日常のこととかオリジナル小説のこととか。
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ashita
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地主(土地貸してます)
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漫画やアニメを見るのが好きです。最推しはフーディーニ ♡
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ブログ、もう書かないと思ってました。
けれど、去年から書き始めた小説によって、過去に書いてた小説も書き始め、ここに載せることにしたのです。
小説は、主に『時間と時間を繋ぐ恋の物語』と『妖精村と愉快な仲間たち』をメインに書いています。
現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。
純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。
元々このブログは病気の記録用として立ち上げたものですが、小説載せるようになってからは、ここは出来るだけ趣味的なことを綴りたいと思っております。
病気の記録や様々な思いを綴るブログは移転済みなのです。
ただ、今は日記は個人的な徒然、或いはお知らせとして綴ることが多いかと思います。
小説、ぼちぼちマイペースに書いてゆきます。
よろしくお願い致します。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
お知らせ。
イラストは現在「ナノハナ家の日常」に載せております。サイドバーにリンクあります。
また、「カラクリよろずや」にて無料のフリーイラスト素材配布もはじめました✩.*˚
フリーイラスト素材も増やしていく予定です(*'ᴗ'*)
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
模倣・無断転載などは、ご遠慮ください。
ブログの小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
小説・純愛偏差値に関しましては、武家名・貴族名(程度による) / 及び、武官の階級 / 扇子・羽子板・花札・百人一首・紙飛行機などのアイテム使用方法の模倣の一切を禁じております。
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X @kigenzen1874
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現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
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〈資格履歴〉
2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2010年02月10日
→セルフ・カウンセリング
ステップ2 合格
2011年05月28日
→セルフ・カウンセリング
指導講師資格審査 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年01月20日
→鉛筆デッサンマスター 合格
→絵画インストラクター 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
→茶道アドバイザー 合格
→お点前インストラクター 合格
2025年04月17日
→着物マイスター 合格
→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
→サイキックアドバイザー 合格
→サイキックヒーラー 合格
2025年07月01日
→アンガーカウンセラー 合格
→アンガーコントロール士 合格
2025年08月04日
→漢方コーディネーター 合格
→薬膳調整師 合格
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〈資格証明バナー〉

2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2010年02月10日
→セルフ・カウンセリング
ステップ2 合格
2011年05月28日
→セルフ・カウンセリング
指導講師資格審査 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年01月20日
→鉛筆デッサンマスター 合格
→絵画インストラクター 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
→鉱石セラピスト 合格
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→お点前インストラクター 合格
2025年04月17日
→着物マイスター 合格
→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
→サイキックアドバイザー 合格
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2025年07月01日
→アンガーカウンセラー 合格
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〈資格証明バナー〉

純愛偏差値 未来編 一人称版 102話
《ナミネ》
カンザシさんは懲役2ヶ月半、マモルさんは懲役2年。
これでよかったのだろうか。そんなこと私には分からないけど、少なくともラジオでカンザシさんのことが世間に明るみになってしまったことは、今後の芸能生命を揺るがすことになると思う。
あのようなことは許せない。けれど、私も間違ったというところがどうにも引っかかってしかたなかったのだ。
お武家連盟会議で、私は意見をしなかった。マモルさんは完全な加害者かもしれない。でも、カンザシさんは、謝ってほしいとまで言っていた。多分私は、そんなカンザシさんに一瞬同情してしまったのかもしれない。
キクリ家からデパートまで、歩きでもそんなにかからないけれど、小雨とはいえ、雨の日のお出かけは何気に寂しげだ。私はヨルクさんにくっついた。
「強気なナミネ、アンタはどう思ってるわけ?」
え、どうしてこのタイミングで聞いてくるのだろう。正直答えづらい。落ち武者さんにとってセレナールさんは実の姉。それに対して私はカンザシさんの実の妹だ。
「言いづらいですが、私もレイナさんの意見に同意です。間違えたというのは、どうも引っかかります。無論、その後のカンザシさんの行動は許せないものでしょうけど、あの時、セレナールさんが間違っていなければ悲劇は起きなかったと思うんです」
落ち武者さん怒ったかな。私は恐る恐る落ち武者さんの顔色を伺った。
「まあ、アンタなら間違えないんだろうね?けど、みんながみんなそうじゃない。暗い中、寝ぼけている時は判断が鈍る。遠い昔、昼寝をしていて起きたら彼氏の友達と悲劇になったケースもあるけどね?」
私だったら寝起きでも、そのようなことは絶対にない。けれど、妖精村でも、そういう事例があったのか。もし、私がその人だったら一生を棒に振ってしまうと思うし、その人もそうだっただろう。
「すみません。主観でものを言ってしまいました」
「別にいいけど?僕はアンタ個人の意見聞いたわけだからね?」
私個人の意見か。会議では殆ど発言がなかったから、正直なところ、みんなどう感じたのか分かりかねる。
でも、次はエミリさんの会議でセレナールさんが袋叩きにされそうな気がする。
「ねえ、ナミネ。私が悪いって言ってるけど、あなたが同じ目にあっても自分が悪かったって思えるの?」
セレナールさんは突然私の髪を引っ張った。
「セレナール!私は、あなたに落ち度があると思っているわ!そもそも、初代天使村では、ヨルクに毒盛るし、妖精村だってラルクのこと馬鹿にしたし、私は今すぐラルクと別れてほしいわ!いま1度聞くけど、間違えたって何?あなた、恋人と他人間違えるわけ?」
会議では、カナコさんとレイカさんに気を遣って発言出来なかったのだろう。リリカさんも、セレナールさんに落ち度があったと思っている。それに、弟2人に酷いことされて、セレナールさんのことは許すに許せないだろう。
「リリカ、部屋が真っ暗で誰か分からなかったのよ!」
セレナールさんは、私の髪を離した。
「誰か分からないのに、あなたはしたの?」
セレナールさんの無意味な言い逃れは、もう誰にも通用しない。それだけ、セレナールさんは信用を失ってしまったのだと思う。
「薄らヨルクだと思った。でも、無理矢理起こされて、実際は誰か分からなかったけど、寝ぼけて、ことに及んでしまったの。でも、あの時は、いっときの気の迷いだった。本当はラルクを好きなこと、ずっと気づけずにいた。今になって後悔してる」
その経験は私もあるけれど、ヨルクさんに毒を盛ったことは今でも許せない。
「寝言は夢の中で言うことね。エミリのお武家連盟会議がはじまれば、あなたタダじゃ済まないわよ」
「それは……」
一度、起こしてしまったことは元には戻せない。セレナールさんが何を思って皇太子様と交際したのかは分からない。けれど、そのせいでセレナールさんは3人の子供を死産した。
いくら記憶がなくなっているからといって、そのまま皇太子様と交際し、エミリさんはアランさんと交際する事態を嘲笑って見ていたことは本当に性格が悪いとしか言いようがない。
それで、結局エミリさんと同じ状況になれば完全な被害者を主張する。だったら、エミリさんにも完全な被害者を主張する権利があると思う。
デパートに入ったら、電池式の大きなランプが並んでいて何だかオシャレだ。停電になっても、こんなふうに店は営業を続けている。まるで昔のようだ。
宝石ショップでは、大々的に早くもフェアリーフォンがたくさん飾られていた。その時、カラルリさんに肩を叩かれた。
「ナミネ、助けてほしい」
えっ、私にどうしろと言うのだろう。
「一目惚れカラルリ、アンタが自分で甘えセナに断れ!」
本当そうだ。買えないものは買えない。ローンで買ってしまえば、それこそ将来困るだけでしかない。
「カナエ。復縁してとは言わない。ただ、受け取ってほしい」
「カナエは、そのような高価なものは受け取れません」
「それでも私は買う。このネックレスをラッピングしてください」
まさか、このタイミングでアルフォンス王子が一方的にカナエさんのプレゼント買うとは思ってなかった。しかも、赤いハート型のダイヤモンド。
「かしこまりました。一億七千万円になります」
うわー、高すぎる。
アルフォンス王子はレインボーカードで支払いを済ませた。けれど、何かが引っかかる。ムーンの逆ってフォンだっけ。そうだけど、それってアンバランスだ。このブランド、ちゃんとしたものなのだろうか。
アルフォンス王子は、半ば無理矢理カナエさんに袋を握らせた。
「カナエは、これを身に付けることはないでしょう」
こんなバカ高いの買って付けないって言われたら私だったらいやだな。
「エルナ、フェアリールナのネックレス買ってやる」
何故、あえてカラルリさんを追い詰める。そもそも、こんなに高いの買うくらい好き同士なら復縁しちゃえばいいのに。
「あら、彼氏気取りかしら?落ち武者さん」
落ち武者さんとエルナさんも選びはじめている。
セナ王女は片っ端から試着してるし。
「セレナール先輩、今日は色々ありましたので、1つ好きなの買います」
えっ、ラルクまで!?それってセレナールさんのことまだ好きだから?それとも同情?分からないけど、こんな状況ではカラルリさんが断るに断れなくなってしまう。
「いいの?」
「はい、一応恋人ですし」
一応って、やっぱり愛し合っているわけではないのか。それでも、私も傍にいてくれるなら愛してもらえなくても構わなくはないけど、他の人と一緒になられるより、ずっとマシだと思う。
「ありがとう、ラルク」
セレナールさんまで選びはじめてしまった。
横を見ると何気にヨルクさんと目が合った。私は咄嗟に別の方向を向いた。
「ナミネ、他のショップでほしいのあったら買うからね」
「い、いらないです!既に最初にもらったネックレスと、その後買ってもらったペアリングありますし」
紀元前村では付けてなかったけど、今は付けている。やっぱり私はシンプルなものが好きだ。
「ナミネって、昔から物欲ないよね」
ダメだ。ラハルさんとのこと全然思い出せない。
「そ、そうでしたっけ」
ただ、カンザシさんの奢りといったら、いつもラーメンだった気がする。ペアリングも5000円にも満たない安物で、あの時のカンザシさんは、とにかくお金がなかった。
「ラハル、私もラハルさえいれば他に何もいらないわ」
恋は盲目と言うが、リリカさんのラハルさんへの気持ちってなんだろう。けれど、実際リリカさんもラハルさんグッズばかりで宝石には、あまり興味はなかった気がする。
「決めた!これがいいわ!」
ついにセナ王女がフェアリーフォンを決めてしまった。赤いハート型のダイヤモンドのエタニティリング。男性用は上に四角い赤いダイヤモンドがある。ダイヤモンドのないのもあるが、こういうペアリングは最近流行っている気がする。
けれど、エタニティリングという時点で、何だか婚約指輪にも思えてくる。とりあえず値段見ておこう。
……。
2つで二億三千万円……。
「あの、アヤネさんかズームさん……肩代わりしてあげられないでしょうか?」
私は自分のことでないのに何故かすがってしまった。
「お気持ちは分かりますが、このような場面で大金をあげることは出来ません」
「僕もです。お金というのは自分か、もしくは大切な人に使うものだと思っていますので、安易に誰かを助けることは出来かねます」
だよね。丸く納まってほしいほど上手くいかない。
「ナミネ、分かってると思うけどカラルリさん本人が断らないといけないことだから、アヤネさんとズームさんが出すのはおかしいよね」
それは重々承知だ。それでも、この状況を見ていられないのだ。
「わ、分かっています。けれど、これでは私たち、また夜通しバイトです」
「バイトって何のことかな?」
そういえば、ナルホお兄様が紀元前村にいる時だった。
「いや、だから、これが一度目じゃないんです。去年、カラルリさんはセナ王女に3500万円のペアリングを買って、げっそりしたカラルリさんを見かね、私たちも夜中までバイトしたのですが、続かなかったんです」
あの時は、参加した全員がクタクタだった。
「そっか。でもそれってナミネのお節介じゃないかな?」
お節介って。経験してない人間は易易と……。
「そうですけど、仲間ですし。放っておけないというか……」
あの時は、みんなでバイトすれば何とかなると思っていた。けれど今回は違う。桁違いだ。
「セナさん、そんなにお金持ってない。フェアリーフォンは諦めてくれないかな?」
断った。ことになるのかな?
「ローン組めばいいじゃない」
簡単にローンって。家でもそんなにしないよ。
「ローンを組む場合でしたら、この商品の場合、例えば、ひと月23000円で833年ローンとなります。死後の分も勿論残りますので、転生後こちらからローンの案内をさせてもらう形となります。驚かれるかもしれませんが、最近は流行っているんですよ。転生ローン。プロポーズされる方がよく契約されています」
ありえない。そんなの聞いたことないよ。次に生まれてきた時に既に借金してる状態なんて正直いやだ。これはカラルリさんがキッパリ断るしかない。
「カラルリ、これなら払えるじゃない!」
「セナさん、流石に無理だよ。転生ローンは組めない。転生後に借金が残っているなんて私は耐えられない」
本当にそうだ。転生ローンなんて、店側の策略でしかない。
「何よ!セレナールもカナエもエルナも買ってもらってるじゃない!私だけ買ってもらえないなんて不公平だわ!」
ダメだ。このままだとカラルリさん転生ローン組まされてしまう。
「あの、セナ王女。流石にカラルリさんの払える額ではないです」
「だからローンがあるんじゃないの!」
何言っても通じないパターンだ。サバイバルでは、あんなに活躍しているのに恋愛のこととなると別人。人のこと言えないけど。
もう、ここはカラルリさんがどうにかするしかない。
「ねえ、ラルク。ゲーセン行こうよ!」
「待ってくれ!みんな、助けてほしい」
人は都合が悪くなれば他者を巻き込む生き物である。キッパリ断れる人もたくさんいると言うのに。自分でどうにか出来なければ他人にどうにかしてもらおうとする。カラルリさん1人でここから離れればいいのに。
「うーん……誰かお金持ってる人が肩代わりするとか……」
「ナミネ、さっきも言ったよね。そういうことはいけないって」
だったら、ナルホお兄様がなんとかしてよ。
「じゃあ、皆さんで意見を言うとか……」
「ねえ、セナさん。ここでカラルリにローン契約させたらカラルリが苦しむわ。ペアリングなら去年ハイブランド買ったんだし、それ付けたらどう?」
みんなはそう思うけど、問題はセナ王女。現世でのセナ王女は、やたら宝石をほしがる。
「いやよ!3人買ってもらって私だけ買ってもらえないなんて惨めだし、そんなの本当の愛と呼べないわ!」
本当の愛ってなんだろう。
私、特にここに用事ないしゲーセン行きたいんだけどな。
「けど、ナミネは買ってもらってない!」
カラルリさん泣いてる。
「ナミネは子供じゃない!子供にフェアリーフォンは合わないわ!」
なんなんだ、その理屈は。
みんなで少しずつ出し合うのもナルホお兄様に反対されそうだし、どうしたらいいのだろう。会議で出たのは茶菓子だけだし、お腹も空いてきた。
「あの、ここに用事のない人は自由行動しませんか?私、お腹空きました」
「じゃ、レストラン行く」
よかった。解放される。
「待ってほしい!置いていかないでくれ!」
え、どうしたらいいの。
「一目惚れカラルリ。2階のエスカレーター下りたらすぐのレストラン入ってるから、終わったらこい!」
私は逃げるように宝石ショップを出た。落ち武者さんみたいにハッキリもの言えたらいいんだけど。仲間のあれこれとなると、どうしたらいいの分からなくなる。
カラルリさんには悪いとは思う。けれど、あの場にみんないたところで結局は去年のような結末になるだけだろう。
停電のせいか、来ている人は少ない。私たちは3つのテーブルに案内されていった。
「ナミネ、一緒に食べようね」
「はい」
お腹すいてるし、大盛りにしようかな。メニューを見たら、殆ど火を通さないものしかない。冷やし中華とか、この時期まだ早いしな。サンドイッチが無難だろうか。
「あ、サンドイッチと紅茶にします」
「うん、分かった」
メニューが限られているせいか、みんなすぐに注文をした。
「ねえ、ラルク。カラルリさん、どうなるかな」
「まあ、契約させられるだろ」
セナ王女は、どうしてカラルリさんの身の丈に合わないものを買わせるのだろう。カナエさんもいるけど、あの時点では一言も言葉してなかった。
「カナエさんは、それでいいのですか?」
「カナエも止めたいには止めたいですが、今のセナさんには通用しません。もう、あの頃とは違うのです」
つまり、薔薇の花束で喜んでいたセナ王女ではなくなったということだろうか。
「自分で断れないヤツのことなんか放っておけ」
確かにそうだけれど。また前みたいにバイトしないといけないかもだし、学校が週に3日な分、1日時間の取れる日もあるし。停電ゆえ、時給も上がっている。
「そう……いうものなんですかね?」
「みんな自分のことで精一杯だろ。アンタも含めてね?本来本人が決めることアンタが決められないだろ」
確かにカラルリさんが決めることを私が決めるわけにはいかない。
「ナミネ、全部食べていいよ」
「あ、いえ。ヨルクさんも食べてください」
私は、お皿をヨルクさんのほうに寄せた。
「顔だけヨルクって本当に強気なナミネに浮気されても許せんのかよ?」
突然、どうしてそんなこと聞くのだろう。
というか、カラルリさんとセナ王女なかなか来ない。
「私は何があってもナミネを手放さない!」
ヨルクさん……。私もヨルクさんのこと大切にする。
「じゃ、この映像見てみな?」
何の映像だろう。
落ち武者さんは、映像をヨルクさんに見せた。
映像は、教師時代のセレナールさんを失って、ラルクがクレナイ家に戻って来た時のものだった。
ちなみに、セレナールさんの死後、一度だけ妖精村の時間が狂っているから、今となってはセレナールさんが享年何歳だったかは
分からないのである。
遠い昔は今みたいに何かをするのに、これといった資格は必要なかった。ラルクは、高校卒業して短大を卒業してから教師に就いている。
セレナールさんとはラルクが高校時代にアパートで同棲していたはず。ラルクとセレナールさんが同時に妖精村学園の高等部の教師をしていた期間は短かったが、あの頃のラルクは青春真っ只中だったと思う。
けれど、突然セレナールさんを失い、クレナイ家に戻って来たラルクはやつれていた。仕事には行くものの、それ以外は引きこもり休みの日も、どこかに行くことはなかったのである。
私はそんなラルクを見ていられなかった。
『ラルク、遊園地行こうよ』
ただ、少しでも元気になってほしかった。
『とてもじゃないけど、そんな気持ちにはなれない』
ラルクは私と目を合わせようとしない。
『じゃあ、美術館は?』
『行かない』
それでも私は諦めなかった。
毎日ラルクの部屋に行ってはラルクを励まし続けた。
『ねえ、ラルク。新しく水族館出来たみたいなんだけど行こうよ!』
『分かった』
やっと前向きになってくれた。あの時の私はそう思い込んでいた。私自身もあの頃は、やつれていて、家事も子育ても出来ない状態だった。メイクはおろか、着替えもせず一日中クレナイ家にこもっていた。既にミナクさんとの関係は破綻した状態だった。それでもラルクの傍にいたかった。全てを使用人に任せてでも、私はラルクの部屋に通い続けたのだ。
『ラルク、大きなジンベイザメがいるよ!』
『そうだな』
こういうところに行くのも久しぶりなのだろうか。ラルクはあまり楽しそうではなかった。
けれど、その後も私は、たびたびラルクを外に連れ出した。私にとっては、これ以上にない幸せな時間だったと思う。
博物館や遊園地、美術館など、色んなところへ行った。どこにも行かなくても近所を散歩しながら話していたりもした。
そんなある日、デパートからの帰りにラルクとホテルに行った。
『今日はここで泊まるんだね!』
私はソファーに座ってテレビをつけた。すると、ラルクが隣に来た。いつものラルクじゃない。
『ラルク……?』
切なげで私を見るラルク。
『ナミネ、助けてほしい』
『どうしたらいいの、ラルク?』
ラルクはソファーに私を押し倒した。私はすんなりラルクを受け入れた。
「もういい、先に帰る」
映像が終わる前にヨルクさんは立ち上がった。
「ヨルクさん、待ってください!」
私はヨルクさんの手を握ったが、ヨルクさんはアッサリ私の手を振り払った。
「な?浮気でもないのに、この程度受け入れられないんじゃ浮気なんて受け入れられるわけないだろ!顔だけヨルクは上辺だけだね?」
「悪いけど、しばらく1人になりたいからクレナイ家に帰る」
え、どうしたらいいの。
「ヨルクさん、行かないでください!」
引き止めたものの、ヨルクさんはレストランを出て1人帰ってしまった。
遠い昔の、あの時のことは私とラルクの秘密だった。あの1回だった。最初で最後、私が女になれた日。どうして落ち武者さんが映像持ってるの。
私はヨルクさんに嫌われたと、咄嗟にエルナさんに羽子板を突き付けた。
「どうしてヨルクさんとの仲を引き裂くんですか!5分以内にヨルクさんをここに戻さないとエルナさんを遠い昔に置き去りにします!」
私は本気だった。あとからあとから、フツフツと落ち武者さんに怒りが込み上げていた。
「強気なナミネ待て!顔だけヨルクは呼び戻す!だからエルナには手を出すな!」
今更焦っても起きてしまったことは元に戻せないのに。
「どうしてそっとしてくれないんですか!私とヨルクさんの仲を引き裂いて楽しいですか?やってることカンザシさんと同じです!ヨルクさんと元の関係に戻れなければエルナさんを遠い昔に置き去りにします!私とヨルクさんの仲を引き裂いてタダで済むと思わないでください!」
「分かった!顔だけヨルクのことは説得する!だから、エルナにだけは手を出すな!」
エルナには手を出すな?自分だけ幸せになろうだなんて、そんなの認めない。
数分後、どのような手を使ったのか知らないがヨルクさんが戻って来た。
「ねえ、1人になりたいって言ってるでしょ!もう帰るよ」
「顔だけヨルク、よくも嘘ついたな!浮気許すなんて適当なこと言ってイザとなれば逃げる。卑怯にも程があるね!今すぐ強気なナミネと仲直りしろ!」
遠い遠い昔のヨルクさんは結婚後の私の浮気を許したと天界にいた学友が言っていた。けれど、あれから何世紀経ったことか。今のヨルクさんは、もうあの頃のヨルクさんではないんだ。
「すぐに何もかも出来ないでしょ!私にも考える時間が必要なの!」
もうダメだ。私とヨルクさんの関係、完全に壊されてしまった。私は大泣きしながら落ち武者さんを羽子板で叩き続けた。
「やめて!セルファはあなたとヨルクが羨ましくてやったの!悪気はなかった!あなたたちの関係が壊れてしまうとは思ってなかった!」
羨ましい。それが結果的に私とヨルクさんの関係が壊れる原因となった。
「ていうか、あんなの見せて悪いの落ち武者さんでしょ?もう本当に行くから」
ヨルクさんが立ち上がった瞬間、私は既に打っていたメールをテナロスさんに送信した。すると、エルナさんがいなくなった。
……
あとがき。
カラルリとセナは何故戻らないのでしょう?
1回ではローン問題。
2階ではセルファがナミネとヨルクの仲を引き裂いたばかりにエルナが遠い過去に飛ばされてしまう事態に。
いったい、どうなってしまうのでしょう。
……
この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
《ナミネ》
カンザシさんは懲役2ヶ月半、マモルさんは懲役2年。
これでよかったのだろうか。そんなこと私には分からないけど、少なくともラジオでカンザシさんのことが世間に明るみになってしまったことは、今後の芸能生命を揺るがすことになると思う。
あのようなことは許せない。けれど、私も間違ったというところがどうにも引っかかってしかたなかったのだ。
お武家連盟会議で、私は意見をしなかった。マモルさんは完全な加害者かもしれない。でも、カンザシさんは、謝ってほしいとまで言っていた。多分私は、そんなカンザシさんに一瞬同情してしまったのかもしれない。
キクリ家からデパートまで、歩きでもそんなにかからないけれど、小雨とはいえ、雨の日のお出かけは何気に寂しげだ。私はヨルクさんにくっついた。
「強気なナミネ、アンタはどう思ってるわけ?」
え、どうしてこのタイミングで聞いてくるのだろう。正直答えづらい。落ち武者さんにとってセレナールさんは実の姉。それに対して私はカンザシさんの実の妹だ。
「言いづらいですが、私もレイナさんの意見に同意です。間違えたというのは、どうも引っかかります。無論、その後のカンザシさんの行動は許せないものでしょうけど、あの時、セレナールさんが間違っていなければ悲劇は起きなかったと思うんです」
落ち武者さん怒ったかな。私は恐る恐る落ち武者さんの顔色を伺った。
「まあ、アンタなら間違えないんだろうね?けど、みんながみんなそうじゃない。暗い中、寝ぼけている時は判断が鈍る。遠い昔、昼寝をしていて起きたら彼氏の友達と悲劇になったケースもあるけどね?」
私だったら寝起きでも、そのようなことは絶対にない。けれど、妖精村でも、そういう事例があったのか。もし、私がその人だったら一生を棒に振ってしまうと思うし、その人もそうだっただろう。
「すみません。主観でものを言ってしまいました」
「別にいいけど?僕はアンタ個人の意見聞いたわけだからね?」
私個人の意見か。会議では殆ど発言がなかったから、正直なところ、みんなどう感じたのか分かりかねる。
でも、次はエミリさんの会議でセレナールさんが袋叩きにされそうな気がする。
「ねえ、ナミネ。私が悪いって言ってるけど、あなたが同じ目にあっても自分が悪かったって思えるの?」
セレナールさんは突然私の髪を引っ張った。
「セレナール!私は、あなたに落ち度があると思っているわ!そもそも、初代天使村では、ヨルクに毒盛るし、妖精村だってラルクのこと馬鹿にしたし、私は今すぐラルクと別れてほしいわ!いま1度聞くけど、間違えたって何?あなた、恋人と他人間違えるわけ?」
会議では、カナコさんとレイカさんに気を遣って発言出来なかったのだろう。リリカさんも、セレナールさんに落ち度があったと思っている。それに、弟2人に酷いことされて、セレナールさんのことは許すに許せないだろう。
「リリカ、部屋が真っ暗で誰か分からなかったのよ!」
セレナールさんは、私の髪を離した。
「誰か分からないのに、あなたはしたの?」
セレナールさんの無意味な言い逃れは、もう誰にも通用しない。それだけ、セレナールさんは信用を失ってしまったのだと思う。
「薄らヨルクだと思った。でも、無理矢理起こされて、実際は誰か分からなかったけど、寝ぼけて、ことに及んでしまったの。でも、あの時は、いっときの気の迷いだった。本当はラルクを好きなこと、ずっと気づけずにいた。今になって後悔してる」
その経験は私もあるけれど、ヨルクさんに毒を盛ったことは今でも許せない。
「寝言は夢の中で言うことね。エミリのお武家連盟会議がはじまれば、あなたタダじゃ済まないわよ」
「それは……」
一度、起こしてしまったことは元には戻せない。セレナールさんが何を思って皇太子様と交際したのかは分からない。けれど、そのせいでセレナールさんは3人の子供を死産した。
いくら記憶がなくなっているからといって、そのまま皇太子様と交際し、エミリさんはアランさんと交際する事態を嘲笑って見ていたことは本当に性格が悪いとしか言いようがない。
それで、結局エミリさんと同じ状況になれば完全な被害者を主張する。だったら、エミリさんにも完全な被害者を主張する権利があると思う。
デパートに入ったら、電池式の大きなランプが並んでいて何だかオシャレだ。停電になっても、こんなふうに店は営業を続けている。まるで昔のようだ。
宝石ショップでは、大々的に早くもフェアリーフォンがたくさん飾られていた。その時、カラルリさんに肩を叩かれた。
「ナミネ、助けてほしい」
えっ、私にどうしろと言うのだろう。
「一目惚れカラルリ、アンタが自分で甘えセナに断れ!」
本当そうだ。買えないものは買えない。ローンで買ってしまえば、それこそ将来困るだけでしかない。
「カナエ。復縁してとは言わない。ただ、受け取ってほしい」
「カナエは、そのような高価なものは受け取れません」
「それでも私は買う。このネックレスをラッピングしてください」
まさか、このタイミングでアルフォンス王子が一方的にカナエさんのプレゼント買うとは思ってなかった。しかも、赤いハート型のダイヤモンド。
「かしこまりました。一億七千万円になります」
うわー、高すぎる。
アルフォンス王子はレインボーカードで支払いを済ませた。けれど、何かが引っかかる。ムーンの逆ってフォンだっけ。そうだけど、それってアンバランスだ。このブランド、ちゃんとしたものなのだろうか。
アルフォンス王子は、半ば無理矢理カナエさんに袋を握らせた。
「カナエは、これを身に付けることはないでしょう」
こんなバカ高いの買って付けないって言われたら私だったらいやだな。
「エルナ、フェアリールナのネックレス買ってやる」
何故、あえてカラルリさんを追い詰める。そもそも、こんなに高いの買うくらい好き同士なら復縁しちゃえばいいのに。
「あら、彼氏気取りかしら?落ち武者さん」
落ち武者さんとエルナさんも選びはじめている。
セナ王女は片っ端から試着してるし。
「セレナール先輩、今日は色々ありましたので、1つ好きなの買います」
えっ、ラルクまで!?それってセレナールさんのことまだ好きだから?それとも同情?分からないけど、こんな状況ではカラルリさんが断るに断れなくなってしまう。
「いいの?」
「はい、一応恋人ですし」
一応って、やっぱり愛し合っているわけではないのか。それでも、私も傍にいてくれるなら愛してもらえなくても構わなくはないけど、他の人と一緒になられるより、ずっとマシだと思う。
「ありがとう、ラルク」
セレナールさんまで選びはじめてしまった。
横を見ると何気にヨルクさんと目が合った。私は咄嗟に別の方向を向いた。
「ナミネ、他のショップでほしいのあったら買うからね」
「い、いらないです!既に最初にもらったネックレスと、その後買ってもらったペアリングありますし」
紀元前村では付けてなかったけど、今は付けている。やっぱり私はシンプルなものが好きだ。
「ナミネって、昔から物欲ないよね」
ダメだ。ラハルさんとのこと全然思い出せない。
「そ、そうでしたっけ」
ただ、カンザシさんの奢りといったら、いつもラーメンだった気がする。ペアリングも5000円にも満たない安物で、あの時のカンザシさんは、とにかくお金がなかった。
「ラハル、私もラハルさえいれば他に何もいらないわ」
恋は盲目と言うが、リリカさんのラハルさんへの気持ちってなんだろう。けれど、実際リリカさんもラハルさんグッズばかりで宝石には、あまり興味はなかった気がする。
「決めた!これがいいわ!」
ついにセナ王女がフェアリーフォンを決めてしまった。赤いハート型のダイヤモンドのエタニティリング。男性用は上に四角い赤いダイヤモンドがある。ダイヤモンドのないのもあるが、こういうペアリングは最近流行っている気がする。
けれど、エタニティリングという時点で、何だか婚約指輪にも思えてくる。とりあえず値段見ておこう。
……。
2つで二億三千万円……。
「あの、アヤネさんかズームさん……肩代わりしてあげられないでしょうか?」
私は自分のことでないのに何故かすがってしまった。
「お気持ちは分かりますが、このような場面で大金をあげることは出来ません」
「僕もです。お金というのは自分か、もしくは大切な人に使うものだと思っていますので、安易に誰かを助けることは出来かねます」
だよね。丸く納まってほしいほど上手くいかない。
「ナミネ、分かってると思うけどカラルリさん本人が断らないといけないことだから、アヤネさんとズームさんが出すのはおかしいよね」
それは重々承知だ。それでも、この状況を見ていられないのだ。
「わ、分かっています。けれど、これでは私たち、また夜通しバイトです」
「バイトって何のことかな?」
そういえば、ナルホお兄様が紀元前村にいる時だった。
「いや、だから、これが一度目じゃないんです。去年、カラルリさんはセナ王女に3500万円のペアリングを買って、げっそりしたカラルリさんを見かね、私たちも夜中までバイトしたのですが、続かなかったんです」
あの時は、参加した全員がクタクタだった。
「そっか。でもそれってナミネのお節介じゃないかな?」
お節介って。経験してない人間は易易と……。
「そうですけど、仲間ですし。放っておけないというか……」
あの時は、みんなでバイトすれば何とかなると思っていた。けれど今回は違う。桁違いだ。
「セナさん、そんなにお金持ってない。フェアリーフォンは諦めてくれないかな?」
断った。ことになるのかな?
「ローン組めばいいじゃない」
簡単にローンって。家でもそんなにしないよ。
「ローンを組む場合でしたら、この商品の場合、例えば、ひと月23000円で833年ローンとなります。死後の分も勿論残りますので、転生後こちらからローンの案内をさせてもらう形となります。驚かれるかもしれませんが、最近は流行っているんですよ。転生ローン。プロポーズされる方がよく契約されています」
ありえない。そんなの聞いたことないよ。次に生まれてきた時に既に借金してる状態なんて正直いやだ。これはカラルリさんがキッパリ断るしかない。
「カラルリ、これなら払えるじゃない!」
「セナさん、流石に無理だよ。転生ローンは組めない。転生後に借金が残っているなんて私は耐えられない」
本当にそうだ。転生ローンなんて、店側の策略でしかない。
「何よ!セレナールもカナエもエルナも買ってもらってるじゃない!私だけ買ってもらえないなんて不公平だわ!」
ダメだ。このままだとカラルリさん転生ローン組まされてしまう。
「あの、セナ王女。流石にカラルリさんの払える額ではないです」
「だからローンがあるんじゃないの!」
何言っても通じないパターンだ。サバイバルでは、あんなに活躍しているのに恋愛のこととなると別人。人のこと言えないけど。
もう、ここはカラルリさんがどうにかするしかない。
「ねえ、ラルク。ゲーセン行こうよ!」
「待ってくれ!みんな、助けてほしい」
人は都合が悪くなれば他者を巻き込む生き物である。キッパリ断れる人もたくさんいると言うのに。自分でどうにか出来なければ他人にどうにかしてもらおうとする。カラルリさん1人でここから離れればいいのに。
「うーん……誰かお金持ってる人が肩代わりするとか……」
「ナミネ、さっきも言ったよね。そういうことはいけないって」
だったら、ナルホお兄様がなんとかしてよ。
「じゃあ、皆さんで意見を言うとか……」
「ねえ、セナさん。ここでカラルリにローン契約させたらカラルリが苦しむわ。ペアリングなら去年ハイブランド買ったんだし、それ付けたらどう?」
みんなはそう思うけど、問題はセナ王女。現世でのセナ王女は、やたら宝石をほしがる。
「いやよ!3人買ってもらって私だけ買ってもらえないなんて惨めだし、そんなの本当の愛と呼べないわ!」
本当の愛ってなんだろう。
私、特にここに用事ないしゲーセン行きたいんだけどな。
「けど、ナミネは買ってもらってない!」
カラルリさん泣いてる。
「ナミネは子供じゃない!子供にフェアリーフォンは合わないわ!」
なんなんだ、その理屈は。
みんなで少しずつ出し合うのもナルホお兄様に反対されそうだし、どうしたらいいのだろう。会議で出たのは茶菓子だけだし、お腹も空いてきた。
「あの、ここに用事のない人は自由行動しませんか?私、お腹空きました」
「じゃ、レストラン行く」
よかった。解放される。
「待ってほしい!置いていかないでくれ!」
え、どうしたらいいの。
「一目惚れカラルリ。2階のエスカレーター下りたらすぐのレストラン入ってるから、終わったらこい!」
私は逃げるように宝石ショップを出た。落ち武者さんみたいにハッキリもの言えたらいいんだけど。仲間のあれこれとなると、どうしたらいいの分からなくなる。
カラルリさんには悪いとは思う。けれど、あの場にみんないたところで結局は去年のような結末になるだけだろう。
停電のせいか、来ている人は少ない。私たちは3つのテーブルに案内されていった。
「ナミネ、一緒に食べようね」
「はい」
お腹すいてるし、大盛りにしようかな。メニューを見たら、殆ど火を通さないものしかない。冷やし中華とか、この時期まだ早いしな。サンドイッチが無難だろうか。
「あ、サンドイッチと紅茶にします」
「うん、分かった」
メニューが限られているせいか、みんなすぐに注文をした。
「ねえ、ラルク。カラルリさん、どうなるかな」
「まあ、契約させられるだろ」
セナ王女は、どうしてカラルリさんの身の丈に合わないものを買わせるのだろう。カナエさんもいるけど、あの時点では一言も言葉してなかった。
「カナエさんは、それでいいのですか?」
「カナエも止めたいには止めたいですが、今のセナさんには通用しません。もう、あの頃とは違うのです」
つまり、薔薇の花束で喜んでいたセナ王女ではなくなったということだろうか。
「自分で断れないヤツのことなんか放っておけ」
確かにそうだけれど。また前みたいにバイトしないといけないかもだし、学校が週に3日な分、1日時間の取れる日もあるし。停電ゆえ、時給も上がっている。
「そう……いうものなんですかね?」
「みんな自分のことで精一杯だろ。アンタも含めてね?本来本人が決めることアンタが決められないだろ」
確かにカラルリさんが決めることを私が決めるわけにはいかない。
「ナミネ、全部食べていいよ」
「あ、いえ。ヨルクさんも食べてください」
私は、お皿をヨルクさんのほうに寄せた。
「顔だけヨルクって本当に強気なナミネに浮気されても許せんのかよ?」
突然、どうしてそんなこと聞くのだろう。
というか、カラルリさんとセナ王女なかなか来ない。
「私は何があってもナミネを手放さない!」
ヨルクさん……。私もヨルクさんのこと大切にする。
「じゃ、この映像見てみな?」
何の映像だろう。
落ち武者さんは、映像をヨルクさんに見せた。
映像は、教師時代のセレナールさんを失って、ラルクがクレナイ家に戻って来た時のものだった。
ちなみに、セレナールさんの死後、一度だけ妖精村の時間が狂っているから、今となってはセレナールさんが享年何歳だったかは
分からないのである。
遠い昔は今みたいに何かをするのに、これといった資格は必要なかった。ラルクは、高校卒業して短大を卒業してから教師に就いている。
セレナールさんとはラルクが高校時代にアパートで同棲していたはず。ラルクとセレナールさんが同時に妖精村学園の高等部の教師をしていた期間は短かったが、あの頃のラルクは青春真っ只中だったと思う。
けれど、突然セレナールさんを失い、クレナイ家に戻って来たラルクはやつれていた。仕事には行くものの、それ以外は引きこもり休みの日も、どこかに行くことはなかったのである。
私はそんなラルクを見ていられなかった。
『ラルク、遊園地行こうよ』
ただ、少しでも元気になってほしかった。
『とてもじゃないけど、そんな気持ちにはなれない』
ラルクは私と目を合わせようとしない。
『じゃあ、美術館は?』
『行かない』
それでも私は諦めなかった。
毎日ラルクの部屋に行ってはラルクを励まし続けた。
『ねえ、ラルク。新しく水族館出来たみたいなんだけど行こうよ!』
『分かった』
やっと前向きになってくれた。あの時の私はそう思い込んでいた。私自身もあの頃は、やつれていて、家事も子育ても出来ない状態だった。メイクはおろか、着替えもせず一日中クレナイ家にこもっていた。既にミナクさんとの関係は破綻した状態だった。それでもラルクの傍にいたかった。全てを使用人に任せてでも、私はラルクの部屋に通い続けたのだ。
『ラルク、大きなジンベイザメがいるよ!』
『そうだな』
こういうところに行くのも久しぶりなのだろうか。ラルクはあまり楽しそうではなかった。
けれど、その後も私は、たびたびラルクを外に連れ出した。私にとっては、これ以上にない幸せな時間だったと思う。
博物館や遊園地、美術館など、色んなところへ行った。どこにも行かなくても近所を散歩しながら話していたりもした。
そんなある日、デパートからの帰りにラルクとホテルに行った。
『今日はここで泊まるんだね!』
私はソファーに座ってテレビをつけた。すると、ラルクが隣に来た。いつものラルクじゃない。
『ラルク……?』
切なげで私を見るラルク。
『ナミネ、助けてほしい』
『どうしたらいいの、ラルク?』
ラルクはソファーに私を押し倒した。私はすんなりラルクを受け入れた。
「もういい、先に帰る」
映像が終わる前にヨルクさんは立ち上がった。
「ヨルクさん、待ってください!」
私はヨルクさんの手を握ったが、ヨルクさんはアッサリ私の手を振り払った。
「な?浮気でもないのに、この程度受け入れられないんじゃ浮気なんて受け入れられるわけないだろ!顔だけヨルクは上辺だけだね?」
「悪いけど、しばらく1人になりたいからクレナイ家に帰る」
え、どうしたらいいの。
「ヨルクさん、行かないでください!」
引き止めたものの、ヨルクさんはレストランを出て1人帰ってしまった。
遠い昔の、あの時のことは私とラルクの秘密だった。あの1回だった。最初で最後、私が女になれた日。どうして落ち武者さんが映像持ってるの。
私はヨルクさんに嫌われたと、咄嗟にエルナさんに羽子板を突き付けた。
「どうしてヨルクさんとの仲を引き裂くんですか!5分以内にヨルクさんをここに戻さないとエルナさんを遠い昔に置き去りにします!」
私は本気だった。あとからあとから、フツフツと落ち武者さんに怒りが込み上げていた。
「強気なナミネ待て!顔だけヨルクは呼び戻す!だからエルナには手を出すな!」
今更焦っても起きてしまったことは元に戻せないのに。
「どうしてそっとしてくれないんですか!私とヨルクさんの仲を引き裂いて楽しいですか?やってることカンザシさんと同じです!ヨルクさんと元の関係に戻れなければエルナさんを遠い昔に置き去りにします!私とヨルクさんの仲を引き裂いてタダで済むと思わないでください!」
「分かった!顔だけヨルクのことは説得する!だから、エルナにだけは手を出すな!」
エルナには手を出すな?自分だけ幸せになろうだなんて、そんなの認めない。
数分後、どのような手を使ったのか知らないがヨルクさんが戻って来た。
「ねえ、1人になりたいって言ってるでしょ!もう帰るよ」
「顔だけヨルク、よくも嘘ついたな!浮気許すなんて適当なこと言ってイザとなれば逃げる。卑怯にも程があるね!今すぐ強気なナミネと仲直りしろ!」
遠い遠い昔のヨルクさんは結婚後の私の浮気を許したと天界にいた学友が言っていた。けれど、あれから何世紀経ったことか。今のヨルクさんは、もうあの頃のヨルクさんではないんだ。
「すぐに何もかも出来ないでしょ!私にも考える時間が必要なの!」
もうダメだ。私とヨルクさんの関係、完全に壊されてしまった。私は大泣きしながら落ち武者さんを羽子板で叩き続けた。
「やめて!セルファはあなたとヨルクが羨ましくてやったの!悪気はなかった!あなたたちの関係が壊れてしまうとは思ってなかった!」
羨ましい。それが結果的に私とヨルクさんの関係が壊れる原因となった。
「ていうか、あんなの見せて悪いの落ち武者さんでしょ?もう本当に行くから」
ヨルクさんが立ち上がった瞬間、私は既に打っていたメールをテナロスさんに送信した。すると、エルナさんがいなくなった。
……
あとがき。
カラルリとセナは何故戻らないのでしょう?
1回ではローン問題。
2階ではセルファがナミネとヨルクの仲を引き裂いたばかりにエルナが遠い過去に飛ばされてしまう事態に。
いったい、どうなってしまうのでしょう。
……
この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
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