日常のこととかオリジナル小説のこととか。
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ashita
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地主(土地貸してます)
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漫画やアニメを見るのが好きです。最推しはフーディーニ ♡
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ブログ、もう書かないと思ってました。
けれど、去年から書き始めた小説によって、過去に書いてた小説も書き始め、ここに載せることにしたのです。
小説は、主に『時間と時間を繋ぐ恋の物語』と『妖精村と愉快な仲間たち』をメインに書いています。
現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。
純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。
元々このブログは病気の記録用として立ち上げたものですが、小説載せるようになってからは、ここは出来るだけ趣味的なことを綴りたいと思っております。
病気の記録や様々な思いを綴るブログは移転済みなのです。
ただ、今は日記は個人的な徒然、或いはお知らせとして綴ることが多いかと思います。
小説、ぼちぼちマイペースに書いてゆきます。
よろしくお願い致します。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
お知らせ。
イラストは現在「ナノハナ家の日常」に載せております。サイドバーにリンクあります。
また、「カラクリよろずや」にて無料のフリーイラスト素材配布もはじめました✩.*˚
フリーイラスト素材も増やしていく予定です(*'ᴗ'*)
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
模倣・無断転載などは、ご遠慮ください。
ブログの小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
小説・純愛偏差値に関しましては、武家名・貴族名(程度による) / 及び、武官の階級 / 扇子・羽子板・花札・百人一首・紙飛行機などのアイテム使用方法の模倣の一切を禁じております。
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X @kigenzen1874
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けれど、去年から書き始めた小説によって、過去に書いてた小説も書き始め、ここに載せることにしたのです。
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現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。
純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。
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〈資格履歴〉
2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2010年02月10日
→セルフ・カウンセリング
ステップ2 合格
2011年05月28日
→セルフ・カウンセリング
指導講師資格審査 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年01月20日
→鉛筆デッサンマスター 合格
→絵画インストラクター 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
→茶道アドバイザー 合格
→お点前インストラクター 合格
2025年04月17日
→着物マイスター 合格
→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
→サイキックアドバイザー 合格
→サイキックヒーラー 合格
2025年07月01日
→アンガーカウンセラー 合格
→アンガーコントロール士 合格
2025年08月04日
→漢方コーディネーター 合格
→薬膳調整師 合格
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〈資格証明バナー〉

2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2010年02月10日
→セルフ・カウンセリング
ステップ2 合格
2011年05月28日
→セルフ・カウンセリング
指導講師資格審査 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年01月20日
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→絵画インストラクター 合格
2025年03月07日
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→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
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2025年04月17日
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2025年07月01日
→アンガーカウンセラー 合格
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2025年08月04日
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〈資格証明バナー〉

純愛偏差値 未来編 一人称版 40話
《ナミネ》
飛べない翼の映画撮影が終わった後、私たちはグルグル妖精さんのマンションに来た。グルグル妖精さんのマンションはバルコニー付きの6LDKの高級マンションだった。ちなみに、今日は他のメンバーは泊まりらしい。
けれど、何故かサムライ妖精さんとニンジャ妖精さんもいる。自分たちのマンションに帰らないのだろうか。
ヨルクさんとカンザシさん。こうやって同じ空間で見てみると似てはいるけど、やっぱり違う。今はカンザシさんのほうがややヨルクさんより身長は高いけど、大人になればヨルクさんのほうが高くなるだろう。
そして、ラハルさんは、私が話したセナ王女とセレナールさんの経験を、直接本人に聞きたいと言った。映画の上映前までに本人の体験談としてパンフレットに載せるらしい。
まずはセナ王女から話しはじめた。
「私、カラルリと交際していたの。カラルリとは確かに愛し合ってた。運命だと信じてたし、私のためにフェアリーウィンラサッヴァの指輪買ってくれたし、私が妊娠した時も責任取ると優しくしてくれた。でも、ある日、カラルリの家でカラルリが作った食事食べたら流産したの。カラルリは中絶薬を食事の中に盛っていた。私は食後、大量出血と酷い痛みに襲われ手術を受けた。けど、私の中にはもう子供はいなくなっていた。信じていた彼氏にあんな卑劣なことをされて今でも悔しくてたまらないわ。皇帝陛下はカラルリを不問にしたからカラルリは何の罰も受けずのうのうと生きているし、あの時の記憶が蘇る度苦しくなるの」
セナ王女は大粒の涙を零していた。あの時のことを思い出すと、私も胸が痛むし、あんなこと絶対に繰り返しちゃいけない。
「セナさん、本当に悪かったと思ってる。こんなにもセナさんが苦しむとは思っていなかった。ただ、大人になって互いに就職してから、また作ればいいと思ってた。本当にごめん。許されないことだけど、謝るしかないし、もう一度チャンスが欲しい。セナさんを失って、もう生きる希望が全くない。助けて、セナさん」
今更遅いよ。セナ王女に泣きついたって、カラルリさんのしたこと誰が見ても許されないんだよ。メンバーから出ていって欲しいくらいいやな存在になっている。
「当事者じゃないから、あまり厳しいことは言えないけど、でも、絶対やってはいけないことだよね。まして、愛する彼女にそんなこと……。とてもじゃないけど考えられない。2人の問題だけど、でも、こんなこと二度と繰り返して欲しくないし、こういう事件的なことは、この世の誰にもして欲しくないよ。ニュースで放送されたりしたら誰もが悲しむと思う」
ラハルさんの表情、凄く真剣。今みたいな思いで、あの映画撮影を演じたんだろうな。私も真剣だったよ。凄く真剣だった。こんな悲しいこと二度と同じ空間に居合わせたくない。
次はセレナールさんが話した。
「私はラルクと交際していて、妊娠したのだけど、私は今日撮影した映画のように5000年前の女性の体質で、第1で妊娠が出来て、お腹の子の成長も普通の人の2倍のスピードなの。妊娠7週目なのに、14週目同等で、中絶は出来ない時期に差し掛かってた。セナ王女がカラン王子の別荘で食事会を開いてくれて、食べ終わった時は何もなかったのだけど、その日の夜中に酷い出血と腹痛に襲われて、病院に行って手術を受けた。目が覚めたら流産したと言われ、誰かが食事にトケイ草を入れたと。中期流産の中期中絶だったから、胎児はえぐり出された。顔と胴体は切り離されていて足も……。それを見た時は信じられない気持ちになった。せっかく授かった子の死産届と埋葬をしなくてはいけなくて……。今でも絶望の毎日よ。どうしてアルフォンス王子がトケイ草を入れたのか、もう私の子は戻ってこないのに、アルフォンス王子は何の罰も受けずカナエと幸せに生きている。絶対に許せないし一生恨むと思う」
あの時、みんなはセナ王女を疑った。けれど、アルフォンス王子だった。いったい何のために?けれど、よく思い出すと『カナエを差し置いて』みたいなこと言ってた。カナエさんのためだとしたらその理由は何なの?
「ナミネから話を聞いて、脚本家はセレナールのほうを主な題材としたらしいよ。妊娠中期の流産だなんて、さぞ辛かったと思う。撮影での取り出された胎児は作り物だけど、本物の生きた赤子となると、僕だったら絶対やり切れない。小さな命を奪った犯人を許すことなんて出来ないし、パートナーとの苦しみの日々になると思う。トケイ草を入れて生きた命を殺すなんてあってはならないことだね。どうして産まれるはずの命を奪ったのか僕はその理由を知りたい」
私もアルフォンス王子がセレナールさんを流産させた理由は気になる。分かっても、もうセレナールさんの子供は戻ってこないけど。それでも、ちゃんと知りたい。
セナ王女の子供もセレナールさんの子供も殺されてしまったけど、次の人生では別の母親の元で幸せになれる。私はそう信じたい。死んで終わりじゃない。死んでから次の人生を生きる時、幸せであれば人は救われる。そして、次の人生でアルフォンス王子を見つけ出して正当な方法で罰して欲しい。
罰せられるべき人間はちゃんと罰せられるべきだと思う。
「あのさ、警察が私だと決めつけたらそれで決定なわけ?違うだろ!何の証拠もなしに私に罪を擦り付けて。今の録音警察に突き出してやる!」
「やめて!警察があなただと断定したから言ったし、あなたなのよ!」
確かに私たち証拠は見ていない。今の段階でアルフォンス王子だと決め付けるのは早いのだろうか。アルフォンス王子じゃなければ、誰がやったの?もう分からないよ。
「平凡アルフォンス、これあんただろ!一時的に時間巻き戻して撮影した!言い逃れする気かよ!」
落ち武者さんは携帯の映像を再生した。本当にアルフォンス王子だ。でも、何かがおかしい。そうだ、これだ!
「これ左から光が入っているのに影も左になっています!」
「本当だわ。どういうことなの?」
「なるほど。時間巻き戻しすぎたか。けど、あんた、前世では姉さんの子供殺したんだな」
「前世とかくだらないこと言わないでくれる?」
うーん、アルフォンス王子じゃないってこと?
「けど、この映像あれば警察はどっち信じる?」
「カナエです!カナエがやりました!アルフォンス王子様を責めないでください!」
えっ、嘘だよね?カナエさん、いつも幸せそうなのに。セレナールさんを妬んだとか考えられない。
「カナエ、許さないわ!今すぐ死になさいよ!」
「カナエ、あなた、妊娠したら同じことされるわよ」
私もそう思う。赤ちゃん小さかったけど、もう手も足もあったのに。ちゃんと人間になりかけていたのに!
「実行したのはカナエでしょうけど、誰かがカナエに命じたんじゃない?セナさんか、アルフォンス王子か」
「私は違うわ!ユメさん、証拠もないのに憶測で物事言うの良くないと思うの」
「そうよね、ごめんなさい」
誰かが命じた。確かにカナエさん単独でしたとも思えない。アルフォンス王子に命じられたのかな。
セレナールさんは、お手伝いさんからヤカンを奪いカナエさんに熱湯をかけた。
「セレナール!もう我慢出来ない!カナエにばかり嫌がらせして!」
「私がカナエにされたことはもっと辛いことよ!」
お手伝いさんはカナエさんの手当てをした。ラハルさん、セレナールさんの苦しみを真剣に見てる。何だかこの空間がとても重たい。
「もう終わったことなのよ。他人の家で騒がないで!」
リリカさんの怒鳴り声にみんなは静まった。
「あの、このマンションって月額いくらですか?」
「200万円だよ」
えええええ!めちゃくちゃ高い。デビューして2年でこんなマンションに住めるものなのだろうか。
「凄いですね!皆さんいっぱい稼いでるんですね!」
「1人、ひと月100万円は稼ぐこと目標にしてて、支払いは1人40万円。今のところ活動は順調だし、もっと有名になるために、コツコツ積み重ねるつもりだよ」
「ラハルさんは努力家ですな」
はあ、芸能界デビューしたら完全VIPなのか。まだ高校生なのに自立してて凄いな。
「ラハルってすぐ自慢するよな。僕も同じマンションだけど、月々の支払いは全て僕だけど?」
「えっ、カンザシさんて、音楽だけで、そんなに給料いいんだ。皆さん、学校との両立大変じゃないですか?」
「アルバムがいっぱい売れていますので。学校もちゃんと通っています」
そっか。正式にデビューしたら、一般人とは遠い人なんだ、芸能人って。全然知らなかったよ。
「あ、せっかくなので、弾き語り聴いてみたいです!」
あれ、今ラハルさんの声遮った?気のせいだろうか。カンザシさんはリビングにあるギターを持った。
「弾いて欲しい曲とかありますか?」
「あ、じゃあ、花餅シルエットさんの二度と訪れない青春時代でお願いします」
「随分古い曲ですね」
「懐メロ好きなんです」
「そうですか。じゃあ、弾きます」
カンザシさんは、二度と訪れない青春時代を弾き語りしはじめた。
「あの日 君が流した 涙の場面を 繰り返し
卒業式の前日に こころを駆け巡る
素直すぎた君は 微笑みいつも 絶やさず
ずっと前から 慈しんでいた
突然の夕立ちに 傘を持たずに走った
懐かしのアルバム 押し入れの中
途切れ途切れの 記憶だけど
振り返れば 色褪せて
過ぎ去った 青春時代
粉雪舞っている 薄着で町を走った
よく行く商店街 今も変わらず
途切れ途切れの 記憶だけど
振り返れば 色褪せて
過ぎ去った 青春時代
途切れ途切れの 記憶だけど
振り返らない これからは
今だけを 見つめてく」
やっぱり、プロって上手なんだ。カラルリさんが聴いてたチューリップ妖精さんとは全然違うし、私も駆け出しミュージシャンのフェアリーチューブ見てみたけど、パッとしなかった。
カンザシさん、歌上手い。
「あ、やっぱりアルバムで聴くより直接聴いたほうがとても心に響きます。カンザシさんは、お歌が上手ですな」
「そう言って頂けると嬉しいです。他にも弾いて欲しい曲ありますか?」
「えっと、ミツバ団子さんのセピアな日記お願いします」
「また古い曲ですね」
カンザシさんはセピアな日記を弾き語りしはじめた。ストロークアレンジだ。何だかカンザシさんの弾き語り好きだな。
「ハート型の四葉のクローバーを見つけ
私はあなたの着物の帯の中に差し込んだ
その時 微笑んでいたあなたの顔は
暗くて 真っ暗で 何も見えなくなっていた
時間の歪みで あなたに触れる事さえ出来ない
今ここに 同じこの時に あなたはいるのに
私を慈しんでくれていた 時代と重ならない
悲しくて 苦しくて 私はただただ混乱していた
イタズラしたのは神様じゃない そんなこと
そんなこと 分かっていたよ
筆跡は同じなのに 書かれている内容は少し違う
それでも 真新しい日記を 離せずにいた
夜空 見上げれば ほんの僅かな星が
私を見下すように 悲しく笑っていた
読みかけの本を 開いてみたら あの時の
ハート型の四葉のクローバーが 栞として
挟んであったよ けれどそれはもう色褪せていた
薄ら微笑む あなたは 今は着物を着ていない
イタズラしたのは神様なんだよ そうやって
そうやって 私は私の心を守った
筆跡は同じだった あなたは覚えていたんだね
それなのに 新しい日記は目の前で古びれてゆく
夜空 見上げれば 満天の星たちが
私とあなたを 包み込むように 輝いていた
あまりにも遠い昔に 出会っていたのかな
もう 夢と現実の区別がつかないよ
あなたの手に私の手を重ね 綴ってみた
2人の過去 そして2人の今 2人の未来
夜空 見上げれば 電灯に邪魔された星たちが
私とあなたの今の居場所を 教えてくれた」
カンザシさんの弾き語りを聴いていたらメンバーのゴタゴタが薄らいでいた。
「やっぱりプロなんだなあて感じます。一般人の私からしたら芸能人って遠い存在というか、遠くから応援してます」
「ナミネさんには近くで応援して欲しいです」
「あのさ、同じマンションなんだから、とっとと帰ってくれる?」
しまった。私、やらかしちゃったよ。
「あ、すみません、私が引き留めてしまいました」
そうだよね。みんな帰らなきゃいけないよね。
「ナミネのせいじゃないよ。聴きたい曲なら僕が弾くよ。カンザシは帰るから」
「おい、ラハル、調子に乗ってんな。貴重なナミネさんの撮影だったし、ナミネさんの仲間の体験談聞いて何が悪い」
どうしよう。私のせいで何だか空気悪くなっちゃった。私は苛立ったカンザシさんが投げたギターをキャッチしてヨルクさんに渡した。
「ヨルクさん、弾いてください」
「え、私?何弾くの?」
「カンザシさんの駆け出し時代の雪涙です」
「うーん、ナミネとCD少し聴いただけだから弾けるか分かんないよ」
そう言いながらもヨルクさんはピックを持ってギターを弾きはじめた。雪涙。どこかで聴いたことあるんだよな。
「朝目を覚ますと 誰もいない
ひとりぼっちは 慣れているはずなのに
カーテンを開けると ぼたん雪
昨日買い溜めしといて 良かったよ
小さい頃はよく 雪合戦したっけ
何となく今は あの頃に戻りたい
今年の冬もまた 長引きそう
僕は窓についた ツララ眺めてた
誰にだって 上手くいかない時はあるよ
諦めたって構わない 逃げたって構わない
遠い昔の夢は まだ色褪せていない
追いかけ追いかけ 追いかけたまま
遠すぎると 分かりながらも
走り続ける 雪涙
誰もいない教室 青春の一コマ
誰かの噂なんて 何も聞こえない
傘をさして 踏んでく雪道
次第に空は オレンジに染まる
僕にだって 言えないこといっぱいあるよ
誰も知ることのない 僕のひみつ
古代からの夢 まだまだカラフル
青春の延長線は 時に寂しいけれど
粉雪とぼたん雪の 繰り返し
窓を開ければ 雪涙」
ヨルクさんの弾き語りはどこかクセがある。でも、私は温かさを感じていた。あれ、サムライ妖精さんとニンジャ妖精さん、ヨルクさんを見てる?
「ねえ、どうしてみんな笑うの?」
「ヨルク、お前代役してもバレなさそうだな」
「ミナクお兄様、どういう意味ですか!私とカンザシさん、全然違いますよね?」
「そうだね、ヨルクとカンザシは全然違う」
ラハルさんはカンザシさんを見た。ラハルさんの違うってどういう意味だろう。ここ数年で、知らないアイドルグループもそれなりにデビューしたし、ライバル同士で、あまり仲良くしてないのかな、ラハルさんとカンザシさん。
「ラハル、上から目線してられるのも今だけだぞ」
「とっとと帰って欲しいんだけど」
「あ、ニンジャ妖精さんの他のメンバーさんもソロもしてるんですか?」
あれ、この間は何だろう。私、変なこと言ったかな?
「してないです……」
「僕もしてないです……」
シュリさんとロクメさんが答えてくれた。
「そうなんですね。やっぱり、自分で詞を書いて曲作るって難しそうですもんね」
「シュリ、ロクメ!ギターの練習サボるな!」
カンザシさんて、思ったより厳しいんだな。
「ダメだわ。私も双子に見えてきた」
「リリカお姉様!」
双子かあ。まあ、双子には見えなくもないけど、何だか雰囲気が全然違うんだよな。
「あ、皆さんはやっぱり恋愛禁止ですか?これまでに付き合った人いますか?」
「恋愛は禁止です。僕はこれまで付き合った人はいませんが、ラハルは3人ほどいます」
そうなんだ。何か以外。カンザシさんは絶対誰かと交際してると思ったんだけどな。
「もうお手上げ。誰かカンザシ連れて帰って」
その時、ラハルさんが取った出前が届いた。
「ラルク、お寿司だね」
「だな。久しぶりに食べるな」
「ナミネ、ちゃんとご飯も食べて」
「え、私食べてます」
何でそんなことまで覚えてるの、ヨルクさん。
ヨルクさんたちはナノハナ家のみんなでよく外食をしていた。回転寿司に行った時の私は毎回……。
「私覚えてるから!ナミネ、ネタばかり食べてご飯全て残してたの!店員さん困ってたんだよ!」
やっぱり覚えていたのか。
「ナミネってやっぱり学校と全然違うね。学校では勉強も運動も出来て学年1可愛い女の子なのに」
「そんなことないよう。委員長の勘違いだよう。私別に可愛くないし、可愛い子なんてクラスにいっぱいいるよ」
「ラルクと話してる時も学校モードなのがビックリした」
えっ、私、学校でも家でも普通にしてるつもりなんだけどな。
「えー、そんなことないよう。私、みんなに同じように接してるよ?ね?ラルク?」
「まあ、ナミネはナミネだな」
ラルクってセレナールさんのことばかりで、全然私のこと知らないんだよな。
「ねえ、ラルク、タコパ楽しみだね」
「正直、ナミネが最初からそのキャラで僕に接してたら、すっかり騙されてたよ」
えっ、ラハルさんまで?どこが違うのだろう。全然意識してないんだけどな。そりゃ、ダサイところまでは見せれないから、少しはいい子ちゃんかもしれないけど、みんなだってそうでしょ?
「えっ、私は全然意識してないです」
「僕も、ナミネさんが最初にあのキャラで僕に接していたら信じ込んでいました」
カンザシさんまで!?
「ええっ、私、本当に学校でも家でも同じです」
その時、お手伝いさんが温かいお茶を配って行った。セレナールさんはまたカナエさん目がけてかけようとしてる。私は咄嗟にセレナールさんからお茶を奪い取った。
「ここで暴れるのやめてください!みんなに迷惑じゃないですか!」
「ナミネって、いい子ちゃん気取りね。Fメモリイも知らないのに、映画撮影なんかしちゃって」
何それ。セレナールさんが細工したからラルクもいやがっていたのに。それに、飛べない翼はセナ王女が世の中に広めて欲しいて言ってたから私はラハルさんに話したんだよ。
「ナミネは才能あるよ。それにナミネはセレナールのために最後まで取り乱さず演じきったんだよね」
ラハルさん……。やっぱりいい人なんだなあ。
「ミナク、お寿司入れて」
「かしこまりました、セナ王女」
「ナミネさん、どれが食べたいですか?僕がお皿に入れます」
「だ、大丈夫です。自分で入れます」
私は慌ててお皿を取った。するとヨルクさんが私からお皿を取り、私の好きなネタを入れた。
「ほら、ナミネの好きなもの入れたから食べて。ナミネ、自分で入れられないんだから、わざわざ入れようとしないで。お寿司崩れちゃう」
そこまで言わなくてもいいのに。ヨルクさんって何でもしてくれるけど、みんなの前だと恥ずかしいよ。
「はい」
私はお寿司を食べはじめた。
「ラハル、お寿司入れたわ」
「ラハル、お寿司入れたわ」
リリカさんとナナミお姉様はラハルさんにいっぱいお寿司を入れた。食べ切れるのかな。てか、みんなの分は?
「ナナミお姉様、やめてください。みんなの分がなくなります」
「いいよ。ニンジャ妖精は帰るから」
ラハルさん、サッパリしてる。
「サムライ妖精はいいのかよ。嫌がらせだな」
「レオルとは今度ドラマで共演するし、この際だから打ち合わせしようと思ったけど、もういい加減誰かカンザシ連れて帰ってくれる?」
ラハルさん、相当苛立ってそう。でも、イケメン同士だと何だか画になるなあ。
「エルナ、寿司入れた」
「あら、彼氏気取りかしら?落ち武者さん」
落ち武者さんって、まだエルナさんのこと好きなのかな。私は落ち武者さんに、お寿司を入れた。
「はい、落ち武者さん」
「あんた、崩れすぎだろ」
「もう、ナミネ、余計なことしないで。しかもそれ取り箸じゃないよね」
ヨルクさんて、お姑さんみたい。どうしてもっとこう、中学生の青春を気楽に楽しめないのかな。
「ナミネさんって見かけによらず不器用なんですね」
「えっ、そ、そうですか?」
カンザシさんの笑顔ってヨルクさんとは全然違う。でも、何だかいい。
結局、ニンジャ妖精さんは自分たちのマンションには帰らず、グルグル妖精さんのマンションに居座り続けた。そして、お寿司を食べ終わった頃、タコパがはじまった。
……
あとがき。
一旦区切ります。
カンザシはナミネと一緒にいたくてマンションに戻らないんですよね。
さて、芸能人と関わり、実際に映画撮影までしたナミネ。
今後、どうなっていくのでしょうか。
そして、ラルクとセレナールの関係も心配です。
《ナミネ》
飛べない翼の映画撮影が終わった後、私たちはグルグル妖精さんのマンションに来た。グルグル妖精さんのマンションはバルコニー付きの6LDKの高級マンションだった。ちなみに、今日は他のメンバーは泊まりらしい。
けれど、何故かサムライ妖精さんとニンジャ妖精さんもいる。自分たちのマンションに帰らないのだろうか。
ヨルクさんとカンザシさん。こうやって同じ空間で見てみると似てはいるけど、やっぱり違う。今はカンザシさんのほうがややヨルクさんより身長は高いけど、大人になればヨルクさんのほうが高くなるだろう。
そして、ラハルさんは、私が話したセナ王女とセレナールさんの経験を、直接本人に聞きたいと言った。映画の上映前までに本人の体験談としてパンフレットに載せるらしい。
まずはセナ王女から話しはじめた。
「私、カラルリと交際していたの。カラルリとは確かに愛し合ってた。運命だと信じてたし、私のためにフェアリーウィンラサッヴァの指輪買ってくれたし、私が妊娠した時も責任取ると優しくしてくれた。でも、ある日、カラルリの家でカラルリが作った食事食べたら流産したの。カラルリは中絶薬を食事の中に盛っていた。私は食後、大量出血と酷い痛みに襲われ手術を受けた。けど、私の中にはもう子供はいなくなっていた。信じていた彼氏にあんな卑劣なことをされて今でも悔しくてたまらないわ。皇帝陛下はカラルリを不問にしたからカラルリは何の罰も受けずのうのうと生きているし、あの時の記憶が蘇る度苦しくなるの」
セナ王女は大粒の涙を零していた。あの時のことを思い出すと、私も胸が痛むし、あんなこと絶対に繰り返しちゃいけない。
「セナさん、本当に悪かったと思ってる。こんなにもセナさんが苦しむとは思っていなかった。ただ、大人になって互いに就職してから、また作ればいいと思ってた。本当にごめん。許されないことだけど、謝るしかないし、もう一度チャンスが欲しい。セナさんを失って、もう生きる希望が全くない。助けて、セナさん」
今更遅いよ。セナ王女に泣きついたって、カラルリさんのしたこと誰が見ても許されないんだよ。メンバーから出ていって欲しいくらいいやな存在になっている。
「当事者じゃないから、あまり厳しいことは言えないけど、でも、絶対やってはいけないことだよね。まして、愛する彼女にそんなこと……。とてもじゃないけど考えられない。2人の問題だけど、でも、こんなこと二度と繰り返して欲しくないし、こういう事件的なことは、この世の誰にもして欲しくないよ。ニュースで放送されたりしたら誰もが悲しむと思う」
ラハルさんの表情、凄く真剣。今みたいな思いで、あの映画撮影を演じたんだろうな。私も真剣だったよ。凄く真剣だった。こんな悲しいこと二度と同じ空間に居合わせたくない。
次はセレナールさんが話した。
「私はラルクと交際していて、妊娠したのだけど、私は今日撮影した映画のように5000年前の女性の体質で、第1で妊娠が出来て、お腹の子の成長も普通の人の2倍のスピードなの。妊娠7週目なのに、14週目同等で、中絶は出来ない時期に差し掛かってた。セナ王女がカラン王子の別荘で食事会を開いてくれて、食べ終わった時は何もなかったのだけど、その日の夜中に酷い出血と腹痛に襲われて、病院に行って手術を受けた。目が覚めたら流産したと言われ、誰かが食事にトケイ草を入れたと。中期流産の中期中絶だったから、胎児はえぐり出された。顔と胴体は切り離されていて足も……。それを見た時は信じられない気持ちになった。せっかく授かった子の死産届と埋葬をしなくてはいけなくて……。今でも絶望の毎日よ。どうしてアルフォンス王子がトケイ草を入れたのか、もう私の子は戻ってこないのに、アルフォンス王子は何の罰も受けずカナエと幸せに生きている。絶対に許せないし一生恨むと思う」
あの時、みんなはセナ王女を疑った。けれど、アルフォンス王子だった。いったい何のために?けれど、よく思い出すと『カナエを差し置いて』みたいなこと言ってた。カナエさんのためだとしたらその理由は何なの?
「ナミネから話を聞いて、脚本家はセレナールのほうを主な題材としたらしいよ。妊娠中期の流産だなんて、さぞ辛かったと思う。撮影での取り出された胎児は作り物だけど、本物の生きた赤子となると、僕だったら絶対やり切れない。小さな命を奪った犯人を許すことなんて出来ないし、パートナーとの苦しみの日々になると思う。トケイ草を入れて生きた命を殺すなんてあってはならないことだね。どうして産まれるはずの命を奪ったのか僕はその理由を知りたい」
私もアルフォンス王子がセレナールさんを流産させた理由は気になる。分かっても、もうセレナールさんの子供は戻ってこないけど。それでも、ちゃんと知りたい。
セナ王女の子供もセレナールさんの子供も殺されてしまったけど、次の人生では別の母親の元で幸せになれる。私はそう信じたい。死んで終わりじゃない。死んでから次の人生を生きる時、幸せであれば人は救われる。そして、次の人生でアルフォンス王子を見つけ出して正当な方法で罰して欲しい。
罰せられるべき人間はちゃんと罰せられるべきだと思う。
「あのさ、警察が私だと決めつけたらそれで決定なわけ?違うだろ!何の証拠もなしに私に罪を擦り付けて。今の録音警察に突き出してやる!」
「やめて!警察があなただと断定したから言ったし、あなたなのよ!」
確かに私たち証拠は見ていない。今の段階でアルフォンス王子だと決め付けるのは早いのだろうか。アルフォンス王子じゃなければ、誰がやったの?もう分からないよ。
「平凡アルフォンス、これあんただろ!一時的に時間巻き戻して撮影した!言い逃れする気かよ!」
落ち武者さんは携帯の映像を再生した。本当にアルフォンス王子だ。でも、何かがおかしい。そうだ、これだ!
「これ左から光が入っているのに影も左になっています!」
「本当だわ。どういうことなの?」
「なるほど。時間巻き戻しすぎたか。けど、あんた、前世では姉さんの子供殺したんだな」
「前世とかくだらないこと言わないでくれる?」
うーん、アルフォンス王子じゃないってこと?
「けど、この映像あれば警察はどっち信じる?」
「カナエです!カナエがやりました!アルフォンス王子様を責めないでください!」
えっ、嘘だよね?カナエさん、いつも幸せそうなのに。セレナールさんを妬んだとか考えられない。
「カナエ、許さないわ!今すぐ死になさいよ!」
「カナエ、あなた、妊娠したら同じことされるわよ」
私もそう思う。赤ちゃん小さかったけど、もう手も足もあったのに。ちゃんと人間になりかけていたのに!
「実行したのはカナエでしょうけど、誰かがカナエに命じたんじゃない?セナさんか、アルフォンス王子か」
「私は違うわ!ユメさん、証拠もないのに憶測で物事言うの良くないと思うの」
「そうよね、ごめんなさい」
誰かが命じた。確かにカナエさん単独でしたとも思えない。アルフォンス王子に命じられたのかな。
セレナールさんは、お手伝いさんからヤカンを奪いカナエさんに熱湯をかけた。
「セレナール!もう我慢出来ない!カナエにばかり嫌がらせして!」
「私がカナエにされたことはもっと辛いことよ!」
お手伝いさんはカナエさんの手当てをした。ラハルさん、セレナールさんの苦しみを真剣に見てる。何だかこの空間がとても重たい。
「もう終わったことなのよ。他人の家で騒がないで!」
リリカさんの怒鳴り声にみんなは静まった。
「あの、このマンションって月額いくらですか?」
「200万円だよ」
えええええ!めちゃくちゃ高い。デビューして2年でこんなマンションに住めるものなのだろうか。
「凄いですね!皆さんいっぱい稼いでるんですね!」
「1人、ひと月100万円は稼ぐこと目標にしてて、支払いは1人40万円。今のところ活動は順調だし、もっと有名になるために、コツコツ積み重ねるつもりだよ」
「ラハルさんは努力家ですな」
はあ、芸能界デビューしたら完全VIPなのか。まだ高校生なのに自立してて凄いな。
「ラハルってすぐ自慢するよな。僕も同じマンションだけど、月々の支払いは全て僕だけど?」
「えっ、カンザシさんて、音楽だけで、そんなに給料いいんだ。皆さん、学校との両立大変じゃないですか?」
「アルバムがいっぱい売れていますので。学校もちゃんと通っています」
そっか。正式にデビューしたら、一般人とは遠い人なんだ、芸能人って。全然知らなかったよ。
「あ、せっかくなので、弾き語り聴いてみたいです!」
あれ、今ラハルさんの声遮った?気のせいだろうか。カンザシさんはリビングにあるギターを持った。
「弾いて欲しい曲とかありますか?」
「あ、じゃあ、花餅シルエットさんの二度と訪れない青春時代でお願いします」
「随分古い曲ですね」
「懐メロ好きなんです」
「そうですか。じゃあ、弾きます」
カンザシさんは、二度と訪れない青春時代を弾き語りしはじめた。
「あの日 君が流した 涙の場面を 繰り返し
卒業式の前日に こころを駆け巡る
素直すぎた君は 微笑みいつも 絶やさず
ずっと前から 慈しんでいた
突然の夕立ちに 傘を持たずに走った
懐かしのアルバム 押し入れの中
途切れ途切れの 記憶だけど
振り返れば 色褪せて
過ぎ去った 青春時代
粉雪舞っている 薄着で町を走った
よく行く商店街 今も変わらず
途切れ途切れの 記憶だけど
振り返れば 色褪せて
過ぎ去った 青春時代
途切れ途切れの 記憶だけど
振り返らない これからは
今だけを 見つめてく」
やっぱり、プロって上手なんだ。カラルリさんが聴いてたチューリップ妖精さんとは全然違うし、私も駆け出しミュージシャンのフェアリーチューブ見てみたけど、パッとしなかった。
カンザシさん、歌上手い。
「あ、やっぱりアルバムで聴くより直接聴いたほうがとても心に響きます。カンザシさんは、お歌が上手ですな」
「そう言って頂けると嬉しいです。他にも弾いて欲しい曲ありますか?」
「えっと、ミツバ団子さんのセピアな日記お願いします」
「また古い曲ですね」
カンザシさんはセピアな日記を弾き語りしはじめた。ストロークアレンジだ。何だかカンザシさんの弾き語り好きだな。
「ハート型の四葉のクローバーを見つけ
私はあなたの着物の帯の中に差し込んだ
その時 微笑んでいたあなたの顔は
暗くて 真っ暗で 何も見えなくなっていた
時間の歪みで あなたに触れる事さえ出来ない
今ここに 同じこの時に あなたはいるのに
私を慈しんでくれていた 時代と重ならない
悲しくて 苦しくて 私はただただ混乱していた
イタズラしたのは神様じゃない そんなこと
そんなこと 分かっていたよ
筆跡は同じなのに 書かれている内容は少し違う
それでも 真新しい日記を 離せずにいた
夜空 見上げれば ほんの僅かな星が
私を見下すように 悲しく笑っていた
読みかけの本を 開いてみたら あの時の
ハート型の四葉のクローバーが 栞として
挟んであったよ けれどそれはもう色褪せていた
薄ら微笑む あなたは 今は着物を着ていない
イタズラしたのは神様なんだよ そうやって
そうやって 私は私の心を守った
筆跡は同じだった あなたは覚えていたんだね
それなのに 新しい日記は目の前で古びれてゆく
夜空 見上げれば 満天の星たちが
私とあなたを 包み込むように 輝いていた
あまりにも遠い昔に 出会っていたのかな
もう 夢と現実の区別がつかないよ
あなたの手に私の手を重ね 綴ってみた
2人の過去 そして2人の今 2人の未来
夜空 見上げれば 電灯に邪魔された星たちが
私とあなたの今の居場所を 教えてくれた」
カンザシさんの弾き語りを聴いていたらメンバーのゴタゴタが薄らいでいた。
「やっぱりプロなんだなあて感じます。一般人の私からしたら芸能人って遠い存在というか、遠くから応援してます」
「ナミネさんには近くで応援して欲しいです」
「あのさ、同じマンションなんだから、とっとと帰ってくれる?」
しまった。私、やらかしちゃったよ。
「あ、すみません、私が引き留めてしまいました」
そうだよね。みんな帰らなきゃいけないよね。
「ナミネのせいじゃないよ。聴きたい曲なら僕が弾くよ。カンザシは帰るから」
「おい、ラハル、調子に乗ってんな。貴重なナミネさんの撮影だったし、ナミネさんの仲間の体験談聞いて何が悪い」
どうしよう。私のせいで何だか空気悪くなっちゃった。私は苛立ったカンザシさんが投げたギターをキャッチしてヨルクさんに渡した。
「ヨルクさん、弾いてください」
「え、私?何弾くの?」
「カンザシさんの駆け出し時代の雪涙です」
「うーん、ナミネとCD少し聴いただけだから弾けるか分かんないよ」
そう言いながらもヨルクさんはピックを持ってギターを弾きはじめた。雪涙。どこかで聴いたことあるんだよな。
「朝目を覚ますと 誰もいない
ひとりぼっちは 慣れているはずなのに
カーテンを開けると ぼたん雪
昨日買い溜めしといて 良かったよ
小さい頃はよく 雪合戦したっけ
何となく今は あの頃に戻りたい
今年の冬もまた 長引きそう
僕は窓についた ツララ眺めてた
誰にだって 上手くいかない時はあるよ
諦めたって構わない 逃げたって構わない
遠い昔の夢は まだ色褪せていない
追いかけ追いかけ 追いかけたまま
遠すぎると 分かりながらも
走り続ける 雪涙
誰もいない教室 青春の一コマ
誰かの噂なんて 何も聞こえない
傘をさして 踏んでく雪道
次第に空は オレンジに染まる
僕にだって 言えないこといっぱいあるよ
誰も知ることのない 僕のひみつ
古代からの夢 まだまだカラフル
青春の延長線は 時に寂しいけれど
粉雪とぼたん雪の 繰り返し
窓を開ければ 雪涙」
ヨルクさんの弾き語りはどこかクセがある。でも、私は温かさを感じていた。あれ、サムライ妖精さんとニンジャ妖精さん、ヨルクさんを見てる?
「ねえ、どうしてみんな笑うの?」
「ヨルク、お前代役してもバレなさそうだな」
「ミナクお兄様、どういう意味ですか!私とカンザシさん、全然違いますよね?」
「そうだね、ヨルクとカンザシは全然違う」
ラハルさんはカンザシさんを見た。ラハルさんの違うってどういう意味だろう。ここ数年で、知らないアイドルグループもそれなりにデビューしたし、ライバル同士で、あまり仲良くしてないのかな、ラハルさんとカンザシさん。
「ラハル、上から目線してられるのも今だけだぞ」
「とっとと帰って欲しいんだけど」
「あ、ニンジャ妖精さんの他のメンバーさんもソロもしてるんですか?」
あれ、この間は何だろう。私、変なこと言ったかな?
「してないです……」
「僕もしてないです……」
シュリさんとロクメさんが答えてくれた。
「そうなんですね。やっぱり、自分で詞を書いて曲作るって難しそうですもんね」
「シュリ、ロクメ!ギターの練習サボるな!」
カンザシさんて、思ったより厳しいんだな。
「ダメだわ。私も双子に見えてきた」
「リリカお姉様!」
双子かあ。まあ、双子には見えなくもないけど、何だか雰囲気が全然違うんだよな。
「あ、皆さんはやっぱり恋愛禁止ですか?これまでに付き合った人いますか?」
「恋愛は禁止です。僕はこれまで付き合った人はいませんが、ラハルは3人ほどいます」
そうなんだ。何か以外。カンザシさんは絶対誰かと交際してると思ったんだけどな。
「もうお手上げ。誰かカンザシ連れて帰って」
その時、ラハルさんが取った出前が届いた。
「ラルク、お寿司だね」
「だな。久しぶりに食べるな」
「ナミネ、ちゃんとご飯も食べて」
「え、私食べてます」
何でそんなことまで覚えてるの、ヨルクさん。
ヨルクさんたちはナノハナ家のみんなでよく外食をしていた。回転寿司に行った時の私は毎回……。
「私覚えてるから!ナミネ、ネタばかり食べてご飯全て残してたの!店員さん困ってたんだよ!」
やっぱり覚えていたのか。
「ナミネってやっぱり学校と全然違うね。学校では勉強も運動も出来て学年1可愛い女の子なのに」
「そんなことないよう。委員長の勘違いだよう。私別に可愛くないし、可愛い子なんてクラスにいっぱいいるよ」
「ラルクと話してる時も学校モードなのがビックリした」
えっ、私、学校でも家でも普通にしてるつもりなんだけどな。
「えー、そんなことないよう。私、みんなに同じように接してるよ?ね?ラルク?」
「まあ、ナミネはナミネだな」
ラルクってセレナールさんのことばかりで、全然私のこと知らないんだよな。
「ねえ、ラルク、タコパ楽しみだね」
「正直、ナミネが最初からそのキャラで僕に接してたら、すっかり騙されてたよ」
えっ、ラハルさんまで?どこが違うのだろう。全然意識してないんだけどな。そりゃ、ダサイところまでは見せれないから、少しはいい子ちゃんかもしれないけど、みんなだってそうでしょ?
「えっ、私は全然意識してないです」
「僕も、ナミネさんが最初にあのキャラで僕に接していたら信じ込んでいました」
カンザシさんまで!?
「ええっ、私、本当に学校でも家でも同じです」
その時、お手伝いさんが温かいお茶を配って行った。セレナールさんはまたカナエさん目がけてかけようとしてる。私は咄嗟にセレナールさんからお茶を奪い取った。
「ここで暴れるのやめてください!みんなに迷惑じゃないですか!」
「ナミネって、いい子ちゃん気取りね。Fメモリイも知らないのに、映画撮影なんかしちゃって」
何それ。セレナールさんが細工したからラルクもいやがっていたのに。それに、飛べない翼はセナ王女が世の中に広めて欲しいて言ってたから私はラハルさんに話したんだよ。
「ナミネは才能あるよ。それにナミネはセレナールのために最後まで取り乱さず演じきったんだよね」
ラハルさん……。やっぱりいい人なんだなあ。
「ミナク、お寿司入れて」
「かしこまりました、セナ王女」
「ナミネさん、どれが食べたいですか?僕がお皿に入れます」
「だ、大丈夫です。自分で入れます」
私は慌ててお皿を取った。するとヨルクさんが私からお皿を取り、私の好きなネタを入れた。
「ほら、ナミネの好きなもの入れたから食べて。ナミネ、自分で入れられないんだから、わざわざ入れようとしないで。お寿司崩れちゃう」
そこまで言わなくてもいいのに。ヨルクさんって何でもしてくれるけど、みんなの前だと恥ずかしいよ。
「はい」
私はお寿司を食べはじめた。
「ラハル、お寿司入れたわ」
「ラハル、お寿司入れたわ」
リリカさんとナナミお姉様はラハルさんにいっぱいお寿司を入れた。食べ切れるのかな。てか、みんなの分は?
「ナナミお姉様、やめてください。みんなの分がなくなります」
「いいよ。ニンジャ妖精は帰るから」
ラハルさん、サッパリしてる。
「サムライ妖精はいいのかよ。嫌がらせだな」
「レオルとは今度ドラマで共演するし、この際だから打ち合わせしようと思ったけど、もういい加減誰かカンザシ連れて帰ってくれる?」
ラハルさん、相当苛立ってそう。でも、イケメン同士だと何だか画になるなあ。
「エルナ、寿司入れた」
「あら、彼氏気取りかしら?落ち武者さん」
落ち武者さんって、まだエルナさんのこと好きなのかな。私は落ち武者さんに、お寿司を入れた。
「はい、落ち武者さん」
「あんた、崩れすぎだろ」
「もう、ナミネ、余計なことしないで。しかもそれ取り箸じゃないよね」
ヨルクさんて、お姑さんみたい。どうしてもっとこう、中学生の青春を気楽に楽しめないのかな。
「ナミネさんって見かけによらず不器用なんですね」
「えっ、そ、そうですか?」
カンザシさんの笑顔ってヨルクさんとは全然違う。でも、何だかいい。
結局、ニンジャ妖精さんは自分たちのマンションには帰らず、グルグル妖精さんのマンションに居座り続けた。そして、お寿司を食べ終わった頃、タコパがはじまった。
……
あとがき。
一旦区切ります。
カンザシはナミネと一緒にいたくてマンションに戻らないんですよね。
さて、芸能人と関わり、実際に映画撮影までしたナミネ。
今後、どうなっていくのでしょうか。
そして、ラルクとセレナールの関係も心配です。
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