日常のこととかオリジナル小説のこととか。
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ashita
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地主(土地貸してます)
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漫画やアニメを見るのが好きです。最推しはフーディーニ ♡
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ブログ、もう書かないと思ってました。
けれど、去年から書き始めた小説によって、過去に書いてた小説も書き始め、ここに載せることにしたのです。
小説は、主に『時間と時間を繋ぐ恋の物語』と『妖精村と愉快な仲間たち』をメインに書いています。
現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。
純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。
元々このブログは病気の記録用として立ち上げたものですが、小説載せるようになってからは、ここは出来るだけ趣味的なことを綴りたいと思っております。
病気の記録や様々な思いを綴るブログは移転済みなのです。
ただ、今は日記は個人的な徒然、或いはお知らせとして綴ることが多いかと思います。
小説、ぼちぼちマイペースに書いてゆきます。
よろしくお願い致します。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
お知らせ。
イラストは現在「ナノハナ家の日常」に載せております。サイドバーにリンクあります。
また、「カラクリよろずや」にて無料のフリーイラスト素材配布もはじめました✩.*˚
フリーイラスト素材も増やしていく予定です(*'ᴗ'*)
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模倣・無断転載などは、ご遠慮ください。
ブログの小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
小説・純愛偏差値に関しましては、武家名・貴族名(程度による) / 及び、武官の階級 / 扇子・羽子板・花札・百人一首・紙飛行機などのアイテム使用方法の模倣の一切を禁じております。
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X @kigenzen1874
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現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
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が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。
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〈資格履歴〉
2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2010年02月10日
→セルフ・カウンセリング
ステップ2 合格
2011年05月28日
→セルフ・カウンセリング
指導講師資格審査 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年01月20日
→鉛筆デッサンマスター 合格
→絵画インストラクター 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
→茶道アドバイザー 合格
→お点前インストラクター 合格
2025年04月17日
→着物マイスター 合格
→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
→サイキックアドバイザー 合格
→サイキックヒーラー 合格
2025年07月01日
→アンガーカウンセラー 合格
→アンガーコントロール士 合格
2025年08月04日
→漢方コーディネーター 合格
→薬膳調整師 合格
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〈資格証明バナー〉

2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2010年02月10日
→セルフ・カウンセリング
ステップ2 合格
2011年05月28日
→セルフ・カウンセリング
指導講師資格審査 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年01月20日
→鉛筆デッサンマスター 合格
→絵画インストラクター 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
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2025年04月17日
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2025年05月19日
→サイキックアドバイザー 合格
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2025年07月01日
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〈資格証明バナー〉

純愛偏差値 未来編 一人称版 118話
《ヨルク》
灰色病院からブランケット家の車に乗って、ズルエヌさんが言っていた通り一時間半ほどで紅葉町に着いた。そして、私たちは今買い取りショップにいる。
「3000万円だね」
えっ、けれど、広告には一つ700万円からって書いてあるのに。3000万円は確かに大金だけれど、転生ローンが二億も残ってしまう。
「あの、広告には一つ700万円から買い取りと書いてあります。もう少し高く買い取ってもらえないでしょうか?」
ナミネは、カラクリ家のポストに入っていた広告を取り出した。
「こっちも商売だからねえ。一ミリ以下を700万円で買い取ることは出来ないよ。それは広告にも書いてあるけどね」
私はナミネが持ってる広告を見た。確かに書いてある。けれど、文字がかなり小さくて見逃す人が多いだろう。詐欺とまではいかなくても少し狡い気もする。こっちは、氷河期町で十分だろう原石を採取したというのに。
「ねえ、どうするラルク?」
何故いつもいつもラルクに聞く。
「落ち武者さん、どうしますか?」
ラルクも何故落ち武者さんに聞く。
「アンタ、買い取りの注意事項書いてるって言ったけど、こんな細かい文字、殆ど詐欺だと思うけど?こっちは遺書まで書かされてタダ働き同然じゃん。死にかけたヤツもいるしさ」
落ち武者さんの強気な態度はどこまで通用するのだろう。
「そう言われても書いてることには変わりないからルール違反ではないよね」
商いというものは怖いな。こういうトラブルで何軒も辞めていった店を見て来た。遠い昔だが。
「例えば、この原石なんか、加工すれば相当な値段で買い手付くと思うけど?これもこれもな。公平な値段で買い取ってもらえないなら別の店行くけど?」
そうは言っても、こんな小さな原石を加工ってやっぱり無理がある。みんな原石採取にとらわれて、原石の大きさまでは考えが及ばなかった気がする。
お店の人はしばらく考え込んだ。
「4000万円。流石にこれ以上は上げられない」
どれがどの原石かは分からないが、高く売ればそれはそれで買い手がいなくなるということだろうか。だから、買い取り値段も下がってしまう。
「はあ……。転生ローン全て返すつもりで氷河期町行ったのに、これじゃあ時間も無駄だったな。一目惚れカラルリ、アンタが決めろ」
私だったら、一部でも転生ローンを減らせるなら売ると思う。
「他のショップ行っても同じだと思うよー!今どこも不景気ださらさ」
ミネスさんが言うのなら、他のショップに行くだけの時間が無駄になるだろう。
「カラルリ、悪いけど、カナエに人生壊されかけた以上は、私はこれ以上カラルリに協力出来ない。氷河期町では必死に頑張ったし、あとは自分で何とかしてくれないかしら」
確かにセナ王女は一番活躍したと思う。けれど、元カノに言われたカラルリさんとしてはやり切れない気がする。残りの一億九千万円はどうするのだろう。
「セナさん、あれだけ私とのこと運命運命って言ってたのに、こんな突き放し方ないよね。寧ろ王女なんだからセナさんが払うべきでしょ!」
今度は責任転嫁か。分からないでもないが、契約者はカラルリさんだし、こればかりはセナ王女も今更は助けないと思う。
「悪いけど、私、レインボーカード上限があるのよ。だから、氷河期町で頑張ったじゃない」
王女も買い物は無限ではないのか。てっきり、欲しいものはどんな高級品でも手に入れているかと思っていた。
「カラルリ、とりあえず4000万円で手を打とう。後のことは後で考えるしかないと私は思う」
ミネスさんの人生には借金なんて文字はないだろう。寧ろ、カンザシさんに貢いでいるほうだしな。
「分かった……。4000万円でお願いします……」
カラルリさんは、みんなが採取した原石を4000万円で売り、書面を書いてお金を受け取った。
「ナミネ!助けて欲しい!このままでは来世も転生ローンに縛られたままだ!」
特別仲が良いわけでもないのに、どうして何かあるたびナミネに頼ろうとするのだろう。
「うーん……、これからキクリ家ですし、今は焦らなくても、これからみんなでゆっくり考えていきませんか?」
学校もはじまったし、ナミネには転生ローン返却の協力からは解放されて、のんびり過ごしてほしい。
「そんな悠長なこと言ってられない!早く残りの転生ローン返さないとロクに買い物も出来ない!今すぐ他のバイト見つけて稼いでほしい!」
何を言ってるんだ。何故、人に稼がせようとする。ヒモにでもなったつもりなのか?
「とりあえず、買い取りも終わったからキクリ家に行くよ」
ズルエヌさんは、ナミネとカラルリさんを引き離し、ショップを出た。
キクリ家に行くと、使用人に第三居間に案内された。
やはりとは思っていたが、すでにカナナさんが待機していた。
「いつまでもフラれた女にしがみつく。兄のために他人の人生を壊そうとする。あなたたち、どうしようもない馬鹿ね」
カナナさんは、ずっと変わらない。しっかり者で、いつもカラルリさんとカナエさんに厳しくしてきた。
「カナエは、今のお兄様を見ていられません!あまりにもかわいそうすぎます!」
かわいそう……なのだろうか。心変わりなんていくらでもあるし、大切にしなければ相手は去っていく。
「何がかわいそうよ!私の人生奪っておいて!」
セナ王女の場合は理不尽にも思う。あのような真似は決してしてはならぬ。ナミネが同じことをされたら、私は相手を一生恨むだろう。
「その時だけの快楽で自分も相手も壊れてしまう。どっちもどっちね。カラルリだけ責めるのはあなた自身も後悔しているからなんじゃないの?」
確かに……。カナナさんは昔から正論しか言わない。現代ゆえ、その時だけの快楽というものは怖い。
「セナはまだいいよ。どうせ、歳取ったら同じなんだし、好きな人に振り向いてもらえないより、好きな人と巡り会えた人生のようがよっぽどいいって私は思う」
ミネスさんは、どうしてヒモ同然のカンザシさんを好きなのだろう。ブランケット家に生まれた時点で男などいくらでもいるだろうに。
「今、カナコお姉様は、セリルとナクリさんのことで指示も下せないから私が言うわ。今のあなたたちに赤線町へ行くことは無理よ!」
ズバリときた。けれど、私もこんなに拗れて、それも未来を奪い合う身体的に傷つけ合うようではチームワークに乱れが生じると思う。
「僕も同意見だね。第二王室の人間は誰も赤線町から出てこないというのに、そんなところへ、こんな仲間割れした状態で行くのは効率が悪すぎる」
ズルエヌさんもカナナさんと同じか。
「本当、カナエのせいで足止めくらって迷惑だわ」
セナ王女はシャム軍医にくっつきながら、カナエさんを批判している。セナ王女とアルフォンス王子なら二人でも行けるだろうに。
「カナエの力、早く返してください!」
あの時はやむを得なかった。落ち武者さんが言うから勝算があるとは思っていたが、まさかナミネが呼び出した番人の60%とダンゴロさんの40%を合わせるとは……。
その時、カナナさんが熱いお茶をセナ王女にかけた。
「熱い!何するの!」
そう言いつつもセナ王女は咄嗟に氷の舞で自分の身体を冷やした。
「こんなどうしようもない人間でも私の弟・妹なのよ」
熱湯までかけることはないと思うが、いつもカラルリさんやカナエさんを突き放しているカナナさんが本当は二人を大切に思っていたことは伝わってくる。当たり前のことだろうけど、私とラルクはそうではないから。
けれど、セナ王女はカナナさんを押し倒し短剣を突き付けた。
「謝って。今の明らかあなたが悪いから」
確かにやり過ぎだとは思う。
「悪い?こっちはカナエの力全てなくされて、中級料理人の指導係雇わないといけないのよ!」
こんな状況でもカナナさんは命乞いをしない。
「セナ、やめな。ここで暴力沙汰起こしたら誰もセナに協力しなくなるよ」
何となく、前に比べてアルフォンス王子がまともに見える。元からこういう性格だったら馴染みやすかったかもしれない。
「セナ元帥。僕はどんなことがあってもセナ元帥を幸せにします」
シャム軍医って見たまんま、ロマンチストなんだな。
「シャム軍医……」
セナ王女はカナナさんから離れシャム軍医にもたれかかった。
「あの、これから皆さんどうしますか?私は勿論のことナノハナ家に戻りますが……」
そうだな。私もナミネのお世話をするためにナノハナ家に戻らなくては。
「私もナノハナ家に行くわ!」
何故だ。てっきり、別荘に戻るかと思っていた。
「カナエもナノハナ家に行きます!」
正直、今は二人は離れたほうがいい気がする。同じ空間にいると、また問題が起きそうで怖い。
「僕はマンションに戻るよ。持ち物も整理したいし」
そういえば、ズルエヌさんは、こっちに来てからはナヤセスさんと同じマンションで暮らしていたっけ。
「僕も一度アパートに戻るけど、ナノハナ家も下宿してるんだっけ?」
ラハルさんも、やはりナミネと一緒にいたくて下宿を希望しているのだろうか。
「あ、はい。一階も三階もまだまだ空いています」
武家の仕事がなくなったわけではない。けれど、あまりの不景気ゆえ、お武家連盟会議で下宿での存続が決まったのだ。
「ナミネ、三階は殆ど埋まってるよ。セナ王女たちも四人の相部屋になってもらうことになると思う」
私たちが氷河期町のバイトをしているうちにもうそんなに埋まったのか。
「分かったわ。ユメさん、クラフと相部屋する」
ナノハナ家に来ているのか。
「あ、私の部屋も何人か使ってください」
ナミネ……ただでさえ、落ち武者さんとエルナがいるというのに。
「じゃあ、僕はナミネの部屋にするよ」
今日のラハルさんはグイグイ来るな。
「私もナミネの部屋!」
リリカお姉様、クレナイ家に戻らないのか。最近は、リリカお姉様がラハルさんに対して推しと言うより本当に恋愛感情を抱いているように思えてきた。
「ナナミお姉様は、ミナクさん、アルフォンス王子、カナエを頼めるかな?」
そのメンバーなら諍いも起きないだろう。
「分かったわ」
ナルホさんの部屋には、ズームさん、ミネスさん、ミネルナさんが相部屋することになり、客間にセレナールさん、ラルク、アヤネさん、カラン王子が相部屋になることとなった。
「カラルリは、僕のマンションで泊まろうか」
無難なのだろうか。分からないけど、一方通行な想いで同じ空間にいるよりマシかもしれない。
「セナさん、思い通りにはさせないよ。必ず振り向かせるよ」
セナ王女は心はとっくにシャム軍医に向いてしまっているのに、どうしてこうも諦めが悪いのだろう。私とて、ナミネと一緒になれなかった時は、辛くて仕方なかったけれど、答えが決まっている物事を追いかけてはいけないと思う。
セナ王女は何も言わない。
「とにかく、チームワークが取れない状況の間は旅はさせないわ」
カナナさんの意見も固い。そもそも、セナ王女とカナエさんが仲直り出来るとも思えないのだが。赤線町に行ける日は来るのだろうか。
「じゃ、甘えセナと男尽くしカナエが仲直りするまでは旅はしない」
落ち武者さんも何かあった時に責任は取れないと判断したのだろう。
「あ、私今日はここに泊まります」
ナミネ、ずっと慣れない環境にいたから疲れてしまったのだろうか。
「三階は下宿の学生たちで半分ほど埋まっているから一階の客間使ってちょうだい」
やはり、どこの武家も今は下宿ブームか。
「ナミネ、頼む!次のバイト探して協力してほしい!」
こんな時までカラルリさんはナミネを縛り付けるのか。
「一目惚れカラルリ。アンタのことも考えてる。だから、強気なナミネのことは休ませてやれ!後、僕も今日はここに泊まるから」
落ち武者さんも泊まるのか。このようだと、みんなキクリ家に泊まりそうだな。
「セナさんは泊まらないでください!迷惑です!」
やはり言い争いは止まらない。
「言われなくったって別荘に戻るわ」
セナ王女とシャム軍医はそうしたほうがいい。
「晩飯は誰が作るわけ?」
今日くらいは、使用人に頼ってもいいと思うが。
「カナエはセナさんとシャム軍医の食事は作りません!」
カナエさんが作るのか。私も手伝うべきだろうか。
「本当に最低ね。私、もう行くわ」
セナ王女はシャム軍医の手を取り部屋を出て行った。
こんな状態で、また元のチームワークを組むことが出来るのだろうか。
「カナエさん、私も夕ご飯作り手伝います」
とりあえず、カナエさんを手伝おう。
「私も手伝います」
アヤネさん、アヤナさんとのわだかまりが解けてから、前より明るくなった気がする。
「ナミネ、行ってくるね」
「はい」
ナミネは相変わらず私には最低限の相づちしか打たない。
カナエさんは、しばらくはキクリ食堂には入らないそうだ。
「ナミネさんは、ラルクさんとセルファさんとコンビニに行きましたよ」
ズームさん。どうして私には何も言わず出かけたのだろう。身体も疲れているだろうし。
「そうですか」
「カラルリさんが、今夜バイトで稼ごうとしつこいのですよ」
そういうことか。夜間バイトをしたとしても転生ローンを返せるほどの稼ぎにはならないだろうに。
「あ、そうでしたね。こういう時に限ってナミネは頼られますので」
ラルクや落ち武者さんには言わないのに。
「原石買取も少々残念でしたね。私もレインボーカードは親に制限かけられてるんですよね」
アヤネさんもなのか。貴族や王族なら億単位で使えるものかと思っていたが、親も親で子を考えているということだろうか。
「お金を貸すのはやめたほうがいいかもしれませんね。後々トラブルになりかねませんし」
いくら仲が良くても、みんなお金で暮らしているわけだから、お金を貸すということは自分の暮らしを他者とシェアすると言っても過言ではない。
「そうですよね。私たちまだ学生ですし簡単にお金を貸すなんて出来ないですよね」
簡単に貸せる身分ではない。大人だったとしても家庭守るために他者にどれだけ協力出来るか分からない。案外今だけなのかもしれない。氷河期町に行って原石採取とか出来るのは。
「カナエは分かりません。アルフォンス王子様のことをどう思っているのか。もしカラン王子様を選んでいれば愛されていたかと思うとカナエはやり切れないのです」
この辺のことはナミネが詳しいだろう。私はあまり覚えていない。そしてこの時の私は知らなかった。軍事基地時代にアルフォンス王子が女癖が悪かったということを。
「カナエさん、私はまだまだこれからだと思います。今すぐ結婚するわけでもありませんし、ゆっくり考えませんか?」
その瞬間、作りはじめていた料理は全てグチャグチャになってしまった。そして、カナエさんはアヤネさんに扇子を突き付けた。
「アヤネ!どこまでカナエを馬鹿にすれば気が済むのですか!アヤネこそズームさんに相手にされず適当な貴族と結婚する未来が用意されていて惨めだと思います!」
カナエさんがここまで怒ったことはない。小さい頃から、いつも優しいカナエさんだったのに。どこで歯車が狂ってしまったのだろう。
「私は誰とも結婚するつもりはありません。一生お姉様の傍にいます」
そうか。アヤネさんはもう、自分が独りだとか惨めだとか考える必要はなくなったんだ。けれど、カナエさんはアヤネさんの返しにヒートアップし、アヤネさんの肩を扇子で叩いた。
「はい、ストップ!男尽くしカナエ、アンタ何やってんのさ!」
落ち武者さん帰ってきたのか。
「ナミネ、どうしてひと言も言わずに外出たの。心配したんだよ」
そもそも、三人で何を話していたのだろう。
「気分転換したかっただけです。私、今のアヤネさんが悪いと思うんですよね。自分が辛い時は散々責任転嫁して、ゆとりを得た瞬間、自分の価値観押し付けて相手の辛さを知ろうともしない。私、そういうのって人を傷付けるだけだと思うんです」
ナミネの言っていることは分からなくもないが、今のカナエさんは前のカナエさんではない。何に悩んでいるのかも分からない。表面上は恋愛関係だと言っていて、そうかもしれないが、私は少し引っかかる。それに、人はやはり心のゆとりで相手への接し方が変わるものである。
「ナミネさんがそう思いたければ、そうなんじゃないですか?私は別に何を思われても言われても構いません。けれど、暴力をふるったほうが負けではないでしょうか」
随分と強気になったな。前のアヤネさんでは考えられない。
「そういう言い方するから孤立するんじゃないんですか?親兄弟だけの愛情のみで人は生きているわけではありません。幼なじみや友達、クラスメイト、先生。色んな人と上手く折り合って信頼関係を得ながら人は生きていくのだと私は思います。一つを得たからって、そんなの一時的な生き甲斐でしかありません。どの道、人は人と関わりながらも孤独を抱え、その中で様々なことを選んでいく必要があります。今のアヤネさんはアヤナさんに甘えてるだけです」
ナミネは昔から頑固だ。全く人の意見を聞かないわけではないが、己の正論を相手に突き付けやすい。
「そうですか。それがどうかしましたか?」
アヤネさんも、ナミネの反論に苛立ちはじめただろうか。さっきより空気が悪くなっている。
「アヤナさん、余命半年らしいですよ」
本当なのか?はじめて聞いたけど、ナミネは誰から聞いたのだろう。
「そんな、まさか!やっと分かり合えたお姉様が……!」
「ほら、アヤナさんに甘えてるのは事実じゃないですか!アヤネさんはホラ吹きです!」
本気で怒った時のナミネは怖いなんてものではない。とことん人を突き落とす。それでも私は私の知る一番古い前世にて、小さいナミネを見た瞬間、ナミネと生涯を共にしたいと思った。
「よくも騙しましたね!ホラ吹きはナミネさんじゃないですか!」
ナミネはクスリと笑った。その瞬間、アヤネさんはナミネに熱湯をかけた。
「ナミネ!」
「ちょっと、あなたたち何してるの!?」
「ナミネ!何があったの?」
「ナミネ、大丈夫!?」
「何、この状態!?」
みんなキクリ家のキッチンに集まって来た。
「アヤネさんに熱湯かけられました!!」
ナミネは叫んだ。
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あとがき。
ちょっとまたイラスト優先で小説の進み遅くなってました。
時間経てば人間関係も変わってきます。
それは抗えないと私は思うのです。
せっかく、アヤナと和解し自信を持てたところだったのに、アヤネはまた悪者にされやすくなってしまうのでしょうか?
ヨルクの誕生日カウントダウン!
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この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
現在、小説に関する模倣(程度による)の一切を禁じております。
詳しくはこちらを参照→ 禁止事項
無断転載もご遠慮ください。
《ヨルク》
灰色病院からブランケット家の車に乗って、ズルエヌさんが言っていた通り一時間半ほどで紅葉町に着いた。そして、私たちは今買い取りショップにいる。
「3000万円だね」
えっ、けれど、広告には一つ700万円からって書いてあるのに。3000万円は確かに大金だけれど、転生ローンが二億も残ってしまう。
「あの、広告には一つ700万円から買い取りと書いてあります。もう少し高く買い取ってもらえないでしょうか?」
ナミネは、カラクリ家のポストに入っていた広告を取り出した。
「こっちも商売だからねえ。一ミリ以下を700万円で買い取ることは出来ないよ。それは広告にも書いてあるけどね」
私はナミネが持ってる広告を見た。確かに書いてある。けれど、文字がかなり小さくて見逃す人が多いだろう。詐欺とまではいかなくても少し狡い気もする。こっちは、氷河期町で十分だろう原石を採取したというのに。
「ねえ、どうするラルク?」
何故いつもいつもラルクに聞く。
「落ち武者さん、どうしますか?」
ラルクも何故落ち武者さんに聞く。
「アンタ、買い取りの注意事項書いてるって言ったけど、こんな細かい文字、殆ど詐欺だと思うけど?こっちは遺書まで書かされてタダ働き同然じゃん。死にかけたヤツもいるしさ」
落ち武者さんの強気な態度はどこまで通用するのだろう。
「そう言われても書いてることには変わりないからルール違反ではないよね」
商いというものは怖いな。こういうトラブルで何軒も辞めていった店を見て来た。遠い昔だが。
「例えば、この原石なんか、加工すれば相当な値段で買い手付くと思うけど?これもこれもな。公平な値段で買い取ってもらえないなら別の店行くけど?」
そうは言っても、こんな小さな原石を加工ってやっぱり無理がある。みんな原石採取にとらわれて、原石の大きさまでは考えが及ばなかった気がする。
お店の人はしばらく考え込んだ。
「4000万円。流石にこれ以上は上げられない」
どれがどの原石かは分からないが、高く売ればそれはそれで買い手がいなくなるということだろうか。だから、買い取り値段も下がってしまう。
「はあ……。転生ローン全て返すつもりで氷河期町行ったのに、これじゃあ時間も無駄だったな。一目惚れカラルリ、アンタが決めろ」
私だったら、一部でも転生ローンを減らせるなら売ると思う。
「他のショップ行っても同じだと思うよー!今どこも不景気ださらさ」
ミネスさんが言うのなら、他のショップに行くだけの時間が無駄になるだろう。
「カラルリ、悪いけど、カナエに人生壊されかけた以上は、私はこれ以上カラルリに協力出来ない。氷河期町では必死に頑張ったし、あとは自分で何とかしてくれないかしら」
確かにセナ王女は一番活躍したと思う。けれど、元カノに言われたカラルリさんとしてはやり切れない気がする。残りの一億九千万円はどうするのだろう。
「セナさん、あれだけ私とのこと運命運命って言ってたのに、こんな突き放し方ないよね。寧ろ王女なんだからセナさんが払うべきでしょ!」
今度は責任転嫁か。分からないでもないが、契約者はカラルリさんだし、こればかりはセナ王女も今更は助けないと思う。
「悪いけど、私、レインボーカード上限があるのよ。だから、氷河期町で頑張ったじゃない」
王女も買い物は無限ではないのか。てっきり、欲しいものはどんな高級品でも手に入れているかと思っていた。
「カラルリ、とりあえず4000万円で手を打とう。後のことは後で考えるしかないと私は思う」
ミネスさんの人生には借金なんて文字はないだろう。寧ろ、カンザシさんに貢いでいるほうだしな。
「分かった……。4000万円でお願いします……」
カラルリさんは、みんなが採取した原石を4000万円で売り、書面を書いてお金を受け取った。
「ナミネ!助けて欲しい!このままでは来世も転生ローンに縛られたままだ!」
特別仲が良いわけでもないのに、どうして何かあるたびナミネに頼ろうとするのだろう。
「うーん……、これからキクリ家ですし、今は焦らなくても、これからみんなでゆっくり考えていきませんか?」
学校もはじまったし、ナミネには転生ローン返却の協力からは解放されて、のんびり過ごしてほしい。
「そんな悠長なこと言ってられない!早く残りの転生ローン返さないとロクに買い物も出来ない!今すぐ他のバイト見つけて稼いでほしい!」
何を言ってるんだ。何故、人に稼がせようとする。ヒモにでもなったつもりなのか?
「とりあえず、買い取りも終わったからキクリ家に行くよ」
ズルエヌさんは、ナミネとカラルリさんを引き離し、ショップを出た。
キクリ家に行くと、使用人に第三居間に案内された。
やはりとは思っていたが、すでにカナナさんが待機していた。
「いつまでもフラれた女にしがみつく。兄のために他人の人生を壊そうとする。あなたたち、どうしようもない馬鹿ね」
カナナさんは、ずっと変わらない。しっかり者で、いつもカラルリさんとカナエさんに厳しくしてきた。
「カナエは、今のお兄様を見ていられません!あまりにもかわいそうすぎます!」
かわいそう……なのだろうか。心変わりなんていくらでもあるし、大切にしなければ相手は去っていく。
「何がかわいそうよ!私の人生奪っておいて!」
セナ王女の場合は理不尽にも思う。あのような真似は決してしてはならぬ。ナミネが同じことをされたら、私は相手を一生恨むだろう。
「その時だけの快楽で自分も相手も壊れてしまう。どっちもどっちね。カラルリだけ責めるのはあなた自身も後悔しているからなんじゃないの?」
確かに……。カナナさんは昔から正論しか言わない。現代ゆえ、その時だけの快楽というものは怖い。
「セナはまだいいよ。どうせ、歳取ったら同じなんだし、好きな人に振り向いてもらえないより、好きな人と巡り会えた人生のようがよっぽどいいって私は思う」
ミネスさんは、どうしてヒモ同然のカンザシさんを好きなのだろう。ブランケット家に生まれた時点で男などいくらでもいるだろうに。
「今、カナコお姉様は、セリルとナクリさんのことで指示も下せないから私が言うわ。今のあなたたちに赤線町へ行くことは無理よ!」
ズバリときた。けれど、私もこんなに拗れて、それも未来を奪い合う身体的に傷つけ合うようではチームワークに乱れが生じると思う。
「僕も同意見だね。第二王室の人間は誰も赤線町から出てこないというのに、そんなところへ、こんな仲間割れした状態で行くのは効率が悪すぎる」
ズルエヌさんもカナナさんと同じか。
「本当、カナエのせいで足止めくらって迷惑だわ」
セナ王女はシャム軍医にくっつきながら、カナエさんを批判している。セナ王女とアルフォンス王子なら二人でも行けるだろうに。
「カナエの力、早く返してください!」
あの時はやむを得なかった。落ち武者さんが言うから勝算があるとは思っていたが、まさかナミネが呼び出した番人の60%とダンゴロさんの40%を合わせるとは……。
その時、カナナさんが熱いお茶をセナ王女にかけた。
「熱い!何するの!」
そう言いつつもセナ王女は咄嗟に氷の舞で自分の身体を冷やした。
「こんなどうしようもない人間でも私の弟・妹なのよ」
熱湯までかけることはないと思うが、いつもカラルリさんやカナエさんを突き放しているカナナさんが本当は二人を大切に思っていたことは伝わってくる。当たり前のことだろうけど、私とラルクはそうではないから。
けれど、セナ王女はカナナさんを押し倒し短剣を突き付けた。
「謝って。今の明らかあなたが悪いから」
確かにやり過ぎだとは思う。
「悪い?こっちはカナエの力全てなくされて、中級料理人の指導係雇わないといけないのよ!」
こんな状況でもカナナさんは命乞いをしない。
「セナ、やめな。ここで暴力沙汰起こしたら誰もセナに協力しなくなるよ」
何となく、前に比べてアルフォンス王子がまともに見える。元からこういう性格だったら馴染みやすかったかもしれない。
「セナ元帥。僕はどんなことがあってもセナ元帥を幸せにします」
シャム軍医って見たまんま、ロマンチストなんだな。
「シャム軍医……」
セナ王女はカナナさんから離れシャム軍医にもたれかかった。
「あの、これから皆さんどうしますか?私は勿論のことナノハナ家に戻りますが……」
そうだな。私もナミネのお世話をするためにナノハナ家に戻らなくては。
「私もナノハナ家に行くわ!」
何故だ。てっきり、別荘に戻るかと思っていた。
「カナエもナノハナ家に行きます!」
正直、今は二人は離れたほうがいい気がする。同じ空間にいると、また問題が起きそうで怖い。
「僕はマンションに戻るよ。持ち物も整理したいし」
そういえば、ズルエヌさんは、こっちに来てからはナヤセスさんと同じマンションで暮らしていたっけ。
「僕も一度アパートに戻るけど、ナノハナ家も下宿してるんだっけ?」
ラハルさんも、やはりナミネと一緒にいたくて下宿を希望しているのだろうか。
「あ、はい。一階も三階もまだまだ空いています」
武家の仕事がなくなったわけではない。けれど、あまりの不景気ゆえ、お武家連盟会議で下宿での存続が決まったのだ。
「ナミネ、三階は殆ど埋まってるよ。セナ王女たちも四人の相部屋になってもらうことになると思う」
私たちが氷河期町のバイトをしているうちにもうそんなに埋まったのか。
「分かったわ。ユメさん、クラフと相部屋する」
ナノハナ家に来ているのか。
「あ、私の部屋も何人か使ってください」
ナミネ……ただでさえ、落ち武者さんとエルナがいるというのに。
「じゃあ、僕はナミネの部屋にするよ」
今日のラハルさんはグイグイ来るな。
「私もナミネの部屋!」
リリカお姉様、クレナイ家に戻らないのか。最近は、リリカお姉様がラハルさんに対して推しと言うより本当に恋愛感情を抱いているように思えてきた。
「ナナミお姉様は、ミナクさん、アルフォンス王子、カナエを頼めるかな?」
そのメンバーなら諍いも起きないだろう。
「分かったわ」
ナルホさんの部屋には、ズームさん、ミネスさん、ミネルナさんが相部屋することになり、客間にセレナールさん、ラルク、アヤネさん、カラン王子が相部屋になることとなった。
「カラルリは、僕のマンションで泊まろうか」
無難なのだろうか。分からないけど、一方通行な想いで同じ空間にいるよりマシかもしれない。
「セナさん、思い通りにはさせないよ。必ず振り向かせるよ」
セナ王女は心はとっくにシャム軍医に向いてしまっているのに、どうしてこうも諦めが悪いのだろう。私とて、ナミネと一緒になれなかった時は、辛くて仕方なかったけれど、答えが決まっている物事を追いかけてはいけないと思う。
セナ王女は何も言わない。
「とにかく、チームワークが取れない状況の間は旅はさせないわ」
カナナさんの意見も固い。そもそも、セナ王女とカナエさんが仲直り出来るとも思えないのだが。赤線町に行ける日は来るのだろうか。
「じゃ、甘えセナと男尽くしカナエが仲直りするまでは旅はしない」
落ち武者さんも何かあった時に責任は取れないと判断したのだろう。
「あ、私今日はここに泊まります」
ナミネ、ずっと慣れない環境にいたから疲れてしまったのだろうか。
「三階は下宿の学生たちで半分ほど埋まっているから一階の客間使ってちょうだい」
やはり、どこの武家も今は下宿ブームか。
「ナミネ、頼む!次のバイト探して協力してほしい!」
こんな時までカラルリさんはナミネを縛り付けるのか。
「一目惚れカラルリ。アンタのことも考えてる。だから、強気なナミネのことは休ませてやれ!後、僕も今日はここに泊まるから」
落ち武者さんも泊まるのか。このようだと、みんなキクリ家に泊まりそうだな。
「セナさんは泊まらないでください!迷惑です!」
やはり言い争いは止まらない。
「言われなくったって別荘に戻るわ」
セナ王女とシャム軍医はそうしたほうがいい。
「晩飯は誰が作るわけ?」
今日くらいは、使用人に頼ってもいいと思うが。
「カナエはセナさんとシャム軍医の食事は作りません!」
カナエさんが作るのか。私も手伝うべきだろうか。
「本当に最低ね。私、もう行くわ」
セナ王女はシャム軍医の手を取り部屋を出て行った。
こんな状態で、また元のチームワークを組むことが出来るのだろうか。
「カナエさん、私も夕ご飯作り手伝います」
とりあえず、カナエさんを手伝おう。
「私も手伝います」
アヤネさん、アヤナさんとのわだかまりが解けてから、前より明るくなった気がする。
「ナミネ、行ってくるね」
「はい」
ナミネは相変わらず私には最低限の相づちしか打たない。
カナエさんは、しばらくはキクリ食堂には入らないそうだ。
「ナミネさんは、ラルクさんとセルファさんとコンビニに行きましたよ」
ズームさん。どうして私には何も言わず出かけたのだろう。身体も疲れているだろうし。
「そうですか」
「カラルリさんが、今夜バイトで稼ごうとしつこいのですよ」
そういうことか。夜間バイトをしたとしても転生ローンを返せるほどの稼ぎにはならないだろうに。
「あ、そうでしたね。こういう時に限ってナミネは頼られますので」
ラルクや落ち武者さんには言わないのに。
「原石買取も少々残念でしたね。私もレインボーカードは親に制限かけられてるんですよね」
アヤネさんもなのか。貴族や王族なら億単位で使えるものかと思っていたが、親も親で子を考えているということだろうか。
「お金を貸すのはやめたほうがいいかもしれませんね。後々トラブルになりかねませんし」
いくら仲が良くても、みんなお金で暮らしているわけだから、お金を貸すということは自分の暮らしを他者とシェアすると言っても過言ではない。
「そうですよね。私たちまだ学生ですし簡単にお金を貸すなんて出来ないですよね」
簡単に貸せる身分ではない。大人だったとしても家庭守るために他者にどれだけ協力出来るか分からない。案外今だけなのかもしれない。氷河期町に行って原石採取とか出来るのは。
「カナエは分かりません。アルフォンス王子様のことをどう思っているのか。もしカラン王子様を選んでいれば愛されていたかと思うとカナエはやり切れないのです」
この辺のことはナミネが詳しいだろう。私はあまり覚えていない。そしてこの時の私は知らなかった。軍事基地時代にアルフォンス王子が女癖が悪かったということを。
「カナエさん、私はまだまだこれからだと思います。今すぐ結婚するわけでもありませんし、ゆっくり考えませんか?」
その瞬間、作りはじめていた料理は全てグチャグチャになってしまった。そして、カナエさんはアヤネさんに扇子を突き付けた。
「アヤネ!どこまでカナエを馬鹿にすれば気が済むのですか!アヤネこそズームさんに相手にされず適当な貴族と結婚する未来が用意されていて惨めだと思います!」
カナエさんがここまで怒ったことはない。小さい頃から、いつも優しいカナエさんだったのに。どこで歯車が狂ってしまったのだろう。
「私は誰とも結婚するつもりはありません。一生お姉様の傍にいます」
そうか。アヤネさんはもう、自分が独りだとか惨めだとか考える必要はなくなったんだ。けれど、カナエさんはアヤネさんの返しにヒートアップし、アヤネさんの肩を扇子で叩いた。
「はい、ストップ!男尽くしカナエ、アンタ何やってんのさ!」
落ち武者さん帰ってきたのか。
「ナミネ、どうしてひと言も言わずに外出たの。心配したんだよ」
そもそも、三人で何を話していたのだろう。
「気分転換したかっただけです。私、今のアヤネさんが悪いと思うんですよね。自分が辛い時は散々責任転嫁して、ゆとりを得た瞬間、自分の価値観押し付けて相手の辛さを知ろうともしない。私、そういうのって人を傷付けるだけだと思うんです」
ナミネの言っていることは分からなくもないが、今のカナエさんは前のカナエさんではない。何に悩んでいるのかも分からない。表面上は恋愛関係だと言っていて、そうかもしれないが、私は少し引っかかる。それに、人はやはり心のゆとりで相手への接し方が変わるものである。
「ナミネさんがそう思いたければ、そうなんじゃないですか?私は別に何を思われても言われても構いません。けれど、暴力をふるったほうが負けではないでしょうか」
随分と強気になったな。前のアヤネさんでは考えられない。
「そういう言い方するから孤立するんじゃないんですか?親兄弟だけの愛情のみで人は生きているわけではありません。幼なじみや友達、クラスメイト、先生。色んな人と上手く折り合って信頼関係を得ながら人は生きていくのだと私は思います。一つを得たからって、そんなの一時的な生き甲斐でしかありません。どの道、人は人と関わりながらも孤独を抱え、その中で様々なことを選んでいく必要があります。今のアヤネさんはアヤナさんに甘えてるだけです」
ナミネは昔から頑固だ。全く人の意見を聞かないわけではないが、己の正論を相手に突き付けやすい。
「そうですか。それがどうかしましたか?」
アヤネさんも、ナミネの反論に苛立ちはじめただろうか。さっきより空気が悪くなっている。
「アヤナさん、余命半年らしいですよ」
本当なのか?はじめて聞いたけど、ナミネは誰から聞いたのだろう。
「そんな、まさか!やっと分かり合えたお姉様が……!」
「ほら、アヤナさんに甘えてるのは事実じゃないですか!アヤネさんはホラ吹きです!」
本気で怒った時のナミネは怖いなんてものではない。とことん人を突き落とす。それでも私は私の知る一番古い前世にて、小さいナミネを見た瞬間、ナミネと生涯を共にしたいと思った。
「よくも騙しましたね!ホラ吹きはナミネさんじゃないですか!」
ナミネはクスリと笑った。その瞬間、アヤネさんはナミネに熱湯をかけた。
「ナミネ!」
「ちょっと、あなたたち何してるの!?」
「ナミネ!何があったの?」
「ナミネ、大丈夫!?」
「何、この状態!?」
みんなキクリ家のキッチンに集まって来た。
「アヤネさんに熱湯かけられました!!」
ナミネは叫んだ。
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あとがき。
ちょっとまたイラスト優先で小説の進み遅くなってました。
時間経てば人間関係も変わってきます。
それは抗えないと私は思うのです。
せっかく、アヤナと和解し自信を持てたところだったのに、アヤネはまた悪者にされやすくなってしまうのでしょうか?
ヨルクの誕生日カウントダウン!
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