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日常のこととかオリジナル小説のこととか。
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ashita
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性別:
女性
職業:
地主(土地貸してます)
趣味:
漫画やアニメを見るのが好きです。最推しはフーディーニ ♡
自己紹介:
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ブログ、もう書かないと思ってました。

けれど、去年から書き始めた小説によって、過去に書いてた小説も書き始め、ここに載せることにしたのです。

小説は、主に『時間と時間を繋ぐ恋の物語』と『妖精村と愉快な仲間たち』をメインに書いています。
現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。

純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。

元々このブログは病気の記録用として立ち上げたものですが、小説載せるようになってからは、ここは出来るだけ趣味的なことを綴りたいと思っております。
病気の記録や様々な思いを綴るブログは移転済みなのです。

ただ、今は日記は個人的な徒然、或いはお知らせとして綴ることが多いかと思います。

小説、ぼちぼちマイペースに書いてゆきます。

よろしくお願い致します。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

お知らせ。

イラストは現在「ナノハナ家の日常」に載せております。サイドバーにリンクあります。

また、「カラクリよろずや」にて無料のフリーイラスト素材配布もはじめました✩.*˚

フリーイラスト素材も増やしていく予定です(*'ᴗ'*)

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

模倣・無断転載などは、ご遠慮ください。

ブログの小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。

小説・純愛偏差値に関しましては、武家名・貴族名(程度による) / 及び、武官の階級 / 扇子・羽子板・花札・百人一首・紙飛行機などのアイテム使用方法の模倣の一切を禁じております。

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X @kigenzen1874

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〈資格履歴〉

2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2010年02月10日
→セルフ・カウンセリング
ステップ2 合格
2011年05月28日
→セルフ・カウンセリング
指導講師資格審査 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年01月20日
→鉛筆デッサンマスター 合格
→絵画インストラクター 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
→茶道アドバイザー 合格
→お点前インストラクター 合格
2025年04月17日
→着物マイスター 合格
→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
→サイキックアドバイザー 合格
→サイキックヒーラー 合格
2025年07月01日
→アンガーカウンセラー 合格
→アンガーコントロール士 合格
2025年08月04日
→漢方コーディネーター 合格
→薬膳調整師 合格

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〈資格証明バナー〉

鉛筆デッサンマスター®認定試験資格取得証明
絵画インストラクター資格資格認定証
宝石鑑定アドバイザー資格認定試験資格取得証明
鉱石セラピスト資格資格保持証明
茶道アドバイザー資格認定試験資格取得証明
お点前インストラクター資格資格認定証
着物マイスター®資格認定試験資格取得証明
着付け方インストラクター資格資格認定証
サイキックアドバイザー®資格資格証明
サイキックヒーラー資格資格保持証明
アンガーカウンセラー®資格資格保持証明
アンガーコントロール士資格資格認定証
漢方コーディネーター®資格認定試験資格保持証明
薬膳調整師®資格認定試験資格保持証明
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純愛偏差値 未来編 一人称版 104話

《ナミネ》

私は、デパートのレストランで突然の落ち武者さんの策略でヨルクさんとの仲を引き裂かれてしまった。
カンザシさん原因で、妖精村時代はずっとヨルクさんへの想いが封じ込められていただけに、やっとまたヨルクさんを愛せると思っていたのに。不本意な形でヨルクさんとの関係を壊された私は心が爆発し、エルナさんを遠い過去に飛ばしてしまった。

レストランは、みんなが出れないようテナロスさんにお願いしていたけれど、みんなはカラクリ家に来た。こんなことが出来るのは神様呼び出しカードを持っているヨルクさんだけだろう。

私は、カラクリ家で落ち武者さんに仕返しをした。それでも私の心は満たされることはなかった。
レストランでヨルクさんを引き止めても振り払われたゆえ、もうヨルクさんは私の元へは戻ってこないと恐怖さえ覚えた。だから、カラクリ家でヨルクさんに『別れるつもりはなかった』と言われても今更と感じ、ヨルクさんとは全く口を聞いていない。

カラクリ家に逃げ込んだ時に、エミリさんに協力するよう言われ、お武家連盟会議はすぐに開かれた。私はエミリさんに言われたように、エミリさんに有利になる発言をし、過半数の同意を得た。
そして、レイカさんとカナコさんが私に同意したのち、エミリさんとカナエさんはセレナールさんに扇子を突き付けたのである。
「会議で攻撃的な真似はやめてくれるかしら?」
レイカさんの指摘にエミリさんとカナエさんは扇子をしまった。
「私も記憶を失ってた!だから、わざと2人を苦しめてない!」
ここでセレナールさんお得意の白々しい嘘が出た。もう誰も信じないだろうに。
「じゃあ、セリルに真実を聞き出してもらいます」
「やめて!遠い昔、カナエにされたことがどうしても忘れられないのよ!挙句に皇太子様をエミリに取られて私は全てを失った!ハメたのはカナエとエミリなのに今になって言い逃れするなんて卑怯よ!」
ここまで来ると、もうどちらが悪い度高いのか分からなくなってくる。確かに、あの時の博物館でセレナールさんはカナエさんの結界に閉じ込められ、見知らぬ男に襲われた。唯一のパートナーにはエミリさんと交際することになったと言われ、セレナールさんは捨てられた。セレナールさんからしてみれば、許せず復讐をしたのだろう。私が、かつてのカンザシさんを許せないように。
お武家連盟会議はまだ終わっていない。私はどちらの味方に付けばいいのだろう。
咄嗟に現世のみを考えエミリさんの味方をしてしまったが、遠い昔も加わると、カナエさんやエミリさんもセレナールさんを傷付けている。
「ねえ、どうする?ラルク」
「エミリさんの味方するんじゃなかったのかよ」
「遠い昔のことまで持ち出されるとは思ってなかったよ」
「いわゆる因縁ってヤツだよ。あと、落ち武者さんは必要な人材だ。これ以上危害加えるのはやめろ!使用人にするのもな!」
ラルクは落ち武者さんの能力をやたら勝っている。そりゃ、落ち武者さんはセリルさんの弟だし、頭がよくって当たり前だろうけど。
「分かったよ、ラルク。ムカつくけど落ち武者さんのことは許すよ」
「アンタ、ラルクのことなら何でも聞くんだな。僕は使用人でいい」
落ち武者さんて、こう見えて頑固だ。
「いや、だから、使用人はしなくていいと言っているでしょう!これ以上、私をイラつかせないでください!やってることカンザシさんと同じです!セリルさんに似ず、その浴衣全然似合ってませんね!」
「アンタ、一言多いな。とにかく姉さんに服着せろ」
何なの。いつも上から目線の命令してばかり。とてもじゃないけどセリルさんの弟とは思えない。
私はテナロスさんに依頼し、無言でセレナールさんが服を着ることを許可してもらった。少しすると使用人が浴衣を持ってきた。
「ナミネ、とりあえず当時のことを語れ!」
「分かったよ、ラルク」
皇太子様が映像を見るところから話せばいいだろうか。
「では、確認します。
遠い昔、セレナールさんはカラクリ家にて仲睦まじかった皇太子様が、ある映像を見ているのを発見し、口論になりましたね。そのことをカラルリさんに相談しているうちに、カラルリさんに気持ちが向いていった。皇太子様との話し合いが上手くいかないうちに、どんどんカラルリさんのことを好きになりました。同時に皇太子様との関係は崩れていった。
皇太子様は、寂しさのあまりセレナールさんの同意で、エミリさんとの関係を持ちましたね?当時のセレナールさんにとって親友のエミリさんは、それだけ大きな存在だったとお見受けします。
けれど、カラルリさんを好きになるほどにセナ王女とは犬猿の仲になりましたよね?
更には皇太子様とは拗れたまま、あの時の博物館にてカナエさんに岩の結界をかけられ、トイレの外に出れなくなり武官であろう見知らぬ男に襲われ、皇太子様からはエミリさんと正式交際すると言われ捨てられた。
その時のトラウマが今になって耐えきれないものとなり、時を超えて仕返しをした。
セレナールさん視点では、だいたいこんな感じでいいですか?」
もう、昔のことなんて私が聞きたいくらい。そりゃ、私も何度もヨルクさんの映像壊したけどさ。セレナールさんには誰かを従わせる度胸なんてないのだろうし。過去だって変えられない。
遠い昔のことなんて、どうすればよかったレベルの問題ではないと思う。
「え、ええ。だいたいそんな感じよ。カナエには結界かけられ男に襲われ、信頼していたエミリには婚約者を取られた。こんなのあんまりだわ!」
セレナールさんは泣きはじめた。
もう、どっちが被害者でどっちが加害者か分からなくなってくる。結局、その時はいい気でいても、あとから復讐されることもあるんだ。今のエミリさんとカナエさんのように。
けれど、いくら復讐してもセレナールさんの気は晴れず。
「カナエは、わざと結界をかけたわけではありません!セレナールのことを救おうとしていました!」
もうこれでは水掛け論だ。会議は終わらなくなる。
その時、雷がなり大雨が降りはじめた。今日は止まないだろう。
「では、カナエさんの過去について確認します。
あの日の博物館のトイレにて、カナエさんは約50人くらいの男に襲われた。咄嗟にカナエさんは結界をかけたものの、そこにセレナールさんも入っていて、解くわけにもいかず、そのままトイレを出ました。そこに悪意はなかったのでしょう。
カラルリさんは、何度もカナエさんを説得し、カナエさんは結界を解いたもののセレナールさんは間に合いませんでした。
そして、その男たちを雇ったのはセレナールさんだった。
それでも、セレナールさんを救おうとしたで間違いないですね?」
私が同じ立場だったら、流石に味方ごとは閉じ込めないだろう。あとで責任取らされるのも面倒だし。
当時のカナエさんの力量は強いと言っても伝説レベルではなかったと解釈するべきだろうか。
「はい、カナエはセレナールのこともちゃんと考えていました。セレナールは、いつも優しくて純粋で皇室に行っても紀元前村でも助け合って来た仲です。
ですが、いつしか、お兄様を心の底から愛するセナさんと仲良くするようになっていたと思います。
セレナールが変わったからではありません。セリルがカナコお姉様と交際したあと、セナさんが現れ、お兄様とスピード交際をし、カナエは2人を応援することが楽しみになっていました」
カナエさんは、カナコさんとセリルさんが交際するまではセレナールさんとかなり仲良くしていた。でも、セナ王女が現れてからは変わったのだろう。
時の流れが人を変えたと言うべきか、それとも他に理由があるのか。
「皇帝陛下からの文が届いたわ!カナエは懲役5年、エミリは懲役3年よ!」
いったい何が起きたのだろう。セレナールさんは紙飛行機を飛ばせないはず。だったら、誰かが代わりに飛ばしたのだろうか。そもそも、どうしてカナエさんとエミリさんのみが罪に問われたのだろう。
この時の私は、ウルクさんの1つ前の番人であるヤマヨリさんがセレナールさんを主君として称えていることなど全く知らなかったのである。
「こんなの不公平だわ!セレナールだけが罪に問われないなんて!寧ろ私のほうが被害者なのに!!」
「カナエも納得いきません!こんな長期間刑務所で過ごしていては留年してしまいます!カナエの将来を奪わないでください!」
とは言っても皇帝陛下の決断は絶対だ。でも、エミリさんとカナエさんの青春が奪われてしまうのも、それはそれで確かに不公平ではある。だったらどうすればいいのだろう。
「結局、理不尽なことして、そのままにしていれば、あとから罰を受けることになるのよ。皇帝陛下の決断が出た以上、お武家連盟会議を終了します。今日はこの雨で帰れないでしょうからカラクリ家に泊まるように」
レイカさんは突然会議を終了した。
けれど、その後も3人は言い争いを続けている。
「私も、こんな馬鹿げた結果、納得いかないわ!一方的ね、セレナール」
レイナさんは、まだ会議を続けるつもりだ。けれど、正直疲れてきた。茶菓子も食べ終わったし、お腹がすいてきた。
その時、ヨルクさんが私にスコーンを渡した。
「い、いりません!」
私はスコーンだけ奪ってヨルクさんを突き飛ばした。
「ナミネ、ごめんね。ナミネが戻って来てくれるまでずっと待ってる」
今更何なの。人を振り回して楽しんでいるの?こういうのめちゃくちゃ腹が立つ。
「ハッキリ言います!あの時、私が引き止めたのを無視された時、どれだけ辛かったか!どれだけ苦しかったか!落ち武者さんが邪魔した程度の関係ならいりません!本当身勝手ですね!私はもう、新しい彼がいますし、これ以上私に付きまとえば、恥をかくことになりますよ!」
私は苛立ちのあまり、ヨルクさんから渡されたスコーンを一気に食べた。
「ナミネ、本当に悪かったと思ってる。あの時、逃げてしまったこと。もうナミネは大丈夫とナミネとちゃんと話し合わなかったこと後悔してる。ナミネが許してくれるまで、ずっと待ってる。何年でも待つ!」
「いい人振らないでください!」
私は扇子を使い、ヨルクさんにセレナールさんを襲わせた。セレナールさんの浴衣は一気にはだけ、セレナールさんが股を開いた瞬間、レイナさんとカナエさん、エミリさんは写真に収めた。すぐに写真が出てくるカメラ、今でも滞ってなかったんだ。
「今すぐ状況を変えないと、この写真、学園中にばら撒くわよ!」
レイナさんって、こんなに怒りっぽかったっけ。この時の私はレイナさんに遠い昔タリスタという恋人がいて、交際2年でセレナールさんに気を持ちはじめたことを全く知らなかったのである。
「こんなことだろうと思ったわ。レイナ、やめなさい!」
レイカさんは、再び会議室に入ってくるなり、レイナさんから写真を全て取り上げた。これではエスカレートする一方だ。
「あの、エミリさんは皇太子様に助けを求め、カナエさんはウルクさんに頼んでみるのはどうでしょうか?」
もう、あとのことは当人らでどうにかしてほしい。
なんだか、具合が悪くなってきた。めまいと胸やけがする。私はエミリさんとカナエさんが紙飛行機を飛ばしている間にトイレに駆け込んだ。

やはり、ここもボットン便所残ってたか。
私は、即嘔吐した。また吐血してる。
落ち武者さんへの苛立ち。私を置いていったヨルクさんへの不安と恐怖。今の私は大きなストレスに苛まれている。
トイレから出ると彼氏役のユラルさんがいた。
「あ、すみません。客室案内しますね」
私はユラルさんを連れ客室に案内しようとした時、吐血して倒れた。
「ナミネ!」
ヨルクさんの声が聞こえる……。

私は夢を見ていた。
『ナミネ、あんたが好きだ』
『お代官様は私のどこが好きなのですか?』
『綺麗だから』
『単純過ぎる理由ですね。でも、今はフリーですし、お代官様と交際します』
そして、私と落ち武者さんは付き合いはじめた。少しすると私は落ち武者さんのマンションに引越し同棲をした。落ち武者さんは在宅ワークをしていて、私は伝説武官をしていた。
私は帰る度に制服をリビングに脱ぎっぱなしにし、ルームウェアに着替えるとお菓子を食べながらテレビを見た。落ち武者さんは在宅ワークの合間に家事をし、毎日私に手料理を振舞った。
休みの日にはデートに行き、落ち武者さんはいつも高級レストランに私を連れて行った。美味しそうにハンバーグを食べる私の口元についたソースをセルファは布で拭き取った。すると私は落ち武者さんの分のハンバーグも食べてしまったのである。
落ち武者さんが襲われている時は、私は落ち武者さんを助け、落ち武者さんが高熱に魘されている時は私は落ち武者さんを背負って病院に連れて行ったのである。また、落ち武者さんが疲れている時は私はアロマで落ち武者さんを癒した。この時の落ち武者さんは身体が弱く私は落ち武者さんを背負い何度も病院に連れて行ったのである。
いつも落ち武者さんはエルナさんに浮気をされ別れた後、絶望的になっていたゆえ、一生懸命落ち武者さんを支える私を落ち武者さんは心から愛おしく感じ、一生私を手放さないと心に誓ったのだ。
『お代官様、私、あるコンサートによく行くんです。お代官様も一緒に行きませんか?』
『分かった。行く』
私と落ち武者さんがカンザシさんのコンサートに行くと、ズームさんもいた。私とズームさんは別れたばかり、いや、カンザシに無理矢理別れさせられたばかりだったのだ。
『ズームさん、元気でしたか?』
『ナミネさん、お久しぶりです。そちらの方は?』
『今お付き合いしている人です。ズームさんのマンションのように広いマンションに住んでいるんです!』
コンサートが終わるとカンザシさんが来た。
『カンザシさん〜!お久しぶりです〜!』
『ナミネさん、来てくれたんですか!』
『はい、今は新しい彼と同棲しています』
カンザシさんは落ち武者さんを見た瞬間、嫉妬を覚えていたことを私は気付けなかった。
その夜、落ち武者さんは私を抱いた。
『あんた何で元カレと別れた』
『別れたのではありません。無理矢理別れさせられたんです』
『どういうことだ!』
『カンザシさんとズームさんの背中には勾玉のアザがあります。カンザシさんに危機が迫るとズームさんもこの世から消えてしまうんです。ズームさんは彼女をカンザシさんに取られたばかりだったのに、いざ私と付き合いはじめたら気に入らないのか、自殺未遂を何度も起こし、ズームさんと話し合った結果私たち別れたんです』
その後も私と落ち武者さんはカンザシさんのコンサートに行った。カンザシさんがコンサートを終えると落ち武者さんはカンザシさんに近づいた。
『あんた、随分卑怯な手使うんだな。僕とナミネのことも別れさせようとしてるだろ?』
『そんなことありません』
『けど、あんたは弱い。ツレの背中見せてもらうんだな』
落ち武者さんと私は何気ない幸せな日常を送っていた。カンザシさんは私と落ち武者さんを別れさせるつもりだったが、ズームさんの背中には勾玉のアザが消えていたのである。落ち武者さんが数式で割り出し、期間限定でアザを消したのだ。これで、カンザシさんはズームさんを巻き込むことが出来なくなってしまった。苛立ったカンザシさんは私に何度も自殺すると言った。
『じゃ、死ねば?』
『お代官様、それは言い過ぎです』
『だって、卑怯なやり方で別れさせられたんだろ?死にたいヤツはとっとと死ね!』
その後、カンザシさんはズームさんに何度も私と落ち武者さんを別れさせるようにお願いをした。ズームさんは断り続け、更にはカンザシさん1人で死ねばいいとも言ったものの、カンザシさんはミネスさんの初を奪うと言い、ズームさんはカンザシさんに従うしかなかったのである。ズームさんは落ち武者さんが私にプロポーズをするたび、時間を巻き戻した。しかし、落ち武者さんは敢えて時間を進ませ、私との結婚式の日になっていた。思い通りにならないカンザシさんは私と落ち武者さんの結婚式の真っ最中にミネスさんを中級武官にイジワルさせた。カンザシさんに裏切られたミネスさんはショックのあまりその日のうちに川に身を投げて死んだ。このことを知った皇帝陛下は私と落ち武者さんの婚姻を認めなかった。それでも私と落ち武者さんは籍を入れないまま一緒に暮らし続けていた。けれど、時は流れズームさんの勾玉が戻るとカンザシさんはまた自殺未遂を起こし、ズームさんは落ち武者さんが私にプロポーズする前に時間を戻し、ミネスさんを救った。落ち武者さんと私はこっそり婚姻届を出し、結婚式は取り止めにした。
『随分としつこいな』
『カンザシさんはどこまでも追ってきます』
そして、その日はやったきた。
落ち武者さんと私VSカンザシさんとズームさん。4人はあらゆる手で対戦をした。私がカンザシさんとズームさんを拘束してカンザシさんに何度も電流を流した。その間に落ち武者さんは数式を書いて私との未来を守ろうとした。
『ナミネ、番人呼び出せ!』
『はい、お代官様!』
私は、その時の番人を呼び出すと落ち武者さんと別れないようにお願いをした。
『残念ですが、ズームさんの予想未来により、セルファさんのみ古代に戻ってもらいます』
そして、落ち武者さんは古代に飛ばされ、私と永遠に引き離されてしまったのである。
『ナミネ……ナミネ!!!』
私は咄嗟に番人にセルファのところへ飛ばすように言った。私は落ち武者さんの元へ飛んで行った。
『そんな……ナミネさん……!ズーム、何とかしろ!』
『カンザシ、手遅れだ!』
私は倒れている落ち武者さんを見つけた。
『お代官様』
『ナミネ……』
私と落ち武者さんが飛ばされた場所は氷河期だった。私は落ち武者さんを抱き締めた。
『お代官様、いつか、いつか、また出逢いましょう』
『ナミネ、愛してる』
そして、2人は眠りにつきそのまま息を引き取った。2人が交際してから5年後のことだった。
夢はそこで途切れていた。

目を覚ますと私は布団の中にいて周りを見ると誰もいなかった。
あの夢は何だったのだろう。私は落ち武者さんとも交際をしていたのだろうか。そんなことどうでもいい。ヨルクさんに会いたい。私は布団から出た。
するとカナエさんが入ってきた。
「ナミネ、お粥置いておきます。主治医によると、軽いストレスだそうです。食後、薬を飲んでください。それと、人魚の湖の市場で絵を買いましたよね?あの絵を買った者が見た人魚の夢は近い未来で現実になるのです。キクリ家で供養しますので明日持ってきてください」
あの絵、気に入っていたけれど、まるで呪いの絵のようだったのか。別のものにすればよかった。
「はい、分かりました」
カナエさんは客間を出た。私は、あの後どうなったか聞きそびれてしまった。私はカナエさんが作ったお粥を食べはじめた。
その時、ヨルクさんが来た。私は泣きながらヨルクさんに抱き着いた。
「ナミネ、大丈夫?」
「はい、カナエさんによると軽いストレスだそうです。それと、人魚の絵、あれを持っている者が見た人魚の夢は近い未来に現実になるそうです。だから、カナエさんに供養してもらいます」
どうして市場に呪いのような絵が売っていたのだろう。
「うん、分かった。明日ナノハナ家に行って取ってくる」
「ヨルクさん、もう私を置いていかないでください」
「ナミネ、ごめん!二度とナミネを不安にさせない!ボディーシートとタライ、夜食のポトフ置いとくね」
ヨルクさんはポトフを机に置いた。
「はい」
私はまたヨルクさんに抱き着いた。
「ナミネ、ずっと傍にいるよ。今日は薬飲んで安静にしてようね」
「ヨルクさん、好き」
私はヨルクさんに抱き締められ緊張が解かれ安心に変わっていた。一応、落ち武者さんとも仲直りしたし、カナエさんもここにいるということはウルクさんがどうにかしてくれたのだろう。
私は薬を飲むとヨルクさんと同じ布団に入った。
けれど私は、あのデパートの時からカラルリさんが転生ローンを組んで1人悩んでいることを全く知らなかったのである。自分のことばかりで、カラルリさんとセナ王女のペアリングのことをすっかり忘れていたのだ。
嬉しそうな投稿をカップル日記に載せるセナ王女とはうらはらに833年ローンを契約したカラルリさんは9回分の来世を奪われたことに対して酷いノイローゼになっていたことを、あとで知ることになる。
もう少し周りをよく見るべきだった。あの時、カラルリさんとセナ王女が戻ってくるまでレストランにいるべきだった。
それでも、私はヨルクさんに捨てられた不安感から何も見えなくなっていた。
そして、誰もカラルリさんの異変に気付くものはいなかったのである。
明け方の4時頃、カラルリさんはカラクリ家の客間で首を吊った。

……

あとがき。

ショップの時にカラルリは、みんなに助けを求めていたのに。
今思うと『本人が決めること』と放置することは、時に残酷な自体を招くんですね。

人は助けてほしいから助けを求めるんです。
けれど、みんながそれを無視したら?

本人の問題だから何もしない。
本当にそれていいのでしょうか?

……

この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
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純愛偏差値 未来編 一人称版 103話

《ヨルク》

ナミネとラルクが遠い昔に深い仲であったことを私は全く知らなかった。落ち武者さんに見せられた映像を見た私は、物凄くショックを受け、この場から去ろうとした。けれど、その私の行為が裏目に出て、エルナはナミネによって、遠い過去に飛ばされてしまった。
私はただ、ナミネと別れるとかではなくて、1人になる時間が欲しかったのだ。でも、もう遅い。ナミネを説得しない限りエルナは戻って来ない。
私が嫌がらせされた側なのに、ショックを受けたらいつもこうなる。

気が付けばセナ王女とカラルリさんが戻っている。というか、料理も注文したみたいだし、まるで、ずっとここにいてたかのような感じだ。
ズームさんは時計を見た。
「2日経ってますね。ナミネさんが時間を動かしたのでしょう」
ただ資格を持っているというだけで、2日も時間を動かせるものなのだろうか。
「顔だけヨルク。エルナを元に戻せ!」
何故、私に言う。元々、落ち武者さんがナミネとの関係にヒビが入るようなことをしなければ、こうはならなかったのに。
「落ち武者さんの責任でしょ?エルナが大切なら私とナミネのことそっとしとくのが普通だよね?」
「アンタ、自分で何言ってんのか分かってんのか?アンタ自ら強気なナミネが浮気しても許すと言って浮気でもないのに強気なナミネ置いて出ていったからこうなったんだろうがよ!セリル呼ぶぞ!」
姉弟揃って何かあれば、セリルセリル。
落ち武者さんから、いやなことしても責められるのは私。いい加減、腹が立ってきた。けれど、まさか私が混乱したからって、エルナが遠い過去に飛ばされるとは思っていなかった。どうすればいいのだろう。
「じゃあ、どうしたらいいわけ?私別にナミネと別れるなんて言ってないよね?ただ、1人になりたいって言っただけなんだけど」
その瞬間、リリカお姉様に引っぱたかれた。
「ヨルク、あなた自分勝手にもほどがあるわ!あなたが浮気許すって言ったんじゃない!それなのに、映像1つで態度変えて!これだと嘘言ったも同然じゃない!エルナのこと、あなたがなんとかしなさいよ!」
結局、何か起きれば悪いのはいつも私だ。
1人になりたい。それさえも、みんなは許してくれないのか。
「顔だけヨルク、強気なナミネからメールが来た」
落ち武者さんは私に携帯画面を見せた。
『私を不幸にした気持ちはいかがですか?
まず、私と話し合わずに逃げて私を捨て辱めたヨルクさんとの縁談は破談にしました。しかしながら、これは落ち武者さんの責任ですので、落ち武者さんのご両親に慰謝料請求をしました。
エルナさんのことは元には戻しません。人に嫌がらせして自分だけ幸せになれると思わないでください!
また、エミリさんの指示でセレナールさんには、それ相応の罰を受けてもらいます。
落ち武者さんの侮辱により、皆さんはそこからは出れません。
最後に、私は新しい彼が出来たのでヨルクさんとの復縁はありません。
皆さんも、お幸せに』
少し1人になりたい。
その思いが行動が、自分で自分の首を絞める結果になったというわけか。無理にでも、あの時あの場にいれば、このような悲劇は起きていなかった。
私は、たった1人になりたい思いで、それだけでナミネに破談にされた。もう心の行き場がない。
やっとの思いでナミネと交際し、両想いになれたのに。こんな形で壊された挙句、全て私の責任にされるなんて。
「顔だけヨルク、アンタだけは許さない!」
そう言うと落ち武者さんは、扇子で私にウエイトレスをセクハラさせた。
「いやー!やめてください!」
ウエイトレスは、大声で叫んだ。けれど、今の落ち武者さんは心の中で激怒している。私はセクハラなんてしたくないのに、落ち武者さんに操られ続けた。
好きでもない女子(おなご)を触るのは気持ち悪い。
「落ち武者さん、やめて!私が悪かったし私がダンゴロさんに頼んで状況変えるから!」
ウエイトレスから引っぱたかれると同時に、落ち武者さんの行動は止まった。私は早急にダンゴロさんに助けを求めた。
けれど、今度はセレナールさんの服が透けはじめた。うっ、気持ち悪い。
「ヨルク!いい加減にしなさいよ!」
私はセレナールさんから水をかけられた。それでも私はダンゴロさんにメールを打ち続けた。
送信してから案外すぐに返信はきた。
「落ち武者さん、返信来たよ」
私は落ち武者さんに携帯画面を見せた。
『まあ、ヨルクの力量だからね。
セレナールは下着だけ付けていいとして、エルナを元に戻すことは出来ない。とりあえず、店から出れるようにはするから、あとはカラクリ家でナミネ説得したら?』
もうこうなったらカラクリ家に行くしかないと思う。ナミネには破談にされ、エルナは戻せず。私の心は壊れそうになっていた。こんなことになるなら、あの時、私を引き止めたナミネを振り払うんじゃなかった。
けれど、あの時は1人で考える時間を求めることがナミネに破談を切り出されるとは思っていなかったのだ。
結局、エルナが過去に飛ばされたのも、ナミネがエミリさんに協力してセレナールさんを罰するのも結果論としては私のせいだ。何もかも私のせいなのである。
それでも、最終的には浮気を許すが、映像を見て動揺しないに勝手に書き換えられてしまうとも思っていなかった。あの映像を見て平然を装っているしかなかったのだろう。
私には喜怒哀楽さえも許されない。
「じゃ、カラクリ家行く。顔だけヨルクはエルナのことも姉さんのこともどうにかしろ!出来なければ僕がアンタを過去に吹き飛ばす」
落ち武者さんは、いつも自分のしたことは棚に上げる。
「あの、ここでヨルクさんだけ責めても解決しないと僕は思うんです。喧嘩は1人では起きませんし。みんなでナミネさんを説得するべきではないでしょうか」
「僕も、ナミネにも問題あると思うんだよね。カラクリ家に行ったら会議になるだろうから、そこで食い止めたらいいと思う」
ズームさんもナルホさんもナミネをどうこうしようとしているが、私はナミネにフラれたショックで頭がいっぱいだった。
カラクリ家まではセナ王女が王室の馬を用意してくれることになった。アルフォンス王子が会計を済ませると、私たちは馬に乗ってカラクリ家に向かった。

カラクリ家に行くと会議室に茶菓子が運ばれている途中だった。やはり、お武家連盟会議になるのか。
ナミネはエミリさんといる。私はナミネに駆け寄ろうとした。けれど、それより先に落ち武者さんが駆け寄った。
「強気なナミネ、僕が悪かった。だから、エルナを元に戻してほしい!」
「これはこれは、レストランから出られたようですね。
では、ここで衣類を全て脱いで裸踊りをしてください。そうすれば、エルナさんは元に戻します。
ただ、人を貶めた以上、今後、落ち武者さんにはナノハナ家の使用人となってもらいます。逆らえばカナコさんの未来はありません」
またナミネの目の色が紫色になっている。
ずっとナミネと上手くいってたから、ナミネの激怒を忘れていた。エルナを過去に飛ばした時点でナミネの心は破壊されていたんだ。今となっては後悔しかない。ナミネと交際した時点でナミネを優先すると誓ったのに。あの時は、自分のことしか考えられなかった。
「分かった。アンタの言う通りにする」
落ち武者さんは服を脱ぎ、踊りはじめた。それを見てナミネは動画を撮影し、落ち武者さんを嘲笑った。落ち武者さんが涙を流せばナミネは羽子板で、落ち武者さんの脇腹を叩いた。
15分経ったところでエルナが戻ってきた。使用人は落ち武者さんに浴衣を羽織らせた。
「エルナ!」
落ち武者さんはエルナを抱き締めた。
「セルファ、収穫よ!
セレナールは確かに一瞬はヨルクに揺れた。でも、本当はラルクのこと心から愛していたのよ。けれど、あの時のセレナールは、もう生きているだけで精一杯だったの。時折、博物館のことを思い出しては、死にたいとポツリ呟いていたみたい。それを聞いた何でも屋がセレナールをそそのかし、ラルクを庇うフリして死ぬ自作自演を提案し、セレナールは契約をした。でも、取り消そうと思った時にはもう遅かった。セレナールはラルクと最後のデートの前に手紙を残していたわ。それがこれよ」
エルナは落ち武者さんに手紙を渡したが、落ち武者さんは、これから受ける辱めに耐えなければならない苦痛からか手紙を落とした。私は落ち武者さんが落とした手紙を拾った。
確かにセレナールさんの筆跡だ。

『ラルクへ

私はラルクを愛してる。
でも、あの日の博物館で受けた屈辱を今でも忘れられなくて、何をしていても生きている心地がしないの。それでも、せっかくラルクとこうやって知り合えたんだし、もう少し頑張ってみようと思った。

ダメだった。
どうしても博物館でのことが常に私を苦しめる。
愛するラルクがいるのに、もう生きることが辛くて仕方ない。
本当はラルクと普通の恋人として楽しく過ごしたかった。でも、これだけは忘れないで。私は確かにラルクを愛していたことを。

いつかラルクにまた巡り会える日を待ってる。

綺麗な身体でいたかった』

まるで遺書のようだ。
疑心暗鬼だけれど、これだけ見ると、セレナールさんはラルクを愛していたように感じる。けれど、博物館でのことがネックになって生きることに対して前向きになれなかったのか、ラルクといても常に心穏やかではなかったのだろう。
手紙はセレナールさんに取り上げられてしまった。
セレナールさんは、カナエさんを殴り付けた。
「カナエ!あなたのせいよ!ラルクとの青春奪って……あなたも同じ目に合わせてやる!」
「カナエは結界を解いてセレナールを救おうとしました!もう昔のことは掘り返さないでください!」
カナエさんはセレナールさんの攻撃を受けないため自分に結界をかけた。すると落ち武者さんが結界を解いて羽子板をカナエさんに突き付けた。
「姉さんに謝れ!でないと、アンタの着てるの全部脱がして拘束した写真、アンタのクラスにバラまく!」
「姉弟揃って卑怯ですね」
「早く謝れ!」
「カナエは悪くありません!」
このやり取りを聞いていたらキリがない。私はナミネに駆け寄った。
「ナミネ、私があの時、1人になりたいって言ったのは、ナミネと別れるとかじゃなくて、ただ1人で考える時間がほしかったんだ!どうか、許してほしい!破談にはしないでほしい!引き止めるナミネを無視してごめん!」
ナミネは何も答えなかった。そして、新しい彼だろう男と仲睦まじくしている。
もう返事さえしてもらえないのか。
その瞬間、ナミネは私が最初に渡したネックレスとペアリングを放り投げた。私は泣きながらネックレスとペアリングを拾った。
「ナミネ、本当にごめんね。ナミネのことずっと待ってる」
ナミネは着ぐるみ剥がされたカナエさんを侮辱するセレナールさんの脇腹を3回羽子板で叩いた。
セレナールさんは電流に耐えきれないのか、物凄い叫び声をあげた。
「うるさいです!」
ナミネは何度もセレナールさんを羽子板で叩いた。
「ナミネ、やめようか。こんなことしても何にもならないし、ヨルクはナミネと別れようとしてたわけじゃないってハッキリ言ったよね。それでも気に入らないのかな?」
ナミネはナルホさんを扇子で吹き飛ばした。
「強気なナミネ!僕が悪かった!どうか、エルナと姉さんに危害は加えないでほしい!」
その瞬間、ナミネは落ち武者さんを羽子板で叩き続けた。
ナミネが壊れてしまった。私の些細な行動のせいで。もうどうしたらいいのか分からない。
その時、ナノハさんがナミネから羽子板を取り上げた。
「ナミネはどうしてそんなに怒っているのかな?」
「怒ってません!ただ、落ち武者さんに侮辱されました!」
レイカさんが前に立った。
「これより、お武家連盟会議を行います。テーマは『エミリの受けた屈辱』についてです。意見のある者は手を上げてください」
早速ナミネが手を上げた。
「ナミネ、意見をどうぞ」
ナミネは立ち上がった。
「前回の会議ではレイカさんとカナコさんは、セレナールさんが受けた被害のみに軸を置き、主張していましたよね。
しかしながら、セレナールさんは歴史が変わり、みんなの記憶が失われたのをいいことに、エミリさんの彼氏である皇太子様を奪いました。更には、記憶を失ったエミリさんがアランさんと交際していることを嘲笑ってました。
もし、皆さんが記憶を失いパートナーを故意に取られ、好きでもない人と関係を持ち、記憶が戻った時には好きでもない人の子供がお腹の中にいたらどうですか?
レイカさんとカナコさんも大切な彼氏をセレナールさんに奪われ関係持たれ、自分は全く好きでもない人と故意に寝させられていてもセレナールさんを許せますか?
無論、前回の会議のテーマはセレナールさんがカンザシさんとマモルさんに受けたことでしたが、人は一面のみで生きているわけではありませんよね?
前回被害者として扱われたセレナールさんは、カンザシさんから被害を受ける前にエミリさんをアランさんに襲わせました。何度も何度も。皇太子様と復縁したからと言って、エミリさんの心の傷は残り続けています!セレナールさんは、エミリさんにそれだけのことをしたのです!残酷すぎるやり方。エミリさんはずっと守り抜いてきたものをセレナールさんによって取り上げられました!もうこれは一方的にセレナールさんが、エミリさんを陥れ侮辱しイジメたとしか言いようがありません。
反論意見は、自身がエミリさんと同じ立場になってもいい人のみ言ってください!それ以外は自由にどうぞ」
ナミネの発言で、カナコさんとレイカさんは考え込んだ。少しでもナミネの意見に思うものがあったのだろう。
エミリさんは立ち上がった。
「私が言いたかったことは、今まさにナミネが発言したことです。私は何もかも青春そのものをセレナールに奪われた被害者です!」
前回被害者だったセレナールさんが今回は加害者として扱われている。セレナールさんが手を上げる前にエミルさんも立ち上がった。
「私もナミネに同意です。妹を辱められて、このままセレナールを野放しには出来ません」
「私もナミネに同意します。物事には限度があります。セレナールも記憶を失っていたのならともかく、記憶を覚えていたなら完全な辱めにしかすぎません」
レイナさんまでナミネに同意した。
「カナエも記憶を失った時、セイから辱めを受けました。よって、ナミネに同意します」
確かにカナエさんも記憶を失った時はセイさんと交際をしていた。これもカナエさんとっては屈辱だったのだろう。
「私もナミネに同意です。こんなの無理矢理なイジワルじゃないですか」
リリカお姉様までナミネの発言に同意した。
ナルホさんは手を上げた。
「ナルホ、意見をどうぞ」
「ナミネは裁判官でもなければ裁判員でもないよね?起きたことは元には戻せない。ここでセレナールを責めてどうにかなるのかな?エミリの青春は戻ってくるのかな?」
ナルホさんは、やはりナミネには同意しない。
「私もナルホに同意。今頃責めても、あとの祭り。もし、エミリを救いたかったなら、どうして記憶が失われていると分かった時にエミリに言わなかったのかな?」
ナノハさんもナミネには同意しない。
「もう遅かったのです。エミリさんはアランさんと交際直後、アランさんとタルリヤさんの子供を妊娠していました。番人のキクスケさんは、ヨルクさんに『エミリさんは妊娠に気付いた時点で、失った記憶を全て思い出します』と教えています。そのような状況で教えろと言うならナノハお姉様が教えるべきでしょう!責任転嫁はやめてください!それに私は反対意見はエミリさんと同じ状況でもいい者のみと言いました!」
怒ったナミネは、皇室に紙飛行機を飛ばした。ナノハさんは今のナミネには何も出来ないだろうと思っているのか平然としている。数分後、皇室から返事が来た。ナミネはナノハさんに文を見せた。
『ズルエヌと皇女の婚姻を認める』
どうして、このような返事が帰ってくるのだろう。セナ王女の時にしても、何か引っかかるものがある。本当にナミネの文だったのだろうか。
ナミネは再び立ち上がった。
「分かりましたか?今ズルエヌさんは記憶を失って皇女様と交際しています。私に意見したということは、これを受け止めたと見なします!どうぞ、今という青春をお楽しみください」
「ナミネ、私はずっとナミネを心配してきたし、ナミネの幸せを思ってきた。だから、ヨルクにナミネとの縁談を推薦した。ナミネに不幸になってほしくないからよ!あの時みたいに!」
あの時ってなんだろう。ナノハさんは、ただただ涙を流した。私は咄嗟にナノハさんに駆け寄った。ナノハさんは、ただ無言で泣きながら私を抱き締めた。
ナノハさんはいつも暖かい。小さい頃からずっと変わらない。そんなナノハさんが私は大好きだった。
「すみません……やりすぎました。取り消します。ナノハお姉様が私の知らないことで私が生まれた時から私のことを大切に思ってくれていたことを。ナノハお姉様、お許しください」
ナミネは再び皇室に紙飛行機を飛ばし、最初に飛ばした文の解除を行った。この時点で私は何も知らなかった。ナミネの背後にはミドリさんと妖精村3番目の番人であるテナロスさんがいて、ミドリさんが皇帝陛下と皇后陛下の実の娘で本当の皇女はミドリさんであるということを。
「ナミネ、生きていたら色んなこともあるわ。理不尽なことも屈辱的なことも、どうにもならないことで、この世は溢れかえっている。エミリの件もそうだけど、仲間を救いたい気持ちを持つことはいいけれど、ここはナミネだけの場ではないの。ここいる人だけの意見がちゃんとある。受け止めなくても、みんなにはみんなの意見を言う権利があるのよ。ナミネは、ただヨルクと幸せになって」
ナノハさんはナミネを諭すと同時に微笑んだ。
「はい、分かりました。皆さんの意見もちゃんと聞きます」
本当のナミネは素直な子だ。けれど、成長するにつれ、世の中の理不尽さを目の当たりにし、ずっと気を張りつめてきたのだろう。
今度はミドリさんが手を上げた。
「ミドリ、意見をどうぞ」
「ナノハは綺麗事ばかり。
けれど、私は経験者として語ります。私の場合もハメられました。実の妹であるナクリに。あの時は、恐怖に苛まれながら約30分ほど辱められ、挙句に私は死にました。
今回のケースは、2人とも屈辱を受けています。状況は違えど、受けたものは他でもないイジワル。
この場合、誰にも2人の処分はくだせないんじゃないでしょうか。それが出来るのは裁判官と皇帝陛下くらいだと思います。
私は死んだし、どうにも出来なかったけど、2人は生きています。そしてこれからも生きていかなくてはなりません。
だから、ナノハが安易に世の中は理不尽とか屈辱的とか言ってしまうことで余計にエミリを追い詰めてしまうこともあると思います」
ミドリさんの死に様は本当に悲惨なものだった。もし、ミドリさんが生きていたなら自ら命を絶っていたかもしれないというくらいに。
「ミドリ、本当に悪かったと思ってる!許してとは言わない!償うから、だから解放してほしい」
ナクリさんはスウェットのままミドリさんにすがりついた。
「許さないよ、ナクリ」
ナミネは何かを前に持って行き、レイカさんに渡した。
「これが私が月城総合病院で見た最後のミドリお姉様の姿です」
「そう」
レイカさんはそれ以上は言わなかった。言えなかったのだろう。ラァナさんのこともあるし、出来れば見たくなかったのかもしれない。
「では、私の意見を言います。さっきミドリの意見を聞いて、経験者にしか分からないことは確かにあると痛感させられました。大切な人に寄り添っていても、その人がずっと辛い思いをしていたら私も辛いです。
確かに私は前回セレナールを擁護しました。私自身、そのテーマに沿っていたつもりでもあり、向き合っているつもりでした。
けれど、今回は最初のナミネの意見もあり、もし自分が記憶を失っている間に愛する人を取られ、好きでもない人と無理矢理に合意となっていたら恨んでも恨みきれないし、その青春はもう戻っては来ません。
私は前回セレナールを擁護したことを取り消します。
私もナミネに同意です」
いくら愛する人が傷付いた人に寄り添っていても、本人にしか分からない傷がある。まるでユメさんとクラフのようだ。
「私もレイカに同意します」
カナコさんもナミネの言い分に賛同した。これで過半数がナミネの意見に同意したことになる。
このことによってセレナールさんは孤立無援となるのだろうか。
「私はセレナールを何がなんでも許さない!」
「カナエも許しません!」
エミリさんとカナエさんはセレナールさんに扇子を突き付けた。

……

あとがき。

セレナールは、いつも詰めが甘いですね。
レナードと交際しても記憶が戻ればフラれてしまうのに。

今はラルクを好きだと気付いてもエミリが受けた屈辱は消えません。

古代編の延長線なのでしょうか。
悲しいです。

……

この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
純愛偏差値 未来編 一人称版 102話

《ナミネ》

カンザシさんは懲役2ヶ月半、マモルさんは懲役2年。
これでよかったのだろうか。そんなこと私には分からないけど、少なくともラジオでカンザシさんのことが世間に明るみになってしまったことは、今後の芸能生命を揺るがすことになると思う。
あのようなことは許せない。けれど、私も間違ったというところがどうにも引っかかってしかたなかったのだ。
お武家連盟会議で、私は意見をしなかった。マモルさんは完全な加害者かもしれない。でも、カンザシさんは、謝ってほしいとまで言っていた。多分私は、そんなカンザシさんに一瞬同情してしまったのかもしれない。
キクリ家からデパートまで、歩きでもそんなにかからないけれど、小雨とはいえ、雨の日のお出かけは何気に寂しげだ。私はヨルクさんにくっついた。
「強気なナミネ、アンタはどう思ってるわけ?」
え、どうしてこのタイミングで聞いてくるのだろう。正直答えづらい。落ち武者さんにとってセレナールさんは実の姉。それに対して私はカンザシさんの実の妹だ。
「言いづらいですが、私もレイナさんの意見に同意です。間違えたというのは、どうも引っかかります。無論、その後のカンザシさんの行動は許せないものでしょうけど、あの時、セレナールさんが間違っていなければ悲劇は起きなかったと思うんです」
落ち武者さん怒ったかな。私は恐る恐る落ち武者さんの顔色を伺った。
「まあ、アンタなら間違えないんだろうね?けど、みんながみんなそうじゃない。暗い中、寝ぼけている時は判断が鈍る。遠い昔、昼寝をしていて起きたら彼氏の友達と悲劇になったケースもあるけどね?」
私だったら寝起きでも、そのようなことは絶対にない。けれど、妖精村でも、そういう事例があったのか。もし、私がその人だったら一生を棒に振ってしまうと思うし、その人もそうだっただろう。
「すみません。主観でものを言ってしまいました」
「別にいいけど?僕はアンタ個人の意見聞いたわけだからね?」
私個人の意見か。会議では殆ど発言がなかったから、正直なところ、みんなどう感じたのか分かりかねる。
でも、次はエミリさんの会議でセレナールさんが袋叩きにされそうな気がする。
「ねえ、ナミネ。私が悪いって言ってるけど、あなたが同じ目にあっても自分が悪かったって思えるの?」
セレナールさんは突然私の髪を引っ張った。
「セレナール!私は、あなたに落ち度があると思っているわ!そもそも、初代天使村では、ヨルクに毒盛るし、妖精村だってラルクのこと馬鹿にしたし、私は今すぐラルクと別れてほしいわ!いま1度聞くけど、間違えたって何?あなた、恋人と他人間違えるわけ?」
会議では、カナコさんとレイカさんに気を遣って発言出来なかったのだろう。リリカさんも、セレナールさんに落ち度があったと思っている。それに、弟2人に酷いことされて、セレナールさんのことは許すに許せないだろう。
「リリカ、部屋が真っ暗で誰か分からなかったのよ!」
セレナールさんは、私の髪を離した。
「誰か分からないのに、あなたはしたの?」
セレナールさんの無意味な言い逃れは、もう誰にも通用しない。それだけ、セレナールさんは信用を失ってしまったのだと思う。
「薄らヨルクだと思った。でも、無理矢理起こされて、実際は誰か分からなかったけど、寝ぼけて、ことに及んでしまったの。でも、あの時は、いっときの気の迷いだった。本当はラルクを好きなこと、ずっと気づけずにいた。今になって後悔してる」
その経験は私もあるけれど、ヨルクさんに毒を盛ったことは今でも許せない。
「寝言は夢の中で言うことね。エミリのお武家連盟会議がはじまれば、あなたタダじゃ済まないわよ」
「それは……」
一度、起こしてしまったことは元には戻せない。セレナールさんが何を思って皇太子様と交際したのかは分からない。けれど、そのせいでセレナールさんは3人の子供を死産した。
いくら記憶がなくなっているからといって、そのまま皇太子様と交際し、エミリさんはアランさんと交際する事態を嘲笑って見ていたことは本当に性格が悪いとしか言いようがない。
それで、結局エミリさんと同じ状況になれば完全な被害者を主張する。だったら、エミリさんにも完全な被害者を主張する権利があると思う。

デパートに入ったら、電池式の大きなランプが並んでいて何だかオシャレだ。停電になっても、こんなふうに店は営業を続けている。まるで昔のようだ。
宝石ショップでは、大々的に早くもフェアリーフォンがたくさん飾られていた。その時、カラルリさんに肩を叩かれた。
「ナミネ、助けてほしい」
えっ、私にどうしろと言うのだろう。
「一目惚れカラルリ、アンタが自分で甘えセナに断れ!」
本当そうだ。買えないものは買えない。ローンで買ってしまえば、それこそ将来困るだけでしかない。
「カナエ。復縁してとは言わない。ただ、受け取ってほしい」
「カナエは、そのような高価なものは受け取れません」
「それでも私は買う。このネックレスをラッピングしてください」
まさか、このタイミングでアルフォンス王子が一方的にカナエさんのプレゼント買うとは思ってなかった。しかも、赤いハート型のダイヤモンド。
「かしこまりました。一億七千万円になります」
うわー、高すぎる。
アルフォンス王子はレインボーカードで支払いを済ませた。けれど、何かが引っかかる。ムーンの逆ってフォンだっけ。そうだけど、それってアンバランスだ。このブランド、ちゃんとしたものなのだろうか。
アルフォンス王子は、半ば無理矢理カナエさんに袋を握らせた。
「カナエは、これを身に付けることはないでしょう」
こんなバカ高いの買って付けないって言われたら私だったらいやだな。
「エルナ、フェアリールナのネックレス買ってやる」
何故、あえてカラルリさんを追い詰める。そもそも、こんなに高いの買うくらい好き同士なら復縁しちゃえばいいのに。
「あら、彼氏気取りかしら?落ち武者さん」
落ち武者さんとエルナさんも選びはじめている。
セナ王女は片っ端から試着してるし。
「セレナール先輩、今日は色々ありましたので、1つ好きなの買います」
えっ、ラルクまで!?それってセレナールさんのことまだ好きだから?それとも同情?分からないけど、こんな状況ではカラルリさんが断るに断れなくなってしまう。
「いいの?」
「はい、一応恋人ですし」
一応って、やっぱり愛し合っているわけではないのか。それでも、私も傍にいてくれるなら愛してもらえなくても構わなくはないけど、他の人と一緒になられるより、ずっとマシだと思う。
「ありがとう、ラルク」
セレナールさんまで選びはじめてしまった。
横を見ると何気にヨルクさんと目が合った。私は咄嗟に別の方向を向いた。
「ナミネ、他のショップでほしいのあったら買うからね」
「い、いらないです!既に最初にもらったネックレスと、その後買ってもらったペアリングありますし」
紀元前村では付けてなかったけど、今は付けている。やっぱり私はシンプルなものが好きだ。
「ナミネって、昔から物欲ないよね」
ダメだ。ラハルさんとのこと全然思い出せない。
「そ、そうでしたっけ」
ただ、カンザシさんの奢りといったら、いつもラーメンだった気がする。ペアリングも5000円にも満たない安物で、あの時のカンザシさんは、とにかくお金がなかった。
「ラハル、私もラハルさえいれば他に何もいらないわ」
恋は盲目と言うが、リリカさんのラハルさんへの気持ちってなんだろう。けれど、実際リリカさんもラハルさんグッズばかりで宝石には、あまり興味はなかった気がする。
「決めた!これがいいわ!」
ついにセナ王女がフェアリーフォンを決めてしまった。赤いハート型のダイヤモンドのエタニティリング。男性用は上に四角い赤いダイヤモンドがある。ダイヤモンドのないのもあるが、こういうペアリングは最近流行っている気がする。
けれど、エタニティリングという時点で、何だか婚約指輪にも思えてくる。とりあえず値段見ておこう。
……。
2つで二億三千万円……。
「あの、アヤネさんかズームさん……肩代わりしてあげられないでしょうか?」
私は自分のことでないのに何故かすがってしまった。
「お気持ちは分かりますが、このような場面で大金をあげることは出来ません」
「僕もです。お金というのは自分か、もしくは大切な人に使うものだと思っていますので、安易に誰かを助けることは出来かねます」
だよね。丸く納まってほしいほど上手くいかない。
「ナミネ、分かってると思うけどカラルリさん本人が断らないといけないことだから、アヤネさんとズームさんが出すのはおかしいよね」
それは重々承知だ。それでも、この状況を見ていられないのだ。
「わ、分かっています。けれど、これでは私たち、また夜通しバイトです」
「バイトって何のことかな?」
そういえば、ナルホお兄様が紀元前村にいる時だった。
「いや、だから、これが一度目じゃないんです。去年、カラルリさんはセナ王女に3500万円のペアリングを買って、げっそりしたカラルリさんを見かね、私たちも夜中までバイトしたのですが、続かなかったんです」
あの時は、参加した全員がクタクタだった。
「そっか。でもそれってナミネのお節介じゃないかな?」
お節介って。経験してない人間は易易と……。
「そうですけど、仲間ですし。放っておけないというか……」
あの時は、みんなでバイトすれば何とかなると思っていた。けれど今回は違う。桁違いだ。
「セナさん、そんなにお金持ってない。フェアリーフォンは諦めてくれないかな?」
断った。ことになるのかな?
「ローン組めばいいじゃない」
簡単にローンって。家でもそんなにしないよ。
「ローンを組む場合でしたら、この商品の場合、例えば、ひと月23000円で833年ローンとなります。死後の分も勿論残りますので、転生後こちらからローンの案内をさせてもらう形となります。驚かれるかもしれませんが、最近は流行っているんですよ。転生ローン。プロポーズされる方がよく契約されています」
ありえない。そんなの聞いたことないよ。次に生まれてきた時に既に借金してる状態なんて正直いやだ。これはカラルリさんがキッパリ断るしかない。
「カラルリ、これなら払えるじゃない!」
「セナさん、流石に無理だよ。転生ローンは組めない。転生後に借金が残っているなんて私は耐えられない」
本当にそうだ。転生ローンなんて、店側の策略でしかない。
「何よ!セレナールもカナエもエルナも買ってもらってるじゃない!私だけ買ってもらえないなんて不公平だわ!」
ダメだ。このままだとカラルリさん転生ローン組まされてしまう。
「あの、セナ王女。流石にカラルリさんの払える額ではないです」
「だからローンがあるんじゃないの!」
何言っても通じないパターンだ。サバイバルでは、あんなに活躍しているのに恋愛のこととなると別人。人のこと言えないけど。
もう、ここはカラルリさんがどうにかするしかない。
「ねえ、ラルク。ゲーセン行こうよ!」
「待ってくれ!みんな、助けてほしい」
人は都合が悪くなれば他者を巻き込む生き物である。キッパリ断れる人もたくさんいると言うのに。自分でどうにか出来なければ他人にどうにかしてもらおうとする。カラルリさん1人でここから離れればいいのに。
「うーん……誰かお金持ってる人が肩代わりするとか……」
「ナミネ、さっきも言ったよね。そういうことはいけないって」
だったら、ナルホお兄様がなんとかしてよ。
「じゃあ、皆さんで意見を言うとか……」
「ねえ、セナさん。ここでカラルリにローン契約させたらカラルリが苦しむわ。ペアリングなら去年ハイブランド買ったんだし、それ付けたらどう?」
みんなはそう思うけど、問題はセナ王女。現世でのセナ王女は、やたら宝石をほしがる。
「いやよ!3人買ってもらって私だけ買ってもらえないなんて惨めだし、そんなの本当の愛と呼べないわ!」
本当の愛ってなんだろう。
私、特にここに用事ないしゲーセン行きたいんだけどな。
「けど、ナミネは買ってもらってない!」
カラルリさん泣いてる。
「ナミネは子供じゃない!子供にフェアリーフォンは合わないわ!」
なんなんだ、その理屈は。
みんなで少しずつ出し合うのもナルホお兄様に反対されそうだし、どうしたらいいのだろう。会議で出たのは茶菓子だけだし、お腹も空いてきた。
「あの、ここに用事のない人は自由行動しませんか?私、お腹空きました」
「じゃ、レストラン行く」
よかった。解放される。
「待ってほしい!置いていかないでくれ!」
え、どうしたらいいの。
「一目惚れカラルリ。2階のエスカレーター下りたらすぐのレストラン入ってるから、終わったらこい!」
私は逃げるように宝石ショップを出た。落ち武者さんみたいにハッキリもの言えたらいいんだけど。仲間のあれこれとなると、どうしたらいいの分からなくなる。
カラルリさんには悪いとは思う。けれど、あの場にみんないたところで結局は去年のような結末になるだけだろう。

停電のせいか、来ている人は少ない。私たちは3つのテーブルに案内されていった。
「ナミネ、一緒に食べようね」
「はい」
お腹すいてるし、大盛りにしようかな。メニューを見たら、殆ど火を通さないものしかない。冷やし中華とか、この時期まだ早いしな。サンドイッチが無難だろうか。
「あ、サンドイッチと紅茶にします」
「うん、分かった」
メニューが限られているせいか、みんなすぐに注文をした。
「ねえ、ラルク。カラルリさん、どうなるかな」
「まあ、契約させられるだろ」
セナ王女は、どうしてカラルリさんの身の丈に合わないものを買わせるのだろう。カナエさんもいるけど、あの時点では一言も言葉してなかった。
「カナエさんは、それでいいのですか?」
「カナエも止めたいには止めたいですが、今のセナさんには通用しません。もう、あの頃とは違うのです」
つまり、薔薇の花束で喜んでいたセナ王女ではなくなったということだろうか。
「自分で断れないヤツのことなんか放っておけ」
確かにそうだけれど。また前みたいにバイトしないといけないかもだし、学校が週に3日な分、1日時間の取れる日もあるし。停電ゆえ、時給も上がっている。
「そう……いうものなんですかね?」
「みんな自分のことで精一杯だろ。アンタも含めてね?本来本人が決めることアンタが決められないだろ」
確かにカラルリさんが決めることを私が決めるわけにはいかない。
「ナミネ、全部食べていいよ」
「あ、いえ。ヨルクさんも食べてください」
私は、お皿をヨルクさんのほうに寄せた。
「顔だけヨルクって本当に強気なナミネに浮気されても許せんのかよ?」
突然、どうしてそんなこと聞くのだろう。
というか、カラルリさんとセナ王女なかなか来ない。
「私は何があってもナミネを手放さない!」
ヨルクさん……。私もヨルクさんのこと大切にする。
「じゃ、この映像見てみな?」
何の映像だろう。
落ち武者さんは、映像をヨルクさんに見せた。

映像は、教師時代のセレナールさんを失って、ラルクがクレナイ家に戻って来た時のものだった。
ちなみに、セレナールさんの死後、一度だけ妖精村の時間が狂っているから、今となってはセレナールさんが享年何歳だったかは
分からないのである。
遠い昔は今みたいに何かをするのに、これといった資格は必要なかった。ラルクは、高校卒業して短大を卒業してから教師に就いている。
セレナールさんとはラルクが高校時代にアパートで同棲していたはず。ラルクとセレナールさんが同時に妖精村学園の高等部の教師をしていた期間は短かったが、あの頃のラルクは青春真っ只中だったと思う。
けれど、突然セレナールさんを失い、クレナイ家に戻って来たラルクはやつれていた。仕事には行くものの、それ以外は引きこもり休みの日も、どこかに行くことはなかったのである。
私はそんなラルクを見ていられなかった。
『ラルク、遊園地行こうよ』
ただ、少しでも元気になってほしかった。
『とてもじゃないけど、そんな気持ちにはなれない』
ラルクは私と目を合わせようとしない。
『じゃあ、美術館は?』
『行かない』
それでも私は諦めなかった。
毎日ラルクの部屋に行ってはラルクを励まし続けた。
『ねえ、ラルク。新しく水族館出来たみたいなんだけど行こうよ!』
『分かった』
やっと前向きになってくれた。あの時の私はそう思い込んでいた。私自身もあの頃は、やつれていて、家事も子育ても出来ない状態だった。メイクはおろか、着替えもせず一日中クレナイ家にこもっていた。既にミナクさんとの関係は破綻した状態だった。それでもラルクの傍にいたかった。全てを使用人に任せてでも、私はラルクの部屋に通い続けたのだ。
『ラルク、大きなジンベイザメがいるよ!』
『そうだな』
こういうところに行くのも久しぶりなのだろうか。ラルクはあまり楽しそうではなかった。
けれど、その後も私は、たびたびラルクを外に連れ出した。私にとっては、これ以上にない幸せな時間だったと思う。
博物館や遊園地、美術館など、色んなところへ行った。どこにも行かなくても近所を散歩しながら話していたりもした。
そんなある日、デパートからの帰りにラルクとホテルに行った。
『今日はここで泊まるんだね!』
私はソファーに座ってテレビをつけた。すると、ラルクが隣に来た。いつものラルクじゃない。
『ラルク……?』
切なげで私を見るラルク。
『ナミネ、助けてほしい』
『どうしたらいいの、ラルク?』
ラルクはソファーに私を押し倒した。私はすんなりラルクを受け入れた。

「もういい、先に帰る」
映像が終わる前にヨルクさんは立ち上がった。
「ヨルクさん、待ってください!」
私はヨルクさんの手を握ったが、ヨルクさんはアッサリ私の手を振り払った。
「な?浮気でもないのに、この程度受け入れられないんじゃ浮気なんて受け入れられるわけないだろ!顔だけヨルクは上辺だけだね?」
「悪いけど、しばらく1人になりたいからクレナイ家に帰る」
え、どうしたらいいの。
「ヨルクさん、行かないでください!」
引き止めたものの、ヨルクさんはレストランを出て1人帰ってしまった。
遠い昔の、あの時のことは私とラルクの秘密だった。あの1回だった。最初で最後、私が女になれた日。どうして落ち武者さんが映像持ってるの。
私はヨルクさんに嫌われたと、咄嗟にエルナさんに羽子板を突き付けた。
「どうしてヨルクさんとの仲を引き裂くんですか!5分以内にヨルクさんをここに戻さないとエルナさんを遠い昔に置き去りにします!」
私は本気だった。あとからあとから、フツフツと落ち武者さんに怒りが込み上げていた。
「強気なナミネ待て!顔だけヨルクは呼び戻す!だからエルナには手を出すな!」
今更焦っても起きてしまったことは元に戻せないのに。
「どうしてそっとしてくれないんですか!私とヨルクさんの仲を引き裂いて楽しいですか?やってることカンザシさんと同じです!ヨルクさんと元の関係に戻れなければエルナさんを遠い昔に置き去りにします!私とヨルクさんの仲を引き裂いてタダで済むと思わないでください!」
「分かった!顔だけヨルクのことは説得する!だから、エルナにだけは手を出すな!」
エルナには手を出すな?自分だけ幸せになろうだなんて、そんなの認めない。
数分後、どのような手を使ったのか知らないがヨルクさんが戻って来た。
「ねえ、1人になりたいって言ってるでしょ!もう帰るよ」
「顔だけヨルク、よくも嘘ついたな!浮気許すなんて適当なこと言ってイザとなれば逃げる。卑怯にも程があるね!今すぐ強気なナミネと仲直りしろ!」
遠い遠い昔のヨルクさんは結婚後の私の浮気を許したと天界にいた学友が言っていた。けれど、あれから何世紀経ったことか。今のヨルクさんは、もうあの頃のヨルクさんではないんだ。
「すぐに何もかも出来ないでしょ!私にも考える時間が必要なの!」
もうダメだ。私とヨルクさんの関係、完全に壊されてしまった。私は大泣きしながら落ち武者さんを羽子板で叩き続けた。
「やめて!セルファはあなたとヨルクが羨ましくてやったの!悪気はなかった!あなたたちの関係が壊れてしまうとは思ってなかった!」
羨ましい。それが結果的に私とヨルクさんの関係が壊れる原因となった。
「ていうか、あんなの見せて悪いの落ち武者さんでしょ?もう本当に行くから」
ヨルクさんが立ち上がった瞬間、私は既に打っていたメールをテナロスさんに送信した。すると、エルナさんがいなくなった。

……

あとがき。

カラルリとセナは何故戻らないのでしょう?
1回ではローン問題。
2階ではセルファがナミネとヨルクの仲を引き裂いたばかりにエルナが遠い過去に飛ばされてしまう事態に。
いったい、どうなってしまうのでしょう。

……

この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
純愛偏差値 未来編 一人称版 101話

《ヨルク》

身体が重たいし息苦しい。
と思ったら、私の上にナミネが乗っかっていた。
「ナミネ、重たいから降りて」
寝ている。夜は何時頃寝たのだろう。朝の水汲みもしないなんて、ナミネにしては珍しい。私はナミネを布団の中に入れた。
少し前までは小学生で二つ括りをしていたナミネ。幼稚園の頃はショートヘアだったナミネ。今も幼いけれど、どんどん可愛くなっている。私はナミネに口付けをした。ナミネの菜の花の香りにはいつも癒されていた。もっとナミネを求めてしまう。
「ヨルクさん、セクハラです!」
ナミネ、いつから起きていたのだろう。こんな朝っぱらから大声出されて、他の人に聞かれたら、たまったもんじゃない。
「ナミネ、大きな声出さないで」
「だってヨルクさん、セクハラするじゃないですか!昨日もお風呂の中で……」
私は咄嗟にナミネの口を塞いだ。
「アンタら、今日は大事な話し合いなんだから、もっと気を引き締めろ!」
しまった。落ち武者さんいたの忘れていた。
時刻は6時。水汲みは、もうラルクがやってしまっただろう。
「ナミネ、朝食作ってくるね」
「はい」
私は、ナミネの朝食を作るため、キッチンへ向かった。

キッチンでは、料理係のメンバーがカナエさんに料理を教えてもらっている。こんなふうに、みんなが活動していると、やっぱり紀元前村を思い出す。
「皆さん、おはようございます」
私もメンバーに加わった。
「おはようございます」
「あら、おはよう」
「おはようございます」
「おはようございます」
朝食は、ベーコンエッグか。
「ヨルク、今日は話し合いではなく、お武家連盟会議となりました。なので、キクリ家ではなく、カラクリ家で行います。武家以外は話し合いには参加出来ません」
そうだったのか。おおごと、という形で取り扱われるわけか。カナコさん、レイカさんの意見がおおむね通るだろう。カンザシさんのバックにはミネスさんが付いていても、マモルさんは、皇帝陛下からの処罰を受けることになりそうだ。
「そうでしたか。やはり、問題は話し合いのみでは済ませないことになったのですね」
「そうですね。言い出したのはカナコお姉様とレイカさんです」
カナコさんがセリルさんを気遣ったのか、セリルさんが裁きをくだそうとしているのか。分からないけど、すぐには終わりそうになさそうだ。
「そうですよね。時効までまだありますし、ちゃんと罪は償ってほしいですもんね」
「僕もイジワルとか絶対に許せないです。引き渡したカンザシさんのことも」
クラフは昔にユメさんを亡くしている。今のセレナールさんには、仮交際とはいえ、ラルクがいる。でも、もうマモルさんの顔なんて見たくもないだろう。
「そうですね。僕も大切な人が、そういう目にあったら簡単には許せないと思います」
カラン王子が言うように誰だってそうだ。私だってナミネが同じ目にあったら、何がなんでも相手には償ってもらうと思う。
「さて、みんなに朝食を出します」
「あ、はい」
私たちは、みんなの食事を第4居間に運びはじめた。

そうか、火鉢で調理してるから、加熱係は何もしてないのか。洗濯係にまわってくれたら助かるのだけれど。
「加熱係は何もしてないわね。私は料理係にまわるから、セナ王女とナナミは洗濯係にまわってくれないかしら?」
リリカお姉様って料理出来るのだろうか。
「はい、分かりました」
「ええ、分かったわ」
「あと、ミナクもね」
そういえば、ミナクお兄様の役割決められてなかったな。
「分かりました……」
これで、洗濯が随分楽になりそうだ。
「ラルク、ごめんね。寝過ごしちゃった」
「ナミネにしては珍しいけど、眠れなかったのか?」
「そうなの。アルフォンス王子も水汲みしてた?」
「いや、アルフォンス王子は一度も水汲みには来てない」
そうだったのか。役割を決められてもサボる人がいると厄介だ。
「アルフォンス王子、水汲みしないなら、別荘に戻ってくれるかしら?」
「明日からはやる」
前も似たようなこと言っていたような。
「皆さん、今日の予定表です。お昼はカラクリ家で出ます」
カナエさんは、みんなに予定表を渡しはじめた。いったい誰が来るのだろう。
「えっ、私たちは会議に参加出来ないの?」
「そうね。参加したいならカナコさんかレイカさんに掛け合うしかないわね」
カラルリ家でのお武家連盟会議。エミリさんもいることになる。正直いやな予感がする。逆に慰謝料とか請求されないだろうか。
「ヨルクさん、お服をお脱ぎしましょうね」
突然ナミネが私の服を脱がし始めた。
「ナミネ、やめて!私は昔のセイさんとアランさんじゃないから!」
「セイとアランは確かにパンツ1枚でした。でもそれは、森の湖にいる時だけです。当時の決まりでしたから」
当時の女の子妖精たちの姿も見たけれど、薄くて太ももが見える衣を着ていた。あの場所は原始的だったようにも思う。
「ほら、一日中じゃないでしょ!ナミネこそ、あの衣着たら?下着は付けちゃいけないんだよ」
「ヨルクさん、セクハラです!昨日といい、今日といい……」
私は咄嗟にナミネの口を塞いだ。
何故今それを言う。今朝はともかくとして、昨日はナミネも合意していたし。
カナエさんは、食器を片付けはじめた。私や料理係も片付けた。

食器を洗う時も庭で洗わないといけない。これ、全家庭が同じことしているのだろうか。少なくとも似たようなことはしているかもしれない。
けれど、カナエさんがいるから早く済む。
キッチンで私たちは洗った食器をタオルで拭いた。
「今日は、午後から雨が降ります。傘を持って行きましょう」
「あの、カナエさん。カラルリさんがフェアリーフォンを買えるとは思いません。ショップへは行かないほうが……」
「カナエもそれは中止にしたいですが、お兄様がキッパリ断らない限り、前に進む一方です」
確かにカラルリさん本人が断る必要がある。周りがどうこう言っても仕方ない。けれど、今回のショップ行きが、また拗れに繋がりそうな気がする。
「そうですよね……」
カナエさんはキビキビ動く。こういう女子(おなご)と結婚すれば、男は幸せになれるだろう。それでも、ナルホさんはどうしてカナエさんと別れてしまったのだろう。

第4居間に戻るとナミネが腕を組んで来た。
「机拭いておきました。未来のお婿さん」
今日はナミネは水汲み出来なかったから、責任感でも抱いているのだろうか。普段のナミネだったら考えられない。
「ナミネは、いい子だね。ナミネと結婚するのが楽しみだよ」
「ヨルクさん大好き!」
今日は珍しくナミネからくっついてくる。
「アンタら見せつけてんなよ」
「あ、ごめん」
私はナミネから離れた。
今日は、お武家連盟会議だ。他人事とはいえ、他人事ではない。
「皆さん、今日はカラクリ家での会議ですので、そろそろ準備をはじめてください。会議が終わればショップへ行くので持ち物は簡易的で構いません」
カナエさんがショップと言ってしまえばセナ王女も期待してしまう。そもそも、セナ王女って宝石好きだったっけ?ナミネが言ってた話とは違うような気がする。
「ナミネ、準備は出来てる?」
「はい」
私は念の為、ナミネのショルダーバッグを確認した。停電前は、ナミネは、いつもこのショルダーバッグで出かけていた。ついこないだのようだ。
ナノハナ家からカラクリ家までは12分ほど。
時刻は8時半。そろそろ出発か。
「では、皆さん。カラクリ家へ行きましょう」
私たちは荷物を持ってカラクリ家へと向かった。

会議室に入ると、カナコさん、レイカさん、セリルさんは既に来ていた。というか、お武家連盟会議に参加することなんてなかったから正直緊張する。
「カンザシさん。悪いことは悪いと認め、ちゃんと謝ってください。そして、停電が終われば、芸能界でめいいっぱい活躍してください」
ナミネはカンザシさんの手を握った。いつの間に、こんなに親睦が深まったのだろう。昨日だって、ナミネはカンザシさんに抱き着いていた。まさか、カンザシさんに気があるのでは……。
「ナミネさん、ありがとうございます。もう二度と同じ過ちは繰り返しません」
この時の私は何も知らなかった。ズームさんがラルクの無理で勾玉消して、ストレスの溜まったカンザシさんが商店街で見知らぬ女子(おなご)に痴漢していたり、行きずりの女子(おなご)に暴力を奮っていたことを。更には痴漢の際、女子(おなご)の下着の中に手を入れ、得体の知れない液体を塗りつけていたことを。
「ヨルクさん、席に着いてください」
気が付けば人が増えている。私はナミネの横に座った。
使用人が茶菓子を置くと同時に、レイカさんが前に立った。
「では、これより、お武家連盟会議を行います。意見のある者は手をあげてください」
真っ先にセリルさんが手を上げた。
「セリル、意見をどうぞ」
「僕はどうして、マモルさんとカンザシさんがセレナールに、あんなことをしたのか本人の口から聞きたいです」
この場に緊張が流れている。マモルさんは冷や汗をかいてる。
まだ2人から何も聞き出せないままエミリさんが手を上げた。
「エミリ、意見をどうぞ」
レイカさんは割り込みを認めた。
「私は、セレナールの策略でアランにイジワルされ妊娠までしました。妊娠した子は死産だったし、セレナールは日頃の行いと性格の悪さでこうなったと思うし、少しも同情出来ません」
やはり、エミリさんは未だにセレナールさんを許していない。無理もない。皇太子様とは純粋な関係だっただけに、不本意にはじめてをアランさんに捧げたなど本人からしてみればやり切れないだろう。
「事情はエミルからたくさん聞いてるわ。でも、今回の件とあなたの件は別物。エミリがセレナールを許せないなら、別に会議を開く必要があるわ」
「分かりました。会議を開いてください。その時に意見します」
エミリさんは、一旦引き下がった。その時、落ち武者さんが、この場にいる全員にフェアリーングをかけた。
「なあ、カンザシ。アンタなんで姉さん犯した。その時どんな気持ちだったんだよ?マモルに引き渡して気持ちが楽になったのかよ?」
セリルさんは落ち武者さんを止めない。
「セレナールさんとは合意だと思っていました。けれど、途中でヨルクさんの名前を呼ばれ、馬鹿にされたと酷く苛立ち傷つきました。マモルに引き渡しても気持ちは晴れず、後悔はしているはずなのに、今でも馬鹿にされている気がしてやり切れません」
合意……か。間違えられたまでなら何の問題にも問われなかっただろうに。
「マモル、アンタ姉さん犯してた時、どんな気持ちだった?犯さない選択も出来ただろうに、なんであえて犯した?」
「めちゃくちゃ気持ちよかったッス。自分は犯したと思っていないと言うか、カンザシがセレナールさんがリセットの仕方分からず苦しそうだから手伝ってやれと言うから手伝っただけで、これって犯したことにはなりませんよね。今でもセレナールさんの身体が忘れられなくて、こんな絶世の美女と出来るなんて思っていなかったから、あれ以降は誰と交際しても満たされないんですよね」
カンザシさんが騙していたのか。とは言えども、人には人の引け目や後ろめたさはある。私なら絶対にしない。例え好きな人がいなくて、マモルさんみたいに美人好きでも。そんなの、あとで騒がれてしまえば羞恥心に包まれてしまう。
それでも、マモルさんは、あらゆる自責の念を飛び越して犯行に及んでしまったわけか。
こういうの裁判ではどのように判断されるのだろう。
ここには、マモルさんが弁護士を連れて来ることを予測して、全ての武家も顧問弁護士を連れて来ている。
「で?アンタら2人、今僕が皇室に紙飛行機飛ばしても無実でいられると思うわけ?」
裁判は一度行っている。その結果が執行猶予半年だった。
しかしながら、アメリカ村でも似たような事件、目を覚ました女の子が隣で寝ている男を彼氏と間違い、悲劇が起きている。
このように会議開いても法律は難しい。だから、みんな法律飛び越して皇室に紙飛行機を飛ばす。
「飛ばしたいなら飛ばしてもらって構いません」
やはり、カンザシさんの背後にはミネスさんがいる。こんなの正々堂々とは言わない。
「待ってくれ!今となっては悪かったと思ってる。必ず償いはする!僕は流れに身を任せ、いやがるセレナールさんを無理矢理犯してしまった」
マモルさんは執行猶予半年で終わったと思い、今になって、お武家連盟会議でもう一度、あの時のことを掘り返されるとは予測していなかったのだろう。
落ち武者さんは、早々にフェアリーングを解いた。と思いきや、今度はセリルさんが、この場にいる全員にフェアリーングをかけた。
「とりあえず、2人の言い分は聞かせてもらったよ。2人は、セレナールの件を起こして、今どんな気持ちかな?」
「反省と恨みが葛藤しています。どうしても馬鹿にされた思いが心を渦巻いで苦しくて苦しくて爆発しそうです」
馬鹿にされた……。私だって、あのような気分の悪い場面を見て正直、いい気はしない。
「あの時は気持ちは頂点だったけれど、後々罪悪感がフツフツ湧いてきて、自分はやましいことをしてしまったと、この先交際する彼女にバレないか不安です。何故、自分を抑えることが出来なかったのか。人道を外してしまったのか。ニュースでも、放送されて、もう芸能人には戻れないし、後悔しかありません。でも、どうか、皇室に言うことは勘弁してください」
人は誰しも自分が危機に陥れば、無意識に自分は悪くないと主張する生き物だ。そして、自分が傷つくことを避けたがる。
「セレナールに対しては、どんな気持ちかな?」
「先程言ったように、馬鹿にされたことを謝ってほしいです。もし、逆の立場だったらセレナールさんは易々と見過ごせるんですか?間違えられて、すんなり許せるのでしょうか?」
加害者が被害者に謝ってほしい。本当に人の心というものは複雑に絡まり合っている。私にはカンザシさんの気持ちが一寸も分からない。
「セレナールさんが僕の彼女だったらよかったのにと、物事は思い通りにはいかないと痛感しています。セレナールさんには必ず償いをします。これ以上責められたら、こっちも自殺すると思うので」
何の話し合いか、よく分からなくなってきた。何故、2人は被害者気取りなのだろう。
「カンザシさんは謝ってほしいと言ってるけどセレナールはどう?」
「とてもじゃないけど信じられない言葉だわ。一生恨んでやる」
その時、落ち武者さんからメールが来た。
『顔だけヨルク、お子ちゃまミネスがカンザシ逃す前にエロじじいに頼んでカンザシは準強制性交等罪に匹敵する懲役5年にし、マモルは懲役30年にしてもらえ!』
『分かった。頼んではみる』
私はダンゴロさんにメールを飛ばした。
『あの、セレナールさんの件ですが、カンザシさんは懲役5年、マモルさんは懲役30年にしてもらえないでしょうか?』
準強制性交等罪と言っても、ここは妖精村だから旧刑法がそのまま存在している。だから、5年に引き上げられてはいない。
『君の力量だからね。カンザシは懲役2ヶ月半、マモルは懲役2年だね』
私はダンゴロさんのメールを落ち武者さんに転送した。
『納得いかないけど、お子ちゃまミネスに無罪にされる前に、それで手を打て!』
私はダンゴロさんにメールをした。
『分かりました。それでお願いします』
『じゃあ、カンザシは懲役2ヶ月半、マモルは懲役2年ね』
その時、レイナさんが手を上げた。
「レイナ、意見をどうぞ」
「私は、どっちもどっちだと思いますが、間違えたというワードにどうしても引っかかるものがあります。カンザシさんとのことはセレナールにも問題があったのではないでしょうか」
被害を受けた女子(おなご)に対しては厳しい意見だ。けれど、ここにいる大半が似たようなこと思っている気がする。
それに会議がはじまっていた時から思っていたが、ナミネには、まだ早い内容だと思う。
ナミネを見ると茶菓子を食べている。
セリルさんは、フェアリーングを解いた。
「人の思いは他者には変えることは出来ないし、一度起きたことも元には戻せない。2人の本音を聞けたから、僕はこれ以上は何も問いません」
セリルさんにしてはアッサリしている。けれど、会議はここでは終わらないだろう。
「セリル!そんなの間違ってるわ!カンザシもマモルもケダモノよ!何があってもしてはいけないことをしたのよ!それ相応の罰を受けるべきだわ!私は皇室に文を飛ばす!」
やはり、カナコさんは罪を問わないなんて認めない。
「私も送るわ!」
内容は分からないけど、カナコさんとレイカさんは、皇室に紙飛行機を飛ばした。数分後、皇室から返事が来た。2人とも顔をしかめている。
「では、読み上げます。カンザシは懲役2ヶ月半、マモルは懲役2年に処するです。分かっていると思いますが、皇帝陛下の決断は絶対です。セリルも、これ以上は何も問わないと言っていますし、私もここで会議を終了しようと思います」
レイカさんは、とても真剣な表情をしている。
「私もレイカに同意です」
カナコさんも会議を終わらせようとしている。
納得いかないのは、恐らくセレナールさんだけか。けれど、懲役がついたのなら、カンザシさんの芸能生命にも傷がつくだろう。ラジオは繋がっているのだから。
「そんな……どうして僕だけ青春を奪われなきゃならないんだ」
マモルさんは、その場に崩れた。
落ち武者さんは、本当はマモルさんを懲役30年にして、出てきた時に青春を奪われ、就職にありつけなくしたかったのだろう。
カンザシさんは携帯を手にしているが、ミネスさんに取り消すよう頼んでいるのだろう。けれど、神相手に勝てるはずもない。
しばらく沈黙の時間が流れた。
「では、これにて、お武家連盟会議を終わります」
レイカさんとカナコさんが会議室を出ると共に、みんなも出はじめた。
「待ってください!私はこんなの納得いきません!」
セレナールさんは2人を追いかけたが、2人とも何も言わなかった。悔しいのはみんな同じだ。それでも、時間を巻き戻すことなど出来ない。
「セリルさん、本当にすみませんでした。どうか助けてください」
マモルさんはすがるものの、セリルさんも何も言わず会議室を出た。そして、紅葉町の交番の人が来て、カンザシさんとマモルさんは逮捕された。
落ち武者さんはラジオをつけた。
『ニンジャ妖精のリーダーであるカンザシさんは、一般人をイジワルしたとして、たった今逮捕されました。同時に、元ニンジャ妖精のマモルさんも逮捕されました。カンザシさんは懲役2ヶ月半、マモルさんは懲役2年の処分を皇帝陛下がくだしました。この先のカンザシさんの芸能生命はどうなるのでしょう』
結局、人を辱めれば、自分も辱められる。世の中はそういうものだ。
「へえ、君、意外にも卑怯な手使ったんだ」
気が付いたら、客間で待機していたメンバーが入ってきた。
「どっちがだよ。アンタの思い通りにはさせない。じゃ、宝石ショップ行く」
落ち武者さんが会議室を出るなり、みんなもあとに続いた。

外は小雨が降っている。
「ナミネ、傘の中入って」
「はい」
会議は、思ったより呆気なかった。けれど、カンザシさんの信用がファンから失われたのは有り得るだろう。
何が正しくて何が間違っているではない。誰がどうしたいかだ。それは各々異なっている。
だから、これからも理不尽は生まれてゆくだろう。
私はナミネの口元についた餡子を拭き取った。

……

あとがき。

誰がどうしたいか。
そこに悪意があるのなら、人々の恨みは暗黙にうまれてしまいますね。

……

この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
お誕生日おめでとう
フーディーニ♡♡♡

時代が重なっていたなら
きっと、一等席で
ショーを見ていたでしょう。

とても会いたいです。

がんばれ!
エーリッヒ・ヴァイス( ,,ᵕᴗᵕ,, )♡

2024.3.24
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