日常のこととかオリジナル小説のこととか。
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ashita
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女性
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地主(土地貸してます)
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漫画やアニメを見るのが好きです。最推しはフーディーニ ♡
自己紹介:
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ブログ、もう書かないと思ってました。
けれど、去年から書き始めた小説によって、過去に書いてた小説も書き始め、ここに載せることにしたのです。
小説は、主に『時間と時間を繋ぐ恋の物語』と『妖精村と愉快な仲間たち』をメインに書いています。
現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。
純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。
元々このブログは病気の記録用として立ち上げたものですが、小説載せるようになってからは、ここは出来るだけ趣味的なことを綴りたいと思っております。
病気の記録や様々な思いを綴るブログは移転済みなのです。
ただ、今は日記は個人的な徒然、或いはお知らせとして綴ることが多いかと思います。
小説、ぼちぼちマイペースに書いてゆきます。
よろしくお願い致します。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
お知らせ。
イラストは現在「ナノハナ家の日常」に載せております。サイドバーにリンクあります。
また、「カラクリよろずや」にて無料のフリーイラスト素材配布もはじめました✩.*˚
フリーイラスト素材も増やしていく予定です(*'ᴗ'*)
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
模倣・無断転載などは、ご遠慮ください。
ブログの小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
小説・純愛偏差値に関しましては、武家名・貴族名(程度による) / 及び、武官の階級 / 扇子・羽子板・花札・百人一首・紙飛行機などのアイテム使用方法の模倣の一切を禁じております。
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X @kigenzen1874
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けれど、去年から書き始めた小説によって、過去に書いてた小説も書き始め、ここに載せることにしたのです。
小説は、主に『時間と時間を繋ぐ恋の物語』と『妖精村と愉快な仲間たち』をメインに書いています。
現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。
純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。
元々このブログは病気の記録用として立ち上げたものですが、小説載せるようになってからは、ここは出来るだけ趣味的なことを綴りたいと思っております。
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〈資格履歴〉
2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2010年02月10日
→セルフ・カウンセリング
ステップ2 合格
2011年05月28日
→セルフ・カウンセリング
指導講師資格審査 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年01月20日
→鉛筆デッサンマスター 合格
→絵画インストラクター 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
→茶道アドバイザー 合格
→お点前インストラクター 合格
2025年04月17日
→着物マイスター 合格
→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
→サイキックアドバイザー 合格
→サイキックヒーラー 合格
2025年07月01日
→アンガーカウンセラー 合格
→アンガーコントロール士 合格
2025年08月04日
→漢方コーディネーター 合格
→薬膳調整師 合格
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〈資格証明バナー〉

2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2010年02月10日
→セルフ・カウンセリング
ステップ2 合格
2011年05月28日
→セルフ・カウンセリング
指導講師資格審査 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年01月20日
→鉛筆デッサンマスター 合格
→絵画インストラクター 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
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→お点前インストラクター 合格
2025年04月17日
→着物マイスター 合格
→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
→サイキックアドバイザー 合格
→サイキックヒーラー 合格
2025年07月01日
→アンガーカウンセラー 合格
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〈資格証明バナー〉

純愛偏差値 未来編 一人称版 113話
《ナミネ》
時を経て、セナ王女とシャム軍医は恋の花で結ばれた。これで良かったのか悪かったのか、そんなの私には分からない。現に、カラルリさんからアヤネさんとの交際宣言したわけだし。アヤネさんのほうは、まだズームさんを諦めきれてないのは明確だけれど。簡単に、昔の付き合いだからと復縁していいものなのだろうか。
また、病院の無線が流れてる。
『廃止を継続するとお伝えした、春風神社の生贄制度ですが、貴族による復活署名が集まり、皇帝陛下も廃止解除に向かっています。もし、春風神社にて生贄制度を行う場合は、生贄に選ばれた女性が指定の着物を着て舞を踊り、進行人に選ばれた男性に白花を触れられたあと、皇室の武官による赤花咲が行われ、その最中に進行人が雪流零を行います。生贄女性は美しくスタイルが良い女性、進行人は女受けしない低収入の男性、武官は体重80キロ越えとなり、三人ともハツであることが決定致しました。かつて、男性陣が楽しみにしていた生贄制度、実現されるのでしょうか?』
廃止になったんじゃなかったの?女性は、オモチャなんかじゃないのに。貴族はいつの時代も人で楽しみを得る。全員ハツってことは、限られてしまう。それこそ、本当にカナコさんになる恐れも……。
その時、リリカさんの元に紙飛行機が落ちた。リリカさんは紙飛行機を開けるなり、セレナールさんを殴り付けた。
私は落ちた紙飛行機を拾った。
『生贄制度は現実になるわ。候補も出てる。
私、レイカ、レイナ、リリカ。
誰かが裏で糸を引いているとしか思えない。
カナコ』
リリカさんが候補に!?わ、私のせいだろうか。私が生贄制度を一瞬でも復活させなければ、武家のみんなを混乱させる羽目にならなかったかもしれない。今になって罪悪感を抱くだなんて。
「アンタ、いくら不利な状況でも殴るのはアウトだろ」
落ち武者さん、扇子突き付けてる。
「リリカ、全て僕のせいだよ。僕が四人全員選ばれないようどうにかするから時間をくれないかな?」
きっと、あの頃のセリルさんは世間知らずだった。
「セリルさんが悪いとは思っていません。けれど、自分の問題をナミネに押し付け、ナミネの人生を壊したセレナールは償うべきだと思います」
リリカさん、かなり怒っている。
「リリカさん、私が代わりにやります!」
ナナミお姉様……。ダメだ、姉妹を巻き込むなんて思ってなかった。
「ナナミ、絶対するな!ナナミのことは選ばせない!」
ミナクさん、まさかナナミお姉様と……。
「ナナミの出る幕ではないわ。全てはセレナールが起こした問題だもの!ナナミを犠牲になんかさせないわ!」
リリカさん、自分の危機が迫っているのに守るべきものは守る勇敢な人。
「じゃあ、今日はシャム軍医の家には行けないね」
ズルエヌさんこそ選ばれるかもしれないのに、その余裕はどこから出てくるのだろう。
「ごめんなさい。私、シャム軍医の家に行くわ」
セナ王女は、武家の問題には関係なしか。ハツというわけでもないし。
「ナミネ、僕らも行くぞ」
え、でも……
「アンタら、抜け駆けし過ぎだろ」
落ち武者さんも行くの?何のために?
流されるまま、私は、騒がしい病室を抜けて、セナ王女とシャム軍医に着いて行き、ラルクと同じ馬に乗った。
春風町を通り抜け洞窟へ。灰色町からだと、春染めにいた時と、そう距離は変わらない気がする。
私たちは洞窟の真ん中に馬を停め、そこから洞窟を歩いた。
「甘えセナ、アンタ、シャムとの関係バレるなよ?紅葉町に戻るまでは」
どうして洞窟の中でそんな話するのだろう。バレたとして、何か問題でもあるのだろうか。
「えっ!わ、私は……」
やっぱり、周りに気付かれてないと思ってる。
「僕は黙ってるよ。セナ元帥のためにも」
カラルリさんのことだから、セナ王女がシャム軍医と交際してるなんて知ったら、セナ王女に復縁迫りそう。
「今日も家だからって何もすんな」
落ち武者さん、どうして他人の恋路にとやかく言うのだろう。
「え、ええ。何もしないわ」
「あの、別に良くないですか?お二人はもう恋人なんですし」
落ち武者さんが決めたって仕方ないじゃない。
「ダメだ。遠い昔、元々はシャムと交際するはずだったんだ。それが先にカラクリ家に行ったために、一目惚れカラルリと交際することになっちまった。このままアンタらが深い関係になれば、歴史が変わる」
そんな……じゃあ、どうしろって言うの。
「そんな……やっと手に入れた幸せだから、シャム軍医を手放したくないわ!」
セナ王女……。
「だったら、紅葉町までは絶対Fメモはすんな!紅葉神社でつがい守り買うまでは距離置け!」
まだ帰れないのに。なんだか不憫だ。
「分かったわ。シャム軍医との未来のためにも今は我慢する」
なんだか不安だな。
氷河期町だ。とても寒い。
「今日は天候が荒れてるな」
天候なんてあるの?
「天候ですか?」
「そうだよ。一見、吹雪に見えるけど、晴れの日、雨の日、曇りの日があるんだよ」
とてもそうは見えない。
「でも、今日もバイトの人いますけど」
あの人らどうなるのだろう。諦めて帰るのかな。
「今日は無理だね」
「そうですか」
距離置くって言ったばかりなのに手繋いでる。それくらいならいいのかな。
「ねえ、さっき、本当はシャム軍医と交際するはずだったって言ってたわよね?それってどういうことなの?」
何気に私も気になる。
「アンタ、軍事基地いる時からシャムのこと好きだったんだよ。でも、アンタ仕事ばっかで気持ち押し込めてた。そういう雰囲気になったことあっただろ?」
私は、陸軍基地から空軍基地に移動し、紅葉町には戻れず戦死する。
「うーん、思い出せないわ」
私も全く分からない。
「すみません……」
え、何かあったの?
「何?」
「それは……」
「早く言いなさいよ!」
カラルリさんは運命じゃなかったんだ。
「急患で寝る場所が殆どなかった時にセナ元帥と隣で浴衣でしたので、誤って……」
タコ部屋なんて何回もあったような。
「うーん、私は寝てたのよね?」
「起きてました」
え……。
「えっ、私何か言ってた?」
「ただ何も言わず僕の手を握りました」
好きだったんだ。でも、戦争だったから、セナ王女は恋愛を捨てた。
「そ、そうだったのね」
民家が見えて来た。意外に大きい。
「ここが僕の家です」
私は真っ先にシャム軍医の家の中に入った。
「意外に広いのね。一人暮らしで二階建てって何だか寂しいわね」
ナヤセス殿も高級マンションに住んでるけど、私は一人でも広い家がいいな。
「この町は家族連れが多いですから」
氷河期町の人同士が結婚して世帯を持つというわけか。なんだか急に部屋が温かくなってきた。
「あの、当時の軍事基地時代のアルバムはありますか?」
「あるよ。ちょっと待ってて」
氷河期町は外があんな寒さじゃなければ住みやすいのに。あれ、ここにも無線がある?
『生贄制度ですが、決行になりました。生贄になる女性は、ブランケット家の長女に多くの票が入りましたが、皇帝陛下が認めず、今のところキクリ家・長女、コノハ家・長女次女、クレナイ家・長女に多くの票が集まっています。また選ばれた生贄女性が緑風華をしないよう監視が着いています。生贄儀式が終わったあとも本人が落ち着くまで監視は付けられます』
なんだか、聞いていて気分が悪い。あの時は、怒りで自分を制御出来なかったけど、改めて聞くといい気はしない。
「指定の着物もこういうのらしいぜ」
突然ラルクが携帯画面を見せてきた。
「えっ、こんなの着てないようなもんじゃない」
私の時は、着物を何重にも重ねられていて、進行人はヨルクさんで、赤花咲の時には三人全員が白空鈴でなければならない。
透けた着物。これも貴族の娯楽見物の一つなのだろうか。
「結局、貴族は人の傷付く姿見ることしか楽しみないんだよ」
なんだか、そういうのいやだ。けれど、貴族こそ美しい女性とやらに当てはまるのではないだろうか。
「これだよ」
シャム軍医が机に古いアルバムを置いた。
「ありがとうございます。結構あるんですね」
私はアルバムを開いた。
「みんなに配布されるからね」
そっか。私は戦死したからアルバム渡されなかったんだ。
「アンタ、軍服似合ってるな」
「そうでしょうか。私は武官の方が向いている気がします」
でも、ひとたび戦争が起きれば武家から一般人まで駆り出されてしまう。貴族は手続きで免除出来るけど。
「アンタ、成長すれば綺麗になんだよ」
落ち武者さんは、私の頬に触れた。
「そうかな。ナミネはどちらかというと子供っぽかったイメージあるけどな。僕はセナ元帥のほうが美しいと思ってたよ」
私って子供っぽいの?
「アンタはそうだろうがよ。甘えセナに一目惚れしたんだからな。でも、男の殆どが強気なナミネくどいてただろ」
確かに言い寄ってくる男は多かった。でも、あの時の私は恋愛なんてしている余裕などどこにもなかった。青春を戦争に捧げたのだ。
「そうね。ナミネが空軍基地に来てからは、男は夜な夜なナミネに言い寄ってたわ」
所詮、男など女の見た目で決め付ける生き物だ。
あ、最後の集合写真と、私が出発する時の写真。
「私、戦死したんですよね」
もう昔のことなのに涙が出てくる。
「ナミネは生きて戻ったよ。そして、ヨルクと同じアパートに住んで、そこに僕とセナ元帥も居候した。同じアパートにはカナコさんとセリルもいたよ」
戦死してない?生きて戻った?
歴史が変わっている。
「ラルク、歴史が……!」
「ああ、変わってるな。僕は確かにナミネの葬儀に行った」
いったい何が起きているのだろう。
「歴史が変わっています。セナ王女のカラルリさんの失望が原因のようです。このまま変わり続ければ、現世そのものが変わってしまいます」
キクスケさん!?なんか、久しぶりな気がする。
「どうすればいいの?」
「あの時、軍事基地で一瞬の出来事とはいえ、シャム軍医と愛し合った上でカラルリさんを選んだ事実を思い出す必要があります。覚悟は出来ていますか?」
大丈夫なのだろうか。やっと、シャム軍医と落ち着いたのに。この時って、私がミナクさんに嫁いだ一つ前だろうか。その時に既にセナ王女は、カラルリさんと出会っていたんだ。
「出来てるわ。私はシャム軍医との未来を歩む」
「分かりました。それでは全てを受け入れてください」
キクスケさんは、セナ王女の頭に手をかざした。
「私、あの日……シャム軍医と……。それなのにどうしてカラルリと交際なんかしてしまったの……」
セナ王女は涙をポロポロ零した。
「セナ元帥、今からはじめましょう。それに、全く相手にされてないと思っていたセナ元帥が一瞬でも僕を受け入れてくれたこと生涯を終えるまで生き甲斐になっていました」
二人の恋はなんだか素敵。こんなふうに、ヨルクさんも私を待っていてくれていたのかな。
「じゃ、甘えセナとシャムの問題は解決したから、あとは生贄の問題だな」
どうにかしなくてはならない。いったいどうすれば……。
「お父様に頼んでみるわ」
ミネルナさんは免除された。だったら、上の者が動けばどうにかなるのだろうか。
「ナミネ、無線でお武家連盟会議するそうだぞ」
無線で?まあ、今は集まること出来ないから仕方ないかもしれないけど。私は無線を手に持った。
『これより、緊急お武家連盟会議を行います。テーマは生贄制度についてです。意見のある者は合図を行ってください』
やはり、進行はレイカさんか。
誰かが合図を鳴らした。
『レイナ、意見をどうぞ』
どうして誰の合図か分かるのだろう。
『セレナールを刑事裁判にかけるべきだと思います』
予想はしていたけど、セレナールさんに矛先は向く。
『私もレイナと同意見です。元凶はセレナールにあると思います』
カナミさんまでもセレナールさんに責任を取らせようとしている。
『リリカ、意見をどうぞ』
『私もセレナールを罰するべきだと思います。カナコさん、レイカさん、レイナさん、私。誰かが生贄になれば武家の株は下がります』
けれど、セレナールさんを罰しても、セレナールさんは生贄にはならず、苦しむのは他の誰かだ。
[ナミネ、歴史変わったぞ]
ラルクからのモーラス信号。そして、無線から聞こえる物凄い音。
『何をしたのよ!セレナール!!』
どうして?地獄村の生贄がリリカさんに変わってる。
[ラルク、何があったの?]
[姉さんには後ろ盾があるんだよ。昔の番人・ヤマヨリのな]
そういえば、ウルクさんの前がヤマヨリさんだったっけ。セレナールさんのピンチには必ず現れると伝説にもなっていた。
「ナミネ、元に戻せ!」
それしかないか。このままだと、リリカさんがおかしくなってしまう。
「あの、二階お借りします」
私は二階へ駆け上がった。携帯を取り出し、テナロスさんにメールをした。
《かしこまりました》
これで元に戻るはず。私は階段を下りた。
生贄はセレナールさんに戻っている。
[ダメだ。また戻された]
えっ……。セレナールさんは、袋叩きにならないようにヤマヨリさんに命令してるの?私はまた携帯でテナロスさんにメールを送信した。生贄はセレナールさんに戻ったが、また直ぐにリリカさんに戻されてしまった。これではイタチごっこだ。
『セリル、聞こえてるわよね?あなたのこと絶対に許さない!』
カナコさん、完全に怒ってる。正直いやだ。ベストカップルだったカナコさんとセリルさんが拗れてしまうのは。
『カナコ、今は堪えて!いっときの感情でセリルを責めたら後悔するわ』
レイカさんは冷静だ。生贄に選ばれるかもしれないのに。
『きゃああああああ!やめて!!』
『リリカ、どうしたの?』
ダメだ。セレナールさんがヤマヨリさんに命令してリリカさんを攻撃してる。
『ふふっ、なんだかいい気味です。いつも大口叩いているリリカさんが襲われている姿。でも、ハツじゃないと生贄にはなれませんね』
やっぱり、アヤネさん性格悪すぎる。正直、関わりたくない。
『じゃあ、やめようか。もうすぐセレナールは皇室に連行されるからね』
『お願い、見逃して!少しカッとなっただけなんです!』
皇室でもどこでも行けばいい。
『話、戻しますが、私はナクリお姉様を推薦します』
全く予測をしていなかったわけではないけれど、ナノハお姉様が切り出すのは意外だし、同じ経験をすることに意味があるのか今となっては分からない。
『では、生贄はナクリという方向で話を進めますが、異議のある者は申し出てください』
『確かにナクリお姉様は罪を犯しました。だからといって、僕は家族を犠牲にしたくありません』
やはり、ナルホお兄様はどこまでも自分の平和とやらを貫こうとする。
『一人の意見のみを通すことは出来ないわね。会議参加者の過半数が反対すればそれに従います。けれど、このまま誰も異議がないのであれば、ナクリで進めたいと思います』
ナクリお姉様は、もはやみんなの敵に回ってしまっている。正直私も、リリカさんたちが犠牲にならないためには、ナクリお姉様に犠牲になって解決出来たらと思う。
『その進行の仕方は強引だと思います』
『では、私の進行が強引だと思う者は名乗り出てください』
無論、誰も名乗り出ない。
『待って!ミドリ、許して!一生かけて償う!』
人は人を攻撃して敵を作った後に不利な立場に立たされたら情けなくもすがる生き物だ。
『許さないよ。私もナクリでいいと思う』
『こんなこと言うの気が引けるけど、ナクリはそれだけのことしたわけだし、同じことされたらって、みんな怖がってるわ。私もナクリは痛い目見るべきだと思う』
カナコさんからも嫌われたナクリお姉様。大学も休学しているし、もはや孤立無援だ。人を陥れた者には何の慈悲も与えられない。
『私はアヤネを推薦します』
リリカさん……。この分かれた意見は、グループの人間関係を拗れさせてしまう気がする。
『ふふっ、私はハツじゃないから生贄にはなれませんわ』
『ハツにすることは今の医療技術では可能よ』
確かに第一まで戻すことは現代では可能だ。
『どうしていつも私ばかりを犠牲にするんですか!』
『自分からハツじゃないって言って惨めね』
アヤネさんも嫌われている。
『では、ハツは復活出来るということで、セレナール、ナクリ、アヤネで投票を取ります。順番に名前を言ってください』
セレナールさんが加わるなら選択は一択。
『私はセレナールさんを推薦します!』
最後までの投票を聞いて、セレナールさんとナクリお姉様の接戦の中、セレナールさんに決まった。
『待って!助けて兄さん!』
セリルさんは何も言わない。
『セリル、あなたとの縁もここまでよ!あなたもあなたの家族も不幸にしてやる!』
あれ、今一瞬周りのものがブレた?
『では、生贄はナクリで皇室に紙飛行機を飛ばします。これにて会議を終了します』
無線が切れた。誰かが、時間を動かしたんだ。セリルさん……?ではない。まさか……落ち武者さん!?
「悪いけど、これ以上、姉さんに傷付いてもらうわけにはいかないからね?」
歴史の何がセレナールさんをずっと追い込んでいるのは分からない。でも、私としてはセレナールさんには、色々言いたいことがある。
『緊急速報です。伝説となっていた第二王室が赤線町の森の奥に発見されました!そのことで、村中が騒ぎとなり、生贄制度は第四王女であるターサスヒ様に圧倒的な票が入り、皇帝陛下も認めざるを得なくなり、生贄はターサスヒ様に決定致しました。第二王室では圧倒的な美貌を持つと言われているターサスヒ様が儀式の主役になったのは、多くの貴族たちに反響を呼ぶことでしょう』
第二王室。遠い昔、アルフォンス王子が住んでいたところだ。赤線町に現代も存在していたのか。けれど、ターサスヒなんて聞いたことがない。
でも、第二王室は第一王室とは違ってどちらかというと女王制度だ。なのに、王女を生贄に差し出していいのだろうか。
その時、下着姿でセナ王女が下りてきた。
「嘘でしょ!いったい誰が……!」
王室同士の付き合いでもあったのだろうか。
「アンタさ、服くらい着ろよ」
シャム軍医も慌てて下りてきてセナ王女にバスローブを羽織らせた。
「もう消え去ったと思っていました。けれど、今も存在していたのですね。恐らくセナ王女とアルフォンス王子をよく思わない人の陰謀でしょう」
陰謀!?もうナクリお姉様でいいじゃない。どうして、いちいちコロコロ変えるの。
「許せないわ!犯人見付けて必ず拷問してやるわ!」
「そのターサスヒって王女はアンタの何なんだよ」
遠い昔もいたのだろうか。
「姉よ!母さんの子なのよ!」
そんな……まさか……!!
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あとがき。
殆ど、お武家会議な回でした。
セナとアルフォンスには兄弟がたくさんいますね。
その分、権力争いもありそうですが。
ターサスヒ。
古代編では登場していない人物。
原石採取どころではなくなる展開。
カラルリはどうするのかな。
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この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
現在、小説に関する模倣(程度による)の一切を禁じております。
詳しくはこちらを参照→ 禁止事項
無断転載もご遠慮ください。
《ナミネ》
時を経て、セナ王女とシャム軍医は恋の花で結ばれた。これで良かったのか悪かったのか、そんなの私には分からない。現に、カラルリさんからアヤネさんとの交際宣言したわけだし。アヤネさんのほうは、まだズームさんを諦めきれてないのは明確だけれど。簡単に、昔の付き合いだからと復縁していいものなのだろうか。
また、病院の無線が流れてる。
『廃止を継続するとお伝えした、春風神社の生贄制度ですが、貴族による復活署名が集まり、皇帝陛下も廃止解除に向かっています。もし、春風神社にて生贄制度を行う場合は、生贄に選ばれた女性が指定の着物を着て舞を踊り、進行人に選ばれた男性に白花を触れられたあと、皇室の武官による赤花咲が行われ、その最中に進行人が雪流零を行います。生贄女性は美しくスタイルが良い女性、進行人は女受けしない低収入の男性、武官は体重80キロ越えとなり、三人ともハツであることが決定致しました。かつて、男性陣が楽しみにしていた生贄制度、実現されるのでしょうか?』
廃止になったんじゃなかったの?女性は、オモチャなんかじゃないのに。貴族はいつの時代も人で楽しみを得る。全員ハツってことは、限られてしまう。それこそ、本当にカナコさんになる恐れも……。
その時、リリカさんの元に紙飛行機が落ちた。リリカさんは紙飛行機を開けるなり、セレナールさんを殴り付けた。
私は落ちた紙飛行機を拾った。
『生贄制度は現実になるわ。候補も出てる。
私、レイカ、レイナ、リリカ。
誰かが裏で糸を引いているとしか思えない。
カナコ』
リリカさんが候補に!?わ、私のせいだろうか。私が生贄制度を一瞬でも復活させなければ、武家のみんなを混乱させる羽目にならなかったかもしれない。今になって罪悪感を抱くだなんて。
「アンタ、いくら不利な状況でも殴るのはアウトだろ」
落ち武者さん、扇子突き付けてる。
「リリカ、全て僕のせいだよ。僕が四人全員選ばれないようどうにかするから時間をくれないかな?」
きっと、あの頃のセリルさんは世間知らずだった。
「セリルさんが悪いとは思っていません。けれど、自分の問題をナミネに押し付け、ナミネの人生を壊したセレナールは償うべきだと思います」
リリカさん、かなり怒っている。
「リリカさん、私が代わりにやります!」
ナナミお姉様……。ダメだ、姉妹を巻き込むなんて思ってなかった。
「ナナミ、絶対するな!ナナミのことは選ばせない!」
ミナクさん、まさかナナミお姉様と……。
「ナナミの出る幕ではないわ。全てはセレナールが起こした問題だもの!ナナミを犠牲になんかさせないわ!」
リリカさん、自分の危機が迫っているのに守るべきものは守る勇敢な人。
「じゃあ、今日はシャム軍医の家には行けないね」
ズルエヌさんこそ選ばれるかもしれないのに、その余裕はどこから出てくるのだろう。
「ごめんなさい。私、シャム軍医の家に行くわ」
セナ王女は、武家の問題には関係なしか。ハツというわけでもないし。
「ナミネ、僕らも行くぞ」
え、でも……
「アンタら、抜け駆けし過ぎだろ」
落ち武者さんも行くの?何のために?
流されるまま、私は、騒がしい病室を抜けて、セナ王女とシャム軍医に着いて行き、ラルクと同じ馬に乗った。
春風町を通り抜け洞窟へ。灰色町からだと、春染めにいた時と、そう距離は変わらない気がする。
私たちは洞窟の真ん中に馬を停め、そこから洞窟を歩いた。
「甘えセナ、アンタ、シャムとの関係バレるなよ?紅葉町に戻るまでは」
どうして洞窟の中でそんな話するのだろう。バレたとして、何か問題でもあるのだろうか。
「えっ!わ、私は……」
やっぱり、周りに気付かれてないと思ってる。
「僕は黙ってるよ。セナ元帥のためにも」
カラルリさんのことだから、セナ王女がシャム軍医と交際してるなんて知ったら、セナ王女に復縁迫りそう。
「今日も家だからって何もすんな」
落ち武者さん、どうして他人の恋路にとやかく言うのだろう。
「え、ええ。何もしないわ」
「あの、別に良くないですか?お二人はもう恋人なんですし」
落ち武者さんが決めたって仕方ないじゃない。
「ダメだ。遠い昔、元々はシャムと交際するはずだったんだ。それが先にカラクリ家に行ったために、一目惚れカラルリと交際することになっちまった。このままアンタらが深い関係になれば、歴史が変わる」
そんな……じゃあ、どうしろって言うの。
「そんな……やっと手に入れた幸せだから、シャム軍医を手放したくないわ!」
セナ王女……。
「だったら、紅葉町までは絶対Fメモはすんな!紅葉神社でつがい守り買うまでは距離置け!」
まだ帰れないのに。なんだか不憫だ。
「分かったわ。シャム軍医との未来のためにも今は我慢する」
なんだか不安だな。
氷河期町だ。とても寒い。
「今日は天候が荒れてるな」
天候なんてあるの?
「天候ですか?」
「そうだよ。一見、吹雪に見えるけど、晴れの日、雨の日、曇りの日があるんだよ」
とてもそうは見えない。
「でも、今日もバイトの人いますけど」
あの人らどうなるのだろう。諦めて帰るのかな。
「今日は無理だね」
「そうですか」
距離置くって言ったばかりなのに手繋いでる。それくらいならいいのかな。
「ねえ、さっき、本当はシャム軍医と交際するはずだったって言ってたわよね?それってどういうことなの?」
何気に私も気になる。
「アンタ、軍事基地いる時からシャムのこと好きだったんだよ。でも、アンタ仕事ばっかで気持ち押し込めてた。そういう雰囲気になったことあっただろ?」
私は、陸軍基地から空軍基地に移動し、紅葉町には戻れず戦死する。
「うーん、思い出せないわ」
私も全く分からない。
「すみません……」
え、何かあったの?
「何?」
「それは……」
「早く言いなさいよ!」
カラルリさんは運命じゃなかったんだ。
「急患で寝る場所が殆どなかった時にセナ元帥と隣で浴衣でしたので、誤って……」
タコ部屋なんて何回もあったような。
「うーん、私は寝てたのよね?」
「起きてました」
え……。
「えっ、私何か言ってた?」
「ただ何も言わず僕の手を握りました」
好きだったんだ。でも、戦争だったから、セナ王女は恋愛を捨てた。
「そ、そうだったのね」
民家が見えて来た。意外に大きい。
「ここが僕の家です」
私は真っ先にシャム軍医の家の中に入った。
「意外に広いのね。一人暮らしで二階建てって何だか寂しいわね」
ナヤセス殿も高級マンションに住んでるけど、私は一人でも広い家がいいな。
「この町は家族連れが多いですから」
氷河期町の人同士が結婚して世帯を持つというわけか。なんだか急に部屋が温かくなってきた。
「あの、当時の軍事基地時代のアルバムはありますか?」
「あるよ。ちょっと待ってて」
氷河期町は外があんな寒さじゃなければ住みやすいのに。あれ、ここにも無線がある?
『生贄制度ですが、決行になりました。生贄になる女性は、ブランケット家の長女に多くの票が入りましたが、皇帝陛下が認めず、今のところキクリ家・長女、コノハ家・長女次女、クレナイ家・長女に多くの票が集まっています。また選ばれた生贄女性が緑風華をしないよう監視が着いています。生贄儀式が終わったあとも本人が落ち着くまで監視は付けられます』
なんだか、聞いていて気分が悪い。あの時は、怒りで自分を制御出来なかったけど、改めて聞くといい気はしない。
「指定の着物もこういうのらしいぜ」
突然ラルクが携帯画面を見せてきた。
「えっ、こんなの着てないようなもんじゃない」
私の時は、着物を何重にも重ねられていて、進行人はヨルクさんで、赤花咲の時には三人全員が白空鈴でなければならない。
透けた着物。これも貴族の娯楽見物の一つなのだろうか。
「結局、貴族は人の傷付く姿見ることしか楽しみないんだよ」
なんだか、そういうのいやだ。けれど、貴族こそ美しい女性とやらに当てはまるのではないだろうか。
「これだよ」
シャム軍医が机に古いアルバムを置いた。
「ありがとうございます。結構あるんですね」
私はアルバムを開いた。
「みんなに配布されるからね」
そっか。私は戦死したからアルバム渡されなかったんだ。
「アンタ、軍服似合ってるな」
「そうでしょうか。私は武官の方が向いている気がします」
でも、ひとたび戦争が起きれば武家から一般人まで駆り出されてしまう。貴族は手続きで免除出来るけど。
「アンタ、成長すれば綺麗になんだよ」
落ち武者さんは、私の頬に触れた。
「そうかな。ナミネはどちらかというと子供っぽかったイメージあるけどな。僕はセナ元帥のほうが美しいと思ってたよ」
私って子供っぽいの?
「アンタはそうだろうがよ。甘えセナに一目惚れしたんだからな。でも、男の殆どが強気なナミネくどいてただろ」
確かに言い寄ってくる男は多かった。でも、あの時の私は恋愛なんてしている余裕などどこにもなかった。青春を戦争に捧げたのだ。
「そうね。ナミネが空軍基地に来てからは、男は夜な夜なナミネに言い寄ってたわ」
所詮、男など女の見た目で決め付ける生き物だ。
あ、最後の集合写真と、私が出発する時の写真。
「私、戦死したんですよね」
もう昔のことなのに涙が出てくる。
「ナミネは生きて戻ったよ。そして、ヨルクと同じアパートに住んで、そこに僕とセナ元帥も居候した。同じアパートにはカナコさんとセリルもいたよ」
戦死してない?生きて戻った?
歴史が変わっている。
「ラルク、歴史が……!」
「ああ、変わってるな。僕は確かにナミネの葬儀に行った」
いったい何が起きているのだろう。
「歴史が変わっています。セナ王女のカラルリさんの失望が原因のようです。このまま変わり続ければ、現世そのものが変わってしまいます」
キクスケさん!?なんか、久しぶりな気がする。
「どうすればいいの?」
「あの時、軍事基地で一瞬の出来事とはいえ、シャム軍医と愛し合った上でカラルリさんを選んだ事実を思い出す必要があります。覚悟は出来ていますか?」
大丈夫なのだろうか。やっと、シャム軍医と落ち着いたのに。この時って、私がミナクさんに嫁いだ一つ前だろうか。その時に既にセナ王女は、カラルリさんと出会っていたんだ。
「出来てるわ。私はシャム軍医との未来を歩む」
「分かりました。それでは全てを受け入れてください」
キクスケさんは、セナ王女の頭に手をかざした。
「私、あの日……シャム軍医と……。それなのにどうしてカラルリと交際なんかしてしまったの……」
セナ王女は涙をポロポロ零した。
「セナ元帥、今からはじめましょう。それに、全く相手にされてないと思っていたセナ元帥が一瞬でも僕を受け入れてくれたこと生涯を終えるまで生き甲斐になっていました」
二人の恋はなんだか素敵。こんなふうに、ヨルクさんも私を待っていてくれていたのかな。
「じゃ、甘えセナとシャムの問題は解決したから、あとは生贄の問題だな」
どうにかしなくてはならない。いったいどうすれば……。
「お父様に頼んでみるわ」
ミネルナさんは免除された。だったら、上の者が動けばどうにかなるのだろうか。
「ナミネ、無線でお武家連盟会議するそうだぞ」
無線で?まあ、今は集まること出来ないから仕方ないかもしれないけど。私は無線を手に持った。
『これより、緊急お武家連盟会議を行います。テーマは生贄制度についてです。意見のある者は合図を行ってください』
やはり、進行はレイカさんか。
誰かが合図を鳴らした。
『レイナ、意見をどうぞ』
どうして誰の合図か分かるのだろう。
『セレナールを刑事裁判にかけるべきだと思います』
予想はしていたけど、セレナールさんに矛先は向く。
『私もレイナと同意見です。元凶はセレナールにあると思います』
カナミさんまでもセレナールさんに責任を取らせようとしている。
『リリカ、意見をどうぞ』
『私もセレナールを罰するべきだと思います。カナコさん、レイカさん、レイナさん、私。誰かが生贄になれば武家の株は下がります』
けれど、セレナールさんを罰しても、セレナールさんは生贄にはならず、苦しむのは他の誰かだ。
[ナミネ、歴史変わったぞ]
ラルクからのモーラス信号。そして、無線から聞こえる物凄い音。
『何をしたのよ!セレナール!!』
どうして?地獄村の生贄がリリカさんに変わってる。
[ラルク、何があったの?]
[姉さんには後ろ盾があるんだよ。昔の番人・ヤマヨリのな]
そういえば、ウルクさんの前がヤマヨリさんだったっけ。セレナールさんのピンチには必ず現れると伝説にもなっていた。
「ナミネ、元に戻せ!」
それしかないか。このままだと、リリカさんがおかしくなってしまう。
「あの、二階お借りします」
私は二階へ駆け上がった。携帯を取り出し、テナロスさんにメールをした。
《かしこまりました》
これで元に戻るはず。私は階段を下りた。
生贄はセレナールさんに戻っている。
[ダメだ。また戻された]
えっ……。セレナールさんは、袋叩きにならないようにヤマヨリさんに命令してるの?私はまた携帯でテナロスさんにメールを送信した。生贄はセレナールさんに戻ったが、また直ぐにリリカさんに戻されてしまった。これではイタチごっこだ。
『セリル、聞こえてるわよね?あなたのこと絶対に許さない!』
カナコさん、完全に怒ってる。正直いやだ。ベストカップルだったカナコさんとセリルさんが拗れてしまうのは。
『カナコ、今は堪えて!いっときの感情でセリルを責めたら後悔するわ』
レイカさんは冷静だ。生贄に選ばれるかもしれないのに。
『きゃああああああ!やめて!!』
『リリカ、どうしたの?』
ダメだ。セレナールさんがヤマヨリさんに命令してリリカさんを攻撃してる。
『ふふっ、なんだかいい気味です。いつも大口叩いているリリカさんが襲われている姿。でも、ハツじゃないと生贄にはなれませんね』
やっぱり、アヤネさん性格悪すぎる。正直、関わりたくない。
『じゃあ、やめようか。もうすぐセレナールは皇室に連行されるからね』
『お願い、見逃して!少しカッとなっただけなんです!』
皇室でもどこでも行けばいい。
『話、戻しますが、私はナクリお姉様を推薦します』
全く予測をしていなかったわけではないけれど、ナノハお姉様が切り出すのは意外だし、同じ経験をすることに意味があるのか今となっては分からない。
『では、生贄はナクリという方向で話を進めますが、異議のある者は申し出てください』
『確かにナクリお姉様は罪を犯しました。だからといって、僕は家族を犠牲にしたくありません』
やはり、ナルホお兄様はどこまでも自分の平和とやらを貫こうとする。
『一人の意見のみを通すことは出来ないわね。会議参加者の過半数が反対すればそれに従います。けれど、このまま誰も異議がないのであれば、ナクリで進めたいと思います』
ナクリお姉様は、もはやみんなの敵に回ってしまっている。正直私も、リリカさんたちが犠牲にならないためには、ナクリお姉様に犠牲になって解決出来たらと思う。
『その進行の仕方は強引だと思います』
『では、私の進行が強引だと思う者は名乗り出てください』
無論、誰も名乗り出ない。
『待って!ミドリ、許して!一生かけて償う!』
人は人を攻撃して敵を作った後に不利な立場に立たされたら情けなくもすがる生き物だ。
『許さないよ。私もナクリでいいと思う』
『こんなこと言うの気が引けるけど、ナクリはそれだけのことしたわけだし、同じことされたらって、みんな怖がってるわ。私もナクリは痛い目見るべきだと思う』
カナコさんからも嫌われたナクリお姉様。大学も休学しているし、もはや孤立無援だ。人を陥れた者には何の慈悲も与えられない。
『私はアヤネを推薦します』
リリカさん……。この分かれた意見は、グループの人間関係を拗れさせてしまう気がする。
『ふふっ、私はハツじゃないから生贄にはなれませんわ』
『ハツにすることは今の医療技術では可能よ』
確かに第一まで戻すことは現代では可能だ。
『どうしていつも私ばかりを犠牲にするんですか!』
『自分からハツじゃないって言って惨めね』
アヤネさんも嫌われている。
『では、ハツは復活出来るということで、セレナール、ナクリ、アヤネで投票を取ります。順番に名前を言ってください』
セレナールさんが加わるなら選択は一択。
『私はセレナールさんを推薦します!』
最後までの投票を聞いて、セレナールさんとナクリお姉様の接戦の中、セレナールさんに決まった。
『待って!助けて兄さん!』
セリルさんは何も言わない。
『セリル、あなたとの縁もここまでよ!あなたもあなたの家族も不幸にしてやる!』
あれ、今一瞬周りのものがブレた?
『では、生贄はナクリで皇室に紙飛行機を飛ばします。これにて会議を終了します』
無線が切れた。誰かが、時間を動かしたんだ。セリルさん……?ではない。まさか……落ち武者さん!?
「悪いけど、これ以上、姉さんに傷付いてもらうわけにはいかないからね?」
歴史の何がセレナールさんをずっと追い込んでいるのは分からない。でも、私としてはセレナールさんには、色々言いたいことがある。
『緊急速報です。伝説となっていた第二王室が赤線町の森の奥に発見されました!そのことで、村中が騒ぎとなり、生贄制度は第四王女であるターサスヒ様に圧倒的な票が入り、皇帝陛下も認めざるを得なくなり、生贄はターサスヒ様に決定致しました。第二王室では圧倒的な美貌を持つと言われているターサスヒ様が儀式の主役になったのは、多くの貴族たちに反響を呼ぶことでしょう』
第二王室。遠い昔、アルフォンス王子が住んでいたところだ。赤線町に現代も存在していたのか。けれど、ターサスヒなんて聞いたことがない。
でも、第二王室は第一王室とは違ってどちらかというと女王制度だ。なのに、王女を生贄に差し出していいのだろうか。
その時、下着姿でセナ王女が下りてきた。
「嘘でしょ!いったい誰が……!」
王室同士の付き合いでもあったのだろうか。
「アンタさ、服くらい着ろよ」
シャム軍医も慌てて下りてきてセナ王女にバスローブを羽織らせた。
「もう消え去ったと思っていました。けれど、今も存在していたのですね。恐らくセナ王女とアルフォンス王子をよく思わない人の陰謀でしょう」
陰謀!?もうナクリお姉様でいいじゃない。どうして、いちいちコロコロ変えるの。
「許せないわ!犯人見付けて必ず拷問してやるわ!」
「そのターサスヒって王女はアンタの何なんだよ」
遠い昔もいたのだろうか。
「姉よ!母さんの子なのよ!」
そんな……まさか……!!
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あとがき。
殆ど、お武家会議な回でした。
セナとアルフォンスには兄弟がたくさんいますね。
その分、権力争いもありそうですが。
ターサスヒ。
古代編では登場していない人物。
原石採取どころではなくなる展開。
カラルリはどうするのかな。
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この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
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