忍者ブログ
日常のこととかオリジナル小説のこととか。
カレンダー
01 2026/02 03
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
プロフィール
HN:
ashita
Webサイト:
性別:
女性
職業:
地主(土地貸してます)
趣味:
漫画やアニメを見るのが好きです。最推しはフーディーニ ♡
自己紹介:
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

ブログ、もう書かないと思ってました。

けれど、去年から書き始めた小説によって、過去に書いてた小説も書き始め、ここに載せることにしたのです。

小説は、主に『時間と時間を繋ぐ恋の物語』と『妖精村と愉快な仲間たち』をメインに書いています。
現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。

純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。

元々このブログは病気の記録用として立ち上げたものですが、小説載せるようになってからは、ここは出来るだけ趣味的なことを綴りたいと思っております。
病気の記録や様々な思いを綴るブログは移転済みなのです。

ただ、今は日記は個人的な徒然、或いはお知らせとして綴ることが多いかと思います。

小説、ぼちぼちマイペースに書いてゆきます。

よろしくお願い致します。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

お知らせ。

イラストは現在「ナノハナ家の日常」に載せております。サイドバーにリンクあります。

また、「カラクリよろずや」にて無料のフリーイラスト素材配布もはじめました✩.*˚

フリーイラスト素材も増やしていく予定です(*'ᴗ'*)

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

模倣・無断転載などは、ご遠慮ください。

ブログの小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。

小説・純愛偏差値に関しましては、武家名・貴族名(程度による) / 及び、武官の階級 / 扇子・羽子板・花札・百人一首・紙飛行機などのアイテム使用方法の模倣の一切を禁じております。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

X @kigenzen1874

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
ブログ内検索
QRコード
フリーエリア
〈資格履歴〉

2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2010年02月10日
→セルフ・カウンセリング
ステップ2 合格
2011年05月28日
→セルフ・カウンセリング
指導講師資格審査 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年01月20日
→鉛筆デッサンマスター 合格
→絵画インストラクター 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
→茶道アドバイザー 合格
→お点前インストラクター 合格
2025年04月17日
→着物マイスター 合格
→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
→サイキックアドバイザー 合格
→サイキックヒーラー 合格
2025年07月01日
→アンガーカウンセラー 合格
→アンガーコントロール士 合格
2025年08月04日
→漢方コーディネーター 合格
→薬膳調整師 合格

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
〈資格証明バナー〉

鉛筆デッサンマスター®認定試験資格取得証明
絵画インストラクター資格資格認定証
宝石鑑定アドバイザー資格認定試験資格取得証明
鉱石セラピスト資格資格保持証明
茶道アドバイザー資格認定試験資格取得証明
お点前インストラクター資格資格認定証
着物マイスター®資格認定試験資格取得証明
着付け方インストラクター資格資格認定証
サイキックアドバイザー®資格資格証明
サイキックヒーラー資格資格保持証明
アンガーカウンセラー®資格資格保持証明
アンガーコントロール士資格資格認定証
漢方コーディネーター®資格認定試験資格保持証明
薬膳調整師®資格認定試験資格保持証明
[347] [346] [345] [344] [343] [342] [339] [338] [337] [336] [335
純愛偏差値 未来編 一人称版 130話

《ナミネ》

落ち武者さんの話していたカフェは、最近出来たばかりなのか、とても混んでいた。ここ、前は空き店舗だった気がする。その前は、確か呉服店。時代も変わってゆくもんなんだなあ。
何気にズームさんから貰った花柄の傘、可愛くて貰うことになってしまった。花は見たことないもので、デザインチームが手がけたらしい。
けれど、どう見ても満席だ。待っている人もいるし、ここは諦めた方が良さそう。
「ここ、1時間は待つでしょうし、他に行きませんか?」
カナエさんは早速、skyグループ試作のパーカーを着て身を隠した。そして、偶然なのか必然なのかセナ王女たちが入って来た。私たちは咄嗟にフード付きのパーカーを着た。が、ヨルクさんがポカンとしている。私は咄嗟にヨルクさんをパーカーに入れた。久々に感じるヨルクさんの温もり。飛ばされる前は当たり前だった。だからこそ、当たり前でないことに今実感をする。
「5人でお願い」
うわー、セナ王女、王室育ちなだけに『待つ』ということを知らない。
「ご予約のお客様でしょうか?」
そりゃそうなるわな。1時間待ちだろう一般人もかなりいる。特別扱いは狡い。
「してないわ」
セナ王女たちは、あくまで待たない気なのだろうか。
「でしたら、順番待ちしてもらえますでしょうか? 今からだとだいたい2時間待ちとなります」
2時間待ち!? というか、よく見たら待ち椅子超えて店舗の外で並んで待っている客がズラーっといる! ここで、セナ王女たちが諦めてくれれば私たちもスムーズなのだけれど。ナノハナ家では、かなり話し込んでいたから丁度お昼時で私のお腹もペコペコだ。
その時、ヨルクさんが私から離れようとした。
「ヨルクさん! 離れないでください!」
私は咄嗟にヨルクさんを抱き寄せた。ここで見つかってしまえば元も子もない。
「おい、そこイチャつくな」
そうは言っても見つかってしまえば本末転倒ではないか。
「第六王女よ。ここで待たせるなら、お父様に言いつけて、あなたをクビにしちゃおうかしら」
セナ王女……強引過ぎる。けれど、王女とはいえ、他の人はみんな順番待ちしているわけだし、ここは公平に……
「セ、セナ王女でしたか。失礼しました。直ぐに席を空けますので少々お待ちください」
えええええ! 流石にこんなやり方……!
咄嗟に私がパーカーから抜けようとした時、ラルクに手をつかまれた。
「ナミネ、落ち着け! 今ナミネが行けば、それこそ本末転倒だ!」
はあ……。これが縦社会とでも言うのだろうか。いや、権力者の特権か。
「分かったよ、ラルク。でも、空いたテーブルあるのに、わざわざ食べかけの人を追い出すだなんて、なんかいやだよ」
こんなの間違っている。けれど、世の中間違っていることで溢れ返っている。
「どうして俺らが退かなきゃいけないんだよ! みんな順番待ちしてるだろうが!」
まだ交際して間もないアベックだろうか。本当に見ていられないくらいに苛立たしい。けれど、弱い立場の私は何も出来ない。
「申し訳ありませんが、第五王子と第六王女が来ていますので他のカフェに移るか、再度順番待ちしてください。食べかけのものはパックに詰めますので王室の方にご迷惑のないよう席をお立ちください」
めちゃくちゃ腹が立つし気分が悪い。こんなやり方、あんまりすぎる。私は紙飛行機を飛ばそうとしたが、今度は落ち武者さんに止められた。
「後でサイトから苦情入れればいいだろ。強気なナミネ、アンタ何も出来ないのに無駄な心配しすぎ」
む、無駄な心配って! そんな言い方ないだろうに。私たちが、あのアベックだったら、絶対落ち武者さんは拒否して逆に、あの店員の弱みつかんで立ち退かないのが目に見えている。けれど、世の中落ち武者さんみたいに、恐ろしいほどに気の強い者ばかりではない。
「ですが、あんなのあんまりじゃないですか! 付き合いはじめの仲睦まじいアベックが……!」
言いかけて遮られてしまった。
「アベックか何だか知らないけど本当に愛し合ってるなら他に移れるだろ。とにかく、甘えセナたちが強行突破する手前だから、こっちもそうする。ズーム、行け!」
え、今度はブランケット家の権力使うの? そんなことしたら、私たちもセナ王女と同じになるじゃない。
「セルファさん、物事は公平に行わなければなりませんよ。ここへ来た時からネコ団子妖精を並ばせていますので素直に待ちましょう」
やっぱり、ズームさんはお金持ちでありながら不公平なことはしない。ネコ団子妖精、今も連れてるんだ。私は懐かしさあまりに後ろを向いた。って、ちっさ! 小さいのに変えたのだろうか。
「公平にとか綺麗事だろうがよ! 毎日、妖精村の誰かが理不尽な目にあってんだ! 今だけ心配しても世の中変わんねえだろ!」
ダメだ。落ち武者さんは、列の1番前でパーカーを脱いだ後、セレナールさんの目を盗み、近くの店員さんに声をかけた。
「あのテーブル空いてるから案内してくれる?」
これ一番最初に並んでる人を苛立たせるじゃない。
「あ、はい、かしこまりました」
人間、上手くやればバレないものなのか。いくらセナ王女たちみたいに権力を使わなくても、こういうやり方も気が引ける。
「ねえ、行こうよ。こんな店、不愉快だし、王女も性格悪いし、お金払わず出よう?」
追い出されかけているアベックの彼女が啖呵をきった。
「おい、行くぞ!」
え、でも、セナ王女たちはまだ席空けてもらってないし、個室じゃないと姿さえ見せられない。
「あ、でも普通のテーブルではセナ王女たちに見つかってしまいます」
もう全然計画性ないじゃない。それも、天気予報の大ハズレも原因にあるだろうけど。
「やっぱり、一人具合悪い友人いるから個室空けてくれる?」
やっぱりって何!? それじゃあもうセナ王女と同じじゃない!
「お客様、個室は予約のお客様が使用していますので、空いたテーブルに案内します」
そうなるわな。最後に並んでいる人は2時間待ち。個室だなんて、どうせVIP客だろうし、この店員さんもなんだかんだで、セナ王女の言いなりになっている店員さんと同じだ。
「へえ、じゃあれ何? この店、不正やってるわけ? 動画投稿しても良いけど?」
落ち武者さんも、どこまでも折れない人間だ。『強さ』。それは時として凶器にもなりうる。
「私が行っているわけではありませんので、お持ちの動画は投稿していただいても構いません。個室をご希望されるのでしたら、個室があくまで待っていただくか、他のお店に移ってください」
なるほど。自分じゃないから。たったそれだけの理由で、店の信用失っても、この店員にとってはどうでもいいことなのか。このカフェ、チームワークが全然なってない。二度と来たくない。
「ふーん、隣のヤツ、ブランケット家の次男で僕の親友なんだけど? 個室に入れてくんないんなら、あんたの知られたくない過去、ここの店員全員に話しちゃおっかな〜!」
こういう時、落ち武者さんは必ず携帯かパソコンを相手に見せていたが、店員に見せたのはズームさんの時計騎士の資格証だった。そうか、私やラルクが伝説武官の資格証を2024年のこっちの世界でも持っていたように、ズームさんも時計騎士試験もう一度受けなくていいんだ。やっぱり、この世界はあの時の紅葉神社から繋がっている。
「し、失礼しました。今すぐ個室をお空けします」
ブランケット家。王室や皇室とも交流があり、祖父同士はとにかく仲が良い。結局、私たちも権力を使ってしまった。
ここまで焦るほどのことだったのだろうか。また別の日にすれば良かったのではないのだろうか。もう色々分からなくなる。
その時、あのアベックの彼氏が立ち上がった。
「この店最悪だな! 二度と来ねえよ!!」
店員はジュースをかけられたのか頭から胸元までずぶ濡れになった。そして、アベックは立ち去った。気性の荒い男性は好きじゃないけど、こればかりは店員が悪い。人道を外すべきではなかった。クビになってでも正義を貫くべきだったと思うし、私ならそうしていた。いや、そうしてきた。だから、権力に怯える人たちの気持ちは私には分からない。
「本当にあなたは、どこまでも強引な人ですね」
ズームさんは呆れ返っている。そして、個室は直ぐに空いた。中からは高価なスーツや時計を身にまとった人たちが出て来た。こういう人たちを追い出せるほど、ブランケット家の権力は、とてつもなく大きいのか。

個室に入ってもヨルクさんとカナエさんは立ったままだった。
「悪いが、私はこのような強引で卑劣なやり方は好かぬ。帰らせてもらう」
ヨルクさんはそうだよね。曲がったことを常に嫌い、命懸けで公平を守り抜いて来た。だから、好きだった。いつの時代もヨルクさんのことが大好きだった。
「カナエも帰らせてもらいます」
はあ……、これじゃあここに来た意味ないじゃない。
「先程の人たちはrainグループの取引先の上層部です。後から僕がお詫びを送っておきます。強引ではありますが、せっかく来ましたし、今日の機会逃さないでもらえませんか?」
ズームさんは、どこまでも恵まれていながら権力は一切使わず常に人の気持ちを考えている。そういう人が、この先の未来、妖精村を引っ張っていくべきだと思う。
「分かりました。先程の者たちの機嫌を取り戻せるのでしたら……」
ヨルクさんは私の隣に座った。
「そうですか。それでしたらカナエも残ります」
カナエさんはズームさんの隣に座った。
とりあえず、こちらの方は向こうと違って先にいた客を怒らせずに済んだだけ良かったのかもしれない。
「てゆうか、男尽くしカナエ。アンタさっき、帰るとかほざいてたけど、もし甘えセナのグループにいたとしたらどうだったわけ?」
どうして落ち武者さんは人の弱みに、こうまで漬け込むのだろう。私だったら帰っていたかもしれない。けれど、カナエさんは多分出来ない。気は強いけど、ある程度は調和の保つ人だから。
「それは……」
ズームさんはタッチパネルを机に置いた。2024年もタッチパネルはまだあったんだ。私はほんの少し安心した。
「ほらな? 世の中、権力なんだよ! 次同じことしてみろ! カナコの命ないからね?」
はあ、せっかく個室に入れたのに仲間割れ。落ち武者さんも落ち武者さんで、意地悪なこと言わなければいいのに。
「カナエ先輩、分かってあげてください。いきなり、このようなことになり、落ち武者さんも内心は焦っているのです」
そして何故か落ち武者さんの肩を持つラルク。焦っているのはラルクのほうなんじゃないの?
「分かりました。無意識に仲間に優劣を付けてしまったカナエにも問題がありますゆえ、今後は気を付けます」
何もカナエさんが謝ることないのに。元々カナエさんはセナ王女たちのメンバーにいたじゃない。今後はただでさえ、こちらのグループに入ってまで向こうの様子報告しなければならない重役なのに。
「じゃあ、とりあえず注文しましょうか」
ズームさんが言うと同時にネコ団子妖精は扉を開けて入って来た。私はネコ団子妖精を抱っこした。
「サイズ小さいですが、前のは使わなくなったんですか?」
ネコ団子妖精はジタバタしている。私を覚えていないのだろうか。やっぱり、全く違うネコ団子妖精なの?
「いえ、あの時のネコ団子妖精です。時代も移り変わり大きさが変えられるようになったのです」
そして、ネコ団子妖精は突然大きくなり私から離れズームさんの元へ駆け寄った。
「そうでしたか。ここも昔は呉服店でした。変わらないものなんてないんですよね」
つい侘しさが溢れてしまった。
「この店は評判も悪くなるでしょうし、また別の何かに移り変わりますよ」
そっか。そうだよね。いくら時代が変わっても、人の心を持たない店なんてなくなればいい。
「そうですね。あ、ヨルクさん。いつもみたいにシェアしませんか?」
しまった。どうしてもヨルクさんのこと恋人だと思ってしまって、そういう風に接してしまう。
「うん、そうしよう」
え。横を見るとヨルクさんは微笑んでいる。私たち、また恋人に戻れるだろうか。
「じゃ、巨大ピザと大盛りパスタみんなでシェアする」
みんなでシェア。そんな時もあったっけ。けれど、日に日に前の世界が遠くなるようで記憶も薄くなってゆく気がする。
落ち武者さんは巨大ピザと大盛りパスタを注文した。そして、ノートパソコンを机に置いた。いつもの光景。けれど、どうやって映しているのだろう。
「あの、この映像って……」
いったいどこから……。
「机にペン型カメラ置いて、その上にパーカーかけた」
落ち武者さんも本当に手段を選ばない人だ。パーカーがある限りセナ王女には見つからないか。
そして映像から音声が聴こえてきた。セナ王女が無理矢理に席を空けるよう詰め寄った時のものだ。あの時は全く気づかなかったけど、アルフォンス王子が何度も止めようとしている。
『やめな、セナ。別のところ行こう』
こんなこと言っていたっけ。やっぱり覚えていない。
『いやよ! 私、このカフェがいいわ!』
あんなもの見せられて、もうこのカフェに良い印象など一つもない。
「あの、アルフォンス王子ってセナ王女を止めようとしてたんですね」
みんなは気付いていたのだろうか。
「そうですね。声が小さかったので聞こえてなかったかもしれませんが何度か注意をされていました」
ズームさんは気付いていたのか。もし、アルフォンス王子が止めていたのなら、今回のアルフォンス王子は少しはまともだろうか。期待したって何の意味もないけれど、期待してしまう。少しでも良い現在になっているようにと。
場面は今の時刻のものに移り変わった。
『セナさん、シェアしようよ』
やっぱり、カラルリさんセナ王女のこと……。こういうのをデジャブとでも言うのだろうか。それとも必然? どちらにしても、また誰かが悲しむ。
『待って! 私もシェアしたいわ!』
ここでセレナールさんが割り込む。カラルリさんもセレナールさんのこと妹としてではなく、女として見れていたら少しは未来は変わっていただろうか。いや、セレナールさんはラルクと一緒になるんだ。
『カナエ、何食べたい?』
またこれか。ユメさんと交際しながら、気にするのはいつもカナエさん。そもそも向こうにカナエさんいないのに。
「平凡アルフォンスが呼んでるぞ」
落ち武者さんは、やっぱりからかう。
「からかわないでください。カナエはこちら側にいます」
そう、偶然鉢合わせただけで、今日のカナエさんは私たちのグループにいる。
『ちょっと! カナエいないじゃない! どうしてユメさんを放ったらかしにするのよ!』
完全に愛していない。昔も今も。ユメさんとなら、幸せな家庭を築けるとでも思ったのだろうか。
『だったら、みんなでシェアしない?』
カラルリさんのカッコつけがはじまった。みんなでシェア。地味にこっちと同じだ。
「はい、これナミネの分」
映像見ていて、注文したの来ていたことに全く気づかなかった。5人で分けるとはいえ、物凄い量だな。
「ありがとうございます、ヨルクさん」
交際時もこうだった。あの時と変わらない仕草をする時のヨルクさんを見てると切なくなる。
『そうね。巨大ピザと大盛りパスタでどうかしら?』
こっちと同じだ。人気メニューなのだろうか。
けれど、ユメさんが泣きはじめた。
「あーあ、平凡アルフォンスやらかしたね?」
アルフォンス王子は恋を優先したかったのか、平和を優先したかったのか。遠い遠い前世では、あれほどにカナエさんとの恋愛を慈しんでいたのに。
『ごめんユメさん、シェアしよう』
こういう時の後付けって、傷付いた側にとっては余計に追い討ちとなる。
『私、帰る!』
ユメさんは立ち上がった。
『待って! 許してくれないかしら』
引き止めるセナ王女。私がユメさんの立場だったら絶対許せないし、とことん白黒付けると思う。
『何度も何度も許してきた。でも、こんなのあんまりだわ! カナエカナエって!』
恋愛というのはむつかしい。一方が気持ちのない恋愛は特に厄介だ。そして、ユメさんはアルフォンス王子に水をかけるとカフェの外に出た。
『ちょっと、追いかけなさいよ!』
セナ王女は言うものの、追いかけてどうにかなる問題ではない気がする。追いかけなくても、それはそれで必要とされていないと落ち込むけれど。
「ユメさんのほうは、ドローンで追いかけます」
skyグループのあのドローン! って、ちっさ! 最近の流行りだろうか。小型ドローンは窓から飛んでいった。
「あ、ドローンも小さくなったんですね」
ちょっとついていけないかもしれない。たった数日で時代そのものが変わっていれば誰だってそうなるものだろうか。
「追跡用は超小型になりました。妖精村警察にも提供しているんです」
うわー、お金持ちってやっぱり違う。あ、映像に気を取られ、すっかりお腹空いている。さっきから、お腹がグーグーなっていたようだ。
「ナミネ、少しは食べて」
周りを見ると満遍なく食べている。要領悪いのは私だけか。
「あ、はい」
私はタマゴピザを加えた。
『私が追いかける』
カラルリさんは立ち上がった。
『だったら私も追いかけるわ!』
セナ王女も。これは、カフェを出るパターンだろうか。
『いや、今追いかけてもユメさんを追い詰めるだけだと思う。後で連絡入れておくし、食事も来たから今日はここで過ごそう』
こういう人が彼氏だったら正直嫌だ。こんなの蔑ろではないか。そして、店員さんはアルフォンス王子におしぼりを渡した。
『すみません。食べきれなくなったのでパックに詰めてもらえませんか?』
ついこないだまでは私たちもそうしていたっけ。
『申し訳ありませんが、店内で食べ切れないものは持ち帰ることは出来ません』
え、捨てるってこと!? 食べ物を何だと思っているの!? 私は思わず立ち上がった。
「ナミネ、落ち着け! ナノハナ食堂だって毎日捨ててるだろ! 一つ一つに反応するな! 目的から逸れる」
はあ、ラルクはセレナールさんのことしか頭にないのか。けれど、確かにナノハナ食堂でも、その日に食べ切れなかったものは処分している。けれど、客が持ち帰りたいと言ったものを、あえて捨てるのは何だか違う気がする。
「うーん……」
もったいない。でも、ここで私が勝手な行動をすれば本末転倒だ。その時、カナエさんのフェアホが鳴った。カナエさんは、フェアホを取り出した。
「ユメさんからです。もうグループに入らないでほしいと」
ユメさんからしてみればそうなるか。けれど、今のカナエさんはアルフォンス王子を好きかどうかも分からない。不変な三角関係は結局のところ誰も幸せにはなれない可能性が高い。
「とりあえず、言いなりになったフリすれば? ここで否定すれば時間ずれユメがヒートアップするだけだと思うけど?」
そうだけれど、今ここでユメさんに合わせてもカナエさんがいる限り、アルフォンス王子はカナエさんを優先する。どうして上手くいかないのだろう。早く元の委員長が現れてくれたら。クラフはどうしているの?
「そのように返信しました」
カナエさんに連絡するってことは、まだこの近くにいるのだろうか。
「あの、ユメさんて、まだ近くにいますか?」
て、映像を見ればいいのか。薄いタブレット。時代が急に進みはじめたように感じてしまう。
「別のカフェにいますね」
別荘には帰ってないわけか。サンドイッチセットを注文している。また合流するつもりだろうか。
「カナエは、しばらくは向こうのグループには入れません。二重スパイは不可能ですね」
ユメさんを思うと、それが無難か。
「短期間にしろ。直ぐに戻れ」
直ぐって。それだと、ユメさんを刺激しかねない。
けれど、時間というものは不可思議である。今現在は、セナ王女とカラルリさんが良い感じなのに、後々にはユメさんのほうが確実な幸せを手に入れる。クラフ委員長と。今回もそうだとは限らないけど、いずれはみんな思い出す。その時に元に戻るだろう。
「セルファさん。焦っては良い方向に向きませんよ」
そうだ。焦れば焦るほど事態は悪化することの方が多い。けれど、事が事なだけに、焦ってしまう。私とて早くヨルクさんと元の関係に戻りたい。
結局、誰もユメさんを追いかけなかった。そして、またカナエさんのフェアホは鳴った。
「ユメさん、かなり怒っているのです。誰もユメさんを追わなかったからでしょうけど、カナエに転校しろと言ってきました」
転校……。そこまでユメさんの心は荒れているのか。
「もう返信するな。男尽くしカナエのせいにするなら、時間ずれユメが、あっちのグループ抜ければいい」
落ち武者さんって他人事となると冷たくなる。当然と言っちゃ当然だけど、この時のユメさんを思うと胸が痛む。とはいえ、前も私があちら側のグループに入ったのは、それなりに後だったが。
「神山くらふ。いないのかなあ……」
思わず呟いてしまった。
「僕はいると思う。でも、どうしても最初はアルフォンス王子のこと好きだったから、しばらくは変わらないだろうな」
ラルクも、だいたいのことは元に戻ると思っている。私もそうなればいいと思う。
私たちが時間をかけて巨大ピザと大盛りパスタを食べ終わった頃、セナ王女たちはカフェを出た。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

あとがき。

セナみたいに並ばず無理矢理に席を空けさせる人がリアルにいたら怖いと思いました(^_^;)

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。

また、程度によりますが模倣はご遠慮願います。
詳しくは《カテゴリ》→《説明事項》→《模倣のご遠慮願います》をご覧ください。

小説の無断転載もご遠慮くださいませ〜♪
PR
Copyright (C) 2009 雨の音を聴きながら, All right Resieved.
*Powered by ニンジャブログ *Designed by 小雷飛
忍者ブログ / [PR]