日常のこととかオリジナル小説のこととか。
カレンダー
プロフィール
HN:
ashita
Webサイト:
性別:
女性
職業:
地主(土地貸してます)
趣味:
漫画やアニメを見るのが好きです。最推しはフーディーニ ♡
自己紹介:
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
ブログ、もう書かないと思ってました。
けれど、去年から書き始めた小説によって、過去に書いてた小説も書き始め、ここに載せることにしたのです。
小説は、主に『時間と時間を繋ぐ恋の物語』と『妖精村と愉快な仲間たち』をメインに書いています。
現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。
純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。
元々このブログは病気の記録用として立ち上げたものですが、小説載せるようになってからは、ここは出来るだけ趣味的なことを綴りたいと思っております。
病気の記録や様々な思いを綴るブログは移転済みなのです。
ただ、今は日記は個人的な徒然、或いはお知らせとして綴ることが多いかと思います。
小説、ぼちぼちマイペースに書いてゆきます。
よろしくお願い致します。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
お知らせ。
イラストは現在「ナノハナ家の日常」に載せております。サイドバーにリンクあります。
また、「カラクリよろずや」にて無料のフリーイラスト素材配布もはじめました✩.*˚
フリーイラスト素材も増やしていく予定です(*'ᴗ'*)
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
模倣・無断転載などは、ご遠慮ください。
ブログの小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
小説・純愛偏差値に関しましては、武家名・貴族名(程度による) / 及び、武官の階級 / 扇子・羽子板・花札・百人一首・紙飛行機などのアイテム使用方法の模倣の一切を禁じております。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
X @kigenzen1874
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
ブログ、もう書かないと思ってました。
けれど、去年から書き始めた小説によって、過去に書いてた小説も書き始め、ここに載せることにしたのです。
小説は、主に『時間と時間を繋ぐ恋の物語』と『妖精村と愉快な仲間たち』をメインに書いています。
現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。
純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。
元々このブログは病気の記録用として立ち上げたものですが、小説載せるようになってからは、ここは出来るだけ趣味的なことを綴りたいと思っております。
病気の記録や様々な思いを綴るブログは移転済みなのです。
ただ、今は日記は個人的な徒然、或いはお知らせとして綴ることが多いかと思います。
小説、ぼちぼちマイペースに書いてゆきます。
よろしくお願い致します。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
お知らせ。
イラストは現在「ナノハナ家の日常」に載せております。サイドバーにリンクあります。
また、「カラクリよろずや」にて無料のフリーイラスト素材配布もはじめました✩.*˚
フリーイラスト素材も増やしていく予定です(*'ᴗ'*)
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
模倣・無断転載などは、ご遠慮ください。
ブログの小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
小説・純愛偏差値に関しましては、武家名・貴族名(程度による) / 及び、武官の階級 / 扇子・羽子板・花札・百人一首・紙飛行機などのアイテム使用方法の模倣の一切を禁じております。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
X @kigenzen1874
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
カテゴリー
アーカイブ
最新記事
ブログ内検索
フリーエリア
〈資格履歴〉
2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2010年02月10日
→セルフ・カウンセリング
ステップ2 合格
2011年05月28日
→セルフ・カウンセリング
指導講師資格審査 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年01月20日
→鉛筆デッサンマスター 合格
→絵画インストラクター 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
→茶道アドバイザー 合格
→お点前インストラクター 合格
2025年04月17日
→着物マイスター 合格
→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
→サイキックアドバイザー 合格
→サイキックヒーラー 合格
2025年07月01日
→アンガーカウンセラー 合格
→アンガーコントロール士 合格
2025年08月04日
→漢方コーディネーター 合格
→薬膳調整師 合格
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
〈資格証明バナー〉

2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2010年02月10日
→セルフ・カウンセリング
ステップ2 合格
2011年05月28日
→セルフ・カウンセリング
指導講師資格審査 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年01月20日
→鉛筆デッサンマスター 合格
→絵画インストラクター 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
→茶道アドバイザー 合格
→お点前インストラクター 合格
2025年04月17日
→着物マイスター 合格
→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
→サイキックアドバイザー 合格
→サイキックヒーラー 合格
2025年07月01日
→アンガーカウンセラー 合格
→アンガーコントロール士 合格
2025年08月04日
→漢方コーディネーター 合格
→薬膳調整師 合格
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
〈資格証明バナー〉

純愛偏差値 未来編 一人称版 121話
《ナミネ》
「あの、セレナールさんをリークしたのラァナさんのようです」
私は突然来たヨナラタスさんからのメールを落ち武者さんに見せた。
「そっか。でも僕は恨めない」
だろうね。他の人だったら何がなんでも相手の人生壊していただろうに、ラァナさんに対してはそうしない。落ち武者さんも落ち武者さんで見かけによらず恋多き男だ。
「そうですよね……」
現世でラァナさんは、恐らくタルリヤさんと一緒にはならない。テナロスさんにお願いしたことは全てエミリさんの犠牲と引き換えだったが、やはりそのうちにエミリさんも気付くだろうか。でも、皇太子様は古代の時と同じ、エミリさんのことは特別扱いするような気がする。
あれだけ色々あったから、それがなくなって正直気持ちが着いていかない。
それに、セレナールさんをリークしたのがラァナさんだったなんて、とてもじゃないけど信じられない。されど、人というのは内側に怒りを込めている生き物だ。実のところ外側からじゃ何も分からない。
「じゃ、第三居間行く」
本音では落ち武者さんもショックな部分はあると思う。それでも、相手がラァナさんなら落ち武者さんは何が起きても恨まない。実の姉のように慕ってきた人なのだから。
第三居間では、既に朝ご飯が用意されていた。
武家はどこも朝からガッツリしている。私はいつものように一瞬でたいらげた。
「ナミネ、いつもよく噛んでって言ってるでしょ」
ヨルクさんはそう生きてきたかもしれないけれど、私は軍人や武官をしていたし、ゆっくりな朝など存在しなかった。
「あの、私ゆっくりな朝とかなかったんですよね。特に軍人時代は速く残さず食べなければなりませんでした」
いつ敵軍が来ても対応し切れるよう、妖精軍に与えられる時間は殆どなかった。
「うーん、そっか。でも、お腹壊さないでね」
そうは言われても多い量を一気にたいらげたらそうもいかない。それでも私は過去の時間は既に身体に取り込まれている。人は心より身体で覚えた方が習慣になって忘れにくい。どんな物ごとでもだ。
その時、テレビからニュースが流れた。
『これまで使って来たイジワル・イヤガラセというワードは、皇帝陛下の命令により黒鈴酷華と呼び方が変わることになりました』
物事の呼び方もどんどん変わってゆく。昔はそのまま表記されていたこともそれなりにあったのに。現代はそれが許されなくなっている。正直ややこしくて何がなんだか分からなくなってくる。
『続きまして。昨夜、桜木町のトンネルで複数の女子高生らしき人物が何者かに黒鈴酷華された模様です。一人の女子高生が交番に駆け込んだことで事件は判明しました。桜木町警察は全力で犯人の捜索をしています』
まさか……カンザシさんじゃないだろうか。私たちも夜中にテナロスさんにお願いはしたが、カンザシさんのことまでは含まれていない。カンザシさんか、或いはナヤレス殿か。どちらにしても私の実の兄だ。ナノハナ家にマスコミが押し寄せたりしたら武家としての信用問題に関わってくる。女子高生には申し訳ないけど、赤の他人が犯人であってほしい。
「ナヤレスだろうね?」
落ち武者さん、何か証拠でもあるのだろうか。
「あの現場でも見たんですか?」
想像だけでは断定出来ない。断定されても困る。
「さっきアンタの携帯鳴ったけど、ナヤレスからじゃないの?」
携帯?全く気付かなかった。私は携帯を開いた。確かにナヤレス殿からだ。全然連絡なかったのに、どうして今連絡を寄越してきたのだろう。
『ナミネ、助けてほしい。原石採取のバイトでもして、お金くれないかな?もう耐えきれない』
原石採取のバイトって。私たち、それをしてそれでもカラルリさんの転生ローン残ったままなのに。
『あの何があったんですか?』
やはり、ナヤレス殿なのだろうか。
『生活保護打ち切りになった。これでは生活出来ない』
打ち切り?一体どうしてそうなったのだろう。
『あの、昨夜どこにいましたか?』
『あの事件なら僕じゃない。とにかく助けてほしい』
ナヤレス殿ではなかった。落ち武者さんの読みが外れた瞬間だった。
「あ、ナヤレス殿ではないようです」
私は落ち武者さんにナヤレス殿とのやり取りを見せた。
「ふーん、僕はナヤレスを疑うけどね?生活保護なら月城総合病院で診断書でも書いてもらえば?」
そうか、診断書があれば受けられる。
『生活保護は月城総合病院で診断書書いてもらえばまた受けられると思います』
ハル院長次第だけども。
『分かった、行ってみる』
どうにか生活を繋ぐことが出来たらいいのだけれど。私は出来ればナヤレス殿関連のことには関与したくない。ナヤレス殿がセレナールさんに揺らいでタリさんとの仲も壊れてしまったのだから。面倒ごとはごめんだ。
「あの、皆さんごめんなさい。私、皆さんと仲良くしたいです」
とりあえず、リリカさんのことはアヤネさんが覚えている部分だけは消去してもらった。でも、リリカさんは許さないだろう。
「よく言うわ。あなた昨日なんて言ったの?赤線町が?」
やっぱり相当怒っている。リリカさんが誰にも言わずずっと隠し通してきたことだから、どこで調べたかは分からないけど、アヤネさんのやり方は卑怯だったと思う。
「えっと、すみません、覚えてません」
言い逃れだろうか。
「覚えてない?いいえ、覚えてるわ。私は確かに赤線町に送られた。でもそれは繁盛している老舗のイケメンお坊ちゃまと結婚するため。あの後、私は幸せに暮らしたわ。残念ね。人の不利な過去を引き出せなくて」
リリカさんは強い。昨日あれだけアヤネさんから罵倒されたのに強気な姿勢だ。
「私もリリカさんが客を取っていたとか嘘をつくの良くないと思うんですよね。証拠あるんですか?」
証拠はもう消えている。嘘をついても無駄だ。
「すみません、カッとなって言ってしまいました」
リリカさんはアヤネさんに味噌汁をかけた。
「あら、ごめんなさい。見えなかったの」
アヤネさんは爵位ある家柄だからメンバーを見下してきた。だから、孤立した。
「居間を汚すリリカもリリカだけど、いくら貴族だからって武家を下に見ないでほしいわね」
今はカナナさんがキクリ家を仕切っている。聞くところによるとカナミさんは夜通し勉強しているらしい。
「本当にすみません」
アヤネさんも自分に合うグループに入ったらいいのに。
「じゃ、ナノハナ家行く」
セナ王女たちは既に着いているみたいだけど、どうなるのだろう。少し気が重たい。
ナノハナ家、第四居間にはセナ王女、シャム軍医、ミネスさん、カンザシさん、ユメさん、委員長、ミツメさん、マモルさん、ミネルナさんがいた。
「ミネルナさん、Fメモってどういうことですか?僕を捨てるんですか?」
え、いきなり何の話だろう。そもそも、ミネルナさんがロォハさんと交際した時点でいくら幼少期両想いだったとしても失恋なのでは。
「お姉ちゃん、余計なこと書かないで!カンザシは不安定なんだから!」
ミネスさんのカンザシさんへの執着は時折怖くなる。
「ミネルナ。アンタ本当にロォハとしたのかよ?」
落ち武者さんは何故疑うのだろう。
「それは……」
え、嘘だったの?どうして……。
「フェアリーングかけるぞ!」
「してないわ……そういう雰囲気にはなったけど最後まではしてない」
どうして嘘なんか書いたのだろう。
「口付けはしたんですか?桃花触られたんですか?中花触られたんですか?」
何かカンザシさんが女々しく見える。それに、このやり取りちょっと重たい。せっかくみんなゼロに戻ったのに。
「ラルク、来て」
私はラルクの手を取って部屋に向かった。この時、落ち武者さんが私に小型盗聴器を取り付けていたことを私は全く知らなかった。そして、落ち武者さん、ヨルクさん、ナルホお兄様が私とラルクの会話を盗み聞きしていることも。
この部屋もかなり久々だ。
「どうしたんだよ、ナミネ」
私は使用人にお菓子とジュースを持ってこさせた。
「ラルク、セレナールさんとはやり直せそう?」
なんだかんだで気になってしまう。あれだけ好きになった人なのにここでラルクが冷めてしまったらセレナールさんは一人になってしまう。
「普通に好きだけど。綺麗だし、はじめて見た時の恋愛感情は確かにある。けど」
け、けど!?
「どうしたの?」
どうして区切ったのだろう。
「セレナール先輩は僕の一番ではないと思う。どこかに一番愛する人がいる気がする」
ダメだ。何か話についていけない。
「そっか。でも、前みたいに憎んでなくて良かった。ちゃんとセレナールさんに恋愛感情あって良かったよ。一番の人のことはよく分からないけど、セレナールさんへの気持ちが恋愛感情なら結婚してもいいと思う。勿論どの道選んでも私はラルクを応援するけど」
そうだ。ラルクの選んだ道を応援しよう。色々あったのだし、当時の感情をセレナールさんに抱けないのも無理もないと思う。
「そうだな。本当は一番の人と一緒になりたいけど、別にセレナール先輩のこと嫌いではないし、寧ろはじめて会った時の感情を抱いてる。でも、煮えきらなくてちょっと辛いな」
煮え切らない……か。ラルクの言う一番てなんだろう。私はヨルクさんが他の女と結婚した時も一番より目の前の恋人をちゃんと見てたと思う。ラハルさんとかズームさんとか。交際時は確かに幸せだった。満たされていた。
「ねえ、ラルクの言う一番って何?」
ラルクの恋愛観がちょっと分からない。
「簡単に言えばセレナール先輩より愛おしくて燃える恋愛」
全然簡単じゃない。そもそも、それ誰のことなのだろう。もしかして、シャナ?でも、氷河期町にはいなかった。それに遠い昔、私の軍人時代シャナはナヤセス殿と猛恋愛していたはず。
「うーん、その相手ってシャナ?」
他に思い浮かばない。
「そうかもな」
何かハッキリしない返事だな。
「そっか。現世でもどこかにいるよ!私たちと同い歳だろうし、また仲良くなれるよ」
そう、絶対にどこかにいる。信じたい。あの時間をまたみんなで過ごしたい。
「そうだな。ナミネ、愛してる」
今更だな。
「私もだよ、ラルク!ラルクをこの世で一番愛している!」
私たちはいくら精神年齢がとんでもないものでも、まだ中学生だ。私とラルクの愛してるの意味が具体的にどういうものなのか多分私もラルクも今は分からないと思う。
「愛で溢れてるね?」
え、落ち武者さん!?ヨルクさんとナルホお兄様も……。どこから聞かれていたのだろう。
「あ、いや、みんな仲間ですし」
遠い遠い昔からのご縁。
「ナミネ、この部屋掃除して衣替えするから第四居間に行っておいで」
その第四居間が荒れていたからここに避難したのに。
「あ、でも、第四居間は居づらいです」
ずっとカラルリさんのために、みんなで頑張っていたから休みたい。
「そっか……」
それ以上は言わない。
「あ、そう言えば、紅葉神社で開かれる紫陽花祭りのチラシ配り用のヨルクさんが着る法被と褌用意しました。今日の夕方みんなで配りに行きませんか?」
毎年、どうしてかヨルクさんのサイズのものをずっと用意し続けていた。ヨルクさんが私に渡せなかったマフラーを毎年編んでいたように。
「私はそのようなハシタナイ格好などしない。普通に配る」
どうしてヨルクさんて時折固くなるのだろう。私、ヨルクさんのこと未だに分かんないや。
「でも私、毎年ヨルクさんのサイズを特注していたんです。いつかヨルクさんが着る時のために!ヨルクさんが私に渡せないマフラーを毎年編んでくれていたように、私もヨルクさんの法被と褌用意していたんです!だから着てください!私たちの記念のためにも!」
着てほしい!私のヨルクさんへの愛情を受け取ってほしい!
「法被だけもらっておく」
法被だけ?どうして?
「あの、褌ももらってください!祭りと言えば法被と褌です!ヨルクさんにバッチリキメてほしいです!」
やっぱり、古代からの風習は現代も受け継いでほしい。
「ねえ、褌なんてほぼ裸でしょ?そんな格好して配れって言うの?何故私を辱める」
えっ……私はヨルクさんのために……。
「私はヨルクさんに着て欲しくて……!」
どうして……どうして……冷たい態度を取るのだろう。
「私は褌など着ない。そのような恥ずべき格好をするくらいなら死んだほうがマシだ」
何それ。信じられない。信じられないよ!私は無意識にポタポタ涙が零れていた。
「もういいです!行くよ、ラルク」
私はラルクの手を引っぱって部屋を出た。
「アンタさ、何も褌はないだろ」
落ち武者さん、第四居間に戻るのだろうか。
「落ち武者さんが知らないだけです。ミナクさんもカラルリさんもナルホお兄様もラルクも小さい頃に褌儀式は済ませています。ヨルクさんは逃げたんです!」
そう。ヨルクさんはこの町の伝統をいやだいやだと泣きわめいて誰も手がつけられなく説得も出来ずにここまで来た。ヨルクさんだけ伝統儀式は行っていないのだ。
「そうは言っても子供の頃と今では違うだろ。顔だけヨルクはプライド高いから着れないんだよ。チラシ配りはいいけど、一目惚れカラルリの転生ローンの問題もあるし、無断でナノハナ家出るのはなしだからね?」
プライドが高い。でも私は心を込めて用意した。
「分かってます。居場所がないだけです」
第四居間はカンザシさんが荒らして安らげない。
「客間に入ってたらいいだろ?」
そうは言っても何だか落ち着かない。ヨルクさんに私の愛情を否定されて苛立たしく悲しくなっている。
「ナミネ、今からチラシ配りしよう」
そうか、別に夕方からでなくてもいいや。
「そうだね、ラルク」
私とラルクは使用人から法被を受け取り商店街へ向かった。
あれ、カナエさん?
「あ、カナエさん配ってたんですね」
だったら私も一緒に行けば良かった。ヨルクさんの相手なんかしてないで。
「男尽くしカナエ、平凡アルフォンスと上手くいってないのか?」
落ち武者さん、やっぱり着いてきてる。ナノハナ家の法被。落ち武者さんは似合わない。
「別にカナエはチラシ配りをしたかっただけです」
上手くいってなかったんだ。ずっと昔からだろうか。それに私からしてみれば、あんなの恋愛詐欺だ。
「でも、恋愛なんて大抵が上手くいかないのは当然というか、それなりにありふれていると僕は思うけどな」
さっきのラルクの話、イマイチ理解出来てない。セレナールさんのこと、出会った当初の時のような感情のままなら、それは幸せな恋なのではないだろうか。それより一番って何?
「あの、カナエさんはどうしたいんですか?」
私はヨルクさんしかいないけど、その中でラハルさんやズームさんとも普通に交際出来ていた。でも、私が心の底から癒されていたのはヨルクさんだと思う。
「カナエはカラン王子様を選ぶべきでした」
えっ、でもそれって好きとかじゃなく無難に生きたいっていう風に聞こえるけど。
「あの、カナエさんはカラン王子のこと好きなんですか?」
恋愛感情あるのだろうか。
「遠い昔、一度だけそういう時もありました。今は友達として好きです。カナエはカラン王子様と幸せになりたいです」
うーん、そういう結婚概念もなくはないか。古い映画のように、結婚と恋愛は違うって割り切るとそれがその人の中では正しいになってしまうし。要はカナエさんは猛恋愛より平凡な交際を望んでいるということなのか。
「でも、カランは強気なナミネ好きみたいだし無理だと思うけど?」
落ち武者さんって分かんない。ちゃんと恋愛経験はしてるのにエルナさんとは復縁してないし、人の恋愛はとやかく言うし。
「カナエも分かっています。けれど、カナエだって愛されたいのです」
なるほど。カナエさんは愛することより愛されることを今は求めているのか。昔のカナエさんは好きになった人にはとことん尽くして尽くして尽くしまくる人だった。けれど、カナエさんも一人の女。男から愛されたいのは普通な感情だ。
「そうですよね。やっぱり一方的に愛すことより、相手から全力で愛されてみたいですよね」
そこは私も共感する。
「カナエはナミネが羨ましいです」
私?さっき思いっきりヨルクさんから褌突き返されたけど。
その時、みんながこちらへ向かって来た。
「もー、チラシ配るなら声かけてよ」
と言われても第四居間は行くに行けなかったし。
「シャム軍医……今彼女がいて、昔の縁(えにし)と出会ってしまったら……僕は……」
え、ここでも恋バナ?
ナヤセス殿は遠い昔、シャナと猛恋愛していた。もし、現世でもシャナが見つかればナヤセス殿は……多分どちらも選べない。傷付けたくないから。
「んー、シャナは生まれてきているかどうかも分からないんだよね。もし、シャナに会ったとしても、その時に決めればいいと思うよ。自分に嘘ついた恋愛なんて続かないから」
そうだよね。私は、小さい好きから大きな好きまで恋愛感情としてカウントしているけど、ナヤセス殿は一途だからそうもいかないだろう。
「そうですよね。存在しているかも分からない。そして僕は今現在は今の彼女を愛している。運命とさえ感じました。そういうものですよね」
そういうものだ。ナヤセス殿とロナさんはお似合いだ。別れて欲しくはないけれど、シャナが生きているかどうかも気になる。
「セナさん、白梅咲かせてほしい。二番でも構わないからセナさんの白梅がほしい」
あれだけFメモリイしておいて今更って思う。
「やめて。もうカラルリとは終わった関係。私は白咲さえしてないことになった。カラルリと友達以上になれないわ」
何だか切ない。去年は運命の人と信じて仲睦まじい恋人同士だったのに。
「私は転生ローンがまだ残っている。それなのに好きな女に逃げられたら私は生きてゆけない。絶鈴華したらセナさん後ろ指さされる人生だよ」
男も女も怖い。いざ自分が不利な立場になれば相手の幸せを奪おうとする。
「転生ローン返済は手伝うわ。でもシャム軍医に捧げるものをカラルリに捧げられない!」
恋愛って難しい。セナ王女の心がここまで変わるとは一年前は予測さえ出来なかった。
「あ、ラハルさんはもし、この人と出会っていたら一目惚れしますか?」
私は唐突にシャナの写真を見せた。いつもラハルさん私が綺麗だから告白したって言ってたから私と同い歳のシャナなら好きになるのではと何となく思ってしまった。
「しないと思う。確かに綺麗な子だとは思うけど、僕がナミネを好きなのは一緒にいて楽しいから。僕を癒してくれるのは常にナミネだったからだよ」
えっ、私といて楽しい……。ラハルさんはそう感じていたんだ。
「僕もです。ナミネさんは人を縛り付けたりしませんし、ナミネさんの笑顔が僕の生き甲斐でした」
ズームさんも。私ってそんなに楽しそうにしていたのだろうか。
「私ってそんなに楽しそうに見えますか?」
あれ、ヨルクさんいつからいたのだろう。今の話聞かれていたかな。
「ナミネってすぐそうやって男引っかけるよね。知らない土地行っても男掴まるんじゃない?」
どうして……どうしてそんなこと言うのだろう。私はヨルクさんのこと好きだから縁談を決めたのに。
「私はヨルクの言ってること分かる。ナミネは常に恵まれすぎている。でも、ハメを外したら男は逃げてゆく。ラハルもお兄ちゃんもナミネを忘れられずにいる。それだけでナミネは狡い」
そんな、私は私で一人になりながらもズームさんやラハルさんと知り合って交際してきたにすぎない。どうして狡いになるのだろう。ミネスさんは私のこと嫌いなのだろうか。
「あの、ミネスさん。私はその時その時の人生を歩んできました。それを狡いって酷くないですか?ミネスさんこそ何でも手に入るじゃないですか!」
その瞬間私はミネスさんに引っぱたかれた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
あとがき。
恋が切なすぎる回でした。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
現在、小説に関する模倣(程度による)の一切を禁じております。
詳しくはこちらを参照→ 禁止事項
無断転載もご遠慮ください。
《ナミネ》
「あの、セレナールさんをリークしたのラァナさんのようです」
私は突然来たヨナラタスさんからのメールを落ち武者さんに見せた。
「そっか。でも僕は恨めない」
だろうね。他の人だったら何がなんでも相手の人生壊していただろうに、ラァナさんに対してはそうしない。落ち武者さんも落ち武者さんで見かけによらず恋多き男だ。
「そうですよね……」
現世でラァナさんは、恐らくタルリヤさんと一緒にはならない。テナロスさんにお願いしたことは全てエミリさんの犠牲と引き換えだったが、やはりそのうちにエミリさんも気付くだろうか。でも、皇太子様は古代の時と同じ、エミリさんのことは特別扱いするような気がする。
あれだけ色々あったから、それがなくなって正直気持ちが着いていかない。
それに、セレナールさんをリークしたのがラァナさんだったなんて、とてもじゃないけど信じられない。されど、人というのは内側に怒りを込めている生き物だ。実のところ外側からじゃ何も分からない。
「じゃ、第三居間行く」
本音では落ち武者さんもショックな部分はあると思う。それでも、相手がラァナさんなら落ち武者さんは何が起きても恨まない。実の姉のように慕ってきた人なのだから。
第三居間では、既に朝ご飯が用意されていた。
武家はどこも朝からガッツリしている。私はいつものように一瞬でたいらげた。
「ナミネ、いつもよく噛んでって言ってるでしょ」
ヨルクさんはそう生きてきたかもしれないけれど、私は軍人や武官をしていたし、ゆっくりな朝など存在しなかった。
「あの、私ゆっくりな朝とかなかったんですよね。特に軍人時代は速く残さず食べなければなりませんでした」
いつ敵軍が来ても対応し切れるよう、妖精軍に与えられる時間は殆どなかった。
「うーん、そっか。でも、お腹壊さないでね」
そうは言われても多い量を一気にたいらげたらそうもいかない。それでも私は過去の時間は既に身体に取り込まれている。人は心より身体で覚えた方が習慣になって忘れにくい。どんな物ごとでもだ。
その時、テレビからニュースが流れた。
『これまで使って来たイジワル・イヤガラセというワードは、皇帝陛下の命令により黒鈴酷華と呼び方が変わることになりました』
物事の呼び方もどんどん変わってゆく。昔はそのまま表記されていたこともそれなりにあったのに。現代はそれが許されなくなっている。正直ややこしくて何がなんだか分からなくなってくる。
『続きまして。昨夜、桜木町のトンネルで複数の女子高生らしき人物が何者かに黒鈴酷華された模様です。一人の女子高生が交番に駆け込んだことで事件は判明しました。桜木町警察は全力で犯人の捜索をしています』
まさか……カンザシさんじゃないだろうか。私たちも夜中にテナロスさんにお願いはしたが、カンザシさんのことまでは含まれていない。カンザシさんか、或いはナヤレス殿か。どちらにしても私の実の兄だ。ナノハナ家にマスコミが押し寄せたりしたら武家としての信用問題に関わってくる。女子高生には申し訳ないけど、赤の他人が犯人であってほしい。
「ナヤレスだろうね?」
落ち武者さん、何か証拠でもあるのだろうか。
「あの現場でも見たんですか?」
想像だけでは断定出来ない。断定されても困る。
「さっきアンタの携帯鳴ったけど、ナヤレスからじゃないの?」
携帯?全く気付かなかった。私は携帯を開いた。確かにナヤレス殿からだ。全然連絡なかったのに、どうして今連絡を寄越してきたのだろう。
『ナミネ、助けてほしい。原石採取のバイトでもして、お金くれないかな?もう耐えきれない』
原石採取のバイトって。私たち、それをしてそれでもカラルリさんの転生ローン残ったままなのに。
『あの何があったんですか?』
やはり、ナヤレス殿なのだろうか。
『生活保護打ち切りになった。これでは生活出来ない』
打ち切り?一体どうしてそうなったのだろう。
『あの、昨夜どこにいましたか?』
『あの事件なら僕じゃない。とにかく助けてほしい』
ナヤレス殿ではなかった。落ち武者さんの読みが外れた瞬間だった。
「あ、ナヤレス殿ではないようです」
私は落ち武者さんにナヤレス殿とのやり取りを見せた。
「ふーん、僕はナヤレスを疑うけどね?生活保護なら月城総合病院で診断書でも書いてもらえば?」
そうか、診断書があれば受けられる。
『生活保護は月城総合病院で診断書書いてもらえばまた受けられると思います』
ハル院長次第だけども。
『分かった、行ってみる』
どうにか生活を繋ぐことが出来たらいいのだけれど。私は出来ればナヤレス殿関連のことには関与したくない。ナヤレス殿がセレナールさんに揺らいでタリさんとの仲も壊れてしまったのだから。面倒ごとはごめんだ。
「あの、皆さんごめんなさい。私、皆さんと仲良くしたいです」
とりあえず、リリカさんのことはアヤネさんが覚えている部分だけは消去してもらった。でも、リリカさんは許さないだろう。
「よく言うわ。あなた昨日なんて言ったの?赤線町が?」
やっぱり相当怒っている。リリカさんが誰にも言わずずっと隠し通してきたことだから、どこで調べたかは分からないけど、アヤネさんのやり方は卑怯だったと思う。
「えっと、すみません、覚えてません」
言い逃れだろうか。
「覚えてない?いいえ、覚えてるわ。私は確かに赤線町に送られた。でもそれは繁盛している老舗のイケメンお坊ちゃまと結婚するため。あの後、私は幸せに暮らしたわ。残念ね。人の不利な過去を引き出せなくて」
リリカさんは強い。昨日あれだけアヤネさんから罵倒されたのに強気な姿勢だ。
「私もリリカさんが客を取っていたとか嘘をつくの良くないと思うんですよね。証拠あるんですか?」
証拠はもう消えている。嘘をついても無駄だ。
「すみません、カッとなって言ってしまいました」
リリカさんはアヤネさんに味噌汁をかけた。
「あら、ごめんなさい。見えなかったの」
アヤネさんは爵位ある家柄だからメンバーを見下してきた。だから、孤立した。
「居間を汚すリリカもリリカだけど、いくら貴族だからって武家を下に見ないでほしいわね」
今はカナナさんがキクリ家を仕切っている。聞くところによるとカナミさんは夜通し勉強しているらしい。
「本当にすみません」
アヤネさんも自分に合うグループに入ったらいいのに。
「じゃ、ナノハナ家行く」
セナ王女たちは既に着いているみたいだけど、どうなるのだろう。少し気が重たい。
ナノハナ家、第四居間にはセナ王女、シャム軍医、ミネスさん、カンザシさん、ユメさん、委員長、ミツメさん、マモルさん、ミネルナさんがいた。
「ミネルナさん、Fメモってどういうことですか?僕を捨てるんですか?」
え、いきなり何の話だろう。そもそも、ミネルナさんがロォハさんと交際した時点でいくら幼少期両想いだったとしても失恋なのでは。
「お姉ちゃん、余計なこと書かないで!カンザシは不安定なんだから!」
ミネスさんのカンザシさんへの執着は時折怖くなる。
「ミネルナ。アンタ本当にロォハとしたのかよ?」
落ち武者さんは何故疑うのだろう。
「それは……」
え、嘘だったの?どうして……。
「フェアリーングかけるぞ!」
「してないわ……そういう雰囲気にはなったけど最後まではしてない」
どうして嘘なんか書いたのだろう。
「口付けはしたんですか?桃花触られたんですか?中花触られたんですか?」
何かカンザシさんが女々しく見える。それに、このやり取りちょっと重たい。せっかくみんなゼロに戻ったのに。
「ラルク、来て」
私はラルクの手を取って部屋に向かった。この時、落ち武者さんが私に小型盗聴器を取り付けていたことを私は全く知らなかった。そして、落ち武者さん、ヨルクさん、ナルホお兄様が私とラルクの会話を盗み聞きしていることも。
この部屋もかなり久々だ。
「どうしたんだよ、ナミネ」
私は使用人にお菓子とジュースを持ってこさせた。
「ラルク、セレナールさんとはやり直せそう?」
なんだかんだで気になってしまう。あれだけ好きになった人なのにここでラルクが冷めてしまったらセレナールさんは一人になってしまう。
「普通に好きだけど。綺麗だし、はじめて見た時の恋愛感情は確かにある。けど」
け、けど!?
「どうしたの?」
どうして区切ったのだろう。
「セレナール先輩は僕の一番ではないと思う。どこかに一番愛する人がいる気がする」
ダメだ。何か話についていけない。
「そっか。でも、前みたいに憎んでなくて良かった。ちゃんとセレナールさんに恋愛感情あって良かったよ。一番の人のことはよく分からないけど、セレナールさんへの気持ちが恋愛感情なら結婚してもいいと思う。勿論どの道選んでも私はラルクを応援するけど」
そうだ。ラルクの選んだ道を応援しよう。色々あったのだし、当時の感情をセレナールさんに抱けないのも無理もないと思う。
「そうだな。本当は一番の人と一緒になりたいけど、別にセレナール先輩のこと嫌いではないし、寧ろはじめて会った時の感情を抱いてる。でも、煮えきらなくてちょっと辛いな」
煮え切らない……か。ラルクの言う一番てなんだろう。私はヨルクさんが他の女と結婚した時も一番より目の前の恋人をちゃんと見てたと思う。ラハルさんとかズームさんとか。交際時は確かに幸せだった。満たされていた。
「ねえ、ラルクの言う一番って何?」
ラルクの恋愛観がちょっと分からない。
「簡単に言えばセレナール先輩より愛おしくて燃える恋愛」
全然簡単じゃない。そもそも、それ誰のことなのだろう。もしかして、シャナ?でも、氷河期町にはいなかった。それに遠い昔、私の軍人時代シャナはナヤセス殿と猛恋愛していたはず。
「うーん、その相手ってシャナ?」
他に思い浮かばない。
「そうかもな」
何かハッキリしない返事だな。
「そっか。現世でもどこかにいるよ!私たちと同い歳だろうし、また仲良くなれるよ」
そう、絶対にどこかにいる。信じたい。あの時間をまたみんなで過ごしたい。
「そうだな。ナミネ、愛してる」
今更だな。
「私もだよ、ラルク!ラルクをこの世で一番愛している!」
私たちはいくら精神年齢がとんでもないものでも、まだ中学生だ。私とラルクの愛してるの意味が具体的にどういうものなのか多分私もラルクも今は分からないと思う。
「愛で溢れてるね?」
え、落ち武者さん!?ヨルクさんとナルホお兄様も……。どこから聞かれていたのだろう。
「あ、いや、みんな仲間ですし」
遠い遠い昔からのご縁。
「ナミネ、この部屋掃除して衣替えするから第四居間に行っておいで」
その第四居間が荒れていたからここに避難したのに。
「あ、でも、第四居間は居づらいです」
ずっとカラルリさんのために、みんなで頑張っていたから休みたい。
「そっか……」
それ以上は言わない。
「あ、そう言えば、紅葉神社で開かれる紫陽花祭りのチラシ配り用のヨルクさんが着る法被と褌用意しました。今日の夕方みんなで配りに行きませんか?」
毎年、どうしてかヨルクさんのサイズのものをずっと用意し続けていた。ヨルクさんが私に渡せなかったマフラーを毎年編んでいたように。
「私はそのようなハシタナイ格好などしない。普通に配る」
どうしてヨルクさんて時折固くなるのだろう。私、ヨルクさんのこと未だに分かんないや。
「でも私、毎年ヨルクさんのサイズを特注していたんです。いつかヨルクさんが着る時のために!ヨルクさんが私に渡せないマフラーを毎年編んでくれていたように、私もヨルクさんの法被と褌用意していたんです!だから着てください!私たちの記念のためにも!」
着てほしい!私のヨルクさんへの愛情を受け取ってほしい!
「法被だけもらっておく」
法被だけ?どうして?
「あの、褌ももらってください!祭りと言えば法被と褌です!ヨルクさんにバッチリキメてほしいです!」
やっぱり、古代からの風習は現代も受け継いでほしい。
「ねえ、褌なんてほぼ裸でしょ?そんな格好して配れって言うの?何故私を辱める」
えっ……私はヨルクさんのために……。
「私はヨルクさんに着て欲しくて……!」
どうして……どうして……冷たい態度を取るのだろう。
「私は褌など着ない。そのような恥ずべき格好をするくらいなら死んだほうがマシだ」
何それ。信じられない。信じられないよ!私は無意識にポタポタ涙が零れていた。
「もういいです!行くよ、ラルク」
私はラルクの手を引っぱって部屋を出た。
「アンタさ、何も褌はないだろ」
落ち武者さん、第四居間に戻るのだろうか。
「落ち武者さんが知らないだけです。ミナクさんもカラルリさんもナルホお兄様もラルクも小さい頃に褌儀式は済ませています。ヨルクさんは逃げたんです!」
そう。ヨルクさんはこの町の伝統をいやだいやだと泣きわめいて誰も手がつけられなく説得も出来ずにここまで来た。ヨルクさんだけ伝統儀式は行っていないのだ。
「そうは言っても子供の頃と今では違うだろ。顔だけヨルクはプライド高いから着れないんだよ。チラシ配りはいいけど、一目惚れカラルリの転生ローンの問題もあるし、無断でナノハナ家出るのはなしだからね?」
プライドが高い。でも私は心を込めて用意した。
「分かってます。居場所がないだけです」
第四居間はカンザシさんが荒らして安らげない。
「客間に入ってたらいいだろ?」
そうは言っても何だか落ち着かない。ヨルクさんに私の愛情を否定されて苛立たしく悲しくなっている。
「ナミネ、今からチラシ配りしよう」
そうか、別に夕方からでなくてもいいや。
「そうだね、ラルク」
私とラルクは使用人から法被を受け取り商店街へ向かった。
あれ、カナエさん?
「あ、カナエさん配ってたんですね」
だったら私も一緒に行けば良かった。ヨルクさんの相手なんかしてないで。
「男尽くしカナエ、平凡アルフォンスと上手くいってないのか?」
落ち武者さん、やっぱり着いてきてる。ナノハナ家の法被。落ち武者さんは似合わない。
「別にカナエはチラシ配りをしたかっただけです」
上手くいってなかったんだ。ずっと昔からだろうか。それに私からしてみれば、あんなの恋愛詐欺だ。
「でも、恋愛なんて大抵が上手くいかないのは当然というか、それなりにありふれていると僕は思うけどな」
さっきのラルクの話、イマイチ理解出来てない。セレナールさんのこと、出会った当初の時のような感情のままなら、それは幸せな恋なのではないだろうか。それより一番って何?
「あの、カナエさんはどうしたいんですか?」
私はヨルクさんしかいないけど、その中でラハルさんやズームさんとも普通に交際出来ていた。でも、私が心の底から癒されていたのはヨルクさんだと思う。
「カナエはカラン王子様を選ぶべきでした」
えっ、でもそれって好きとかじゃなく無難に生きたいっていう風に聞こえるけど。
「あの、カナエさんはカラン王子のこと好きなんですか?」
恋愛感情あるのだろうか。
「遠い昔、一度だけそういう時もありました。今は友達として好きです。カナエはカラン王子様と幸せになりたいです」
うーん、そういう結婚概念もなくはないか。古い映画のように、結婚と恋愛は違うって割り切るとそれがその人の中では正しいになってしまうし。要はカナエさんは猛恋愛より平凡な交際を望んでいるということなのか。
「でも、カランは強気なナミネ好きみたいだし無理だと思うけど?」
落ち武者さんって分かんない。ちゃんと恋愛経験はしてるのにエルナさんとは復縁してないし、人の恋愛はとやかく言うし。
「カナエも分かっています。けれど、カナエだって愛されたいのです」
なるほど。カナエさんは愛することより愛されることを今は求めているのか。昔のカナエさんは好きになった人にはとことん尽くして尽くして尽くしまくる人だった。けれど、カナエさんも一人の女。男から愛されたいのは普通な感情だ。
「そうですよね。やっぱり一方的に愛すことより、相手から全力で愛されてみたいですよね」
そこは私も共感する。
「カナエはナミネが羨ましいです」
私?さっき思いっきりヨルクさんから褌突き返されたけど。
その時、みんながこちらへ向かって来た。
「もー、チラシ配るなら声かけてよ」
と言われても第四居間は行くに行けなかったし。
「シャム軍医……今彼女がいて、昔の縁(えにし)と出会ってしまったら……僕は……」
え、ここでも恋バナ?
ナヤセス殿は遠い昔、シャナと猛恋愛していた。もし、現世でもシャナが見つかればナヤセス殿は……多分どちらも選べない。傷付けたくないから。
「んー、シャナは生まれてきているかどうかも分からないんだよね。もし、シャナに会ったとしても、その時に決めればいいと思うよ。自分に嘘ついた恋愛なんて続かないから」
そうだよね。私は、小さい好きから大きな好きまで恋愛感情としてカウントしているけど、ナヤセス殿は一途だからそうもいかないだろう。
「そうですよね。存在しているかも分からない。そして僕は今現在は今の彼女を愛している。運命とさえ感じました。そういうものですよね」
そういうものだ。ナヤセス殿とロナさんはお似合いだ。別れて欲しくはないけれど、シャナが生きているかどうかも気になる。
「セナさん、白梅咲かせてほしい。二番でも構わないからセナさんの白梅がほしい」
あれだけFメモリイしておいて今更って思う。
「やめて。もうカラルリとは終わった関係。私は白咲さえしてないことになった。カラルリと友達以上になれないわ」
何だか切ない。去年は運命の人と信じて仲睦まじい恋人同士だったのに。
「私は転生ローンがまだ残っている。それなのに好きな女に逃げられたら私は生きてゆけない。絶鈴華したらセナさん後ろ指さされる人生だよ」
男も女も怖い。いざ自分が不利な立場になれば相手の幸せを奪おうとする。
「転生ローン返済は手伝うわ。でもシャム軍医に捧げるものをカラルリに捧げられない!」
恋愛って難しい。セナ王女の心がここまで変わるとは一年前は予測さえ出来なかった。
「あ、ラハルさんはもし、この人と出会っていたら一目惚れしますか?」
私は唐突にシャナの写真を見せた。いつもラハルさん私が綺麗だから告白したって言ってたから私と同い歳のシャナなら好きになるのではと何となく思ってしまった。
「しないと思う。確かに綺麗な子だとは思うけど、僕がナミネを好きなのは一緒にいて楽しいから。僕を癒してくれるのは常にナミネだったからだよ」
えっ、私といて楽しい……。ラハルさんはそう感じていたんだ。
「僕もです。ナミネさんは人を縛り付けたりしませんし、ナミネさんの笑顔が僕の生き甲斐でした」
ズームさんも。私ってそんなに楽しそうにしていたのだろうか。
「私ってそんなに楽しそうに見えますか?」
あれ、ヨルクさんいつからいたのだろう。今の話聞かれていたかな。
「ナミネってすぐそうやって男引っかけるよね。知らない土地行っても男掴まるんじゃない?」
どうして……どうしてそんなこと言うのだろう。私はヨルクさんのこと好きだから縁談を決めたのに。
「私はヨルクの言ってること分かる。ナミネは常に恵まれすぎている。でも、ハメを外したら男は逃げてゆく。ラハルもお兄ちゃんもナミネを忘れられずにいる。それだけでナミネは狡い」
そんな、私は私で一人になりながらもズームさんやラハルさんと知り合って交際してきたにすぎない。どうして狡いになるのだろう。ミネスさんは私のこと嫌いなのだろうか。
「あの、ミネスさん。私はその時その時の人生を歩んできました。それを狡いって酷くないですか?ミネスさんこそ何でも手に入るじゃないですか!」
その瞬間私はミネスさんに引っぱたかれた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
あとがき。
恋が切なすぎる回でした。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
現在、小説に関する模倣(程度による)の一切を禁じております。
詳しくはこちらを参照→ 禁止事項
無断転載もご遠慮ください。
PR