日常のこととかオリジナル小説のこととか。
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ashita
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女性
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地主(土地貸してます)
趣味:
漫画やアニメを見るのが好きです。最推しはフーディーニ ♡
自己紹介:
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ブログ、もう書かないと思ってました。
けれど、去年から書き始めた小説によって、過去に書いてた小説も書き始め、ここに載せることにしたのです。
小説は、主に『時間と時間を繋ぐ恋の物語』と『妖精村と愉快な仲間たち』をメインに書いています。
現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。
純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。
元々このブログは病気の記録用として立ち上げたものですが、小説載せるようになってからは、ここは出来るだけ趣味的なことを綴りたいと思っております。
病気の記録や様々な思いを綴るブログは移転済みなのです。
ただ、今は日記は個人的な徒然、或いはお知らせとして綴ることが多いかと思います。
小説、ぼちぼちマイペースに書いてゆきます。
よろしくお願い致します。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
お知らせ。
イラストは現在「ナノハナ家の日常」に載せております。サイドバーにリンクあります。
また、「カラクリよろずや」にて無料のフリーイラスト素材配布もはじめました✩.*˚
フリーイラスト素材も増やしていく予定です(*'ᴗ'*)
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
模倣・無断転載などは、ご遠慮ください。
ブログの小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
小説・純愛偏差値に関しましては、武家名・貴族名(程度による) / 及び、武官の階級 / 扇子・羽子板・花札・百人一首・紙飛行機などのアイテム使用方法の模倣の一切を禁じております。
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X @kigenzen1874
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けれど、去年から書き始めた小説によって、過去に書いてた小説も書き始め、ここに載せることにしたのです。
小説は、主に『時間と時間を繋ぐ恋の物語』と『妖精村と愉快な仲間たち』をメインに書いています。
現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。
純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。
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〈資格履歴〉
2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2010年02月10日
→セルフ・カウンセリング
ステップ2 合格
2011年05月28日
→セルフ・カウンセリング
指導講師資格審査 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年01月20日
→鉛筆デッサンマスター 合格
→絵画インストラクター 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
→茶道アドバイザー 合格
→お点前インストラクター 合格
2025年04月17日
→着物マイスター 合格
→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
→サイキックアドバイザー 合格
→サイキックヒーラー 合格
2025年07月01日
→アンガーカウンセラー 合格
→アンガーコントロール士 合格
2025年08月04日
→漢方コーディネーター 合格
→薬膳調整師 合格
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〈資格証明バナー〉

2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2010年02月10日
→セルフ・カウンセリング
ステップ2 合格
2011年05月28日
→セルフ・カウンセリング
指導講師資格審査 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年01月20日
→鉛筆デッサンマスター 合格
→絵画インストラクター 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
→茶道アドバイザー 合格
→お点前インストラクター 合格
2025年04月17日
→着物マイスター 合格
→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
→サイキックアドバイザー 合格
→サイキックヒーラー 合格
2025年07月01日
→アンガーカウンセラー 合格
→アンガーコントロール士 合格
2025年08月04日
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〈資格証明バナー〉

純愛偏差値 未来編 一人称版 132話
《ミナク》
カラルリさんの勝負の前、私とセナ王女はクローゼットの部屋で口付けをした。事故とはいえ、セナ王女は素振りからして、はじめてだった気がする。一瞬戸惑ったような素振りを見せた後は、普通を装っていた。セナ王女はファーストキスを奪われて何も思わなかったのだろうか。私は、口付けなんて行きずりの女と何度もしてきたけど、あの時のことだけは何故か何度も頭を過ぎる。
正直、別荘ではじめてセナ王女を見た時は、あまりの美しさに驚いた。これまで遊んだ女の中でもセナ王女ほどの美人はいなかった。
私は本気で人を好きになったことがない。そして、その理由が遠い前世の彼女であるアヤネという人物とカラルリさんの浮気によるものだということは全く知らなかったのである。けれど、知らないだけでトラウマはキッチリ残っていたから女遊びに明け暮れていたのだと思う。はじめて女の白梅咲かせたのは小三の時だった。それ以降、適当な女見付けては空咲をした。気付けば、貴族と同級生合わせて約80人ほどになっていた。
一度、空咲をした女には興味がなくなっていた。家の近くまで来られて泣かれながら交際を迫られたこともあったけれど、冷たくあしらった。
この先も、特定の女との交際はないと思っていた。なのに、セナ王女と口付けしてから、どうしてもそのことが離れない。それに、あの時セナ王女は水着姿だったから、体型がクッキリ見えていた。身長の割りには、めちゃくちゃ理想の体型だった。ビキニじゃなかったのが惜しいところ。
セナ王女と交際したいわけではないものの、ただ気にしてしまう。でも、セナ王女とカラルリさんは多分両想いだ。私が入る隙など、これっぽっちもないだろう。それに、キクリ家の両親と国王陛下・王妃は同級生。身分違いなのに、カラルリさんはセナ王女と交際出来る特権を持っている。
誰とも交際なんかするはずないって今でも思っているのに、心のどこかでカラルリさんを妬んでしまっている自分が情けない。私はセナ王女のことが好きなのだろうか。ただ、セナ王女だけは他の女と同じ扱いはしたくない。出来れば一度だけでもデートが出来たら……。
時間は遡る。
夜になり、別荘の庭でBBQがはじまった。いつぶりだろう、BBQなんて。小さい時は、よくナノハナ家でしてたけど、今となっては良い思い出だ。
「はい、ミナクの分です」
カナエさんは、どこでも働き者だ。エプロン姿もよく似合う。
「カナエさんは、働き者ですね。私がカナエさんの分入れます」
私がカナエさんの分をお皿に盛っていた時、謝って肉を落としてしまい、セナ王女のスカートが汚れてしまった。
「すみません! 今すぐクリーニングに出してきます!」
多分相当高い服だろう。
「大丈夫よ。気にしないで楽しんで」
セナ王女は微笑んだ。けれど、そういうわけにもいかない。
「あの、やっぱりクリーニングに出しますので別の服に着替えてもらえませんか?」
このままでは、めちゃくちゃ申し訳ない。その時、セナ王女は私の両頬に触れた。
「真面目なのね。でも本当に気にしないで。服が汚れることなんて珍しいことではないわ」
私は間近で見るセナ王女の美しさにドキドキしていた。正直、女にときめいたのは生まれてはじめてだった。
「この程度の汚れなら直ぐ落とせますので、今カナエが落とします」
カナエさんは、BBQ用のレモンを手に取り少し切るとセナ王女のスカートを拭いた後に、汚れの部分にレモン汁をかけた。少しすると汚れは浮かび上がり、カナエさんはタオルに水を濡らして拭き取った。汚れなど最初からなかったかのように綺麗になっている。やっぱりカナエさんは何でも出来る。
「カナエさん、すみません」
どうしてか、セナ王女にカッコ悪いところを見せてしまったことに対して恥ずかしくなっていた。
「ミナク、料理が冷めますよ。それに、あの時、少しユメさんと当たっていたので、その弾みでしょう」
当たっていたっけ。全く覚えていない。
「えっ、気付かなかった。ごめんね」
プールの時は泣いていたけれど、今は機嫌が良さそうだ。
「いえ、私も不注意だったと思いますので」
カナエさんは周りをよく見ている。そして、食べずに動いてばかりだ。
「セナさん、あーん」
はあ、こういう光景は二人きりの時だけにしてもらいたい。やっぱり、二人は好き合っているのだろうか。
「あつつ……」
焼きたてだったのか、セナ王女は唇に触れた瞬間玉ねぎを落とした。かと思ったら、今度はセレナールさんのスカートが汚れた。私は今度こそセナ王女に良いところを見せたくて弟のヨルクにレインをしていた。すると、布のパターン別に対処法が書かれていた。ヨルクはカナエさんに憧れ家事をするようになった。カナエさんほどではないが、部屋は常に片付いていて、ヨルクの作る料理はクレナイ食堂の料理より美味しい。兄弟仲は悪いものの、私はこっそりヨルクの料理中に摘み食いをしていた。
「セレナールさん、服の素材って分かります?」
セレナールさんはロングスカートを膝までめくった。
「えっと、綿90%のポリエステル10%よ」
私は再度フェアホを見た。ヨルクはキッチリしているから、布率もパターン別にズラーっと並んでいた。綿90%のポリエステル10%……割りと上の方にあった。カナエさんが、さっき使っていたレモンの方法は、どの村も共通しているらしい。けれど、綿や麻など繊細な素材は、レモンでも良いが煮詰めると、ブドウとリンゴを混ぜた水に浸した方が布を傷めずに汚れを落とせるらしい。妖精村の果実は不思議な力があって、汚れは勿論のこと時には薬としての効力も発揮すると言われている。そんな感じのニュースを昔見たことがある。
「セレナールさん。ブドウとリンゴを混ぜた水に浸すと汚れが落ちますので、今タライにブドウとリンゴと水入れますので待っていてください」
私は近くにあるタライを手に取った。
「私がやるわ。汚したの私だし」
ここには多くの使用人がいる。なのに、セナ王女はずっと使用人に頼っていない。こういう純粋さは男心をくすぐる。
「あ、いえ、セナ王女は食べていてください」
私がブドウを入れた時、カナエさんが走ってきた。
「カナエがやりますので、お二人共食べていてください。ブドウもリンゴもほんの少しで良いのです」
そうか、分量があったか。やっぱりカナエさんには敵わない。
「汚れたなら僕が舐めてあげる」
突然、セイさんはセレナールさんのスカートを舐めはじめた。そういえば、この人、私が連れて来たんだっけ。もうめちゃくちゃ見てはいけないものを見てしまった気がする。こんな人、本当にいるんだ。正直ありえないし気持ち悪い。
「いや!! やめて!!」
セレナールさんはセイさんを突き飛ばそうとしたが、セイさんはあろうことかセレナールさんのスカートをめくった。意外にも派手目のピンクの下着だった。こういうの流行っているのだろうか。ナンパした女たちも似たようなものを履いている。けれど、よく見たら薄いワンピースに透けている。
「レースのパンツ良いね。こっちも舐めてあげようか」
うわ……この人異常だ。
「いや!! 誰か助けて!!」
どうして誰も助けようとしないのだろう。その瞬間、セナ王女がセイさんを引っぱたいた。
「あなた本当に最低ね! 姉さん恥ずかしいわ!」
私はセイさんからセレナールさんを遠ざけた。
「あの、透けてます」
私はパーカーを脱いでセレナールさんにかけた。
「えっ、全然気付かなかった!」
よく見ると、ワンピースは随分とくたびれている。長く着ていたのだろうか。
「インナーとかもってないんですか?」
見るならセナ王女の下着が良かったと思ってしまう私は確信犯だろうか。
「持ってないわ。ここまで物価が値上がりしたら買うものも買えない。服も下着もセール品だし」
そうだったのか。家、貧乏なのだろうか。何だか勿体ないな。
「そうですか。けれど、勿体ないですね。こんなに美人なのに。オシャレしたらきっと似合うと思うんです」
セレナールさんは美人だ。セナ王女とは違うタイプの。私はセナ王女の方が好みだけれど、多くの男はセレナールさんに釘付けだろう。
「オシャレ……か。したことないわ。うち貧乏だから」
世の中というものは不公平である。ブスという表現は不適切ではないが、男ウケしない女が不釣り合いなオシャレをして、セレナールさんのようなオシャレが映える人がオシャレを出来ないなんて、どうも煮え切らない。
「良かったら今度買いましょうか?」
セレナールさんを見ていると同情してしまい思わず言葉に出てしまった。
「ううん、悪いからいいわ」
セナ王女とは違った形で思ったより控えめ。あまり思いたくはないが、容姿が砕けた女ほど、あれこれ騒ぎ立て、容姿端麗の女はお淑やかだ。
「セレナール、昼間のビキニ姿、超セクシーだったよ。今度、学校の理科室で見せてくれないかな?」
もうここまで来るとホラーだ。セイさんは行き過ぎた恋愛感情をセレナールさんに抱いている。
「やめて! 気持ち悪い! セイが来るなら今日来てなかったわ! 服舐めたりスカートめくったり、私がどれだけ嫌な思いしてるか! それに誰も助けてくれないし!」
セイさんもセイさんだけど、どうして、あの時、誰もセレナールさんを助けようとしなかったのだろう。このままセイさんとセレナールさんが今日ここで泊まるのは良くない気がする。
「あの、セレナールさん。今日はお家に帰りませんか? 送って行きます」
セレナールさんは少し涙ぐみながら私の腕を組んだ。と思いきや、セナ王女まで私の腕を組んだのである。何故か両手に花状態。けれど、セナ王女に密着されると、やっぱり鼓動が速くなってしまう。セナ王女ほどの美人なら速攻で口説いて空咲まで持ち込みたい。でも、どうしてかセナ王女を適当な女と同じにはしたくなかった。
「どうしてミナクが送るのよ。私、セイにちゃんと注意したわ。セレナールを助けなかったわけじゃない!」
言われてみれば、セナ王女がセイさんを引っぱたいたからこそ、あの場は止まったわけで、それは助けなかったというより、セナ王女なりに助けたと位置付けした方がしっくり来る。
「怖いのよ……。好きでもない人に服舐められたり下着見られたり、ハッキリ言って気持ち悪いわ!」
確かに、あれは度を超えている。
「だから、注意したじゃない! でも、一応は弟だから、あまり悪く言われるのも良い気はしないわ! だって、ミナクにはくっついてるじゃない!」
セナ王女は、セレナールさんから私を少し遠ざけようとしたが、セレナールさんが私のタンクトップをつかんで、私はバランスを崩しセナ王女を押し倒す形で転んでしまった。
「ミナ……ク……」
しまった。転んだ時にセナ王女の胸に触れてしまっていた。私は咄嗟に起き上がりセナ王女を起こした。もし、二人きりだったら、どうなっていたか。
「すみません、大丈夫ですか?」
私はセナ王女に付いた草などを払った。
「大丈夫」
その瞬間、不意打ちにカラルリさんに殴り飛ばされた。カラルリさんは昔から私を嫌っている。けれど、私にはどうしてか分からなかった。
「やめて、カラルリ! セレナールがミナクの服つかんだから! ミナクのせいじゃないわ!」
セナ王女はこちらに向かって来たが、それより先にセレナールさんが私を抱き締めた。何だかカナエさんとは違う形で姉のように感じてしまった。弟はヨルクと同い歳だっけ。写真のツーショット見た限り仲も良さそうで羨ましい。
「ごめんなさい」
別にセレナールさんは悪くない。セナ王女に触れてしまったことがカラルリさんの心に火を付けてしまったのだろう。
「あ、いえ、セレナールさん悪くないんで」
と言ってる間に、今度はカナエさんが私からセレナールさんを少し遠ざけ私を抱き締めた。カナエさんの香り、ずっと変わっていない。小さい頃から好きだった。この香りは、いつも私を癒してくれた。
「セレナールのことは食い違いがあるようです。お兄様もミナクばかり攻撃しないでください! セレナールやセナさんの傍にいると無限ループですので、ミナクはカナエの傍にいてください」
本当に姉みたいだ。というか、カナエさんが実の姉だったらどれだけ良かったか。
その後も色々あったが、この日は私も別荘に泊まり、セイさんは、後に越してくるセナ王女とアルフォンス王子の弟の部屋で外側から鍵をかけられ朝まで出れなくなってセレナールさんに危害は及ばなかった。
けれど、私の心は、ほんの少しセナ王女に傾いていた。
昼休みに、他校の女子高校生と歩いていた。
「ごめん、今日はデート出来ない。友達のお見舞い行くの」
この女子高校生とは知り合って二週間ほどキープしている。今や、ご縁系サイトが流行っていて、昔みたいに適当な女がつかまらなくなってしまったからだ。この女だけでなく後二人キープしているが、空咲するだけでデートなんてめんどくさい。
その時、女子高校生のフェアホが落ちて私は拾った。
『愛してる』
『私も。今度いつデート出来る?』
『次の土曜日かな』
『嬉しい! バイキングレストランがいいな! 私の友達、いつも安っぽい店しか入らなくて』
『うん、行こう。奢るよ』
フェアホ画面を見た途端、私は女子高校生を殴り付けていた。
「やめて! お願い!」
女子高校生は怯えながら、この場だけ逃げようとするけれど、私は逃がさなかった。そして、女子高校生を殴る手は止まらなかった。
「何してるの!?」
気が付いたら私は投げ飛ばされていた。相手がセナ王女とも知らずに。正気を失った私は再び女子高校生に近付こうとしたが、また投げ飛ばされた。ダメだ、怒りが収まらない。けれど、勝てそうにもない。
「リリカ……お姉様……」
私は仰向けになったまま動けずにいた。すると、セナ王女が私を起き上がらせた。まさか、セナ王女が!? いや、そんなわけない。
「何があったか分からないけど、無抵抗の人間をあそこまで殴るのは良くないわ」
今はダメだ。セナ王女を傷付けてしまう。
「離れてください……」
セナ王女に手は出したくない。けれど、セナ王女は離れない。せっかく、あの日、別荘で楽しい時間を過ごしたのに。結局私は人間関係を作れない。私はセナ王女に殴りかかった。が、拳はあっさりつかまれてしまった。物凄い力だ。私がセナ王女を押し倒そうとした瞬間、セナ王女は私の上を飛び越え私の後ろに回った。
「あなたは強い。けれど、この世に強い人はいくらでもいるの」
別荘の時のあどけないセナ王女とは真逆の姿にただただ私は驚いていた。と、同時に幻滅されたと胸が傷んだ。けれど、セナ王女は愚かな私を抱き締めた。
「セナ……王女……?」
どうして、こんなみすぼらしい私に構うのだろう。
「これまでにも同じこと繰り返してたの? さっきはどうして殴ってたの?」
今更、嘘なんかついてもどうしようもない。
「他に男がいたのもイラッとしましたが、行きたくもないデートに行かされた挙句に安っぽい店と送信されているのを見た時は侮辱されたと思いました」
金なんてないし、そもそも好きでもない女に奢るなんて真っ平だ。けれど、パパ活が流行りだしてからは女も行きずりを選ぶより、好きでもないおっさんと空咲して儲けている。結局、世の中金なんだ。
「どんなお店?」
どうしてそこまで聞くのだろう。私のことなんて放っておけば良いのに。
「古びれたレトロカフェです」
2024年だというのに、レトロカフェは案外残っている。けれど、時代も時代だからレトロなんて、あまり流行らなくなって、今ではフェアスタ映えするメニューが豊富のカフェやレストランに行きたがる女ばかりだ。そういうのを、フェァリーZ広場などに載せて、自分の彼はハイスペだとアピールをしてマウントを取り合うのが女の日課になっている。
「合わないのよ。相手はSNSに載せたいためにカフェに入りたいけど、あなたはカフェに入る1ターンをなくしたい。本音がぶつかり合ってるのでは、いくら遊びでも、そのうち拗れると思うのよね」
セナ王女の言う通りだ。私は、ただ二人きりになることしか考えていない。女のSNS状況なんてどうでもいい。
「はい……。私が愚かでした……」
情けない。それでも、私にはリリカお姉様みたいに推しもしなければ、本命もいない。いつも何かに苛立って発散してしまう。
「あなたの求めてるのは好みの子と関係持つこと? それとも癒し?」
考えたことなかった。ただ、恐怖から逃れることしか考えてこなかった。
「癒し……だと思います」
何故か涙が溢れた。女の前で涙を溢すのは、はじめてだった。セナ王女の温もりが、私の凍り付いた心を溶かしたのかもしれない。
その時、セナ王女は私のピアスを片方外すとブレザーに付けた。
「だったら、あなたに色んな世界見せてあげる。もうこれからは一人で悩まないで。私が傍にいるから。遊びの代わりにはなれないけど、それ以上の幸せを与えるわ」
そして、私たちは連絡先交換をした。
この瞬間からセナ王女と頻繁に二人きりで会うようになった。
「昨日は晴れているから公園デートもいいわね」
デートって言われると、まるで恋人みたいだ。けれど、セナ王女とならカフェの個室で二人きりになりたい。
セナ王女は私に商店街で買ったサンドイッチを渡した。
「あの、やっぱり自分の分は払います。悪いですし」
情けなくも、これまで奢ってもらってばかりだ。
「気にしないで。まずは、あなたが楽しまないと。無理無理の遊びじゃなくて」
そういえば、カラルリさんとはどうなっているのだろう。
「あの、カラルリさんと会わなくて良いんですか? 両想いですよね?」
もう白梅は済んでいるのだろうか。こういう風に妬いてしまうのが嫌になる。セナ王女は本命ってわけではないのに。ただ、私の方が、ほんの少し意識しているに過ぎない。
「普通に会ってるけど?」
やっぱりそうか。セナ王女は狡い。こんなに思わせぶりなことしておきながら、カラルリさんからも好かれていて。まるで両手に花。
「家でですか?」
こんな風に聞いてしまうのが本当に嫌になってくる。
「ええ、カラルリの部屋で宿題してる」
部屋……。ってことはカラルリさんとはもう既に……。
「カラルリさんと関係持ったんですか?」
完全な嫉妬だ。
「何もしてないわ。強いて言うなら、あなたにファーストキス奪われた程度ね」
本当にそうなのだろうか。あの事故のファーストキスだけって、男女が同じ部屋に二人きりでいて、そんなことありえるのだろうか。
「カラルリさんのこと好きなんじゃないんですか?」
聞いてしまった。遊ぶ側の私がセナ王女の前では女々しくなっている。
「うーん、好きは好きね。転校して友達作れない私に何かと優しくしてくれて、今のグループがあるのもカラルリのお陰だし。良い人って思うわ。でも、恋愛感情かて言われてみれば正直分からないの」
それって、私と恋人のようにデートしながら、あわよくばカラルリさんと交際するってことじゃないか。狡い。
「狡いですね。ここまで思わせぶりなことしておいて、カラルリさんにも気があるだなんて」
その時、セナ王女は私に口付けをした。私はカラルリさんの存在を気にしてセナ王女を抱き寄せ激しく口付けをした。そして、軽くセナ王女の太ももを触ろうとした時、セナ王女は私の手をつかんだ。
「場所変える? 休日だから、ここだと家族連れもいるし」
セナ王女は真剣な眼差しで私を見た。そうか、揺れているのは私の方だった。
「い、いえ。すみません」
私はセナ王女から離れた。
この日、セナ王女は初白咲をした。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
あとがき。
流れでは明らかカラルリと付き合うはずだったのに。
ひとたび、人が加われば心境の変化も起きうる。
恋愛って分からないものですね。
けれど、カラルリにとっては二の舞にならなくて済んだのではないでしょうか。
記憶を思い出さないなら、三角関係突入だったでしょうけど。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
また、程度によりますが模倣はご遠慮願います。
詳しくは《カテゴリ》→《説明事項》→《模倣のご遠慮願います》をご覧ください。
小説の無断転載もご遠慮くださいませ〜♪
《ミナク》
カラルリさんの勝負の前、私とセナ王女はクローゼットの部屋で口付けをした。事故とはいえ、セナ王女は素振りからして、はじめてだった気がする。一瞬戸惑ったような素振りを見せた後は、普通を装っていた。セナ王女はファーストキスを奪われて何も思わなかったのだろうか。私は、口付けなんて行きずりの女と何度もしてきたけど、あの時のことだけは何故か何度も頭を過ぎる。
正直、別荘ではじめてセナ王女を見た時は、あまりの美しさに驚いた。これまで遊んだ女の中でもセナ王女ほどの美人はいなかった。
私は本気で人を好きになったことがない。そして、その理由が遠い前世の彼女であるアヤネという人物とカラルリさんの浮気によるものだということは全く知らなかったのである。けれど、知らないだけでトラウマはキッチリ残っていたから女遊びに明け暮れていたのだと思う。はじめて女の白梅咲かせたのは小三の時だった。それ以降、適当な女見付けては空咲をした。気付けば、貴族と同級生合わせて約80人ほどになっていた。
一度、空咲をした女には興味がなくなっていた。家の近くまで来られて泣かれながら交際を迫られたこともあったけれど、冷たくあしらった。
この先も、特定の女との交際はないと思っていた。なのに、セナ王女と口付けしてから、どうしてもそのことが離れない。それに、あの時セナ王女は水着姿だったから、体型がクッキリ見えていた。身長の割りには、めちゃくちゃ理想の体型だった。ビキニじゃなかったのが惜しいところ。
セナ王女と交際したいわけではないものの、ただ気にしてしまう。でも、セナ王女とカラルリさんは多分両想いだ。私が入る隙など、これっぽっちもないだろう。それに、キクリ家の両親と国王陛下・王妃は同級生。身分違いなのに、カラルリさんはセナ王女と交際出来る特権を持っている。
誰とも交際なんかするはずないって今でも思っているのに、心のどこかでカラルリさんを妬んでしまっている自分が情けない。私はセナ王女のことが好きなのだろうか。ただ、セナ王女だけは他の女と同じ扱いはしたくない。出来れば一度だけでもデートが出来たら……。
時間は遡る。
夜になり、別荘の庭でBBQがはじまった。いつぶりだろう、BBQなんて。小さい時は、よくナノハナ家でしてたけど、今となっては良い思い出だ。
「はい、ミナクの分です」
カナエさんは、どこでも働き者だ。エプロン姿もよく似合う。
「カナエさんは、働き者ですね。私がカナエさんの分入れます」
私がカナエさんの分をお皿に盛っていた時、謝って肉を落としてしまい、セナ王女のスカートが汚れてしまった。
「すみません! 今すぐクリーニングに出してきます!」
多分相当高い服だろう。
「大丈夫よ。気にしないで楽しんで」
セナ王女は微笑んだ。けれど、そういうわけにもいかない。
「あの、やっぱりクリーニングに出しますので別の服に着替えてもらえませんか?」
このままでは、めちゃくちゃ申し訳ない。その時、セナ王女は私の両頬に触れた。
「真面目なのね。でも本当に気にしないで。服が汚れることなんて珍しいことではないわ」
私は間近で見るセナ王女の美しさにドキドキしていた。正直、女にときめいたのは生まれてはじめてだった。
「この程度の汚れなら直ぐ落とせますので、今カナエが落とします」
カナエさんは、BBQ用のレモンを手に取り少し切るとセナ王女のスカートを拭いた後に、汚れの部分にレモン汁をかけた。少しすると汚れは浮かび上がり、カナエさんはタオルに水を濡らして拭き取った。汚れなど最初からなかったかのように綺麗になっている。やっぱりカナエさんは何でも出来る。
「カナエさん、すみません」
どうしてか、セナ王女にカッコ悪いところを見せてしまったことに対して恥ずかしくなっていた。
「ミナク、料理が冷めますよ。それに、あの時、少しユメさんと当たっていたので、その弾みでしょう」
当たっていたっけ。全く覚えていない。
「えっ、気付かなかった。ごめんね」
プールの時は泣いていたけれど、今は機嫌が良さそうだ。
「いえ、私も不注意だったと思いますので」
カナエさんは周りをよく見ている。そして、食べずに動いてばかりだ。
「セナさん、あーん」
はあ、こういう光景は二人きりの時だけにしてもらいたい。やっぱり、二人は好き合っているのだろうか。
「あつつ……」
焼きたてだったのか、セナ王女は唇に触れた瞬間玉ねぎを落とした。かと思ったら、今度はセレナールさんのスカートが汚れた。私は今度こそセナ王女に良いところを見せたくて弟のヨルクにレインをしていた。すると、布のパターン別に対処法が書かれていた。ヨルクはカナエさんに憧れ家事をするようになった。カナエさんほどではないが、部屋は常に片付いていて、ヨルクの作る料理はクレナイ食堂の料理より美味しい。兄弟仲は悪いものの、私はこっそりヨルクの料理中に摘み食いをしていた。
「セレナールさん、服の素材って分かります?」
セレナールさんはロングスカートを膝までめくった。
「えっと、綿90%のポリエステル10%よ」
私は再度フェアホを見た。ヨルクはキッチリしているから、布率もパターン別にズラーっと並んでいた。綿90%のポリエステル10%……割りと上の方にあった。カナエさんが、さっき使っていたレモンの方法は、どの村も共通しているらしい。けれど、綿や麻など繊細な素材は、レモンでも良いが煮詰めると、ブドウとリンゴを混ぜた水に浸した方が布を傷めずに汚れを落とせるらしい。妖精村の果実は不思議な力があって、汚れは勿論のこと時には薬としての効力も発揮すると言われている。そんな感じのニュースを昔見たことがある。
「セレナールさん。ブドウとリンゴを混ぜた水に浸すと汚れが落ちますので、今タライにブドウとリンゴと水入れますので待っていてください」
私は近くにあるタライを手に取った。
「私がやるわ。汚したの私だし」
ここには多くの使用人がいる。なのに、セナ王女はずっと使用人に頼っていない。こういう純粋さは男心をくすぐる。
「あ、いえ、セナ王女は食べていてください」
私がブドウを入れた時、カナエさんが走ってきた。
「カナエがやりますので、お二人共食べていてください。ブドウもリンゴもほんの少しで良いのです」
そうか、分量があったか。やっぱりカナエさんには敵わない。
「汚れたなら僕が舐めてあげる」
突然、セイさんはセレナールさんのスカートを舐めはじめた。そういえば、この人、私が連れて来たんだっけ。もうめちゃくちゃ見てはいけないものを見てしまった気がする。こんな人、本当にいるんだ。正直ありえないし気持ち悪い。
「いや!! やめて!!」
セレナールさんはセイさんを突き飛ばそうとしたが、セイさんはあろうことかセレナールさんのスカートをめくった。意外にも派手目のピンクの下着だった。こういうの流行っているのだろうか。ナンパした女たちも似たようなものを履いている。けれど、よく見たら薄いワンピースに透けている。
「レースのパンツ良いね。こっちも舐めてあげようか」
うわ……この人異常だ。
「いや!! 誰か助けて!!」
どうして誰も助けようとしないのだろう。その瞬間、セナ王女がセイさんを引っぱたいた。
「あなた本当に最低ね! 姉さん恥ずかしいわ!」
私はセイさんからセレナールさんを遠ざけた。
「あの、透けてます」
私はパーカーを脱いでセレナールさんにかけた。
「えっ、全然気付かなかった!」
よく見ると、ワンピースは随分とくたびれている。長く着ていたのだろうか。
「インナーとかもってないんですか?」
見るならセナ王女の下着が良かったと思ってしまう私は確信犯だろうか。
「持ってないわ。ここまで物価が値上がりしたら買うものも買えない。服も下着もセール品だし」
そうだったのか。家、貧乏なのだろうか。何だか勿体ないな。
「そうですか。けれど、勿体ないですね。こんなに美人なのに。オシャレしたらきっと似合うと思うんです」
セレナールさんは美人だ。セナ王女とは違うタイプの。私はセナ王女の方が好みだけれど、多くの男はセレナールさんに釘付けだろう。
「オシャレ……か。したことないわ。うち貧乏だから」
世の中というものは不公平である。ブスという表現は不適切ではないが、男ウケしない女が不釣り合いなオシャレをして、セレナールさんのようなオシャレが映える人がオシャレを出来ないなんて、どうも煮え切らない。
「良かったら今度買いましょうか?」
セレナールさんを見ていると同情してしまい思わず言葉に出てしまった。
「ううん、悪いからいいわ」
セナ王女とは違った形で思ったより控えめ。あまり思いたくはないが、容姿が砕けた女ほど、あれこれ騒ぎ立て、容姿端麗の女はお淑やかだ。
「セレナール、昼間のビキニ姿、超セクシーだったよ。今度、学校の理科室で見せてくれないかな?」
もうここまで来るとホラーだ。セイさんは行き過ぎた恋愛感情をセレナールさんに抱いている。
「やめて! 気持ち悪い! セイが来るなら今日来てなかったわ! 服舐めたりスカートめくったり、私がどれだけ嫌な思いしてるか! それに誰も助けてくれないし!」
セイさんもセイさんだけど、どうして、あの時、誰もセレナールさんを助けようとしなかったのだろう。このままセイさんとセレナールさんが今日ここで泊まるのは良くない気がする。
「あの、セレナールさん。今日はお家に帰りませんか? 送って行きます」
セレナールさんは少し涙ぐみながら私の腕を組んだ。と思いきや、セナ王女まで私の腕を組んだのである。何故か両手に花状態。けれど、セナ王女に密着されると、やっぱり鼓動が速くなってしまう。セナ王女ほどの美人なら速攻で口説いて空咲まで持ち込みたい。でも、どうしてかセナ王女を適当な女と同じにはしたくなかった。
「どうしてミナクが送るのよ。私、セイにちゃんと注意したわ。セレナールを助けなかったわけじゃない!」
言われてみれば、セナ王女がセイさんを引っぱたいたからこそ、あの場は止まったわけで、それは助けなかったというより、セナ王女なりに助けたと位置付けした方がしっくり来る。
「怖いのよ……。好きでもない人に服舐められたり下着見られたり、ハッキリ言って気持ち悪いわ!」
確かに、あれは度を超えている。
「だから、注意したじゃない! でも、一応は弟だから、あまり悪く言われるのも良い気はしないわ! だって、ミナクにはくっついてるじゃない!」
セナ王女は、セレナールさんから私を少し遠ざけようとしたが、セレナールさんが私のタンクトップをつかんで、私はバランスを崩しセナ王女を押し倒す形で転んでしまった。
「ミナ……ク……」
しまった。転んだ時にセナ王女の胸に触れてしまっていた。私は咄嗟に起き上がりセナ王女を起こした。もし、二人きりだったら、どうなっていたか。
「すみません、大丈夫ですか?」
私はセナ王女に付いた草などを払った。
「大丈夫」
その瞬間、不意打ちにカラルリさんに殴り飛ばされた。カラルリさんは昔から私を嫌っている。けれど、私にはどうしてか分からなかった。
「やめて、カラルリ! セレナールがミナクの服つかんだから! ミナクのせいじゃないわ!」
セナ王女はこちらに向かって来たが、それより先にセレナールさんが私を抱き締めた。何だかカナエさんとは違う形で姉のように感じてしまった。弟はヨルクと同い歳だっけ。写真のツーショット見た限り仲も良さそうで羨ましい。
「ごめんなさい」
別にセレナールさんは悪くない。セナ王女に触れてしまったことがカラルリさんの心に火を付けてしまったのだろう。
「あ、いえ、セレナールさん悪くないんで」
と言ってる間に、今度はカナエさんが私からセレナールさんを少し遠ざけ私を抱き締めた。カナエさんの香り、ずっと変わっていない。小さい頃から好きだった。この香りは、いつも私を癒してくれた。
「セレナールのことは食い違いがあるようです。お兄様もミナクばかり攻撃しないでください! セレナールやセナさんの傍にいると無限ループですので、ミナクはカナエの傍にいてください」
本当に姉みたいだ。というか、カナエさんが実の姉だったらどれだけ良かったか。
その後も色々あったが、この日は私も別荘に泊まり、セイさんは、後に越してくるセナ王女とアルフォンス王子の弟の部屋で外側から鍵をかけられ朝まで出れなくなってセレナールさんに危害は及ばなかった。
けれど、私の心は、ほんの少しセナ王女に傾いていた。
昼休みに、他校の女子高校生と歩いていた。
「ごめん、今日はデート出来ない。友達のお見舞い行くの」
この女子高校生とは知り合って二週間ほどキープしている。今や、ご縁系サイトが流行っていて、昔みたいに適当な女がつかまらなくなってしまったからだ。この女だけでなく後二人キープしているが、空咲するだけでデートなんてめんどくさい。
その時、女子高校生のフェアホが落ちて私は拾った。
『愛してる』
『私も。今度いつデート出来る?』
『次の土曜日かな』
『嬉しい! バイキングレストランがいいな! 私の友達、いつも安っぽい店しか入らなくて』
『うん、行こう。奢るよ』
フェアホ画面を見た途端、私は女子高校生を殴り付けていた。
「やめて! お願い!」
女子高校生は怯えながら、この場だけ逃げようとするけれど、私は逃がさなかった。そして、女子高校生を殴る手は止まらなかった。
「何してるの!?」
気が付いたら私は投げ飛ばされていた。相手がセナ王女とも知らずに。正気を失った私は再び女子高校生に近付こうとしたが、また投げ飛ばされた。ダメだ、怒りが収まらない。けれど、勝てそうにもない。
「リリカ……お姉様……」
私は仰向けになったまま動けずにいた。すると、セナ王女が私を起き上がらせた。まさか、セナ王女が!? いや、そんなわけない。
「何があったか分からないけど、無抵抗の人間をあそこまで殴るのは良くないわ」
今はダメだ。セナ王女を傷付けてしまう。
「離れてください……」
セナ王女に手は出したくない。けれど、セナ王女は離れない。せっかく、あの日、別荘で楽しい時間を過ごしたのに。結局私は人間関係を作れない。私はセナ王女に殴りかかった。が、拳はあっさりつかまれてしまった。物凄い力だ。私がセナ王女を押し倒そうとした瞬間、セナ王女は私の上を飛び越え私の後ろに回った。
「あなたは強い。けれど、この世に強い人はいくらでもいるの」
別荘の時のあどけないセナ王女とは真逆の姿にただただ私は驚いていた。と、同時に幻滅されたと胸が傷んだ。けれど、セナ王女は愚かな私を抱き締めた。
「セナ……王女……?」
どうして、こんなみすぼらしい私に構うのだろう。
「これまでにも同じこと繰り返してたの? さっきはどうして殴ってたの?」
今更、嘘なんかついてもどうしようもない。
「他に男がいたのもイラッとしましたが、行きたくもないデートに行かされた挙句に安っぽい店と送信されているのを見た時は侮辱されたと思いました」
金なんてないし、そもそも好きでもない女に奢るなんて真っ平だ。けれど、パパ活が流行りだしてからは女も行きずりを選ぶより、好きでもないおっさんと空咲して儲けている。結局、世の中金なんだ。
「どんなお店?」
どうしてそこまで聞くのだろう。私のことなんて放っておけば良いのに。
「古びれたレトロカフェです」
2024年だというのに、レトロカフェは案外残っている。けれど、時代も時代だからレトロなんて、あまり流行らなくなって、今ではフェアスタ映えするメニューが豊富のカフェやレストランに行きたがる女ばかりだ。そういうのを、フェァリーZ広場などに載せて、自分の彼はハイスペだとアピールをしてマウントを取り合うのが女の日課になっている。
「合わないのよ。相手はSNSに載せたいためにカフェに入りたいけど、あなたはカフェに入る1ターンをなくしたい。本音がぶつかり合ってるのでは、いくら遊びでも、そのうち拗れると思うのよね」
セナ王女の言う通りだ。私は、ただ二人きりになることしか考えていない。女のSNS状況なんてどうでもいい。
「はい……。私が愚かでした……」
情けない。それでも、私にはリリカお姉様みたいに推しもしなければ、本命もいない。いつも何かに苛立って発散してしまう。
「あなたの求めてるのは好みの子と関係持つこと? それとも癒し?」
考えたことなかった。ただ、恐怖から逃れることしか考えてこなかった。
「癒し……だと思います」
何故か涙が溢れた。女の前で涙を溢すのは、はじめてだった。セナ王女の温もりが、私の凍り付いた心を溶かしたのかもしれない。
その時、セナ王女は私のピアスを片方外すとブレザーに付けた。
「だったら、あなたに色んな世界見せてあげる。もうこれからは一人で悩まないで。私が傍にいるから。遊びの代わりにはなれないけど、それ以上の幸せを与えるわ」
そして、私たちは連絡先交換をした。
この瞬間からセナ王女と頻繁に二人きりで会うようになった。
「昨日は晴れているから公園デートもいいわね」
デートって言われると、まるで恋人みたいだ。けれど、セナ王女とならカフェの個室で二人きりになりたい。
セナ王女は私に商店街で買ったサンドイッチを渡した。
「あの、やっぱり自分の分は払います。悪いですし」
情けなくも、これまで奢ってもらってばかりだ。
「気にしないで。まずは、あなたが楽しまないと。無理無理の遊びじゃなくて」
そういえば、カラルリさんとはどうなっているのだろう。
「あの、カラルリさんと会わなくて良いんですか? 両想いですよね?」
もう白梅は済んでいるのだろうか。こういう風に妬いてしまうのが嫌になる。セナ王女は本命ってわけではないのに。ただ、私の方が、ほんの少し意識しているに過ぎない。
「普通に会ってるけど?」
やっぱりそうか。セナ王女は狡い。こんなに思わせぶりなことしておきながら、カラルリさんからも好かれていて。まるで両手に花。
「家でですか?」
こんな風に聞いてしまうのが本当に嫌になってくる。
「ええ、カラルリの部屋で宿題してる」
部屋……。ってことはカラルリさんとはもう既に……。
「カラルリさんと関係持ったんですか?」
完全な嫉妬だ。
「何もしてないわ。強いて言うなら、あなたにファーストキス奪われた程度ね」
本当にそうなのだろうか。あの事故のファーストキスだけって、男女が同じ部屋に二人きりでいて、そんなことありえるのだろうか。
「カラルリさんのこと好きなんじゃないんですか?」
聞いてしまった。遊ぶ側の私がセナ王女の前では女々しくなっている。
「うーん、好きは好きね。転校して友達作れない私に何かと優しくしてくれて、今のグループがあるのもカラルリのお陰だし。良い人って思うわ。でも、恋愛感情かて言われてみれば正直分からないの」
それって、私と恋人のようにデートしながら、あわよくばカラルリさんと交際するってことじゃないか。狡い。
「狡いですね。ここまで思わせぶりなことしておいて、カラルリさんにも気があるだなんて」
その時、セナ王女は私に口付けをした。私はカラルリさんの存在を気にしてセナ王女を抱き寄せ激しく口付けをした。そして、軽くセナ王女の太ももを触ろうとした時、セナ王女は私の手をつかんだ。
「場所変える? 休日だから、ここだと家族連れもいるし」
セナ王女は真剣な眼差しで私を見た。そうか、揺れているのは私の方だった。
「い、いえ。すみません」
私はセナ王女から離れた。
この日、セナ王女は初白咲をした。
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あとがき。
流れでは明らかカラルリと付き合うはずだったのに。
ひとたび、人が加われば心境の変化も起きうる。
恋愛って分からないものですね。
けれど、カラルリにとっては二の舞にならなくて済んだのではないでしょうか。
記憶を思い出さないなら、三角関係突入だったでしょうけど。
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