……」
ナミネ、寝言でうなされてる。
「ナミネ、私はここにいるよ。どこにも行かない」
私はナミネの手を握った。
「ヨルクさん!行かないで!」
「ナミネ、私はずっとナミネのそばにいる」
私はナミネの汗をハンカチで拭いた。
「どうして……どうして……僕じゃなくてヨルクさんなんですか!ナミネさん!!」
「おい、起こすな!寝かせてやれ!」
リリカお姉様は、ため息をついた。
「ラハルはここにいていいけど、どうしてニンジャ妖精がここにいるの?自分のアパートに帰りなさいよ!クレナイ家は溜まり場じゃないわ!」
何だ、その差別発言は……。
「ナミネさんがこんな状況で帰れません!」
「リーダー、帰りましょう!僕はよそ様に迷惑かけたくありません!」
あれ、ナミネな枕元に何かある。落ち武者さんに渡すはずだった誕生日プレゼントか。って、落ち武者さん勝手に開けてるし!
手袋……。もうそんな季節か。10月からあまりに色んなことがありすぎて季節さえも忘れていた。
「あの、でも、エミリさんが記憶戻ったらどうなるんですか?」
「お武家連盟会議でも話しているみたいだけど、エミリの記憶が戻ったらエミルがセレナールを訴えるらしいわ。ラルクがそれまで待てていれば良かったのだけど」
ラルクはすぐに復讐をしなければいけないほど苛立っていたのか。でも、ナミネを傷付けたことは許せない。
「過去が変わったんじゃない。未来が変わったんだ」
未来……か。だったら、いっそのこと、今すぐにキクスケさんにお願いしてエミリさんの記憶を取り戻させたい。
「エミリも可哀想だな。好きな男取られて、好きでもない男に、あんな目にあわされてさ」
え……。エミリさんは皇太子様と何もなかったのか?
「ねえ、落ち武者さん、なんでそんなことまで知ってるの?」
「セリルとカナコの話聞いてたからだけど?」
それじゃあ、エミリさんは……。
「じゃあ、エミリさんの記憶戻ったらどうなるの?」
「姉さんはカラクリ家から慰謝料請求されるだろうね?皇太子とも別れるかもね?」
「だったら、今回助かっても、この先はどの道苦しむ未来だよね?」
それを分かってて落ち武者さんは今回ナミネのみを犠牲にしたの?
「あのな、誰が誰を好きになろうが、姉さんの勝手だろ!森の湖の姉さんイヤガラセされた時、カナコかなり怒ってたけど?でも、皇帝陛下が不問にした。向こうの時代も今の時代もね。でも、カナコが訴えたいのは姉さんじゃなく、ラルクだ!セリルがいる以上、カナコは姉さんの味方につく。いくらカラクリ家が姉さん訴えても、それはカラクリ家と姉さんの問題。姉さんがラルク訴えれば少年院行きかもね?」
結局は手を出したほうの負けということか。ラルクは恋愛に呑まれ犯罪を犯したということなのか。悔しいけど言い返せない。セレナールさんは騙すことしかしていない。それに対してラルクはイヤガラセさせたり、毒を刺したりした。セレナールさんはエミリさんからしか恨まれないわけか。
「そうか……」
「けど、今回カナコが訴えたとしても皇帝陛下はラルクを不問にする。ラルクのバックには誰かいるんだろうね?姉さんはいくらカナコが味方についても、エミリと皇太子の記憶が戻れば、皇太子から捨てられ、結局ラルクに縋るだろうから、一番不利なのは姉さんなんだよ。顔だけしか取り柄ないからな」
それって、1周回るだけではないか。それに皇太子様から見捨てられたらセレナールさんはまた青春を失い、恋愛不安になるだろう。ラルクに縋られたりなんかされたら正直迷惑だ。
「これだから、セレナールとラルクの交際は反対だったのよ。こんなふうに面倒ごとに巻き込まれるから。ミナクもミナクよ。セナ王女なんてクレナイ家には相応しくないのに」
セナ王女は強い。けれど、自己主張が強すぎるのが棘だ。やはり、武家同士の交際が1番いいのだろうか。
「皆さん、夕ご飯が出来ましたよ。第4居間に来てください」
「あ、私が案内します」
「私が案内するわ。ニンジャ妖精も来なさい!」
リリカお姉様はズームさんたちを第4居間に案内した。……。カンザシさんとミツメさんはいかないのか?
「ヨルクさん!!」
「ナミネ!!」
「ヨルクさん……怖い夢を見ました」
「ナミネ、身体は大丈夫なの?」
「大丈夫です」
でも、まだ熱はあるみたいだ。汗も凄い。
「じゃ、風呂に入れてくる」
「ねえ、落ち武者さん、どうしてナミネに構うの?落ち武者さんにはエルナがいるよね?」
「あのね、ヨルクさん、ラルクに話があるの。だから、今日はラルクとお風呂に入るね」
話って?どうしてラルクと一緒にお風呂に入るの?
「ナミネさん!僕と一緒にお風呂に入ってください!」
何故ことをややこしくさせる。
「ごめんなさい。どうしてもラルクと話したいんです。行くよ、ラルク」
ラルクは起き上がった。ずっと起きていて、私たちの話を聞いていたのか。
「ねえ、ナミネ、本当にラルクとお風呂に入るの?」
「はい」
正直、複雑な気持ちである。けれど、今引き止めてまたナミネの機嫌を損ねてしまったら、それこそ取り返しがつかなくなる。
「分かった。湯冷めしないでね」
「ヨルクさん、大好き!」
ナミネは私に抱き着いた。
ナミネがラルクとお風呂に向かった後、私たちは第4居間に向かった。
第4居間の扉を開けた瞬間、私はズームさんとぶつかった。
「すみません」
あ、メガネ落ちてる。私はズームさんのメガネを拾った。
「あ、メガネ落ちましたよ」
……。誰?
「ありがとうございます」
ちょっと待って!めちゃくちゃイケメン!!昔のナミネはズームさんの容姿で、ズームさんとの交際を決めたのだろうか。てか、グルグル妖精さんのマンションで見た昔のナミネの映像で、彼氏は時計騎士って言ってたの、まさかズームさん!?
ズームさんはメガネをかけるとトイレに向かって行った。
周りで色んな出来事が起きる中、私は1人昔のナミネの恋愛について気にしていた。そして、現世でもナミネのことで物凄く不安になっていたのである。
……
あとがき。
走り書きには全くないラルクの執念が凄い。
でも、信じていた愛が偽物だったと何世紀も経ってから知らされたら心折れるかも?
セレナールは助かったけど、レナードとエミリの記憶が戻ったらどうなるのだろう。妖精村の象徴なセレナールはどうして普通に幸せになれないのか。
エミリとレナードには早く記憶戻って欲しいです。
《ヨルク》
今日は落ち武者さんの誕生日だ。
淡い膝下丈のオレンジ色のかすみ草の刺繍のドレスを着たナミネ可愛すぎる。パーティー会場は、王室の別荘なだけに貴族がたくさん来ていた。
けれど、落ち込むラルクを見て、ナミネが悲しまないか私は心配だった。
あれ、ナミネがいなくなっている。落ち武者さんも。
私はナミネを探した。すると、ナミネはパーティー会場の入口にいた。私はナミネの元に駆け寄った。
え、リリカお姉様と、セナ王女とアルフォンス王子もいる?ここで何をしているのだろう。
「ナミネ、何してるの?」
「顔だけヨルク!姉さんがラルクに針刺された!」
そんなまさか!ラルクは割り切ったのではなかったのか?
「え……」
どうしたらいいのだろう。私はリリカお姉様に腕を掴まれた。
「ヨルク、もうここまで来たらセレナールを許せないわ!」
「リリカお姉様、これは流石に違うでしょう!」
あれ、目を背けた?
「落ち武者さん、今救急車呼ぶね!」
「無駄だ!」
え、何?セナ王女とアルフォンス王子……。王室のF938……。まさか、リリカお姉様は脅されたのか!?
「セナ王女、アルフォンス王子、リリカお姉様を脅したんですか?」
それともリリカお姉様の意思で組んだのだろうか。どちらにしても、復讐を続けるなんて間違っている。
「あら、リリカが提案したことよ」
でも、リリカお姉様の顔色が悪い。リリカお姉様は2人に話を持ちかけたが、それを利用されてリリカお姉様の不利な結論になってしまったということだろうか。
「姉さんは確かに酷いことした。でも、あれでも、小さい頃は僕の誕生をセリルと一緒に喜んでくれたんだ」
落ち武者さん……。セレナールさんの教師時代は水子だった落ち武者さんが、現世ではこうやって生きている。
あれ、さっきから、ナミネが一言も話してない。どうしてだろう。
「ズームさん!」
え、ズームさん?
「ズーム!姉さんは!」
「毒ですね。速効性のあるものではなく、ゆっくり、刺した部分を腐敗するものです。卵巣に刺されていました。ラルクさんはセレナールさんを現世では妊娠させないおつもりでしょう。毒は24時間で完全に卵巣が機能しなくなります。12時間も経てば取り除かなくてはなりませんが、今この瞬間も毒は進んでいます」
12時間。そんな長時間こんなところで足止めなんて出来ないだろう。だったら、どうして、ナミネたちは足止めされているのだ?
「あの、12時間もこんなところで時間稼ぎなんて出来ませんよね?」
「1時間で妊娠しても奇形児しか生まれなくなり、3時間で妊娠しても悪魔が生まれてしまい、6時間で妊娠しても流産し、9時間で妊娠しても死産、12時間で卵巣の半分に毒が回り取り除く必要があるのです。毒は時針草です。ナミネさんが気付かないと思い、24時間後にセレナールさんの卵巣の腐敗を待つつもりが、予定外となったんです」
つまり、ナミネが気付かなければ、みんなにとって好都合というわけだったのか。
「リリカはどれだけ関わってる?」
「リリカさんは、ラルクさんがセレナールさんに針を刺したのを見るなり、セナ王女と目が合ってしまい、絶対助けるなと言われました。そのことがなければ、セレナールさんの容態を確かめたでしょう」
良かった。リリカお姉様が見て見ぬふりしようとしたわけではなくて。けれど、このまま足止めされては、毒が進行してしまう。
ズームさんは皇室のF938をセナ王女とアルフォンス王子に見せた。いったいどこで手に入れたのだろう。
「人を殺すのはよくありませんね。セレナールさんはもうすぐ病院に運ばれます」
ナミネはズームさんの助けを待っていたのか。
「卑怯じゃない!私、セレナールのせいで二度までもカラルリと交際させられて苦痛だわ!私を流産させたカラルリと!」
「私もセレナールのような悪魔が傍にいたら夜も眠れない。ここでセレナールの人生を奪わないと」
セレナールさんをトケイ草で流産させといて今更被害者ヅラしても遅いだろうに。
「ズーム!何してるの!」
え、誰?随分と綺麗な人だな。友達だろうか。
「姉さん!毒盛られました!あの銀髪の女性をここに連れて来てください」
ね、姉さん!?あまり似てないような……。
「分かったわ!」
「させないわ!」
その瞬間、ズームさんのお姉様は口笛を吹いた。すると、10匹くらいの小さい犬が現れた。随分小さいな。まだ生まれたばかりの犬だろうか。
しかし、その犬はセナ王女とアルフォンス王子に噛み付いた。
「痛い!」
「くっ!」
2人の手はあっという間に血まみれになった。え、この犬何?小型犬はリリカお姉様にも噛み付こうとした。私は咄嗟に庇った。
「ヨルクさん!」
けれどナミネが私を庇った。
「ナミネ!危ないから向こう行って!」
すると、小型犬はナミネに懐き、大人しくナミネに抱っこされた。
「噛んじゃダメだよ」
小型犬を抱っこするナミネ可愛すぎる。けれど、この小型犬っていったい……。
「この犬何なんだよ!」
「番犬です」
こんな小さな犬が番犬なのか。はじめて見る種類だ。その時、ズームお姉様がセレナールさんと皇太子様を連れて来た。
「セナさん、何があったの?……あの、私はキクリ家 長男 カラルリと申す。そなたの名前を教えて欲しい」
え、何この展開。てか、この展開いらないよね。
「ブランケット家 長女 ミネルナ。この銀髪の子、毒を体内に入れられたわ」
ブランケット家。聞いたことないな。
「セレナールが!?」
セナ王女に中絶薬を盛ったカラルリさんが心配した素振り見せると、何だか嘘らしく感じてしまう。
「セナ、どういうことだ!」
「私じゃないわよ!ラルクがやったのよ!」
F938使ってセレナールさんの容態悪化させようとした時点で、もう共犯者だよね。
「ねえ、助けて!」
「ズーム、救急車はどうなってるの?」
「交通事故が発生して大渋滞に呑み込まれてます」
そんな……。だったら、セレナールさんの容態はどんどん悪化するではないか。私は思わず無線を手に取った。
「これより、クレナイ家 第4出動の要請を行います。クレナイ家のヘリコプター操縦者は今すぐ王室の別荘に来てください!」
『申し訳ございません。強い雷雨のためヘリコプターを出すことが出来ません』
そんな……。だったら、どうやってセレナールさんを病院まで連れて行けばいいのだ。
「強気なナミネ、あんた、あの折り鶴で姉さん病院に連れてけ!」
「分かりました」
ナミネはセレナールさんを大きな折り鶴に乗せた。その時、ラルクが来た。
「ラルク!もうやめて!これだとセレナールさんの未来がなくなっちゃう!ラルクのためにもならないよ!」
ナミネはラルクに結界をかけた。けれど、ラルクはすぐに結界を解いた。
「ナミネ、僕を見くびるな!」
ラルクはセレナールさんに結界をかけた。
「ラルク!セレナールさん傷付けてもラルクは前に進めないよ!」
ナミネは折り鶴から降り、扇子を開いた。ラルクとナミネの扇子の風が大きくぶつかり合う。その時、床に光が現れた。ズームさんの錬金術だ!(違います。ズームは数式で結界を解いたのです)
「解!姉さん!あの折り鶴に乗ってセレナールさんを月城総合病院へ連れて行ってください!」
「分かったわ!」
ミネルナさんは、大きな折り鶴に乗り、セレナールさんを支え飛び立った。ラルクは追いかけようとしたが、ナミネが阻止した。
「ラルク、行かせないよ!」
「顔だけヨルク、僕らも行くぞ!」
え、行くって?落ち武者さんが走るとズームさんや皇太子様、リリカお姉様も走り出した。私は慌てて後を追った。
別荘の外に出ると馬がいた。ナノハナ家の馬だ。ナミネは、ラルクとの戦闘中に落ち武者さんに紙飛行機飛ばしたのか。
「顔だけヨルク、乗れ!」
え?落ち武者さんは私の腕を引っ張って馬に乗せた。そして猛スピードで町を走った。私は必死で落ち武者さんにしがみついた。
リリカお姉様と皇太子様は別々に乗っている。何故私だけ落ち武者さんと乗らなければならない。
町は大渋滞していて、物凄い雷雨だった。私たちはひたすら馬で町を駆け抜けた。
月城総合病院に着くと、セレナールさんは既に治療が終わった後で病室で点滴を受けていた。
「姉さん!セレナールさんは!」
「大丈夫よ!針治療で完全に毒を抜いてもらったわ!」
ハル院長は、ミネルナさんの的確な説明でセレナールさんの体内に入った毒を完全に取り除き、セレナールさんの治療を成功することが出来たらしい。でも、後10分遅かったら、ズームさんが言っていたようにセレナールさんは妊娠しても奇形児しか産むことが出来なかったようだ。
時針草は、古代の研究者が皇帝陛下の命令で囚人やそれに類似する者に罰を与えるために開発したらしい。当時の人らは時針草が与えられれば治療は施されず、3ヶ月放置された後にギロチンにかけられた。つまり、死刑執行の合図で与えられていたのだろう。しかし、現代での入手は不可能らしい。ラルクはどうやって手に入れたのだろう。まさか、タイムスリップした時に手に入れたのか?
それにしても、今日は落ち武者さんもセレナールさんも誕生日会だというのに、ラルクのせいで、このようなことになり、何だか可哀想だ。
「セレナール、無事で良かった」
「皇太子様……」
その時、私と落ち武者さんの携帯が鳴った。私と落ち武者さんは携帯を開けた。ナミネからのメールだった。
『ラルクは委員長の通報で、紅葉町の警察署にいます。身元引受け人が必要なので、リリカさんに来てもらうよう言ってください』
ナミネ、無事で良かった。
「リリカお姉様、ラルクが紅葉町の警察署にいるそうで、身元引受け人が必要だそうです」
「分かったわ、今行く」
「私も行くわ!このままじゃ黙ってられない!」
ラルクのしたことは決して許されることではない。セレナールさんは完全に怒ってる。
「セレナール、外は豪雨だ。伝言だけ伝えてもらおう」
セレナールさんはしばらく考えていた。
「分かったわ。手紙を書くわ」
セレナールさんは手紙を書き終わるとリリカお姉様に渡した。
「散々私をイジメておいて、結局犯罪行為したのラルクじゃない!」
セレナールさんはリリカお姉様を引っぱたいた。
「ごめんなさい。弟に変わって謝るわ」
それだけ言うとリリカお姉様は病室を出て紅葉町の警察署に向かって行った。
「あんたも強気なナミネ、迎えに行ってやれ。僕は姉さんに付き添ってる」
「今日は落ち武者さんの誕生日でしょ!私もここにいる」
ナミネのことは心配だけれど、こんな状態の落ち武者さんを放っておけない。
私は何気なくカップル日記を開いた。
『馬に乗るヨルクさん』
ナミネ、タイムスリップした時の写真アップしてくれてたんだ。
『ミナクとFメモリイ♡』
セナ王女は相変わらずだな。
『エミリとFメモリイFメモリイᥫᩣ』
これ、エミリさんの記憶戻ったらセレナールさん、とんでもないことになるんじゃないかな。
『アラン大好き』
何だか同情してしまう。
ナルホさんは、パーティー会場に少し顔を出した後、ナヤセスさんのマンションに行ったらしい。
セナ王女とアルフォンス王子はカラン王子が王妃に相談したことにより、王妃が通報して紅葉町の警察署に連行された後、セイさんの母親が迎えに来て、今日はセイさんの家で泊まるようだ。
セレナールさんは点滴が終わるとミネルナさんにお礼を言い、皇太子様と共に皇室の別荘へと向かって行った。
雨も止んだし、交通面も元に戻っている。
「あ、ズームさんとミネルナさんはクレナイ家に泊まっていきますか?」
え、この間は何だろう。何だか気まずい。
「では、そうさせてもらいます」
「え、ええ、私も」
その時、リリカお姉様からメールが来た。
『紅葉町の警察署に行ったらナミネがずっとラルクに着いてたらしいんだけど、ナミネが顔から全身傷だらけで近くの病院で注射打ってもらったわ!あの子、ずっと痛みを我慢してたのよ!今、クレナイ家で寝てるわ!ニンジャ妖精とラハルも来てる!あんたも早く帰って来なさい!』
そんな、ナミネが……。どうして何も言ってくれなかったのだろう。
「落ち武者さん、ナミネが……!」
「今すぐクレナイ家に行くぞ!」
私たちは月城総合病院を出てタクシーを拾いクレナイ家に向かった。
クレナイ家に着くと、ナミネはラルクの部屋でラルクの隣の布団で寝ていた。そして、何故かニンジャ妖精さんとラハルさんがいる。カナエさんが看病してくれていたのだろうか。
「すみません、カナエさん」
カナエさんはキクリ家に戻らないのかな。
「カナエは夕ご飯を作ってきますので、ヨルクはナミネの側にいてあげてください」
「は、はい」
「ナミネはラルクに結界をかけた後、ラルクから仲直りしたいから結界の中に入って欲しいって言われ、通し(おとし)で入ったら結界を縮められ全身殴られたみたい。ナミネはラルクの気が済むまで殴ってと言ったそうよ」
酷すぎる。ナミネの可愛い顔に大きなアザ。全身もアザだらけなのだろうか。ナミネは守る価値のない人を守って犠牲になったのに。セレナールさんは本当に卑怯な人だ。
「ラルクはどうしてセレナールさんに、あんなことしたんですか?」
「伝説武官に届かなかったのを馬鹿にされたことと、皇太子様と交際して自分だけ幸せになることが気に入らなかったのよ」
そんな理由でおおごとにしたのか。でも、これで誰がセレナールさんを嫌っているのかハッキリはした。けど、いつも自信満々のラルクがここまで追い詰められるなんて。
「ヨルクさん……行かないで……」
ナミネ、寝言でうなされてる。
「ナミネ、私はここにいるよ。どこにも行かない」
私はナミネの手を握った。
「ヨルクさん!行かないで!」
「ナミネ、私はずっとナミネのそばにいる」
私はナミネの汗をハンカチで拭いた。
「どうして……どうして……僕じゃなくてヨルクさんなんですか!ナミネさん!!」
「おい、起こすな!寝かせてやれ!」
リリカお姉様は、ため息をついた。
「ラハルはここにいていいけど、どうしてニンジャ妖精がここにいるの?自分のアパートに帰りなさいよ!クレナイ家は溜まり場じゃないわ!」
何だ、その差別発言は……。
「ナミネさんがこんな状況で帰れません!」
「リーダー、帰りましょう!僕はよそ様に迷惑かけたくありません!」
あれ、ナミネな枕元に何かある。落ち武者さんに渡すはずだった誕生日プレゼントか。って、落ち武者さん勝手に開けてるし!
手袋……。もうそんな季節か。10月からあまりに色んなことがありすぎて季節さえも忘れていた。
「あの、でも、エミリさんが記憶戻ったらどうなるんですか?」
「お武家連盟会議でも話しているみたいだけど、エミリの記憶が戻ったらエミルがセレナールを訴えるらしいわ。ラルクがそれまで待てていれば良かったのだけど」
ラルクはすぐに復讐をしなければいけないほど苛立っていたのか。でも、ナミネを傷付けたことは許せない。
「過去が変わったんじゃない。未来が変わったんだ」
未来……か。だったら、いっそのこと、今すぐにキクスケさんにお願いしてエミリさんの記憶を取り戻させたい。
「エミリも可哀想だな。好きな男取られて、好きでもない男に、あんな目にあわされてさ」
え……。エミリさんは皇太子様と何もなかったのか?
「ねえ、落ち武者さん、なんでそんなことまで知ってるの?」
「セリルとカナコの話聞いてたからだけど?」
それじゃあ、エミリさんは……。
「じゃあ、エミリさんの記憶戻ったらどうなるの?」
「姉さんはカラクリ家から慰謝料請求されるだろうね?皇太子とも別れるかもね?」
「だったら、今回助かっても、この先はどの道苦しむ未来だよね?」
それを分かってて落ち武者さんは今回ナミネのみを犠牲にしたの?
「あのな、誰が誰を好きになろうが、姉さんの勝手だろ!森の湖の姉さんイヤガラセされた時、カナコかなり怒ってたけど?でも、皇帝陛下が不問にした。向こうの時代も今の時代もね。でも、カナコが訴えたいのは姉さんじゃなく、ラルクだ!セリルがいる以上、カナコは姉さんの味方につく。いくらカラクリ家が姉さん訴えても、それはカラクリ家と姉さんの問題。姉さんがラルク訴えれば少年院行きかもね?」
結局は手を出したほうの負けということか。ラルクは恋愛に呑まれ犯罪を犯したということなのか。悔しいけど言い返せない。セレナールさんは騙すことしかしていない。それに対してラルクはイヤガラセさせたり、毒を刺したりした。セレナールさんはエミリさんからしか恨まれないわけか。
「そうか……」
「けど、今回カナコが訴えたとしても皇帝陛下はラルクを不問にする。ラルクのバックには誰かいるんだろうね?姉さんはいくらカナコが味方についても、エミリと皇太子の記憶が戻れば、皇太子から捨てられ、結局ラルクに縋るだろうから、一番不利なのは姉さんなんだよ。顔だけしか取り柄ないからな」
それって、1周回るだけではないか。それに皇太子様から見捨てられたらセレナールさんはまた青春を失い、恋愛不安になるだろう。ラルクに縋られたりなんかされたら正直迷惑だ。
「これだから、セレナールとラルクの交際は反対だったのよ。こんなふうに面倒ごとに巻き込まれるから。ミナクもミナクよ。セナ王女なんてクレナイ家には相応しくないのに」
セナ王女は強い。けれど、自己主張が強すぎるのが棘だ。やはり、武家同士の交際が1番いいのだろうか。
「皆さん、夕ご飯が出来ましたよ。第4居間に来てください」
「あ、私が案内します」
「私が案内するわ。ニンジャ妖精も来なさい!」
リリカお姉様はズームさんたちを第4居間に案内した。……。カンザシさんとミツメさんはいかないのか?
「ヨルクさん!!」
「ナミネ!!」
「ヨルクさん……怖い夢を見ました」
「ナミネ、身体は大丈夫なの?」
「大丈夫です」
でも、まだ熱はあるみたいだ。汗も凄い。
「じゃ、風呂に入れてくる」
「ねえ、落ち武者さん、どうしてナミネに構うの?落ち武者さんにはエルナがいるよね?」
「あのね、ヨルクさん、ラルクに話があるの。だから、今日はラルクとお風呂に入るね」
話って?どうしてラルクと一緒にお風呂に入るの?
「ナミネさん!僕と一緒にお風呂に入ってください!」
何故ことをややこしくさせる。
「ごめんなさい。どうしてもラルクと話したいんです。行くよ、ラルク」
ラルクは起き上がった。ずっと起きていて、私たちの話を聞いていたのか。
「ねえ、ナミネ、本当にラルクとお風呂に入るの?」
「はい」
正直、複雑な気持ちである。けれど、今引き止めてまたナミネの機嫌を損ねてしまったら、それこそ取り返しがつかなくなる。
「分かった。湯冷めしないでね」
「ヨルクさん、大好き!」
ナミネは私に抱き着いた。
ナミネがラルクとお風呂に向かった後、私たちは第4居間に向かった。
第4居間の扉を開けた瞬間、私はズームさんとぶつかった。
「すみません」
あ、メガネ落ちてる。私はズームさんのメガネを拾った。
「あ、メガネ落ちましたよ」
……。誰?
「ありがとうございます」
ちょっと待って!めちゃくちゃイケメン!!昔のナミネはズームさんの容姿で、ズームさんとの交際を決めたのだろうか。てか、グルグル妖精さんのマンションで見た昔のナミネの映像で、彼氏は時計騎士って言ってたの、まさかズームさん!?
ズームさんはメガネをかけるとトイレに向かって行った。
周りで色んな出来事が起きる中、私は1人昔のナミネの恋愛について気にしていた。そして、現世でもナミネのことで物凄く不安になっていたのである。
……
あとがき。
走り書きには全くないラルクの執念が凄い。
でも、信じていた愛が偽物だったと何世紀も経ってから知らされたら心折れるかも?
セレナールは助かったけど、レナードとエミリの記憶が戻ったらどうなるのだろう。妖精村の象徴なセレナールはどうして普通に幸せになれないのか。
エミリとレナードには早く記憶戻って欲しいです。
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