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日常のこととかオリジナル小説のこととか。
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ashita
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性別:
女性
職業:
地主(土地貸してます)
趣味:
漫画やアニメを見るのが好きです。最推しはフーディーニ ♡
自己紹介:
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ブログ、もう書かないと思ってました。

けれど、去年から書き始めた小説によって、過去に書いてた小説も書き始め、ここに載せることにしたのです。

小説は、主に『時間と時間を繋ぐ恋の物語』と『妖精村と愉快な仲間たち』をメインに書いています。
現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。

純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。

元々このブログは病気の記録用として立ち上げたものですが、小説載せるようになってからは、ここは出来るだけ趣味的なことを綴りたいと思っております。
病気の記録や様々な思いを綴るブログは移転済みなのです。

ただ、今は日記は個人的な徒然、或いはお知らせとして綴ることが多いかと思います。

小説、ぼちぼちマイペースに書いてゆきます。

よろしくお願い致します。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

お知らせ。

イラストは現在「ナノハナ家の日常」に載せております。サイドバーにリンクあります。

また、「カラクリよろずや」にて無料のフリーイラスト素材配布もはじめました✩.*˚

フリーイラスト素材も増やしていく予定です(*'ᴗ'*)

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模倣・無断転載などは、ご遠慮ください。

ブログの小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。

小説・純愛偏差値に関しましては、武家名・貴族名(程度による) / 及び、武官の階級 / 扇子・羽子板・花札・百人一首・紙飛行機などのアイテム使用方法の模倣の一切を禁じております。

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X @kigenzen1874

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〈資格履歴〉

2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2010年02月10日
→セルフ・カウンセリング
ステップ2 合格
2011年05月28日
→セルフ・カウンセリング
指導講師資格審査 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年01月20日
→鉛筆デッサンマスター 合格
→絵画インストラクター 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
→茶道アドバイザー 合格
→お点前インストラクター 合格
2025年04月17日
→着物マイスター 合格
→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
→サイキックアドバイザー 合格
→サイキックヒーラー 合格
2025年07月01日
→アンガーカウンセラー 合格
→アンガーコントロール士 合格
2025年08月04日
→漢方コーディネーター 合格
→薬膳調整師 合格

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〈資格証明バナー〉

鉛筆デッサンマスター®認定試験資格取得証明
絵画インストラクター資格資格認定証
宝石鑑定アドバイザー資格認定試験資格取得証明
鉱石セラピスト資格資格保持証明
茶道アドバイザー資格認定試験資格取得証明
お点前インストラクター資格資格認定証
着物マイスター®資格認定試験資格取得証明
着付け方インストラクター資格資格認定証
サイキックアドバイザー®資格資格証明
サイキックヒーラー資格資格保持証明
アンガーカウンセラー®資格資格保持証明
アンガーコントロール士資格資格認定証
漢方コーディネーター®資格認定試験資格保持証明
薬膳調整師®資格認定試験資格保持証明
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純愛偏差値 未来編 一人称版 120話

《ヨルク》

「どうして!どうしてなのよ!いったい誰がこんなこと!!被害者は私なのに!」
セレナールさんはその場に崩れ落ちた。
「いったい誰が姉さんハメたんだ?この場で確かめてもいいんだぜ?」
落ち武者さんは言うものの誰一人慌てた様子はない。メンバーの中にはいないのか?
「ふふっ、少しいい気味ですわ。間違って一方的に相手をイジワル扱い。もう未来はありませんわね」
ナミネがきっかけでアヤネさんはまた元に戻ってしまった。セレナールさんはアヤネさんを引っぱたいて、アヤネさんを押し倒し殴り付けた。
「セレナール、やめようか」
ズルエヌさんは二人を引き離した。
「え、ズルエヌさん……」
驚くのも無理ないか。カンザシさんのいない間に戻って来たわけだから。
「復活したけど?」
生前もこうだったのだろうか。
「今、カナコお姉様から連絡が来たけどカンザシを泊めることは出来ないって」
どの家庭でもそうなるだろう。ましてやイジワル犯など……。
「セナ、私とカンザシも泊めてくれない?」
ミネスさんはどうしてここまでカンザシさんを庇うのだろう。被疑者をかくまえば犯人蔵匿罪が成立してしまう。けれど、戻って来た元犯人を庇ったところで何の罪にも問われない。それでも、セレナールさんとカンザシさんの今後の同行は不可能だろう。
「構わないけど。もうすぐ迎えが来るからその車に乗って」
キクリ家がダメなら別荘に移動するわけか。正直私はイヤガラセの罪に問われた人間はメンバーから外れてもらいたい。そんな人間にナミネをストーカーされたくない。
「ミネスは頑固だから何言っても通用しないようだけど、自分の行動はちゃんと責任持つんだよ」
ズルエヌさんは案外放任主義なのか。
「分かってる。でも、私はカンザシを見捨てられない」
カンザシさんからしたら利用しているだけなのに。なんだか、ミネスさんが憐れに感じてしまう。カナエさん同様、ミネスさんなら男なんて選びたい放題だろうに。よりによって犯罪者に恋愛感情を抱いて人生まで助けるなど、私だったら考えられない。
「迎えが来たわ。行くわよ」
今、セナ王女もここにはいられない。このメンバーどうなってしまうのだろう。
そして、ミネスさんとカンザシさんはセナ王女とシャム軍医に着いて行った。って、え、カラルリさんも追いかけて行った!?流石に別荘までは行かないよな。
「一目惚れカラルリは無理矢理車に乗り込むだろうね?」
え、それって余計に拗れるだけでは。
「落ち武者さん、誰かが連れ戻したほうが……」
と言っても夜も更けてきた。
「どの道、明日はナノハナ家だろ!とっとと寝るぞ!」
やむを得ない。カラルリさんのことは別荘のほうで何とかしてもらうしかないな。
「ナミネ、寝ようか」
私はナミネの手を握った。
「はい」
私はナミネを客間に連れて行こうと立ち上がった。
「ちょっと待ってよ!このままだと私はまたトラウマを味わうことになるわ!」
やっぱりセレナールさんは引き止めるか。これみんな眠れるのか?
「言いたくないけど、私はセレナールがメンバーを掻き乱してると思うわ。本当迷惑」
リリカお姉様は容赦ない。
「お願い、リリカ……冷たくしないで……同い歳なのに……私は仲良くしたいのに……」
セレナールさんも人によってコロコロ態度が変わる人だな。
「ラルクを欺いた時点で、あなたの信用はガタ落ちなのよ!顔も見たくないわ!」
セレナールさんは確かにラルクを傷付けた。けれど、私から見てセレナールさんは本気でラルクを愛していたようにも思える。
「違う!ラルクのことは本当に心から好きだった!」
遠い昔、突然ラルクがナミネと一緒に帰らなくなった時点でセレナールさんはラルクに少しずつ心を許していた。私はそう思う。
リリカお姉様はセレナールさんを殴り付けた。
「リリカ、アンタこれ以上姉さん邪険にするなら僕も出るとこ出るけど?」
落ち武者さんはリリカお姉様に扇子を突き付けた。
「あなたが今のセレナール見て私を攻撃するように、私もラルクを傷付けられて許せないの!」
去年のラルクは我を見失っていた。小さい頃からラルクを特別扱いしてきたリリカお姉様にとってラルクのことは譲に譲れないだろう。
「ラルクの件は分かった。僕が償えることはする。だから、姉さん殴るな!」
落ち武者さんって何だかんだで兄弟仲いい。私とは大違いだ。

あれは私が幼稚園の年長の頃だった。
『ラルク、本屋さん行こうか』
私は歳の近い弟が出来たことを心から嬉しく感じていた。だから、ラルクが生まれた時は、たくさん可愛がった。
『ヨルクお兄様、何か勘違いしてませんか?』
ラルクは私を睨み付けるような目で見た。
『勘違いって?』
『先に生まれたからって兄だとか思ってます?僕はヨルクお兄様のことを兄だと思ったことは一度もありません。今後もヨルクお兄様とお出かけはありませんので』
ずっと可愛がってきた弟から思いっきり避けられた時はかなりショックを受けた。
『そっか、分かった』
それから私はクレナイ家で孤立するようになった。頻繁に行くナノハナ家で会うナミネを実の妹と思うことで自分の世界観を築けていたと思う。そして、ナミネとの時間は私にとってかけがえのないものとなっていった。

「分かったわ。でも嫌いな人を好きにはなれないしラルクのことも認めない」
もし今ラルクがセレナールさんと別れたらどうなるのだろう。ズームさんはまたカンザシさんに自由を奪われる。
「リリカ、本当に悪かったと思ってる。一生かけてラルクに償うわ」
今のセレナールさんはラルクが好きなのだろう。けれど、多分遅い。恋人になった時点で嘘偽りなく愛し合うべきだった。
「そういえばリリカさんって遠い昔、武官に囲まれたことありましたよね?」
アヤネさんは急に数枚の写真を床に置いた。リリカお姉様は無言で写真を回収してアヤネさんを扇子で叩いた。
「痛い!都合が悪ければ暴力ですか?私知っているんですよ、リリカさんの身に何があったか。ここで映像付きで暴露しましょうか?」
リリカお姉様に何があったと言うのだろう。あれだけ、リリカお姉様に無下に扱われてきただけに、アヤネさんも反撃にかかったというところだろうか。けれど、私はやっぱり実の姉の秘め事は守りたい。
「そうやって権力で人を脅すことしか出来ないのね。殺してあげましょうか?」
リリカお姉様は折れない。けれど、見るからに明らか不利なのはリリカお姉様だ。
「脅しているのはどっちかしら?みんな、リリカさんは赤線町でお仕事してたんですよ。好きでもない人に赤花咲して本当に可愛そうですわ。お武家様は歳頃になれば捨てられるんですね」
赤線町?赤花咲?リリカお姉様が?
「人見下しアヤネ。アンタ、話まとまってきたとこで何で拗れさせる真似した?」
落ち武者さん、ナナミさん、カナエさん、ラルク、ナミネはアヤネさんに扇子を突き付けた。
「あら、脅迫ですか。無線越しに叫びますわよ」
アヤネさんは言うものの、落ち武者さんがアヤネさんを扇子で叩き、カナエさんはアヤネさんを蹴りつけた。
「そこまでよ!ここで問題起こすなら出ていってちょうだい!」
カナナさんは扉を開けるなり、アヤネさんに対して攻撃モードのメンバーを扇子で吹き飛ばした。が、ナミネとラルクは突っ立っている。
「ナミネ、ラルク。アヤネさんはせっかく独りじゃないって自信持てたところなんだよ。ここまでするのはやめようよ」
ナミネがカナエさんを庇ったことが原点だろうけど、問題は思ったより広がりすぎた。
「弱いヨルクお兄様がそれ言います?」
ラルクはいつも私を下に見ていた。今も。
「ねえ、どうしてそういう言い方するの?私、ラルクが生まれた時嬉しかったんだよ?でも、ラルクは……ラルクから私を嫌ったんじゃない!」
私はどうしてラルクから嫌われているのか未だに分からないままだ。
「僕はヨルクお兄様を嫌った覚えはありません」
その時、ナルホさんが二つの扇子を重ね合わせパチンと鳴らした。
「とりあえず、色々納得いかないかもしれないけど、アヤネは今晩僕といてくれるかな?」
ナルホさんは諍いをとにかく好まない。
「分かりました……」
ナルホさんはアヤネさんの手を取り部屋を出た。
というか、元々セレナールさんが引き止めたからこうなったような。

そして、私たちもすっかり寝る時間が遅くなってしまった。
「ナミネ、寝ようか」
私はナミネを布団に入れた。
「はい」
色々あった一日だった。明日はナノハナ家に戻れる。

夜中に目が覚めた。
中庭から物音がする。私は部屋を出て中庭に向かった。
カナナさんが訓練をしていた。私に気付くと手を止めこちらに向かって来た。
「眠れないの?」
「あ、ちょっと目が覚めただけです。いつも訓練してるんですか?」
カナナさんとはあまり話したことはない。そもそも、カナナさんが友達と一緒にいるところさえ見たことがない。
「まあね。私はカナコお姉様ほどの才能もなければカナエみたいに料理が出来るわけでもないし、儚いものね」
カナナさんて自分のことそんなふうに思っていたんだ。
「そんなことないです。カナナさんは強いじゃないですか。キクリ家も十分継げます」
カナナさんは決して弱くはない。遠い昔は、レイカさんとも一緒に仕事をしていたほどだ。
「ヨルクは変わらないわね」
変わらない、と言うほど私のことを知っているのだろうか?
「変わらないですか?」
「ええ、ずっと一途にナミネのこと想い続けていて小さい頃はオネショをラルクのせいにしてたわね」
どうしてカナナさんが知っているのだろう。
「えっ……」
「どの武家でも集まっていたのよ。忘れてるかもしれないけど、みんな仲良しだったのよ」
みんな……仲良し……。
「あ、でも私は兄弟仲あまり良くないですし」
そう思うとキクリ家はまとまりがあると思う。カナコさんがいるからだろうか。
「あなたが知らないだけよ。ラルクはいつもあなたをイジメる同級生を打ちのめしてたわ」
ラルクが!?いつもどこに誘っても酷い言葉しか言わなかったのに。
「ラルクが……」
「そんなものよ、兄弟って。カナコお姉様も放任主義に見えてみんなを心配してる」
カナコさんはそうかもしれない。武家の跡取りと言ったらカナコさんかレイカさんだと遠い昔から言われてきたし。
「カナコさんは人間出来てますから。あ、あの、リリカお姉様って……」
私は言いかけて止めてしまった。
「そうね、アヤネが言ったのは事実ね。武家が流行らなかった時代、武家に生まれた女の子はよく赤線町に出稼ぎに行かされたのよ。リリカは、クレナイ家長女として送られ、お金持ちの商人に赤花咲をされた。その後、何人か客を取った後、リリカは赤花咲の客に無理矢理嫁入りさせられた。その後は子供が出来て一見普通の家庭に見えたけど、暮らしに耐えきれなかったリリカは浮気をして追い出され、また官妓として働いた。あの時のリリカには何の希望もなかったわ」
そんな……。全く知らなかった。リリカお姉様が男性を嫌うのはその過去が原因だったのか。
「そうでしたか……」
「さあ、戻るわよ」
カナナさんは草履を脱いだ。私も廊下に入り、カナナさんは鍵をかけた。

部屋に戻ると、ナミネが呼び出しただろう番人がいた。
「何してるの!」
私は思わず駆け寄った。
「あ、落ち武者さんがセレナールさんの件をなかったことにするよう言ってきまして……」
あのニュースの件か。それがセレナールさんが闇落ちしない術なら致し方ないだろう。
「そっか……」
「でも、セレナールさんが一度もFメモリイをしてないことにすると、他のメンバーもそうなるらしいです。私としてはセナ王女やカナエさんのことを思うとそうしたいのですが……。私とヨルクさんのこともなかったことになってしまいます。エミリさんがアランさんとタルリヤさんの子供を出産して孤児院に預けた設定にすり替えるのと引き換えに」
えっ……私とナミネとのこともなかったことになる……。ちょっと頭が回らない。
「アンタらはまた想い出作ればいいだろ!エミリ犠牲にすることで姉さんも甘えセナも男尽くしカナエもゼロからやり直せるんだ!揉めごとは出来るだけ少ない方がいい!」
それはそうだけど、エミリさんがかわいそうすぎる。でも、セレナールさんのイジワル問題や、セナ王女が中絶薬を盛られたことがなかったことになるのは、やり直せる。私とナミネは心の想い出だけでいい。けど、本当にそれで確定していいのだろうか?エミリさんは子持ちで皇太子様と一緒になれるのだろうか。それでも、確定モード漂う今、私が口出せることは何もなかった。
「すみません、ヨルクさん!もう手段がないんです。テナロスさん、その条件でお願いします」
もう既に落ち武者さんと決めていたのか。
「かしこまりました。その前後の時間は適当なものを挟んでおきます」
テナロスさんは去っていった。少しして、私とナミネとのことはなかったことになっていた。また、後に知ることになるが、ミナクお兄様が女性を弄んだことはなかったことにはならなかったらしい。そして、ラルクが歴史を変えたことはセレナールさんとの喧嘩にすり替わり、ミネルナさんとロォハさんはパーティーにて激的な出会いをしたことは変わっていない。ナミネとラハルさんが出演した映画もそのままだ。
「ラブリー日記見るぞ!」
そういえば、かなりの期間開いてなかった。私は携帯を取り出した。あれ?フェアリー日記になってる?私はフェアリー日記を開いた。

『交際はカラルリともミナクともしていたけど、シャム軍医に咲かせてもらう。今すぐじゃないけど、近い未来、私とシャム軍医は互いの花を咲かせる。愛して愛してどうしようもない』
本当になかったことになっている。セナ王女が中絶薬盛られた事実はなくなっている。セナ王女はシャム軍医と幸せになれる。

『カナエの純白が赤で染る日、私たちは本当の愛で結ばれる』
アルフォンス王子とカナエさんもなかったことになっている。

『いつか、ラルクに咲かせてもらう。
大好きよ、ラルク』
セレナールさんのイジワル事件もなかったことになっている!

『セナさんの花を他の男に奪われるのはいやだ!
必ず私が咲かせる』
カラルリさん側も何もなかったことになっている。

けれど……リリカお姉様だけが不利なものを背負うことになる。私はこのメンバーだけとナミネたちにカナナさんから聞いたことを話した。
「アンタ、さっきお願いすればいいものを。今すぐダンゴロ呼び出せ!」
私はダンゴロさんを呼び出した。
「こっちは夜か」
そうか、女神の湖に夜はなかった。
「あの、リリカお姉様が赤線町で赤花咲され客を取っていた記録を消してもらえないでしょうか?」
過去のこととはいえ、アヤネさんにマウント取られたままではリリカお姉様がかわいそうすぎる。
「まあ、リリカも苦労したからね。アヤネが知ってる前世のみ赤線町で官妓してた記録は消しとくよ」
それではリリカお姉様のトラウマは完全には消えない。それでも、今は選べない。アヤネさんが知っていた事実がなくなるだけでも不幸中の幸いと思うしかない。
「分かりました。それでお願いします」
「分かった。じゃあ、記録から消しとく」
突然ナミネがダンゴロさんの服を掴んだ。
「あの、ナクリお姉様が春風神社で生贄になったことをもう少し軽くすることは……」
そっか、ナミネなりにナクリさんのこと心配してるんだ。
「そうだねえ、ナクリほどのことをしたら慈悲も何もないんだよね。ナクリが立ち上がるしかないね」
悪事を働けば何の助けもなくなってしまうのか。確かにナクリさんはミドリさんにしてはいけないことをした。ミドリさんはそれで命を落とした。ナミネが見た死んだミドリさんの姿は写真でも見たけど相当酷いものだった。
「そうですか……」
「ナミネ、私も力になるから」
私はナミネの手を握った。
「仕方ないです。ナクリお姉様はミドリお姉様を殺しました。でも、ミドリお姉様は今ピアニストを目指しています。悲しいけど進んでいるんです」
悲しいけど進んでいる。私たちのメンバーのようだな。
「君たち何してるのかな?」
ズルエヌさん!
「えっと……その……」
言葉が出てこない。
「別に、元に戻しただけだけど?」
落ち武者さんて、誰が相手でも対等に渡り合える。
「本当に君たちはどうしようもないね」
それが若さなのだろうか。私たち、一億年は生きているはずなのに。同じ過ちばかり繰り返している。人は何世紀経っても変わらない。
「あの、前から思ってたんですけど。ズルエヌさんって、もっと物静かな人でしたよね?」
ナミネ……。
「そうだね。ズームが美しいお嬢さんを連れて来た時は驚いたよ。本気で人を愛せないズームもナミネだけは最後まで愛し通したね」
美しい……。ナミネはずっと可愛いんだけどな。
「答えになってないです」
ナミネもナミネで頑固だ。
「物静かであるのことに対して馬鹿馬鹿しく思っただけだよ」
馬鹿馬鹿しい。そうなのだろうか。私はズルエヌさんみたいにはなれない。ズルエヌさんは持っている人だから。セリルさんのように。
あれ、眠くなってきた。
私たちはズルエヌさんの夢の結界で眠ってしまった。

夜中に寝た割には熟睡したかのようだ。
「得体の知れないズルエヌ、時間巻き戻したな」
ズルエヌさんて何でも出来る。暗殺されたのが嘘みたいだ。
「あ、これ見てください」
ナミネは携帯画面を私に見せた。
セナ王女の投稿か。

『早朝からシャム軍医と下着選び。
紐パンなんてどうかしら?』
紐パン……。セナ王女ならそこそこ似合うかもしれない。

「ナミネ、紐パンとか買わないでね。ああいうの洗いにくいし」
洗いにくい。ナミネはかつて紐パンを履いていたことがあったのか?
「じゃ、朝飯食ったらナノハナ家集合」
あれだけ色んなことがあったのに、全てが……いや殆どのことがゼロになった。これからどうなるのだろう。
私たちの物語はまだまだ序章であった。

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あとがき。

ここまで来て全てがゼロに!?
あれだけ色々あったのに。

でも、セナにとっては良かったのかもね。

やり直せる者、やり直せない者。
分かれますね。

リリカもいつか……。

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この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。

現在、小説に関する模倣(程度による)の一切を禁じております。
詳しくはこちらを参照→ 禁止事項

無断転載もご遠慮ください。
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純愛偏差値 未来編 一人称版 119話

《ナミネ》

「アヤネさんに熱湯かけられました!」
私は他のメンバーがキクリ家のキッチンに入って来たところで叫んだ。
「ったく、アンタ本当に手段選ばないな」
咄嗟に落ち武者さんは氷の舞で私の身体を冷やし、ナヤセス殿は残りの手当をして私の火傷は跡形も残らなくなった。
そして、一部始終を見たリリカさんはアヤネさんを引っぱたいた。
「何してくれるのよ!ナミネはクレナイ家に嫁ぐ跡取りなのよ!もうあなたの顔なんて見たくないわ!メンバーから外れてちょうだい!」
言葉でアヤネさんを苛立たせたのは私。けれど、手を出したほうが負け。アヤネさんが自分で言ったことだ。
「誤解です!私はカナエさんから暴力を受け、ナミネさんから暴言を吐かれました!」
だったら人に熱湯をかけていいのだろうか?
「私は暴力ふるったカナエと暴言で追い詰めたナミネのほうが悪いと思うわ」
ラルクはセレナールさんが本気でラルクを好きならと修復を選択している。それなのにセレナールさんは何も分かっていない。かつてのカナエさんへの恨みを今晴らしたいのだろうか。
そして、リリカさんはセレナールさんも引っぱたいた。
「あなた、どこまで腐っているの?」
よほど強く叩かれたのかセレナールさんは床に叩き付けられた。
「どうしていつも私を責めるのよ!カナエの暴力は許されるの?私は違うと思う」
まだ正論を重ねるわけか。
「アヤネ、いくらナミネが色々言ったからって、こんなことでは何も解決しないし、ナミネに傷が残ったらどうしてくれるんだ」
ナヤセス殿は、ナルホお兄様より私のことを妹として可愛がってくれている。手紙のやり取りだけの期間も、ずっと私のことを心配してくれていた。
「そんな、あんまりです!被害者は私なのにどうしてみんなして私を袋叩きするのですか!」
私とて別にアヤネさんのみを悪者にしようとしたわけではない。カナエさんの事情を汲み取ろうとせずカナエさんに対し上から目線のアヤネさんを注意したまでだ。
「別に誰もアヤネが悪いとは言ってないし少なくとも私はそうは思わない。でも、手が出ればカンザシと同じになると思う」
カンザシさん。久しぶりに聞く名前だ。実の兄とは言え、少なくとも私はミネスさんと対立はしたくない。
「とりあえず、今日はキクリ食堂の夕ご飯を食べるとして、アヤネとカナエは少し僕と話そうか。後のみんなは第三居間に行くなり客間に行くなりしてくれるかな?」
ズルエヌさんは、どこかセリルさんに似ている。少し前のセリルさんも今のズルエヌさんみたいに平和的な解決を望んでいる。
「はい、私は客間で休んでます。少し疲れました」
私は立ち上がるなり客間へ向かった。

ここも随分と変わった。遠い昔は第一居間でみんなで茶菓子を食べていたっけ。キクリ家は、私の思い出の場所でもある。
私は別に悪意があってアヤネさんに刃を剥けたのではない。カナエさんが不憫だと思ったからだ。
カナエさんはアルフォンス王子の女癖の悪さを知っているようで知らない。カナエさんが知っているアルフォンス王子の女癖の悪さは、あくまで結婚後である。
私は、遠い昔セナ王女の部下だった。セナ王女は21歳にして空軍の元帥だった。そして、エースパイロットだった。そんなセナ王女はある日、17歳だった私を陸軍基地から空軍基地に呼び寄せた。17歳の私は身長もセナ王女より高く髪も伸びて何故か空軍基地のアイドル的存在というかムードメーカーだった気がする。そして、海軍基地で大将を務めていたのがアルフォンス王子だった。あの頃、アルフォンス王子はカナエさんと出会う前で、綺麗な女性軍人を見ては誘惑していた。時には女性軍人を妊娠させたこともあった。けれど、アルフォンス王子は誰も側室にはしなかった。病院代も払わず認知もせず、里帰りした女性軍人はナヤセス殿が働く紅葉病院で政府の支援とともに出産まで通っていた。
アルフォンス王子は、複数の前世で女癖が悪かった。時には妊娠させた女性軍人に薬草を盛っていたこともあったのだ。アルフォンス王子の女癖の悪さは軍法会議には問われなかった。
軍事基地から紅葉町に戻り、カラクリ家でお世話になることになった時に、アルフォンス王子はカナエさんと出会った。アルフォンス王子にとっては初恋だっただろう。カナエさんにはとにかく尽くしていた。そして、アルフォンス王子の軍事基地時代を知らないカナエさんは表面上純粋なアルフォンス王子に惹かれた。けれど、軍事基地時代を共に過した私からしてみればアルフォンス王子はセイさんと同じだ。流石は血縁者だとも思う。
もし、あの時、私が全てを話していてカラン王子との交際を勧めていたら状況は変わっていただろうか。それでも、幸せいっぱいのカナエさんに打ち明けることは出来なかった。
恐らくだけど、現世でもアルフォンス王子はカナエさんだけではない気がする。何となくだけれど、リリカさんに好意を抱いているように見えなくもない。
「ナミネ、キクリ食堂のご飯持って来たよ」
心配そうに見つめるヨルクさんから私は目を離した。
「ありがとうございます、ヨルクさん」
私はカツ丼定食を食べはじめた。
「で?アンタなんで男尽くしカナエの味方したのさ?」
落ち武者さん、エルナさん、ラルク……!今日はこのメンバーで相部屋だろうか。
私は落ち武者さんに軍事基地でのこと、アルフォンス王子の女癖の悪さを話した。別に隠すつもりはなかったけれど、もう遠い昔のことだったから、私でもそれなりに忘れていた。シャム軍医に再開するまでは。
「ふーん、でも人見下しアヤネのほうはやっと落ち着いて来てたんだぜ?手を出したほうが悪いのは当然だけど。男尽くしカナエがカランと交際しても好きになれてたかは分からないと思うけど?」
アヤネさんを再び不安定にしたのは私だ。あの時カナエさんは確かにアルフォンス王子を選んだ。セイさんと別れてアルフォンス王子と交際したのである。けれど、それかてカラン王子と出会う前の出来事である。
「うーん、そうかもしれませんが、少なくとも私だったら平和にカラン王子を選んでいたと思うんですよね」
私ならカラン王子を選んでいた。遠い昔、ラハルさんやズームさんを選んだように、私は『幸せ』を選ぶ生き物だと思う。
「アンタはそうだろうけど、男尽くしカナエは平凡アルフォンスが好きだったんだよ。その平凡アルフォンスが現世で変わり果てたから悩んでるんだろうがよ。ま、女癖の悪さは別れの原因にはなると思うけどね?」
分からない。本当に好きだったのだろうか。今となってはあやふやだ。
「分からないんですよね。軍事基地にいた時のセナ王女とシャム軍医を見ていたら、カナエさんとアルフォンス王子の関係ってなんだろうって」
私には分からない。あの時、ヨルクさんとは離れて暮らしていて、たまにヨルクさんが差し入れ持って来ていたけれど。私は少なくともあの時は、離れていても婚約者はヨルクさんだけだと思っていた。
「へえ、その頃から甘えセナら出来てたんだ。一目惚れカラルリとのことは間違いだったかもな。けど、僕は男尽くしカナエはこのまま平凡アルフォンスと一緒になっとくべきだと思うけど?カランは既にアンタを好きだろうがよ」
カラン王子がどうして私を好きになったかは分からない。私だってカラン王子のとんでもない元カノと同じなのに。
「私、トイレ行ってきます」
話がよく分からなくて私は一旦部屋を出た。

廊下を歩いているとリリカさんとラハルさんがいて私は咄嗟に自分に霧の結界をかけた。
「前々から、ナナミとは違うと思ってたわ。ナナミは恋愛出来るもの。でも私は違う。人を好きになったことなんかない。けど、ラハルなら結婚してもいいって思う」
これは告白なのだろうか。推しとしてラハルさんを好きということなのだろうか。そして、この時の私は落ち武者さんに小型カメラを取り付けられていたことを全く知らなかったのである。
「僕なら結婚してもいい。それは本当に恋愛感情なのかな?確かにナナミとリリカの応援が違うのは会って気付いたよ。でも僕は今でもナミネ忘れられない。ナミネが好きなんだよね、妹としてじゃなくて異性として」
なんか、聞いてはいけないことを聞いてしまった気がする。私もラハルさんのことは嫌いではないし、寧ろ好きなほうだ。けれど、交際していた時の好きではないけれど。
「分かってる。ナミネがいるから、芸能界の仕事減らして紅葉町でアパート借りたこと。別にナミネに嫉妬してるわけじゃない。ただ、ラハルにとってナミネの何に魅力感じたのかなあて」
この段階ではリリカさんがラハルさんを推しではなく異性として好きか分からない。ナナミお姉様の場合は小さい頃からずっとミナクさんのこと見てて、グルグル妖精デビューの瞬間にラハルさんのことめちゃくちゃ推していたけど。
「リリカには悪いけど、ナミネのことは一目惚れだった。数多くの女の中から、はじめて美しいと感じる子だった。だから、ナミネの個展で名刺交換して、その後はナミネを食事に誘いまくった。芸能界デビューも決まってたし、同棲した時にはナミネとの結婚を考えてた。でもカンザシに全て壊されて、その後適当な子と付き合って結婚したけど心は満たされなかった。僕にとってナミネは全てだった。ナミネがいたから芸能界も頑張れた」
美しい。ズームさんも似たようなこと言ってたけど、私ヨルクさんから美しいとか言われたことない。いつも、ナミネは可愛いねって、まるで妹扱いだった。でも、ヨルクさんとは確かに愛し合っていたと思う。
そして、カンザシさんが引き裂かなければ私はラハルさんと結婚していただろう。
「そう。確かに、成長したナミネはセレナールを追い越すすらいの美貌だものね。私、多分ラハルが好き。少しは考えてほしい」
これって告白なのだろうか?好きなのはそうだろうし、推しを超えてリリカさんとラハルさんは現実で友達だ。それだけでなく、旅を共にした戦友でもある。
「うーん、多分じゃ好きとは言えないよ。でも一つ言うならナミネと出会っていなければリリカと交際していたかもね」
ラハルさんも何故思わせぶりなこと言うのだろう。
「そうね、私も分からない。ラハルを恋愛対象として好きなのか。でも、好きラハルにならFメモリイさえも許せる」
うーん、やっぱり分からない。自分を許すイコール好きとも限らないし。
ダメだ、さっきヨルクさんが持ってきた夕飯一気に平らげたからお腹痛くなってきた。私は忍び足でリリカさんとラハルさんの前を通りトイレに向かった。

部屋に戻るといきなり落ち武者さんに肩を触られた。
「回収っと」
回収?よく見るとパソコン画面にはリリカさんとラハルさんが映っている。私、知らない間に落ち武者さんにカメラ取り付けられていたのか。
「あの、トイレも見ました?」
私、かなり下しちゃった。
「流石にそこは見てないけど?アンタのプライベートだし」
いや、リリカさんとラハルさんのやり取りも十分プライベートだと思うけど。
「そうですか」
なんだか複雑な気持ちだ。しかも、ラルクもヨルクさんも画面に釘付けだ。
「ここからが、アンタの見てない場面」
いや、これ見てもいいのだろうか。見つかったら大目玉だ。それでも、私は落ち武者さんが再生する映像を見た。

映像は私がトイレに向かった後の場面だった。
『Fメモリイは許さないほうがいいよ。今のリリカはね』
リリカさん純粋だなあ。ナナミお姉様もだけど。
『ラハルは何人かと交際してるじゃない。好きじゃなかったの?』
そういえば、芸能界デビュー前後のラハルさんは彼女いたんだっけ。
『好きだったよ。最初はね。でも、駆け出しは食べていけないから芸能界は諦めろとか、デビュー後は残業一つで浮気疑われて上手くいかず別れたけどね』
こう考えると、芸能人もプライベートととの両立は大変なんだな。
『今誰とも交際しないのってナミネがいるから?』
これ、本当に見てよかったのだろうか。
『うん。最初手紙来た時はナナミと住所が同じだったから同一人物からの手紙だと思ったけど、直接会ってナミネ本人だと気付いた時には、また好きになってた。直ぐにナミネだと分かった。ナミネにヨルクがいても、もうナミネしか見れなくなってた。昔の想い出じゃなく、今として』
どうして私なのだろう。どうして短期間交際していただけの私を現世でも好きなのだろう。
『そういう割には現世で元カノ病院送りにしてるよな。ラハルって優等生ぶって裏ではDVしてるんだな』
え、カンザシさん!?戻ってきたの!?
『カンザシー!』
ミネスさんがカンザシさんに抱きつくところで映像は途切れていた。

「アンタ、モテるな」
カンザシさんが戻って来た。今の状況下で。問題にまた問題が起きる。どうしていつもこうなのだろう。
「あ、私別に自分がモテてるとか、そういうの思ったことないです」
その時、落ち武者さんが私のスカートを捲った。
「落ち武者さんやめて!ナミネは私の彼女だから!」
ヨルクさんは咄嗟に私を抱き寄せた。ヨルクさんの紅葉の香り。私の大好きな香り。
「あの、落ち武者さんとは、旅先で混浴した仲ですし、落ち武者さんのこと仲間だと思っているのでこういうの気にしません」
今更だと思う。旅先では着替えもみんな同じ場所でしてたことが多かったじゃないか。
「やっぱアンタ、男を知らないな」
男を知らない?もう十分に嫌ってほど知り尽くしたつもりだけど。
「うーん、落ち武者さんは無理矢理なことはしないです」
落ち武者さんは、ミドリお姉様を襲った人らともカンザシさんとも違う。落ち武者さんは人の嫌がることはしない。
「ねえ、落ち武者さん。エルナの前でよくそういうの言えるよね」
少しずつ思い出してきているのかもしれない。昔の妖精村学園でヨルクさんと歩いていた時、成長した(あまり今とは変わらないけど)落ち武者さんは常にエルナさんと一緒だった。
「落ち武者さんは恋多き男なのよ」
人って分からない。こんなあどけない顔した落ち武者さんが美人を口説いていたとか。ヨルクさんにもそういう面があるのだろうか。もしそうだったら、ズームさんに交際申し込んでやる。
「エルナは落ち武者さんとの交際後、浮気されて耐えきれずに過ち犯したんでしょ?」
ヨルクさんはどうして知っているのだろう。やっぱり、同学年と一つ歳下では得る情報が違うのだろうか。
「そうね。でも、落ち武者さんは幼なじみだったから直ぐに別れは切り出せなかったわね」
幼なじみ……。私もラルクやヨルクさんだったら、確かに直ぐに別れられないと思う。
「ねえ、ラルクはどう思う?このままカナエさんとアルフォンス王子が交際してもいいのかな」
カナエさんならいくらでもいる。
容姿端麗、文武両道、家事のエキスパート。
いくらでもいるじゃないか。現にカナエさんに届いている縁談書の数は物凄いそうだ。
「何故いつもラルクに聞く」
ヨルクさんって心が狭い。
「顔だけヨルク、どうでもいいだろ」
私がラルクに聞くことのどこが悪いのか未だに分からない。私はただ話を進めようとしているだけなのに。
「僕は、仕方ないと思う。いくらカナエ先輩がカラン王子と一度は恋人だったとはいえ、一度きりだ。現世で一緒になれる確率は極めて低いだろうな」
カナエさんとて一度はカラン王子と恋仲だったのに、どうしてその後は恋仲にはならなかったのだろう。人のこと言えないけど、カラン王子とカナエさんて似合っている気がする。
「そっか。仕方ないよね。アルフォンス王子選んだのカナエさんだし。でも、なんか詐欺に思えるんだよね」
女癖悪い男が、はじめて本気で好きになれる人が出来た。なんてドラマもいいところ。どう考えても恋愛を知らないカナエさんに言葉巧みに言い寄ったとしか思えない。
「アンタさ、それ言い出したらキリがないだろ。好きになったなら詐欺も何もないだろ」
そうなのだろうか。私だったらカラン王子に心を委ねていただろうから、アルフォンス王子は考えられない。そう感じる私も庶子を否定しているようで複雑である。
その時、悲鳴が聞こえた。私たちは部屋を飛出て悲鳴の方向へ向かった。

別の部屋でカンザシさんを見たセレナールさんが尻もちをついている。こうなることを予測してなかったわけではないが、いずれは再会しただろう。私たちと旅を続ける限りは。
「よくも僕を芸能界追放して、自分だけのうのうと暮らせてましたね。あなたが幸せな日常を送っている間、僕は閉鎖病棟に縛られていました。僕はあなたを絶対に許しません!」
こればかりは私もどうしていいのか分からない。イジワルは犯罪だ。けれど、間違えたがどうしても未だに引っかかって仕方ない。
「カンザシ、私が芸能界に戻す!それに私は大切なものごとに対して間違えた無防備なセレナールも悪いと思う。お武家連盟会議でカンザシ追放したけど、セレナールが間違えたことを全村の人が知ったらどうなると思う?」
うーん、被害者はセレナールさんだけど、カンザシさんも何もマモルさんに引き渡すことはなかったと思う。
「僕は100:0でカンザシが悪いと思うけどね。日頃の行いがあまりに悪すぎる。カンザシこそこれまでの悪事を世間に知られたらどうなると思うんだ?」
やはり意見は分かれる。
「いつまでも優等生ぶってムカつくんだよ!ラハル!」
カンザシさんがラハルさんを殴ろうとするのをリリカさんが止めた。
「アンタ、ラハルに指一本でも触れたら命はないと思いなさい」
うわー、推し愛もここまで来るとホラーだ。
「す、すみません。少しカッとなっただけです」
カンザシさんは数歩下がった。
「悪いけど、姉さんを世間に差し出すことはさせない」
落ち武者さん相当怒ってる。
「私はカンザシを芸能界に戻すと言っただけ。セレナールを世間どうこうは考えてない」
一時的とはいえ、ズームさんの勾玉のアザが消えている以上、カンザシさんに協力出来るのはミネスさんだけだ。
「あの、でも私がセレナールさんの立場だったら、やり切れないと思います。未遂ではなくイジワル……イヤガラセじゃないですか」
ダメだ。ミドリお姉様のことを思い出してしまった。
「おい、ナミネ、大変なことになってるぞ!」
ラルクはテレビを付けた。
『イジワルにより閉鎖病棟に入っていたニンジャ妖精のリーダーであるカンザシさんですが、それは偽りだったとのことが判明しました。カンザシさんは一般女性に薬を飲まされ起きた瞬間に叫ばれたそうです。つまりカンザシさんは完全は被害者です。ファンもカンザシさんを陥れた一般女性をかなり批難しています』
そんな……いったい誰が嘘をリークしたのだろう。分からない。けれど、大問題であることは変わりない。セレナールさんは芸能人ではなく一般人なのだから。キクリ家にマスコミが押し寄せたりしたら身動きが取れなくなる。
「どうして!どうしてなのよ!いったい誰がこんなこと!!被害者は私なのに!」
セレナールさんはその場に崩れ落ちた。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

あとがき。

このタイミングでカンザシ戻ってきたか。

力不足で何も出来ない人生も辛いけど、誰かの力を借りてやりたい放題もズレていると思う。

セナとシャムへの批難。
カンザシの出戻り。

本当、トラブルは絶えません。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。

現在、小説に関する模倣(程度による)の一切を禁じております。
詳しくはこちらを参照→ 禁止事項

無断転載もご遠慮ください。
100話まではトントン拍子だったのが。
それを超えた途端に書きづらくなる。

100話以上続けることのむつかしさを痛感させられたと思います。

つまり、今のスランプか分からない状況を何としてでも乗り越えないといけないなあと。
続けたいならば。

私は続けたい。
はじめて気に入った小説だから終わらせたくないというか、ストーリー的にはまだまだ続くんですよね。

100話はまだ序章というか。
殆どのことが明らかになっていない状況です。

初代前世まで遡ることが目的なので、登場人物にはそこまで遡ってもらわなければです。

今は書くの前より集中出来ないし辛いところですが、乗り越えたいです。

SNSには、明日のケーキのデコレーション上手くいったら戻ります。
失敗するかもだけど、このホールケーキで一旦区切りにしたいですね。
スポンジケーキのほうはもう作ってあるのでクリームが上手く塗れるかですね。

色々順調になってゆきたいです。
純愛偏差値 未来編 一人称版 118話

《ヨルク》

灰色病院からブランケット家の車に乗って、ズルエヌさんが言っていた通り一時間半ほどで紅葉町に着いた。そして、私たちは今買い取りショップにいる。
「3000万円だね」
えっ、けれど、広告には一つ700万円からって書いてあるのに。3000万円は確かに大金だけれど、転生ローンが二億も残ってしまう。
「あの、広告には一つ700万円から買い取りと書いてあります。もう少し高く買い取ってもらえないでしょうか?」
ナミネは、カラクリ家のポストに入っていた広告を取り出した。
「こっちも商売だからねえ。一ミリ以下を700万円で買い取ることは出来ないよ。それは広告にも書いてあるけどね」
私はナミネが持ってる広告を見た。確かに書いてある。けれど、文字がかなり小さくて見逃す人が多いだろう。詐欺とまではいかなくても少し狡い気もする。こっちは、氷河期町で十分だろう原石を採取したというのに。
「ねえ、どうするラルク?」
何故いつもいつもラルクに聞く。
「落ち武者さん、どうしますか?」
ラルクも何故落ち武者さんに聞く。
「アンタ、買い取りの注意事項書いてるって言ったけど、こんな細かい文字、殆ど詐欺だと思うけど?こっちは遺書まで書かされてタダ働き同然じゃん。死にかけたヤツもいるしさ」
落ち武者さんの強気な態度はどこまで通用するのだろう。
「そう言われても書いてることには変わりないからルール違反ではないよね」
商いというものは怖いな。こういうトラブルで何軒も辞めていった店を見て来た。遠い昔だが。
「例えば、この原石なんか、加工すれば相当な値段で買い手付くと思うけど?これもこれもな。公平な値段で買い取ってもらえないなら別の店行くけど?」
そうは言っても、こんな小さな原石を加工ってやっぱり無理がある。みんな原石採取にとらわれて、原石の大きさまでは考えが及ばなかった気がする。
お店の人はしばらく考え込んだ。
「4000万円。流石にこれ以上は上げられない」
どれがどの原石かは分からないが、高く売ればそれはそれで買い手がいなくなるということだろうか。だから、買い取り値段も下がってしまう。
「はあ……。転生ローン全て返すつもりで氷河期町行ったのに、これじゃあ時間も無駄だったな。一目惚れカラルリ、アンタが決めろ」
私だったら、一部でも転生ローンを減らせるなら売ると思う。
「他のショップ行っても同じだと思うよー!今どこも不景気ださらさ」
ミネスさんが言うのなら、他のショップに行くだけの時間が無駄になるだろう。
「カラルリ、悪いけど、カナエに人生壊されかけた以上は、私はこれ以上カラルリに協力出来ない。氷河期町では必死に頑張ったし、あとは自分で何とかしてくれないかしら」
確かにセナ王女は一番活躍したと思う。けれど、元カノに言われたカラルリさんとしてはやり切れない気がする。残りの一億九千万円はどうするのだろう。
「セナさん、あれだけ私とのこと運命運命って言ってたのに、こんな突き放し方ないよね。寧ろ王女なんだからセナさんが払うべきでしょ!」
今度は責任転嫁か。分からないでもないが、契約者はカラルリさんだし、こればかりはセナ王女も今更は助けないと思う。
「悪いけど、私、レインボーカード上限があるのよ。だから、氷河期町で頑張ったじゃない」
王女も買い物は無限ではないのか。てっきり、欲しいものはどんな高級品でも手に入れているかと思っていた。
「カラルリ、とりあえず4000万円で手を打とう。後のことは後で考えるしかないと私は思う」
ミネスさんの人生には借金なんて文字はないだろう。寧ろ、カンザシさんに貢いでいるほうだしな。
「分かった……。4000万円でお願いします……」
カラルリさんは、みんなが採取した原石を4000万円で売り、書面を書いてお金を受け取った。
「ナミネ!助けて欲しい!このままでは来世も転生ローンに縛られたままだ!」
特別仲が良いわけでもないのに、どうして何かあるたびナミネに頼ろうとするのだろう。
「うーん……、これからキクリ家ですし、今は焦らなくても、これからみんなでゆっくり考えていきませんか?」
学校もはじまったし、ナミネには転生ローン返却の協力からは解放されて、のんびり過ごしてほしい。
「そんな悠長なこと言ってられない!早く残りの転生ローン返さないとロクに買い物も出来ない!今すぐ他のバイト見つけて稼いでほしい!」
何を言ってるんだ。何故、人に稼がせようとする。ヒモにでもなったつもりなのか?
「とりあえず、買い取りも終わったからキクリ家に行くよ」
ズルエヌさんは、ナミネとカラルリさんを引き離し、ショップを出た。

キクリ家に行くと、使用人に第三居間に案内された。
やはりとは思っていたが、すでにカナナさんが待機していた。
「いつまでもフラれた女にしがみつく。兄のために他人の人生を壊そうとする。あなたたち、どうしようもない馬鹿ね」
カナナさんは、ずっと変わらない。しっかり者で、いつもカラルリさんとカナエさんに厳しくしてきた。
「カナエは、今のお兄様を見ていられません!あまりにもかわいそうすぎます!」
かわいそう……なのだろうか。心変わりなんていくらでもあるし、大切にしなければ相手は去っていく。
「何がかわいそうよ!私の人生奪っておいて!」
セナ王女の場合は理不尽にも思う。あのような真似は決してしてはならぬ。ナミネが同じことをされたら、私は相手を一生恨むだろう。
「その時だけの快楽で自分も相手も壊れてしまう。どっちもどっちね。カラルリだけ責めるのはあなた自身も後悔しているからなんじゃないの?」
確かに……。カナナさんは昔から正論しか言わない。現代ゆえ、その時だけの快楽というものは怖い。
「セナはまだいいよ。どうせ、歳取ったら同じなんだし、好きな人に振り向いてもらえないより、好きな人と巡り会えた人生のようがよっぽどいいって私は思う」
ミネスさんは、どうしてヒモ同然のカンザシさんを好きなのだろう。ブランケット家に生まれた時点で男などいくらでもいるだろうに。
「今、カナコお姉様は、セリルとナクリさんのことで指示も下せないから私が言うわ。今のあなたたちに赤線町へ行くことは無理よ!」
ズバリときた。けれど、私もこんなに拗れて、それも未来を奪い合う身体的に傷つけ合うようではチームワークに乱れが生じると思う。
「僕も同意見だね。第二王室の人間は誰も赤線町から出てこないというのに、そんなところへ、こんな仲間割れした状態で行くのは効率が悪すぎる」
ズルエヌさんもカナナさんと同じか。
「本当、カナエのせいで足止めくらって迷惑だわ」
セナ王女はシャム軍医にくっつきながら、カナエさんを批判している。セナ王女とアルフォンス王子なら二人でも行けるだろうに。
「カナエの力、早く返してください!」
あの時はやむを得なかった。落ち武者さんが言うから勝算があるとは思っていたが、まさかナミネが呼び出した番人の60%とダンゴロさんの40%を合わせるとは……。
その時、カナナさんが熱いお茶をセナ王女にかけた。
「熱い!何するの!」
そう言いつつもセナ王女は咄嗟に氷の舞で自分の身体を冷やした。
「こんなどうしようもない人間でも私の弟・妹なのよ」
熱湯までかけることはないと思うが、いつもカラルリさんやカナエさんを突き放しているカナナさんが本当は二人を大切に思っていたことは伝わってくる。当たり前のことだろうけど、私とラルクはそうではないから。
けれど、セナ王女はカナナさんを押し倒し短剣を突き付けた。
「謝って。今の明らかあなたが悪いから」
確かにやり過ぎだとは思う。
「悪い?こっちはカナエの力全てなくされて、中級料理人の指導係雇わないといけないのよ!」
こんな状況でもカナナさんは命乞いをしない。
「セナ、やめな。ここで暴力沙汰起こしたら誰もセナに協力しなくなるよ」
何となく、前に比べてアルフォンス王子がまともに見える。元からこういう性格だったら馴染みやすかったかもしれない。
「セナ元帥。僕はどんなことがあってもセナ元帥を幸せにします」
シャム軍医って見たまんま、ロマンチストなんだな。
「シャム軍医……」
セナ王女はカナナさんから離れシャム軍医にもたれかかった。
「あの、これから皆さんどうしますか?私は勿論のことナノハナ家に戻りますが……」
そうだな。私もナミネのお世話をするためにナノハナ家に戻らなくては。
「私もナノハナ家に行くわ!」
何故だ。てっきり、別荘に戻るかと思っていた。
「カナエもナノハナ家に行きます!」
正直、今は二人は離れたほうがいい気がする。同じ空間にいると、また問題が起きそうで怖い。
「僕はマンションに戻るよ。持ち物も整理したいし」
そういえば、ズルエヌさんは、こっちに来てからはナヤセスさんと同じマンションで暮らしていたっけ。
「僕も一度アパートに戻るけど、ナノハナ家も下宿してるんだっけ?」
ラハルさんも、やはりナミネと一緒にいたくて下宿を希望しているのだろうか。
「あ、はい。一階も三階もまだまだ空いています」
武家の仕事がなくなったわけではない。けれど、あまりの不景気ゆえ、お武家連盟会議で下宿での存続が決まったのだ。
「ナミネ、三階は殆ど埋まってるよ。セナ王女たちも四人の相部屋になってもらうことになると思う」
私たちが氷河期町のバイトをしているうちにもうそんなに埋まったのか。
「分かったわ。ユメさん、クラフと相部屋する」
ナノハナ家に来ているのか。
「あ、私の部屋も何人か使ってください」
ナミネ……ただでさえ、落ち武者さんとエルナがいるというのに。
「じゃあ、僕はナミネの部屋にするよ」
今日のラハルさんはグイグイ来るな。
「私もナミネの部屋!」
リリカお姉様、クレナイ家に戻らないのか。最近は、リリカお姉様がラハルさんに対して推しと言うより本当に恋愛感情を抱いているように思えてきた。
「ナナミお姉様は、ミナクさん、アルフォンス王子、カナエを頼めるかな?」
そのメンバーなら諍いも起きないだろう。
「分かったわ」
ナルホさんの部屋には、ズームさん、ミネスさん、ミネルナさんが相部屋することになり、客間にセレナールさん、ラルク、アヤネさん、カラン王子が相部屋になることとなった。
「カラルリは、僕のマンションで泊まろうか」
無難なのだろうか。分からないけど、一方通行な想いで同じ空間にいるよりマシかもしれない。
「セナさん、思い通りにはさせないよ。必ず振り向かせるよ」
セナ王女は心はとっくにシャム軍医に向いてしまっているのに、どうしてこうも諦めが悪いのだろう。私とて、ナミネと一緒になれなかった時は、辛くて仕方なかったけれど、答えが決まっている物事を追いかけてはいけないと思う。
セナ王女は何も言わない。
「とにかく、チームワークが取れない状況の間は旅はさせないわ」
カナナさんの意見も固い。そもそも、セナ王女とカナエさんが仲直り出来るとも思えないのだが。赤線町に行ける日は来るのだろうか。
「じゃ、甘えセナと男尽くしカナエが仲直りするまでは旅はしない」
落ち武者さんも何かあった時に責任は取れないと判断したのだろう。
「あ、私今日はここに泊まります」
ナミネ、ずっと慣れない環境にいたから疲れてしまったのだろうか。
「三階は下宿の学生たちで半分ほど埋まっているから一階の客間使ってちょうだい」
やはり、どこの武家も今は下宿ブームか。
「ナミネ、頼む!次のバイト探して協力してほしい!」
こんな時までカラルリさんはナミネを縛り付けるのか。
「一目惚れカラルリ。アンタのことも考えてる。だから、強気なナミネのことは休ませてやれ!後、僕も今日はここに泊まるから」
落ち武者さんも泊まるのか。このようだと、みんなキクリ家に泊まりそうだな。
「セナさんは泊まらないでください!迷惑です!」
やはり言い争いは止まらない。
「言われなくったって別荘に戻るわ」
セナ王女とシャム軍医はそうしたほうがいい。
「晩飯は誰が作るわけ?」
今日くらいは、使用人に頼ってもいいと思うが。
「カナエはセナさんとシャム軍医の食事は作りません!」
カナエさんが作るのか。私も手伝うべきだろうか。
「本当に最低ね。私、もう行くわ」
セナ王女はシャム軍医の手を取り部屋を出て行った。
こんな状態で、また元のチームワークを組むことが出来るのだろうか。
「カナエさん、私も夕ご飯作り手伝います」
とりあえず、カナエさんを手伝おう。
「私も手伝います」
アヤネさん、アヤナさんとのわだかまりが解けてから、前より明るくなった気がする。
「ナミネ、行ってくるね」
「はい」
ナミネは相変わらず私には最低限の相づちしか打たない。

カナエさんは、しばらくはキクリ食堂には入らないそうだ。
「ナミネさんは、ラルクさんとセルファさんとコンビニに行きましたよ」
ズームさん。どうして私には何も言わず出かけたのだろう。身体も疲れているだろうし。
「そうですか」
「カラルリさんが、今夜バイトで稼ごうとしつこいのですよ」
そういうことか。夜間バイトをしたとしても転生ローンを返せるほどの稼ぎにはならないだろうに。
「あ、そうでしたね。こういう時に限ってナミネは頼られますので」
ラルクや落ち武者さんには言わないのに。
「原石買取も少々残念でしたね。私もレインボーカードは親に制限かけられてるんですよね」
アヤネさんもなのか。貴族や王族なら億単位で使えるものかと思っていたが、親も親で子を考えているということだろうか。
「お金を貸すのはやめたほうがいいかもしれませんね。後々トラブルになりかねませんし」
いくら仲が良くても、みんなお金で暮らしているわけだから、お金を貸すということは自分の暮らしを他者とシェアすると言っても過言ではない。
「そうですよね。私たちまだ学生ですし簡単にお金を貸すなんて出来ないですよね」
簡単に貸せる身分ではない。大人だったとしても家庭守るために他者にどれだけ協力出来るか分からない。案外今だけなのかもしれない。氷河期町に行って原石採取とか出来るのは。
「カナエは分かりません。アルフォンス王子様のことをどう思っているのか。もしカラン王子様を選んでいれば愛されていたかと思うとカナエはやり切れないのです」
この辺のことはナミネが詳しいだろう。私はあまり覚えていない。そしてこの時の私は知らなかった。軍事基地時代にアルフォンス王子が女癖が悪かったということを。
「カナエさん、私はまだまだこれからだと思います。今すぐ結婚するわけでもありませんし、ゆっくり考えませんか?」
その瞬間、作りはじめていた料理は全てグチャグチャになってしまった。そして、カナエさんはアヤネさんに扇子を突き付けた。
「アヤネ!どこまでカナエを馬鹿にすれば気が済むのですか!アヤネこそズームさんに相手にされず適当な貴族と結婚する未来が用意されていて惨めだと思います!」
カナエさんがここまで怒ったことはない。小さい頃から、いつも優しいカナエさんだったのに。どこで歯車が狂ってしまったのだろう。
「私は誰とも結婚するつもりはありません。一生お姉様の傍にいます」
そうか。アヤネさんはもう、自分が独りだとか惨めだとか考える必要はなくなったんだ。けれど、カナエさんはアヤネさんの返しにヒートアップし、アヤネさんの肩を扇子で叩いた。
「はい、ストップ!男尽くしカナエ、アンタ何やってんのさ!」
落ち武者さん帰ってきたのか。
「ナミネ、どうしてひと言も言わずに外出たの。心配したんだよ」
そもそも、三人で何を話していたのだろう。
「気分転換したかっただけです。私、今のアヤネさんが悪いと思うんですよね。自分が辛い時は散々責任転嫁して、ゆとりを得た瞬間、自分の価値観押し付けて相手の辛さを知ろうともしない。私、そういうのって人を傷付けるだけだと思うんです」
ナミネの言っていることは分からなくもないが、今のカナエさんは前のカナエさんではない。何に悩んでいるのかも分からない。表面上は恋愛関係だと言っていて、そうかもしれないが、私は少し引っかかる。それに、人はやはり心のゆとりで相手への接し方が変わるものである。
「ナミネさんがそう思いたければ、そうなんじゃないですか?私は別に何を思われても言われても構いません。けれど、暴力をふるったほうが負けではないでしょうか」
随分と強気になったな。前のアヤネさんでは考えられない。
「そういう言い方するから孤立するんじゃないんですか?親兄弟だけの愛情のみで人は生きているわけではありません。幼なじみや友達、クラスメイト、先生。色んな人と上手く折り合って信頼関係を得ながら人は生きていくのだと私は思います。一つを得たからって、そんなの一時的な生き甲斐でしかありません。どの道、人は人と関わりながらも孤独を抱え、その中で様々なことを選んでいく必要があります。今のアヤネさんはアヤナさんに甘えてるだけです」
ナミネは昔から頑固だ。全く人の意見を聞かないわけではないが、己の正論を相手に突き付けやすい。
「そうですか。それがどうかしましたか?」
アヤネさんも、ナミネの反論に苛立ちはじめただろうか。さっきより空気が悪くなっている。
「アヤナさん、余命半年らしいですよ」
本当なのか?はじめて聞いたけど、ナミネは誰から聞いたのだろう。
「そんな、まさか!やっと分かり合えたお姉様が……!」
「ほら、アヤナさんに甘えてるのは事実じゃないですか!アヤネさんはホラ吹きです!」
本気で怒った時のナミネは怖いなんてものではない。とことん人を突き落とす。それでも私は私の知る一番古い前世にて、小さいナミネを見た瞬間、ナミネと生涯を共にしたいと思った。
「よくも騙しましたね!ホラ吹きはナミネさんじゃないですか!」
ナミネはクスリと笑った。その瞬間、アヤネさんはナミネに熱湯をかけた。
「ナミネ!」
「ちょっと、あなたたち何してるの!?」
「ナミネ!何があったの?」
「ナミネ、大丈夫!?」
「何、この状態!?」
みんなキクリ家のキッチンに集まって来た。
「アヤネさんに熱湯かけられました!!」
ナミネは叫んだ。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

あとがき。

ちょっとまたイラスト優先で小説の進み遅くなってました。

時間経てば人間関係も変わってきます。
それは抗えないと私は思うのです。

せっかく、アヤナと和解し自信を持てたところだったのに、アヤネはまた悪者にされやすくなってしまうのでしょうか?

ヨルクの誕生日カウントダウン!

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。

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