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日常のこととかオリジナル小説のこととか。
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プロフィール
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ashita
Webサイト:
性別:
女性
職業:
地主(土地貸してます)
趣味:
漫画やアニメを見るのが好きです。最推しはフーディーニ ♡
自己紹介:
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ブログ、もう書かないと思ってました。

けれど、去年から書き始めた小説によって、過去に書いてた小説も書き始め、ここに載せることにしたのです。

小説は、主に『時間と時間を繋ぐ恋の物語』と『妖精村と愉快な仲間たち』をメインに書いています。
現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。

純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。

元々このブログは病気の記録用として立ち上げたものですが、小説載せるようになってからは、ここは出来るだけ趣味的なことを綴りたいと思っております。
病気の記録や様々な思いを綴るブログは移転済みなのです。

ただ、今は日記は個人的な徒然、或いはお知らせとして綴ることが多いかと思います。

小説、ぼちぼちマイペースに書いてゆきます。

よろしくお願い致します。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

お知らせ。

イラストは現在「ナノハナ家の日常」に載せております。サイドバーにリンクあります。

また、「カラクリよろずや」にてフリーイラスト素材について考えるブログはじめました✩.*˚
不定期に更新していく予定です。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

模倣・無断転載などは、ご遠慮ください。

ブログの小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。

小説・純愛偏差値に関しましては、武家名・貴族名(程度による) / 及び、武官の階級 / 扇子・羽子板・花札・百人一首・紙飛行機などのアイテム使用方法の模倣の一切を禁じております。

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X @kigenzen1874

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〈資格履歴〉

2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
→茶道アドバイザー 合格
→お点前インストラクター 合格
2025年04月17日
→着物マイスター 合格
→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
→サイキックアドバイザー 合格
→サイキックヒーラー 合格
2025年07月01日
→アンガーカウンセラー 合格
→アンガーコントロール士 合格
2025年08月04日
→漢方コーディネーター 合格
→薬膳調整師 合格

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〈資格証明バナー〉

宝石鑑定アドバイザー資格認定試験資格取得証明
鉱石セラピスト資格資格保持証明
茶道アドバイザー資格認定試験資格取得証明
お点前インストラクター資格資格認定証
着物マイスター®資格認定試験資格取得証明
着付け方インストラクター資格資格認定証
サイキックアドバイザー®資格資格証明
サイキックヒーラー資格資格保持証明
アンガーカウンセラー®資格資格保持証明
アンガーコントロール士資格資格認定証
漢方コーディネーター®資格認定試験資格保持証明
薬膳調整師®資格認定試験資格保持証明
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純愛偏差値 未来編 一人称版 68話

《ヨルク》

紅葉神社に初詣に行ったら、私は見知らぬ人にイジワル犯に間違えられた。けれど、その時私はあまりに驚きすぎて言葉が出なくて身体が固まっていた。落ち武者さんがカンザシさんの指紋で私の無実を証明してくれたけれど、もし、あの場に私1人だったら、何も証明出来ず、犯人に仕立て上げられていたのかと思うと、とても怖くなった。
そして、ナミネは私のせいで傷を負った。
私は自分の無実を自分で証明出来ない情けない男かと思うと涙が零れていた。ナミネが傷を負ったことにより、私に罪を着せようとした人は現行犯逮捕となったが、私は自分のことなのに何もしていないことに対して自分に腹が立った。

紅葉町警察署を出たら、落ち武者さんは料亭に向かうのではなく、ミィミさんが言っていた桜木町の廃墟の並んだ場所に向かい、私たちは今そこにいる。ちなみに落ち武者さんの指示でみんなはイヤホンマイクを外した。
「ナミネ、大丈夫?私のせいでごめんね」
「大丈夫です」
ふと見るとナミネは真剣な表情をしていた。
「顔だけヨルク、今は少しでも手がかりになることを探せ!」
歩いていると、ミィミさんの言っていた何世紀も放置されていただろう古民家が見えてきた。それにしても、廃墟が立ち並ぶ中、一つだけ古民家があるのも不自然に感じる。
「証拠残さないよう、みんな手袋はめろ!」
私たちは手袋をはめた。
古民家の中は、まるで遠い昔にお店をやっていたような雰囲気だった。
「ここ、カンザシさんのコンサートが終わった後、よくズームさんと3人で来ていた居酒屋です」
ナミネの思い出の場所なのか。私たちは店内を歩いたがこれといったものはなく、古民家を出て再び廃墟を歩いた。
「あ、この廃墟、私とカンザシさんが住んでいたアパートです」
「じゃ入る。何号室だ?」
「確か7号室だったと思います」
私たちは廃墟になった元アパートの7号室に入った。それにしても何世紀も前のものが、まるでひと昔前のような古びれた建物として残っているのも奇妙だ。その後、改装されて再び廃墟になったとしか思えない。
7号室に入ると、ナミネの言っていた通り、ワンルームの狭いアパートだった。こんなところでナミネが暮らしていたかと思うと私は胸が痛んだ。
その時、ナミネは何かを手に取っていた。
「ナミネ、それ何?」
「ルビーのネックレスです。カンザシさんが私にくれるのは、いつもルビーでした」
まるで、私とは相反するプレゼントだ。
「そのネックレス、持って帰れ!」
「ちょっと待って!いくら廃墟だからって窃盗はよくないと思う!」
落ち武者さんはいつも無茶振りだ。ナミネもちゃっかりポケットに入れているし、2人は法律というものを知らないのだろうか。
「元々の持ち主が持っていて何が悪い!ここの当時の入居名簿とショップの購入者名簿入手すればなんとかなるだろ!」
何故強引にネックレスを持って帰ろうとする。
ふと、お風呂を見てみたが1人用の四角い木の浴槽だった。
「おい、ネックレスが入っていただろう箱あったぞ!」
私は慌てて落ち武者さんの元へ駆け寄った。
桜木ジュエリー。今でも存在するジュエリーショップだ。けれど、当時のジュエリーショップと関連しているのかは分からない。するとナミネが天井の木を1枚めくった。アルバム?
ナミネはアルバムをペラペラめくりはじめた。かなり色褪せているけれど私との思い出の写真……。カンザシさんに見つからないように隠していたのか。ナミネはアルバムを袖に入れた。
その後、落ち武者さんは、今は廃墟の当時は桜木ジュエリーだった場所から当時の購入者リストを持ち出した。
「後はカンザシの聞き込みだな」
「僕としては、カンザシさんにはもうナミネと関わって欲しくない」
ナヤセスさんからしたらそうだと思う。カンザシさんはドラマでナミネと関係持とうとしているし、過去にイジワルもしている。すぐに縁を切って欲しいだろう。
「ナヤセス、強気なナミネとカンザシは何世紀も前からの付き合いだ。今、縁を切ろうとしても、それは無理なことだ。僕らは歴史を辿るしかないんだよ!」
切り離したくても切り離せない存在。それが自分にとって害を及ぼす人ならば……。2020年という新しい時代に私たちは生きているというのに、過去を掘り返さなくてはならない。私たちの背負った輪廻はあまりに重たすぎた。

料亭に戻ると、落ち武者さんは予約していた個室に入るなりイヤホンマイクでカンザシさんとズームさんを呼び出した。すると何故かナルホさんとミネスさんも来た。
「カンザシ、詳細全部話せ!」
「ラルク、お腹すいたよね」
「ナミネ、こんな時くらい我慢しろよ」
こんな真面目な時にどうして、いつもみたいにいられるの。
「エルナ、適当にみんなの注文しろ!」
「分かったわ」
エルナは、御膳をみんな分注文した。
「あれは、1年前でした。何もかもが上手くいかなくてムシャクシャしていたと思います。虹色街から、たまたま桜木町を歩いていました。懐かしい空気を吸いたかったのでしょう。その時に1人の制服着た女子高生が歩いていて魔が差したんです。気付いたら犯していました。怖くなった僕はその場から立ち去りました」
聞いていて私は言葉にならなかった。
「あんた、だったらなんで、神社で名乗り出なかった!まさか顔だけヨルクに罪着せるつもりだったのか?あんたのせいで強気なナミネは被害者から刺されたんだよ!どう落とし前つけてくれんだよ!」
カンザシさん、まさか私に罪を着せて自分は逃げ切るつもりだったのか?だとしたら、許せない。もし、私が捕まったとして、やっていないことをやったと言うまで出してもらえないだろう。『やっていないと主張した』という実話が元になった映画のように。私とナミネの関係を壊すつもりだったのだろうか。
「すみません。芸能界に入ることはずっと夢だったので、その夢を壊せなかったです。その思いが暗黙にヨルクさんが疑われてしまう原因になってしまいました」
「あんたとんでもねえ野郎だな。冤罪だったら、逆にあんたの人生壊れてたんだぞ!」
「そこまで考えが及びませんでした」
私に罪を着せようとしてまで芸能界にしがみつくというわけか。もうここまで来たら私も容赦出来ない。その時、エルナの注文した御膳が運ばれて来た。ナミネは適当なのを選んで、食べはじめた。
「カンザシさん、今、あなたのご実家にクレナイ家 顧問弁護士を向かわせました。カンザシさんを虚偽告訴罪で訴えます!」
「待ってください!実家は関係ないでしょう!取り下げてください!」
私はカンザシさんに無実の罪を着せられ、運悪ければ、私が少年院行きだったのに、いざ自分が不利な立場に立たされたら、慌てふためく。無様な光景だ。けど、私は私を陥れようとしたカンザシさんを許さない。
「カンザシ、大丈夫だよ。今、ブランケット家の顧問弁護士をカンザシの実家に向かわせたから」
この者は、どこまでもカンザシさんを庇う気か。例え犯罪だとしても。
「ミネスさん、あなたのしてることって犯人隠避罪ですよね?しかしながら、皇帝陛下はあなたを罪に問うています」
犯人隠避罪。犯人蔵匿罪とよく似ているが、犯人蔵匿罪以外で犯人の逮捕を妨げる行為だ。ナミネは皇室からの紙飛行機をミネスさんに見せた。
『ミネスを皇室の初級武官によって赤花咲に処する』
皇帝陛下が下した決断は絶対だ。
「へえ、ナミネって卑怯な手使うんだ」
ミネスさんは皇室に取り消すよう連絡をしたが、皇帝陛下の決断は覆らなかった。
「ミネスさん、今すぐ皇室で赤花咲してもらいましょうか。そして、私はその後もあなたには生きて償ってもらいます!ヨルクさんを陥れた人間を私は1人残らず排除します!」
ナミネ、こんな私を庇ってくれている。それなのに無力な私は自分を責めるしかなかった。
「待って!分かった!カンザシのしたことの慰謝料は支払う!だから取り消して!」
「でしたら、この書面にサインをしてください」
ナミネはミネスさんに書面を突き付けた。
『○二度とカンザシさんを庇わない
○ヨルクさんに罪を着せたら赤花咲を行う
○ヨルクさんの安全を常に守る
○私とヨルクさんの関係を引き裂かない
○カンザシさんが私に1000年の恋の話題をしたら赤花咲を行う』
かなり厳しい条件だ。ミドリさんは戻ってきたけれど、今度はナミネは私との関係を守ることに徹底している。
「これにサインしないなら、今すぐ皇室で赤花咲してもらいます!」
もうミネスさんの選択肢はないだろう。別にミネスさんが悪いとは思わない。ただ、ミネスさんを通して私やナミネに害が及ぶのは避けたい。
「分かった……」
「ナミネ、やめようか。今回の件はヨルクが向かわせた顧問弁護士だけで十分だよね。ここまでやるのは割に合わないと僕は思う。ミネスはブランケット家の顧問弁護士にキャンセルの歴史してくれるかな。君のさっきの発言は録音してあるから、今顧問弁護士を向かわせたら犯人隠避罪で捕まるのは君だよ?犯罪者を庇うことは良くなって君も分かるよね?」
ミネスさんは無言でブランケット家の顧問弁護士がカンザシさんの実家に行くことをキャンセルした。ナルホさんはナミネの書類を破り捨てた。
「ミネスさん、いくらお金持ちでも犯人庇うことは許されません。二度と同じ過ちはしないでください。でないと、私も次は取り下げません」
「分かった……」
ナミネの強気な押しにミネスさんは泣きはじめた。
「ナミネさん、カンザシのことは僕が何とかしますし、あなた方お2人の関係は壊させません。ミネスが間違ったことをしたら必ず僕が止めます。ナミネさんの現世での幸せは僕が守ります。だから、今回のミネスの未熟な判断は水に流してもらえませんか?」
ズームさんはカッコイイ。関わりたくないことに敢えて入っていって、ヒーローになる。ナミネのヒーローはズームさんだ。私はズームさんほどのことは出来ない。
「ナミネって狡い!私は別にナミネに危害加えようとしてないのに。実の兄を味方に付けて、彼氏とはラブラブで、私のお兄ちゃんに頼って、私からカンザシを奪って、卑怯にも程がある!誰も私には味方してくれない。不利な私をナミネは責め立てる。ナミネはヨルクが犯罪者でも庇わずにいられるの?」
ミネスさんはその場に泣き崩れた。その時、ナルホさんがミネスさんを抱き締めた。
「ごめんね、ミネス。決して君を孤立させようとしていたわけではないんだよ。ナミネは少しやりすぎなところがあるんだ」
「ミネスさん、あなたのお兄様が亡くなった日、私の姉も亡くなりました。これが姉の最後の姿です。こうなってでも、あなたはカンザシさんを庇いますか?」
ナミネはミドリさんの最後の写真を見せた。
人というものは残酷だ。真面目に生きている人ほど騙され道を阻まれやすく、悪意を持った人ほど上手く人脈を作り世渡り上手である。
「庇えない……」
「つまり、ミネスさんは、いざとなったらカンザシさんを見捨てて逃げる見た目も性格も不細工なカンザシさんに尽くすだけ尽くして利用されるだけの親の七光り野郎です!」
ナミネの言葉は時に人の心を壊してしまう。ナミネは真っ直ぐだけれど、失いたくないものを絶対に失わないために、相手を不利な立場に立たせてしまう。
「ナミネ、やめてくれないかな?ミネスはもう十分に反省している。今後はカンザシさんの犯罪は庇ったりしない。これ以上ミネスを攻撃しても誰も何の得もしないよ」
何となく、出会ったばかりなのにミネスさんとナルホさんの距離が近い気がする。その時、武官が現れた。武官はミネスさんに結界をかけるなり、ミネスさんの着物を脱がしはじめた。
「ねえ、ラルク、このえび天美味しいね」
「そうだな、料亭の味はやっぱり違うな」
もうっ、こういう時にどうしてナミネとラルクは何もしないの!
「ミネス!」
「お兄ちゃん!助けて!」
いったい、誰が何のためにミネスさんを狙ったのだろう。ミネスさんが、下着に手をかけられた時、ナルホさんが結界を解き、ミネスさんを救い出すとナミネとラルクが武官を拘束した。そして、カンザシさんは妹同然のミネスさんが、襲われているにも関わらず、何もしようとしなかった。
ミネスさんは泣きながらナルホさんに抱き着いた。
「ナルホ、怖かった……怖かった……!」
「ミネス、君がピンチな時は必ず助ける。君は1人じゃない」
ナルホさんは、ミネスさんの乱された着物を元に戻した。
「で?あんたらなんで、お子ちゃまミネス襲った」
落ち武者さんは羽子板を持っていた。武官は黙っていた。落ち武者さんは武官の1人に思いっきり羽子板を振りかざした。ナミネとラルクはまとめて拘束したから、1人を叩けば、全員に電流が流れるだろう。
「セナ王女に頼まれた。理由は知らない」
今度はセナ王女が悪魔と化されてしまったのか。これではキリがない。新年早々からもう厄年だ。
「ミネス、別の個室取るからそこに行こうか」
「ううん、どうしてセナがこんなことしたのか、私も聞く!」
ミネスさんて、意外に物事はハッキリさせるタイプなのか。襲われたばかりなのに、もう真剣な顔をしている。カンザシさんが日常の中にいなければ、本当は純粋な人なんだろうな。
「じゃ、セナとミナクここに呼ぶ」
落ち武者さんはセナ王女とミナクお兄様をここに呼んだ。
「セナ、どうして私を襲わせたの?私、セナに何かした?」
「ミナクを取るからよ!あなたも痛い目見れば人の男取らないと思ったのよ!」
やっぱりセナ王女は一方的すぎる。
「私がいつミナクを取ったの?証拠でもあるの?裁判になったら勝てるの?」
「屁理屈なお嬢様ね。私は一国の王女よ。私が取ったと言えば取ったの!」
何だ、その自己中心的なものの考え方は。
「その理屈は裁判で通用するの?」
「裁判裁判てあなた何様よ!今すぐお父様に言いつけるわよ!」
「言ってみなよ。ほら、今すぐ言ってみなよ」
どちらも1歩も引かない言い争い。その時、ナミネが私にご飯を一気に詰め込んだ。私はむせた。
「どうして真剣な時にこういうことするの!」
「今食べておかないと後でお腹すきます」
だからって何も一気に詰め込むことないのに。
「分かった」
私は少し機嫌を損ねながら冷めた御膳を食べた。
「なあ、ミナク、あんたはどうなんだよ?」
「私はセナ王女のみを愛している。ミネスのことは友達以上には思っていない」
「嘘よ!明らかミネスのことばかり見てたわ!ミネスもミナクも王室で裁いてやる!」
セナ王女の一方的な発言はいつまで続くのだろう。
「これ以上は無駄な口論だね。私はもうセナに何も聞かない。勝手にすればいいよ。けれど、自分のしたことは自分に返ってくるから」
ミネスさんはナルホさんの腕を組んで個室を出た。
「じゃ、僕らも次に行くか」
「待ってよ!問題が起きたらみんなで話し合うべきだと思うわ!」
その問題を起こしたのはどこの誰だ。という思いを私は口に出さずにいた。
私たちは、セナ王女とミナクお兄様を置いて露天風呂に向かった。

私がボーッと歩いている間にナミネとラルクは混浴温泉に入ってしまった。私は慌てて走った。
混浴温泉の脱衣所ではナミネが着物を脱ぎはじめていた。
「ナミネ、待って!混浴温泉じゃなくて女湯に入って!」
カンザシさんだけにはナミネを見られたくない。
「ねえ、ラルク、ヨルクさんて心狭いよね」
「もう束縛レベルだな」
どうしてそうなるの。とにかくナミネをここから出さないと。そう思っていたら、ミナクお兄様も入って来て、追うようにセナ王女も入って来た。
気付いたらナミネとラルクは裸のまま露天風呂に向かって行った。私は慌ててタオルを持ってナミネを追いかけた。
「ナミネ、せめてタオル巻いて」
私はナミネにタオルを巻いた。その時、ニュースが流れた。
『王室の第6王女はブランケット家の次女を武官に襲わせたとし、ブランケット家は現在、王室に講義中です』
流石はブランケット家。行動が早い。
「こんなことまでして許さないわ!」
セナ王女はミネスさんとミナクお兄様に結界をかけた。
「ミナク、ミネスを好きにしなさい!」
まさか、ミナクお兄様……。けれど、ミネスさんは平然としている。でも、ミナクお兄様はどんどんミネスさんに近付いている。その時、ナルホさんが結界を解いてミネスさんを連れ出した。
「ミネス、先に出てよう」
ナルホさんはミネスさんを連れて露天風呂を出た。
「ねえ、ラルク、露天風呂って久しぶりだよね」
「そうだな、小学生の社会見学以来だな」
もうっ、ナミネとラルクあんなにくっついて。
「あんた、ここでちょっとは休んでおけ。次の予定あるからな」
「え、次の予定って?」
「動物園の飼育員のバイトだ」
何それ。元旦にどうしてそんなことするのだろう。
「どうしてバイトなんかするの?」
「一目惚れカラルリがテンネに貢ぎすぎて借金出来たから、みんなでまたバイトすんだ」
それって、カラルリさんの問題じゃない。正直巻き込まれるのはいやだ。ナミネのことも説得して温泉上がったらナノハナ家に帰ろう。
「私、やらないから」
「あんたがしなくてもみんなする。進級すれば職場体験だってしなきゃなんない。それも兼ねてみんなするんだよ」
職場体験か。私は、ろう学校を考えているが。そもそも、どうして動物園の飼育員なのだろう。気乗りはしないが経験は多いほうがいいかもしれない。
「分かった」
露天風呂から上がると、お土産屋さんを少し見て、私たちはまた4班に分かれ、タクシーで動物園へ向かった。
正直、初詣は見知らぬ人に阻止されるし、料亭ではセナ王女が暴れてロクにご飯食べられなかったし、露天風呂もナミネが心配でゆっくり入れなかった。それに正月早々バイトだなんて、ハードすぎる。

動物園に着くと、私たちは制服に着替え、飼育員さんの説明を聞いてバイトを開始することになった。
えっと、まずは鍵を開けて、動物にエサをあげて……。あれ、突然動物たちが寄ってきた。私はエサから離れた。けれど、動物は私に付きまとってきた。私は咄嗟に逃げた。
すると小動物が私をずっと追いかけてくる。しまった、鍵をかけ忘れてしまった。戻らないと。その時、鍵がかかっているはずのところから一頭のライオンが私に近付いてきた。私は逃げようとしたが、ライオンは猛スピードで私に追いつき、私を押し倒した。どうしよう。殺されてしまう。私は扇子を取り出した。
え、ライオンが私のズボン脱がしてる。パンツも……。
誰か助けて!そう叫ぼうとしたが声が出ない。このままではメスライオンに犯されてしまう。誰か……。
「ねえ、ラルク、ヨルクさんパンツ脱いでるよ」
「ついに人間だけじゃ物足りずメスライオンに走ったか」
ナミネ、ラルク……。見てないで助けて。
「ラルク、羊さんのエサやり楽しかったね」
「そうだな、みんな大人しかったしエサやりもしやすかったな」
何故助けてくれない。
「あんた、動物園のど真ん中でなにやってんのさ」
「みんな見てないで助けて!!」
私は大声で叫んだ。
「ねえ、どうする?ラルク」
何故ラルクに聞く。
「まあ、メスライオンが恋人ってのも可哀想だし、助けてやるか」
ラルクが私の上に乗ってるメスライオンを扇子で吹き飛ばすと、元の場所に戻し、扇子で鍵をかけた。ナミネは私を起こしてくれた。
「あんた、流石に飼育員のバイト中にフリチンは不味いだろ」
落ち武者さんは私のパンツとズボンを上に上げた。すると、どこかから笑い声が聞こえてきた。
「ヨルク、お前よくこんなところでパンツ脱いでいられたな」
「本当、恥晒しだわ」
ミナクお兄様……セナ王女……仲直りしていたのか。
「ヨルクさん、大丈夫ですか?」
アヤネさん……。
「メスライオンにいきなり襲われまして……」
「それは怖いですね。パンダの赤ちゃん産まれたので見に行きませんか?」
赤ちゃんなら大丈夫か。
「はい、見に行きます」
私が歩こうとした時、逃げた小動物たちがまた私に付きまとってきた。どうして私にだけ寄ってくるのだろう。
「あんた、何ボヤボヤしてんのさ」
落ち武者さんたちは1匹ずつ私から引き離し、元の場所へ戻して行った。
正直、動物園のバイトはハードすぎる。メスライオンには本当に犯されるかと思った。こんなバイト二度としたくない!
「あまり言いたくないけど、ライオン入ってるオリの鍵開けたのカンザシだ」
「え……」

……

あとがき。

イケメンなヨルクは人間だけでなく、メス動物にも大人気。

それにしても、元旦からバイトって純愛偏差値には休みというのがありませんね。

カンザシはヨルクをハメようとしていたのでしょうか。
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純愛偏差値 未来編 一人称版 67話

《ナミネ》

2020年1月1日。
今日は正月だ。
私は朝起きるなり、ズームさんのお母様のお節が食べたくてそのまま部屋を出ようとした。
「ナミネ、あけましておめでとう」
「あけましておめでとうございます、ヨルクさん」
「今日はお節食べた後はすぐに初詣だから朝から着物着ようね」
「はい」
私はルームウェアを脱ぎ捨てた。
「ナミネ、ここは落ち武者さんもいるから無闇に下着姿にならないで」
ヨルクさんは昨日の夜用意してくれていたのか、私に淡いオレンジ色のかすみ草の着物を着せた。帯は淡い水色。補色って使い方難しいけど、ワンポイントなどは合う時もあったりする。
そして、セミロングの私の髪をヨルクさんは上手にまとめて菜の花の髪飾りを付けた。
「ナミネ、外雪だからこのケープ上に着て」
着物用の白いケープ。ヨルクさん買ってくれたのだろうか。私は嬉しくてヨルクさんに抱き着いた。
そういえば、遠い遠い昔もヨルクさんと初詣行く時、雪が降っていて、その時は今みたいにケープとかなかったから上に薄いカーディガンを羽織っていたんだっけ。ヨルクさんはいつも番傘をさしてくれていた。
「あんたら新年早々イチャついてんな!今日は混むから早めにここ出るぞ!」
ヨルクさんも着物を着て、落ち武者さんとエルナさんもヨルクさんに着物を着せてもらった。エルナさん、紫似合うなあ。落ち武者さんは髪が銀色なだけにやっぱり白い着物だね。
ちなみに、昨日の晩からナクリお姉様は部屋で引きこもっている。初詣にも行かないらしい。ミドリお姉様はカナコさんたちが迎えに来るそうだ。

第4居間に行くとだいたいのメンバーが揃っていた。そして、見知らぬ女の子が1人いた。私は女の子に駆け寄った。女の子はボブヘアで青いニットセーターに白いミニスカートを履いていた。
「あの、どちら様でしょうか?」
女の子は振り向いた。
「へえ、君がミスコングランプリ。大したことないじゃん」
えっ、初対面でこの対応何?
「第6王女は恋愛依存体質。その隣にいる黒髪の男は女遊びしまくり。第5王子は浮気体質。その隣にいる黒髪ロングヘアの女は男に尽くしすぎ。銀髪の君は精神年齢が幼い。その隣にいる金髪の女は未練ありすぎ。緑の髪の君は趣味にのめり込みすぎ。第7王子は1番を掴めない。銀髪のロングヘアの女はワガママ」
何故この世にこれ程に似た人がいるのだろう。落ち武者さんの親戚だろうか。私は落ち武者さんを見た。
「あんた、僕に喧嘩売ってるわけ?」
「実際そうじゃん」
この人、落ち武者さんの何を知っているのだろう。
「他人の家来ていきなり失礼な態度取るあんたほうが子供だけどね?」
星空レストランで全く同じことしていた人がそれを言うのか。それにしてもこの女の子誰だろう。てか、さっきから、ミナクさん、この女の子ばかり見てる?よく見ると女の子はかなり丈の短いスカートにニットセーターは露出が高い。少し動くと下着が見えてしまいそう。
「あのどちら様でしょうか?」
私はもう一度聞いた。
「へえ、今日は初詣行くんだ。私も着物着たいな」
ダメだ。話が通じない。その時、カンザシさんが入って来た。女の子は真っ先にカンザシさんの元へ走った。
「カンザシ!会いたかった!」
「ミネス、元気だった?」
「うん、元気だよ」
カンザシさんの友達か。って、ミネスさんて人、カンザシさんに抱き着いてる!
「カンザシ、私との交際いつになりそう?」
「ミネスのことはずっと妹として見てきたから、それ以上には見えないよ」
幼なじみだろうか。それにしてもカンザシさんがこういう綺麗系な人を妹以上に見れないだなんて意外。何だかミナクさんのミネスさんに対する視線がまた問題を引き起こしそう。
あれ、ミナクさんの携帯新しくなってる。いつ契約したのだろう。
「ミネス!またそんなはしたない格好して!今すぐ選んでやる!」
「キモイ!近付かないで!」
ズームさんに対してキモイだなんて、この人……。
「あのズームさんは……!」
「へえ、お姉ちゃん彼氏出来たみたいだけど、ただの貧乏人じゃん」
え、ミネルナさんの妹さんと言うことはズームさんの妹さん!?何だか3人とも似てないな。
「私の彼氏悪く言うのやめてくれる?将来は医師になるのよ。あなたこそ、いつまでも叶わない恋追いかけて惨めね」
「お姉ちゃんこそ、偏差値は低い、常に赤点、ピアノも何も弾けない、社交界では友達いない。ブランケット家に相応しくないと思うな」
私はお節を早く食べたくて、ラルクの隣に座った。
「あなた、言ってくれたわね!」
ミネルナさん、コンプレックス感じてるんだ。
「はい、ストップ!お子ちゃまミネスも初詣行くのか?」
「行くよ!カンザシに会いに来たんだもん!」
「この人数だから4班に分けて行動する。お子ちゃまミネスは3班ね」
「分かった。あ、一応みんな連絡先教えといて」
みんなはミネスさんと連絡先交換をした。
「ミネスは何年生?」
「3年生だよ」
「じゃあ、私と同じだな。今度食事にでも行かないか?」
「別にいいけど」
セナ王女がいるのにどうして他の女誘うの?てか、ミナクさん、ミネスさんに明らか一目惚れしてるよね。
「ナミネ、お吸い物と赤飯持ってくるね」
「はい」
私はお節を開けて玉子巻きを食べた。美味しい。もっと食べよう。
「あんたさ、なんで手で食べてんのさ。ちゃんと取り皿に入れろ」
ヨルクさんがいないと思ってたら落ち武者さんが指摘するなんて。それにしても、セナ王女、明らか怒ってるよね。ミナクさん、ずっとミネスさんに話しかけているし。
「ねえ、ラルク。どう思う?」
「まあ一目惚れな感じじゃないか?」
「それアウトじゃん」
その時、ヨルクさんとカナエさんが赤飯とお吸い物を持って来た。
「ナミネ、好きなものお皿に入れてあげる」
ヨルクさんは数の子とかイクラとかカマボコなど色々取り皿に入れてくれた。
「ありがとうございますヨルクさん」
私は一気に食べた。
「美味しいです。もっとください」
「ナミネ、初詣の後は料亭行くんだから、これ以上食べるとお昼入らなくなるよ」
「分かりました」
それにしても、ミネスさんがカンザシさんを好きなら一緒にならないとカンザシさんは一生1人な気がする。逆玉に乗れるチャンスなのに。
「私も着物着たい!」
「ミネス、私が着付ける」
「ねえ、ミナクは私の彼氏なんだから、いちいち邪魔するようなことしないでくれないかしら」
「ミナクが私に話しかけてきてるんだけど」
ズームさんの妹さんなだけあって気が強いなあ。
「僕が着付けるよ。他にも着物着たい人いたら言って」
ミネスさんの他にはナヤセス殿、ロナさん、アヤネさん、ユメさん、委員長、ロォラさんをナルホお兄様が着付けることになった。
「人混むから武家オリジナルイヤホンマイク1人1つ持ってけ」
落ち武者さんはみんなにイヤホンマイクを渡した。武家のイヤホンマイクはかなり遠くまで話し声が届く。音質の改良もされたし、話しかければ声はみんなに聞こえるけど、分かれて行動するから、持っていたほうが、みんなといるみたいで楽しいかもしれない。
「あの、ミネスさんってこれまで付き合った人とかいるんですか?」
「いないよ。カンザシが振り向いてくれるのずっと待ってる。何世紀も前からずっと」
何だかその忍耐力はまるでヨルクさんみたい。ミネスさんって、カンザシさんのこと本気なんだ。
「カンザシさん、悪いことは言いません。ミネスさんと交際しないと将来絶対損します」
「ナミネさん、ミネスはカンザシには渡しません」
そうだった。ズームさんが、大切な妹をだらしないカンザシさんに預けるわけないか。ミネスさんはいくらでもいるけど、カンザシさんと長く交際してくれる人がいないんだよな。
「お兄ちゃん、私とカンザシの恋愛に口挟まないでよ!お姉ちゃんはその貧乏人と付き合ってるじゃん!」
「カンザシと違ってロォハさんは優秀なんだ!姉さんとは真剣に交際してる!兄さんも戻って来たしまた時計騎士目指してる。お前もちゃんと将来のこと考えろ!」
そういえば、ミネスさんてこれまでの前世はどんな職業して来たんだろう。
「あ、ズルエヌ復活したんだ」
何故、1番上の兄を名前で呼ぶところまで落ち武者さんに似ているのだろう。私は小声でラルクに話しかけた。
「ねえ、ラルク。ミナクさん、ずっとミネスさんのこと見てるよ」
「もう完全に惚れてるな」
「セナ王女はどうなるの?」
「いっときの感情か心変わりで決まるんじゃないか?」
その時、落ち武者さんからメールが来た。
『あんたら話丸聞こえ』
落ち武者さんって耳良かったっけ。
『あの、ミナクさんとセナ王女どう思います?』
『2人はもうダメだろ。お子ちゃまミネス見てる時点で甘えセナを女として見れてないんじゃないか?カップル日記見てみろよ』
うーん、1日のことで、そこまで断定出来るものなのだろうか。私はカップル日記を開いた。

『ミナクがお昼作ってくれた』
『ミナクとフェアバ』
『ミナクと添い寝』
『ミナクとFメモリイ♡』
あれ、Fメモリイ頻度かなり減ってなくない?そういうものなのだろうか。でも、まだ付き合って3ヶ月なのに。あれだけ大々的な告白で別れるとか私だったらいやだな。でも、一度カラルリさんと別れてるか。

『カナエにスコーンを作った』
『カナエにブラックダイヤモンドの指輪を買った』
何だかこの2人も別れそう。カナエさんの投稿が全然ない。

『ユメとフェアバでクリスマス限定のドリンク注文』
あ、2つ並べるとハートの形になってる。

『ロォハとバイクで海に行った』
ミネルナさんもカップル日記はじめたんだ。

『ナミネが手編みのマフラーをクリスマスプレゼントに用意してくれた。
物凄く嬉しいし、大切に使う。
ありがとう、ナミネ』
ヨルクさん、投稿してくれてたんだ。

「じゃ、初詣行く。リストのメンバーで行動しろ!」
私がカップル日記見てるうちに、ミネスさんたち着物に着替えてる。ロォラさんて着物着ると雰囲気変わるなあ。

紅葉神社に着くと物凄い人混みだった。この神社、普段は全然人いないし、そこまで大きな神社ではないのに、この町の人は正月になれば、ここに来る。遠い昔は元旦でも人なんか殆どいなかったのに、時代も変わったもんだ。
「ラルク、おみくじ引きに行こうよ」
「そうだな」
私がラルクとおみくじを引きに行こうとした時、ヨルクさんは私の手を掴んだ。
「ナミネ、私たちは1班で行動するから勝手にはぐれないで」
「はい」
私はヨルクさんを見つめた。少し近い前世ならみんな着物着ていたのに、この100年ですっかり変わってしまって、今では西洋の文化が入って来て日常的に着物を着ている人は殆どいない。
ヨルクさんの着物姿を見れるのも今では正月くらいになってしまった。
「ねえ、ラルク、このまま歩いていても全然進まないよね」
「そうだな。お昼、料亭行けないかもな」
困ったな。お腹も空いてきた。私はナヤセス殿によじ登った。あ、商店街のおじさん屋台開いてる。私はこっそりメンバーから離れ屋台に近付いた。
「おじさん、あけましておめでとうございます!」
「ナノハナ家とこのナミネか。大きくなったな。これ、おじさんからのサービスだよ」
「ありがとうございます!」
私はイカ焼きを持って、再びこっそり1班に戻った。イカ焼き。とってもいい香り。
「ナミネ、何食べてるの?」
「イカ焼きです。屋台のおじさんからもらいました」
「料亭で昼ご飯食べれなくなっても知らないからね」
ヨルクさんはすぐにガミガミ言う。まるで嫁をいびる小姑みたいだ。その時、カンザシさんからイヤホンマイク越しに声が飛んで来た。
『ナミネさん、どうしてもあのドラマの共演はしてもらえないでしょうか?』
みんなに聞こえてるのに、どうして終わった話をまた言うの?
『カンザシ、どのドラマ?』
『1000年の恋だよ、ミネス』
1000年の恋というのか。それにしても、いくらドラマとはいえラブシーンでヨルクさんを裏切るようなことは絶対出来ないし、何より、私は綺麗な身体でいたい。
『カンザシ、まだ配役は未定だよね。ナミネ以外の女優となら交渉してあげる』
あの時、カンザシさん、もう主役決まったような言い方だったけど、全く決まってなかったんだ。嘘ついていたわけか。
『ミネス、どうしてもナミネさんと共演したい。頼む、契約して欲しい』
どうしてカンザシさんはそこまで私に拘るのだろう。
『ナミネとだけはダメ。どうしてもナミネと共演したいなら実力で主役勝ち取って。聞くけど、カンザシはどうして彼氏持ちのナミネと関係持とうとするの?』
実力で主役になられても私はヒロインは演じない。
『ナミネさんのことが好きだから。それにナミネさんは僕の実の妹だ』
『実の妹でも、婚姻が法律で認められた以上はナミネとだけは絶対ダメ』
女の勘というものなのだろうか。ミネスさんは昔のカンザシさんと私の関係に薄々気付いている気がする。今のカンザシさんにとって私が本命ならカンザシさんのことを本気で想ってるミネスさんが認めるわけがない。
「なあ、カンザシ、あんた強気なナミネの処女奪ってどうする気だ?あんた正気か?」
何か癪に障る言い方だけど、ミスコングランプリも取ったし表向きでは清純派装わないと。
『ナミネさんには、これから結婚まで僕のことを好きになってもらえたらそれでいいと思っています。1000年の恋では少し痛いかもしれませんが、ナミネさんとの愛の絆が欲しいんです。それをバネに芸能活動頑張りたいんです』
もはや、ものの考え方が狂ってる。一方的な恋愛感情など成立しない。カンザシさんのは愛でも友情でもない。ただのエゴにすぎない。
「ハッキリ言います!私は芸能人ではありません!ドラマのシーンとはいえ、穢れるのはいやなんです!私は綺麗な身体のままでいたいんです!私の彼氏はヨルクさんです!カンザシさんを男として好きになることはこの先ないでしょう!だから、このようなドラマを私に押し付けないでください!私はヨルクさんと幸せになるんです!」
今のカンザシさんには何を言っても伝わらないだろう。それでも、私はヨルクさん以外の人に抱かれたくない。ヨルクさんとの幸せは何がなんでも私が守り抜く。現世ではカンザシさんに幸せを奪われたりなんかしない。
『ナミネさんはまだ子供です!今処女を喪失したほうがより魅力的になります!僕がナミネさんを女にします!』
やっぱり何一つ伝わらなかった。私はカンザシさんを無視した。
行列は少し進んだみたいで賽銭箱が見えてきた。
「ラルク、賽銭箱見えてきたよ。お金入れようよ!」
「そうだな」
私とラルクは賽銭箱に向けてお金を投げ入れ、扇子で鈴を鳴らした。
「ラルクに素敵なお嫁さんが見つかりますように」
「なんで僕のこと願うんだよ。それに普通は声に出さないからな」
「でも、ラルクに幸せになって欲しいから」
「恋だけが幸せじゃないだろ!」
けれど、ラルクにはいいお嫁さん見付けて幸せな結婚生活を送って欲しい。これまでセレナールさんに騙されてきた分。
うーん、おみくじはまだ遠いな。お守りも買いたいけどそれもまた遠い。私は人混みに埋もれていた。
その時、前の高校生くらいの女の子が振り向いた瞬間悲鳴をあげた。
「この人、この人にイジワルされた!」
女の子はヨルクさんを指さしている。
「あの、それっていつのことですか?」
「1年前、桜木町の廃墟が並ぶ通路を歩いていたら、いきなり後ろから口を塞がれ古民家に連れ込まれそこで、この人に犯されたわ!この顔一度見たら忘れない!私の人生を壊した人。絶対に許せない!」
桜木町に廃墟なんてあるんだ。けれど、どうしたらいいのだろう。ヨルクさんが連行されてしまったら、ヨルクさんが責め続けられ、ヨルクさんは無実の罪を認めてしまうかもしれない。
「あんた、その時着ていた服は今でもそのまま保管してあるのかよ?イジワルしたのは1人か?」
「ええ、念の為保管してるわ。そう、この人のみに犯されたわ!」
「じゃ、警察に連れて行くのは1人でいいよな?本当にあんたが犯人と言ってるのが犯人か?それともこっちか?」
落ち武者さん、カンザシさんを連れてきてくれたんだ。女の子はかなり驚いた表情をしている。
「そんな……双子だなんて知らなかった」
何故そうなる。けれど、この人にはヨルクさんかカンザシさんか選んでもらわないと。
「ミィナ、どっち?」
「えっと……」
落ち武者さんは書類を出した。
「警察に連れて行くからには冤罪なんてことはあっては困るからね?もう一度言うけど連れて行けるのは1人だ!このうちのどちらかなんておかしいからな!万が一、間違っていた場合、名誉毀損であんた訴える。訴えられたくなかったら、この書類にサインしろ!」
落ち武者さん強気に出た。確かに間違っていたなんてことになれば、侮辱罪が成立する。被害者であろうと、関係のない人をイジワル犯に仕立て上げることは許されない。
「そんな……。被害者は私なのにどうしてこんな仕打ち受けないといけないのよ!あんまりじゃない!2人とも連れて行くわ!」
「あんた馬鹿だな。2人連れて行けば、無罪だったほうは名誉毀損であんたを罪に問えるし、あんた下手したらレイプ被害者どころか関係ない人イジワル犯に仕立てあげた加害者だろうが!だから、警察に連れて行くなら1人選んで、今この書類にサインしろ!」
私は落ち武者さんの書類に目を通した。
『万が一、警察署に連れて行った人物がイジワル犯でなかった場合は、85万円の示談金を支払う』
ミィミさんはとても悩んでいる様子。
「ミィミ、せっかく犯人見付けたんだから、ここで逃したらミィミが余計に辛くなるよ。辛いけど当時のことよく思い出して、どちらかを警察に連れて行こう」
やはり、レイプ犯は逃したくないわけか。誰だってそうだろうけど、犯人が2人のどちらか分からない状態での決断は無計画であると私は思う。何より、この人が持っている証拠は当時犯行現場で着ていた服のみ。
「分かった。私もここで逃したくないし、ちゃんと訴えて前に進む!当時は黒髪で身長もそれなりに高くて、服は柄のトレーナーにダボダボのカーゴパンツを履いていた。こっちの人よ!」
これでミィミさんはカンザシさんを訴えられなくなったか。柄のトレーナーにカーゴパンツなんてヨルクさんは着ない。この人、勢いあまりの無計画すぎる。せめて、普段の服装とか、髪はいつ染めたのか聞けばいいのに。
「じゃ、顔だけヨルクを連れて行く。みんな今から、1班は紅葉町警察署行くから、初詣終わった班は先に桜木町の料亭行ってろ!」
私たち1班は、突然現れたミィミさんとその彼氏と共に紅葉町警察署に向かった。

紅葉町警察署に着くと、ミィミさんが事前に連絡していた両親がミィミさんが当時着ていた制服を持って来た。そして、警察はミィミさんに当時のことを詳しく聞いた後、その時に着ていた制服の指紋を調べた。
結果は当然のごとくヨルクさんのものとは一致しなかった。
「なあ、この指紋と照合してみろよ」
カンザシさんが普段持ち歩いているティッシュだろうか。警察はすぐにティッシュについている指紋とミィミさんの制服についている指紋を照合した。
結果は見事に一致した。
「ミィミ、あんたをイジワルしたのは顔だけヨルクじゃなくて、もう1人のほうだったんだよ!示談金はきっちり払ってもらう!」
「そんな……そんな……こんな仕打ちあまりに酷すぎる!あなたたちには人の心というものがないの?」
「は?間違えたのあんただろ!イジワル犯の顔もまともに覚えられないのかよ!」
その瞬間、ミィミさんはカッターナイフを取り出し、暴れはじめた。私はすかさず扇子を私のほうに向け、その弾みでミィミさんは私に突っ込んだ。ミィミさんのカッターナイフは私の腕を刺した。警察は傷害罪で現行犯逮捕し、私は婦人警察の手当を受けた。
「待って!身体が勝手に動いたの!私は被害者よ!もう1人のほうを連れて来て!」
ヨルクさんに害を及ぼす者は芽から摘み取ってあげないと。誰であれ、ヨルクさんを貶める人は私が許さない。どんな手を使ってでもヨルクさんとの幸せは誰にも壊させない。
「じゃ、後はカンザシの動機聞くだけだな」
ヨルクさんは無言で泣いていた。私はヨルクさんの手を握った。

……

あとがき。

新年早々からハードモードなみんな。
『クレナイ』

物語の始まりを 私はまだ知らない
ここ100年で 変わってしまった
毎日 着物を着ていたあなたは
もう どこにもいない

紅葉神社で あなたが買ってくれた
黄色い みつえもみじ の 赤いお守り
今ではもう 売られていない
あの時だけの 遠い遠い昔の想い出

どんなにすれ違っても あなたの温度は
少しも変わらなかった そう今でも……

紙飛行機追いかけて 駆け出してく
季節流れながらも あなたを探し求めて
運命に頼らない 私が掴み取る
大晦日の夜 花火あがる 紅葉神社

どれだけ時間を 遡っても
変えてしまった歴史は 元に戻る
あなたを忘れてしまった 現代(いま)
どれだけ 泣かせてしまっただろう

私の心が あなたから離れた時
もう戻れないと 2人で泣いたよね……

たくさんの折り鶴が 窓をつつく
私宛の文 全てあなたの筆跡だった
まだ待っていて いますぐ行くから
真夏の夜 花火散っていった 紅葉橋

紙飛行機追い抜いて 振り向いた
何世紀も待たせて 本当にごめんね
私が作り上げたサダメ もう離さない
秋祭りの夜 紅花舞った 紅葉神社

……

あとがき。

森の湖でカナエが歴史を変えてしまい、ナミネの記憶が失われた時、ヨルクは交際していたことをナミネに忘れられてしまい心押し殺し悲しんだ。
けれど、ナミネが記憶を取り戻し、月日流れ、正月に紅葉神社にナミネとヨルクが仲良く初詣に行くイメージを浮かべながら書いた詞です。

オリジナル小説 純愛偏差値 詞
未来望遠鏡(ボウカンシャ) 1話

……

登場人物

大温時 菊助23……雄作とさと子の大学の同期でさと子に片想いしている。普段は中小企業のサラリーマンをしている。

田辺 雄作23……菊助とさと子の大学の同期でさと子と交際している。さと子と同じ大企業のflowerグループに務めている。

山野 さと子23……菊助と雄作の大学の同期で雄作と交際している。雄作と同じ大企業のflowerグループに務めている。

……

『本日をもって僕は人間をやめます』
こんなのいつ書いた文章だっけ。まるで遺書みたいだが、全く思い出せなかった。

現代の僕は大学を卒業後、中小企業に務めている。残業は殆どないが、給料はそれなりに少ない。それに未だに上司に怒られてばかりで毎日疲れてしまう。
学生時代は楽しかったけれど、社会人になっては、毎日が同じことの繰り返しで、時折、何のために生きているのか分からなくなる。

仕事帰り、いつもの居酒屋に行った。
メニューを開くなりビールを注文した。ビールを半分飲み終えた頃、友達が来た。
「よお、菊助」
「菊助君、遅れちゃってごめん」
田辺と山野さんは大学で知り合った友達だ。2人とも僕と違って頭が良く、今は大企業のflowerグループに務めている。
「ううん、僕も今来たところだから」
田辺と山野さんは、重要なプロジェクトを任されていて、今は忙しいらしい。残業続きとも聞いている。
就職した頃は毎日のように3人で集まっていたが、今では週に2回会えたら良い方だ。
「菊助は彼女作らないのか?」
このわざとらしい質問は僕はあまり好きではない。僕は女ウケする田辺とは違って女ウケなんて夢のまた夢で、これまでに彼女が出来たことが一度もない。
「うん、今はね」
適当な相づち。虚しくなってくる。
田辺は大学時代から山野さんと交際している。そう、僕が片想いしている山野さんと。田辺は大学時代からモテていて、サッカー部に入っていて、山野さんはマネージャーをしていた。
山野さんは学年のマドンナ的存在で、誰もが山野さんとの交際を夢見ていた。
そんな山野さんを振り向かせたのが田辺だ。本音では羨ましくて仕方ない。
「さと子、今回のプロジェクト絶対成功させような」
「ええ、全力を尽くすわ」
「プロジェクトが終わったら温泉旅行に行こう」
「いいわね!」
僕がいるのに、田辺はいつも山野さんと2人で会話を楽しむ。2人にとって僕はまるで透明人間だ。
僕は孤独にタコ焼きを食べていた。
温泉旅行だなんて、本当見せ付けてくれるよな。
僕だって山野さんと交際したかった。でも、告白したところで断られる。気づいた時には、山野さんの隣には田辺がいた。
人生というものは親ガチャで決まると言うが、どうやら本当らしい。

居酒屋を出て田辺と山野さんと別れると、僕は実家に戻って行った。
夜になると僕はよく望遠鏡で月を眺めている。高校時代は天文部だった。その頃から、天体観測は僕にとっての習慣になっている。望遠鏡から夜空の星を眺めていると心が安らぐ。
月はあんなにも遠いのに、望遠鏡で見ればとても大きい。僕はSNSに撮影した月をよく投稿している。
アイピースを変えれば、月以外の惑星も見ることが出来るが、惑星の動きが早いため撮影は難しいし、かなりの倍率でなければ大きくは撮影が出来ない。だから僕はただただ月を眺めている。倍率はだいたい40くらい。この倍率が月を見る分に対しては丁度いいと思っている。
月の出は毎日1時間くらいズレている。だから、夜寝る時に出はじめる月は次の日が仕事のため、撮影することが出来ない。
けれど、月の満ち欠けは実に神秘的で、毎日少しずつ月の形が違うのだ。日によっては、昼と夜に月が出ていることもある。
昼間の月は白く映り、夜の月は灰色に映る。
今日は三日月だ。そろそろ新月に入ってゆく。

朝起きると、またいつもの日常がはじまる。つまらないけれど、仕事に行くしかない。僕は会社に行く準備をした。

……

あとがき。

未来望遠鏡の復旧をしてみました。
が、ストーリーが浮かんで来ない。

最初はタイトルを変えようと思っていたのだけれど、タイトルは未来望遠鏡のまま、ボウカンシャを付け加えました。

菊助は、時間を急げ!や、トイレ代理人、Make Loveは偽り!?に出ています。また、菊助が登場する小説は純愛偏差値ではリアルに起きていることという設定にもなっております。

時間軸的には何世紀も前の菊助となります。
純愛偏差値 未来編 一人称版 66話

《ヨルク》

私は女神の湖でダンゴロさんに神様呼び出しカードをもらった。ナミネのために使おうと思う。それにしても、ミナクお兄様もアルフォンス王子もカラルリさんもやたら女神に話しかけていて、セナ王女とカナエさんはかなり機嫌を損ねている。

あれ、ナヤセスさんは何をしているのだろう。えっ、女神の血液を抜いている?
「女神の血液はヨウセイ型と特殊な血液型で、どんな病気でも治すことが出来るよ。けれど、ここにいる女神だけの血液だけで全人類を治すことは出来ないからね。これ以上の女神の血液採取は認めないよ」
ダンゴロさんの言葉にナヤセスさんは咄嗟に女神から離れた。
ヨウセイ型。聞いたことがない。けれど、ヨウセイ型の血液があればどんな病でも治せるだなんて、遠い昔に知っていたらナミネの病を治したかった。

あ、ナルホさんがミドリさんを連れて戻ってきた。私は2人の元に駆け寄った。
「ナルホさん!」
ミドリさん、全然変わってない。
「久しぶりね、ヨルク」
「お久しぶりです、ミドリさん」
もう3年は経つのか。ここを出たら大学生の姿になるのかな。あれ、ナミネはどうしたのだろう。
「ナルホさん、ナミネはどうしてるの?」
「旧友と話してると思うよ」
「そっか、私も天界に行ってくるね」
その時、ダンゴロさんが近付いてきた。
「本当は逆物質の持ち帰りは禁じてるけど、今日だけ特別に3つまで持ち帰っていいよ」
「本当ですか?ありがとうございます!」
もし、ナミネとの想い出のものがあれば入手したい。
私はナミネを探すため天界に続く通路を通った。

天界は古民家が並んでいて、とても賑わっている。みんなが幸せな暮らしをしていることが伝わってくる。ナミネはどこにいるのだろう。
「久しぶりだな、ヨルク」
えっと、この人誰だろう。
「あの、どなたでしょうか?」
「僕も忘れられたもんだな。妖精村半ば頃の学友のキザクだよ」
ダメだ、やっぱり思い出せない。
「そ、そうなんだ。あ、ナミネどこにいるか分かる?」
「ナミネなら道端で泣いてたぞ」
「え、どうして?何かあったの?」
「さあな。ここを真っ直ぐ行ったらいるから行ってやれよ」
私は急に不安になり走った。ナミネ、いったい何があったのだろう。私が走っていると前からナミネが泣きながら歩いて来た。
「ナミネ、どうしたの?何があったの?」
ナミネは何も言わず私に抱き着いた。
「ヨルクさん、ごめんなさい」
ごめんて何が?
「ねえ、ナミネ……」
「私、もうヨルクさんを待たせません!」
旧友に昔のことを聞いたのだろうか。
「ナミネ、歩ける?3つまでならここにあるの持って帰れるみたいだから、市場で何か見よう?」
「はい」
私とナミネは手を繋ぎながら市場に向かった。

天界の市場は天使村の市場とは違ってとても穏やかだ。それにものも豊富。
「ナミネ、どれが欲しい?天界限定品もあるよ」
ナミネはとても落ち込んだ様子だ。こういう時、彼氏として何をしてあげたらいいのだろう。
ふと見るとナミネは透明のモルモット女神のぬいぐるみを持っていた。
「それにする?」
「はい」
天界なだけあって、全てが変わったものばかりだ。ん?全てを治す薬?説明書きを見ると、どんな病でも治せる薬らしい。ただし、使えるのは一度だけ。何かあった時のために買っておこう。
「ナミネ、他に欲しいのある?」
「これだけでいいです」
あと1つなら全てを治す薬をもう1つ買おう。私は、透明のモルモット女神のぬいぐるみと全てを治す薬2つを購入した。

再び女神の湖に戻るとセナ王女がミナクお兄様の携帯を真っ二つに割っていた。その時、ナミネが湖に走って行った。慌てて私も追いかけた。
「ナミザお姉様、また会いに来ます」
「ナミネ、幸せになるのよ。カンザシも」
ナミネとカンザシさんだけの姉。何だか信じ難いけど、私にも知らない歴史がたくさんあるのだろう。
「姉さん、僕、今は芸能人なんです」
「ああ、カンザシはよく駆け出しミュージシャンやっていたわね。あの頃は売れていなかったけど、貴族だったから、一生続けてたわね」
カンザシさんが貴族って以外。ワンルームのアパートに暮らしているイメージが強いかもしれない。
「ナミザさん、お久しぶりです」
「久しぶり、ズーム」
ズームさんとも知り合いなのだろうか。
「2人は覚えているか分からないけど、私たちの家の近くにズームは住んでいたのよ」
「そうでしたか。大昔は私とズームさんは幼なじみだったのですね」
人の縁というのは分からないものだ。ナミネとズームさんは昔のカンザシさんのコンサートで知り合ったものだと思っていたけれど、大昔は幼なじみという近い存在でもあったのか。
「ナミネ、よく聞いて。人生に運命なんてないの。全て人の意思で作り上げたものなのよ。悪いことをしたら何らかの形でその人に返ってくる。人を恨んではダメよ。ヨルクと幸せになって」
運命なんてない。どうしてそう言い切れるのだろう。私とナミネはずっと運命だと信じてきたのに。それともナミネと私の意思が繋がりをもたらしているのだろうか。
「もう誰も恨みません!私、ヨルクさんと幸せになります!」
ナミネ……。
その時、セナ王女がミナクお兄様の話しかけた女神に攻撃しようとしたがダンゴロさんが止めた。
「ここにいる女神は全員僕の契約彼女だ。手を出すことは許さない」
「セナ王女、少し世間話をしていただけです。どうかお許しください」
虚しくもミナクお兄様の真っ二つに割られた携帯は湖にプカプカ浮かんでいる。私はミナクお兄様の携帯を拾った。この端末代は払わなければならないけど、新しい携帯にデータ移行は出来るだろう。
「そろそろ時間だ!ここを出るぞ!」
もうそんな時間か。セナ王女とカナエさん、怒ったままだけど、連れて帰らないと。あれ、ナミネ何持っているのだろう。
「ナミネ、それ何?」
「ヨルクさんが天界にいた時に友達の家に置いていったものです」
どうして私の下着持って来てるの!
「ナミネ、それここに置いていって!3つまでしか持って帰れないから!」
「1人3つまでです!ルール違反ではありません」
そうか。1人3つか。それなら惜しいことをしてしまった。けれど、人間あまり欲を出しすぎるのもよくない。
「いいから置いていって!」
私はナミネからパンツを取り上げ、ダンゴロさんに渡した。
「天界が夜になる時間だよ。みんな帰らないとね」
天界には朝昼晩とあるのに、女神の湖はずっと明るいのか。
「エロじじい、最後に聞く!妖精村の象徴は姉さんなはずなのに、どうして姉さんは幸せになれないんだ?」
「そんな都市伝説どこで聞いたか分からないけど、妖精村の象徴はミナコだよ」
どういうことだ?妖精村の象徴はセレナールさんではなかったのか?ミナコさんだなんてはじめて聞いた。けれど、ダンゴロさんは神様だ。ダンゴロさんの言っていることのほうが正しいのかもしれない。
「そっか……姉さんじゃなかったんだ」
「まあ、妖精村以外では女神候補だったかもしれないけど、少なくとも僕からしたらセレナールは女神候補失格だね。ミナコのほうがずっと魅力的だから」
その基準はいったい何なのだろう。私には綺麗の基準がイマイチよく分からなかった。
「あの、女神の湖にはまた来れるんですよね?あと、あの市場は天界に暮らす人にとってはあまり必要のないものな気がするのですが」
「来ることは出来るよ。僕も女神もずっとここにいる。でも、天界の人は転生しているかもしれないね。あの市場は遥か昔の神様が死者が転生する時に持って行けるものを買えるために作られたんだよ。でも、今では、天界の人の娯楽になってるけどね。さあ、そろそろみんな帰るんだ」
私たちは走って女神の湖に繋がる天使の湖の時と同じ理屈の途切れた橋に向かった。ダンゴロさんが時間を止めてくれていたおかげで、みんなは無事に途切れた橋を渡り終えた。
あ、ナミネの脱ぎ捨てたコート!私は咄嗟にナミネを見た。するとナミネはちゃっかりコートを着ていた。

帰りの電車の中は、かなり気まずい空気で、セナ王女は機嫌を損ねたままだった。帰ったら、みんなにお蕎麦とナミネに月見うどんを作らないと。
「あの、今日は皆さんそれぞれのお家に帰って明日の予定も一旦なしにしませんか?ナミネもこんな状態ですし」
今は少しでもナミネを休ませてあげないといけないと思う。
「ねえ、ラルク。ヨルクさん、私のせいにしてるよ」
「まあ、ナミネと2人きりで過ごしたいんじゃない?」
え、ナミネもう大丈夫になったの?あれだけワンワン泣いていたのに。
「ナミネ、もう大丈夫なの?」
「はい」
そっか。良かった。
「ヨルク、携帯ショップに行って、新しい携帯買っておいてくれないか?」
「何言ってるんですか!ご自分でしてください」
私はミナクお兄様に女神の湖で拾った真っ二つに割れた携帯を渡した。
「あんたらさ、何があったんだよ」
何だか聞くまでもない気がする。
「ミナクがいきなり女神に綺麗だとか今度ランチしようとか言い出したのよ!目の前で浮気されて黙っていられないわ!」
ミナクお兄様、セナ王女がいるのに何故……。
「アルフォンス王子様は今すぐホテルに行こうって女神の手をひっぱってました」
アルフォンス王子が分からない。何故カナエさんがいるのに堂々と浮気しようとする。
「セナ王女、私はただ天界での道を聞いていただけです」
よくぬけぬけと嘘が言えるよね。
セナ王女はミナクお兄様を引っぱたいた。
「カラン、ミナクの新しい携帯はあなたが代わりに買いなさい。後からミナクの名義にすればいいわ!もちろんデータ移行込みで。データ移行直後の携帯を私に見せてちょうだい」
「分かりました」
「セナ王女、お待ちください。数々のセナ王女との想い出が入っておりますゆえ、データ移行は長くなりますので私の時間が空いている時に行きます」
人というのは嘘をついても、その嘘をいつまでもはつき続けられないものなのである。いつかは人にバレてしまう。嘘をつく人は嘘に嘘を上塗りするけれど、結局は知られてしまうのだ。墓場まで持って行ける嘘などこの世には存在しない。
「ヨルクさん、明日のお節は母が用意して、もうナノハナ家に届いてますので、それを皆さんで分けてください」
えっ、ミミリ先生わざわざ作ってくれたんだ。
「あ、すみません。有り難くいただきます」
「あ、ズーム、私ロォハと付き合うことになったの」
こないだ出会ったばかりなのに、もう交際だなんて、これが現代でいうところのスピード恋愛なのか!?
「そうですか。お幸せになってください」
「ミネルナさん、交際相手ってお金持ちなんですか?」
あれ、急にカンザシさんが焦りだした。
「ううん、一般家庭の人よ。でも、医師を目指してるの」
あれから結局、医師を目指すことにしたのか。月城総合病院も心強いだろうな。
「そうですか。でも、そんな恋愛長くは持たないと思います」
どうしてカンザシさんは否定的なのだろう。この時の私はカンザシさんとミネルナさんが互いに互いが知らないまま、かつて両想いだったことを知らなかった。
「とても相性がいいの。カンザシも早く彼女見つけて幸せになって」
ミネルナさん幸せそう。
「私も報告があるの。皇太子様から復縁迫られて、もう一度交際することになったわ」
そうだったのか。けれど、カラルリさんはどうなるのだろう。
「セナさん、ミナクと上手くいってないなら私ともう一度交際して欲しい」
同情は出来ないけど、何故こうも未練たらしいのだ。
「中絶薬盛ったカラルリとは絶対に復縁しないわ!残念だったわね。エミリにフラれて」
カンザシさんは突然タバコを吸いはじめた。何故急にタバコなのだろう。ミネルナさんとロォハさんの交際を聞いてから何だかおかしいような。ミネルナさんに片想いでもしていたのだろうか。だったら、どうしてナミネに過度に迫るのだろう。
「で、男尽くしのカナエと平凡アルフォンス、甘えセナとミナクは今後どうすんのさ?」
「カナエはアルフォンス王子様に裏切られて、もう信じることが出来ません」
「私はカナエを裏切ったりなどしていない。ただ、ホテルのレストランで天界のこと聞こうと思っていただけだ。カナエを失いたくない」
ホテルに誘うことがもう裏切りだと思う。カナエさんならいくらでもいるし、早いうちにアルフォンス王子とは別れたほうがいい気がする。
「私はミナク次第かしら。他の女と話さないなら考えてもいいわ」
もう拷問だな。身勝手に人の心は縛れないのに。
「落ち武者さんなんか、女神のまとっている布捲ってたわよ」
いらぬ情報を聞いた気がする。落ち武者さんて、あどけない顔して変態だったのか。
「僕、そんなことしてないけど?」
「ねえ、ラルクは何買ったの?」
「女神の湖カード。これで購入すれば20%キャッシュバックなんだよな」
「えー、そんなのあったんだ。私も欲しかった!ヨルクさんて気が利かない」
何故私のせいにする。そういうのがあれば便利かもしれないけど、浪費しない人なら普通にクリスタルカードで十分な気もする。
結局、セナ王女とミナクお兄様、カナエさんとアルフォンス王子は仲違いしたまま電車を降りてナノハナ家に向かった。

ナノハナ家に着くと、みんなお風呂に入り出した。私とカナエさんはお蕎麦を作りはじめた。
「私も手伝います」
「アヤネさん、お風呂で温まらなくていいんですか?」
「はい。まだわだかまり解けてませんし」
そっか。アヤネさんは遠い昔のカラルリさんとの浮気のことでみんなから白い目で見られていたんだっけ。
「そのうちみんなも理解してくれますよ」
結局、ニンジャ妖精さんもアパートに帰らずここに泊まるみたいだし、お風呂心配だな。その時、第1居間のほうから悲鳴が聞こえてきた。私は咄嗟に第1居間に走った。

第1居間の扉を開けると、ナクリさんが泣き崩れていた。
「嘘でしょ、ミドリ……」
まさか誰も死者が蘇るだなんて思わないだろう。
「ナクリ、私は一生ナクリを許さない。ナクリはピアニストになる資格なんかないよ。私がいなかった3年間どうだった?でもね、私、これから人生やり直すの。もちろんピアニストも目指す。それから、今後はカナコさんのグループに入れてもらうことになったから」
3年。ナノハナ家のみんなにとっては長くて苦痛な時間だった。でも、またミドリさんはこうやって戻って来れた。今度こそ幸せになって欲しい。
「ミドリ、許して……ただミドリが羨ましかった……死ぬなんて思ってなかった!」
「許さないよ。ただ、私からは何もしない。ナクリはナクリで幸せになればいいと思う。私は私で第2の人生送るから」
失われた3年間は戻らないが、ミドリさんは今、大学生となって二度目の人生を送ろうとしている。ミドリさんが戻ってきたことは今後のナクリさんの人生に何らかの支障をきたすかもしれない。それでも、ミドリさんいてこそのナノハナ家なのだ。
「ミドリお姉様……?」
振り向くとナミネが何も着ないで突っ立っていた。落ち武者さんやカンザシさんもいるし、私は慌ててナミネを抱きかかえ2階に走った。

2階の部屋に入ると私はナミネの身体を拭き、下着とルームウェアを着せるとナミネの髪を乾かした。
「ナミネ、今日は大晦日でみんないるんだから裸で家歩かないで」
「はい」
ナミネはいつも私に対しては簡易的な相づちしか打たない。ラルクにだったら突っ込むのに。そのナミネの態度がいつも私を不安にさせていた。
「ナミネ、私といても楽しくない?」
私はまた聞いてしまった。
「以前もその質問しましたよね。私たち交際してもう5ヶ月過ぎたんです!交際当初に比べ恋人らしくもなりました。私もヨルクさんも互いに愛し合っています。ヨルクさんが私に構ってくれるたび、私はヨルクさんの温かさに幸せを感じています。どうして疑うのですか?」
ナミネはそういうふうに思ってくれていたのか。言葉がなくても私といると幸せを感じてくれていたんだね。
「疑ってるわけじゃないよ。私といる時は口数少ないのに対してラルクとはいつまでも話してるから……でも、ナミネが私のこと好きでいてくれる気持ちが分かって安心したよ」
「ラルクは同い年ですし、ずっとクラスも同じで親友だからそれなりに話題もあるだけです!何も口数が少ないからと言って楽しくないわけではありません!ヨルクさんは恋人だから一緒にいて安心するんです!」
ナミネはとても真剣な表情をしている。不安になってしまった自分が情けなく感じてしまった。
「ナミネ、ごめんね。私は何も分かっていなかった。カナエさんに料理任せて出てきたから行かないと」
私が立ち上がろうとするとナミネは私に抱き着いた。ナミネの菜の花の香りが強くなる。私はナミネを強く抱き締めた。ナミネは何度も私のことを好きだと言った。
「あんたら何してんのさ。蕎麦出来たから早く来い!」
落ち武者さんが入って来て私は咄嗟にナミネから離れた。それでもナミネは私に抱き着いてきた。どうしたのだろう。いつものナミネと違う。天界でナミネを見付けてから様子がおかしい気がする。そんなナミネを落ち武者さんは抱きかかえた。
「ほら、行くぞ!」
私たちは第4居間に向かった。

第4居間では既にお蕎麦とナミネの月見うどんが並べられていた。
「すみません、カナエさん」
「いえ」
その時、テレビからナミネがミスコングランプリに選ばれた時の映像が流れた。ナミネは制服の上に赤いマントを羽織り、大きなトロフィーを持っていた。
感想を聞かれるとナミネはこう答えた。
『まだまだ未熟な私が、このようにグランプリに輝くことが出来たのも、心温かい皆々様の一つ一つの投票という愛情のおかげです。今回グランプリに輝けたことで、今後、更に精進することを決意しました。私の出演作品を見てくれている方々には日々感謝しています。春には写真集を出す予定なので、興味のある方は是非1度ご覧になってください。では、この辺で失礼します。皆様の今後の健闘を心よりお祈り申し上げます』
ナミネは一礼するととびきりの笑顔を見せた。
ナミネ、可愛すぎる。けれど、これでナミネはまた有名になってしまった。遠い存在になってしまわないか不安である。
ふと、ラハルさんのフェアリーZ広場を見るとミスコングランプリの時のナミネとのツーショットが投稿されていた。カンザシさんのフェアリーZ広場も同じだった。
「みんな、強気なナミネの今の映像欲しいならDVD持ってけ!」
私はすぐに手に取った。
「そういえば、セレナールはミスコンどうなったのよ」
セレナールさんも応募していたのだろうか。けれど、ナミネは応募は勝手に映画撮影した時の事務所がしていたそうだが。
「わ、私は応募してないわ」
「私、セレナールがミスコン応募用紙書いてるの見たわよ」
セナ王女、ミナクお兄様のことで機嫌悪いからセレナールさんに矛先が向いているのか。
「結局応募はしなかったのよ」
この時、本当は応募していたらしいが、ナミネがミスコングランプリに輝いてしまったことでセレナールさんが言い出せなかったことをみんなは知らなかったのである。

明日は初詣に行くから、カナエさんと机の片付けをした後、私はお風呂に入って部屋に戻った。

……

あとがき。

この時、めちゃくちゃ体調が悪くて、ところどころよく分からない内容で繋げてしまってる。

それにしても、もう大晦日。1話から書き始めた頃を思い出すと、もうこんなに進んだんだなって自分でもビックリ。

これからも、みんなが予定通りに過去を辿っていけますように。
Copyright (C) 2009 雨の音を聴きながら, All right Resieved.
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