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ashita
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地主(土地貸してます)
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漫画やアニメを見るのが好きです。最推しはフーディーニ ♡
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ブログ、もう書かないと思ってました。
けれど、去年から書き始めた小説によって、過去に書いてた小説も書き始め、ここに載せることにしたのです。
小説は、主に『時間と時間を繋ぐ恋の物語』と『妖精村と愉快な仲間たち』をメインに書いています。
現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。
純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。
元々このブログは病気の記録用として立ち上げたものですが、小説載せるようになってからは、ここは出来るだけ趣味的なことを綴りたいと思っております。
病気の記録や様々な思いを綴るブログは移転済みなのです。
ただ、今は日記は個人的な徒然、或いはお知らせとして綴ることが多いかと思います。
小説、ぼちぼちマイペースに書いてゆきます。
よろしくお願い致します。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
お知らせ。
イラストは現在「ナノハナ家の日常」に載せております。サイドバーにリンクあります。
また、「カラクリよろずや」にて無料のフリーイラスト素材配布もはじめました✩.*˚
フリーイラスト素材も増やしていく予定です(*'ᴗ'*)
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模倣・無断転載などは、ご遠慮ください。
ブログの小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
小説・純愛偏差値に関しましては、武家名・貴族名(程度による) / 及び、武官の階級 / 扇子・羽子板・花札・百人一首・紙飛行機などのアイテム使用方法の模倣の一切を禁じております。
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X @kigenzen1874
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けれど、去年から書き始めた小説によって、過去に書いてた小説も書き始め、ここに載せることにしたのです。
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現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。
純愛偏差値は今年100話を迎えました。
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が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。
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〈資格履歴〉
2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2010年02月10日
→セルフ・カウンセリング
ステップ2 合格
2011年05月28日
→セルフ・カウンセリング
指導講師資格審査 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年01月20日
→鉛筆デッサンマスター 合格
→絵画インストラクター 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
→茶道アドバイザー 合格
→お点前インストラクター 合格
2025年04月17日
→着物マイスター 合格
→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
→サイキックアドバイザー 合格
→サイキックヒーラー 合格
2025年07月01日
→アンガーカウンセラー 合格
→アンガーコントロール士 合格
2025年08月04日
→漢方コーディネーター 合格
→薬膳調整師 合格
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〈資格証明バナー〉

2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2010年02月10日
→セルフ・カウンセリング
ステップ2 合格
2011年05月28日
→セルフ・カウンセリング
指導講師資格審査 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年01月20日
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→絵画インストラクター 合格
2025年03月07日
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→鉱石セラピスト 合格
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2025年04月17日
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2025年05月19日
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2025年07月01日
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〈資格証明バナー〉

純愛偏差値 未来編 一人称版 119話
《ナミネ》
「アヤネさんに熱湯かけられました!」
私は他のメンバーがキクリ家のキッチンに入って来たところで叫んだ。
「ったく、アンタ本当に手段選ばないな」
咄嗟に落ち武者さんは氷の舞で私の身体を冷やし、ナヤセス殿は残りの手当をして私の火傷は跡形も残らなくなった。
そして、一部始終を見たリリカさんはアヤネさんを引っぱたいた。
「何してくれるのよ!ナミネはクレナイ家に嫁ぐ跡取りなのよ!もうあなたの顔なんて見たくないわ!メンバーから外れてちょうだい!」
言葉でアヤネさんを苛立たせたのは私。けれど、手を出したほうが負け。アヤネさんが自分で言ったことだ。
「誤解です!私はカナエさんから暴力を受け、ナミネさんから暴言を吐かれました!」
だったら人に熱湯をかけていいのだろうか?
「私は暴力ふるったカナエと暴言で追い詰めたナミネのほうが悪いと思うわ」
ラルクはセレナールさんが本気でラルクを好きならと修復を選択している。それなのにセレナールさんは何も分かっていない。かつてのカナエさんへの恨みを今晴らしたいのだろうか。
そして、リリカさんはセレナールさんも引っぱたいた。
「あなた、どこまで腐っているの?」
よほど強く叩かれたのかセレナールさんは床に叩き付けられた。
「どうしていつも私を責めるのよ!カナエの暴力は許されるの?私は違うと思う」
まだ正論を重ねるわけか。
「アヤネ、いくらナミネが色々言ったからって、こんなことでは何も解決しないし、ナミネに傷が残ったらどうしてくれるんだ」
ナヤセス殿は、ナルホお兄様より私のことを妹として可愛がってくれている。手紙のやり取りだけの期間も、ずっと私のことを心配してくれていた。
「そんな、あんまりです!被害者は私なのにどうしてみんなして私を袋叩きするのですか!」
私とて別にアヤネさんのみを悪者にしようとしたわけではない。カナエさんの事情を汲み取ろうとせずカナエさんに対し上から目線のアヤネさんを注意したまでだ。
「別に誰もアヤネが悪いとは言ってないし少なくとも私はそうは思わない。でも、手が出ればカンザシと同じになると思う」
カンザシさん。久しぶりに聞く名前だ。実の兄とは言え、少なくとも私はミネスさんと対立はしたくない。
「とりあえず、今日はキクリ食堂の夕ご飯を食べるとして、アヤネとカナエは少し僕と話そうか。後のみんなは第三居間に行くなり客間に行くなりしてくれるかな?」
ズルエヌさんは、どこかセリルさんに似ている。少し前のセリルさんも今のズルエヌさんみたいに平和的な解決を望んでいる。
「はい、私は客間で休んでます。少し疲れました」
私は立ち上がるなり客間へ向かった。
ここも随分と変わった。遠い昔は第一居間でみんなで茶菓子を食べていたっけ。キクリ家は、私の思い出の場所でもある。
私は別に悪意があってアヤネさんに刃を剥けたのではない。カナエさんが不憫だと思ったからだ。
カナエさんはアルフォンス王子の女癖の悪さを知っているようで知らない。カナエさんが知っているアルフォンス王子の女癖の悪さは、あくまで結婚後である。
私は、遠い昔セナ王女の部下だった。セナ王女は21歳にして空軍の元帥だった。そして、エースパイロットだった。そんなセナ王女はある日、17歳だった私を陸軍基地から空軍基地に呼び寄せた。17歳の私は身長もセナ王女より高く髪も伸びて何故か空軍基地のアイドル的存在というかムードメーカーだった気がする。そして、海軍基地で大将を務めていたのがアルフォンス王子だった。あの頃、アルフォンス王子はカナエさんと出会う前で、綺麗な女性軍人を見ては誘惑していた。時には女性軍人を妊娠させたこともあった。けれど、アルフォンス王子は誰も側室にはしなかった。病院代も払わず認知もせず、里帰りした女性軍人はナヤセス殿が働く紅葉病院で政府の支援とともに出産まで通っていた。
アルフォンス王子は、複数の前世で女癖が悪かった。時には妊娠させた女性軍人に薬草を盛っていたこともあったのだ。アルフォンス王子の女癖の悪さは軍法会議には問われなかった。
軍事基地から紅葉町に戻り、カラクリ家でお世話になることになった時に、アルフォンス王子はカナエさんと出会った。アルフォンス王子にとっては初恋だっただろう。カナエさんにはとにかく尽くしていた。そして、アルフォンス王子の軍事基地時代を知らないカナエさんは表面上純粋なアルフォンス王子に惹かれた。けれど、軍事基地時代を共に過した私からしてみればアルフォンス王子はセイさんと同じだ。流石は血縁者だとも思う。
もし、あの時、私が全てを話していてカラン王子との交際を勧めていたら状況は変わっていただろうか。それでも、幸せいっぱいのカナエさんに打ち明けることは出来なかった。
恐らくだけど、現世でもアルフォンス王子はカナエさんだけではない気がする。何となくだけれど、リリカさんに好意を抱いているように見えなくもない。
「ナミネ、キクリ食堂のご飯持って来たよ」
心配そうに見つめるヨルクさんから私は目を離した。
「ありがとうございます、ヨルクさん」
私はカツ丼定食を食べはじめた。
「で?アンタなんで男尽くしカナエの味方したのさ?」
落ち武者さん、エルナさん、ラルク……!今日はこのメンバーで相部屋だろうか。
私は落ち武者さんに軍事基地でのこと、アルフォンス王子の女癖の悪さを話した。別に隠すつもりはなかったけれど、もう遠い昔のことだったから、私でもそれなりに忘れていた。シャム軍医に再開するまでは。
「ふーん、でも人見下しアヤネのほうはやっと落ち着いて来てたんだぜ?手を出したほうが悪いのは当然だけど。男尽くしカナエがカランと交際しても好きになれてたかは分からないと思うけど?」
アヤネさんを再び不安定にしたのは私だ。あの時カナエさんは確かにアルフォンス王子を選んだ。セイさんと別れてアルフォンス王子と交際したのである。けれど、それかてカラン王子と出会う前の出来事である。
「うーん、そうかもしれませんが、少なくとも私だったら平和にカラン王子を選んでいたと思うんですよね」
私ならカラン王子を選んでいた。遠い昔、ラハルさんやズームさんを選んだように、私は『幸せ』を選ぶ生き物だと思う。
「アンタはそうだろうけど、男尽くしカナエは平凡アルフォンスが好きだったんだよ。その平凡アルフォンスが現世で変わり果てたから悩んでるんだろうがよ。ま、女癖の悪さは別れの原因にはなると思うけどね?」
分からない。本当に好きだったのだろうか。今となってはあやふやだ。
「分からないんですよね。軍事基地にいた時のセナ王女とシャム軍医を見ていたら、カナエさんとアルフォンス王子の関係ってなんだろうって」
私には分からない。あの時、ヨルクさんとは離れて暮らしていて、たまにヨルクさんが差し入れ持って来ていたけれど。私は少なくともあの時は、離れていても婚約者はヨルクさんだけだと思っていた。
「へえ、その頃から甘えセナら出来てたんだ。一目惚れカラルリとのことは間違いだったかもな。けど、僕は男尽くしカナエはこのまま平凡アルフォンスと一緒になっとくべきだと思うけど?カランは既にアンタを好きだろうがよ」
カラン王子がどうして私を好きになったかは分からない。私だってカラン王子のとんでもない元カノと同じなのに。
「私、トイレ行ってきます」
話がよく分からなくて私は一旦部屋を出た。
廊下を歩いているとリリカさんとラハルさんがいて私は咄嗟に自分に霧の結界をかけた。
「前々から、ナナミとは違うと思ってたわ。ナナミは恋愛出来るもの。でも私は違う。人を好きになったことなんかない。けど、ラハルなら結婚してもいいって思う」
これは告白なのだろうか。推しとしてラハルさんを好きということなのだろうか。そして、この時の私は落ち武者さんに小型カメラを取り付けられていたことを全く知らなかったのである。
「僕なら結婚してもいい。それは本当に恋愛感情なのかな?確かにナナミとリリカの応援が違うのは会って気付いたよ。でも僕は今でもナミネ忘れられない。ナミネが好きなんだよね、妹としてじゃなくて異性として」
なんか、聞いてはいけないことを聞いてしまった気がする。私もラハルさんのことは嫌いではないし、寧ろ好きなほうだ。けれど、交際していた時の好きではないけれど。
「分かってる。ナミネがいるから、芸能界の仕事減らして紅葉町でアパート借りたこと。別にナミネに嫉妬してるわけじゃない。ただ、ラハルにとってナミネの何に魅力感じたのかなあて」
この段階ではリリカさんがラハルさんを推しではなく異性として好きか分からない。ナナミお姉様の場合は小さい頃からずっとミナクさんのこと見てて、グルグル妖精デビューの瞬間にラハルさんのことめちゃくちゃ推していたけど。
「リリカには悪いけど、ナミネのことは一目惚れだった。数多くの女の中から、はじめて美しいと感じる子だった。だから、ナミネの個展で名刺交換して、その後はナミネを食事に誘いまくった。芸能界デビューも決まってたし、同棲した時にはナミネとの結婚を考えてた。でもカンザシに全て壊されて、その後適当な子と付き合って結婚したけど心は満たされなかった。僕にとってナミネは全てだった。ナミネがいたから芸能界も頑張れた」
美しい。ズームさんも似たようなこと言ってたけど、私ヨルクさんから美しいとか言われたことない。いつも、ナミネは可愛いねって、まるで妹扱いだった。でも、ヨルクさんとは確かに愛し合っていたと思う。
そして、カンザシさんが引き裂かなければ私はラハルさんと結婚していただろう。
「そう。確かに、成長したナミネはセレナールを追い越すすらいの美貌だものね。私、多分ラハルが好き。少しは考えてほしい」
これって告白なのだろうか?好きなのはそうだろうし、推しを超えてリリカさんとラハルさんは現実で友達だ。それだけでなく、旅を共にした戦友でもある。
「うーん、多分じゃ好きとは言えないよ。でも一つ言うならナミネと出会っていなければリリカと交際していたかもね」
ラハルさんも何故思わせぶりなこと言うのだろう。
「そうね、私も分からない。ラハルを恋愛対象として好きなのか。でも、好きラハルにならFメモリイさえも許せる」
うーん、やっぱり分からない。自分を許すイコール好きとも限らないし。
ダメだ、さっきヨルクさんが持ってきた夕飯一気に平らげたからお腹痛くなってきた。私は忍び足でリリカさんとラハルさんの前を通りトイレに向かった。
部屋に戻るといきなり落ち武者さんに肩を触られた。
「回収っと」
回収?よく見るとパソコン画面にはリリカさんとラハルさんが映っている。私、知らない間に落ち武者さんにカメラ取り付けられていたのか。
「あの、トイレも見ました?」
私、かなり下しちゃった。
「流石にそこは見てないけど?アンタのプライベートだし」
いや、リリカさんとラハルさんのやり取りも十分プライベートだと思うけど。
「そうですか」
なんだか複雑な気持ちだ。しかも、ラルクもヨルクさんも画面に釘付けだ。
「ここからが、アンタの見てない場面」
いや、これ見てもいいのだろうか。見つかったら大目玉だ。それでも、私は落ち武者さんが再生する映像を見た。
映像は私がトイレに向かった後の場面だった。
『Fメモリイは許さないほうがいいよ。今のリリカはね』
リリカさん純粋だなあ。ナナミお姉様もだけど。
『ラハルは何人かと交際してるじゃない。好きじゃなかったの?』
そういえば、芸能界デビュー前後のラハルさんは彼女いたんだっけ。
『好きだったよ。最初はね。でも、駆け出しは食べていけないから芸能界は諦めろとか、デビュー後は残業一つで浮気疑われて上手くいかず別れたけどね』
こう考えると、芸能人もプライベートととの両立は大変なんだな。
『今誰とも交際しないのってナミネがいるから?』
これ、本当に見てよかったのだろうか。
『うん。最初手紙来た時はナナミと住所が同じだったから同一人物からの手紙だと思ったけど、直接会ってナミネ本人だと気付いた時には、また好きになってた。直ぐにナミネだと分かった。ナミネにヨルクがいても、もうナミネしか見れなくなってた。昔の想い出じゃなく、今として』
どうして私なのだろう。どうして短期間交際していただけの私を現世でも好きなのだろう。
『そういう割には現世で元カノ病院送りにしてるよな。ラハルって優等生ぶって裏ではDVしてるんだな』
え、カンザシさん!?戻ってきたの!?
『カンザシー!』
ミネスさんがカンザシさんに抱きつくところで映像は途切れていた。
「アンタ、モテるな」
カンザシさんが戻って来た。今の状況下で。問題にまた問題が起きる。どうしていつもこうなのだろう。
「あ、私別に自分がモテてるとか、そういうの思ったことないです」
その時、落ち武者さんが私のスカートを捲った。
「落ち武者さんやめて!ナミネは私の彼女だから!」
ヨルクさんは咄嗟に私を抱き寄せた。ヨルクさんの紅葉の香り。私の大好きな香り。
「あの、落ち武者さんとは、旅先で混浴した仲ですし、落ち武者さんのこと仲間だと思っているのでこういうの気にしません」
今更だと思う。旅先では着替えもみんな同じ場所でしてたことが多かったじゃないか。
「やっぱアンタ、男を知らないな」
男を知らない?もう十分に嫌ってほど知り尽くしたつもりだけど。
「うーん、落ち武者さんは無理矢理なことはしないです」
落ち武者さんは、ミドリお姉様を襲った人らともカンザシさんとも違う。落ち武者さんは人の嫌がることはしない。
「ねえ、落ち武者さん。エルナの前でよくそういうの言えるよね」
少しずつ思い出してきているのかもしれない。昔の妖精村学園でヨルクさんと歩いていた時、成長した(あまり今とは変わらないけど)落ち武者さんは常にエルナさんと一緒だった。
「落ち武者さんは恋多き男なのよ」
人って分からない。こんなあどけない顔した落ち武者さんが美人を口説いていたとか。ヨルクさんにもそういう面があるのだろうか。もしそうだったら、ズームさんに交際申し込んでやる。
「エルナは落ち武者さんとの交際後、浮気されて耐えきれずに過ち犯したんでしょ?」
ヨルクさんはどうして知っているのだろう。やっぱり、同学年と一つ歳下では得る情報が違うのだろうか。
「そうね。でも、落ち武者さんは幼なじみだったから直ぐに別れは切り出せなかったわね」
幼なじみ……。私もラルクやヨルクさんだったら、確かに直ぐに別れられないと思う。
「ねえ、ラルクはどう思う?このままカナエさんとアルフォンス王子が交際してもいいのかな」
カナエさんならいくらでもいる。
容姿端麗、文武両道、家事のエキスパート。
いくらでもいるじゃないか。現にカナエさんに届いている縁談書の数は物凄いそうだ。
「何故いつもラルクに聞く」
ヨルクさんって心が狭い。
「顔だけヨルク、どうでもいいだろ」
私がラルクに聞くことのどこが悪いのか未だに分からない。私はただ話を進めようとしているだけなのに。
「僕は、仕方ないと思う。いくらカナエ先輩がカラン王子と一度は恋人だったとはいえ、一度きりだ。現世で一緒になれる確率は極めて低いだろうな」
カナエさんとて一度はカラン王子と恋仲だったのに、どうしてその後は恋仲にはならなかったのだろう。人のこと言えないけど、カラン王子とカナエさんて似合っている気がする。
「そっか。仕方ないよね。アルフォンス王子選んだのカナエさんだし。でも、なんか詐欺に思えるんだよね」
女癖悪い男が、はじめて本気で好きになれる人が出来た。なんてドラマもいいところ。どう考えても恋愛を知らないカナエさんに言葉巧みに言い寄ったとしか思えない。
「アンタさ、それ言い出したらキリがないだろ。好きになったなら詐欺も何もないだろ」
そうなのだろうか。私だったらカラン王子に心を委ねていただろうから、アルフォンス王子は考えられない。そう感じる私も庶子を否定しているようで複雑である。
その時、悲鳴が聞こえた。私たちは部屋を飛出て悲鳴の方向へ向かった。
別の部屋でカンザシさんを見たセレナールさんが尻もちをついている。こうなることを予測してなかったわけではないが、いずれは再会しただろう。私たちと旅を続ける限りは。
「よくも僕を芸能界追放して、自分だけのうのうと暮らせてましたね。あなたが幸せな日常を送っている間、僕は閉鎖病棟に縛られていました。僕はあなたを絶対に許しません!」
こればかりは私もどうしていいのか分からない。イジワルは犯罪だ。けれど、間違えたがどうしても未だに引っかかって仕方ない。
「カンザシ、私が芸能界に戻す!それに私は大切なものごとに対して間違えた無防備なセレナールも悪いと思う。お武家連盟会議でカンザシ追放したけど、セレナールが間違えたことを全村の人が知ったらどうなると思う?」
うーん、被害者はセレナールさんだけど、カンザシさんも何もマモルさんに引き渡すことはなかったと思う。
「僕は100:0でカンザシが悪いと思うけどね。日頃の行いがあまりに悪すぎる。カンザシこそこれまでの悪事を世間に知られたらどうなると思うんだ?」
やはり意見は分かれる。
「いつまでも優等生ぶってムカつくんだよ!ラハル!」
カンザシさんがラハルさんを殴ろうとするのをリリカさんが止めた。
「アンタ、ラハルに指一本でも触れたら命はないと思いなさい」
うわー、推し愛もここまで来るとホラーだ。
「す、すみません。少しカッとなっただけです」
カンザシさんは数歩下がった。
「悪いけど、姉さんを世間に差し出すことはさせない」
落ち武者さん相当怒ってる。
「私はカンザシを芸能界に戻すと言っただけ。セレナールを世間どうこうは考えてない」
一時的とはいえ、ズームさんの勾玉のアザが消えている以上、カンザシさんに協力出来るのはミネスさんだけだ。
「あの、でも私がセレナールさんの立場だったら、やり切れないと思います。未遂ではなくイジワル……イヤガラセじゃないですか」
ダメだ。ミドリお姉様のことを思い出してしまった。
「おい、ナミネ、大変なことになってるぞ!」
ラルクはテレビを付けた。
『イジワルにより閉鎖病棟に入っていたニンジャ妖精のリーダーであるカンザシさんですが、それは偽りだったとのことが判明しました。カンザシさんは一般女性に薬を飲まされ起きた瞬間に叫ばれたそうです。つまりカンザシさんは完全は被害者です。ファンもカンザシさんを陥れた一般女性をかなり批難しています』
そんな……いったい誰が嘘をリークしたのだろう。分からない。けれど、大問題であることは変わりない。セレナールさんは芸能人ではなく一般人なのだから。キクリ家にマスコミが押し寄せたりしたら身動きが取れなくなる。
「どうして!どうしてなのよ!いったい誰がこんなこと!!被害者は私なのに!」
セレナールさんはその場に崩れ落ちた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
あとがき。
このタイミングでカンザシ戻ってきたか。
力不足で何も出来ない人生も辛いけど、誰かの力を借りてやりたい放題もズレていると思う。
セナとシャムへの批難。
カンザシの出戻り。
本当、トラブルは絶えません。
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この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
現在、小説に関する模倣(程度による)の一切を禁じております。
詳しくはこちらを参照→ 禁止事項
無断転載もご遠慮ください。
《ナミネ》
「アヤネさんに熱湯かけられました!」
私は他のメンバーがキクリ家のキッチンに入って来たところで叫んだ。
「ったく、アンタ本当に手段選ばないな」
咄嗟に落ち武者さんは氷の舞で私の身体を冷やし、ナヤセス殿は残りの手当をして私の火傷は跡形も残らなくなった。
そして、一部始終を見たリリカさんはアヤネさんを引っぱたいた。
「何してくれるのよ!ナミネはクレナイ家に嫁ぐ跡取りなのよ!もうあなたの顔なんて見たくないわ!メンバーから外れてちょうだい!」
言葉でアヤネさんを苛立たせたのは私。けれど、手を出したほうが負け。アヤネさんが自分で言ったことだ。
「誤解です!私はカナエさんから暴力を受け、ナミネさんから暴言を吐かれました!」
だったら人に熱湯をかけていいのだろうか?
「私は暴力ふるったカナエと暴言で追い詰めたナミネのほうが悪いと思うわ」
ラルクはセレナールさんが本気でラルクを好きならと修復を選択している。それなのにセレナールさんは何も分かっていない。かつてのカナエさんへの恨みを今晴らしたいのだろうか。
そして、リリカさんはセレナールさんも引っぱたいた。
「あなた、どこまで腐っているの?」
よほど強く叩かれたのかセレナールさんは床に叩き付けられた。
「どうしていつも私を責めるのよ!カナエの暴力は許されるの?私は違うと思う」
まだ正論を重ねるわけか。
「アヤネ、いくらナミネが色々言ったからって、こんなことでは何も解決しないし、ナミネに傷が残ったらどうしてくれるんだ」
ナヤセス殿は、ナルホお兄様より私のことを妹として可愛がってくれている。手紙のやり取りだけの期間も、ずっと私のことを心配してくれていた。
「そんな、あんまりです!被害者は私なのにどうしてみんなして私を袋叩きするのですか!」
私とて別にアヤネさんのみを悪者にしようとしたわけではない。カナエさんの事情を汲み取ろうとせずカナエさんに対し上から目線のアヤネさんを注意したまでだ。
「別に誰もアヤネが悪いとは言ってないし少なくとも私はそうは思わない。でも、手が出ればカンザシと同じになると思う」
カンザシさん。久しぶりに聞く名前だ。実の兄とは言え、少なくとも私はミネスさんと対立はしたくない。
「とりあえず、今日はキクリ食堂の夕ご飯を食べるとして、アヤネとカナエは少し僕と話そうか。後のみんなは第三居間に行くなり客間に行くなりしてくれるかな?」
ズルエヌさんは、どこかセリルさんに似ている。少し前のセリルさんも今のズルエヌさんみたいに平和的な解決を望んでいる。
「はい、私は客間で休んでます。少し疲れました」
私は立ち上がるなり客間へ向かった。
ここも随分と変わった。遠い昔は第一居間でみんなで茶菓子を食べていたっけ。キクリ家は、私の思い出の場所でもある。
私は別に悪意があってアヤネさんに刃を剥けたのではない。カナエさんが不憫だと思ったからだ。
カナエさんはアルフォンス王子の女癖の悪さを知っているようで知らない。カナエさんが知っているアルフォンス王子の女癖の悪さは、あくまで結婚後である。
私は、遠い昔セナ王女の部下だった。セナ王女は21歳にして空軍の元帥だった。そして、エースパイロットだった。そんなセナ王女はある日、17歳だった私を陸軍基地から空軍基地に呼び寄せた。17歳の私は身長もセナ王女より高く髪も伸びて何故か空軍基地のアイドル的存在というかムードメーカーだった気がする。そして、海軍基地で大将を務めていたのがアルフォンス王子だった。あの頃、アルフォンス王子はカナエさんと出会う前で、綺麗な女性軍人を見ては誘惑していた。時には女性軍人を妊娠させたこともあった。けれど、アルフォンス王子は誰も側室にはしなかった。病院代も払わず認知もせず、里帰りした女性軍人はナヤセス殿が働く紅葉病院で政府の支援とともに出産まで通っていた。
アルフォンス王子は、複数の前世で女癖が悪かった。時には妊娠させた女性軍人に薬草を盛っていたこともあったのだ。アルフォンス王子の女癖の悪さは軍法会議には問われなかった。
軍事基地から紅葉町に戻り、カラクリ家でお世話になることになった時に、アルフォンス王子はカナエさんと出会った。アルフォンス王子にとっては初恋だっただろう。カナエさんにはとにかく尽くしていた。そして、アルフォンス王子の軍事基地時代を知らないカナエさんは表面上純粋なアルフォンス王子に惹かれた。けれど、軍事基地時代を共に過した私からしてみればアルフォンス王子はセイさんと同じだ。流石は血縁者だとも思う。
もし、あの時、私が全てを話していてカラン王子との交際を勧めていたら状況は変わっていただろうか。それでも、幸せいっぱいのカナエさんに打ち明けることは出来なかった。
恐らくだけど、現世でもアルフォンス王子はカナエさんだけではない気がする。何となくだけれど、リリカさんに好意を抱いているように見えなくもない。
「ナミネ、キクリ食堂のご飯持って来たよ」
心配そうに見つめるヨルクさんから私は目を離した。
「ありがとうございます、ヨルクさん」
私はカツ丼定食を食べはじめた。
「で?アンタなんで男尽くしカナエの味方したのさ?」
落ち武者さん、エルナさん、ラルク……!今日はこのメンバーで相部屋だろうか。
私は落ち武者さんに軍事基地でのこと、アルフォンス王子の女癖の悪さを話した。別に隠すつもりはなかったけれど、もう遠い昔のことだったから、私でもそれなりに忘れていた。シャム軍医に再開するまでは。
「ふーん、でも人見下しアヤネのほうはやっと落ち着いて来てたんだぜ?手を出したほうが悪いのは当然だけど。男尽くしカナエがカランと交際しても好きになれてたかは分からないと思うけど?」
アヤネさんを再び不安定にしたのは私だ。あの時カナエさんは確かにアルフォンス王子を選んだ。セイさんと別れてアルフォンス王子と交際したのである。けれど、それかてカラン王子と出会う前の出来事である。
「うーん、そうかもしれませんが、少なくとも私だったら平和にカラン王子を選んでいたと思うんですよね」
私ならカラン王子を選んでいた。遠い昔、ラハルさんやズームさんを選んだように、私は『幸せ』を選ぶ生き物だと思う。
「アンタはそうだろうけど、男尽くしカナエは平凡アルフォンスが好きだったんだよ。その平凡アルフォンスが現世で変わり果てたから悩んでるんだろうがよ。ま、女癖の悪さは別れの原因にはなると思うけどね?」
分からない。本当に好きだったのだろうか。今となってはあやふやだ。
「分からないんですよね。軍事基地にいた時のセナ王女とシャム軍医を見ていたら、カナエさんとアルフォンス王子の関係ってなんだろうって」
私には分からない。あの時、ヨルクさんとは離れて暮らしていて、たまにヨルクさんが差し入れ持って来ていたけれど。私は少なくともあの時は、離れていても婚約者はヨルクさんだけだと思っていた。
「へえ、その頃から甘えセナら出来てたんだ。一目惚れカラルリとのことは間違いだったかもな。けど、僕は男尽くしカナエはこのまま平凡アルフォンスと一緒になっとくべきだと思うけど?カランは既にアンタを好きだろうがよ」
カラン王子がどうして私を好きになったかは分からない。私だってカラン王子のとんでもない元カノと同じなのに。
「私、トイレ行ってきます」
話がよく分からなくて私は一旦部屋を出た。
廊下を歩いているとリリカさんとラハルさんがいて私は咄嗟に自分に霧の結界をかけた。
「前々から、ナナミとは違うと思ってたわ。ナナミは恋愛出来るもの。でも私は違う。人を好きになったことなんかない。けど、ラハルなら結婚してもいいって思う」
これは告白なのだろうか。推しとしてラハルさんを好きということなのだろうか。そして、この時の私は落ち武者さんに小型カメラを取り付けられていたことを全く知らなかったのである。
「僕なら結婚してもいい。それは本当に恋愛感情なのかな?確かにナナミとリリカの応援が違うのは会って気付いたよ。でも僕は今でもナミネ忘れられない。ナミネが好きなんだよね、妹としてじゃなくて異性として」
なんか、聞いてはいけないことを聞いてしまった気がする。私もラハルさんのことは嫌いではないし、寧ろ好きなほうだ。けれど、交際していた時の好きではないけれど。
「分かってる。ナミネがいるから、芸能界の仕事減らして紅葉町でアパート借りたこと。別にナミネに嫉妬してるわけじゃない。ただ、ラハルにとってナミネの何に魅力感じたのかなあて」
この段階ではリリカさんがラハルさんを推しではなく異性として好きか分からない。ナナミお姉様の場合は小さい頃からずっとミナクさんのこと見てて、グルグル妖精デビューの瞬間にラハルさんのことめちゃくちゃ推していたけど。
「リリカには悪いけど、ナミネのことは一目惚れだった。数多くの女の中から、はじめて美しいと感じる子だった。だから、ナミネの個展で名刺交換して、その後はナミネを食事に誘いまくった。芸能界デビューも決まってたし、同棲した時にはナミネとの結婚を考えてた。でもカンザシに全て壊されて、その後適当な子と付き合って結婚したけど心は満たされなかった。僕にとってナミネは全てだった。ナミネがいたから芸能界も頑張れた」
美しい。ズームさんも似たようなこと言ってたけど、私ヨルクさんから美しいとか言われたことない。いつも、ナミネは可愛いねって、まるで妹扱いだった。でも、ヨルクさんとは確かに愛し合っていたと思う。
そして、カンザシさんが引き裂かなければ私はラハルさんと結婚していただろう。
「そう。確かに、成長したナミネはセレナールを追い越すすらいの美貌だものね。私、多分ラハルが好き。少しは考えてほしい」
これって告白なのだろうか?好きなのはそうだろうし、推しを超えてリリカさんとラハルさんは現実で友達だ。それだけでなく、旅を共にした戦友でもある。
「うーん、多分じゃ好きとは言えないよ。でも一つ言うならナミネと出会っていなければリリカと交際していたかもね」
ラハルさんも何故思わせぶりなこと言うのだろう。
「そうね、私も分からない。ラハルを恋愛対象として好きなのか。でも、好きラハルにならFメモリイさえも許せる」
うーん、やっぱり分からない。自分を許すイコール好きとも限らないし。
ダメだ、さっきヨルクさんが持ってきた夕飯一気に平らげたからお腹痛くなってきた。私は忍び足でリリカさんとラハルさんの前を通りトイレに向かった。
部屋に戻るといきなり落ち武者さんに肩を触られた。
「回収っと」
回収?よく見るとパソコン画面にはリリカさんとラハルさんが映っている。私、知らない間に落ち武者さんにカメラ取り付けられていたのか。
「あの、トイレも見ました?」
私、かなり下しちゃった。
「流石にそこは見てないけど?アンタのプライベートだし」
いや、リリカさんとラハルさんのやり取りも十分プライベートだと思うけど。
「そうですか」
なんだか複雑な気持ちだ。しかも、ラルクもヨルクさんも画面に釘付けだ。
「ここからが、アンタの見てない場面」
いや、これ見てもいいのだろうか。見つかったら大目玉だ。それでも、私は落ち武者さんが再生する映像を見た。
映像は私がトイレに向かった後の場面だった。
『Fメモリイは許さないほうがいいよ。今のリリカはね』
リリカさん純粋だなあ。ナナミお姉様もだけど。
『ラハルは何人かと交際してるじゃない。好きじゃなかったの?』
そういえば、芸能界デビュー前後のラハルさんは彼女いたんだっけ。
『好きだったよ。最初はね。でも、駆け出しは食べていけないから芸能界は諦めろとか、デビュー後は残業一つで浮気疑われて上手くいかず別れたけどね』
こう考えると、芸能人もプライベートととの両立は大変なんだな。
『今誰とも交際しないのってナミネがいるから?』
これ、本当に見てよかったのだろうか。
『うん。最初手紙来た時はナナミと住所が同じだったから同一人物からの手紙だと思ったけど、直接会ってナミネ本人だと気付いた時には、また好きになってた。直ぐにナミネだと分かった。ナミネにヨルクがいても、もうナミネしか見れなくなってた。昔の想い出じゃなく、今として』
どうして私なのだろう。どうして短期間交際していただけの私を現世でも好きなのだろう。
『そういう割には現世で元カノ病院送りにしてるよな。ラハルって優等生ぶって裏ではDVしてるんだな』
え、カンザシさん!?戻ってきたの!?
『カンザシー!』
ミネスさんがカンザシさんに抱きつくところで映像は途切れていた。
「アンタ、モテるな」
カンザシさんが戻って来た。今の状況下で。問題にまた問題が起きる。どうしていつもこうなのだろう。
「あ、私別に自分がモテてるとか、そういうの思ったことないです」
その時、落ち武者さんが私のスカートを捲った。
「落ち武者さんやめて!ナミネは私の彼女だから!」
ヨルクさんは咄嗟に私を抱き寄せた。ヨルクさんの紅葉の香り。私の大好きな香り。
「あの、落ち武者さんとは、旅先で混浴した仲ですし、落ち武者さんのこと仲間だと思っているのでこういうの気にしません」
今更だと思う。旅先では着替えもみんな同じ場所でしてたことが多かったじゃないか。
「やっぱアンタ、男を知らないな」
男を知らない?もう十分に嫌ってほど知り尽くしたつもりだけど。
「うーん、落ち武者さんは無理矢理なことはしないです」
落ち武者さんは、ミドリお姉様を襲った人らともカンザシさんとも違う。落ち武者さんは人の嫌がることはしない。
「ねえ、落ち武者さん。エルナの前でよくそういうの言えるよね」
少しずつ思い出してきているのかもしれない。昔の妖精村学園でヨルクさんと歩いていた時、成長した(あまり今とは変わらないけど)落ち武者さんは常にエルナさんと一緒だった。
「落ち武者さんは恋多き男なのよ」
人って分からない。こんなあどけない顔した落ち武者さんが美人を口説いていたとか。ヨルクさんにもそういう面があるのだろうか。もしそうだったら、ズームさんに交際申し込んでやる。
「エルナは落ち武者さんとの交際後、浮気されて耐えきれずに過ち犯したんでしょ?」
ヨルクさんはどうして知っているのだろう。やっぱり、同学年と一つ歳下では得る情報が違うのだろうか。
「そうね。でも、落ち武者さんは幼なじみだったから直ぐに別れは切り出せなかったわね」
幼なじみ……。私もラルクやヨルクさんだったら、確かに直ぐに別れられないと思う。
「ねえ、ラルクはどう思う?このままカナエさんとアルフォンス王子が交際してもいいのかな」
カナエさんならいくらでもいる。
容姿端麗、文武両道、家事のエキスパート。
いくらでもいるじゃないか。現にカナエさんに届いている縁談書の数は物凄いそうだ。
「何故いつもラルクに聞く」
ヨルクさんって心が狭い。
「顔だけヨルク、どうでもいいだろ」
私がラルクに聞くことのどこが悪いのか未だに分からない。私はただ話を進めようとしているだけなのに。
「僕は、仕方ないと思う。いくらカナエ先輩がカラン王子と一度は恋人だったとはいえ、一度きりだ。現世で一緒になれる確率は極めて低いだろうな」
カナエさんとて一度はカラン王子と恋仲だったのに、どうしてその後は恋仲にはならなかったのだろう。人のこと言えないけど、カラン王子とカナエさんて似合っている気がする。
「そっか。仕方ないよね。アルフォンス王子選んだのカナエさんだし。でも、なんか詐欺に思えるんだよね」
女癖悪い男が、はじめて本気で好きになれる人が出来た。なんてドラマもいいところ。どう考えても恋愛を知らないカナエさんに言葉巧みに言い寄ったとしか思えない。
「アンタさ、それ言い出したらキリがないだろ。好きになったなら詐欺も何もないだろ」
そうなのだろうか。私だったらカラン王子に心を委ねていただろうから、アルフォンス王子は考えられない。そう感じる私も庶子を否定しているようで複雑である。
その時、悲鳴が聞こえた。私たちは部屋を飛出て悲鳴の方向へ向かった。
別の部屋でカンザシさんを見たセレナールさんが尻もちをついている。こうなることを予測してなかったわけではないが、いずれは再会しただろう。私たちと旅を続ける限りは。
「よくも僕を芸能界追放して、自分だけのうのうと暮らせてましたね。あなたが幸せな日常を送っている間、僕は閉鎖病棟に縛られていました。僕はあなたを絶対に許しません!」
こればかりは私もどうしていいのか分からない。イジワルは犯罪だ。けれど、間違えたがどうしても未だに引っかかって仕方ない。
「カンザシ、私が芸能界に戻す!それに私は大切なものごとに対して間違えた無防備なセレナールも悪いと思う。お武家連盟会議でカンザシ追放したけど、セレナールが間違えたことを全村の人が知ったらどうなると思う?」
うーん、被害者はセレナールさんだけど、カンザシさんも何もマモルさんに引き渡すことはなかったと思う。
「僕は100:0でカンザシが悪いと思うけどね。日頃の行いがあまりに悪すぎる。カンザシこそこれまでの悪事を世間に知られたらどうなると思うんだ?」
やはり意見は分かれる。
「いつまでも優等生ぶってムカつくんだよ!ラハル!」
カンザシさんがラハルさんを殴ろうとするのをリリカさんが止めた。
「アンタ、ラハルに指一本でも触れたら命はないと思いなさい」
うわー、推し愛もここまで来るとホラーだ。
「す、すみません。少しカッとなっただけです」
カンザシさんは数歩下がった。
「悪いけど、姉さんを世間に差し出すことはさせない」
落ち武者さん相当怒ってる。
「私はカンザシを芸能界に戻すと言っただけ。セレナールを世間どうこうは考えてない」
一時的とはいえ、ズームさんの勾玉のアザが消えている以上、カンザシさんに協力出来るのはミネスさんだけだ。
「あの、でも私がセレナールさんの立場だったら、やり切れないと思います。未遂ではなくイジワル……イヤガラセじゃないですか」
ダメだ。ミドリお姉様のことを思い出してしまった。
「おい、ナミネ、大変なことになってるぞ!」
ラルクはテレビを付けた。
『イジワルにより閉鎖病棟に入っていたニンジャ妖精のリーダーであるカンザシさんですが、それは偽りだったとのことが判明しました。カンザシさんは一般女性に薬を飲まされ起きた瞬間に叫ばれたそうです。つまりカンザシさんは完全は被害者です。ファンもカンザシさんを陥れた一般女性をかなり批難しています』
そんな……いったい誰が嘘をリークしたのだろう。分からない。けれど、大問題であることは変わりない。セレナールさんは芸能人ではなく一般人なのだから。キクリ家にマスコミが押し寄せたりしたら身動きが取れなくなる。
「どうして!どうしてなのよ!いったい誰がこんなこと!!被害者は私なのに!」
セレナールさんはその場に崩れ落ちた。
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あとがき。
このタイミングでカンザシ戻ってきたか。
力不足で何も出来ない人生も辛いけど、誰かの力を借りてやりたい放題もズレていると思う。
セナとシャムへの批難。
カンザシの出戻り。
本当、トラブルは絶えません。
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