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日常のこととかオリジナル小説のこととか。
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ashita
Webサイト:
性別:
女性
職業:
地主(土地貸してます)
趣味:
漫画やアニメを見るのが好きです。最推しはフーディーニ ♡
自己紹介:
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ブログ、もう書かないと思ってました。

けれど、去年から書き始めた小説によって、過去に書いてた小説も書き始め、ここに載せることにしたのです。

小説は、主に『時間と時間を繋ぐ恋の物語』と『妖精村と愉快な仲間たち』をメインに書いています。
現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。

純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。

元々このブログは病気の記録用として立ち上げたものですが、小説載せるようになってからは、ここは出来るだけ趣味的なことを綴りたいと思っております。
病気の記録や様々な思いを綴るブログは移転済みなのです。

ただ、今は日記は個人的な徒然、或いはお知らせとして綴ることが多いかと思います。

小説、ぼちぼちマイペースに書いてゆきます。

よろしくお願い致します。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

お知らせ。

イラストは現在「ナノハナ家の日常」に載せております。サイドバーにリンクあります。

また、「カラクリよろずや」にて無料のフリーイラスト素材配布もはじめました✩.*˚

フリーイラスト素材も増やしていく予定です(*'ᴗ'*)

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

模倣・無断転載などは、ご遠慮ください。

ブログの小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。

小説・純愛偏差値に関しましては、武家名・貴族名(程度による) / 及び、武官の階級 / 扇子・羽子板・花札・百人一首・紙飛行機などのアイテム使用方法の模倣の一切を禁じております。

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〈資格履歴〉

2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2010年02月10日
→セルフ・カウンセリング
ステップ2 合格
2011年05月28日
→セルフ・カウンセリング
指導講師資格審査 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年01月20日
→鉛筆デッサンマスター 合格
→絵画インストラクター 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
→茶道アドバイザー 合格
→お点前インストラクター 合格
2025年04月17日
→着物マイスター 合格
→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
→サイキックアドバイザー 合格
→サイキックヒーラー 合格
2025年07月01日
→アンガーカウンセラー 合格
→アンガーコントロール士 合格
2025年08月04日
→漢方コーディネーター 合格
→薬膳調整師 合格

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〈資格証明バナー〉

鉛筆デッサンマスター®認定試験資格取得証明
絵画インストラクター資格資格認定証
宝石鑑定アドバイザー資格認定試験資格取得証明
鉱石セラピスト資格資格保持証明
茶道アドバイザー資格認定試験資格取得証明
お点前インストラクター資格資格認定証
着物マイスター®資格認定試験資格取得証明
着付け方インストラクター資格資格認定証
サイキックアドバイザー®資格資格証明
サイキックヒーラー資格資格保持証明
アンガーカウンセラー®資格資格保持証明
アンガーコントロール士資格資格認定証
漢方コーディネーター®資格認定試験資格保持証明
薬膳調整師®資格認定試験資格保持証明
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純愛偏差値 未来編 一人称版 79話

《ナミネ》

ヨルクさんが、ひょんなことから誤ってステリンさんのキュート動画を保存したことから、セナ王女がもう反論し、私たちは落ち武者さんから勧められたフェアリー知恵袋を見た。
けれど、見れば見るほど、いやがる女性にとっては不利な気もしてきた。ミナクさんとカンザシさんが戻ったところで……。
「では、落ち武者さん、この中で誰がキュート動画を見ているのかフェアリーングかけてください」
私は落ち武者さんに真相を確かめるようお願いをした。落ち武者さんはこの場にいる全員にフェアリーングをかけた。
「じゃ、聞く。この中でキュート動画見てるヤツは手を上げろ!」
ふむふむ、アルフォンス王子、カラルリさん、ミナクさん、委員長、カンザシさん、ラハルさん、ミツメさん、ロォハさんが手を挙げた。
もう殆どじゃん。
あれ、ヨルクさんは手を挙げてない。
「ヨルクさんは手を挙げてませんなあ。誰の何を見ているのですか?」
「顔だけヨルク、あんた誰の何見てんだ」
「ナナクサガユさんと、カロナーラさん、ヨツキさんのグラドル動画」
ナナクサガユさんは、あの太った人だよね。カロナーラさんとヨツキさんを調べてみたら、そこそこ美人。そして巨乳。3人とも高校生か。
「顔だけヨルク、その動画見てどう感じてるんだよ」
この時、ヨルクさんが『何故私にばかり聞く』と思っていることなど誰も知らなかった。
「水着着た姿でプール泳いでたり、海辺走っているところ、寝転ぶところとか綺麗で興奮する。でも、動画だと物足りない。別に推しでもないし」
何かヨルクさんてよく分からない。私のこと好きっていつも言ってるのに、結局美人好きじゃん。
「じゃ、彼氏がキュート動画見ること反対なヤツは手を挙げろ」
えっと、セナ王女、アヤネさん、カナエさん、ロナさん、リリカさんか。
「キュート動画、グラドル動画見てるヤツは彼女がいやだと言ったらどうすんだ?」
「私はそういうのは束縛だと思うし、見続ける」
アルフォンス王子は話し合いもしないのか。
「彼女には見ないって言ってコッソリ見る」
カラルリさん、それいつかバレるよ。
「彼女には携帯のバグだと言って誤魔化す」
ミナクさんも、バレるよ。
「話し合います」
委員長ってやっぱり真面目だな。
「殴ります」
カンザシさんって何もかもめちゃくちゃ。
「僕も束縛はいやだし、お互いのプライベートには入り込まない関係でいたい」
ラハルさんらしい意見と言ったらそうだけど、以前交際していた彼女とはどうだったんだろう。
「話し合うしかないなあと思います」
ミツメさんも意外に真面目。
「一定の期間やめて、コッソリ再開する」
ロォハさんてそういう人だったんだ。
「私はやめるかな。ナミネのほうが大事だし」
だったら、何故見ている。
「じゃ、あんたら他に言いたいことあるか?」
「ハッキリ言ってミナクには裏切られたわ!ミナクはそういうの見てないと思ってた!それに今ここで白黒ハッキリさせたい!」
いきなり話題が逸れた。もうミナクさんの心は戻ってこないのに……。でも、私も同じ状況ならしがみつくと思う。
「セナ王女とは別れたので、これ以上話すことはありません」
あれだけ大々的な告白しておいて、別れる時は一方的だなんて、セナ王女が納得するはずないのに。
「なんで別れたいんだよ?理由言え!」
「セナ王女のこと女として見れなくなった。魅力感じないというか……。ミネスを見てはじめて、これが本当の恋だと気づいて、セナ王女とはこれ以上は交際出来なくなった」
女として見れない。女が1番言われたくないこと。私も同じこと言われたら新しい子恨むと思う。
「あんまりだわ……。ミナクのこと信じていたのに、こんな形で裏切られて……。ミネスが憎い!ミネスをめちゃくちゃにしてやりたい!」
やっぱりそうなってしまうのか。
「甘えセナ、あんた、お子ちゃまミネスに危害加えて幸せになれんのかよ!」
「なれない。でも、どうしたらいいか分からないの。愛を失うって耐えきれない……」
「あんたならいくらでもいるだろ」
「いるけど、遠い昔のような大恋愛がしたいの!」
何か、ややこしい展開になって来た。確かに、あの時の2人は誰が見ても羨むカップルだった。2人とも思いやりあったし。でも、現世ではそうではない。あの頃の2人はもうどこにもいない。
その時、ヨルクさんが膝の上に私を乗せて抱き締めた。私は手足をバタバタさせた。落ち武者さんはフェアリーングを解いた。
「顔だけヨルク、あんた何してんのさ」
「あ、ごめん。ボーッとしてた」
私はヨルクさんから降りて、運ばれてきた食事を食べはじめた。私はゴールドにグラタンを食べさせた。
「じゃ、今からステリン懲らしめる」
どうするのだろう。私は落ち武者さんの横に行った。落ち武者さんはステリンさんのフェアリーZ広場にアクセスした後、2つ目の投稿の画像をすり替えた。落ち武者さんはステリンさんにメールをした。
『ステリン、言いにくいんだけど、フェアリーZ広場の2番目の投稿、不味いんじゃないかな?』
即ステリンさんから返信が来た。
『え、嘘!めちゃくちゃショック!私、清純派でやってるのに……どうしよう』
『こればかりはどうしようもないと思うけど?』
その後、ステリンさんはフェアリーZ広場に鍵をかけた。これでステリンさんも自信なくしたかも。

この夜、私はヨルクさんとゴールドと一緒に寝た。石鹸と紅葉の香りに包まれた夜。とても幸せな夜であった。

その後、やはりセナ王女はミネスさんを目の敵とし、ミナクさんとの別れを認めることはなかった。アルフォンス王子は何度もカナエさんに復縁を迫るものの、もうカナエさんはナルホお兄様との新しい道を歩みはじめている。

そして、いよいよタルリヤさんの実家である紀元前村の蓮華町に行く日がやって来た。私たちは森の湖に行った時のような重装備で挑むことになっていた。私はサバイバル服に着替えると髪をポニーテールに結んだ。重装備とはいえ、いつ家に戻れるか分からないし、服も1つしか換えは持つことが出来ない。非常食も恐らく足りないだろう。向こうでも食事は出るが、食べれたものではない。遠い昔ではアランさんと皇太子様が何日も前の腐りかけた野菜たちを煮込んだご飯は受け付けなかった。恐らく、メンバーの何人かは向こうで出されるご飯は食べられないだろう。現代離れするため、精神的なケアも必要だ。

私たちは、タルリヤさんも含めナノハナ家で集合すると、4班に分けてヘリコプターで紀元前村まで移動した。やはり国境を超えるわけだから4~5時間は移動にかかった。
紀元前村の蓮華町に着くと、一度ヘリコプターはナノハナ家に戻した。

タルリヤさんから聞いてはいたが、本当に当時のままだった。家は、レンガで積み上げられた洞窟のようなところで、ところどころ空き家はあるが、とてもじゃないけど、現代の家とは思えない。女性はガーゼ布で作られたまるで下着のようなワンピースを着ていて、男性はステテコのようなものを着ていた。
ふとヨルクさんを見るとゲンナリしている。
「では、皆さん、説明します。
私たちは旅行に来たのではありません。この地はもはやサバイバルです。それでも来たのはタルリヤさんが本当に現代も遠い昔である古代と変わらぬ暮らしをしているかを確認するためです。
私たちは非常食を持ってきましたが、ここでも食事は出ます。しかし、何日も前の余り物の煮物です。
ここでは、女性は家事をし、男性は食糧を捕獲しに行く毎日です。市場では野菜などは売っていますが、殆ど傷んでいます。
果物はあの向こうに見える左の崖の上にあります。薬草は右の崖の上にあります。しかし、あの崖を登り、多くの男性が今でも転落して亡くなっています。
言うまでもなく、ここには洗濯機など存在しません。みんな川で洗濯をしています。着替えは毎日は出来ないでしょう。市場で売っている服は町の住民を見れば分かるでしょう。
寝所は適当に空き家を使いましょう。公衆浴場は存在しますが、ここから3km先です。無駄な体力を使うことはオススメ出来ないので、手持ちの拭くだけシートで身体を拭くか、川で手持ちの石鹸で洗ったほうが効率的でしょう。
感染症は今でもたまにあります。不織布マスクがなくなれば布マスクを使ってください。ここではケガをしても救助隊はいませんのでそのつもりでいてください。医師は存在します。
最初に言っておきますが、ここでの仲間割れは厳禁です!
では、タルリヤさん、どうして今や先進国の紀元前村が、このように古代の暮らしのままなのか説明をお願いします」
みんなを見るととても真剣な表情をしている。そして、サバイバル経験のない者は怯えている。もしものことがあれば、ヘリコプターを要請して妖精村に帰ってもらうしかない。ここは森の湖の時とは訳が違う。
「古代紀元前村は、どこも同じ暮らしをしていた。けれど、次第に時は流れ、次第に紀元前村は発展していった。でも、ここだけは、ずっと変わらなかった。町長が建築士を要請しても拒まれ、今でも町を変えることは出来ずにいる。その訳は、古代より少し先に身分制度が人によって作られてしまったからだ。当時、蓮華町に存在した皇室も今は都会に引っ越している。貴族はこことは比べ物にならないくらい豪華な生活をしている。一般市民だって普通の暮らしをしている。けれど、この町は気付けば村八分と呼ばれるようになっていた。最先端技術が進む中、ここだけ時間が止まっているんだ。学校なんてお金がなくて通えないし、そもそもここには職業そのものが存在していない。医師はいるけれど、感染症が起きた時は病院に患者は入り切らず多くの患者が外でワラのシートの上で苦しんでいる。そして、この蓮華町だけ恋愛感情を知る人間は殆どいなくて、合意で男女は交わっている。中には無理矢理する人もいる。2020年なのに、こんな暮らしに耐えきれず、僕は妖精村に引っ越したんだ」
時代の流れで、ここだけ差別を受けてしまったのか。けれど、この現実を皇帝陛下は完全に無視している。ここは誰が見ても酷い暮らしだ。村八分というより、日本村で言うところの部落だろうか。いや、それよりも酷い。何もかもが発展しているこの時代に古代の暮らしをしている町が存在しているだなんて、妖精村では考えられない。いや、妖精村も私が知らないだけで、こういった町が存在しているのかもしれない。
「そうでしたか。この町だけが差別を受けるようになってしまったのですね。この時代で学校も行けず職業もないと、まさに古代的な暮らしのループですね。タルリヤさんには妖精村で大学まで通って青春を謳歌してもらいたいと思います。では、次にかつてここに来たことのあるカナエさんの話を聞きましょう」
「カナエは、応援として遠い昔、この紀元前村に来ました。つまり、来るのは二度目ですが、暮らしが全く当時のままです。
服装に関してはカナエは着物、セレナールはドレスで来ましたが、動きやすさを重視するなら市場で売っているワンピースがちょうど良かったです。ですが、ここの暮らしは決して楽なものではありませんでした。カナエは薬草をエミリは果物を取りに行き、それを他の住民の人たちに配りました。返ってくるものは数日前の手料理でしたが、カナエたちは隣人と仲良くすることを重視したのです。人は1人では生きていけません。感染症が起きた時は、果物や薬草を分けた隣人たちも手伝ってくれました。カナエとしては、今回も果物や薬草は隣人の人に分け、隣人たちと仲良くしたいと思っています」
今着ているサバイバル服は軽くて動きやすい。防水にも長けているから川の中にもそのまま入ることが出来る。サバイバル服だけはなくしてはいけないと思う。けれど、古代にそのようなものはなかった。ここでは着るものも何着か必要になってくる。
果物や薬草を市場で売らず隣人に分け与えるのは正しいかもしれない。市場に出回れば、買えない人も出てきて諍いになりかねない。2020年現代も隣人との交流は必要だろう。
「皆さん、聞きましたか?カナエさんによると、この町は遠い昔と少しも変わっていないそうです。私も、取ってきた果物や薬草は市場で売るより隣人に分け与えたほうが効率がいいと思います。
ただ、今着ているサバイバル服は軽くて動きやすく、防水にも優れているので、絶対になくさないようにしてください。
それと、サバイバルとはいえ、向き不向きがあります。出来ないことを無理にしなくても構いません。果物や薬草を取りに行ける人は取りに行き、市場に買い出しに行く人、川で洗濯する人、食器の洗い物をする人、川で魚を取る人、山でキノコなどを取る人、それぞれがそれぞれに合ったことをしてください。
では、まず手始めに、ここに置かれたタルリヤさんのお家のご飯を残さず食べてください」
洗濯や洗い物は危険度が少ないだろう。果物や薬草も私やラルク、カナエさんが入れば十分だろう。けれど、市場にはまず新鮮な食べ物など置かれていないだろう。
「不味い!」
「うっ、無理だわ」
「このようなもの食べれるわけがない」
「臭いが既に無理です」
(以下略)
やはり、サバイバルに適していない人のほうが断然的に多い。えっと、完食できたのは、タルリヤさん以外だと、私とラルク、落ち武者さん、カナエさん、カラルリさん、カラン王子、ミナクさん、ナルホお兄様、ナヤセス殿、リリカさん、ナナミお姉様か。
かつて食べていたセレナールさんは現世では食べられず、サバイバルに強いセナ王女とアルフォンス王子も食べられないか。
「カラン王子は、どうやって食べ切れたのですか?」
「僕は小さい頃、母と共にこのような町の支援をしていました。母は言ってました。出された食事は町の人の精一杯のおもてなしだから食べるようにと」
人は地位や名誉、お金で決まるものではない。親が子を正しく導けば、その子は良き方向に育つ。カラン王子は次の国王と言っても過言ではない。
「聞きましたか、ヨルクさん。ここの食事はこの町の人にとっては欠かせないものなのですよ」
「何故、私のみに言う」
「本当に情けないわね。ヨルクもそうだけど、セレナールは一度ここに来ているのに食べられないし、セナ王女は育ちの悪さで食べれないなんて。クレナイ家に相応しくないわ」
うわー、リリカさん厳しい。ズームさんのためとはいえ、セレナールさんが少しでも変わろうとしないとラルクとは釣り合わない。もう昔とは違うんだ。
「では、今日は果物のある場所を見に行き、明日は市場に買い足しに行こうと思います。果物のある場所は皆さん行かれますか?」
みんな気になるのか、果物のある場所はタルリヤさんの案内の元、メンバー全員が向かいはじめた。

話には聞いていたが、とても険しい崖だ。未経験者はまず登れない。この崖をエミリさんはカギのみを使ってタルリヤさんを背負いながら登って行ったのか。
「先程も話したように、この崖を登り多くの男性が転落死しました。折り鶴は使ってもらっても構いませんが、怖い人は下で待っていてもらって構いません。写真を撮ってきますので」
「えー、行きたい!」
「うーん、ではラルクに背負ってもらってください」
やはり、これだけ急なほぼ直面の長い崖でも、その上が気になるのだろう。
その時、セナ王女が命綱もロープもなしでカギのみで崖を登りはじめた。
「今のセナ王女の登り方が、当時エミリさんが登っていた方法です。登り方は皆さんお得意な方法でどうぞ」
さて、私はお武家特殊ワイヤーで登ろう。
「ヨルクさんは登らないのですか?」
「……」
何故何も言わないのだろう。
「あ、では、お先に行ってます」
「待って!置いていかないで!」
まさか登れないのだろうか。ヨルクさんは優しい。でも、とても女々しい。
「仕方ないですね。しっかり捕まっていてください」
「うん、ごめん」
私はヨルクさんを背負うと特殊ワイヤーを気に巻き付け上に登った。私とラルク、落ち武者さんは登れない人のために、何度か登り下りした。

まるで、アダムとイブの果樹園だ。
「はい、ここはエミリさんとタルリヤさんが愛し合った場所です」
「あんた、なんで余計なこと言うのさ」
「ここに、多くの果物が存在しているのは、殆どの人が日常的に諦めているからです。だから、果物はそのまま残っています。崖を登り下り出来る人は、持って来た袋に果物を詰めてください」
ここで何人か何もせず座っている人がいる。まあ、初日だからいっか。
「あのさ、何もしてない人って、自力で崖も登ってないよね?楽してると思わないの?」
やはり指摘する者は指摘するか。アルフォンス王子こそ、昔の力量は持ち合わせていないのに。
「ラハルは何もしなくていいわ!」
ここで生まれる変な差別。リリカさんはどこまでもラハルさん推しなんだな。
「じゃあ、ラハル以外動いてくんない?」
カナエさんと別れたからアルフォンス王子はいつもより苛立っている。
「あ、写真を取るだけでも構いません。今日は下見ですので、果物見ているだけでも大丈夫です。ラハルさんはまたドラマの題材にでもしてください」
「ナミネ、監督みたい」
「えへへ」
ここは私の思い出の場所ではないけれど、かつてカラクリ家にいた人の大切な思い出の場所だから。一度来てみたかったんだよね。
えっと、ズームさんは地図を描いているのか。めちゃくちゃ細かっ!
「生理が来ちゃった」
「私も」
ミネスさんとセレナールさんが突然のハプニング。1日目でサバイバル服を汚すのは良くない。
「誰か、パンツ貸していただける方いますか?」
「あんた、それズレてるだろ」
その時、カナエさんが木の下にある大きな草をちぎった。
「この草は吸収性があります。一時的に使用してください。けれど、帰ったら持って来た布ナプキンに付け替えてください」
「分かった」
「私、ナプキン持って来なかった」
「セレナールってどれだけ人に迷惑かけたら気が済むのかしら?貧乏なくせにお嬢様気取りもいいところね」
やっぱり、不慣れな人がいるとセナ王女みたいに目の敵にする人も出てくる。
「あ、布ナプキンなら市場にもあるので明日買ってください。それと、夜は絶対に崖は登らないでください。夜は真っ暗になり気温もかなり下がります。どれだけ慣れていても夜の崖登りは危険ですのでしないでくださいね。
ナヤセス殿、どうですかな?」
「正直驚いたよ。古代のままの町が現代にもあるだなんて。目を疑った。でも、この果樹園はとても見事だと思う。当時の状態がそのまま残っているからなのか、無農薬で妖精村にはない特殊な成分も入っている。医者志望として来てよかった」
ナヤセス殿はここに来てから果物の成分を調べている。また月城総合病院に情報提供するのだろうか。ナヤセス殿は都会の病院からもオファーが来ているが、何もなかった頃、ハル院長の研究チームに入れてもらい、命をつなぎとめたことで、ナヤセス殿は将来の就職先は月城総合病院1本しか考えていないのである。
「それは良かったですな。薬草が生えている場所もここと似たようなところなので、興味があるならカナエさんに連れて行ってもらってください」
「薬草はカナエとナルホが取ってきますので、見学希望者は着いてきてください」
カナエさんとナルホお兄様はとにかく植物や薬草に詳しい。正直、交際して良かったのかもしれない。
「僕も行きたい」
「ロォハが行くなら私も行く」
「なあ、ズームも行かないか?」
「言われなくても行く!」
「でしたら、私も行きたいです」
ロォハさんにミネルナさん、ズームさん、ロォラさん、アヤネさん。薬草見学チームも随分集まった。
「では、市場を見た次の日を予定していますので、紙に名前を書いてカナエに渡してください。カナエとナルホが連れて行きます」
座っている人もいたけれど、果物は随分集まった。これを隣人に分けて隣人と仲良くなれればベストだ。
「では、日が暮れる前にタルリヤさんの家に戻りましょう」
私とラルクと落ち武者さんは果物を先に下ろした後、下りれないメンバーを下に下ろして行った。

タルリヤさんの家に着く頃には陽が傾いていた。
「あ、今後ですが、崖も登れなくて釣りも出来ない人は、お皿洗い、洗濯に回ってもらっていいですか?」
「いやよ、私、遠い昔も何もしてなかったから」
「私もいや!洗濯とか気持ち悪い」
セレナールさんとミネスさんは何もしない気でいるのだろうか。セナ王女だって今後は果物取りに行くというのに。
「私は構わないわ」
「僕とユメも大丈夫」
「私も別に構わないが」
エルナさんと、委員長、ユメさん、ロォラさん。少し少ないけど、頼むしかないか。
「ではお願いします。足りなければ、私とラルクも洗濯物をします」
ここで、おじいさんの修行が役に立つ。
「あのさ、ナミネとラルクには鹿とか捕まえてきて欲しいんだけど」
「この町には猟師がいますので、肉類なら市場で高値で買えます」
アルフォンス王子は何故1日目からチームワークを乱すのだろう。何だかいやだな。
「あ、では、この町の地図を配りますのでなくさないでください」
私はみんなに地図を配った。1日目はどうにか終わったけれど、この先が心配だ。大きくチームワークが乱れないといいのだが。
果物はリリカさんが管理しているため、無闇に食べられず、夕ご飯はみんな殆ど食べれなかった。
私とラルク、落ち武者さん、エルナさん、ヨルクさんは空き家に入った。

……

あとがき。

セルファではなく、珍しくナミネが今回はリーダー。

果たして、このサバイバルで、みんなは何を得られるのだろう。

……

この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
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純愛偏差値 未来編 一人称版 78話

《ヨルク》

パーティーが終わると、私たちはユメさんの別荘のリビングに来たのだが、突然、武官が現れミネスさんに襲いかかった。けれど、誰も助けようとしない。正直、私もナミネとの幸せを壊した共犯者には情けをかけたくない。
「クゥン」
ゴールドがミネスさんを見ながら鳴いた。
「ゴールド、ミネスさんが好きなの?やっぱり家族だもんね」
ナミネは武官に百人一首を投げた。百人一首は猛スピードで武官の周りをグルグル回りはじめた。次にナミネは花札を投げ、武官を拘束した。私も花札は持っているが殆ど使わない。花札はつがいになっているのを投げるのだが、1枚目を投げて、2枚目を投げたら拘束。けれど、ナミネは慣れているから、いつも2枚同時に投げている。
「ミネス、この際だから言っておくね。個人的なワガママな思いで逆物質持ち込んで、僕とナミネの関係を引き裂いて何かメリットでもあったかな?僕はたくさん苦しんだ。君の顔は二度と見たくないくらいにね」
「ナルホ、ごめん!ちょっとしたことが、おおごとになると思ってなかった!必ず償う!」
「ナルホ、遅くなりましたがバレンタインのチョコです。カナエの手作りなのです」
「ありがとう、カナエ」
カナエさんがアルフォンス王子と別れられたことは良かったかもしれないけれど、ナルホさんとナミネの間には大きな亀裂が入ってしまった。
「ゴールド、今日は一緒にお風呂入ろうね。ラルクも一緒に入ろうよ」
「そうだな。クレナイ家はペット禁止だからいい記念になるだろうしな」
「じゃ、僕も入る」
何故、私が含まれていない。
「ねえ、落ち武者さん、どうしてナミネと一緒にお風呂入りたがるの?ナミネは私と入るから」
「あんたさ、少人数で入ってたら、みんなが入れないだろうが。1班と2班に分けて入るから、この用紙で確認しとけ!」
「ズーム、このドレスどうしたらいいんだ?」
「脱衣所に置いておいて。着替えは脱衣所のルームウェア着ていいわ」
ユメさんの別荘って何だか懐かしい。いつもセナ王女の別荘だったから。
「分かった」
「先にメイクだけ落としますね」
アヤネさんはコットンにクレンジングオイルを染み込ませ、ロォラさんのメイクを取ると、再びコットンに化粧水を染み込ませ、ロォラさんのメイクを拭き取った。最後に髪も元に戻した。
「じゃ、風呂行く」
「なあ、ズーム、裸で入るのか?」
「自分で考えろ!」
「入る時はバスタオルがあります」
1班にカンザシさんがいないだけでも、まだマシかな。

脱衣所に着くと、ナミネは堂々と脱ぎはじめた。ミネルナさんも、ロォラさんも普通に脱いでる。あんまり気にしないのだろうか。
「ねえ、ラルク。ヨルクさん、ミネルナさんのこと見てるよ」
「美人と混浴出来るから浮かれてんだろ」
何故、私を侮辱する。
「私、そんなピンポイントで見てないから!こじつけないで!」
「あんた、明らかミネルナのことガン見してただろ」
何故、私を悪者にする。
「行くよ、ゴールド!」
「あ、ナミネ、ちゃんとタオル巻いて!」
ナミネにタオルを巻かせるとナミネはゴールドとラルクとお風呂に向かって行った。
「ほら、ミネルナが脱いでるぞ」
「私は興味ない」
と言っても、ミネルナさんスタイルいいなあ。
「じゃ、行くぞ、エルナ」
「あ、待って!」
私は慌てて落ち武者さんを追った。

お風呂の中ではゴールドとナミネが泳いでいる。
「ねえ、ラルク。人魚の湖があるらしいね。でも、やっぱり、今のタルリヤさんの実家見に行くほうが先だよね」
「まあな。これだけの年数が経っているにも関わらず古代のまんまなんて考えにくいからな」
本当に古代の暮らしから少しも現代へと更新されていないのだろうか。そんなことって本当にあるのだろうか。妖精村では考えられない。
その時、カンザシさんが入って来てナミネのタオルを取ってしまった。ゴールドはカンザシさんの手に噛み付いた。
「カンザシさん!私に恨みでもあるのですか!」
私はナミネに再度タオルを巻いた。
「ナミネ、外の露天風呂行こう」
私はナミネを連れて、外に出た。まだ、冬だからお湯に浸からないと寒い。ナミネにあんたことするだなんて本当信じられない。私はナミネを抱き締めた。
「ナミネ、大丈夫?」
「私、ムカつきます」
「そうだよね。でも、こんなところで関わらないほうがいいよ」
万が一のことがあれば、私は耐えきれない。私はナミネの頬に手を当てた。
「あんたら何してんのさ」
「わっ!落ち武者さん、ビックリさせないでよ!」
私は咄嗟にナミネから離れた。
「カンザシがズームの背中に勾玉のアザがなくなっていることに気づいて焦ってる。2番目風呂では、甘えセナがミナクとお子ちゃまミネスの携帯割ったらしいぜ」
セナ王女、執念深い。ナミネはゴールドの身体を洗いはじめた。けれど、カンザシさんが暴れはじめたため、みんなはお風呂から出はじめた。
「ナミネ、私たちもそろそろ出よう」
私はゴールドの身体を流した。
「はい」
「念の為、結界かけて出るぞ!」
私はナミネの結界に入り、急いでお風呂から出た。

リビングに戻ると、セナ王女がミナクお兄様とミネスさんを責めていた。
その時、何かが鳴った。え、私の携帯?
『ヨルクさんが同級生のステリンさんのキュート動画を保存しました』
携帯が喋った。てか、私ステリンに興味ないし保存なんてしてない!けれど、このままではナミネに誤解されてしまう。
落ち武者さんは私の携帯を取り上げた。
「あんた、身近な女のいかがわしいの保存してどうすんのさ」
「違う!私、保存なんてしてない!」
誰が私をハメたのだろう。
ステリンは容姿端麗でクラスメイトの男の子からも人気の一軍女子だ。メールはそれなりにくるけど、私からは殆ど返していない。
「落ち武者さん、その動画見せてください!」
えっ、待って!声に出す間もなく、落ち武者さんは動画を再生した。

1つ目の動画は中年おじさんと、2つ目の動画はイケメン男優とだった。
どちらにしても、ステリンは『ダーメ』と言って、終了までひたすらじらしていた。それがステリン節なのである。

ステリンは、何も見せない、何も許さないことで、純粋キュート女優と呼ばれるようになり、一気に多くのファンがついた。
ファンはステリンの作品にコメントをしていた。
『純粋すぎる!』
『若いのに偉い!』
『純粋なステリンを応援する』
『どこまでも応援する』
『ずっと続けてほしい』
『自然な演技が魅力的』

妖精村では中学1年生からキュート女優をすることが許可されている。ステリンは綺麗系だけど、地味な女の子イジメていたりするし、私はあまり好きではない。それに、中学生だと幼いし、魅力も感じない。高校生くらいなら少しは魅力も感じただろうけど。
「ねえ、ラルク、ヨルクさん、こういうの見てるんだ。こういうのって流行ってるのかな?」
「まあ、露骨でなく、かつ純白守ってるところが男心くすぐるんだろうな」
「あの、皆さんはどう思います?」
何故そこで聞く。
「こんなの完全に浮気じゃない!同級生のキュート動画見るなんて絶対許せない!」
セナ王女はやっぱり、どれもこれも許せない派か。
「カナエはアルフォンス王子様と交際していた時なら即別れていたと思います」
「私は気にしないわ。ただの動画だし」
エルナって意外に寛大なんだ。
「私は少しいやです。比べられているみたいで」
アヤネさんは同級生との比較を気にするタイプか。
遠い昔は、妖精村ラブラブ雑誌1つしかなかったから、こういうややこしい問題は出てこなかったけど、現代はこういうのが原因で別れるカップルも多いらしい。現に遠い昔のセレナールさんだって、突然貴族の間で流行りだした映像を皇太子様が見たことから拗れはじめた。
「あんたこれ、メール開いた時点で保存される仕組みになってるだろうが。ステリンは表では清楚な一軍女子演じてるけど、裏ではパパ活してんだよ。地味にあんたのこと狙ってるし気をつけろよ。それから、ステリンの演出に憧れて何人かのクラスメイト女子がステリンにそそのかされ、体験の段階で第1を喪失してショックで登校拒否してたりもするからな」
ステリンはずる賢い。何も知らないクラスメイトにキュート女優の面接のことを誤魔化して教えたのだろう。ステリンみたいに清楚でいられると思い込んだクラスメイトが何人かステリンにハメられたわけか。
でも、これでナミネは私を誤解せずに済んだだろうか。
その時、カンザシさんとミナクお兄様がトイレに駆け込んだ。なんて単純な生き物なのだろう。
「なあ、ズーム。あの動画のどこがいけないんだ?兄貴なんかもっとハードル高いの見てるけど」
「ロォラ、嘘はよくないよね」
「ロォラ!見てるのが同級生のだから、いやがる子もいるって話してただろ!」
「うーん、私の元カレ、同級生を盗撮してたけどな」
何故それを許す。ロォラさんてイマイチ分からない。
「あ、これカンザシさんが持ってたDVDだ」
ナミネは勝手にカンザシさんのDVDを再生した。
……。
めちゃくちゃ気持ち悪い。こういうの絶対無理。
アルフォンス王子もカラルリさんもバッチリ見てる。
「ねえ、ラルク。何か女の子の清楚感ないよね」
「まあ、男性用に作られたわけだからな」
「気持ち悪い!」
私は思わず消してしまった。
「あのさ、いいところ何だから消すのやめてくれる?」
アルフォンス王子は再生した。
「アルフォンス王子様と別れてよかったのです」
「こんなの浮気だわ!彼女を裏切ってるじゃない!」
カナエさんはともかくとして、セナ王女はどこまでも許せない人なのか。
「とりあえず、古代に発行された妖精村ラブラブ雑誌は痴漢やイジワル防止に作られたんだ!動画も同じだ!理解出来ないヤツはフェアリー知恵袋に似たような悩みが投稿されているから、それでも参考にしてろ!」
そうか。現代はフェアリー知恵袋がある。それなら、ベストアンサーの回答が参考になるかもしれない。
「ラルク、フェアリー知恵袋見てみようよ!」
「ナミネが調べろよ」
「キーワードは?」
「彼氏 キュート動画とかじゃないか?」
ナミネはさっそく調べ始めた。私も調べようと思った頃にはナミネが検索結果を出していた。
「あー、いっぱい件数出てきたよ!」
「ナミネ、私にも見せて」
「はい」
私とナミネは1つ目の相談者の投稿を見た。

《相談者A

真剣な悩みです。
冷やかしとか積極はやめてください。

交際して4ヶ月の彼氏がいるのですが、私に隠れてキュート動画を見ているんです。正直、私は他の女の子のキュートを見ることが理解出来ないしめちゃくちゃいやです。

彼氏には何度もいやなことを伝えたのですが、その時は『もう見ない』と言っていたのに、少しするとまた見ていました。私としては裏切られた気持ちです。
再度、彼氏にいやなことを伝えたところ『鬱陶しい』と言われ、その後、携帯にロックをかけられてしまいました。

彼氏のことはまだ好きなので別れることは考えていません。
けれど、彼氏のキュート動画閲覧はいやでいやで仕方ありません。

どうしたらいいでしょうか。》
女の子って、これほどまでに彼氏のキュート動画閲覧をいやがるものなのか。だったら、世の中のカップルはどうしているのだろう。
えっと、この相談に対するベストアンサーは……。
《ベストアンサー

古代に発行された妖精村ラブラブ雑誌の進化版が現代のキュート動画です。リアリティがあるため、中には怪訝する女性も多いでしょうけれど、原点を遡ると痴漢やイジワル防止に作られたものなのです。

男性の脳内は、好きな人への愛情とは別に、美しい人を見た時にドーパミンとセロトニンが分泌されます。
男性は原始時代から、出来るだけ有能な遺伝子を残したいという本能が組み込まれているのです。それはまた、無意識な感情で本人でさえなかなか気づくことのない感情です。

言ってしまえば、彼氏さんがキュート動画を見るのも無意識な感情で止めることはほぼ不可能に近いですね。簡単に言うと、美しい絵画を見て美しいと感じるようなものなので、主さんが極度に気にすることはないと思いますが、気にしてしまうのが現代の女性の特徴かもしれません。

けれど、キュート動画を見るのは無意識の感情で何の悪気もないので、あなたがまだ交際を続けたいのなら、少し遠くから見守ってあげませんか?》
美しい人を見た時にドーパミンとセロトニンが出る。有能な遺伝子を残したい。
いわゆるこれが核心というものなのだろうか。
1つだけだと、何となく分からないから、もう1つ見てみよう。
私は他の相談投稿を見た。

《投稿者 匿名

私は高校2年生です。
交際して8ヶ月の彼氏がいるのですが、特定のキュートレディとキュートチャットしているんです。ただのチャットだけでなく、キュートレディに要望を答えてもらうために、チップ(お金)払ってるんです。
彼氏がキュートチャットに注ぎ込んだ額は250万円を超えています。
交際当初は、結婚資金を2人で貯めようと話していたのに、まさか彼氏が銀行から借金してまでキュートチャットをしているとは思わなくて驚きました。
課金しなくてもいやなのに、借金までする人と交際を続けていいのか不安になっています》
もうミナクお兄様レベルだな。時代ゆえ、求めれば求めるほどなくなるのはお金か……。
《ベストアンサー

人は、ハマりすぎると、どれだけお金を使ったかなんて考えなくなりますからねえ、。

課金をしていない状況なら話し合いもありだったかと思いますが、大金を課金してまで、あなたとの将来よりキュートチャットを選ぶなら、その彼とは別れることをオススメします。

高校生とまだ若いんですし、早く別れて、あなたの未来を大切に考えてくれる人と一緒になれるよう応援しています。》
確かに、パートナーとの未来を考えられないのなら、自ずと別れに繋がっただろう。この中にもキュートチャットをしている人いるのだろうか。それにしてもミナクお兄様、トイレに行ってから遅いな。何してるのだろう。

「なあ、ズームもキュート動画見るのか?」
「見るわけないだろ!あんな下品なの!」
「ズームさんは童貞ですか?」
「本当に人のプライベートに土足で踏み込んで来るんですね」
そういえば、カップル日記にそれっぽいこと書いてない人って分からないな。落ち武者さんは思いっきりエルナとしてたけど。人って見かけに寄らないから表の顔だけでは何も分からない。
「お兄ちゃんは童貞だよ。そっち関連のことほ全くノータッチ」
「あ、そうなんですか。ナヤセス殿もそうです」
「へえ、意外だね。彼女のひとりやふたりいるかと思ってた」
「孤児院から抜け出して、そこから色々大変だったからね。動画なんて存在さえ知らなかったよ」
何故、亀裂の入ったミネスさんとナミネが仲良くしている。女という生き物が私には理解し兼ねる。
「さて、皆さん、フェアリー知恵袋は見ましたか?1万人を超える人が彼氏のキュート動画閲覧をいやがってます。しかし、キュート動画閲覧は男にとって子孫を残すための動画でもあります。だとしたら、熟女版キュート動画を見れば皆さん気になりませんよね?」
何故そうなる。そこまで縛られたら何も見れないではないか。
「確かに熟女なら見てもいいって思えるかも」
セナ王女って、そういうタイプだったのか。
「私も熟女なら構いません」
アヤネさんまで……。
「では、落ち武者さん、この中で誰がキュート動画を見ているのかフェアリーングかけてください」
私が誤ってステリンの動画を保存してしまったとはいえ、事態は変な方向に向かいつつあった。

……

あとがき。

昨日、めちゃくちゃお腹痛くて小説書けなかったよ。
今日は二度寝してから書いてるけども。

何か、ヨルクの携帯から変な展開になってしまった。

……

この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
純愛偏差値 未来編 一人称版 77話

《ナミネ》

「ナミネさんからもらってないなら意味がない!どうして僕だけ苦労しなきゃいけないんだ!どうして僕だけ親ガチャ運ないんだ!苦労した分だけみんなから嫌われて、こんなのあんまりだ!」
このような親の不倫によるテテなし子の育て親による虐待は妖精村でも問題にはなっているが、福祉センターも全ての人は救いきれず、小さい間に保護されるケースも少ない。
ナヤセス殿は、赤ちゃんの時に育ての親から孤児院に入れられ、そこでイジメられるものの、研究員の仕事をし、今の地位を築いたが、ナヤレス殿は育ての親からの虐待に耐え切れず、今もまともな暮らしを出来ずに苦しんでいる。
また、妖精村は10歳から結婚が出来るため、小学低学年の小さい子供しか保護はしてくれず、高校生にもなると保護センターも相手にはしてくれない。
『もう少し頑張れないかな?』
『自分でどうにか出来ないかな?』
『甘えててもどうにもならないよね?』
世間は人が思うよりずっと厳しい。
自分で道を切り開けない人ほど、人への依存を求めてしまう。
カンザシさんがヨルクさんのチョコを盗んだのも1種の病気であると思う。幼少時代に虐待を受けていた人は、成長するとともに過去の恐怖が強まり、他者に対して攻撃的になりやすい。これをイルージョンと呼ぶらしい。
親から逃げて一人暮らしをしても、仕事が上手くいかず、そのうちに生活保護を申請し、現実を見なくなる人も後を絶たない。
そういう意味では、今現在、会場の前でセナ王女とミネスさんのバトルは無いものねだりのワガママにも思えてくる。
その時、ユメさんと委員長が来た。
「もうセナさんたちがああだから、クラフにチョコ渡し会出来なくって、さっき渡しちゃった」
「あー、あれはもう誰にも止められませんね」
セナ王女とミネスさんのバトルは激しい。けれど、証拠からもミネスさんが有意になっていいはずなのに、幸運の女神はセナ王女に微笑んでいる。まさか、セナ王女の背後に誰かいるのだろうか。でも、助けたくない。セナ王女はともかく、私の何世紀もの青春を奪ったミネスさんには一欠片の慈悲も持ち合わせていない。
「まあ、渡せただけマシだと思うけど?」
「ナミネ、チョコが入るようにツーショット撮っていい?フェアリーZ広場に投稿したいから」
「分かりました」
ラハルさんは私があげたチョコを指に挟んで私とのツーショットを撮った。シャッターを押す前にゴールドがジャンプして私とラハルさんの真ん中に入った。
「いい写真撮れましたね!」
ラハルさんが写真をフェアリーZ広場に投稿すると、私はその投稿写真を保存した。
「ラルク、本命チョコよ!」
うわぁ、見た目ぐちゃぐちゃだ。ラルク可哀想。
「あの、それって今作ったんですか?」
「そうよ。向こうでチョコ作り体験してるわ」
そうだったのか。そこで、ヨルクさんのチョコ作り直そうかな。
「ラルク、チョコ作り体験行こうよ!」
「そうだな。ホワイトデーの練習として作っとくか」
「じゃ、僕もいく」
「みんなしてどうして僕を無視するんですか!」
カンザシさんをスルーして、私とラルク、落ち武者さん、ズームさん、ロォラさん、ヨルクさんはチョコ作り体験へと向かった。

セナ王女とミネスさんのバトルでチョコ作り体験も殆ど人がいなかった。焼くと時間かかるし、生チョコにしようかな。私は溶かしたチョコに生クリームを入れた。
混ぜた後、私は氷の舞でチョコを少し固めた。
「ラルク、見て。馬の交尾。人間と殆ど変わらないよね」
「いや、ちょっと違うだろ」
「ナミネ、恥ずかしいからやめて!」
ここ人殆どいないのに何が恥ずかしいのだろう。ヨルクさんって冗談が全然通じない。
「別にここ身内しかいませんし、恥ずかしいも何もありませんよね」
「こういうところで、そういうことしないで!」
「えっ、でもヨルクさん、ト……」
言いかけて私は口を塞がれた。所詮、男は人間も動物も同じだ。
「セレナール先輩、また作るんですか?市販でいいと言ったでしょう」
「だって、ラルクに愛情伝えたいもん」
「んー!んー!」
ヨルクさんに口を塞がれ喉から声を出すとゴールドがヨルクさんの手を振り払った。私は生チョコを星の型に入れて青色のパウダーでグラデーションした。仕上げに氷の舞で程よく固め、冷たくした。型から取り出すと、クッキングシートをラッピング用の箱に入れた。
「ヨルクさん、ケーキではないですが、見た目はさっき渡したのと似てますので、2度目の本命チョコです」
私はヨルクさんに星型の本命チョコを渡した。
「ありがとう、ナミネ。凄く嬉しい」
ヨルクさんは星型の生チョコを写真に撮った。その瞬間、カンザシさんが、星型のチョコを手に取り食べてしまった。はあ、二度目か。
「カンザシ、あんたどういうつもりだ」
「あの、カンザシさん、あなたどういう神経してるんですか?」
「カンザシ!いい加減にしろ!」
私は余った生チョコに赤色のパウダーでグラデーションするとハートの型に入れて氷の舞で固めると型から出した。
「僕だけ除け者なんですね。みんなイジメって楽しいですか?」
私はゴールドの上に乗ってハート型の生チョコを唇に当てた。
「ラハルさん〜!写真撮ってください〜!」
「ナミネ、モデルみたいだね」
ラハルさんは私とゴールドのツーショットを撮った。
「ナミネ、フェアリーZ広場に投稿していい?」
「はい、構いません」
ラハルさんがフェアリーZ広場に投稿すると、私はその写真を保存した。そして、ハート型の生チョコを加えるとヨルクさんの袖を引っ張った。
「ナミネ、凄く美味しい」
ヨルクさんは私を抱き締めた。
「ほら、記念写真だ」
落ち武者さんは私とヨルクさんにメールをした。添付画像を開くと、ハート型の生チョコを加える私とハート型の生チョコを見つめるヨルクさんと私の写真があった。うん、絶妙なバランスだ。
「今年はナミネの本命チョコ食べられて幸せ」
1粒でもヨルクさんに食べてもらえてよかった。私はカップル日記を開いた。

『ナミネから星型の青色のグラデーションのチョコケーキもらった。妖精村はじめてのナミネからの本命チョコ。嬉しすぎる。生きてて良かった』
『1つ目のナミネからの本命チョコなくなっちゃったけど、2つ目の星型の青色のグラデーションの生チョコもらった。幸せすぎる』
『ハート型の1粒に込められたナミネの想い』
ヨルクさん、3つとも投稿してる。妖精村時代、両想いになってはじめての本命チョコ。何だか私も嬉しい。

「ナミネ、イルカさんのチョコだよ」
「わあ、可愛い!」
私は即写真に撮った。そして、食べようとした時、カンザシさんが床に落とし、踏み付けた。私は思わずカンザシさんを引っぱたいた。
「カンザシ、あんた出てけ!」
その時、ユメさんがカンザシさんの肩にイエローカードを貼った。そして、マイクを手に持った。
「本日は私の彼氏の誕生日会にお越しくださりありがとうございます。皆様には楽しんでもらいたいですが、行動は慎んでください。暴れたり、人に迷惑をかけるなどの行為をした人には私がイエローカードを貼ります。レッドカードを貼られた者は即退場とします。それでは引き続き、誕生日会を楽しんでください」
1つ目のチョコがなくなった時点でユメさんに知らせれば良かったかな。とりあえず写真だけは残っているから私はカップル日記に投稿をした。

『チョコ作り体験にて、ヨルクさんが青いイルカの生チョコを作ってくれた。食べれなかったけど、想い出の写真だけでも投稿』
これでよし!
あれ、コメントついてる?
『カンザシ:ナミネさんの手作りチョコ、すっごく美味しかったです』
こういうの何だかいや。

「ズームは、こういうパーティーよく行くのか?」
「メンバーで行く時は最後までいるけど、後は顔出しだけだ!」
「ねえ、ラルク、テテなし子って育ちが悪いよね」
「あんた、テテはあんたの家にいるだろうが」
いるけどさ。やっぱり、ちゃんと両親揃って……両親揃って……あれ、分かんないや。
「まあ、こればかりは忍耐力だわな。カンザシさんには耐えきれないんじゃないか?」
「あー、そうだねー。ラルクなんて私の目の前で熱湯かけられてたもんね」
ラルクの母親は子を純粋に愛し育てていたが、ミナクさんが3歳の時、交通事故にあって、それから、ヒステリーを起こすようになってしまったのだ。それが原因で、クレナイ家の子はナノハナ家でよく遊んでいた。ラルクは持ち前の能力で耐え切り、ミナクさんは第3母屋のおばあ様おじい様のところに逃げ、ヨルクさんだけが気絶するまで酷い虐待を受けていた。クレナイ家のお母様は今でもナノハナ家に相談に来ている。
「まあ、ズームさんとこみたいに幸せな家庭ってなかなかないわな」
「だねー。浮気とかナノハナ家だけだしさー」
「難しいね。僕のところは、ごくごく普通の一般家庭だけど、お金持ちのナミネやラルクが苦労してるとは全然予想もつかなかったよ」
「あー、はたからは見えませんからね」
そう。隣の芝生は青い。けれど、フタを開ければそうでないことのほうが世の中多い。愛し合っての結婚のはずなのに、時が経てば結婚式で誓い合った気持ちは枯れ果てる。仮面夫婦が多いそうだが、やはり、不倫する人もそれなりにいる。コミリやレイン漫画のように。
「あの、ズームさん、このチョコ良かったら……」
「ありがとうございます、アヤネさん」
「あの、落ち武者さん、男たちにフェアリーングかけて、タイプの女性聞き出してもらえませんか?」
「りょーかい」
落ち武者さんは、ヨルクさん、ズームさん、ラハルさん、カンザシさん、ミツメさん、ミナクさん、カラン王子、アルフォンス王子、委員長にフェアリーングをかけた。
「あんたらの好きな女のタイプ言ってみろよ。ついでに、この会場の中なら誰かも言え!」
「私は綺麗で黒髪で胸が大きい人かな。ミネルナさんが綺麗だと思うけど、黒髪じゃないからこの中にはいないかな」
ヨルクさんって極度の面食いだ。私のこと本当に好きなのだろうか。
「僕は今でもナミネさんです。前世の美しいナミネさんにはかなり惹かれましたが、現世の可愛らしいナミネさんにはすぐに心奪われました」
はあ、ズームさんの彼女だったら、喧嘩とかなく穏やかな交際が出来そう。
「僕もナミネ。具体的には前世のナミネだけど、現世では演技力に惹かれた。ナミネには多くの魅力があると思う」
ラハルさんも私を推してくれている。
「ナミネさんです。好きで好きでたまらなくて、もう心が爆発しそうです」
カンザシさんのコメントはいらないや。
「ナミネさんのキュートさが好きです」
ミツメさんの事件解決してから、すっかり好かれちゃった。
「私はミネスに惚れてる。でも、胸はDカップ以上、ウエストは64cm以下、身長は155cm〜158cm、清楚で純粋な女がタイプだ。会場内ならミネルナさんだろうか」
うわー、兄弟揃って被ってるよ。クレナイ家三兄弟は何故にこうまで面食いなのだろう。それにミネスさんが好きとか言っておきながらミネルナさんがタイプってどういうこと?
「僕は優しくて勇敢な人です。前世だったらカナエさんでしたが、今はナミネさんです」
カラン王子と結婚したら玉の輿だ。カラン王子は浮気なんてしないだろうし、幸せな結婚生活が送れそう。
「私はタイプで言うならこの中にはいないな」
え、カナエさんのことが好きなんじゃないの?
「僕は清楚でセクシーなモデルのような女性がタイプです。ロォラさんて綺麗だなて思います」
委員長って、意外にも……ませてる。
落ち武者さんはフェアリーングを解いた。
「ラルク、これじゃあ、誰が彼氏か分かんないよ」
「まあ、本心と核心てヤツだな」
はあ、ヨルクさんは核心では綺麗な人が好きなのか。
「ナミネ、違うから!私はただ、一般論言っただけだから!」
「ヨルクさんて面食いですね。それに対して、私にはいっぱい票が入ったので、お婿さん選び放題です」
「ナミネ、待って!私、ずっとナミネのこと見てきた!小さい頃からずっと!ナノハナ家ではじめてナミネを見た時可愛いって思った!だから、ずっと縁談の話持ちかけに行った!」
何か、嘘くさく聞こえるのは私だけだろうか。
「大勢の殿方が私を支持する中、彼氏のヨルクさんはミネルナさんなんですね。何かチョコあげて損しました。あれ全部義理チョコなんで」
「滑稽ですね。ナミネさんの彼氏のヨルクさんがナミネさんだと言わないなんて。浮気症なんじゃないですか?もう既に他の人に目をつけているかもしれませんね」
「あの、カンザシさんって、ナミネの兄ってだけですよね?私はナミネが1歳の頃から、ずっとナミネのこと見てきたんです。カンザシさんもそろそろ新しい恋したらどうですか?」
「本当にムカつきますね。ズーム!僕とナミネさんを今すぐ婚姻させろ!でないと自殺する!」
滑稽なのはどっちだろう。もうズームさんの背中の勾玉のアザは消えているのに。ラルクの我慢によってだけど。
「あ、ここで死ぬとユメさんの別荘がいわく付き物件になってしまうので、死ぬなら他でどうぞ」
「ナミネさん、よくもそんなこも言えますね!本当に死にます!」
「だから、ここ以外なら死んでもいいと言っているでしょう!」
その時、ナルホお兄様に腕を掴まれた。
「あの、ハッキリ言います!私を襲わせて貯金ゼロになったのは事実ですよね?それのどこが落ち武者さんのフェアリーングの誤りなんですか?」
「確かに、あの時は馬鹿なことをしたと思っている。けれど、そうした理由が僕には分からないんだ」
分からない?よくヌケヌケと嘘が言えるよね。ナルホお兄様の言葉と行動が正反対で、私はナルホお兄様を受け入れるとか許すとかいう概念が持てなかった。
私はナルホお兄様の脇腹を蹴った。
「目の前でカナエさんが襲われても、理由が分からないで済ませられるんですか?」
「それは出来ないけど、僕はナミネに嫌われたままでいたくない」
「じゃあ、カナエさんの前でミネスさん犯してください。そうすれば、ナルホお兄様との関係を元通りにします」
「出来ないよ」
結局、汚いことしても許して欲しくて、カナエさんとも上手くやっていきたいだけじゃん。私は扇子でナルホお兄様をミネスさんの元に移動させ、ミネスさんのドレスを脱がさせた。そして、ミネスさんのドレスと下着をゴミ箱に入れさせた。
憎しみたくないのに、いやなことされてから元の関係に戻りたいとか言われると、めちゃくちゃ苛立ってしまう。
ナルホお兄様は扇子でゴミ箱からミネスさんのドレスと下着を取り出したが、私は扇子でハサミを動かしミネスさんのドレスと下着を切り刻んだ。
ナルホお兄様は上着を脱ぎミネスさんに着せようとしたが、私は扇子でセナ王女のドレスを脱がせミネスさんに着せると、ナルホお兄様を素っ裸にした。ナルホお兄様はキクスケさんを呼び出し番人部屋に移動した。少しすると、元の服を着たナルホお兄様が戻って来た。下着姿になったセナ王女はミネスさんを殴り続けた。
ナルホお兄様は走ってミネスさんを助け、セナ王女に岩の結界をかけた。そして、ナルホお兄様はミネスさんを連れてこちらに向かってきた。
「ナミネ、ミネスには手を出さないで欲しい。ミネスとは愛し合っているから、それを壊さないで欲しいんだ。ナミネが死にたいなら死んでもいいよ。無理に生きてることはないんだよ。でも、僕とミネスの関係を壊すことだけはやめてほしい」
結局、原点に戻っている。ナルホお兄様はもうそういう人なのだ。優しくて、あどけない笑顔を見せていたナルホお兄様は、もう戻ってくることはない。私はナルホお兄様を無視した。
「ナミネ、聞いてるかな。ナミネが死にたいなら死んでもいい。だから、ミネスとの関係は壊さないで欲しい」
「平和ボケなナルホ、あんた何言ってるか分かってんのか?男尽くしカナエはどうしたんだよ?」
「カナエとは交際してるよ」
ユメさんはナルホお兄様とミネスさんの肩にレッドカードを貼った。2人はパーティー会場から即退場となった。
「強気なナミネ、今すぐキクスケ呼び出せ!」
「分かりました」
私は呼び出しカードでキクスケさんを呼び出した。
「お呼びでしょうか」
「なあ、平和ボケなナルホどうなってんだよ!」
「ナルホさんは天使村時代、ミネスさんと大恋愛をしていました。けれど、結婚後は喧嘩の日々で、魔が差したのでしょう。ナミネさんとヨルクさんを妬むようになり、ナミネさんとヨルクさんの食事に少しずつ毒を盛り、ヨルクさんが先に亡くなると、ナルホさんはナミネさんに、無理に生きていなくてもいい死んでもいいんだよと毎日のように言い、ナミネさんは自殺しました。けれど、ナミネさんの死後、ナルホさんは自分のした恐ろしいことに気づき、何度も悔やみました。悔やんで過ごした時間があまりにも長く、今のナルホさんの精神状態は限界を超えています」
ヨルクさんを暗殺したのカンザシさんじゃなかったの?いったいどうなっているの?
「顔だけヨルクを毒殺したのはカンザシと姉さんだろうが!」
「ミネスさんがナノハナ家に来たことで、少しずつ過去が変わりはじめているのです。私たちも全力を尽くして修復に向けていますが、過去は物凄いスピードで変わっていって、もしかしたら、現世に支障をきたすかもしれません」
ミネスさんが原因だったんだ。けれど、歴史は変えられないはずなのに、どうして変わっていっているのだろう。このまま過去が変わり続けたらどうなるのだろう。
あれ、ゴールドが何か咥えてる。
「ゴールド、何咥えてるの?」
「古代式のチェーン。ナミネ、それ逆物質じゃないのか?」
私はすぐにキクスケさんを呼び出した。
「お呼びでしょうか」
「あの、ゴールドがこれ咥えてたんですけど、これって逆物質ですか?」
「まさにそうです!今すぐ、初代天使村に戻して来ます!これで、歴史の乱れも現代も元通りになります!では、これにて失礼!」
キクスケさんはゴールドが咥えていたネックレスを持って天使村に向かって行った。けれど、私はもうナルホお兄様のことを信じられなくなっていた。

夕方になり、パーティーが終わると客は帰って行った。今日はユメさんの別荘に泊まるから私たちはリビングに行った。すると、ナルホお兄様とミネスさんが戻って来ていた。
「お子ちゃまミネス、あんた逆物質持ち込んだだろ!どれだけ強気なナミネ傷付けたら気が済むんだ!」
「違う!わざとじゃなかった!でも、どうしてもカンザシが身に付けてるネックレスが欲しかった!それを持ち帰っただけで、とんでもないことになるとは思わなかった!」
歴史を変えることは出来ない。それでも、逆物質を持ち帰った時だけ変わるのか。
今思えば、ナルホお兄様がおかしくなったのは、ミネスさんが来てからだ。それでも、私とナルホお兄様の間には深い亀裂が入ってしまっている。
その時、伝説初級武官が現れた。伝説初級武官はミネスさんをあっという間に取り囲んだ。
「どうして!誰か助けて!」
このバトル、まだ続いていたのか。
「人を辱めたら何らかの形で返ってくるでしょう。でも、好きにしてください。その代わり自己責任ですので助けは求めないでください。鬱陶しいので」
「待って!これまでのこと、本当に悪かったと思ってる!ナミネの何世紀にも渡る青春奪った自覚もなかった!でも今は償いたいと思ってる!」
人は窮地に陥った時だけ人に助けを求める。けれど、今の場合、あちら立てればこちら成り立たずだし、セナ王女からは危害加えられていないから助ける義務なんてないと思っていた。

……

あとがき。

逆物質持って帰った時だけ歴史は変わるんですね。
歴史って何でしょうね。

……

この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
『見とれる命』

歴史を 変えようとすれば
変わるのは 未来だった
現世(いま)でも 見ているよ
あなたの 流鏑馬を

撃毬大会の たびに
ハチマキ巻いた あなた
汗だくで 球つかめず
毬門までの道のり 遠のく

不器用な愛し方 その居心地が忘れられない
もう一度だけ どうかあなたに逢いたい

撃毬大会は いつも敵同士
揺れるあなたの ハチマキに恋心
流鏑馬で落馬した あなたを
死ぬ気で受け止めた 夜桜舞う春

古代の写真 綺麗に残っている
己の気持ちに 気づけないまま
あなたは 去って行った
紙飛行機飛ばす ごめんねと

不器用な愛し方 その居心地が忘れられない
もう一度だけ どうかあなたに逢いたい

撃毬大会は いつも敵同士
揺れるあなたの ハチマキに恋心
流鏑馬で落馬した あなたを
死ぬ気で受け止めた 涼し気な夏

灰色の着物が 揺れる
弓を引けば傾く そして的中なし
流鏑馬で落馬した あなたを
死ぬ気で受け止めた 愛おしい冬

……

あとがき。

キクリ家の訓練所で流鏑馬をするヨルクに見とれるナミネ。けれど、ひとつも的中せず、ナミネにかっこ悪い姿を見せてしまったと落ち込むヨルク。

自分の気持ちに気づけないナミネ。
そしてヨルクは去ってゆく。

何度も後悔し続けたナミネ。
落馬したヨルクを受け止めた時にヨルクを好きだと気づく。そんなナミネの淡い恋心を描いた詞です。

ちなみに、秋がないのは、クレナイ家のヨルクへの想いに気づけていなかったからです。

オリジナル小説 純愛偏差値 詞
純愛偏差値 未来編 一人称版 76話

《ヨルク》

2月14日。
今日はバレンタイン。そして、クラフの誕生日。私たちは、ユメさんの別荘の誕生日会に来ている。ナミネからはまさかの手作りチョコをもらった。ホワイトチョコにパウダーを混ぜたのか青色がグラデーションになっていて、綺麗な星型のチョコケーキだった。料理1つ出来ないナミネが1人で作っただなんて、本当に泣きそうになった。何より、ナミネからの本命チョコは嬉しすぎて言葉にならない。

気付けば、ナミネたちがパーティー会場を出た。私はナミネを追いかけた。
「ナミネ、どこへ行くの?」
「ロォラさんのお着替えです」
ロォラさん。ドレス着てなかったのか。
「そっか。ユメさんのドレス借りるの?」
「はい」
けれど、身長は明らかユメさんのほうが高い。その点は短い丈のドレスを選べばいいだろうけど、問題は……。

2階のクローゼットにはたくさんの洋服があった。えっと、パーティードレスは……。凄い数だな。流石は貴族。
「ねえ、落ち武者さん。ロォラさんとユメさんでは体型違うくない?」
「あんた、どこ見てんのさ。そんなもんチャック少し開けて、ストールで誤魔化せばいいだろ」
落ち武者さんのほうがバッチリ見てるじゃない。ストールといっても、ウエストとか大丈夫だろうか。ユメさん、かなりガリガリだけれど。
「ラルク、このドレスとかロォラさんに似合いそうじゃない?」
「派手すぎるだろ。ロォラさんは赤より白が似合うと僕は思うけどな」
白か。何だか結婚式の新婦みたいになりそうだな。
「ロォラ、あんた何カップだよ?」
「Dだけど」
「どうするラルク?ユメさん見るからにAカップだよ」
「例えば、こういうストレッチタイプのノースリーブだったら入るんじゃないか?」
確かに、白のレースで伸び縮み出来るのならロォラさんも苦しくなく身動き出来そうだ。
「じゃ、ロォラ、適当な場所でこれ着てこい」
「分かった」
ロォラさんはドレスを持って場所を移動した。
「ズーム、チャック上げてくれないか?」
「あ、私が行きます」
アヤネさんはロォラさんの元へ走った。少しすると、アヤネさんとロォラさんが戻って来た。
「わあ、ロォラさん似合ってるー!」
「で?着心地はどうなんだ?」
「ピッタリだと思う」
ロォラさんて、ドレス着るとセクシーなんだな。普段はオシャレしないのだろうか。
「じゃ、アヤネ、あんた、ロォラのメイクしろ」
「はい」
アヤネさんはドレッサーデスクでロォラさんのメイクをしはじめた。化粧水をコットンに染み込ませ、顔に塗り、次に下地。ファンデーションはパウダーのものではなく、リキッドタイプのものを薄ら塗り、淡いピンクのチークに、淡い赤のリップ。髪は三つ編みのアップヘアに白い花のバレッタを付けて完成。
「ロォラさん、お姫様みたい!ズームさん、ドキッとした?した?」
「ナミネさん、僕は先日お答えした通りです。それ以外の答えはありません」
ズームさん、今でもナミネのこと好きなのか。ロォラさんとは似合っているようにも見えるのだが。
「私もズームさんのこと大好きですよ。ズームさんの時計騎士姿の大ファンです!」
「ナミネさんにそう言っていただけると嬉しいです」
何か、ナミネとズームさん、距離感縮まっているような。
「靴はこれでも履いとけ!」
透明のヒール。まるでガラス姫。
「あ、ああ、分かった」
「わあ、ロォラさん、ガラス姫みたい!」
「じゃ、会場に戻る」
私たちはメイクアップしたロォラさんを連れてパーティー会場へ戻って行った。

パーティー会場では騒ぎが起きていた。
セナ王女がマイク越しに彼氏をミネスさんに寝盗られたと騒ぎ、その時の写真をばらまいていた。
泣きながらその場に崩れるミネスさんをよそに、貴族たちは大笑いしている。貴族って生まれながらにして何でも持っているイメージがあるが、それでも人の不幸がおかしいのだろうか。
「とりあえず、写真回収するぞ!」
落ち武者さんとナミネとラルクはばらまかれた写真を扇子で全て回収した。ナミネたちはいつも扇子で物とか操作しているけれど、いったいどうやっているのだろう。
その時、テレビからニュースが流れた。
『ブランケット家の次女が第6王女の婚約者を寝盗り婚約破棄になったことで、王室はブランケット家の次女を訴える方針でいるそうです』
一方がいくら別れると言っても納得せず付きまとう人は付きまとう。私もナミネに別れを切り出されたら、どこまでも追いかけてしまうかもしれないが。
「本当、どこまでブランケット家を恥晒しにしたら気が済むの?」
「ミネルナ、まだ詳細は分かってないし、とりあえずミネスを他の場所に移そう」
「兄貴!」
ロォラさんは突然走り出して、躓いて転んだ。咄嗟に私はロォラさんに駆け寄った。
「大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だ」
私はロォラさんを起こした。
「いたっ」
やっぱり足を挫いていたか。
「ロォラさん、今主治医呼びますから待っててください」
「別に何ともないからいい」
「ねえ、ラルク、ヨルクさんて美人しか目に入らないのかな」
「まあ、ロォラさんは魅力的だしな」
もうっ、こんな時にどうしてそうやって茶化すの。こうなったらナヤセスさんを呼ぶしかない。私はナヤセスさんにメールをした。ナヤセスさんは走ってこっちに向かって来た。
「骨に異常はなし。捻挫だね。受付で湿布もらってくる」
「あ、私が行きます」
「ねえ、ラルク。ヨルクさんてカッコイイ姿を美人に見せたいのかな」
「ヨルクお兄様はずっと引きこもりだったから、外に出て綺麗な人がいっぱいいろことに気付いて、少しでもモテようとしてんだろ」
どうして、こういう時にナミネとラルクは何もしないで、ただ見ているの。
「ロォラ、大丈夫か?」
「ズーム、私は大丈夫だ」
ズームさんはロォラさんの足に湿布を貼って、ヒールのない透明の靴に履き替えさせた。やっぱりズームさんは気が利く。
「ありがとう、ズーム。あ、さっきミネルナさんと兄貴が出て行った」
「姉さんはすぐ怒るから放っておけ!」
王室がブランケット家を訴えたらどうなるのだろう。そもそも、あれはなかったことになっているのに、写真が残っているだなんて……。
「大丈夫ですか?お姫様」
……。何この展開。
「ああ、大丈夫だ」
ミナクお兄様はロォラさんを立ち上がらせた。
「お美しいですね。どこから来られたんですか?」
「向日葵町だ」
ズームさんとは同じ町ではないのか。それより、もう恥ずかしくて他人のフリしたい。
「随分遠くから来られたのですね。彼氏と一緒じゃないんですか?」
何故口説く。てか、ミネスさんはどうなったの?
「彼氏はいない」
「ねえ、ラルク、何とかして」
「もう末期症状なので、手遅れでしょう」
手遅れって。ミナクお兄様のせいで、こんな事態になったのに、当の本人は知らんぷりでロォラさん口説いてて、もう最悪の状態だ。
「ねえ、ラルク、垂れ流しのチョコあるよ」
「ナミネ、恥ずかしいからやめて!」
「本当だ、チョコレートが垂れ流れてる!」
「ロォラ!下品なこと言うな!」
あれ、ナミネがいなくなっている。まさかとは思うが……。ナミネはチョコレートフォンデュをそのまま食べようとしている。私は慌ててナミネの元へ走った。
「はい、ストップ!あんた、そのまま食べてどうすんのさ」
「じゃあ、どうやって食べるんだ?」
ロォラさんて、どのような育ちだったのだろう。一見落ち武者さんのような一般市民に見えるが。
「このように食べるのですよ、お姫様」
ミナクお兄様はバナナにチョコをつけ、ロォラさんに渡した。
「あ、ありがとう」
「てか、ミナク、あんた、こんなことしてる場合じゃないだろ!」
「そうは言っても、セナ王女には既に別れ切り出してるし、どこまでも折ってこられて毎日が地獄なんだ」
自分がセナ王女に告白したのに、飽きたからと捨てるからこんなことになったのだろう。ミナクお兄様が責任を取らないで誰が責任を取るというのだ。
その時、またテレビからニュースが流れた。
『ブランケット家 次女は第6王女の婚約者からイジワルされたそうです。けれど、皇帝陛下はブランケット家の次女に少年院送りの処分をくだしました』
どういうことだ。ミネスさんの無実が証明されても尚セナ王女が有利な立場にあるだなんて、セナ王女の背後には誰かついているのだろうか。カンザシさんを守っていたズームさんのように。
その時、ミネスさんが戻って来た。ミネスさんは前に立ち、マイクを持った。
「私はセナにハメられた。セナは気に入らないことがあればすぐに人を辱める。そんなやり方汚いと思う。セナこそ浮気し放題じゃん!」
ミネスさんは写真をばらまいた。
カラルリさんでもミナクお兄様でもない。色んな知らない人とセナ王女がカラーで映っている。
気がつけばまたナミネが傍から離れてる。見ると机に乗ったチョコを鷲掴みにしていた。
「ナミネ、手で掴まないの!」
「でも、この騒動で誰もチョコ食べてないじゃないですか!」
「だからって手で掴むと汚いでしょ!」
「ヨルクさんは私のすることなすことに、いちいち干渉しすぎです!束縛彼氏は嫌われます!」
何故そうなる。私はいけないことをいけないと言っただけなのに。
あれ、端っこの椅子に置いたナミネからもらったチョコがなくなっている。
「ねえ、落ち武者さん、ナミネからもらったチョコなくなってるんだけど、知らない?」
「あんた、大切なものなんで放置してんだよ。犯人はカンザシだな」
まさか、人がもらったチョコレートにまで手を出すだなんて。カンザシさんの人間性を疑ってしまう。
「セルファさん、ヨルクさんがもらったチョコレートを盗んだのはカンザシで間違いないですか?」
「間違いないけど?もう既に胃の中だけどな」
そんな……せっかくナミネからもらった大切なチョコなのに。まだ一口も付けてないのに。妖精村に入って、はじめて私のことを好きな気持ちがあって作ってくれたチョコなのに。
私は心の中でフツフツと怒りが湧いていた。そして、涙が零れていた。
「カンザシ、お前、何でヨルクさんのチョコ盗んだ!」
「ズーム、証拠でもあんのかよ!」
その時、ナルホさんとセリルさんが来た。
「セルファ、ここで白黒ハッキリさせようか。君が僕にしたことは完全な誤りであると」
その瞬間、セリルさんがナルホさんにフェアリーングをかけた。
「ナルホはミネスのことをどう思っているのかな?ナミネのこと本当に死んでもいいと思っているのかな?もし、ナミネがカナエとの交際を反対したらどうするのかな?」
「ミネスのことは放っておけないし、確かにかつて物凄く愛していた存在だと思う。でも、現世ではミネスに対してそこまでの感情は抱いてないな。ナミネが死んでもいいなんてこと思ったことないよ。ナミネのことは小さい頃からいっぱい可愛がってきて、今でもたった1人の僕の大切な妹。だから、ナミネに無視されるのはとても辛い。カナエとの交際を反対されたら、ナミネとじっくり話し合うよ」
セリルさんはフェアリーングを解いた。
落ち武者さんがかけたフェアリーングの時とは全く別の答え。けれど、セリルさんに狂いはない。ナルホさんはナミネのことずっと大切に思っていたんだ。
「フェアリーングで引き出せる人の感情はほぼ無限にあるんだ。セレナールは根底の部分しか引き出せない。これまでのセルファは本心、核心、根底、その人から見ただろうその人、他者から見ただろうその人までは引き出せていたね。でも、今はセルファの能力はもう尽きかけているんだよ。だから、どれだけフェアリーングをかけても人の0.5%を切る闇の部分しか引き出せなかったんだよね」
落ち武者さんの力が尽きかけてる!?だったら、これから落ち武者さんはどうやって闘っていけばいいの?フェアリーングは落ち武者さんの生まれ持った能力なのに。
「落ち武者さん、これ飲んで!」
「あんた、それ強気なナミネが危ない時に買ったもんだろうか」
落ち武者さんの能力がなくなってしまえば、今後の団体行動にも支障をきたす。いったいどうすればいいんだ。その時、ナヤセスさんが来た。
「セルファ、小さい頃に大きな病気にかかったことはあるかな?」
「3歳くらいの頃、風邪引いた。家には誰もいなかった。風邪なのにどんどん悪化して息も出来なくなりかけてた。セリルが帰ってきた時には遅かった。病院で、弱い身体のままいつ命を失ってもおかしくないって言われた」
ナミネは落ち武者さんの手を握った。
「だから、身体があんなに冷たかったのですね」
「落ち武者さん、お願いだから飲んで!」
「いい。ここまで生きられただけでも奇跡だし、あんたらとの思い出も出来たから悔いはない」
ここで落ち武者さんを死なせるわけにはいかない。今すぐ月城総合病院に連れていかなくては。
「ナミネ、必殺技使え!」
「分かった、ラルク!」
ナミネは突然走りだした。慌てて私も着いて行った。
パーティー会場を出るとナミネは誰かに電話をかけている様子だった。
「あの、落ち武者さんが能力尽きかけて今にも死にそうなんです。落ち武者さんを助けてください!!あ、はい、能力は元々持ち合わせていたものまでで大丈夫です。はい、お願いします」
いったい誰に電話をかけているのだろう。番人だって、ひとたび願いごとをすると代償は付き物なのに、落ち武者さんを元の状態に戻すなど、とんでもない代償が伴ってくる。
ナミネ、どうして私ばかり助けて自分のことは何も言ってくれないの。私はナミネと一生を添いとげる伴侶だよ。
ナミネの電話が終わった。私は慌てて会場に戻った。
ナミネは走って落ち武者さんの元に行った。
「落ち武者さん、これで能力は元通りになりました」
「あんた、何した!今すぐ取り消せ!」
落ち武者さん、自分が危ないのに、ここで命を落とすかもしれないのに、ナミネを心配している。落ち武者さんはいつだって慈悲深い。
「落ち武者さん、決して私は危険などおかしていません!何をしたかは誰かの命が危なくなるので言えませんが、何一つ代償は払ってませんし、取引も一切していません!」
「ナヤセス!今すぐ強気なナミネを診察しろ!」
ナヤセスさんはナミネを脈診した。
「ナミネの身体は何ともないよ」
ナヤセスさんは、医師志望の中でも特に優れていて、ひとたび脈診すれば、数年後までの症状を読み取ることが出来る。月城総合病院だけでなく、都会の病院からもスカウトがたくさん来ているほどの有能な人材。我々が武官時代に習った応急処置とはレベルが違いすぎる。
「強気なナミネ、あんた、万が一危険なことで僕を救ったなら即取り消すからな!じゃあ、今度はカンザシ、あんたの証拠を引き出す!」
能力が戻った落ち武者さんはカンザシさんにフェアリーングをかけた。
「カンザシ、あんた何で顔だけヨルクのチョコ盗んだ!」
「ナミネさんが僕だけにチョコくれなくて、僕もナミネさんのチョコが食べたくて、そんな時、ふと椅子を見ればナミネさんがヨルクさんに渡した椅子があって、思わず盗んでしまいました」
やっぱりカンザシさんだったのか。
「盗んで食べて今どんな気持ちだ」
「チョコはとても美味しかったです。けれど、どうして僕にだけくれなかったのか、ナミネさんからチョコもらえたみんなが妬ましいです」
妬ましい。個人的な感情で人の大切なものを盗んでいいとでも思っているのか。落ち武者さんは早くもフェアリーングを解いた。
「あんた最低だな。これでまた強気なナミネから嫌われたな」
「あの、カンザシさん、やっていいことと悪いことの見境が分からないのですか?あなただって死ぬほど手離したくないものの1つや2つあるでしょうに」
ナミネからの本命チョコを勝手に食べられたことに私はかなり苛立っていた。
「そうやってみんなして僕を悪者にするんですね。そういうのイジメって言うんですよ」
開き直るつもりか。それも自分が被害者を装って。
「あんたがどうこう言おうと、もう誰もあんたを信じない。悪者扱いとほざこうが、イジメとほざこうが、僕はあんたをグループに入れない。勝手に仲間はずれにされてろ!」
「酷い言い方ですね。後悔しますよ」
「何の後悔だ、言ってみろよ!」
「ズームはいざとなれば僕の味方をします。ということは、あなた方はズーム異常に聡明な方を味方につけなければいけませんよね?」
その瞬間、ここにいるメンバーは黙り込んだ。
これほどに惨めに生きられる者がこの世にいるだなんて、信じがたいが、もう誰も言葉には出来ない状況だった。
「あー、ゴールドだあ!」
ナミネは1匹のゴールデンレトリバーの元へ駆け寄った。そして、ゴールデンレトリバーを抱き締めるとゴールデンレトリバーの上に乗ってこっちに戻って来た。
「あんた、その犬どこの犬なのさ」
「僕の誕生日に父がくれた犬です」
本当だ。ブランケット家って書いてある。ズームさんは照れながらある映像を再生した。

映像はズームさんの小さい頃のものだった。
どこかの別荘なのだろうか。庭に家族が集まっていた。
『ズーム、誕生日おめでとう』
ズームさんは大きなケーキのローソクを消した。
『ありがとう!母さんの料理は世界一美味しくて、父さんは悪いヤツを懲らしめている。僕も大きくなったら美味しい料理作れる悪者をやっつけるヒーローになる!父さん、母さん大好き』
ズームさんは嬉しそうにケーキを食べた。
『ズーム、新しい家族だよ』
箱から小さな犬が出てきた。生後ひと月くらいだろうか。この犬が今ナミネが乗っているゴールデンレトリバーかな。
『可愛い!父さん、ありがとう!』
ズームさんは小さなゴールデンレトリバーを抱き締めた。
『名前をつけてあげなさい』
『うーん、ゴールド!ゴールドにする!』
ズームさんはゴールドとジャれた。
『散歩に連れていく!』
『遠くへ言っちゃダメだよ』
ズームさんはゴールドを連れて別荘を出て、誰もいないひっそりした道を歩きはじめた。
『ゴールドは今日から僕の家族だよ』
『ワン!』
ズームさんとゴールドは仲睦まじく歩いていた。その時、ゴールドが突然道に飛び出した。目の前にはトラックが迫っていた。
『ゴールド!』
ゴールドを助けようとズームさんも道に飛び出した。トラックの運転手は急ブレーキを踏んだが間に合いそうになかった。その時、幼いナミネがズームさんとゴールドを片手ずつに抱え道の脇に避難した。
『大丈夫ですか?』
ナミネはうずまきキャンディを舐めていた。
『えぇえええええん』
ズームさんは恐怖のあまり大泣きした。
『お家はどこですか?』
ズームさんは泣いたまま何も話せなかった。
ナミネはズームさんを背負い、ゴールドを抱っこしながら歩いた。
映像はそこで途切れていた。

ナミネはゴールドから下りた。
「大きくなったね、ゴールド」
「ズーム、あんた幸せすぎる家庭だな」
本当に恵まれていると思う。富と権力ありがながら、家族仲もいいだなんて、ズームさんは愛されて育ってきたんだな。
「ナミネさん、これがあの時ゴールドが加えていたものです。遅くなりましたが、あなたにあげます」
小瓶の中にたくさんの星型のサファイアの石が入っている。
「い、いえ、ゴールドが命懸けで拾ったものなので受け取れません」
「僕とゴールドを助けてくれたのはナミネさんです。ナミネさんが持っていてください」
「で、では、ありがたくいただきます」
ナミネはズームさんから星型のサファイアの石が入った小瓶を受け取った。
「ズームって狡いよな。何もかも持ってて何一つ不自由したことなくってさ。こんな犬まで飼えて」
「リーダー、もうやめてください!チョコなら僕のがあるので、それもらってください!」
「ナミネさんからもらってないなら意味がない!どうして僕だけ苦労しなきゃいけないんだ!どうして僕だけ親ガチャ運ないんだ!苦労した分だけみんなから嫌われて、こんなのあんまりだ!」
カンザシさんは嘆くかのように吐き出した。
人は何か一つでも生き甲斐があれば、それだけで安定を得られる生き物だ。けれど、全てにツキがなく、何一つ生き甲斐のない者は、ただ這いつくばって生きていかなくてはならない。幸せそうな周りを直視しながら。そして、人一倍苦しいにも関わらず、人に嫌われやすい。
また、カンザシさんのような人はこの世にたくさんいるのだろう。けれど、政府は問題化せず、裏金で遊びたい放題。
この沈黙はしばらく続いていた。

……

あとがき。

その人が苦しいと言えば『苦しい』んです。
抜け出せない人もいるんです。

人の心理は難しいですが、自分がこうだからあなたもこうしろと言うのはよくないですね。

……

この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
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