日常のこととかオリジナル小説のこととか。
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ashita
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女性
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地主(土地貸してます)
趣味:
漫画やアニメを見るのが好きです。最推しはフーディーニ ♡
自己紹介:
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ブログ、もう書かないと思ってました。
けれど、去年から書き始めた小説によって、過去に書いてた小説も書き始め、ここに載せることにしたのです。
小説は、主に『時間と時間を繋ぐ恋の物語』と『妖精村と愉快な仲間たち』をメインに書いています。
現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。
純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。
元々このブログは病気の記録用として立ち上げたものですが、小説載せるようになってからは、ここは出来るだけ趣味的なことを綴りたいと思っております。
病気の記録や様々な思いを綴るブログは移転済みなのです。
ただ、今は日記は個人的な徒然、或いはお知らせとして綴ることが多いかと思います。
小説、ぼちぼちマイペースに書いてゆきます。
よろしくお願い致します。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
お知らせ。
イラストは現在「ナノハナ家の日常」に載せております。サイドバーにリンクあります。
また、「カラクリよろずや」にてフリーイラスト素材について考えるブログはじめました✩.*˚
不定期に更新していく予定です。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
模倣・無断転載などは、ご遠慮ください。
ブログの小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
小説・純愛偏差値に関しましては、武家名・貴族名(程度による) / 及び、武官の階級 / 扇子・羽子板・花札・百人一首・紙飛行機などのアイテム使用方法の模倣の一切を禁じております。
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X @kigenzen1874
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ブログ、もう書かないと思ってました。
けれど、去年から書き始めた小説によって、過去に書いてた小説も書き始め、ここに載せることにしたのです。
小説は、主に『時間と時間を繋ぐ恋の物語』と『妖精村と愉快な仲間たち』をメインに書いています。
現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。
純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。
元々このブログは病気の記録用として立ち上げたものですが、小説載せるようになってからは、ここは出来るだけ趣味的なことを綴りたいと思っております。
病気の記録や様々な思いを綴るブログは移転済みなのです。
ただ、今は日記は個人的な徒然、或いはお知らせとして綴ることが多いかと思います。
小説、ぼちぼちマイペースに書いてゆきます。
よろしくお願い致します。
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お知らせ。
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〈資格履歴〉
2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
→茶道アドバイザー 合格
→お点前インストラクター 合格
2025年04月17日
→着物マイスター 合格
→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
→サイキックアドバイザー 合格
→サイキックヒーラー 合格
2025年07月01日
→アンガーカウンセラー 合格
→アンガーコントロール士 合格
2025年08月04日
→漢方コーディネーター 合格
→薬膳調整師 合格
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〈資格証明バナー〉

2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
→茶道アドバイザー 合格
→お点前インストラクター 合格
2025年04月17日
→着物マイスター 合格
→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
→サイキックアドバイザー 合格
→サイキックヒーラー 合格
2025年07月01日
→アンガーカウンセラー 合格
→アンガーコントロール士 合格
2025年08月04日
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→薬膳調整師 合格
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〈資格証明バナー〉

『アドバルーン』
舞い上がる アドバルーン
この町に はじめての
デパートが できた あの頃は
みんな物珍しそうに していたね
10年 20年 少しずつセピアに
変わらないもの なんてない
けれど 本当は みんな切ないの
微笑み合った日 遠のかないで
懐かしい その言葉が 返って胸痛む
もう二度と 訪れない あの時だけの
消えゆく時間だったから
この町も かつては森だった
なにもない平穏に 僕ら いつも
当たり前のように 和まされ
たやすことない笑顔 溢れてた
今は見かけない アドバルーン
この町も 変わってく
デパートの 屋上の乗り物で
僕ら いつも はしゃいでた
懐かしい その言葉が 返って胸痛む
もう二度と 訪れない あの時だけの
消えゆく時間だったから
この町も かつては森だった
なにもない平穏に 僕ら いつも
当たり前のように 和まされ
たやすことない笑顔 溢れてた
時流れ 森も町になったんだ
それはそれで 賑わっていて
多分 楽しいけれど 忘れないで
大切なのは いつも 君の中
……
あとがき。
ミナクが好きな古くからあるバンドのフェアリー地平線の曲♬.*゚
ちなみにミナクはフェアリー地平線のアルバム全て持ってます。
昔はね、しょっちゅうアドバルーン見てたのに今はすっかり見かけなくなりましたね。
それもまた切ないものです( ߹꒳߹ )
オリジナル小説 純粋偏差値 詞
舞い上がる アドバルーン
この町に はじめての
デパートが できた あの頃は
みんな物珍しそうに していたね
10年 20年 少しずつセピアに
変わらないもの なんてない
けれど 本当は みんな切ないの
微笑み合った日 遠のかないで
懐かしい その言葉が 返って胸痛む
もう二度と 訪れない あの時だけの
消えゆく時間だったから
この町も かつては森だった
なにもない平穏に 僕ら いつも
当たり前のように 和まされ
たやすことない笑顔 溢れてた
今は見かけない アドバルーン
この町も 変わってく
デパートの 屋上の乗り物で
僕ら いつも はしゃいでた
懐かしい その言葉が 返って胸痛む
もう二度と 訪れない あの時だけの
消えゆく時間だったから
この町も かつては森だった
なにもない平穏に 僕ら いつも
当たり前のように 和まされ
たやすことない笑顔 溢れてた
時流れ 森も町になったんだ
それはそれで 賑わっていて
多分 楽しいけれど 忘れないで
大切なのは いつも 君の中
……
あとがき。
ミナクが好きな古くからあるバンドのフェアリー地平線の曲♬.*゚
ちなみにミナクはフェアリー地平線のアルバム全て持ってます。
昔はね、しょっちゅうアドバルーン見てたのに今はすっかり見かけなくなりましたね。
それもまた切ないものです( ߹꒳߹ )
オリジナル小説 純粋偏差値 詞
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『名もなき旅人』
古い夢 今頃になって 叶えたいと願う
あの頃は 青春の 誘惑に負けていた
遠い昔 桜木町で開いてた 小さなコンサート
気が付けば 遊楽に のみこまれていた
自分のしたいこと チャレンジすれば
いつの日か 花咲くと 思い込んでいた
僕が描いた夢は 遠い都の向こう
最終列車も 乗れないまま
帰れないよ このまま帰れない
名もない 夢追い人
あなたの 愛得られず 泣きながら歌った
あの頃は 欲しいもの 得られると思い込んでた
遠い昔 桜木町で開いてた 小さなコンサート
あなたはいつも バイト帰りに 来ていたね
自分のしたいこと チャレンジしても
時経てども 芽を出すことは なかった
僕が描いた夢は 遠い都の向こう
最終列車も 乗れないまま
帰れないよ このまま帰れない
名もない 夢追い人
今の桜木町 空き地になってる
あの場所で かつては賑わって
楽しすぎて 嬉しすぎて
僕の 思い出の空間(せかい)
僕が描いた夢は 遠い都の向こう
最終列車も 乗れないまま
帰れないよ このまま帰れない
はぐれた 夢追い人
……
あとがき。
そう遠くない昔にナミネが見ていた番組の主題歌♬
『夢の芽がでて花を咲かせるまでの道程は厳しく遠いけど複数ある道に惑わされず1つの道を歩み続けてほしい』
という事が詞に込められていたものの伝わらず視聴者から暗いと苦情が来て主題歌は変わってしまったのです。
オリジナル小説 純粋偏差値 詞
古い夢 今頃になって 叶えたいと願う
あの頃は 青春の 誘惑に負けていた
遠い昔 桜木町で開いてた 小さなコンサート
気が付けば 遊楽に のみこまれていた
自分のしたいこと チャレンジすれば
いつの日か 花咲くと 思い込んでいた
僕が描いた夢は 遠い都の向こう
最終列車も 乗れないまま
帰れないよ このまま帰れない
名もない 夢追い人
あなたの 愛得られず 泣きながら歌った
あの頃は 欲しいもの 得られると思い込んでた
遠い昔 桜木町で開いてた 小さなコンサート
あなたはいつも バイト帰りに 来ていたね
自分のしたいこと チャレンジしても
時経てども 芽を出すことは なかった
僕が描いた夢は 遠い都の向こう
最終列車も 乗れないまま
帰れないよ このまま帰れない
名もない 夢追い人
今の桜木町 空き地になってる
あの場所で かつては賑わって
楽しすぎて 嬉しすぎて
僕の 思い出の空間(せかい)
僕が描いた夢は 遠い都の向こう
最終列車も 乗れないまま
帰れないよ このまま帰れない
はぐれた 夢追い人
……
あとがき。
そう遠くない昔にナミネが見ていた番組の主題歌♬
『夢の芽がでて花を咲かせるまでの道程は厳しく遠いけど複数ある道に惑わされず1つの道を歩み続けてほしい』
という事が詞に込められていたものの伝わらず視聴者から暗いと苦情が来て主題歌は変わってしまったのです。
オリジナル小説 純粋偏差値 詞
『濡れた恋文』
カラクリ家で顔合わせ 刻まれているの
途中で降った大雨に 番傘貸して
あなたと手を繋ぎ 二人で抜け出した
桜道を踏みしめて 刹那に雨宿り
縁談弾いて 適当に 生きてみたいけど
私は一つの枠に はめられていた
ねえ あなたに逢いたい
涙するけど どこにもいないの探しても
番傘 貸したまま
花札つがいが滲んでく 古いものですね
あの時 走った桜道 今では一人きり
ひと言伝えていたけれど 大雨聞き取れず
あなたに伝わっていない 刹那の部屋で
このまま流され 縁談を 進めていいのかな
己で決められない 彷徨うこころ
ねえ あなたに逢いたい
涙するけど どこにもいないの探しても
番傘 貸したまま
まだ あなたを待ってる
気持ちは揺れず こちらに向かって走ってく
番傘 渡されて
ねえ 花涙あふれでる
髪から零れる 雫に美しさ感じ
濡れた 恋文
……
あとがき。
メロディーに合わせて詞を作っていたら思いっきり演歌になってしまった(笑)
詞にメロディー付けるのは本当久々。
イメージとしては、カラクリ家のお武家連盟で武士たちが集まるというだけで、これといったテーマはないです。
オリジナル小説 純愛偏差値 詞
カラクリ家で顔合わせ 刻まれているの
途中で降った大雨に 番傘貸して
あなたと手を繋ぎ 二人で抜け出した
桜道を踏みしめて 刹那に雨宿り
縁談弾いて 適当に 生きてみたいけど
私は一つの枠に はめられていた
ねえ あなたに逢いたい
涙するけど どこにもいないの探しても
番傘 貸したまま
花札つがいが滲んでく 古いものですね
あの時 走った桜道 今では一人きり
ひと言伝えていたけれど 大雨聞き取れず
あなたに伝わっていない 刹那の部屋で
このまま流され 縁談を 進めていいのかな
己で決められない 彷徨うこころ
ねえ あなたに逢いたい
涙するけど どこにもいないの探しても
番傘 貸したまま
まだ あなたを待ってる
気持ちは揺れず こちらに向かって走ってく
番傘 渡されて
ねえ 花涙あふれでる
髪から零れる 雫に美しさ感じ
濡れた 恋文
……
あとがき。
メロディーに合わせて詞を作っていたら思いっきり演歌になってしまった(笑)
詞にメロディー付けるのは本当久々。
イメージとしては、カラクリ家のお武家連盟で武士たちが集まるというだけで、これといったテーマはないです。
オリジナル小説 純愛偏差値 詞
純愛偏差値 未来編 一人称版 104話
《ナミネ》
私は、デパートのレストランで突然の落ち武者さんの策略でヨルクさんとの仲を引き裂かれてしまった。
カンザシさん原因で、妖精村時代はずっとヨルクさんへの想いが封じ込められていただけに、やっとまたヨルクさんを愛せると思っていたのに。不本意な形でヨルクさんとの関係を壊された私は心が爆発し、エルナさんを遠い過去に飛ばしてしまった。
レストランは、みんなが出れないようテナロスさんにお願いしていたけれど、みんなはカラクリ家に来た。こんなことが出来るのは神様呼び出しカードを持っているヨルクさんだけだろう。
私は、カラクリ家で落ち武者さんに仕返しをした。それでも私の心は満たされることはなかった。
レストランでヨルクさんを引き止めても振り払われたゆえ、もうヨルクさんは私の元へは戻ってこないと恐怖さえ覚えた。だから、カラクリ家でヨルクさんに『別れるつもりはなかった』と言われても今更と感じ、ヨルクさんとは全く口を聞いていない。
カラクリ家に逃げ込んだ時に、エミリさんに協力するよう言われ、お武家連盟会議はすぐに開かれた。私はエミリさんに言われたように、エミリさんに有利になる発言をし、過半数の同意を得た。
そして、レイカさんとカナコさんが私に同意したのち、エミリさんとカナエさんはセレナールさんに扇子を突き付けたのである。
「会議で攻撃的な真似はやめてくれるかしら?」
レイカさんの指摘にエミリさんとカナエさんは扇子をしまった。
「私も記憶を失ってた!だから、わざと2人を苦しめてない!」
ここでセレナールさんお得意の白々しい嘘が出た。もう誰も信じないだろうに。
「じゃあ、セリルに真実を聞き出してもらいます」
「やめて!遠い昔、カナエにされたことがどうしても忘れられないのよ!挙句に皇太子様をエミリに取られて私は全てを失った!ハメたのはカナエとエミリなのに今になって言い逃れするなんて卑怯よ!」
ここまで来ると、もうどちらが悪い度高いのか分からなくなってくる。確かに、あの時の博物館でセレナールさんはカナエさんの結界に閉じ込められ、見知らぬ男に襲われた。唯一のパートナーにはエミリさんと交際することになったと言われ、セレナールさんは捨てられた。セレナールさんからしてみれば、許せず復讐をしたのだろう。私が、かつてのカンザシさんを許せないように。
お武家連盟会議はまだ終わっていない。私はどちらの味方に付けばいいのだろう。
咄嗟に現世のみを考えエミリさんの味方をしてしまったが、遠い昔も加わると、カナエさんやエミリさんもセレナールさんを傷付けている。
「ねえ、どうする?ラルク」
「エミリさんの味方するんじゃなかったのかよ」
「遠い昔のことまで持ち出されるとは思ってなかったよ」
「いわゆる因縁ってヤツだよ。あと、落ち武者さんは必要な人材だ。これ以上危害加えるのはやめろ!使用人にするのもな!」
ラルクは落ち武者さんの能力をやたら勝っている。そりゃ、落ち武者さんはセリルさんの弟だし、頭がよくって当たり前だろうけど。
「分かったよ、ラルク。ムカつくけど落ち武者さんのことは許すよ」
「アンタ、ラルクのことなら何でも聞くんだな。僕は使用人でいい」
落ち武者さんて、こう見えて頑固だ。
「いや、だから、使用人はしなくていいと言っているでしょう!これ以上、私をイラつかせないでください!やってることカンザシさんと同じです!セリルさんに似ず、その浴衣全然似合ってませんね!」
「アンタ、一言多いな。とにかく姉さんに服着せろ」
何なの。いつも上から目線の命令してばかり。とてもじゃないけどセリルさんの弟とは思えない。
私はテナロスさんに依頼し、無言でセレナールさんが服を着ることを許可してもらった。少しすると使用人が浴衣を持ってきた。
「ナミネ、とりあえず当時のことを語れ!」
「分かったよ、ラルク」
皇太子様が映像を見るところから話せばいいだろうか。
「では、確認します。
遠い昔、セレナールさんはカラクリ家にて仲睦まじかった皇太子様が、ある映像を見ているのを発見し、口論になりましたね。そのことをカラルリさんに相談しているうちに、カラルリさんに気持ちが向いていった。皇太子様との話し合いが上手くいかないうちに、どんどんカラルリさんのことを好きになりました。同時に皇太子様との関係は崩れていった。
皇太子様は、寂しさのあまりセレナールさんの同意で、エミリさんとの関係を持ちましたね?当時のセレナールさんにとって親友のエミリさんは、それだけ大きな存在だったとお見受けします。
けれど、カラルリさんを好きになるほどにセナ王女とは犬猿の仲になりましたよね?
更には皇太子様とは拗れたまま、あの時の博物館にてカナエさんに岩の結界をかけられ、トイレの外に出れなくなり武官であろう見知らぬ男に襲われ、皇太子様からはエミリさんと正式交際すると言われ捨てられた。
その時のトラウマが今になって耐えきれないものとなり、時を超えて仕返しをした。
セレナールさん視点では、だいたいこんな感じでいいですか?」
もう、昔のことなんて私が聞きたいくらい。そりゃ、私も何度もヨルクさんの映像壊したけどさ。セレナールさんには誰かを従わせる度胸なんてないのだろうし。過去だって変えられない。
遠い昔のことなんて、どうすればよかったレベルの問題ではないと思う。
「え、ええ。だいたいそんな感じよ。カナエには結界かけられ男に襲われ、信頼していたエミリには婚約者を取られた。こんなのあんまりだわ!」
セレナールさんは泣きはじめた。
もう、どっちが被害者でどっちが加害者か分からなくなってくる。結局、その時はいい気でいても、あとから復讐されることもあるんだ。今のエミリさんとカナエさんのように。
けれど、いくら復讐してもセレナールさんの気は晴れず。
「カナエは、わざと結界をかけたわけではありません!セレナールのことを救おうとしていました!」
もうこれでは水掛け論だ。会議は終わらなくなる。
その時、雷がなり大雨が降りはじめた。今日は止まないだろう。
「では、カナエさんの過去について確認します。
あの日の博物館のトイレにて、カナエさんは約50人くらいの男に襲われた。咄嗟にカナエさんは結界をかけたものの、そこにセレナールさんも入っていて、解くわけにもいかず、そのままトイレを出ました。そこに悪意はなかったのでしょう。
カラルリさんは、何度もカナエさんを説得し、カナエさんは結界を解いたもののセレナールさんは間に合いませんでした。
そして、その男たちを雇ったのはセレナールさんだった。
それでも、セレナールさんを救おうとしたで間違いないですね?」
私が同じ立場だったら、流石に味方ごとは閉じ込めないだろう。あとで責任取らされるのも面倒だし。
当時のカナエさんの力量は強いと言っても伝説レベルではなかったと解釈するべきだろうか。
「はい、カナエはセレナールのこともちゃんと考えていました。セレナールは、いつも優しくて純粋で皇室に行っても紀元前村でも助け合って来た仲です。
ですが、いつしか、お兄様を心の底から愛するセナさんと仲良くするようになっていたと思います。
セレナールが変わったからではありません。セリルがカナコお姉様と交際したあと、セナさんが現れ、お兄様とスピード交際をし、カナエは2人を応援することが楽しみになっていました」
カナエさんは、カナコさんとセリルさんが交際するまではセレナールさんとかなり仲良くしていた。でも、セナ王女が現れてからは変わったのだろう。
時の流れが人を変えたと言うべきか、それとも他に理由があるのか。
「皇帝陛下からの文が届いたわ!カナエは懲役5年、エミリは懲役3年よ!」
いったい何が起きたのだろう。セレナールさんは紙飛行機を飛ばせないはず。だったら、誰かが代わりに飛ばしたのだろうか。そもそも、どうしてカナエさんとエミリさんのみが罪に問われたのだろう。
この時の私は、ウルクさんの1つ前の番人であるヤマヨリさんがセレナールさんを主君として称えていることなど全く知らなかったのである。
「こんなの不公平だわ!セレナールだけが罪に問われないなんて!寧ろ私のほうが被害者なのに!!」
「カナエも納得いきません!こんな長期間刑務所で過ごしていては留年してしまいます!カナエの将来を奪わないでください!」
とは言っても皇帝陛下の決断は絶対だ。でも、エミリさんとカナエさんの青春が奪われてしまうのも、それはそれで確かに不公平ではある。だったらどうすればいいのだろう。
「結局、理不尽なことして、そのままにしていれば、あとから罰を受けることになるのよ。皇帝陛下の決断が出た以上、お武家連盟会議を終了します。今日はこの雨で帰れないでしょうからカラクリ家に泊まるように」
レイカさんは突然会議を終了した。
けれど、その後も3人は言い争いを続けている。
「私も、こんな馬鹿げた結果、納得いかないわ!一方的ね、セレナール」
レイナさんは、まだ会議を続けるつもりだ。けれど、正直疲れてきた。茶菓子も食べ終わったし、お腹がすいてきた。
その時、ヨルクさんが私にスコーンを渡した。
「い、いりません!」
私はスコーンだけ奪ってヨルクさんを突き飛ばした。
「ナミネ、ごめんね。ナミネが戻って来てくれるまでずっと待ってる」
今更何なの。人を振り回して楽しんでいるの?こういうのめちゃくちゃ腹が立つ。
「ハッキリ言います!あの時、私が引き止めたのを無視された時、どれだけ辛かったか!どれだけ苦しかったか!落ち武者さんが邪魔した程度の関係ならいりません!本当身勝手ですね!私はもう、新しい彼がいますし、これ以上私に付きまとえば、恥をかくことになりますよ!」
私は苛立ちのあまり、ヨルクさんから渡されたスコーンを一気に食べた。
「ナミネ、本当に悪かったと思ってる。あの時、逃げてしまったこと。もうナミネは大丈夫とナミネとちゃんと話し合わなかったこと後悔してる。ナミネが許してくれるまで、ずっと待ってる。何年でも待つ!」
「いい人振らないでください!」
私は扇子を使い、ヨルクさんにセレナールさんを襲わせた。セレナールさんの浴衣は一気にはだけ、セレナールさんが股を開いた瞬間、レイナさんとカナエさん、エミリさんは写真に収めた。すぐに写真が出てくるカメラ、今でも滞ってなかったんだ。
「今すぐ状況を変えないと、この写真、学園中にばら撒くわよ!」
レイナさんって、こんなに怒りっぽかったっけ。この時の私はレイナさんに遠い昔タリスタという恋人がいて、交際2年でセレナールさんに気を持ちはじめたことを全く知らなかったのである。
「こんなことだろうと思ったわ。レイナ、やめなさい!」
レイカさんは、再び会議室に入ってくるなり、レイナさんから写真を全て取り上げた。これではエスカレートする一方だ。
「あの、エミリさんは皇太子様に助けを求め、カナエさんはウルクさんに頼んでみるのはどうでしょうか?」
もう、あとのことは当人らでどうにかしてほしい。
なんだか、具合が悪くなってきた。めまいと胸やけがする。私はエミリさんとカナエさんが紙飛行機を飛ばしている間にトイレに駆け込んだ。
やはり、ここもボットン便所残ってたか。
私は、即嘔吐した。また吐血してる。
落ち武者さんへの苛立ち。私を置いていったヨルクさんへの不安と恐怖。今の私は大きなストレスに苛まれている。
トイレから出ると彼氏役のユラルさんがいた。
「あ、すみません。客室案内しますね」
私はユラルさんを連れ客室に案内しようとした時、吐血して倒れた。
「ナミネ!」
ヨルクさんの声が聞こえる……。
私は夢を見ていた。
『ナミネ、あんたが好きだ』
『お代官様は私のどこが好きなのですか?』
『綺麗だから』
『単純過ぎる理由ですね。でも、今はフリーですし、お代官様と交際します』
そして、私と落ち武者さんは付き合いはじめた。少しすると私は落ち武者さんのマンションに引越し同棲をした。落ち武者さんは在宅ワークをしていて、私は伝説武官をしていた。
私は帰る度に制服をリビングに脱ぎっぱなしにし、ルームウェアに着替えるとお菓子を食べながらテレビを見た。落ち武者さんは在宅ワークの合間に家事をし、毎日私に手料理を振舞った。
休みの日にはデートに行き、落ち武者さんはいつも高級レストランに私を連れて行った。美味しそうにハンバーグを食べる私の口元についたソースをセルファは布で拭き取った。すると私は落ち武者さんの分のハンバーグも食べてしまったのである。
落ち武者さんが襲われている時は、私は落ち武者さんを助け、落ち武者さんが高熱に魘されている時は私は落ち武者さんを背負って病院に連れて行ったのである。また、落ち武者さんが疲れている時は私はアロマで落ち武者さんを癒した。この時の落ち武者さんは身体が弱く私は落ち武者さんを背負い何度も病院に連れて行ったのである。
いつも落ち武者さんはエルナさんに浮気をされ別れた後、絶望的になっていたゆえ、一生懸命落ち武者さんを支える私を落ち武者さんは心から愛おしく感じ、一生私を手放さないと心に誓ったのだ。
『お代官様、私、あるコンサートによく行くんです。お代官様も一緒に行きませんか?』
『分かった。行く』
私と落ち武者さんがカンザシさんのコンサートに行くと、ズームさんもいた。私とズームさんは別れたばかり、いや、カンザシに無理矢理別れさせられたばかりだったのだ。
『ズームさん、元気でしたか?』
『ナミネさん、お久しぶりです。そちらの方は?』
『今お付き合いしている人です。ズームさんのマンションのように広いマンションに住んでいるんです!』
コンサートが終わるとカンザシさんが来た。
『カンザシさん〜!お久しぶりです〜!』
『ナミネさん、来てくれたんですか!』
『はい、今は新しい彼と同棲しています』
カンザシさんは落ち武者さんを見た瞬間、嫉妬を覚えていたことを私は気付けなかった。
その夜、落ち武者さんは私を抱いた。
『あんた何で元カレと別れた』
『別れたのではありません。無理矢理別れさせられたんです』
『どういうことだ!』
『カンザシさんとズームさんの背中には勾玉のアザがあります。カンザシさんに危機が迫るとズームさんもこの世から消えてしまうんです。ズームさんは彼女をカンザシさんに取られたばかりだったのに、いざ私と付き合いはじめたら気に入らないのか、自殺未遂を何度も起こし、ズームさんと話し合った結果私たち別れたんです』
その後も私と落ち武者さんはカンザシさんのコンサートに行った。カンザシさんがコンサートを終えると落ち武者さんはカンザシさんに近づいた。
『あんた、随分卑怯な手使うんだな。僕とナミネのことも別れさせようとしてるだろ?』
『そんなことありません』
『けど、あんたは弱い。ツレの背中見せてもらうんだな』
落ち武者さんと私は何気ない幸せな日常を送っていた。カンザシさんは私と落ち武者さんを別れさせるつもりだったが、ズームさんの背中には勾玉のアザが消えていたのである。落ち武者さんが数式で割り出し、期間限定でアザを消したのだ。これで、カンザシさんはズームさんを巻き込むことが出来なくなってしまった。苛立ったカンザシさんは私に何度も自殺すると言った。
『じゃ、死ねば?』
『お代官様、それは言い過ぎです』
『だって、卑怯なやり方で別れさせられたんだろ?死にたいヤツはとっとと死ね!』
その後、カンザシさんはズームさんに何度も私と落ち武者さんを別れさせるようにお願いをした。ズームさんは断り続け、更にはカンザシさん1人で死ねばいいとも言ったものの、カンザシさんはミネスさんの初を奪うと言い、ズームさんはカンザシさんに従うしかなかったのである。ズームさんは落ち武者さんが私にプロポーズをするたび、時間を巻き戻した。しかし、落ち武者さんは敢えて時間を進ませ、私との結婚式の日になっていた。思い通りにならないカンザシさんは私と落ち武者さんの結婚式の真っ最中にミネスさんを中級武官にイジワルさせた。カンザシさんに裏切られたミネスさんはショックのあまりその日のうちに川に身を投げて死んだ。このことを知った皇帝陛下は私と落ち武者さんの婚姻を認めなかった。それでも私と落ち武者さんは籍を入れないまま一緒に暮らし続けていた。けれど、時は流れズームさんの勾玉が戻るとカンザシさんはまた自殺未遂を起こし、ズームさんは落ち武者さんが私にプロポーズする前に時間を戻し、ミネスさんを救った。落ち武者さんと私はこっそり婚姻届を出し、結婚式は取り止めにした。
『随分としつこいな』
『カンザシさんはどこまでも追ってきます』
そして、その日はやったきた。
落ち武者さんと私VSカンザシさんとズームさん。4人はあらゆる手で対戦をした。私がカンザシさんとズームさんを拘束してカンザシさんに何度も電流を流した。その間に落ち武者さんは数式を書いて私との未来を守ろうとした。
『ナミネ、番人呼び出せ!』
『はい、お代官様!』
私は、その時の番人を呼び出すと落ち武者さんと別れないようにお願いをした。
『残念ですが、ズームさんの予想未来により、セルファさんのみ古代に戻ってもらいます』
そして、落ち武者さんは古代に飛ばされ、私と永遠に引き離されてしまったのである。
『ナミネ……ナミネ!!!』
私は咄嗟に番人にセルファのところへ飛ばすように言った。私は落ち武者さんの元へ飛んで行った。
『そんな……ナミネさん……!ズーム、何とかしろ!』
『カンザシ、手遅れだ!』
私は倒れている落ち武者さんを見つけた。
『お代官様』
『ナミネ……』
私と落ち武者さんが飛ばされた場所は氷河期だった。私は落ち武者さんを抱き締めた。
『お代官様、いつか、いつか、また出逢いましょう』
『ナミネ、愛してる』
そして、2人は眠りにつきそのまま息を引き取った。2人が交際してから5年後のことだった。
夢はそこで途切れていた。
目を覚ますと私は布団の中にいて周りを見ると誰もいなかった。
あの夢は何だったのだろう。私は落ち武者さんとも交際をしていたのだろうか。そんなことどうでもいい。ヨルクさんに会いたい。私は布団から出た。
するとカナエさんが入ってきた。
「ナミネ、お粥置いておきます。主治医によると、軽いストレスだそうです。食後、薬を飲んでください。それと、人魚の湖の市場で絵を買いましたよね?あの絵を買った者が見た人魚の夢は近い未来で現実になるのです。キクリ家で供養しますので明日持ってきてください」
あの絵、気に入っていたけれど、まるで呪いの絵のようだったのか。別のものにすればよかった。
「はい、分かりました」
カナエさんは客間を出た。私は、あの後どうなったか聞きそびれてしまった。私はカナエさんが作ったお粥を食べはじめた。
その時、ヨルクさんが来た。私は泣きながらヨルクさんに抱き着いた。
「ナミネ、大丈夫?」
「はい、カナエさんによると軽いストレスだそうです。それと、人魚の絵、あれを持っている者が見た人魚の夢は近い未来に現実になるそうです。だから、カナエさんに供養してもらいます」
どうして市場に呪いのような絵が売っていたのだろう。
「うん、分かった。明日ナノハナ家に行って取ってくる」
「ヨルクさん、もう私を置いていかないでください」
「ナミネ、ごめん!二度とナミネを不安にさせない!ボディーシートとタライ、夜食のポトフ置いとくね」
ヨルクさんはポトフを机に置いた。
「はい」
私はまたヨルクさんに抱き着いた。
「ナミネ、ずっと傍にいるよ。今日は薬飲んで安静にしてようね」
「ヨルクさん、好き」
私はヨルクさんに抱き締められ緊張が解かれ安心に変わっていた。一応、落ち武者さんとも仲直りしたし、カナエさんもここにいるということはウルクさんがどうにかしてくれたのだろう。
私は薬を飲むとヨルクさんと同じ布団に入った。
けれど私は、あのデパートの時からカラルリさんが転生ローンを組んで1人悩んでいることを全く知らなかったのである。自分のことばかりで、カラルリさんとセナ王女のペアリングのことをすっかり忘れていたのだ。
嬉しそうな投稿をカップル日記に載せるセナ王女とはうらはらに833年ローンを契約したカラルリさんは9回分の来世を奪われたことに対して酷いノイローゼになっていたことを、あとで知ることになる。
もう少し周りをよく見るべきだった。あの時、カラルリさんとセナ王女が戻ってくるまでレストランにいるべきだった。
それでも、私はヨルクさんに捨てられた不安感から何も見えなくなっていた。
そして、誰もカラルリさんの異変に気付くものはいなかったのである。
明け方の4時頃、カラルリさんはカラクリ家の客間で首を吊った。
……
あとがき。
ショップの時にカラルリは、みんなに助けを求めていたのに。
今思うと『本人が決めること』と放置することは、時に残酷な自体を招くんですね。
人は助けてほしいから助けを求めるんです。
けれど、みんながそれを無視したら?
本人の問題だから何もしない。
本当にそれていいのでしょうか?
……
この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
《ナミネ》
私は、デパートのレストランで突然の落ち武者さんの策略でヨルクさんとの仲を引き裂かれてしまった。
カンザシさん原因で、妖精村時代はずっとヨルクさんへの想いが封じ込められていただけに、やっとまたヨルクさんを愛せると思っていたのに。不本意な形でヨルクさんとの関係を壊された私は心が爆発し、エルナさんを遠い過去に飛ばしてしまった。
レストランは、みんなが出れないようテナロスさんにお願いしていたけれど、みんなはカラクリ家に来た。こんなことが出来るのは神様呼び出しカードを持っているヨルクさんだけだろう。
私は、カラクリ家で落ち武者さんに仕返しをした。それでも私の心は満たされることはなかった。
レストランでヨルクさんを引き止めても振り払われたゆえ、もうヨルクさんは私の元へは戻ってこないと恐怖さえ覚えた。だから、カラクリ家でヨルクさんに『別れるつもりはなかった』と言われても今更と感じ、ヨルクさんとは全く口を聞いていない。
カラクリ家に逃げ込んだ時に、エミリさんに協力するよう言われ、お武家連盟会議はすぐに開かれた。私はエミリさんに言われたように、エミリさんに有利になる発言をし、過半数の同意を得た。
そして、レイカさんとカナコさんが私に同意したのち、エミリさんとカナエさんはセレナールさんに扇子を突き付けたのである。
「会議で攻撃的な真似はやめてくれるかしら?」
レイカさんの指摘にエミリさんとカナエさんは扇子をしまった。
「私も記憶を失ってた!だから、わざと2人を苦しめてない!」
ここでセレナールさんお得意の白々しい嘘が出た。もう誰も信じないだろうに。
「じゃあ、セリルに真実を聞き出してもらいます」
「やめて!遠い昔、カナエにされたことがどうしても忘れられないのよ!挙句に皇太子様をエミリに取られて私は全てを失った!ハメたのはカナエとエミリなのに今になって言い逃れするなんて卑怯よ!」
ここまで来ると、もうどちらが悪い度高いのか分からなくなってくる。確かに、あの時の博物館でセレナールさんはカナエさんの結界に閉じ込められ、見知らぬ男に襲われた。唯一のパートナーにはエミリさんと交際することになったと言われ、セレナールさんは捨てられた。セレナールさんからしてみれば、許せず復讐をしたのだろう。私が、かつてのカンザシさんを許せないように。
お武家連盟会議はまだ終わっていない。私はどちらの味方に付けばいいのだろう。
咄嗟に現世のみを考えエミリさんの味方をしてしまったが、遠い昔も加わると、カナエさんやエミリさんもセレナールさんを傷付けている。
「ねえ、どうする?ラルク」
「エミリさんの味方するんじゃなかったのかよ」
「遠い昔のことまで持ち出されるとは思ってなかったよ」
「いわゆる因縁ってヤツだよ。あと、落ち武者さんは必要な人材だ。これ以上危害加えるのはやめろ!使用人にするのもな!」
ラルクは落ち武者さんの能力をやたら勝っている。そりゃ、落ち武者さんはセリルさんの弟だし、頭がよくって当たり前だろうけど。
「分かったよ、ラルク。ムカつくけど落ち武者さんのことは許すよ」
「アンタ、ラルクのことなら何でも聞くんだな。僕は使用人でいい」
落ち武者さんて、こう見えて頑固だ。
「いや、だから、使用人はしなくていいと言っているでしょう!これ以上、私をイラつかせないでください!やってることカンザシさんと同じです!セリルさんに似ず、その浴衣全然似合ってませんね!」
「アンタ、一言多いな。とにかく姉さんに服着せろ」
何なの。いつも上から目線の命令してばかり。とてもじゃないけどセリルさんの弟とは思えない。
私はテナロスさんに依頼し、無言でセレナールさんが服を着ることを許可してもらった。少しすると使用人が浴衣を持ってきた。
「ナミネ、とりあえず当時のことを語れ!」
「分かったよ、ラルク」
皇太子様が映像を見るところから話せばいいだろうか。
「では、確認します。
遠い昔、セレナールさんはカラクリ家にて仲睦まじかった皇太子様が、ある映像を見ているのを発見し、口論になりましたね。そのことをカラルリさんに相談しているうちに、カラルリさんに気持ちが向いていった。皇太子様との話し合いが上手くいかないうちに、どんどんカラルリさんのことを好きになりました。同時に皇太子様との関係は崩れていった。
皇太子様は、寂しさのあまりセレナールさんの同意で、エミリさんとの関係を持ちましたね?当時のセレナールさんにとって親友のエミリさんは、それだけ大きな存在だったとお見受けします。
けれど、カラルリさんを好きになるほどにセナ王女とは犬猿の仲になりましたよね?
更には皇太子様とは拗れたまま、あの時の博物館にてカナエさんに岩の結界をかけられ、トイレの外に出れなくなり武官であろう見知らぬ男に襲われ、皇太子様からはエミリさんと正式交際すると言われ捨てられた。
その時のトラウマが今になって耐えきれないものとなり、時を超えて仕返しをした。
セレナールさん視点では、だいたいこんな感じでいいですか?」
もう、昔のことなんて私が聞きたいくらい。そりゃ、私も何度もヨルクさんの映像壊したけどさ。セレナールさんには誰かを従わせる度胸なんてないのだろうし。過去だって変えられない。
遠い昔のことなんて、どうすればよかったレベルの問題ではないと思う。
「え、ええ。だいたいそんな感じよ。カナエには結界かけられ男に襲われ、信頼していたエミリには婚約者を取られた。こんなのあんまりだわ!」
セレナールさんは泣きはじめた。
もう、どっちが被害者でどっちが加害者か分からなくなってくる。結局、その時はいい気でいても、あとから復讐されることもあるんだ。今のエミリさんとカナエさんのように。
けれど、いくら復讐してもセレナールさんの気は晴れず。
「カナエは、わざと結界をかけたわけではありません!セレナールのことを救おうとしていました!」
もうこれでは水掛け論だ。会議は終わらなくなる。
その時、雷がなり大雨が降りはじめた。今日は止まないだろう。
「では、カナエさんの過去について確認します。
あの日の博物館のトイレにて、カナエさんは約50人くらいの男に襲われた。咄嗟にカナエさんは結界をかけたものの、そこにセレナールさんも入っていて、解くわけにもいかず、そのままトイレを出ました。そこに悪意はなかったのでしょう。
カラルリさんは、何度もカナエさんを説得し、カナエさんは結界を解いたもののセレナールさんは間に合いませんでした。
そして、その男たちを雇ったのはセレナールさんだった。
それでも、セレナールさんを救おうとしたで間違いないですね?」
私が同じ立場だったら、流石に味方ごとは閉じ込めないだろう。あとで責任取らされるのも面倒だし。
当時のカナエさんの力量は強いと言っても伝説レベルではなかったと解釈するべきだろうか。
「はい、カナエはセレナールのこともちゃんと考えていました。セレナールは、いつも優しくて純粋で皇室に行っても紀元前村でも助け合って来た仲です。
ですが、いつしか、お兄様を心の底から愛するセナさんと仲良くするようになっていたと思います。
セレナールが変わったからではありません。セリルがカナコお姉様と交際したあと、セナさんが現れ、お兄様とスピード交際をし、カナエは2人を応援することが楽しみになっていました」
カナエさんは、カナコさんとセリルさんが交際するまではセレナールさんとかなり仲良くしていた。でも、セナ王女が現れてからは変わったのだろう。
時の流れが人を変えたと言うべきか、それとも他に理由があるのか。
「皇帝陛下からの文が届いたわ!カナエは懲役5年、エミリは懲役3年よ!」
いったい何が起きたのだろう。セレナールさんは紙飛行機を飛ばせないはず。だったら、誰かが代わりに飛ばしたのだろうか。そもそも、どうしてカナエさんとエミリさんのみが罪に問われたのだろう。
この時の私は、ウルクさんの1つ前の番人であるヤマヨリさんがセレナールさんを主君として称えていることなど全く知らなかったのである。
「こんなの不公平だわ!セレナールだけが罪に問われないなんて!寧ろ私のほうが被害者なのに!!」
「カナエも納得いきません!こんな長期間刑務所で過ごしていては留年してしまいます!カナエの将来を奪わないでください!」
とは言っても皇帝陛下の決断は絶対だ。でも、エミリさんとカナエさんの青春が奪われてしまうのも、それはそれで確かに不公平ではある。だったらどうすればいいのだろう。
「結局、理不尽なことして、そのままにしていれば、あとから罰を受けることになるのよ。皇帝陛下の決断が出た以上、お武家連盟会議を終了します。今日はこの雨で帰れないでしょうからカラクリ家に泊まるように」
レイカさんは突然会議を終了した。
けれど、その後も3人は言い争いを続けている。
「私も、こんな馬鹿げた結果、納得いかないわ!一方的ね、セレナール」
レイナさんは、まだ会議を続けるつもりだ。けれど、正直疲れてきた。茶菓子も食べ終わったし、お腹がすいてきた。
その時、ヨルクさんが私にスコーンを渡した。
「い、いりません!」
私はスコーンだけ奪ってヨルクさんを突き飛ばした。
「ナミネ、ごめんね。ナミネが戻って来てくれるまでずっと待ってる」
今更何なの。人を振り回して楽しんでいるの?こういうのめちゃくちゃ腹が立つ。
「ハッキリ言います!あの時、私が引き止めたのを無視された時、どれだけ辛かったか!どれだけ苦しかったか!落ち武者さんが邪魔した程度の関係ならいりません!本当身勝手ですね!私はもう、新しい彼がいますし、これ以上私に付きまとえば、恥をかくことになりますよ!」
私は苛立ちのあまり、ヨルクさんから渡されたスコーンを一気に食べた。
「ナミネ、本当に悪かったと思ってる。あの時、逃げてしまったこと。もうナミネは大丈夫とナミネとちゃんと話し合わなかったこと後悔してる。ナミネが許してくれるまで、ずっと待ってる。何年でも待つ!」
「いい人振らないでください!」
私は扇子を使い、ヨルクさんにセレナールさんを襲わせた。セレナールさんの浴衣は一気にはだけ、セレナールさんが股を開いた瞬間、レイナさんとカナエさん、エミリさんは写真に収めた。すぐに写真が出てくるカメラ、今でも滞ってなかったんだ。
「今すぐ状況を変えないと、この写真、学園中にばら撒くわよ!」
レイナさんって、こんなに怒りっぽかったっけ。この時の私はレイナさんに遠い昔タリスタという恋人がいて、交際2年でセレナールさんに気を持ちはじめたことを全く知らなかったのである。
「こんなことだろうと思ったわ。レイナ、やめなさい!」
レイカさんは、再び会議室に入ってくるなり、レイナさんから写真を全て取り上げた。これではエスカレートする一方だ。
「あの、エミリさんは皇太子様に助けを求め、カナエさんはウルクさんに頼んでみるのはどうでしょうか?」
もう、あとのことは当人らでどうにかしてほしい。
なんだか、具合が悪くなってきた。めまいと胸やけがする。私はエミリさんとカナエさんが紙飛行機を飛ばしている間にトイレに駆け込んだ。
やはり、ここもボットン便所残ってたか。
私は、即嘔吐した。また吐血してる。
落ち武者さんへの苛立ち。私を置いていったヨルクさんへの不安と恐怖。今の私は大きなストレスに苛まれている。
トイレから出ると彼氏役のユラルさんがいた。
「あ、すみません。客室案内しますね」
私はユラルさんを連れ客室に案内しようとした時、吐血して倒れた。
「ナミネ!」
ヨルクさんの声が聞こえる……。
私は夢を見ていた。
『ナミネ、あんたが好きだ』
『お代官様は私のどこが好きなのですか?』
『綺麗だから』
『単純過ぎる理由ですね。でも、今はフリーですし、お代官様と交際します』
そして、私と落ち武者さんは付き合いはじめた。少しすると私は落ち武者さんのマンションに引越し同棲をした。落ち武者さんは在宅ワークをしていて、私は伝説武官をしていた。
私は帰る度に制服をリビングに脱ぎっぱなしにし、ルームウェアに着替えるとお菓子を食べながらテレビを見た。落ち武者さんは在宅ワークの合間に家事をし、毎日私に手料理を振舞った。
休みの日にはデートに行き、落ち武者さんはいつも高級レストランに私を連れて行った。美味しそうにハンバーグを食べる私の口元についたソースをセルファは布で拭き取った。すると私は落ち武者さんの分のハンバーグも食べてしまったのである。
落ち武者さんが襲われている時は、私は落ち武者さんを助け、落ち武者さんが高熱に魘されている時は私は落ち武者さんを背負って病院に連れて行ったのである。また、落ち武者さんが疲れている時は私はアロマで落ち武者さんを癒した。この時の落ち武者さんは身体が弱く私は落ち武者さんを背負い何度も病院に連れて行ったのである。
いつも落ち武者さんはエルナさんに浮気をされ別れた後、絶望的になっていたゆえ、一生懸命落ち武者さんを支える私を落ち武者さんは心から愛おしく感じ、一生私を手放さないと心に誓ったのだ。
『お代官様、私、あるコンサートによく行くんです。お代官様も一緒に行きませんか?』
『分かった。行く』
私と落ち武者さんがカンザシさんのコンサートに行くと、ズームさんもいた。私とズームさんは別れたばかり、いや、カンザシに無理矢理別れさせられたばかりだったのだ。
『ズームさん、元気でしたか?』
『ナミネさん、お久しぶりです。そちらの方は?』
『今お付き合いしている人です。ズームさんのマンションのように広いマンションに住んでいるんです!』
コンサートが終わるとカンザシさんが来た。
『カンザシさん〜!お久しぶりです〜!』
『ナミネさん、来てくれたんですか!』
『はい、今は新しい彼と同棲しています』
カンザシさんは落ち武者さんを見た瞬間、嫉妬を覚えていたことを私は気付けなかった。
その夜、落ち武者さんは私を抱いた。
『あんた何で元カレと別れた』
『別れたのではありません。無理矢理別れさせられたんです』
『どういうことだ!』
『カンザシさんとズームさんの背中には勾玉のアザがあります。カンザシさんに危機が迫るとズームさんもこの世から消えてしまうんです。ズームさんは彼女をカンザシさんに取られたばかりだったのに、いざ私と付き合いはじめたら気に入らないのか、自殺未遂を何度も起こし、ズームさんと話し合った結果私たち別れたんです』
その後も私と落ち武者さんはカンザシさんのコンサートに行った。カンザシさんがコンサートを終えると落ち武者さんはカンザシさんに近づいた。
『あんた、随分卑怯な手使うんだな。僕とナミネのことも別れさせようとしてるだろ?』
『そんなことありません』
『けど、あんたは弱い。ツレの背中見せてもらうんだな』
落ち武者さんと私は何気ない幸せな日常を送っていた。カンザシさんは私と落ち武者さんを別れさせるつもりだったが、ズームさんの背中には勾玉のアザが消えていたのである。落ち武者さんが数式で割り出し、期間限定でアザを消したのだ。これで、カンザシさんはズームさんを巻き込むことが出来なくなってしまった。苛立ったカンザシさんは私に何度も自殺すると言った。
『じゃ、死ねば?』
『お代官様、それは言い過ぎです』
『だって、卑怯なやり方で別れさせられたんだろ?死にたいヤツはとっとと死ね!』
その後、カンザシさんはズームさんに何度も私と落ち武者さんを別れさせるようにお願いをした。ズームさんは断り続け、更にはカンザシさん1人で死ねばいいとも言ったものの、カンザシさんはミネスさんの初を奪うと言い、ズームさんはカンザシさんに従うしかなかったのである。ズームさんは落ち武者さんが私にプロポーズをするたび、時間を巻き戻した。しかし、落ち武者さんは敢えて時間を進ませ、私との結婚式の日になっていた。思い通りにならないカンザシさんは私と落ち武者さんの結婚式の真っ最中にミネスさんを中級武官にイジワルさせた。カンザシさんに裏切られたミネスさんはショックのあまりその日のうちに川に身を投げて死んだ。このことを知った皇帝陛下は私と落ち武者さんの婚姻を認めなかった。それでも私と落ち武者さんは籍を入れないまま一緒に暮らし続けていた。けれど、時は流れズームさんの勾玉が戻るとカンザシさんはまた自殺未遂を起こし、ズームさんは落ち武者さんが私にプロポーズする前に時間を戻し、ミネスさんを救った。落ち武者さんと私はこっそり婚姻届を出し、結婚式は取り止めにした。
『随分としつこいな』
『カンザシさんはどこまでも追ってきます』
そして、その日はやったきた。
落ち武者さんと私VSカンザシさんとズームさん。4人はあらゆる手で対戦をした。私がカンザシさんとズームさんを拘束してカンザシさんに何度も電流を流した。その間に落ち武者さんは数式を書いて私との未来を守ろうとした。
『ナミネ、番人呼び出せ!』
『はい、お代官様!』
私は、その時の番人を呼び出すと落ち武者さんと別れないようにお願いをした。
『残念ですが、ズームさんの予想未来により、セルファさんのみ古代に戻ってもらいます』
そして、落ち武者さんは古代に飛ばされ、私と永遠に引き離されてしまったのである。
『ナミネ……ナミネ!!!』
私は咄嗟に番人にセルファのところへ飛ばすように言った。私は落ち武者さんの元へ飛んで行った。
『そんな……ナミネさん……!ズーム、何とかしろ!』
『カンザシ、手遅れだ!』
私は倒れている落ち武者さんを見つけた。
『お代官様』
『ナミネ……』
私と落ち武者さんが飛ばされた場所は氷河期だった。私は落ち武者さんを抱き締めた。
『お代官様、いつか、いつか、また出逢いましょう』
『ナミネ、愛してる』
そして、2人は眠りにつきそのまま息を引き取った。2人が交際してから5年後のことだった。
夢はそこで途切れていた。
目を覚ますと私は布団の中にいて周りを見ると誰もいなかった。
あの夢は何だったのだろう。私は落ち武者さんとも交際をしていたのだろうか。そんなことどうでもいい。ヨルクさんに会いたい。私は布団から出た。
するとカナエさんが入ってきた。
「ナミネ、お粥置いておきます。主治医によると、軽いストレスだそうです。食後、薬を飲んでください。それと、人魚の湖の市場で絵を買いましたよね?あの絵を買った者が見た人魚の夢は近い未来で現実になるのです。キクリ家で供養しますので明日持ってきてください」
あの絵、気に入っていたけれど、まるで呪いの絵のようだったのか。別のものにすればよかった。
「はい、分かりました」
カナエさんは客間を出た。私は、あの後どうなったか聞きそびれてしまった。私はカナエさんが作ったお粥を食べはじめた。
その時、ヨルクさんが来た。私は泣きながらヨルクさんに抱き着いた。
「ナミネ、大丈夫?」
「はい、カナエさんによると軽いストレスだそうです。それと、人魚の絵、あれを持っている者が見た人魚の夢は近い未来に現実になるそうです。だから、カナエさんに供養してもらいます」
どうして市場に呪いのような絵が売っていたのだろう。
「うん、分かった。明日ナノハナ家に行って取ってくる」
「ヨルクさん、もう私を置いていかないでください」
「ナミネ、ごめん!二度とナミネを不安にさせない!ボディーシートとタライ、夜食のポトフ置いとくね」
ヨルクさんはポトフを机に置いた。
「はい」
私はまたヨルクさんに抱き着いた。
「ナミネ、ずっと傍にいるよ。今日は薬飲んで安静にしてようね」
「ヨルクさん、好き」
私はヨルクさんに抱き締められ緊張が解かれ安心に変わっていた。一応、落ち武者さんとも仲直りしたし、カナエさんもここにいるということはウルクさんがどうにかしてくれたのだろう。
私は薬を飲むとヨルクさんと同じ布団に入った。
けれど私は、あのデパートの時からカラルリさんが転生ローンを組んで1人悩んでいることを全く知らなかったのである。自分のことばかりで、カラルリさんとセナ王女のペアリングのことをすっかり忘れていたのだ。
嬉しそうな投稿をカップル日記に載せるセナ王女とはうらはらに833年ローンを契約したカラルリさんは9回分の来世を奪われたことに対して酷いノイローゼになっていたことを、あとで知ることになる。
もう少し周りをよく見るべきだった。あの時、カラルリさんとセナ王女が戻ってくるまでレストランにいるべきだった。
それでも、私はヨルクさんに捨てられた不安感から何も見えなくなっていた。
そして、誰もカラルリさんの異変に気付くものはいなかったのである。
明け方の4時頃、カラルリさんはカラクリ家の客間で首を吊った。
……
あとがき。
ショップの時にカラルリは、みんなに助けを求めていたのに。
今思うと『本人が決めること』と放置することは、時に残酷な自体を招くんですね。
人は助けてほしいから助けを求めるんです。
けれど、みんながそれを無視したら?
本人の問題だから何もしない。
本当にそれていいのでしょうか?
……
この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
純愛偏差値 未来編 一人称版 103話
《ヨルク》
ナミネとラルクが遠い昔に深い仲であったことを私は全く知らなかった。落ち武者さんに見せられた映像を見た私は、物凄くショックを受け、この場から去ろうとした。けれど、その私の行為が裏目に出て、エルナはナミネによって、遠い過去に飛ばされてしまった。
私はただ、ナミネと別れるとかではなくて、1人になる時間が欲しかったのだ。でも、もう遅い。ナミネを説得しない限りエルナは戻って来ない。
私が嫌がらせされた側なのに、ショックを受けたらいつもこうなる。
気が付けばセナ王女とカラルリさんが戻っている。というか、料理も注文したみたいだし、まるで、ずっとここにいてたかのような感じだ。
ズームさんは時計を見た。
「2日経ってますね。ナミネさんが時間を動かしたのでしょう」
ただ資格を持っているというだけで、2日も時間を動かせるものなのだろうか。
「顔だけヨルク。エルナを元に戻せ!」
何故、私に言う。元々、落ち武者さんがナミネとの関係にヒビが入るようなことをしなければ、こうはならなかったのに。
「落ち武者さんの責任でしょ?エルナが大切なら私とナミネのことそっとしとくのが普通だよね?」
「アンタ、自分で何言ってんのか分かってんのか?アンタ自ら強気なナミネが浮気しても許すと言って浮気でもないのに強気なナミネ置いて出ていったからこうなったんだろうがよ!セリル呼ぶぞ!」
姉弟揃って何かあれば、セリルセリル。
落ち武者さんから、いやなことしても責められるのは私。いい加減、腹が立ってきた。けれど、まさか私が混乱したからって、エルナが遠い過去に飛ばされるとは思っていなかった。どうすればいいのだろう。
「じゃあ、どうしたらいいわけ?私別にナミネと別れるなんて言ってないよね?ただ、1人になりたいって言っただけなんだけど」
その瞬間、リリカお姉様に引っぱたかれた。
「ヨルク、あなた自分勝手にもほどがあるわ!あなたが浮気許すって言ったんじゃない!それなのに、映像1つで態度変えて!これだと嘘言ったも同然じゃない!エルナのこと、あなたがなんとかしなさいよ!」
結局、何か起きれば悪いのはいつも私だ。
1人になりたい。それさえも、みんなは許してくれないのか。
「顔だけヨルク、強気なナミネからメールが来た」
落ち武者さんは私に携帯画面を見せた。
『私を不幸にした気持ちはいかがですか?
まず、私と話し合わずに逃げて私を捨て辱めたヨルクさんとの縁談は破談にしました。しかしながら、これは落ち武者さんの責任ですので、落ち武者さんのご両親に慰謝料請求をしました。
エルナさんのことは元には戻しません。人に嫌がらせして自分だけ幸せになれると思わないでください!
また、エミリさんの指示でセレナールさんには、それ相応の罰を受けてもらいます。
落ち武者さんの侮辱により、皆さんはそこからは出れません。
最後に、私は新しい彼が出来たのでヨルクさんとの復縁はありません。
皆さんも、お幸せに』
少し1人になりたい。
その思いが行動が、自分で自分の首を絞める結果になったというわけか。無理にでも、あの時あの場にいれば、このような悲劇は起きていなかった。
私は、たった1人になりたい思いで、それだけでナミネに破談にされた。もう心の行き場がない。
やっとの思いでナミネと交際し、両想いになれたのに。こんな形で壊された挙句、全て私の責任にされるなんて。
「顔だけヨルク、アンタだけは許さない!」
そう言うと落ち武者さんは、扇子で私にウエイトレスをセクハラさせた。
「いやー!やめてください!」
ウエイトレスは、大声で叫んだ。けれど、今の落ち武者さんは心の中で激怒している。私はセクハラなんてしたくないのに、落ち武者さんに操られ続けた。
好きでもない女子(おなご)を触るのは気持ち悪い。
「落ち武者さん、やめて!私が悪かったし私がダンゴロさんに頼んで状況変えるから!」
ウエイトレスから引っぱたかれると同時に、落ち武者さんの行動は止まった。私は早急にダンゴロさんに助けを求めた。
けれど、今度はセレナールさんの服が透けはじめた。うっ、気持ち悪い。
「ヨルク!いい加減にしなさいよ!」
私はセレナールさんから水をかけられた。それでも私はダンゴロさんにメールを打ち続けた。
送信してから案外すぐに返信はきた。
「落ち武者さん、返信来たよ」
私は落ち武者さんに携帯画面を見せた。
『まあ、ヨルクの力量だからね。
セレナールは下着だけ付けていいとして、エルナを元に戻すことは出来ない。とりあえず、店から出れるようにはするから、あとはカラクリ家でナミネ説得したら?』
もうこうなったらカラクリ家に行くしかないと思う。ナミネには破談にされ、エルナは戻せず。私の心は壊れそうになっていた。こんなことになるなら、あの時、私を引き止めたナミネを振り払うんじゃなかった。
けれど、あの時は1人で考える時間を求めることがナミネに破談を切り出されるとは思っていなかったのだ。
結局、エルナが過去に飛ばされたのも、ナミネがエミリさんに協力してセレナールさんを罰するのも結果論としては私のせいだ。何もかも私のせいなのである。
それでも、最終的には浮気を許すが、映像を見て動揺しないに勝手に書き換えられてしまうとも思っていなかった。あの映像を見て平然を装っているしかなかったのだろう。
私には喜怒哀楽さえも許されない。
「じゃ、カラクリ家行く。顔だけヨルクはエルナのことも姉さんのこともどうにかしろ!出来なければ僕がアンタを過去に吹き飛ばす」
落ち武者さんは、いつも自分のしたことは棚に上げる。
「あの、ここでヨルクさんだけ責めても解決しないと僕は思うんです。喧嘩は1人では起きませんし。みんなでナミネさんを説得するべきではないでしょうか」
「僕も、ナミネにも問題あると思うんだよね。カラクリ家に行ったら会議になるだろうから、そこで食い止めたらいいと思う」
ズームさんもナルホさんもナミネをどうこうしようとしているが、私はナミネにフラれたショックで頭がいっぱいだった。
カラクリ家まではセナ王女が王室の馬を用意してくれることになった。アルフォンス王子が会計を済ませると、私たちは馬に乗ってカラクリ家に向かった。
カラクリ家に行くと会議室に茶菓子が運ばれている途中だった。やはり、お武家連盟会議になるのか。
ナミネはエミリさんといる。私はナミネに駆け寄ろうとした。けれど、それより先に落ち武者さんが駆け寄った。
「強気なナミネ、僕が悪かった。だから、エルナを元に戻してほしい!」
「これはこれは、レストランから出られたようですね。
では、ここで衣類を全て脱いで裸踊りをしてください。そうすれば、エルナさんは元に戻します。
ただ、人を貶めた以上、今後、落ち武者さんにはナノハナ家の使用人となってもらいます。逆らえばカナコさんの未来はありません」
またナミネの目の色が紫色になっている。
ずっとナミネと上手くいってたから、ナミネの激怒を忘れていた。エルナを過去に飛ばした時点でナミネの心は破壊されていたんだ。今となっては後悔しかない。ナミネと交際した時点でナミネを優先すると誓ったのに。あの時は、自分のことしか考えられなかった。
「分かった。アンタの言う通りにする」
落ち武者さんは服を脱ぎ、踊りはじめた。それを見てナミネは動画を撮影し、落ち武者さんを嘲笑った。落ち武者さんが涙を流せばナミネは羽子板で、落ち武者さんの脇腹を叩いた。
15分経ったところでエルナが戻ってきた。使用人は落ち武者さんに浴衣を羽織らせた。
「エルナ!」
落ち武者さんはエルナを抱き締めた。
「セルファ、収穫よ!
セレナールは確かに一瞬はヨルクに揺れた。でも、本当はラルクのこと心から愛していたのよ。けれど、あの時のセレナールは、もう生きているだけで精一杯だったの。時折、博物館のことを思い出しては、死にたいとポツリ呟いていたみたい。それを聞いた何でも屋がセレナールをそそのかし、ラルクを庇うフリして死ぬ自作自演を提案し、セレナールは契約をした。でも、取り消そうと思った時にはもう遅かった。セレナールはラルクと最後のデートの前に手紙を残していたわ。それがこれよ」
エルナは落ち武者さんに手紙を渡したが、落ち武者さんは、これから受ける辱めに耐えなければならない苦痛からか手紙を落とした。私は落ち武者さんが落とした手紙を拾った。
確かにセレナールさんの筆跡だ。
『ラルクへ
私はラルクを愛してる。
でも、あの日の博物館で受けた屈辱を今でも忘れられなくて、何をしていても生きている心地がしないの。それでも、せっかくラルクとこうやって知り合えたんだし、もう少し頑張ってみようと思った。
ダメだった。
どうしても博物館でのことが常に私を苦しめる。
愛するラルクがいるのに、もう生きることが辛くて仕方ない。
本当はラルクと普通の恋人として楽しく過ごしたかった。でも、これだけは忘れないで。私は確かにラルクを愛していたことを。
いつかラルクにまた巡り会える日を待ってる。
綺麗な身体でいたかった』
まるで遺書のようだ。
疑心暗鬼だけれど、これだけ見ると、セレナールさんはラルクを愛していたように感じる。けれど、博物館でのことがネックになって生きることに対して前向きになれなかったのか、ラルクといても常に心穏やかではなかったのだろう。
手紙はセレナールさんに取り上げられてしまった。
セレナールさんは、カナエさんを殴り付けた。
「カナエ!あなたのせいよ!ラルクとの青春奪って……あなたも同じ目に合わせてやる!」
「カナエは結界を解いてセレナールを救おうとしました!もう昔のことは掘り返さないでください!」
カナエさんはセレナールさんの攻撃を受けないため自分に結界をかけた。すると落ち武者さんが結界を解いて羽子板をカナエさんに突き付けた。
「姉さんに謝れ!でないと、アンタの着てるの全部脱がして拘束した写真、アンタのクラスにバラまく!」
「姉弟揃って卑怯ですね」
「早く謝れ!」
「カナエは悪くありません!」
このやり取りを聞いていたらキリがない。私はナミネに駆け寄った。
「ナミネ、私があの時、1人になりたいって言ったのは、ナミネと別れるとかじゃなくて、ただ1人で考える時間がほしかったんだ!どうか、許してほしい!破談にはしないでほしい!引き止めるナミネを無視してごめん!」
ナミネは何も答えなかった。そして、新しい彼だろう男と仲睦まじくしている。
もう返事さえしてもらえないのか。
その瞬間、ナミネは私が最初に渡したネックレスとペアリングを放り投げた。私は泣きながらネックレスとペアリングを拾った。
「ナミネ、本当にごめんね。ナミネのことずっと待ってる」
ナミネは着ぐるみ剥がされたカナエさんを侮辱するセレナールさんの脇腹を3回羽子板で叩いた。
セレナールさんは電流に耐えきれないのか、物凄い叫び声をあげた。
「うるさいです!」
ナミネは何度もセレナールさんを羽子板で叩いた。
「ナミネ、やめようか。こんなことしても何にもならないし、ヨルクはナミネと別れようとしてたわけじゃないってハッキリ言ったよね。それでも気に入らないのかな?」
ナミネはナルホさんを扇子で吹き飛ばした。
「強気なナミネ!僕が悪かった!どうか、エルナと姉さんに危害は加えないでほしい!」
その瞬間、ナミネは落ち武者さんを羽子板で叩き続けた。
ナミネが壊れてしまった。私の些細な行動のせいで。もうどうしたらいいのか分からない。
その時、ナノハさんがナミネから羽子板を取り上げた。
「ナミネはどうしてそんなに怒っているのかな?」
「怒ってません!ただ、落ち武者さんに侮辱されました!」
レイカさんが前に立った。
「これより、お武家連盟会議を行います。テーマは『エミリの受けた屈辱』についてです。意見のある者は手を上げてください」
早速ナミネが手を上げた。
「ナミネ、意見をどうぞ」
ナミネは立ち上がった。
「前回の会議ではレイカさんとカナコさんは、セレナールさんが受けた被害のみに軸を置き、主張していましたよね。
しかしながら、セレナールさんは歴史が変わり、みんなの記憶が失われたのをいいことに、エミリさんの彼氏である皇太子様を奪いました。更には、記憶を失ったエミリさんがアランさんと交際していることを嘲笑ってました。
もし、皆さんが記憶を失いパートナーを故意に取られ、好きでもない人と関係を持ち、記憶が戻った時には好きでもない人の子供がお腹の中にいたらどうですか?
レイカさんとカナコさんも大切な彼氏をセレナールさんに奪われ関係持たれ、自分は全く好きでもない人と故意に寝させられていてもセレナールさんを許せますか?
無論、前回の会議のテーマはセレナールさんがカンザシさんとマモルさんに受けたことでしたが、人は一面のみで生きているわけではありませんよね?
前回被害者として扱われたセレナールさんは、カンザシさんから被害を受ける前にエミリさんをアランさんに襲わせました。何度も何度も。皇太子様と復縁したからと言って、エミリさんの心の傷は残り続けています!セレナールさんは、エミリさんにそれだけのことをしたのです!残酷すぎるやり方。エミリさんはずっと守り抜いてきたものをセレナールさんによって取り上げられました!もうこれは一方的にセレナールさんが、エミリさんを陥れ侮辱しイジメたとしか言いようがありません。
反論意見は、自身がエミリさんと同じ立場になってもいい人のみ言ってください!それ以外は自由にどうぞ」
ナミネの発言で、カナコさんとレイカさんは考え込んだ。少しでもナミネの意見に思うものがあったのだろう。
エミリさんは立ち上がった。
「私が言いたかったことは、今まさにナミネが発言したことです。私は何もかも青春そのものをセレナールに奪われた被害者です!」
前回被害者だったセレナールさんが今回は加害者として扱われている。セレナールさんが手を上げる前にエミルさんも立ち上がった。
「私もナミネに同意です。妹を辱められて、このままセレナールを野放しには出来ません」
「私もナミネに同意します。物事には限度があります。セレナールも記憶を失っていたのならともかく、記憶を覚えていたなら完全な辱めにしかすぎません」
レイナさんまでナミネに同意した。
「カナエも記憶を失った時、セイから辱めを受けました。よって、ナミネに同意します」
確かにカナエさんも記憶を失った時はセイさんと交際をしていた。これもカナエさんとっては屈辱だったのだろう。
「私もナミネに同意です。こんなの無理矢理なイジワルじゃないですか」
リリカお姉様までナミネの発言に同意した。
ナルホさんは手を上げた。
「ナルホ、意見をどうぞ」
「ナミネは裁判官でもなければ裁判員でもないよね?起きたことは元には戻せない。ここでセレナールを責めてどうにかなるのかな?エミリの青春は戻ってくるのかな?」
ナルホさんは、やはりナミネには同意しない。
「私もナルホに同意。今頃責めても、あとの祭り。もし、エミリを救いたかったなら、どうして記憶が失われていると分かった時にエミリに言わなかったのかな?」
ナノハさんもナミネには同意しない。
「もう遅かったのです。エミリさんはアランさんと交際直後、アランさんとタルリヤさんの子供を妊娠していました。番人のキクスケさんは、ヨルクさんに『エミリさんは妊娠に気付いた時点で、失った記憶を全て思い出します』と教えています。そのような状況で教えろと言うならナノハお姉様が教えるべきでしょう!責任転嫁はやめてください!それに私は反対意見はエミリさんと同じ状況でもいい者のみと言いました!」
怒ったナミネは、皇室に紙飛行機を飛ばした。ナノハさんは今のナミネには何も出来ないだろうと思っているのか平然としている。数分後、皇室から返事が来た。ナミネはナノハさんに文を見せた。
『ズルエヌと皇女の婚姻を認める』
どうして、このような返事が帰ってくるのだろう。セナ王女の時にしても、何か引っかかるものがある。本当にナミネの文だったのだろうか。
ナミネは再び立ち上がった。
「分かりましたか?今ズルエヌさんは記憶を失って皇女様と交際しています。私に意見したということは、これを受け止めたと見なします!どうぞ、今という青春をお楽しみください」
「ナミネ、私はずっとナミネを心配してきたし、ナミネの幸せを思ってきた。だから、ヨルクにナミネとの縁談を推薦した。ナミネに不幸になってほしくないからよ!あの時みたいに!」
あの時ってなんだろう。ナノハさんは、ただただ涙を流した。私は咄嗟にナノハさんに駆け寄った。ナノハさんは、ただ無言で泣きながら私を抱き締めた。
ナノハさんはいつも暖かい。小さい頃からずっと変わらない。そんなナノハさんが私は大好きだった。
「すみません……やりすぎました。取り消します。ナノハお姉様が私の知らないことで私が生まれた時から私のことを大切に思ってくれていたことを。ナノハお姉様、お許しください」
ナミネは再び皇室に紙飛行機を飛ばし、最初に飛ばした文の解除を行った。この時点で私は何も知らなかった。ナミネの背後にはミドリさんと妖精村3番目の番人であるテナロスさんがいて、ミドリさんが皇帝陛下と皇后陛下の実の娘で本当の皇女はミドリさんであるということを。
「ナミネ、生きていたら色んなこともあるわ。理不尽なことも屈辱的なことも、どうにもならないことで、この世は溢れかえっている。エミリの件もそうだけど、仲間を救いたい気持ちを持つことはいいけれど、ここはナミネだけの場ではないの。ここいる人だけの意見がちゃんとある。受け止めなくても、みんなにはみんなの意見を言う権利があるのよ。ナミネは、ただヨルクと幸せになって」
ナノハさんはナミネを諭すと同時に微笑んだ。
「はい、分かりました。皆さんの意見もちゃんと聞きます」
本当のナミネは素直な子だ。けれど、成長するにつれ、世の中の理不尽さを目の当たりにし、ずっと気を張りつめてきたのだろう。
今度はミドリさんが手を上げた。
「ミドリ、意見をどうぞ」
「ナノハは綺麗事ばかり。
けれど、私は経験者として語ります。私の場合もハメられました。実の妹であるナクリに。あの時は、恐怖に苛まれながら約30分ほど辱められ、挙句に私は死にました。
今回のケースは、2人とも屈辱を受けています。状況は違えど、受けたものは他でもないイジワル。
この場合、誰にも2人の処分はくだせないんじゃないでしょうか。それが出来るのは裁判官と皇帝陛下くらいだと思います。
私は死んだし、どうにも出来なかったけど、2人は生きています。そしてこれからも生きていかなくてはなりません。
だから、ナノハが安易に世の中は理不尽とか屈辱的とか言ってしまうことで余計にエミリを追い詰めてしまうこともあると思います」
ミドリさんの死に様は本当に悲惨なものだった。もし、ミドリさんが生きていたなら自ら命を絶っていたかもしれないというくらいに。
「ミドリ、本当に悪かったと思ってる!許してとは言わない!償うから、だから解放してほしい」
ナクリさんはスウェットのままミドリさんにすがりついた。
「許さないよ、ナクリ」
ナミネは何かを前に持って行き、レイカさんに渡した。
「これが私が月城総合病院で見た最後のミドリお姉様の姿です」
「そう」
レイカさんはそれ以上は言わなかった。言えなかったのだろう。ラァナさんのこともあるし、出来れば見たくなかったのかもしれない。
「では、私の意見を言います。さっきミドリの意見を聞いて、経験者にしか分からないことは確かにあると痛感させられました。大切な人に寄り添っていても、その人がずっと辛い思いをしていたら私も辛いです。
確かに私は前回セレナールを擁護しました。私自身、そのテーマに沿っていたつもりでもあり、向き合っているつもりでした。
けれど、今回は最初のナミネの意見もあり、もし自分が記憶を失っている間に愛する人を取られ、好きでもない人と無理矢理に合意となっていたら恨んでも恨みきれないし、その青春はもう戻っては来ません。
私は前回セレナールを擁護したことを取り消します。
私もナミネに同意です」
いくら愛する人が傷付いた人に寄り添っていても、本人にしか分からない傷がある。まるでユメさんとクラフのようだ。
「私もレイカに同意します」
カナコさんもナミネの言い分に賛同した。これで過半数がナミネの意見に同意したことになる。
このことによってセレナールさんは孤立無援となるのだろうか。
「私はセレナールを何がなんでも許さない!」
「カナエも許しません!」
エミリさんとカナエさんはセレナールさんに扇子を突き付けた。
……
あとがき。
セレナールは、いつも詰めが甘いですね。
レナードと交際しても記憶が戻ればフラれてしまうのに。
今はラルクを好きだと気付いてもエミリが受けた屈辱は消えません。
古代編の延長線なのでしょうか。
悲しいです。
……
この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
《ヨルク》
ナミネとラルクが遠い昔に深い仲であったことを私は全く知らなかった。落ち武者さんに見せられた映像を見た私は、物凄くショックを受け、この場から去ろうとした。けれど、その私の行為が裏目に出て、エルナはナミネによって、遠い過去に飛ばされてしまった。
私はただ、ナミネと別れるとかではなくて、1人になる時間が欲しかったのだ。でも、もう遅い。ナミネを説得しない限りエルナは戻って来ない。
私が嫌がらせされた側なのに、ショックを受けたらいつもこうなる。
気が付けばセナ王女とカラルリさんが戻っている。というか、料理も注文したみたいだし、まるで、ずっとここにいてたかのような感じだ。
ズームさんは時計を見た。
「2日経ってますね。ナミネさんが時間を動かしたのでしょう」
ただ資格を持っているというだけで、2日も時間を動かせるものなのだろうか。
「顔だけヨルク。エルナを元に戻せ!」
何故、私に言う。元々、落ち武者さんがナミネとの関係にヒビが入るようなことをしなければ、こうはならなかったのに。
「落ち武者さんの責任でしょ?エルナが大切なら私とナミネのことそっとしとくのが普通だよね?」
「アンタ、自分で何言ってんのか分かってんのか?アンタ自ら強気なナミネが浮気しても許すと言って浮気でもないのに強気なナミネ置いて出ていったからこうなったんだろうがよ!セリル呼ぶぞ!」
姉弟揃って何かあれば、セリルセリル。
落ち武者さんから、いやなことしても責められるのは私。いい加減、腹が立ってきた。けれど、まさか私が混乱したからって、エルナが遠い過去に飛ばされるとは思っていなかった。どうすればいいのだろう。
「じゃあ、どうしたらいいわけ?私別にナミネと別れるなんて言ってないよね?ただ、1人になりたいって言っただけなんだけど」
その瞬間、リリカお姉様に引っぱたかれた。
「ヨルク、あなた自分勝手にもほどがあるわ!あなたが浮気許すって言ったんじゃない!それなのに、映像1つで態度変えて!これだと嘘言ったも同然じゃない!エルナのこと、あなたがなんとかしなさいよ!」
結局、何か起きれば悪いのはいつも私だ。
1人になりたい。それさえも、みんなは許してくれないのか。
「顔だけヨルク、強気なナミネからメールが来た」
落ち武者さんは私に携帯画面を見せた。
『私を不幸にした気持ちはいかがですか?
まず、私と話し合わずに逃げて私を捨て辱めたヨルクさんとの縁談は破談にしました。しかしながら、これは落ち武者さんの責任ですので、落ち武者さんのご両親に慰謝料請求をしました。
エルナさんのことは元には戻しません。人に嫌がらせして自分だけ幸せになれると思わないでください!
また、エミリさんの指示でセレナールさんには、それ相応の罰を受けてもらいます。
落ち武者さんの侮辱により、皆さんはそこからは出れません。
最後に、私は新しい彼が出来たのでヨルクさんとの復縁はありません。
皆さんも、お幸せに』
少し1人になりたい。
その思いが行動が、自分で自分の首を絞める結果になったというわけか。無理にでも、あの時あの場にいれば、このような悲劇は起きていなかった。
私は、たった1人になりたい思いで、それだけでナミネに破談にされた。もう心の行き場がない。
やっとの思いでナミネと交際し、両想いになれたのに。こんな形で壊された挙句、全て私の責任にされるなんて。
「顔だけヨルク、アンタだけは許さない!」
そう言うと落ち武者さんは、扇子で私にウエイトレスをセクハラさせた。
「いやー!やめてください!」
ウエイトレスは、大声で叫んだ。けれど、今の落ち武者さんは心の中で激怒している。私はセクハラなんてしたくないのに、落ち武者さんに操られ続けた。
好きでもない女子(おなご)を触るのは気持ち悪い。
「落ち武者さん、やめて!私が悪かったし私がダンゴロさんに頼んで状況変えるから!」
ウエイトレスから引っぱたかれると同時に、落ち武者さんの行動は止まった。私は早急にダンゴロさんに助けを求めた。
けれど、今度はセレナールさんの服が透けはじめた。うっ、気持ち悪い。
「ヨルク!いい加減にしなさいよ!」
私はセレナールさんから水をかけられた。それでも私はダンゴロさんにメールを打ち続けた。
送信してから案外すぐに返信はきた。
「落ち武者さん、返信来たよ」
私は落ち武者さんに携帯画面を見せた。
『まあ、ヨルクの力量だからね。
セレナールは下着だけ付けていいとして、エルナを元に戻すことは出来ない。とりあえず、店から出れるようにはするから、あとはカラクリ家でナミネ説得したら?』
もうこうなったらカラクリ家に行くしかないと思う。ナミネには破談にされ、エルナは戻せず。私の心は壊れそうになっていた。こんなことになるなら、あの時、私を引き止めたナミネを振り払うんじゃなかった。
けれど、あの時は1人で考える時間を求めることがナミネに破談を切り出されるとは思っていなかったのだ。
結局、エルナが過去に飛ばされたのも、ナミネがエミリさんに協力してセレナールさんを罰するのも結果論としては私のせいだ。何もかも私のせいなのである。
それでも、最終的には浮気を許すが、映像を見て動揺しないに勝手に書き換えられてしまうとも思っていなかった。あの映像を見て平然を装っているしかなかったのだろう。
私には喜怒哀楽さえも許されない。
「じゃ、カラクリ家行く。顔だけヨルクはエルナのことも姉さんのこともどうにかしろ!出来なければ僕がアンタを過去に吹き飛ばす」
落ち武者さんは、いつも自分のしたことは棚に上げる。
「あの、ここでヨルクさんだけ責めても解決しないと僕は思うんです。喧嘩は1人では起きませんし。みんなでナミネさんを説得するべきではないでしょうか」
「僕も、ナミネにも問題あると思うんだよね。カラクリ家に行ったら会議になるだろうから、そこで食い止めたらいいと思う」
ズームさんもナルホさんもナミネをどうこうしようとしているが、私はナミネにフラれたショックで頭がいっぱいだった。
カラクリ家まではセナ王女が王室の馬を用意してくれることになった。アルフォンス王子が会計を済ませると、私たちは馬に乗ってカラクリ家に向かった。
カラクリ家に行くと会議室に茶菓子が運ばれている途中だった。やはり、お武家連盟会議になるのか。
ナミネはエミリさんといる。私はナミネに駆け寄ろうとした。けれど、それより先に落ち武者さんが駆け寄った。
「強気なナミネ、僕が悪かった。だから、エルナを元に戻してほしい!」
「これはこれは、レストランから出られたようですね。
では、ここで衣類を全て脱いで裸踊りをしてください。そうすれば、エルナさんは元に戻します。
ただ、人を貶めた以上、今後、落ち武者さんにはナノハナ家の使用人となってもらいます。逆らえばカナコさんの未来はありません」
またナミネの目の色が紫色になっている。
ずっとナミネと上手くいってたから、ナミネの激怒を忘れていた。エルナを過去に飛ばした時点でナミネの心は破壊されていたんだ。今となっては後悔しかない。ナミネと交際した時点でナミネを優先すると誓ったのに。あの時は、自分のことしか考えられなかった。
「分かった。アンタの言う通りにする」
落ち武者さんは服を脱ぎ、踊りはじめた。それを見てナミネは動画を撮影し、落ち武者さんを嘲笑った。落ち武者さんが涙を流せばナミネは羽子板で、落ち武者さんの脇腹を叩いた。
15分経ったところでエルナが戻ってきた。使用人は落ち武者さんに浴衣を羽織らせた。
「エルナ!」
落ち武者さんはエルナを抱き締めた。
「セルファ、収穫よ!
セレナールは確かに一瞬はヨルクに揺れた。でも、本当はラルクのこと心から愛していたのよ。けれど、あの時のセレナールは、もう生きているだけで精一杯だったの。時折、博物館のことを思い出しては、死にたいとポツリ呟いていたみたい。それを聞いた何でも屋がセレナールをそそのかし、ラルクを庇うフリして死ぬ自作自演を提案し、セレナールは契約をした。でも、取り消そうと思った時にはもう遅かった。セレナールはラルクと最後のデートの前に手紙を残していたわ。それがこれよ」
エルナは落ち武者さんに手紙を渡したが、落ち武者さんは、これから受ける辱めに耐えなければならない苦痛からか手紙を落とした。私は落ち武者さんが落とした手紙を拾った。
確かにセレナールさんの筆跡だ。
『ラルクへ
私はラルクを愛してる。
でも、あの日の博物館で受けた屈辱を今でも忘れられなくて、何をしていても生きている心地がしないの。それでも、せっかくラルクとこうやって知り合えたんだし、もう少し頑張ってみようと思った。
ダメだった。
どうしても博物館でのことが常に私を苦しめる。
愛するラルクがいるのに、もう生きることが辛くて仕方ない。
本当はラルクと普通の恋人として楽しく過ごしたかった。でも、これだけは忘れないで。私は確かにラルクを愛していたことを。
いつかラルクにまた巡り会える日を待ってる。
綺麗な身体でいたかった』
まるで遺書のようだ。
疑心暗鬼だけれど、これだけ見ると、セレナールさんはラルクを愛していたように感じる。けれど、博物館でのことがネックになって生きることに対して前向きになれなかったのか、ラルクといても常に心穏やかではなかったのだろう。
手紙はセレナールさんに取り上げられてしまった。
セレナールさんは、カナエさんを殴り付けた。
「カナエ!あなたのせいよ!ラルクとの青春奪って……あなたも同じ目に合わせてやる!」
「カナエは結界を解いてセレナールを救おうとしました!もう昔のことは掘り返さないでください!」
カナエさんはセレナールさんの攻撃を受けないため自分に結界をかけた。すると落ち武者さんが結界を解いて羽子板をカナエさんに突き付けた。
「姉さんに謝れ!でないと、アンタの着てるの全部脱がして拘束した写真、アンタのクラスにバラまく!」
「姉弟揃って卑怯ですね」
「早く謝れ!」
「カナエは悪くありません!」
このやり取りを聞いていたらキリがない。私はナミネに駆け寄った。
「ナミネ、私があの時、1人になりたいって言ったのは、ナミネと別れるとかじゃなくて、ただ1人で考える時間がほしかったんだ!どうか、許してほしい!破談にはしないでほしい!引き止めるナミネを無視してごめん!」
ナミネは何も答えなかった。そして、新しい彼だろう男と仲睦まじくしている。
もう返事さえしてもらえないのか。
その瞬間、ナミネは私が最初に渡したネックレスとペアリングを放り投げた。私は泣きながらネックレスとペアリングを拾った。
「ナミネ、本当にごめんね。ナミネのことずっと待ってる」
ナミネは着ぐるみ剥がされたカナエさんを侮辱するセレナールさんの脇腹を3回羽子板で叩いた。
セレナールさんは電流に耐えきれないのか、物凄い叫び声をあげた。
「うるさいです!」
ナミネは何度もセレナールさんを羽子板で叩いた。
「ナミネ、やめようか。こんなことしても何にもならないし、ヨルクはナミネと別れようとしてたわけじゃないってハッキリ言ったよね。それでも気に入らないのかな?」
ナミネはナルホさんを扇子で吹き飛ばした。
「強気なナミネ!僕が悪かった!どうか、エルナと姉さんに危害は加えないでほしい!」
その瞬間、ナミネは落ち武者さんを羽子板で叩き続けた。
ナミネが壊れてしまった。私の些細な行動のせいで。もうどうしたらいいのか分からない。
その時、ナノハさんがナミネから羽子板を取り上げた。
「ナミネはどうしてそんなに怒っているのかな?」
「怒ってません!ただ、落ち武者さんに侮辱されました!」
レイカさんが前に立った。
「これより、お武家連盟会議を行います。テーマは『エミリの受けた屈辱』についてです。意見のある者は手を上げてください」
早速ナミネが手を上げた。
「ナミネ、意見をどうぞ」
ナミネは立ち上がった。
「前回の会議ではレイカさんとカナコさんは、セレナールさんが受けた被害のみに軸を置き、主張していましたよね。
しかしながら、セレナールさんは歴史が変わり、みんなの記憶が失われたのをいいことに、エミリさんの彼氏である皇太子様を奪いました。更には、記憶を失ったエミリさんがアランさんと交際していることを嘲笑ってました。
もし、皆さんが記憶を失いパートナーを故意に取られ、好きでもない人と関係を持ち、記憶が戻った時には好きでもない人の子供がお腹の中にいたらどうですか?
レイカさんとカナコさんも大切な彼氏をセレナールさんに奪われ関係持たれ、自分は全く好きでもない人と故意に寝させられていてもセレナールさんを許せますか?
無論、前回の会議のテーマはセレナールさんがカンザシさんとマモルさんに受けたことでしたが、人は一面のみで生きているわけではありませんよね?
前回被害者として扱われたセレナールさんは、カンザシさんから被害を受ける前にエミリさんをアランさんに襲わせました。何度も何度も。皇太子様と復縁したからと言って、エミリさんの心の傷は残り続けています!セレナールさんは、エミリさんにそれだけのことをしたのです!残酷すぎるやり方。エミリさんはずっと守り抜いてきたものをセレナールさんによって取り上げられました!もうこれは一方的にセレナールさんが、エミリさんを陥れ侮辱しイジメたとしか言いようがありません。
反論意見は、自身がエミリさんと同じ立場になってもいい人のみ言ってください!それ以外は自由にどうぞ」
ナミネの発言で、カナコさんとレイカさんは考え込んだ。少しでもナミネの意見に思うものがあったのだろう。
エミリさんは立ち上がった。
「私が言いたかったことは、今まさにナミネが発言したことです。私は何もかも青春そのものをセレナールに奪われた被害者です!」
前回被害者だったセレナールさんが今回は加害者として扱われている。セレナールさんが手を上げる前にエミルさんも立ち上がった。
「私もナミネに同意です。妹を辱められて、このままセレナールを野放しには出来ません」
「私もナミネに同意します。物事には限度があります。セレナールも記憶を失っていたのならともかく、記憶を覚えていたなら完全な辱めにしかすぎません」
レイナさんまでナミネに同意した。
「カナエも記憶を失った時、セイから辱めを受けました。よって、ナミネに同意します」
確かにカナエさんも記憶を失った時はセイさんと交際をしていた。これもカナエさんとっては屈辱だったのだろう。
「私もナミネに同意です。こんなの無理矢理なイジワルじゃないですか」
リリカお姉様までナミネの発言に同意した。
ナルホさんは手を上げた。
「ナルホ、意見をどうぞ」
「ナミネは裁判官でもなければ裁判員でもないよね?起きたことは元には戻せない。ここでセレナールを責めてどうにかなるのかな?エミリの青春は戻ってくるのかな?」
ナルホさんは、やはりナミネには同意しない。
「私もナルホに同意。今頃責めても、あとの祭り。もし、エミリを救いたかったなら、どうして記憶が失われていると分かった時にエミリに言わなかったのかな?」
ナノハさんもナミネには同意しない。
「もう遅かったのです。エミリさんはアランさんと交際直後、アランさんとタルリヤさんの子供を妊娠していました。番人のキクスケさんは、ヨルクさんに『エミリさんは妊娠に気付いた時点で、失った記憶を全て思い出します』と教えています。そのような状況で教えろと言うならナノハお姉様が教えるべきでしょう!責任転嫁はやめてください!それに私は反対意見はエミリさんと同じ状況でもいい者のみと言いました!」
怒ったナミネは、皇室に紙飛行機を飛ばした。ナノハさんは今のナミネには何も出来ないだろうと思っているのか平然としている。数分後、皇室から返事が来た。ナミネはナノハさんに文を見せた。
『ズルエヌと皇女の婚姻を認める』
どうして、このような返事が帰ってくるのだろう。セナ王女の時にしても、何か引っかかるものがある。本当にナミネの文だったのだろうか。
ナミネは再び立ち上がった。
「分かりましたか?今ズルエヌさんは記憶を失って皇女様と交際しています。私に意見したということは、これを受け止めたと見なします!どうぞ、今という青春をお楽しみください」
「ナミネ、私はずっとナミネを心配してきたし、ナミネの幸せを思ってきた。だから、ヨルクにナミネとの縁談を推薦した。ナミネに不幸になってほしくないからよ!あの時みたいに!」
あの時ってなんだろう。ナノハさんは、ただただ涙を流した。私は咄嗟にナノハさんに駆け寄った。ナノハさんは、ただ無言で泣きながら私を抱き締めた。
ナノハさんはいつも暖かい。小さい頃からずっと変わらない。そんなナノハさんが私は大好きだった。
「すみません……やりすぎました。取り消します。ナノハお姉様が私の知らないことで私が生まれた時から私のことを大切に思ってくれていたことを。ナノハお姉様、お許しください」
ナミネは再び皇室に紙飛行機を飛ばし、最初に飛ばした文の解除を行った。この時点で私は何も知らなかった。ナミネの背後にはミドリさんと妖精村3番目の番人であるテナロスさんがいて、ミドリさんが皇帝陛下と皇后陛下の実の娘で本当の皇女はミドリさんであるということを。
「ナミネ、生きていたら色んなこともあるわ。理不尽なことも屈辱的なことも、どうにもならないことで、この世は溢れかえっている。エミリの件もそうだけど、仲間を救いたい気持ちを持つことはいいけれど、ここはナミネだけの場ではないの。ここいる人だけの意見がちゃんとある。受け止めなくても、みんなにはみんなの意見を言う権利があるのよ。ナミネは、ただヨルクと幸せになって」
ナノハさんはナミネを諭すと同時に微笑んだ。
「はい、分かりました。皆さんの意見もちゃんと聞きます」
本当のナミネは素直な子だ。けれど、成長するにつれ、世の中の理不尽さを目の当たりにし、ずっと気を張りつめてきたのだろう。
今度はミドリさんが手を上げた。
「ミドリ、意見をどうぞ」
「ナノハは綺麗事ばかり。
けれど、私は経験者として語ります。私の場合もハメられました。実の妹であるナクリに。あの時は、恐怖に苛まれながら約30分ほど辱められ、挙句に私は死にました。
今回のケースは、2人とも屈辱を受けています。状況は違えど、受けたものは他でもないイジワル。
この場合、誰にも2人の処分はくだせないんじゃないでしょうか。それが出来るのは裁判官と皇帝陛下くらいだと思います。
私は死んだし、どうにも出来なかったけど、2人は生きています。そしてこれからも生きていかなくてはなりません。
だから、ナノハが安易に世の中は理不尽とか屈辱的とか言ってしまうことで余計にエミリを追い詰めてしまうこともあると思います」
ミドリさんの死に様は本当に悲惨なものだった。もし、ミドリさんが生きていたなら自ら命を絶っていたかもしれないというくらいに。
「ミドリ、本当に悪かったと思ってる!許してとは言わない!償うから、だから解放してほしい」
ナクリさんはスウェットのままミドリさんにすがりついた。
「許さないよ、ナクリ」
ナミネは何かを前に持って行き、レイカさんに渡した。
「これが私が月城総合病院で見た最後のミドリお姉様の姿です」
「そう」
レイカさんはそれ以上は言わなかった。言えなかったのだろう。ラァナさんのこともあるし、出来れば見たくなかったのかもしれない。
「では、私の意見を言います。さっきミドリの意見を聞いて、経験者にしか分からないことは確かにあると痛感させられました。大切な人に寄り添っていても、その人がずっと辛い思いをしていたら私も辛いです。
確かに私は前回セレナールを擁護しました。私自身、そのテーマに沿っていたつもりでもあり、向き合っているつもりでした。
けれど、今回は最初のナミネの意見もあり、もし自分が記憶を失っている間に愛する人を取られ、好きでもない人と無理矢理に合意となっていたら恨んでも恨みきれないし、その青春はもう戻っては来ません。
私は前回セレナールを擁護したことを取り消します。
私もナミネに同意です」
いくら愛する人が傷付いた人に寄り添っていても、本人にしか分からない傷がある。まるでユメさんとクラフのようだ。
「私もレイカに同意します」
カナコさんもナミネの言い分に賛同した。これで過半数がナミネの意見に同意したことになる。
このことによってセレナールさんは孤立無援となるのだろうか。
「私はセレナールを何がなんでも許さない!」
「カナエも許しません!」
エミリさんとカナエさんはセレナールさんに扇子を突き付けた。
……
あとがき。
セレナールは、いつも詰めが甘いですね。
レナードと交際しても記憶が戻ればフラれてしまうのに。
今はラルクを好きだと気付いてもエミリが受けた屈辱は消えません。
古代編の延長線なのでしょうか。
悲しいです。
……
この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。