日常のこととかオリジナル小説のこととか。
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ashita
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女性
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地主(土地貸してます)
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漫画やアニメを見るのが好きです。最推しはフーディーニ ♡
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ブログ、もう書かないと思ってました。
けれど、去年から書き始めた小説によって、過去に書いてた小説も書き始め、ここに載せることにしたのです。
小説は、主に『時間と時間を繋ぐ恋の物語』と『妖精村と愉快な仲間たち』をメインに書いています。
現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。
純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。
元々このブログは病気の記録用として立ち上げたものですが、小説載せるようになってからは、ここは出来るだけ趣味的なことを綴りたいと思っております。
病気の記録や様々な思いを綴るブログは移転済みなのです。
ただ、今は日記は個人的な徒然、或いはお知らせとして綴ることが多いかと思います。
小説、ぼちぼちマイペースに書いてゆきます。
よろしくお願い致します。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
お知らせ。
イラストは現在「ナノハナ家の日常」に載せております。サイドバーにリンクあります。
また、「カラクリよろずや」にて無料のフリーイラスト素材配布もはじめました✩.*˚
フリーイラスト素材も増やしていく予定です(*'ᴗ'*)
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
模倣・無断転載などは、ご遠慮ください。
ブログの小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
小説・純愛偏差値に関しましては、武家名・貴族名(程度による) / 及び、武官の階級 / 扇子・羽子板・花札・百人一首・紙飛行機などのアイテム使用方法の模倣の一切を禁じております。
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X @kigenzen1874
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現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。
純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。
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〈資格履歴〉
2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2010年02月10日
→セルフ・カウンセリング
ステップ2 合格
2011年05月28日
→セルフ・カウンセリング
指導講師資格審査 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年01月20日
→鉛筆デッサンマスター 合格
→絵画インストラクター 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
→茶道アドバイザー 合格
→お点前インストラクター 合格
2025年04月17日
→着物マイスター 合格
→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
→サイキックアドバイザー 合格
→サイキックヒーラー 合格
2025年07月01日
→アンガーカウンセラー 合格
→アンガーコントロール士 合格
2025年08月04日
→漢方コーディネーター 合格
→薬膳調整師 合格
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〈資格証明バナー〉

2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2010年02月10日
→セルフ・カウンセリング
ステップ2 合格
2011年05月28日
→セルフ・カウンセリング
指導講師資格審査 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年01月20日
→鉛筆デッサンマスター 合格
→絵画インストラクター 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
→茶道アドバイザー 合格
→お点前インストラクター 合格
2025年04月17日
→着物マイスター 合格
→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
→サイキックアドバイザー 合格
→サイキックヒーラー 合格
2025年07月01日
→アンガーカウンセラー 合格
→アンガーコントロール士 合格
2025年08月04日
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→薬膳調整師 合格
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〈資格証明バナー〉

純愛偏差値 未来編 一人称版 114話
《ヨルク》
ナミネが帰ってきたのは翌日だった。
「ナミネ、どこ行ってたの?心配したんだよ」
どうして何も言わないで、ここから出ちゃうの。
「シャム軍医の家に泊まってました」
泊まる?何故その必要があるのだろうか。
「ねえ、それより誰が姉さんハメたのか割り出してくれないかしら?」
セナ王女のお姉様……?
「得体の知れないズルエヌ。アンタやるか?」
え、今から何がはじまるの?
「いやあ、僕もハツだから、いつ選ばれるか分からない不安があるからね。セルファがするといいよ」
ズルエヌさん、ずっと天界にいたから高校1年生で止まったまま現世に戻されたんだっけ。
「じゃ、はじめる。甘えセナの姉のターサスヒ、ハメたのこの中にいんのか?」
昨日ニュースで放送されていた第二王室の王女?セナ王女のお姉様だったの?それって、つまり庶子ということだろうか。
けれど、第二王室は女王制なのに、国王が妾を作るなんて奇妙だな。
写真見る限りは、セナ王女にはあまり似ていない。綺麗で、身長も高く、黒髪をまとめていて、胸が大きくスタイルのいい女子(おなご)だ。メアラスさんと同じくらいタイプかもしれない。
「顔だけヨルク。アンタ、ターサスヒのことどう思う?」
え、それ今全然関係ないよね。
「正直、ミネルナさんより綺麗で黒髪でスタイル良くて胸が大きいところがタイプだし、出来れば水着姿見たいけど少し身長が高い気がする」
いたっ!案の定ナミネに扇子で叩かれてしまった。
「ヨルクさん最低です!そんなに胸胸言うならターサスヒ王女に水着姿見せてと言えばいいじゃないですか!」
何故、いつもいつも私ばかりが責められなければならない。ターサスヒ王女ほどの美人を見たら誰だって魅力を感じるだろうに。別に付き合いたいとかじゃないから、そこまで怒らなくてもいいのに。
「別に付き合いたいとかじゃないし、綺麗だなって思っただけだから!」
ナクリさんで決定したと思えば、いきなり第二王室の存在が発見され、ターサスヒ王女が生贄に選ばれるなんて、誰が予測できよう。
「綺麗、黒髪、スタイルがいい、胸が大きい。まるで成長したナミネね」
え、言われてみれば、ナミネは成長すればするほど身体も成熟していくけど、ナミネは綺麗というより可愛い系だと思うが。
「じゃ、話戻す。ターサスヒ、ハメたの誰だ?」
何故、私のみをハメた。
てか、誰も名乗り出ないじゃない。
「第二王室の存在発見されたの昨日でしょ?だとしたら、誰かがハメるというのも変な話だね」
確かに、もう消滅したはずの第二王室が突然発見されて、そこに誰かが加わっているなら、既に第二王室の存在を知っていたことになる。
「既に第二王室の存在を知っているのって限られてますよね。例えば、セイさんのお母様なら知らないはずはありません」
ラルクの言うようにセイさんの母親くらいしか思いつかない。
「母さんは娘をハメるような人間ではないわ!」
親が子をハメるなんてセイさんのお母様はしないだろうな。ナヤレスさんやカンザシさんの育て親じゃあるまいし。
「うーん、セリルが知ってるみたいだよ」
ズルエヌさんってセリルさんみたいな存在かと思っていたけれど、もっとエリートな気がする。
「言え!セリル!」
落ち武者さんは、セリルさんに扇子を突き付けた。正直、仲の良い兄弟が拗れてしまう光景は見ていていい気はしない。私はラルクにいやってほど嫌われてきたというのに。
「カナコさんだよ……」
カナコさんが!?ナクリさんに決まった時点で引かなかったのだろうか。
「関係ない人間を犠牲にするなんて許せないわ!」
セナ王女、めちゃくちゃ怒っている。けれど、ここでカナコさんに決まってしまえば、それこそ歴史が変わってしまう。
「アルフォンス王子様!」
「カナエ……?」
このタイミングで目覚めるとは。
「アルフォンス!大丈夫?今医師を呼ぶわ!」
セナ王女は、病院の無線で受付にアルフォンス王子の目覚めを伝えた。数分後、医師が来た。
「まだ、激しい運動は出来ませんが、大人しく療養していれば、完治するでしょう。薬を出しておきますので、朝昼晩の食後に飲んでください」
これで、アルフォンス王子の問題は解決したが、ターサスヒ王女の問題は長引きそうだ。
「アルフォンス王子様、カナエが間違っていました。カナエはずっとアルフォンス王子様のお傍にいます」
カナエさんはアルフォンス王子を抱き締めた。
「カナエ……生きてて良かった……あの時、死ななくて良かったよ。考え直してくれてありがとう」
これは、幸せと呼ぶのだろうか。誰にも分からないだろうけど、変わり果てた者に愛情を注ぐのは科学的にも困難であると証明されている。
「目覚めたとこ悪いんだけど、アンタの姉が生贄に決められたけど?」
それだけで分かるのだろうか?
「えっと、どの姉?」
「ターサスヒ」
少し沈黙が流れた。
「えっ、姉さん生きてたの?」
やはり、そうなるか。
「あの、でもカナコさんは第二王室の存在知りませんでしたよね?だったら、ターサスヒ王女がどのような人物かも知らないはずです」
ナミネの言う通り、カナコさんも第二王室の存在など知るわけがない。
「普通に、そのセイって子なんじゃないの?その子は王子じゃないんでしょ?」
やっぱり、ズルエヌさんは勘がいい。自分の身元なんて役場に行けば分かる。けれど、ターサスヒ王女はセイさんの実の姉。何の恨みがあるというのだろうか。そもそも、兄弟仲悪かったっけ?
「セイだね。身分差で随分私たちのこと恨んできたし」
えっ、本当にセイさんなの?
「そんな、セイが……。でも、セイのことは恨めないわ」
どこの家庭も兄弟は庇い合うものか。
『緊急速報です。生贄制度ですが、今日の14時から行われることになりました。また、進行人(古代は道化師)は紅葉町に住むアランさんに決まりました。では、絶世の美女と呼ばれるターサスヒ王女の赤花咲をお楽しみください』
今日!?ダメだ、間に合わない。
「ふふっ、カナコさん怒らせるなんて自業自得ね」
「セレナール、今なんて言ったの?」
セナ王女はセレナールさんに短剣を突き付けた。
「やめてよ!ここ病院よ!」
「これがターサスヒ王女か。ちょー美人だな。こんな女が彼女だったらなあ」
どうして、こういう時にミナクお兄様は場違いな発言をするのだろう。
「アンタ、やめなさいよ!今どういう状況か分かってるでしょ!」
ミナクお兄様は、ナナミさんの肩を抱いた。
「私はナナミにならなくて良かったと思っている。ナナミが選ばれるくらいなら無理にでもナナミのハツをもらってた」
よくまあ、そんな恥ずかしいことが言えるもんだ。聞いているこっちが恥ずかしい。
「何よ!あなたとだけは交際しないわ!この女たらし!」
現時刻は10時過ぎ。時間がなさすぎる。このままでは本当にターサスヒ王女が生贄になってしまう。
「時間ないけど、どうするわけ?」
落ち武者さんも、セレナールさんが免除されたからって他人事みたいに言って。
「あまり、こういうことに口を挟みたくはありませんが、要はターサスヒ王女から別の人に変えればいいということですよね?」
珍しくアヤネさんが口を挟んだ。
「ええ、そうだけど。そんなこと出来るの?」
出来ていれば苦労はしないだろう。
「貴族には貴族の裏事情があります。貴族というのは、ひとたび都合が悪くなれば直ぐに貴族ガチャを引いています。私も父が所有する券が3枚あります。けれど、運が悪ければ、昔の旧友だったり、別のご姉妹が出てしまう場合もあります。どうなされますか?」
貴族ガチャ?何なんだそれは。
しかし、どこの世界にも表あれば裏もある。貴族ということは、相当な何かを隠して生きているのだろうか。
「引くわ!姉さんから変えられるなら!」
セナ王女は、見た目通りチャレンジャーだな。
「分かりました」
アヤネさんは無線を手に取った。
「ロリハー家・次女・アヤネ。別荘にいる武官は今すぐZコース三回お願いします」
『かしこまりました。ただ今開始致します』
これ、本当に大丈夫なのだろうか。
「僕も、口を挟む立場じゃないけど、例えターサスヒ王女から別の人になったとしても、絶対誰かが犠牲にならなければならないわけだよね?それも僕らによって見ず知らずの人の人生が奪われるとなったら、下手したら刺されるかもしれないよ?」
問題はそこだ。誰かが犠牲にならなければならない。それが、公式に選ばれた者なら誰も文句は言えないだろうけど、こんなところで、我々がコソコソ、全く知らない人間にすり替えるのは、正直間違った行動にも思えてくる。
「分かってる!分かってるわよ!でも、どうしようもないの!今、姉さんの人生が台無しになれば、私も幸せになれない!」
セナ王女はその場に泣き崩れた。私も、ナミネが犠牲になるなら、同じことをしていたかもしれない。人というのは、いやってほどに、自分と自分の大切な人さえ良ければ他は犠牲になっても涼しい顔している生き物だ。
「セナ元帥、どうかご自分をお責にならないでください。誰だって道を踏み外すことはあります。僕はセナ元帥に同意します」
シャム軍医はセナ王女を立ち上がらせた。
「シャム軍医……」
『アヤネ!あなた何しているの?今すぐやめさせなさい!!』
アヤナさんの声。アヤナさんって、少しヤンキータイプに見えたけど、本当はまともな人間なんだ。
『アヤナ!私がアヤネに無理を言ったの!どうしても姉さんを犠牲にしたくなくて!』
『セナ王女。お気持ちお察し致します。しかしながら、アヤネの安易な行動で、セナ王女のお命が危うくなる場合もございます。中断をオススメします』
どこも、長女はしっかりしているものなのだな。クレナイ家もそうだし。ナノハナ家も。
『結果が出ました。一人目・カラクリ家・次女エミリ。二人目・コノハ家・次女レイナ。三人目・第一王室・第10王女コソナ様。どうなされますか?』
セナ王女は、首を横に振った。
『却下でお願いします』
はあ、めちゃくちゃ緊張が走っていた。
『アヤネ!後で覚えておきなさいよ!』
「アヤナには私から文を書くわ」
セナ王女もアルフォンス王子もずっと顔が青ざめている。
「いいえ、お姉様はいつもああなんです。いつも私のお気に入りを取り上げたり、私を嘲笑ったり……。姉妹中は最悪です」
本当にそうだろうか。なんか、そうは見えない気がするのは気のせいだろうか。
「人見下しアヤネ。アンタ鈍すぎ」
「本当に、私、姉から嫌がらせ受けて来たんです!」
姉妹というのも難しいものだな。現に、ミドリさんとナクリさんも、犬猿の仲だったわけだし。
「人見下しアヤネ、アンタ不治の病なんだよ!けど、そんなアンタを長生きさせるために、アヤナが小さい頃からアンタに輸血し続けてんだ!アヤナはアンタのこと愛してんだよ!」
そうだったのか。どこから情報得たかは知らないけど、やっぱりアヤナさんは、アヤネさんのことをいつも想っていたんだ。
「そ、そんな。有り得ませんわ!」
「だったらこれみて見ろ!アヤナがアンタ救った記録のコピーだ」
どうしてそんなものまで持っているのだろう。まさか、この病院に記録があるのか?
「う、嘘でしょ……。お姉様が……」
「アヤナは、アンタのためだけにやりたいことを諦めてきた。アンタもっとまともな人間になれ!」
アヤネさんは渡された記録と共に泣き崩れた。
「ごめんなさい。私も知っていたけど、アヤナに口止めされていたの」
よく考えればセナ王女が知らないわけないか。
「じゃあ、次は私ね」
え、どうしてエルナが!?
その瞬間、落ち武者さんがエルナを押し倒した。
「アンタは何もするな!時間内に僕が解決する!」
ナミネのこと好きとか言っておきながら、結局今もエルナのこと好きじゃない。しかも、ナミネは写真まで撮ってるし。
「セルファ。世の中にはどうにもならないこともあるのよ。それを動かすには誰かが黒幕にならなきゃいけないの」
エルナ……。ずっとそうやって生きてきたのか。強い人間ほど、抱えるものも重たい。
「絶対に認めない!エルナは黒幕になんかなるな!これからは、アンタの問題は全て僕が引き受ける」
何故、今告白をする。
「私はそんな弱い人間ではないわ」
エルナは強い。でも、抱える物ごとにも限りがある。
「じゃあ、アルフォンス王子も目覚めたことだし、続きは春風神社で話し合おうか」
12時!?時間が経つのは実に早い。特に揉めごとが長引いている時は皮肉にも早いものだ。
「じゃ、自転車で行く」
そうか、この前、私が馬飛ばして交番で注意されたもんな。あの時、ナミネは春風神社に行ったのだろうか。
灰色病院から自転車で春風神社までは、わりと近かった。しかし、生贄など気分の悪いものに、こうも人が集まるものなのだな。
「セリル、人を不幸に突き落とした気持ちはどうかしら?」
カナコさん、来ていたのか。
「カナコさん、僕には何をしても構いません。でも、関係のない人間を巻き込むのはやめてください」
今のカナコさんにどこまで通用するのだろう。
「あら、先に陥れたのはあなたじゃない。あなたにとやかく言う権利はないわ」
カナコさんは容赦がない。
「第二王室とか関係ないでしょう!」
カナコさんとセリルさんは、あれ程に仲良しで誰が見てもベストカップルだったのに、拗れる時はこうまで仲が悪くなるものなのか。
「ターサスヒ王女が苦しむのを存分にご覧なさい」
「カナコ、やめなさいよ。私たちが生贄にならないと決まった時点でこんなことしなくても良かったじゃない。何がそんなに気に入らないのよ」
カナコさんもレイカさんも少し前までは窮地だった。
その時、セナ王女がカナコさんに短剣を突き付けた。
「今すぐ姉さんを解放しないと、キクリ家を滅ぼすわよ!」
セナ王女の目、黄色になっている。
「あら、やれるものならやってみなさい」
カナコさんが嘲笑った瞬間、セナ王女は短剣でカナコさんの服を切り裂いた。
「な、何するの!」
カナコさんはバラバラになった衣類をどうしようも出来ず、代わりにレイカさんがカーディガンをカナコさんにかけた。同時に、レイナさんはセレナールさんにミネラルウォーターをかけた。
「冷たい!」
「あなたのせいよ!あなただけには、もっと苦しんでもらうわ!」
もう人間関係がめちゃくちゃだ。
「やってみなさいよ。ほら!ほら!」
レイナさんが、セレナールさんを蹴ろうとした時、ヤマヨリさんがレイナさんを押し倒した。
「きゃーーー!」
「レイナ!」
セレナールさんは不幸と引き換えに、ずっとヤマヨリさんを後ろ盾にしていたのか。
その隙にセナ王女がレイカさんの着せたカーディガンを短剣で切り刻んだ。
「分かった!分かったわ!今すぐターサスヒ王女を生贄から解除するから、これ以上カナコを辱めないで!」
生贄儀式の前に、カナコさんの霰もない姿に男たちはカナコさんに釘付けになってしまった。
「早くしなさいよ!」
セナ王女の怒りで、レイカさんは慌てて紙飛行機を飛ばした。
「セリル、一生恨んでやる……!」
カナコさんは泣きながらセリルさんを睨みつけた。
「セナ王女、お願いだからカナコさんには手を出さないで!」
「あら、私に口答えする気?」
強気なセナ王女の目の前にはキクスケさんがいた。
「カナコさんが辱めを受ける前に時間を戻してもらえませんか?」
「かしこまりました」
ものの数秒で時間が戻っている。けれど、セナ王女は再び目に見えないスピードでカナコさんの服を引き裂いた。再び時間を戻すよう依頼をするセリルさん。このやり取りはしばらくの間続いた。
「ダメだった。皇帝陛下の決断は変えられなかったわ」
レイカさんは恐る恐る皇室からの文をセナ王女に見せた。セナ王女の怒りはマックスになり、セナ王女は短剣でレイカさんの服まで引き裂いた。
「私より弱い人間が、よくも私を陥れられたわね。自分の力量と向き合うことね」
セリルさんは咄嗟に服を脱ぎ、レイカさんに着せた。
「ごめん、レイカ。私のせいだわ。遠い昔、ターサスヒ王女にされた仕打ちを思い出すたびに怒りが止まらなかった」
ターサスヒ王女が何かしたのか?
「あの、ターサスヒ王女は何をしたのでしょう?」
ナミネ、いつの間にうずまきキャンディ買ったの。私は咄嗟にナミネからうずまきキャンディを取り上げた。
「あれは、妖精村初期だった。セリルとの婚約が決まった矢先に、ターサスヒ王女はセリルを呼び出し、睡眠薬で眠らせて朝起きたらセリルは白梅咲になっていた。私とセリルの人生を壊したターサスヒ王女が今でも憎くてたまらない」
ターサスヒ王女は、セリルさんに片想いしていたのか。カナコさんは続けた。
「白梅咲となったセリルは、ターサスヒ王女と無理矢理結婚させられ、私は一人残されたまま誰とも結婚しないまま年老いたわ」
なんだか、絡まりあった人間関係だな。
「つまり、男女の情愛のもつれということですね」
どうしてナミネは空気のひとつも読めないのだろう。
「それを先に私に話すべきだったわね。でももう遅い。いくら姉さんが過去にあなたに何かしても、無断で姉さんを辱めた時点で、あなたも過去の姉さんなのよ!あなたは王室で赤花咲をすることが決まったわ。これからは自分の行動を見直すことね」
セナ王女の容赦ない発言にカナコさんはセリルさんを殴り付けた。
「うーん、やめようか。ここでセリル殴ってもなんの解決もしないよね」
セリルさんを殴るカナコさんの手をズルエヌさんが掴んだ。
「姉さんを生贄にしないなら、カナコさんの赤花咲は取り消してもいいわよ?」
あちらもこちらも全力で怒りをぶつけ合っている。強い者同士の諍いほど怖いものはない。
「分かったわ……」
カナコさんは青ざめた顔で紙飛行機を飛ばした。けれど、皇帝陛下の決断は変わらなかった。
セナ王女がカナコさんに再び短剣を突き付けた時、儀式のアナウンスが流れた。
『只今より、春風神社での儀式を行います。それでは生贄の方に舞を舞ってもらいましょう』
いよいよはじまってしまった。
「姉さん!!」
セナ王女は全力で泣き叫んだ。
けれど、出てきたのはナクリさんだった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
あとがき。
アヤネの誤解が解けたのは良かったのですが……。
カナコとセリルの拗れは前代未聞。
現世で二人はどうなってゆくのでしょう。
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この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
現在、小説に関する模倣(程度による)の一切を禁じております。
詳しくはこちらを参照→ 禁止事項
無断転載もご遠慮ください。
《ヨルク》
ナミネが帰ってきたのは翌日だった。
「ナミネ、どこ行ってたの?心配したんだよ」
どうして何も言わないで、ここから出ちゃうの。
「シャム軍医の家に泊まってました」
泊まる?何故その必要があるのだろうか。
「ねえ、それより誰が姉さんハメたのか割り出してくれないかしら?」
セナ王女のお姉様……?
「得体の知れないズルエヌ。アンタやるか?」
え、今から何がはじまるの?
「いやあ、僕もハツだから、いつ選ばれるか分からない不安があるからね。セルファがするといいよ」
ズルエヌさん、ずっと天界にいたから高校1年生で止まったまま現世に戻されたんだっけ。
「じゃ、はじめる。甘えセナの姉のターサスヒ、ハメたのこの中にいんのか?」
昨日ニュースで放送されていた第二王室の王女?セナ王女のお姉様だったの?それって、つまり庶子ということだろうか。
けれど、第二王室は女王制なのに、国王が妾を作るなんて奇妙だな。
写真見る限りは、セナ王女にはあまり似ていない。綺麗で、身長も高く、黒髪をまとめていて、胸が大きくスタイルのいい女子(おなご)だ。メアラスさんと同じくらいタイプかもしれない。
「顔だけヨルク。アンタ、ターサスヒのことどう思う?」
え、それ今全然関係ないよね。
「正直、ミネルナさんより綺麗で黒髪でスタイル良くて胸が大きいところがタイプだし、出来れば水着姿見たいけど少し身長が高い気がする」
いたっ!案の定ナミネに扇子で叩かれてしまった。
「ヨルクさん最低です!そんなに胸胸言うならターサスヒ王女に水着姿見せてと言えばいいじゃないですか!」
何故、いつもいつも私ばかりが責められなければならない。ターサスヒ王女ほどの美人を見たら誰だって魅力を感じるだろうに。別に付き合いたいとかじゃないから、そこまで怒らなくてもいいのに。
「別に付き合いたいとかじゃないし、綺麗だなって思っただけだから!」
ナクリさんで決定したと思えば、いきなり第二王室の存在が発見され、ターサスヒ王女が生贄に選ばれるなんて、誰が予測できよう。
「綺麗、黒髪、スタイルがいい、胸が大きい。まるで成長したナミネね」
え、言われてみれば、ナミネは成長すればするほど身体も成熟していくけど、ナミネは綺麗というより可愛い系だと思うが。
「じゃ、話戻す。ターサスヒ、ハメたの誰だ?」
何故、私のみをハメた。
てか、誰も名乗り出ないじゃない。
「第二王室の存在発見されたの昨日でしょ?だとしたら、誰かがハメるというのも変な話だね」
確かに、もう消滅したはずの第二王室が突然発見されて、そこに誰かが加わっているなら、既に第二王室の存在を知っていたことになる。
「既に第二王室の存在を知っているのって限られてますよね。例えば、セイさんのお母様なら知らないはずはありません」
ラルクの言うようにセイさんの母親くらいしか思いつかない。
「母さんは娘をハメるような人間ではないわ!」
親が子をハメるなんてセイさんのお母様はしないだろうな。ナヤレスさんやカンザシさんの育て親じゃあるまいし。
「うーん、セリルが知ってるみたいだよ」
ズルエヌさんってセリルさんみたいな存在かと思っていたけれど、もっとエリートな気がする。
「言え!セリル!」
落ち武者さんは、セリルさんに扇子を突き付けた。正直、仲の良い兄弟が拗れてしまう光景は見ていていい気はしない。私はラルクにいやってほど嫌われてきたというのに。
「カナコさんだよ……」
カナコさんが!?ナクリさんに決まった時点で引かなかったのだろうか。
「関係ない人間を犠牲にするなんて許せないわ!」
セナ王女、めちゃくちゃ怒っている。けれど、ここでカナコさんに決まってしまえば、それこそ歴史が変わってしまう。
「アルフォンス王子様!」
「カナエ……?」
このタイミングで目覚めるとは。
「アルフォンス!大丈夫?今医師を呼ぶわ!」
セナ王女は、病院の無線で受付にアルフォンス王子の目覚めを伝えた。数分後、医師が来た。
「まだ、激しい運動は出来ませんが、大人しく療養していれば、完治するでしょう。薬を出しておきますので、朝昼晩の食後に飲んでください」
これで、アルフォンス王子の問題は解決したが、ターサスヒ王女の問題は長引きそうだ。
「アルフォンス王子様、カナエが間違っていました。カナエはずっとアルフォンス王子様のお傍にいます」
カナエさんはアルフォンス王子を抱き締めた。
「カナエ……生きてて良かった……あの時、死ななくて良かったよ。考え直してくれてありがとう」
これは、幸せと呼ぶのだろうか。誰にも分からないだろうけど、変わり果てた者に愛情を注ぐのは科学的にも困難であると証明されている。
「目覚めたとこ悪いんだけど、アンタの姉が生贄に決められたけど?」
それだけで分かるのだろうか?
「えっと、どの姉?」
「ターサスヒ」
少し沈黙が流れた。
「えっ、姉さん生きてたの?」
やはり、そうなるか。
「あの、でもカナコさんは第二王室の存在知りませんでしたよね?だったら、ターサスヒ王女がどのような人物かも知らないはずです」
ナミネの言う通り、カナコさんも第二王室の存在など知るわけがない。
「普通に、そのセイって子なんじゃないの?その子は王子じゃないんでしょ?」
やっぱり、ズルエヌさんは勘がいい。自分の身元なんて役場に行けば分かる。けれど、ターサスヒ王女はセイさんの実の姉。何の恨みがあるというのだろうか。そもそも、兄弟仲悪かったっけ?
「セイだね。身分差で随分私たちのこと恨んできたし」
えっ、本当にセイさんなの?
「そんな、セイが……。でも、セイのことは恨めないわ」
どこの家庭も兄弟は庇い合うものか。
『緊急速報です。生贄制度ですが、今日の14時から行われることになりました。また、進行人(古代は道化師)は紅葉町に住むアランさんに決まりました。では、絶世の美女と呼ばれるターサスヒ王女の赤花咲をお楽しみください』
今日!?ダメだ、間に合わない。
「ふふっ、カナコさん怒らせるなんて自業自得ね」
「セレナール、今なんて言ったの?」
セナ王女はセレナールさんに短剣を突き付けた。
「やめてよ!ここ病院よ!」
「これがターサスヒ王女か。ちょー美人だな。こんな女が彼女だったらなあ」
どうして、こういう時にミナクお兄様は場違いな発言をするのだろう。
「アンタ、やめなさいよ!今どういう状況か分かってるでしょ!」
ミナクお兄様は、ナナミさんの肩を抱いた。
「私はナナミにならなくて良かったと思っている。ナナミが選ばれるくらいなら無理にでもナナミのハツをもらってた」
よくまあ、そんな恥ずかしいことが言えるもんだ。聞いているこっちが恥ずかしい。
「何よ!あなたとだけは交際しないわ!この女たらし!」
現時刻は10時過ぎ。時間がなさすぎる。このままでは本当にターサスヒ王女が生贄になってしまう。
「時間ないけど、どうするわけ?」
落ち武者さんも、セレナールさんが免除されたからって他人事みたいに言って。
「あまり、こういうことに口を挟みたくはありませんが、要はターサスヒ王女から別の人に変えればいいということですよね?」
珍しくアヤネさんが口を挟んだ。
「ええ、そうだけど。そんなこと出来るの?」
出来ていれば苦労はしないだろう。
「貴族には貴族の裏事情があります。貴族というのは、ひとたび都合が悪くなれば直ぐに貴族ガチャを引いています。私も父が所有する券が3枚あります。けれど、運が悪ければ、昔の旧友だったり、別のご姉妹が出てしまう場合もあります。どうなされますか?」
貴族ガチャ?何なんだそれは。
しかし、どこの世界にも表あれば裏もある。貴族ということは、相当な何かを隠して生きているのだろうか。
「引くわ!姉さんから変えられるなら!」
セナ王女は、見た目通りチャレンジャーだな。
「分かりました」
アヤネさんは無線を手に取った。
「ロリハー家・次女・アヤネ。別荘にいる武官は今すぐZコース三回お願いします」
『かしこまりました。ただ今開始致します』
これ、本当に大丈夫なのだろうか。
「僕も、口を挟む立場じゃないけど、例えターサスヒ王女から別の人になったとしても、絶対誰かが犠牲にならなければならないわけだよね?それも僕らによって見ず知らずの人の人生が奪われるとなったら、下手したら刺されるかもしれないよ?」
問題はそこだ。誰かが犠牲にならなければならない。それが、公式に選ばれた者なら誰も文句は言えないだろうけど、こんなところで、我々がコソコソ、全く知らない人間にすり替えるのは、正直間違った行動にも思えてくる。
「分かってる!分かってるわよ!でも、どうしようもないの!今、姉さんの人生が台無しになれば、私も幸せになれない!」
セナ王女はその場に泣き崩れた。私も、ナミネが犠牲になるなら、同じことをしていたかもしれない。人というのは、いやってほどに、自分と自分の大切な人さえ良ければ他は犠牲になっても涼しい顔している生き物だ。
「セナ元帥、どうかご自分をお責にならないでください。誰だって道を踏み外すことはあります。僕はセナ元帥に同意します」
シャム軍医はセナ王女を立ち上がらせた。
「シャム軍医……」
『アヤネ!あなた何しているの?今すぐやめさせなさい!!』
アヤナさんの声。アヤナさんって、少しヤンキータイプに見えたけど、本当はまともな人間なんだ。
『アヤナ!私がアヤネに無理を言ったの!どうしても姉さんを犠牲にしたくなくて!』
『セナ王女。お気持ちお察し致します。しかしながら、アヤネの安易な行動で、セナ王女のお命が危うくなる場合もございます。中断をオススメします』
どこも、長女はしっかりしているものなのだな。クレナイ家もそうだし。ナノハナ家も。
『結果が出ました。一人目・カラクリ家・次女エミリ。二人目・コノハ家・次女レイナ。三人目・第一王室・第10王女コソナ様。どうなされますか?』
セナ王女は、首を横に振った。
『却下でお願いします』
はあ、めちゃくちゃ緊張が走っていた。
『アヤネ!後で覚えておきなさいよ!』
「アヤナには私から文を書くわ」
セナ王女もアルフォンス王子もずっと顔が青ざめている。
「いいえ、お姉様はいつもああなんです。いつも私のお気に入りを取り上げたり、私を嘲笑ったり……。姉妹中は最悪です」
本当にそうだろうか。なんか、そうは見えない気がするのは気のせいだろうか。
「人見下しアヤネ。アンタ鈍すぎ」
「本当に、私、姉から嫌がらせ受けて来たんです!」
姉妹というのも難しいものだな。現に、ミドリさんとナクリさんも、犬猿の仲だったわけだし。
「人見下しアヤネ、アンタ不治の病なんだよ!けど、そんなアンタを長生きさせるために、アヤナが小さい頃からアンタに輸血し続けてんだ!アヤナはアンタのこと愛してんだよ!」
そうだったのか。どこから情報得たかは知らないけど、やっぱりアヤナさんは、アヤネさんのことをいつも想っていたんだ。
「そ、そんな。有り得ませんわ!」
「だったらこれみて見ろ!アヤナがアンタ救った記録のコピーだ」
どうしてそんなものまで持っているのだろう。まさか、この病院に記録があるのか?
「う、嘘でしょ……。お姉様が……」
「アヤナは、アンタのためだけにやりたいことを諦めてきた。アンタもっとまともな人間になれ!」
アヤネさんは渡された記録と共に泣き崩れた。
「ごめんなさい。私も知っていたけど、アヤナに口止めされていたの」
よく考えればセナ王女が知らないわけないか。
「じゃあ、次は私ね」
え、どうしてエルナが!?
その瞬間、落ち武者さんがエルナを押し倒した。
「アンタは何もするな!時間内に僕が解決する!」
ナミネのこと好きとか言っておきながら、結局今もエルナのこと好きじゃない。しかも、ナミネは写真まで撮ってるし。
「セルファ。世の中にはどうにもならないこともあるのよ。それを動かすには誰かが黒幕にならなきゃいけないの」
エルナ……。ずっとそうやって生きてきたのか。強い人間ほど、抱えるものも重たい。
「絶対に認めない!エルナは黒幕になんかなるな!これからは、アンタの問題は全て僕が引き受ける」
何故、今告白をする。
「私はそんな弱い人間ではないわ」
エルナは強い。でも、抱える物ごとにも限りがある。
「じゃあ、アルフォンス王子も目覚めたことだし、続きは春風神社で話し合おうか」
12時!?時間が経つのは実に早い。特に揉めごとが長引いている時は皮肉にも早いものだ。
「じゃ、自転車で行く」
そうか、この前、私が馬飛ばして交番で注意されたもんな。あの時、ナミネは春風神社に行ったのだろうか。
灰色病院から自転車で春風神社までは、わりと近かった。しかし、生贄など気分の悪いものに、こうも人が集まるものなのだな。
「セリル、人を不幸に突き落とした気持ちはどうかしら?」
カナコさん、来ていたのか。
「カナコさん、僕には何をしても構いません。でも、関係のない人間を巻き込むのはやめてください」
今のカナコさんにどこまで通用するのだろう。
「あら、先に陥れたのはあなたじゃない。あなたにとやかく言う権利はないわ」
カナコさんは容赦がない。
「第二王室とか関係ないでしょう!」
カナコさんとセリルさんは、あれ程に仲良しで誰が見てもベストカップルだったのに、拗れる時はこうまで仲が悪くなるものなのか。
「ターサスヒ王女が苦しむのを存分にご覧なさい」
「カナコ、やめなさいよ。私たちが生贄にならないと決まった時点でこんなことしなくても良かったじゃない。何がそんなに気に入らないのよ」
カナコさんもレイカさんも少し前までは窮地だった。
その時、セナ王女がカナコさんに短剣を突き付けた。
「今すぐ姉さんを解放しないと、キクリ家を滅ぼすわよ!」
セナ王女の目、黄色になっている。
「あら、やれるものならやってみなさい」
カナコさんが嘲笑った瞬間、セナ王女は短剣でカナコさんの服を切り裂いた。
「な、何するの!」
カナコさんはバラバラになった衣類をどうしようも出来ず、代わりにレイカさんがカーディガンをカナコさんにかけた。同時に、レイナさんはセレナールさんにミネラルウォーターをかけた。
「冷たい!」
「あなたのせいよ!あなただけには、もっと苦しんでもらうわ!」
もう人間関係がめちゃくちゃだ。
「やってみなさいよ。ほら!ほら!」
レイナさんが、セレナールさんを蹴ろうとした時、ヤマヨリさんがレイナさんを押し倒した。
「きゃーーー!」
「レイナ!」
セレナールさんは不幸と引き換えに、ずっとヤマヨリさんを後ろ盾にしていたのか。
その隙にセナ王女がレイカさんの着せたカーディガンを短剣で切り刻んだ。
「分かった!分かったわ!今すぐターサスヒ王女を生贄から解除するから、これ以上カナコを辱めないで!」
生贄儀式の前に、カナコさんの霰もない姿に男たちはカナコさんに釘付けになってしまった。
「早くしなさいよ!」
セナ王女の怒りで、レイカさんは慌てて紙飛行機を飛ばした。
「セリル、一生恨んでやる……!」
カナコさんは泣きながらセリルさんを睨みつけた。
「セナ王女、お願いだからカナコさんには手を出さないで!」
「あら、私に口答えする気?」
強気なセナ王女の目の前にはキクスケさんがいた。
「カナコさんが辱めを受ける前に時間を戻してもらえませんか?」
「かしこまりました」
ものの数秒で時間が戻っている。けれど、セナ王女は再び目に見えないスピードでカナコさんの服を引き裂いた。再び時間を戻すよう依頼をするセリルさん。このやり取りはしばらくの間続いた。
「ダメだった。皇帝陛下の決断は変えられなかったわ」
レイカさんは恐る恐る皇室からの文をセナ王女に見せた。セナ王女の怒りはマックスになり、セナ王女は短剣でレイカさんの服まで引き裂いた。
「私より弱い人間が、よくも私を陥れられたわね。自分の力量と向き合うことね」
セリルさんは咄嗟に服を脱ぎ、レイカさんに着せた。
「ごめん、レイカ。私のせいだわ。遠い昔、ターサスヒ王女にされた仕打ちを思い出すたびに怒りが止まらなかった」
ターサスヒ王女が何かしたのか?
「あの、ターサスヒ王女は何をしたのでしょう?」
ナミネ、いつの間にうずまきキャンディ買ったの。私は咄嗟にナミネからうずまきキャンディを取り上げた。
「あれは、妖精村初期だった。セリルとの婚約が決まった矢先に、ターサスヒ王女はセリルを呼び出し、睡眠薬で眠らせて朝起きたらセリルは白梅咲になっていた。私とセリルの人生を壊したターサスヒ王女が今でも憎くてたまらない」
ターサスヒ王女は、セリルさんに片想いしていたのか。カナコさんは続けた。
「白梅咲となったセリルは、ターサスヒ王女と無理矢理結婚させられ、私は一人残されたまま誰とも結婚しないまま年老いたわ」
なんだか、絡まりあった人間関係だな。
「つまり、男女の情愛のもつれということですね」
どうしてナミネは空気のひとつも読めないのだろう。
「それを先に私に話すべきだったわね。でももう遅い。いくら姉さんが過去にあなたに何かしても、無断で姉さんを辱めた時点で、あなたも過去の姉さんなのよ!あなたは王室で赤花咲をすることが決まったわ。これからは自分の行動を見直すことね」
セナ王女の容赦ない発言にカナコさんはセリルさんを殴り付けた。
「うーん、やめようか。ここでセリル殴ってもなんの解決もしないよね」
セリルさんを殴るカナコさんの手をズルエヌさんが掴んだ。
「姉さんを生贄にしないなら、カナコさんの赤花咲は取り消してもいいわよ?」
あちらもこちらも全力で怒りをぶつけ合っている。強い者同士の諍いほど怖いものはない。
「分かったわ……」
カナコさんは青ざめた顔で紙飛行機を飛ばした。けれど、皇帝陛下の決断は変わらなかった。
セナ王女がカナコさんに再び短剣を突き付けた時、儀式のアナウンスが流れた。
『只今より、春風神社での儀式を行います。それでは生贄の方に舞を舞ってもらいましょう』
いよいよはじまってしまった。
「姉さん!!」
セナ王女は全力で泣き叫んだ。
けれど、出てきたのはナクリさんだった。
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あとがき。
アヤネの誤解が解けたのは良かったのですが……。
カナコとセリルの拗れは前代未聞。
現世で二人はどうなってゆくのでしょう。
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