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日常のこととかオリジナル小説のこととか。
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ashita
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地主(土地貸してます)
趣味:
漫画やアニメを見るのが好きです。最推しはフーディーニ ♡
自己紹介:
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ブログ、もう書かないと思ってました。

けれど、去年から書き始めた小説によって、過去に書いてた小説も書き始め、ここに載せることにしたのです。

小説は、主に『時間と時間を繋ぐ恋の物語』と『妖精村と愉快な仲間たち』をメインに書いています。
現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。

純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。

元々このブログは病気の記録用として立ち上げたものですが、小説載せるようになってからは、ここは出来るだけ趣味的なことを綴りたいと思っております。
病気の記録や様々な思いを綴るブログは移転済みなのです。

ただ、今は日記は個人的な徒然、或いはお知らせとして綴ることが多いかと思います。

小説、ぼちぼちマイペースに書いてゆきます。

よろしくお願い致します。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

お知らせ。

イラストは現在「ナノハナ家の日常」に載せております。サイドバーにリンクあります。

また、「カラクリよろずや」にてフリーイラスト素材について考えるブログはじめました✩.*˚
不定期に更新していく予定です。

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模倣・無断転載などは、ご遠慮ください。

ブログの小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。

小説・純愛偏差値に関しましては、武家名・貴族名(程度による) / 及び、武官の階級 / 扇子・羽子板・花札・百人一首・紙飛行機などのアイテム使用方法の模倣の一切を禁じております。

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〈資格履歴〉

2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
→茶道アドバイザー 合格
→お点前インストラクター 合格
2025年04月17日
→着物マイスター 合格
→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
→サイキックアドバイザー 合格
→サイキックヒーラー 合格
2025年07月01日
→アンガーカウンセラー 合格
→アンガーコントロール士 合格
2025年08月04日
→漢方コーディネーター 合格
→薬膳調整師 合格

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〈資格証明バナー〉

宝石鑑定アドバイザー資格認定試験資格取得証明
鉱石セラピスト資格資格保持証明
茶道アドバイザー資格認定試験資格取得証明
お点前インストラクター資格資格認定証
着物マイスター®資格認定試験資格取得証明
着付け方インストラクター資格資格認定証
サイキックアドバイザー®資格資格証明
サイキックヒーラー資格資格保持証明
アンガーカウンセラー®資格資格保持証明
アンガーコントロール士資格資格認定証
漢方コーディネーター®資格認定試験資格保持証明
薬膳調整師®資格認定試験資格保持証明
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心からチームワーク 4話

《梨花》

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登場人物

桐島梨花(18)
物語の主人公。琉未もハルが好きだと言うことがわかり……。

月城ハル(18)
梨花の恋人。だけど、未だに女の子からの人気も絶えず。

東条琉未(18)
悔しい感情を隠しきれず、梨花に当たりまくる。

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あらすじ。

ひどいほどに仲が悪くなってしまった梨花と琉未。
しかし、梨花は琉未のことを心から心配して……。

前回が、琉未サイドだったのに続き、今回は梨花サイドでどうぞ。

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4.必死の思い


知らなかった。
琉未ちゃんも月城君が好きだったなんて。
私ばかり幸せな思いして、琉未ちゃんを傷付けてしまっていたなんて……。
私は、琉未ちゃんとの荒れた電話以来、月城君とのことについて考え始めるようになった。
私は月城君のことが好きだし、月城君も私を好いてくれている。これからも、そういう関係でいたいと思っている。
けれど、それでは琉未ちゃんを傷付けてしまうことになる。
でも、別れてといわれて、素直に別れますなんて言えるわけがないし。
だけど、今の関係を続けていると、琉未ちゃんの精神状態も悪化するだろう。

私は、以前から琉未ちゃんが精神的に病んでいることを知っていた。
本人から聴いていたのだ。
朝、昼、晩と欠かさず安定剤を飲んでいることを。だいたいの症状も知ってはいた。
私の場合からしたら考えられないことばかりではあったけれど、ちょっとしたことで感情が高ぶってしまう琉未ちゃんを見ているとかわいそうでしかたなかった。

ある待ち合わせの時だった。
部活が終わるのが遅かった私は、校門で琉未ちゃんを15分待たせてしまったことがある。
私にとっては15分なんてたいした時間ではない。
けれど、琉未ちゃんにとって15分という時間は耐え難いモノであった。
遅れた事を謝ろうと、琉未ちゃんにかけよったとき
「遅い!! いつまで待たせる気だよ!!」
と怒鳴り声をあげたのだ。
私は、たったの15分だよ? しかも、部活が遅くなっただけなのに、と心の中で思ったが、琉未ちゃんを見ると何故か、息を切らしていたのだ。
走ってたわけでもないのに、何故だろうと思ったけど、その時は、ちょっと腹が立っただけなのだろうと、そんなにも気にしていなかった。
後で知ったのだけど、琉未ちゃんは広い場所に一人でいると、パニックに陥って過呼吸が起こってしまうのである。
広場恐怖症というらしい。

最初のうちは、ちょっとしたことで腹を立てる琉未ちゃんが私からするとワガママにしか思えなかった。
けれど、接していくうちにそうでないことがわかったのだ。

精神が安定してない人は、時々感情のコントロールが聴かなくなる。思ってもないことを口にしたり、場違いな発言を連発したりするのだ。
時には、突然大声を上げてみたり、わざと人が傷つくようなことをしてみたり。
最初は戸惑ったけれど、琉未ちゃんにとっては苦しみの一つなんだなあって思った。それから、出来るだけ琉未ちゃんの近くにいて支えていこうとした。

けれど、今回琉未ちゃんと喧嘩してしまったことによって、私も琉未ちゃんも今までのように仲良くとはいかなくなった。
どんなに謝っても琉未ちゃんは許してはくれない。正直、琉未ちゃんの心の内がわからなかったりもする。
私だったら、好きな人が他の人と付き合っていたのを知ったとしても、現実がそうであるならば、諦めるしかない。
例え、相手が友達であっても。
そう割り切れるけど、琉未ちゃんはそうでないのだ。思い詰めて思い詰めて、もしかしたら今頃パニックに陥って腕を切ってるかもしれない。心の中で、私や月城君、そして自分さえをも殺してしまっているかもしれない。
そんなことを考えると、琉未ちゃんが心配でいてもたってもいられなかった。

私は、胸騒ぎが止まらず、思わず携帯を手に取ったが、琉未ちゃんの名前のところで指が止まって、いまかけたら余計にパニックに陥るだろうということが頭を過ぎり、私は携帯から手を放した。

そして、あることを決意し、月城君のいる体育館へ向かった。
丁度部活も終わったらしく、彼も待ち合わせの場所へ向かうところだったようだ。
「おっ、梨花じゃん。今終わったから」
「あ、うん……。あのね、月城君」
言いたくない。言いたくないよ。
「ん?」
「ちょっと話があるの」
もう既に涙が零れそうになっていた。
「ああ、わかった」
私は月城君を体育館の裏へ誘導した。

一瞬引き返すことが頭に過ぎったが、
ここまで来たからにはと思い、口を開いた。
「突然なんだけど」
私は続けた。
「別れてほしいの」
言ってしまった。琉未ちゃんの問題は琉未ちゃんの問題。それを、私が自分を傷つけたって琉未ちゃんの未来が変わるわけでもない。分かっているけれど、この時の私は琉未ちゃんとの友情を優先してしまっていた。
「……」
突然の別れ話に月城君もビックリしただろう。
「あ、月城君がいけないとかじゃなくて、なんていうか、私の方に問題があるの」
咄嗟に私は誤魔化した。
「ふ~ん、どういう?」
こんな状況なのに、月城君はやけに冷静だ。
「それは……」
人というのは、本心以外のことを言葉にすると、不自然になってしまうものだ。
「桐島、お前は今現在もオレを愛してる。
本当は別れたくない、違うか?」
わかれ……たくない……。でも……。
「え……」
「表面だけ別れ装っても
その問題とやらは解決するのか?」
ダメだ。拗れた琉未ちゃんとの関係を思うと頭がついていかない。
「つきし……」
「だけど、梨花別れないのなら、オレはそれに従う」
月城君は真剣な表情をしている。
「月城君……」
彼は私に背を向け歩き始めた。
「ごめんね」
私の声に足り止まり、月城君は
「梨花は間違ってるよ」
と一言言って帰っていった。

その瞬間、私は涙で溢れた。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

あとがき。

精神不安定な人って周りが居ると自分が見えなくなってしまうんですよね。
けれど、外からすればおかしな人と思われてしまうんですよ。
だけど、心の問題は本当は薬なんかではどうにもなりませんからねぇ。

梨花の普通視点からとらえた考えもわかるのですが、琉未のパニック視点からとらえた感情も痛いほどわかるんですよ~。
(まぁ、書いてるの私だからね)

けれど、恋人か友達かの選択肢で梨花は友達を選んだんですね~。
私だったら、そんな冷静にはなれないわ~。

さて、ハルは別れ話を持ちかけられたのにもかかわらず、どうして梨花がまだ自分のことを愛しているとわかったのでしょうか。
それは、次回のお楽しみです。

今回も、ここまで読んでくださったお方、
どうもありがとうございました。

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この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
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心からチームワーク 3話

《琉未》

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登場人物

桐島梨花(18)
物語の主人公。同じクラスのハルと付き合っている。

月城ハル(18)
梨花の恋人。だけど、未だに女の子からの人気も絶えず。

東条琉未(18)
梨花とハルが付き合っていることを知り、梨花に絶好宣言を言い渡した。

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あらすじ。

思い詰めすぎて体までもを壊してしまった琉未。
琉未が学校を行かなくなったのを心配し、
何度も連絡する梨花。
しかし、二人の中に新たなる大きな溝が。

前回が、梨花サイドだったのに続いて、
今回は琉未サイドでどうぞ。

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3.壊れた感情


どうして、どうして、どうして!!!!
一体、私のこの3年間の想いはなんだったというんだ!!!
ラブレターまで書いて、青春だと浮かれていたのに、いつからか知らないけど、梨花と付き合ってたなんて……。これじゃあまるで、私は空気のような存在ではないか。

私は、あの日以来梨花を友達として見なくなり、それ以上に、梨花にきつく当たることしかできなかった。

わかってはいる、私が知らないだけだったと。
私が勝手に浮かれてただけなのだと。
わかってはいるけれど、やっぱり納得できない。
私自身ギリギリのとこまで感情を抑えていたけれど、保つことはできず、梨花に対して暴言以外でてこなかったのだ。
絶好宣言してから、梨花からのメールは何度もあったけれど、私は一切返信をしなかった。

梨花と月城君が恋人同士だと知ってから2週間は学校へ行ったけれど、思い詰めてか、最近、食べたものを吐くようになり、私はそれから学校へは行かなくなった。
私は、立ち直るどころか腕まで切るようになり、無意識に自殺までも考えるようになったのだ。普通からしたら、たかが失恋でそんなことはありえないだろう。
しかし、私の場合は違うのだ。
元々、精神的に障害のある私は少ししたことでもそれが気に障り、いつもいつも苦しい思いをしてきた。
今回もそうだ。
失恋てだけでダメージは大きいのに、好きな人の恋人が友達だった。それが、私をさらなるどん底へ突き落とす原因となってしまったのだ。
こういうとき、精神的な辛さが体に表れない人って羨ましいと思う。
だって、精神だけ。つまり、心だけで悩んでいればいいのだから。だけど、体にまで影響してしまったら悩むどころではなくなってしまう。
ただただ、痛みに耐えなければいけない。
しかも、一人でいればいるほど嫌な感情が膨れあがり、尖ったモノで更にダメージを受けると割れてしまうのだ。
まるで、風船のように。

今日もまだ、昼過ぎだっていうのに、私は自分で自分を押さえられなくなってしまった。
机の引き出しに閉まっておいたカッターを取り出すと同時に、携帯が鳴った。画面を開いてみると、表示されたのは梨花の名前。出るつもりなんてなかったけれど、私は無意識に出るボタンを押してしまっていた。
『あ、琉未ちゃん?』
「……」
私は何も言えなかった。
『あの、大丈夫? 最近学校来てないから心配になって』
どこが、心配だよ。
私は口に出さず心で思った。
『琉未ちゃん、今ちょっといい? 話したくて』
お前に話すことなんかねぇよ。
早よ切れ、馬鹿。
『私さ、琉未ちゃんに何かした?
何か気に障るようなこと。もしそうだとしたら私ちゃんと謝る。
謝るから』
謝って何になる。
人というのは、ひとたび誰かの逆鱗に触れたら、自分が楽になるために許しを乞う。
『ねぇ、琉未ちゃん。何か言ってもらえないかな』
ウザイ、ウザイ、ウザイ。
『琉未ちゃんてばっ!!』
「ウザイんだよ!!!!」
私は思わず声を張り上げてしまった。
『ご、ごめん。しつこかったよね。で、でもね、話してくれないと私もわからないよ』
「アンタに話すことは何もない!!」
そう、今の梨花に話したって私が惨めなだけでしかない。
『そんなこと言わないで。ね、琉未ちゃん、話してくれたら私も何か協力するから』
「協力?? アンタに何が出来るって言うんだよ!!!」
ダメだ。落ち着くことさえ出来ない。
『出来るよ。ちゃんと、話してくれさえすれば、私何でもする。
だから、お願い。話して』
「……」
『琉未ちゃん?』
「本当に何でもする? 嘘じゃないんだな?」
何でもする。人は息を吐くように嘘をつく。梨花もその汚い人間の一人だ。
『本当よ。何でもする。だから……』
「月城君と別れて」
『え? 今なんて……』
「だから、月城君と別れてって言ってるの」
ほら、別れる気なんて更々ないのに『何でもする』。そうやって矛盾を繰り返し、何かあれば、いいとこ取りの人生をおくってきたのだろう。
『ちょ、ちょっと待って、琉未ちゃん。なんでそうなるの?』
「何でもするって言っただろ!! さっさと、別れろよ!!」
『る、琉未ちゃん……、もしかして……』
流石の梨花も気付いたか。本音では知られたくなかった。でも、時間の問題だったと思う。
「そうだよ! 今まで知らなかった。何にも知らなかった!!
私、一人で浮かれてて馬鹿みたい!! どうせ、どうせ別れてなんてくれないくせに!!
私の気持ちなんて何にもわかってないくせに!!
いい加減なこと言うんじゃねぇよ!!」
『そんな……、私知らなかった。琉未ちゃんが月城君を好きだなんて。
琉未ちゃんがこんなに傷ついてるなんて知らなかった……。
ごめんね、本当にごめんね……。でも、私……』
人というのは、有利な立場にある者ほどずるがしこく、人を傷付ける。
「……」
一気に怒鳴ったせいか、私はもう何も言葉にはできなくなっていた。
電話の向こうでは、ひたすら申し訳なさそうに謝る梨花の声が聞こえてくる。
でも、次第にそれも私の耳からは遠のいていった。
私は何も考えられなくなり、気がつけば携帯の電源を切っていた。

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あとがき。

必死に謝る梨花ですが、琉未には届かず。
琉未も本当はわかってはいると思うのですが。
やっぱ、認めたくないですよね~。

なんか、純愛偏差値書いてるから、心からチームワークの一話一話が短く感じます。

今回も、ここまで読んでくださったお方、どうもありがとうございます。

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この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
心からチームワーク 2話

《梨花》

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登場人物

桐島梨花(18)
物語の主人公。同じクラスのハルと交際している。

月城ハル(18)
梨花の恋人。だけど、未だに女の子からの人気も絶えず。

東条琉未(18)
梨花の友達で、同じくハルに恋をしている。だが、梨花はそれを知らない。

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2.いきなり絶好宣言!?



今年の祭り以来、私の高校生活に花が咲いたのだ。
大好きな月城君と恋人同士になれて、もう他は何も望まないってほど今は幸せでいっぱい。
今日も月城君と仲良く登校。
だけど、全く問題がないわけでもないのだ。

月城君のことだ。
彼は元々女の子からかなりの人気があったわけで、実を言うと私たちが付き合っていることは
一部の人間しか知らないのである。
悪いことをしているわけではないけれど、月城君と話しているだけでも何となく罪悪感。
周りの視線が突き刺さるように痛い。
それを気にしながら歩いているのを気遣ってか
月城君は、校門付近からは別々に歩こう、という提案をしてくれたのだ。

月城君と一緒にいる時間が削られるのは
少し辛いモノがあるけれど、でも、私たちの心はどんな時も通じ合っている。
そう思うと、少しの辛抱だと心に言い聞かせることができた。

私は教室のドアを開け、中に入った。
と、ふとあることが頭の中を過ぎった。
数学の宿題だ。
昨日プリントを渡されたのは覚えているが、
それを一門でも埋めた記憶は頭の中のどこにもない。つまり、宿題をするのを忘れてしまったのだ。
数学の先生は厳しい先生で、宿題一つ忘れたなんて言ったら、さらに倍のプリントを渡されるに違いない。
そう思うといてもたってもいられなくなり、私は、プリントを見せてもらおうと琉未ちゃんの席へ向かった。

「おはよう、琉未ちゃん。実は、数学の宿題のことなんだけど、昨日やるの忘れちゃって。見せてくれないかな?」
「……」
あれ?
聞こえなかったのだろうか、琉未ちゃんは一言も返事を返さなかった。
私は、もう一度琉未ちゃんにお願いをした。
「あのね、琉未ちゃん。昨日、数学の宿題やるの忘れちゃって。見せてくれないかな?」
「……」
聞こえてはいるようにも思えるが、再び返事は返ってこなかった。
私は、少し不安になり何度か声をかけた。
「琉未ちゃん? どうかしたの? 調子でも悪いの?」
「……」
こちらを向いた。やっぱり聞こえていたんだ。
「琉未ちゃんてば、聞こえてるんでしょ。返事くらい……」
「プリント?」
やっと返事をしてくれた
「あ、うん。そうそう、プリント。数学のプリントね見せてほしいの」
「はぁ? なんで私があんたにそんなことしなきゃいけないわけ?」
機嫌でも悪いのだろうか。いつも優しい琉未ちゃんがムスッとしている。
「る、琉未ちゃん?」
予想外の返事に私は狼狽えた。
「ど、どうしたの、琉未ちゃん。何かあったの?」
「宿題とかさ、普通自分でやるもんでしょ。
自分で忘れてきて、それを私に見せろなんて、なんか都合良くない?」
筋は通っている。けれど、これまでがこれまでだっただけに、私は違和感を覚えた。
「そ、そうだけど」
琉未ちゃんは間違ってはいない。
「ただ胆に、先生に大目玉食らうのが嫌なわけでしょ?
そうならないように、私にお願いしてるわけでしょ?」
ざっくり言うと、そうなのだろうか。
「え、そんなつもりは……」
と言うものの、私のミスに変わりはない。
「それって、なんかズルくない?」
狡いかそうでないかと言えば、狡いかもしれないけど、それよりも、琉未ちゃんが苛立っている訳が気になる。
「琉未ちゃん……、何でそんなに冷たく当たるの?」
「冷たいとかそんなの関係ないでしょ。
とにかく、私は見せたりしないから」
何があったかは知らない。でも、今は私と話したくないのだろう。
「そう」
これ以上何かを言っても仕方ないと思い、私は自分の席に戻ろうとした。
と、同時に琉未ちゃんが信じられない一言を口にした。
「私もう、アンタのこと友達とも何とも思ってないから」
「る、琉未ちゃん!?」
私は突然のことに驚いて振り返った。
「琉未ちゃん、どういうことなの? ね、何があったか話してよ」
「つうか、ウザイ。どっか行って」
ウザイ!? いったい何がどうなっているの?
「琉未ちゃん?」
「軽々しく下の名前呼ぶなよ。アンタはもう友達じゃないんだから」
もう何がなんだかわからなかった。
3日前までは、普通に話していたのに。なんで突然。
土日は連絡取ってなかったけど、私琉未ちゃんになにかした覚えなんて一ミリもない。
私が何か言おうとしたと同時に予鈴のチャイムがなり、私は仕方なく席に着いた。

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あとがき。

琉未ちゃん、急変しましたね。
何が何だかわけのわからない梨花ちゃんですが、まぁ3年間も想いつづけていたんだもんね。
せっかく、幸せいっぱいだった梨花ちゃんですが、恋愛を成就させたのとは裏腹に今回は友情にヒビが入っちゃいましたね。

次回どうなることやら。

今回は、梨花視点でした。

今回も、ここまで読んでくださったお方、
どうもありがとうございます。

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この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
心からチームワーク 1話

《琉未》

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登場人物

桐島梨花(18)
物語の主人公。可愛らしく、クラスの男子に人気。

月城ハル(18)
梨花と同じクラス。女の子からかなりの人気。月城総合病院の御曹司。

東条琉未(18)
梨花の友達。ハルに想いを寄せている。

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1.まさかの光景


私は高校三年生。
卒業したら、もう制服は着られないけど、
私は進学する予定だから青春はまだまだこれからなのだ。

だけど、卒業する前にしなければいけないことがる。
それは、月城ハルへの告白。
私は、一年の時から月城君に想いをよせていた。
何度も告白しようと思ったけど、タイミングがつかめずで、今に至ってしまったわけだ。

だけど、今年以内に絶対告白してみせる!
そう胸に抱いていた。

月城君とは何度か話したことはあるが、残念ながら携帯のアドレスといったような個人情報は入手していない。
これも、何度も聞き出そうと思ったのだが、いつもいつも月城君の周りには女の子達でかこまれて、私の入るスキなんてこれっぽっちもなかったのだ。

私は教室に入り、机にカバンをおろした。

「おはよう、琉未ちゃん」
「おはよー、梨花。珍しく早いじゃん」
「えへへ、ちょっとね」

いつも、チャイムとほぼ同時に教室に入る梨花だが、何故か今日は20分も早く教室に入ってる。
まぁ、今はそんなことどうでもいいのだけど。
今はとにかく月城君にどうやって近づくかだ。
私はそんなことを、授業中ずっと考えていて、ノート、教科書は開いたままだけど、前で先生が話していることなんて一切耳に入らなかった。
それどころか、私はラブレターを書いていた。
本当は直接伝えることを前提としていたが、あまりグズグズしていると伝えるものも伝えられない。
そんな事思っていたら、私は無意識に机から便せんを取り出し、ラブレターを書いていたのである。
先生に見つからないように、ノートの白紙のページに便せんを重ね、その丁度上のあたりに筆箱を置いた。
日本史は先生が前に立って話しているだけで、
当たることはないからその心配はないけれど。
私は便せんに目を向けた。
ああ~、でもなんて書こうかな……。

頭の中で何度も試行錯誤を繰り返したが、文才のない私には良い文章は思いつかなかった。
相手に気持ちを伝えるときは、良い言葉より心、心だと思う。ということは頭では思うものの、私だって乙女心というものがある。
やっぱり、好きな人には少しでもよく思われたい。
しかし、どんなに考えても言葉が見つからない。
あ~、ダメだ。こうなったらもうこれしかない!
私は、必死の思いで便せんに手を滑らせた。

放課後のチャイムがなり、私は急いで下駄箱へ向かった。
月城君は部活があるからそんなに急がなくてもいいのだけど。私は一刻も早く月城君に気持ちを伝えたかったのだ。

偶然にも昇降口には人はほとんどいなかった。
恐らく他のクラスはまだHRが終わっていないのだろう。ラッキーと思いながら私は月城君の出席番号をさがした。
その時、私はあろう事か信じられないような光景を目にしてしまった。

梨花と月城君が手をつないで昇降口を出たのだ。
「どういうことなの……」
私は無意識にその場に崩れ落ちた。

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あとがき。

う~ん、なんともまぁ、ありがちな展開。
しかし、3年間も想い続けたのに、身近な友達が好きな人と付き合ってたなんて……。
青春まっただ中の琉未からしたら最悪の状況でしょうね~。

少々書き直し(殆どない)ありますが、これもひとつの作品なので、改めて書くことにしました。

心からチームワーク は、時間と時間を繋ぐ恋の物語の、梨花、ハル、琉未が繰り広げる世界です。

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この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
純愛偏差値 未来編 一人称版 111話

《ナミネ》

『こちら、ブランケット家のズルエヌ。第5王子が脳死。今すぐ手術の必要あり。春風町の応援を要求します。20分45秒7524……が限界です。それを超えれば助かる見込みはありません』
アルフォンス王子が崖から転落し、命を彷徨う危機となった。
『こちら、春風病院。残念ながら、春染めの貴族を侮辱した者の応援には行けません。ご武運をお祈り申し上げます』
え、何それ。あの仲居って貴族だったの?でも、王族が命の危機に晒されているのに、たかがあんなこと1つで重症患者を見捨てるなんて許せない。
『崖登り係は、もう下りてきてくれるかな?オペはテントで行う。執刀医はシャム軍医。助手はナヤセス。ズームやミネス、エルナも手伝ってくれるかな?』
春風病院がありながら、テントでオペだなんて、全てあの仲居のせいだ。本当に人の命をなんだと思っているの。
『分かった。でも、言いにくいけど、成功率は20%を切ってる』
そんな……。もし、アルフォンス王子が助からなかったら……。
『そうだね。でも、それをやるのが医者の仕事なんじゃない?』
下では間もなくオペが行われる。けれど、受け入れ拒否の中、仲間内でオペだなんて納得いかない。私は皇室に紙飛行機を飛ばした。10分後、返事が来た。私は紙飛行機を開いた。
『春風病院と春染めを廃業とし、アーリアナは赤花咲に処する』
私は皇帝陛下からの文を写真に取ったあと、春染めの経営者とあの仲居、アーリアナさんに紙飛行機を飛ばした。
春風病院は紙飛行機を飛ばせる人がいないのか返事は来ないままだ。けれど、春染めもアーリアナさんからは返事が来た。
『アーリアナのせいで王子の命の危険に晒してしまい申し訳ありません。アーリアナはクビにし、直ぐに春風病院に掛け合います』
『どうか、赤花咲だけは許してください。春風病院の受け入れ拒否を取り消します』
人というのは、己の危機が迫れば他者に助けを求める生き物だ。ズルエヌさんが無線を寄越した時に受け入れてくれていれば、私とて苛立ちはしなかった。でも、もう遅い。私は返事の文を書いた。
『残念ですが、王子の命を捨てたあなた方には、それ相応の罰を受けてもらいます。春染めと春風病院は廃業。アーリアナさんは赤花咲。そして、春風町をなくします』
紙飛行機にして春染めに飛ばした。
この時、アヤナさんが現状を町中の人に言いふらし、混乱した町の人が、春染めと春風病院に石を投げたり、建物そのものを壊そうとクーデターが起きていることなど私は1ミリも知らなかった。
春染めから返事の紙飛行機が飛んで来たが、私は開かなかった。
『おい、ナミネ!早く下りてこい!』
『今下りるよ、ラルク!』
まさか、王室を敵に回すだなんて思ってもいなかった。いくらいやなことがあっても、人の命を捨てるような真似をするだなんて信じられない。
いい町なのに、1人の仲居が全てを台無しにした。
私はパラシュートを開いてヨルクさんを拾うと結界をかけて下におりた。
『アンタ、流石に横着し過ぎだろ』
他のメンバーは、まだ下りている途中なんだ。
「私、納得いきません!たかがあんなことの1つで人の命を見捨てるだなんて!」
本当に腹が立つ。
私はヨルクさんを連れてテントの中に入った。テントの中はズルエヌさんが書いただろうメモがたくさん貼られていて、アルフォンス王子はクッションの上でオペを受けている。でも、大量の血が流れるたびに、エルナさんやミネスさんは拭き取っている。
「じゃあ、君たちも消毒して、この服着て手伝ってくれるかな?」
白衣。シャム軍医のだろうか。私はアルコールスプレーで手を消毒し、雪山登山服の上に白衣を着た。
「はい。何をすればいいですか?」
「執刀医のシャム軍医に順序を正確に読み上げてくれるかな?」
ズルエヌさんは、私に訳の分からないメモを渡した。
「私がやります」
ヨルクさん……。
「ナミネは新しい布をミネスとエルナに渡して」
「分かりました」
カラルリさんは休んでいる。私はアルフォンス王子が出血するたびに、新しい布をミネスさんとエルナさんに渡した。
転倒した時に出来た脳の血の塊を数個取り除くだけで、こんなに難易度の高いオペを行わなくてはならないんだ。
その時、3人の部外者が入って来た。
「アーリアナを赤花咲にしてもらって構いません!どうか春染めを潰さないでください!」
「赤花咲だけは許して!本当に命の危機だと分からなかった!」
「春風病院の院長です。春風病院への受け入れを許可します」
この人ら何なの。そりゃ、1人の仲居の失態で、全ての仲居が職を失うのはかわいそうだけど、自業自得じゃない。春風病院も今頃来てももう遅い。オペはとっくにはじまっている。
私は3人をテントから追い出し、花札で拘束した。
「もう遅いです!春風町は潰れます!そこにいる馬鹿な仲居のせいで!そして、あなた方は王室を敵に回しました。そのうち、王室からの処分もくだされるでしょう」
3人の縋る声を無視し、私は再びテントに入った。
深く切除しているから、どんどん血が溢れる。このままではアルフォンス王子の命が……。
「私の血液を使ってください!」
アルフォンス王子とは正直仲良くはない。でも、目の前で命の灯火が消えそうな人を放っておけない。
「ナミネの決意は立派だけど、僕たちは僕たちのやり方でアルフォンス王子を助けようとしてるんだよ」
焦る私とはうらはらにズルエヌさんは冷静だ。
「そうですよね」
勝算があるのだろうか。
「この人らがアルフォンス王子を見殺しにしようとした人ね。何て汚い心の持ち主なの」
みんな下りてきたんだ。
「アルフォンスに何かあったら、王室で罰を受けてもらうわ!」
「己の心の弱さでアルフォンス王子様を見殺しにした皆さんが許せません!」
みんな怒っている。当然のことだ。緊急オペが必要な患者を無闇に見殺しにするのは、もはや人のすることではない。
「みんな、今はこの人らのことより、アルフォンス王子の無事のほうが肝心だよね。それに、元々はセルファが無理に洗濯させたんだよね」
やっぱり、ナルホお兄様は甘い。私は、春風病院が受け入れ拒否の時点で頭に血が登った。
「人を見殺しにするほどのことじゃないだろ!アンタ、皇室の罰受けろ」
「お願いします。助けてください!」
あの仲居さえいなければ、今頃は春風病院でオペを受けられていただろうに。人というのは、ひとたび不利な状況に陥れば、相手の心を殺そうとする。そして、今回は心のみに留まらず、命そのものを奪おうとしている。決してあってはならないことだ。
赤花咲は、正当な罰だと思う。
「あの、オペはあとどのくらいかかりますか?」
何となく長引きそうな気がする。
「そうだねえ。何とも言えないかな。ただ、ずっとここにはいられないから、オペが終わると春風町以外の病院に移す必要があるね」
確かに、ここにずっとはいられない。今すぐにでも安全な場所に行きたいくらいだ。
「じゃ、春風町の隣の灰色町の宿取る。甘えセナは、洞窟の途中まで、馬呼んどけ!」
灰色町。聞いたこともない。
「分かったわ。あと、シャム軍医が氷河期町から出ることの許可も皇帝陛下にもらう」
ナヤセス殿はまだ高校生だ。シャム軍医と、それほど年齢は変わらないとはいえ、経験が違う。シャム軍医には出来れば着いてきて欲しい。
崖登りも長く感じるけど、オペはそれ以上に長く感じてしまう。私は待ってもらうより、待つことのほうが辛い。マイナス50度の中、テントの中は温かいのが唯一の救いだ。
けれど、シャム軍医が汗を流しはじめた。その時、セナ王女がシャム軍医の隣に座ってシャム軍医の額の汗を布で拭き取った。
「シャム軍医、焦らないで。灰色町の病院の受け入れも確保出来たし、シャム軍医の同行も認められたわ」
セナ王女とシャム軍医の関係って、思ったより深いかも。かつて、カラルリさんがヤキモチ妬いていたっけ。
「ありがとうございます、セナ元帥」
何だか待っていられない。今日は、せっかく原石多く採取出来たのに、こんな事態になるだなんて。1つ700万円以上で買い取ってくれるなら、今日採取した分で足りるはず。あとは、アルフォンス王子の命だ。
「ナミネ、水分補給しようか」
ヨルクさんは、私にマグボトルを渡した。
「ありがとうございます、ヨルクさん」
春風町には、お茶の川がある。いい町なのになくなってしまうのは悲しいところ。町だけでも残せるよう皇室に掛け合うべきだろうか。悪いのは、春染めと春風病院なわけだし。その2つさえ排除すれば、春風町はこれまで通りやっていける。

「おい、強気なナミネ。移動だ」
落ち武者さんの声。私、寝てた?知らないうちに身体が横になっている。私はゆっくり身体を起こした。
「あの、アルフォンス王子は……」
「オペは成功だ。けど、意識はいつ戻るか分からない。最悪、延命治療になるかもね?」
延命治療!?そんなの植物状態と同じじゃない!でも、ここで命を落とさなかっただけでも、まだありがたいのかもしれない。
「今から、平凡アルフォンスを灰色町の病院に移す!」
「分かりました!」
みんなが準備出来たあと、テントはたたまれ、私たちは、春風町の3人を放置し、洞窟へ走った。
洞窟では、吹雪に晒されながら王室の馬がいた。私たちは馬に乗り、灰色町目指して駆け出した。
やっぱり、親衛隊の使う馬はスピードが出る。通常はギャロップしても、5分しか走れないらしいけれど、妖精村は皇室、王室、貴族が存在するから、特別な馬が存在しているのである。
春風町は一瞬で通り越した。あの仲居が問題起こさなければ、春風町にずっといられたのに。物事というのは、思い通りにはならないものだ。春風町がなくなるならと、落ち武者さんが馬の荷車に春風町で借りた自転車を積み込んでいるのである。
馬と自転車で繋げば、氷河期町には行ける。アルフォンス王子の受け入れ拒否で、私たちは手段を選べる状況にはないのだ。
え……。これが灰色町?その名の通り、建物から背景から全て灰色だ。こんな町が存在しているなんて。少し不気味だし、春風町のほうが和むのに。でも、今はそうも言ってられない。
私たちは、灰色病院まで馬を走らせた。
どこが民家で、どこが宿で、どこがカフェで……そういうのが全く分からない。
「みんな、ここだ」
ここ?まるで廃墟じゃない。私は駐車場に馬を止めた。ナヤセス殿はアルフォンス王子を背負っている。
「痛っ!」
そうだった。今は停電だから自動ドアが開かないんだった。私がコケた瞬間、受付の人が自動ドアを開けてくれた。
「無線で話したセルファ」
「セルファさんですね。中へどうぞ」
ここは、看護師や受付事務員の仕事着も灰色なのか。
私たちは、受付事務員に着いて行った。
月城総合病院に比べたら小さな町病院。けれど、王族ということもあり、アルフォンス王子は個室に案内された。
医師が駆け付け、レントゲンを撮ったあと、アルフォンス王子はベッドに寝かされ、点滴と酸素マスクが装備された。そして、シャム軍医は、アルフォンス王子から取り除いた血の塊を医師に見せた。
「資料も確認させてもらいましたが、氷河期町で事故を起こされたのですね。となると、転落した時に真っ先にぶつけたのは脳で、マイナス50洞窟という寒さが、出血元を瞬時に固めてしまったと思われます。レントゲンでは、血の塊は全て取り除かれ、手術自体は成功していますが、問題は患者のストレスですね。患者が目覚めないのは、ストレスが原因でしょう。長く目覚めない場合は、自分で呼吸する力がなくなり、機械で酸素を送り込むことになります。その場合、延命治療か否かをご家族で相談する必要がありますね」
手術は成功したのに……。この若さで延命治療だなんて、そんなの生きながらにして死んでるのと同じだよ。医師は、何かあれば呼び鈴を鳴らすようにと言い、部屋から出て行った。
「ここ広いから、しばらくここで寝泊まりする」
付き添いの人は、病院に残ることが出来る。と言っても、普通は、付き添い用の部屋で泊まるものだけれど、何も言われないならいっか。
「アルフォンス王子様、カナエが間違ってました。二度とアルフォンス王子様の手を離しません」
カナエさんは、突然アルフォンス王子の手を握った。変わり果てたアルフォンス王子には、二度となびかないと思っていたけれど、カナエさんなりに忘れられなかったのだろうか。私の知らないところで悩んでいたのだろうか。
「アヤネ、あなたがテントでトイレしていればこんなことにはならなかった。もし、アルフォンス王子の身に何かあればロリハー家は滅亡よ!あなたのお姉様も既に春風町の住人に詳細を聞いているでしょうね」
リリカさんはどこまでも厳しい。けれど、事実か事実じゃないかと言えば事実に近いかもしれない。
「どうだろうね。アヤネがトイレに行ってても、アルフォンス王子は転落していたと思うよ。春風病院から応援が来たとしても、時間はギリギリだっただろうね」
そうかもしれない。でも、1人の仲居に春風町全てを動かされ、こちらに不利な状況を与えられたことは、やっぱり納得いかない。こんなの、王室を敵に回したも同然じゃないか。
「どうして、いつも私なんですか!そもそも、仲居さんを侮辱したのはセルファさんでしょう」
紀元前村から拗れてしまったアヤネさんとの関係。今思えばアヤネさんは、貴族だからサバイバルに不慣れだったのかもしれない。心のどこかでは分かっていた。けれど、優しく教える余裕がなかったのもまた事実で、人間関係の築き方の困難さを痛感させられる。
「洗濯するって言ったのは仲居の意思だろうがよ!そんなに僕のせいにしたければ、アンタこれからは1人で何でもしな!」
結局、落ち武者さんも言い逃れ。人は、悪いことをした時ほどに、それを認めたくない生き物である。私もその一人なのだろうけど、心が狭くなって、その心にさえ入れなくなる状況なんて、好む人などいないだろう。
「アヤネ、アルフォンス王子様を返してください!」
カナエさん、少し前から様子がおかしい気がする。二度もパラシュートで下りていたし、本領発揮出来なくなっているのだろうか。
「アヤネもアヤネだけどさ。アルフォンスは登り続けたと私は思う」
人がいればいるほど、それだけの意見が溢れ、場は混乱する。
「セナさん。こんな時で申し訳ないんだけど、転生ローンを返し終えたら私と別れてほしい」
人というのは、どのような時も自分のことしか考えられない作りになっているのかもしれない。セナ王女の双子のアルフォンス王子の緊急事態に別れを切り出すカラルリさんが鬼に思えてきた。カラルリさんのために、みんなが力を合わせて原石採取してるのに。
「待って、カラルリ!二度とカラルリを苦しめない!カラルリが傍にいるだけで、それだけでいいと本当に気付かされたわ!もう一度チャンスをちょうだい!」
ミナクさんの心変わりで散々苦しんでからのカラルリさんとの復縁なだけに、この二人が別れてしまえば、二人には何も残らなくなる気がする。
「セナさん。もう付き合えないよ。気持ちがないんだ」
そりゃそうかもしれないけど、今言うことだろうか。
「そんな……カラルリのために、こうしてみんなが原石採取してるのに、ワガママ過ぎるわ!原石は渡さない。転生ローンは自分で返して!」
ほら早すぎた。別れを切り出すなら、転生ローンをゼロにしてからにすれば良かったのに。カラルリさんは何を血迷っているのだろう。
「それはないよね、セナさん。話が別問題だよ。転生ローンは返してもらう。セナさんからもらえなくても他の人からもらうから。ね?リリカ」
そこで、何故リリカさんに振る。
「え、ええ。元々カラルリさんの転生ローンを返すための原石ですので私が持っていても仕方ありませんし」
確かに、よく分からないブランドの原石だけを持っていても使い道なんてない。
「狡いわ!原石を私に渡さない者は氷河期町で一生を暮らしてもらうことになるわよ!」
そう来たか。いくら、武家の中ではカラルリさんが最年長でも、王族には勝てない。
「あの、せっかく採取出来たので二つだけ記念に持っていても良いでしょうか?」
この状況で何故ヨルクさんは話を変える。
「ええ、二つなら構わないわ。落ちてきたのを拾っても、それはあなたのものだから」
もう何の話か分からなくなってきた。
「ナミネ、頼む!私の転生ローンをゼロにしてほしい!」
いやな予感はしていたが、結局は私は使いっ走りなのか。
「アンタら、落ち着け!別れるも別れないも、後から話せばいいだろ!同じ学校通ってんだし」
そうだろうか。一方が別れたいのなら、希望は少ない気がするし、少なくとも、私がセナ王女の立場ならいやだ。めちゃくちゃいやだ。
その時、病院から無線が流れて来た。
『春風町にある、春染めの仲居の失態により、王室の第五王子が命の危機に晒され、春風町の抹消が決定しましたが、皇后陛下のはからいで、春染めと春風病院は、これまで通り運営することが許可され、仲居の追放のみの処分となりました。よって、春風町の抹消はなくなり、存続となりました。かつて皇帝陛下皇后陛下夫妻が訪れた歴史ある春風町がこれまで通り存在するのは村の人にとっても嬉しい話ですね』
皇帝陛下と皇后陛下って、春風町に行ったことあるんだ。もう、春風町に行くこともないだろうし、春染めがどうなろうと、春風病院がどうなろうと私には関係ない。けれど、かつてヨルクさんと春風神社に行ったことがあること、あのつがいになっている赤紫の桜と青紫の桜、やっぱり気にしてしまう。春染めの一人の仲居には迷惑かけられたけど、春風神社には何かある気がする。
「私、少しお手洗い行ってきます」
何だか、頭が痛い。
「ナミネ、私も着いて行く」
え、別にヨルクさんの付き添いなんていらないのに。
とりあえず私は部屋を出た。少し歩いたところに看護師さんがいる。
「あ、すみません。お手洗いはどこにありますか?」
通りかかった看護師さんに聞いたものの、みんな灰色の服着てると、建物と同化して見にくい。
「あ、それでしたら、病室にございますが、二階のでしたら、あの突き当たりを右に曲がったところにあります」
病室にあったのか。でも、部屋出て来ちゃったし、二階で済ませよう。
「ありがとうございます」
私はヨルクさんとトイレまで歩いた。
えっと、女子トイレは……。
「ナミネ、こっちだよ」
ヨルクさんは左を指さした。
「あ、ありがとうございます」
本当に左かは分からないけれど、私はとりあえず左に入った。お腹も痛いけど、生理は来ていない。疲労だろうか。明日は休めるよう落ち武者さんに話してみよう。長いサバイバルなのだから、その分の休みも必須だ。
トイレを出ようとしたら、セナ王女とシャム軍医がいる。何やら深刻そうだ。私は、しばらく様子を見ることにした。
「シャム軍医、ありがとう。あなたのおかげでアルフォンスは一命を取り留めたわ」
「いえ、医師しか僕にはありませんから。セナ元帥のお力になれたのなら何よりです。もし、僕が普通の男なら……普通の男なら、チャンスはあったのでしょうか?」
チャ、チャンス!?遠い昔のセナ王女は、シャム軍医には恋愛感情など抱いていなくて、ただカラルリさんのみだった。でも……。
「シャム軍医……。私、氷河期町で暮らしたって構わないわ。普通か普通でないかなんて関係ない。アルフォンスを救ってくれただけで感謝してもしきれないわ」
セナ王女はシャム軍医の手を握った。
「セナ元帥。今夜、付き添い用の部屋で二人になれませんか?」
「ええ、勿論構わないわ」
人は、ひとたび恋愛をすると女も男も豹変する。私はセナ王女がシャム軍医の頬に口付けするのをぼんやり眺めていた。

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あとがき。

もう古代編ではありません。
みんな変わってしまったんです。

時を経て、シャム軍医のセナへの想いが伝わり良かったですね。

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この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
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