日常のこととかオリジナル小説のこととか。
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ashita
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地主(土地貸してます)
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漫画やアニメを見るのが好きです。最推しはフーディーニ ♡
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ブログ、もう書かないと思ってました。
けれど、去年から書き始めた小説によって、過去に書いてた小説も書き始め、ここに載せることにしたのです。
小説は、主に『時間と時間を繋ぐ恋の物語』と『妖精村と愉快な仲間たち』をメインに書いています。
現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。
純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。
元々このブログは病気の記録用として立ち上げたものですが、小説載せるようになってからは、ここは出来るだけ趣味的なことを綴りたいと思っております。
病気の記録や様々な思いを綴るブログは移転済みなのです。
ただ、今は日記は個人的な徒然、或いはお知らせとして綴ることが多いかと思います。
小説、ぼちぼちマイペースに書いてゆきます。
よろしくお願い致します。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
お知らせ。
イラストは現在「ナノハナ家の日常」に載せております。サイドバーにリンクあります。
また、「カラクリよろずや」にて無料のフリーイラスト素材配布もはじめました✩.*˚
フリーイラスト素材も増やしていく予定です(*'ᴗ'*)
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
模倣・無断転載などは、ご遠慮ください。
ブログの小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
小説・純愛偏差値に関しましては、武家名・貴族名(程度による) / 及び、武官の階級 / 扇子・羽子板・花札・百人一首・紙飛行機などのアイテム使用方法の模倣の一切を禁じております。
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X @kigenzen1874
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現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。
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が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。
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〈資格履歴〉
2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2010年02月10日
→セルフ・カウンセリング
ステップ2 合格
2011年05月28日
→セルフ・カウンセリング
指導講師資格審査 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年01月20日
→鉛筆デッサンマスター 合格
→絵画インストラクター 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
→茶道アドバイザー 合格
→お点前インストラクター 合格
2025年04月17日
→着物マイスター 合格
→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
→サイキックアドバイザー 合格
→サイキックヒーラー 合格
2025年07月01日
→アンガーカウンセラー 合格
→アンガーコントロール士 合格
2025年08月04日
→漢方コーディネーター 合格
→薬膳調整師 合格
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〈資格証明バナー〉

2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2010年02月10日
→セルフ・カウンセリング
ステップ2 合格
2011年05月28日
→セルフ・カウンセリング
指導講師資格審査 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年01月20日
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→絵画インストラクター 合格
2025年03月07日
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→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
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2025年04月17日
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→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
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2025年07月01日
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〈資格証明バナー〉

純愛偏差値 未来編 一人称版 112話
《ヨルク》
ナミネからメールが入り、トイレから出るのを後回しにした。すると、セナ王女とシャム軍医が二人きりでいた。
「シャム軍医、ありがとう。あなたのおかげでアルフォンスは一命を取り留めたわ」
セナ王女は満面の笑みを浮かべた。
「いえ、医師しか僕にはありませんから。セナ元帥のお力になれたのなら何よりです。もし、僕が普通の男なら……普通の男なら、チャンスはあったのでしょうか?」
つまり、シャム軍医がセナ王女に気があるということなのだろうか。もしかして、遠い昔から?
「シャム軍医……。私、氷河期町で暮らしたって構わないわ。普通か普通でないかなんて関係ない。アルフォンスを救ってくれただけで感謝してもしきれないわ」
セナ王女はシャム軍医の手を握った。
「セナ元帥。今夜、付き添い用の部屋で二人になれませんか?」
「ええ、勿論構わないわ」
カラルリさんに別れを切り出されたばかりのセナ王女。これは勢いからなのか、本当に両想いなのか、はたからでは分からない。
けれど、セナ王女とて一人の女子(おなご)。いい男からのアプローチは逃したくはないだろう。カラルリさんと違って、女として見てくれているわけだし。
「アンタら何盗み聞きしてんのさ。もう、甘えセナとシャム行ったぞ」
落ち武者さん、いつから……。盗み聞きと言われても、あのタイミングでは出られないし。
「うーん、でも、あのタイミングで私たちが出て行くのも間が悪いと思う」
聞きたくて聞いていたわけでもないし、普段セナ王女の恋愛事情なんて全然気にしてないから。
「では、セルファさん、診察室へどうぞ」
いきなり看護師さんが現れた。落ち武者さん、どこか悪いのだろうか。
「は?なんで?」
「こちらには、ここで診察を受けた全ての人の、あらゆる時代のカルテが残されています。セルファさんは、喘息で治療をしていました」
前世の遠い昔のカルテが残っているだなんて珍しい。どこの病院もそうなのだろうか。
「へえ、ここ、そんなことまで残してんだ」
落ち武者さん、今も喘息持ちなのだろうか。
「あ、すみません!私もここにかかったことありますか?」
何故、興味本位で聞く。
「調べてまいりますので少々お待ちください。セルファさんは診察室へどうぞ」
ナミネは、ここにはかかってないと思うが。
「はいはい」
落ち武者さんは、面倒くさそうに診察室へ向かって行った。
前世の病気が今でも残っている。そんなケースもあるかもしれないけれど、ここへかかったことがあるからと今現在も病が続いているものなのだろうか。なんとなくいやな予感がする。
「お待たせしました。ナミネさんも診察室へどうぞ」
え、ナミネもここにかかったことがあるのか?心配になった私は付き添いとしてナミネに着いて行った。
本当にここは、どこも灰色だらけで医師の顔もよく見えない。
「セルファさんは、以前かかったほどではありませんが、軽度の喘息がありますね」
そういえば、以前、幼少期に熱を出したけど、家に誰もいなかったとか話してたな。そういうのは、後遺症として残ってしまうものなのか。
「で?薬はいるわけ?」
普段は明るいから、全然そんなふうに見えないのに。
「この程度でしたら、薬での治療は必要ありませんが、もし、悪化していると感じたら直ぐにかかりつけの病院で診察を受けてください」
「はいはいー!」
すんなり終わった。ナミネのほうは、いったいなんなのだろう。
「では、次はナミネさんです」
緊張が私の中を走る。
「はーい!」
もし、ナミネが悪い病気をずっと抱えていたら……。余命宣告をされたら……。
「心的外傷後ストレス障害(PTSD)が残ってますね」
ミドリさんは、もう戻って来たし、私の暗殺の件も、もうカンザシさんの後ろ盾はないから、同じことにはならない。ナミネは、どんな後遺症を持っているのだろう。
「心的外傷後ストレス障害ですか?」
とてもいやな予感がする。
「はい。地獄村2年1月1日のことですね。当時は『生贄』を差し出す風習がありました。皇室が春風町にあった頃、春風神社の祭りで赤花咲を行う風習があり、ナミネさんが、当時の生贄となっています。赤花咲が終わった後、ナミネさんは生死を彷徨う状態でここに運ばれました」
ナ、ナミネが!?いったいどういう経緯でそんなことに!
「そうですか」
ナミネ、酷くショックを受けている。見ているのが辛い。
「当時、ナミネさんは『セレナールさんに決まっていたのが突然自分になった』とかすれた声で仰っていました」
セレナールさんの予定がナミネに?誰がそんなことを!
「あの、どうして私になったのでしょう?」
その時、セレナールさんとセリルさんが入って来た。
「ずっと黙っててごめん。セレナールが不憫過ぎて、セレナールがナミネにしてほしいと何度も僕に迫り、僕が皇帝陛下に掛け合ったんだ」
そんな……まさか、セリルさんが!?とてもじゃないけど信じられない。私は思わず立ち上がった。
「顔だけヨルク!アンタがどうこう言うことじゃない。アンタ、強気なナミネの生贄儀式の途中で雪流零してたんだ!情けないと思わないのか!」
全く覚えていないし、全く分からない。そもそも、落ち武者さんは、その場で実際に見ていたのか?
「風習だったんですよ。彼女の赤花咲中に恋人が目の前で雪流零をすることは」
そんな……あまりに惨すぎる。
「セリルさんのこと信じていたのに……私、許しません!」
ナミネはセレナールさんに扇子を突き付けた。
「あー、怖いわね。あの時、ナミネがイヤガラセされる姿見たさに兄さんに頼んで良かった。ヤダ、本音出ちゃった」
それが……それが目的だったのか。私も許せない。セレナールさんにはラルクとも別れてほしい。
「セレナール!そんなこと僕は聞いてないよ!セレナールが純白を守りたいから、村の美しい女性を探してた。何人か推薦したけど通らず、結局ナミネしかいなかった。それなのに、セレナールは、わざとナミネを犠牲にしたのか?」
あんまりだ。ナミネの心も身体も弄ぶだなんて。
「だって、私はイジワルばかりの人生だったのに、ナミネは生まれてくる度、純愛だもの。許せなかったわ」
そんな理由で……。
「セリル、アンタ、姉さんに利用されてたんだよ」
利用されたとはいえ、妹であるセレナールさんを選んでナミネを犠牲にしたことには変わりない。
「私、絶対に許しません!」
ナミネは立ち上がった。
「あら、お武家連盟会議で話しちゃうのかしら?」
セレナールさんは本当に性格が悪い。
「ナミネ、本当に申し訳なかったと思ってる。でも、関係のないカナコさんに危害を加えることだけはやめてほしい」
セリルさんも、自分と自分の大切な人だけが無事ならそれでいいのか。
「話の途中ですが。その後、ナミネさんはヨルクさんとの子供を妊娠し出産しました。名前はヨナです。残念ながらナミネさんは出産と同時に命を落としましたが」
私とナミネに子供がいたのか。
「私は女の子を産んでいたのですね」
「いえ、男の子です」
私とナミネの名前を取ったのだろうか。
「そうですか。その子はどうしてますか?」
「申し上げにくいのですが、幼い頃はヨルクさんが面倒を見て幸せに暮らしていましたが、中学生になり、ナミネさんが赤花咲を受けていたことを知り、周りからからかわれてからはグレるようになり、高校生で危ないグループに入り、命を落としました」
そんな……せっかくの私とナミネの愛の結晶も、いなくなってしまうだなんて……。悔しくてセレナールさんを憎んでしまう。
「そうでしたか……」
どうして、セレナールさんはナミネを憎み苦しめるのだろう。幾度も私たちの幸せを壊してきたのだろうな。本当に気分が悪い。
「ナミネ、さっも言ったように……」
「そんなこと知りません!苦しむのは、あなた方です!」
今、一瞬、揺れた?地震ではないのに、人がブレていたような。
「う、嘘!?どうして!どうして赤花咲が私になっているのよ!」
え、どういうことだ?皇帝陛下は歴史までは変えられない。いったい何をしたのだろう。
「では、セレナールさん、こちらに座ってください。診察をします」
セレナールさんは、青ざめた顔で椅子に座った。
「心的外傷後ストレス障害ですね。地獄村2年の生贄の傷が残っているようです。当時、セレナールさんには恋人がいなくて、雪流零はセイさんが務めました」
何故、歴史が変わった。だったら、私とナミネの子はどうなったのだろう。
「そんな!そんな!ナミネ、何をしたのよ!」
「残念ながら、入院の必要があります」
悪いが、同情など出来ない。出来るはずがない。けれど、ヨナの行方が気になる。
「あの、ヨナはどうなったのでしょうか?」
思わず聞いてしまった。
「ここで入院するセレナールさんを心配し、灰色町で引越し幸せに暮らしましたよ。ヨナは16歳で結婚し、この町で生涯を終えました」
完全に歴史が変わっている。
その時、病院の無線が流れた。
『長らく廃止されていた生贄制度が解禁されました。今年の7月7日、春風町の春風神社にて行われます。生贄に選ばれたのは、キクリ家の長女です』
いったい、なにがどうなっているのだ。ナミネが無事になったのは正直安心した。セレナールさんには悪いが。けれど、また生贄だなんて、またいやな予感がしてきた。
この時の私は、ナミネがテナロスさんに依頼し、地獄村の番人と掛け合ってもらい、歴史を変えたこと、現代の生贄制度もテナロスさんの力であることを全く知らなかったのである。
「人にしたことは、そのまんま返ってきますね。では、私は皆さんのところへ戻ります」
ナミネが立ち上がると同時に、私も立ち上がった。もう、ここにいる意味がないからだ。
「ナミネ、許してほしい。僕が間違っていた。生贄制度にちゃんと反対するべきだった」
セリルさんは泣きながらナミネにすがるものの、ナミネはセリルさんを振り払った。
「別にいいじゃない。カナコさん一人が犠牲になるくらい!辛いのは私よ!セイの前で儀式が行われたのよ!」
セレナールさんは、おかしい。何故、人の苦しみが分からない。
「セレナール、どうしてナミネへの嫉妬だけで、僕を騙したんだ!カナコさんは何の関係もないだろ!」
声を張り上げるセリルさんを見るのははじめてかもしれない。完璧に思える人にも欠点はある。しかし、こんなにボロボロになるセリルさんを見るのは気が引ける。
そして、ナミネはスタスタと部屋を出て行った。
アルフォンス王子の病室では、リリカお姉様とカナエさんがアヤネさんを攻撃している。アヤネさんは悪くないだろうに。
「あ、カラルリ。原石のことなんだけど、転生ローンの分だけは与えるわ。でも、余った分は私の取り分にしてほしいの」
急に態度が変わった。さっきとは180度違う。女子(おなご)という生き物は、男だけで、こうまで変わるものなのか。
「ありがとう、セナさん!感謝する!」
確定ではないけれど、ほぼ確定のセナ王女とシャム軍医の関係をカラルリさんが知ったらどうなるのだろう。
「いいのよ。元々、カラルリを助けるためにみんなで頑張ってるものね。あと、明日は原石採取はお休みにして、シャム軍医の家を見てみたいわ」
えっ、それみんなで行くの?交際するなら、セナ王女とシャム軍医二人きりのほうがいいのではないだろうか。
「私も見てみたいです!」
ナミネ、すっかり元気になっている。けれど、落ち武者さんは黙ったままだ。
「カナエは、アルフォンス王子様のお傍にいます」
どうして、終わった関係を敢えて復活させるのだろう。
「今日は、色々あったから明日は休んだほうがいいね。行きたい人だけ行けばいいと思うよ」
ナルホさんは行くのだろうか。
「私行く!」
「私も行こうかしら」
「僕も行く」
「まあ、貴重な体験なので僕も行きます」
「私も行きたいです」
なんだかんだで、行くメンバーが多い。
「でも、本当に何もないよ」
セナ王女も一人で行けばいいのに。
「見てみたいの。シャム軍医の暮らし」
ある程度、距離は置いているものの、こんな雰囲気だと周りが気付くのも時間の問題だろう。
その時、セレナールさんとセリルさんが入って来た。
「ナミネ!いい加減にしなさいよ!赤花咲はあなただったのに、どうして歴史を変えたのよ!」
リリカお姉様は立ち上がった。
「さっきの無線は、そういうことだったのね!あなたどこまで人を陥れたら気が済むの?カナコさんが傷つかないように、レイカさんが代わりに引き受けるって紙飛行機が飛んできたわ!」
レイカさんが!?流石にそれはあってはならない。
「ナミネ、私が言うのもなんだけど、私たちのかつての子供は無事だったのだし、セリルさんのことは許してあげれない?」
レイカさんは、紅葉町になくてはならない存在だ。ここで、生贄になってしまえば、レイカさんとて武士としては本領発揮が出来なくなるだろう。それも、カナコさんの代わりにだなんて、どこまで仲間想いなんだ。
「ナミネが、カナコさんを使命したんだね。どうしてそんなことしたのかな?」
ナルホさんも、カナコさんかレイカさんのどちらかが犠牲になるのは食い止めたいだろう。
「セレナールさんが、私をハメたんです!私は春風神社で生贄となりました!当時は、元旦に赤花咲をする習わしがありました。元々は村で一番美しいセレナールさんの予定でしたが、セレナールさんがセリルさんに私にしろと頼み込んで、私は犠牲になりました!こんなの許せません!」
歴史が変わったとはいえ、一度体験したことはなかなか消すことは不可能だ。
「姉さんが、アンタを犠牲にしたのは分かった。でも、結局生贄になったのは姉さんに変わったし、生贄制度は取り消せ!」
落ち武者さんはナミネに扇子を突き付けた。けれど、ナミネは落ち武者さんの扇子を振り落とした。
「また、エルナさんを昔に飛ばしましょうか?簡単に私の苦痛を決めつけないでください!」
ナミネ、かなり怒ってる。でも、カナコさんとレイカさんの犠牲はあってはならない。そんなことになれば、先立つものがなくなり、武家の存続が難しくなる可能性もある。
「ナミネ、生贄制度はやめて、せめて、カナコさんの好きな人を変えろ!何もかもセリルさんのせいじゃないだろ!」
ラルクは、どんな時もナミネに意見をする。私はそれが出来ない。
「分かったよ。納得は出来ないけど、少しでもセリルさんが苦しむならそうする」
ナミネはラルクのことなら殆どのことを聞く。
「じゃ、今すぐそうしろ!」
なんだかんだで、落ち武者さんはセレナールさんとセリルさんが大事なんだ。無理もないか。
病院の無線が流れた。
『先程お伝えした生贄制度の復活ですが、取り止めになりました。生贄制度は、引き続き廃止です』
いったい、何をどうやってナミネは操っているのだろう。
「じゃ、カナコの男は適当に選べ」
落ち武者さんは、それでいいのだろうか。
「ナミネ、ちょっと話そうか」
ナルホさんは、どこまでも公平に考える人だ。あどけない顔をして、中身はしっかりしている。
「もういいんだよ。カナコさんは既に他の人気にしはじめてるみたいだし」
えっ、カナコさんとセリルさんは誰が見ても理想のカップルなのに。セリルさんの思い違いではないだろうか。
「うーん、三角かな。カナコはセリルを想っている。それはずっと変わらない。でも、セリルならなんでも許してくれると思ってるんだろうね。今の段階なら、深いものにはならないから、食い止めるなら今だと思うよ」
ズルエヌさんの言うことが本当なら、簡単に言えば二股ということだろうか。
「とにかく、セレナールのことは、お武家連盟会議にかけることが決まったわ。本当に人でなしね」
前世を覚えていない人にとってはなんでもないことが、我々からしてみれば、どれだけ時間経とうとも罪になってしまうのか。
「待って!本当に悪気はなかったの。それに、結局私にされてしまったし、私はこれまでずっとイジワルばかりされてきたわ」
セレナールさんは不幸すぎる。どうして、そのような人生ばかりなのだろう。皇太子様と上手くいっていた時も最後の最後で皇太子様はエミリさんを選んだ。
「決まったものは決まったんだから、ごちゃごちゃ言っても無駄よ。あなたの行動でカナコさんの運命が決まるのよ!覚えてなさい!」
人が集まれば、責任を負う人も暗黙に出てくる。今、キクリ家が存続出来なくなれば、他の武家も危うくなる。
この日は、病院の隣にある温泉に行ったあと、そこのご飯を食べて病院へ戻った。眠くなって来た頃、ナミネとラルクが部屋を抜け出した。気になった私も着いて行ったら、セナ王女とシャム軍医が客用の部屋に入って行った。
「ナミネ、ラルク。戻ろう。こういうのよくないから」
何故、人の恋路にここまで執着する。
「だったら、アンタが着いて来なきゃいいだけの話だろ」
落ち武者さんもいるのか。
「ねえ、どうして人の恋路をこうまで気にするの?」
カラルリさんもまだ知らないことだし、そっとしてあげる心がないのだろうか。
「人は、何世紀も経てば変わるんです!セナ王女は、時を経てやっと本命の殿方と一緒になれたのです!その幸せを直接目にして何が悪いのですか!」
本命って。そんなの、現世からしてみれば後付じゃないか。結界はかけられないから、3人とも聞き耳立ててる。もう何を言ってもダメなパターンだな。
と思いきや、中から声が聞こえてくる。
『セナ元帥、本当に後悔しませんか?』
もうあからさまじゃないか。
『しないわ。好きなの。シャム軍医が好きなの!』
そもそも、いつから好きだったんだ。切り替え早過ぎないか?
「ねえ、ラルク。シャム軍医、私には全然アプローチして来なかったのに、セナ王女には猛アプローチだよね」
「ナミネは子供っぽいからな」
そういえば、軍事基地で一緒だったっけ。
『こんな日が来るとは思いませんでした。まるで夢のようです』
なんだか、カラルリさんよりシャム軍医のほうがセナ王女を支えられる気がする。
『後悔してるわ。仕事ばかりで、恋を知らずカラクリ家で知り合ったカラルリと交際したこと。シャム軍医のアプローチ受けていれば……』
女子(おなご)というのは実に不可思議な生き物だ。あれほどに、カラルリさんに夢中だったセナ王女が、光の速さでシャム軍医を好きになるなんて。男の想いとは異なりすぎている。
『昔は昔です。好きな気持ちは今も変わりませんし、やっと想いが届いて、これ以上の幸せはありません』
『シャム軍医……』
私には女子(おなご)としての幸せは分からない。けれど、少なくとも、今のセナ王女は報われたのかもしれない。カラルリさんから酷い仕打ちを受けた挙句、ミナクお兄様からも呆気なく捨てられてしまったわけなのだから。
(省略)
結局この日、セナ王女とシャム軍医はアルフォンス王子の病室には戻らなかった。
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あとがき。
イラスト描いていて、小説のほうがなかなか進められませんでした。ちょっと色々あり身体を壊した状態です。
セナとシャム軍医が恋愛関係になったのは意外ですが、もしかしたら、古代編も何かが揃っていれば、カラルリではなくシャム軍医だったかもしれませんね。
セナには現世で幸せになってほしいです。
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この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
現在、小説に関する模倣(程度による)の一切を禁じております。
詳しくはこちらを参照→ 禁止事項
無断転載も御遠慮下さい。
《ヨルク》
ナミネからメールが入り、トイレから出るのを後回しにした。すると、セナ王女とシャム軍医が二人きりでいた。
「シャム軍医、ありがとう。あなたのおかげでアルフォンスは一命を取り留めたわ」
セナ王女は満面の笑みを浮かべた。
「いえ、医師しか僕にはありませんから。セナ元帥のお力になれたのなら何よりです。もし、僕が普通の男なら……普通の男なら、チャンスはあったのでしょうか?」
つまり、シャム軍医がセナ王女に気があるということなのだろうか。もしかして、遠い昔から?
「シャム軍医……。私、氷河期町で暮らしたって構わないわ。普通か普通でないかなんて関係ない。アルフォンスを救ってくれただけで感謝してもしきれないわ」
セナ王女はシャム軍医の手を握った。
「セナ元帥。今夜、付き添い用の部屋で二人になれませんか?」
「ええ、勿論構わないわ」
カラルリさんに別れを切り出されたばかりのセナ王女。これは勢いからなのか、本当に両想いなのか、はたからでは分からない。
けれど、セナ王女とて一人の女子(おなご)。いい男からのアプローチは逃したくはないだろう。カラルリさんと違って、女として見てくれているわけだし。
「アンタら何盗み聞きしてんのさ。もう、甘えセナとシャム行ったぞ」
落ち武者さん、いつから……。盗み聞きと言われても、あのタイミングでは出られないし。
「うーん、でも、あのタイミングで私たちが出て行くのも間が悪いと思う」
聞きたくて聞いていたわけでもないし、普段セナ王女の恋愛事情なんて全然気にしてないから。
「では、セルファさん、診察室へどうぞ」
いきなり看護師さんが現れた。落ち武者さん、どこか悪いのだろうか。
「は?なんで?」
「こちらには、ここで診察を受けた全ての人の、あらゆる時代のカルテが残されています。セルファさんは、喘息で治療をしていました」
前世の遠い昔のカルテが残っているだなんて珍しい。どこの病院もそうなのだろうか。
「へえ、ここ、そんなことまで残してんだ」
落ち武者さん、今も喘息持ちなのだろうか。
「あ、すみません!私もここにかかったことありますか?」
何故、興味本位で聞く。
「調べてまいりますので少々お待ちください。セルファさんは診察室へどうぞ」
ナミネは、ここにはかかってないと思うが。
「はいはい」
落ち武者さんは、面倒くさそうに診察室へ向かって行った。
前世の病気が今でも残っている。そんなケースもあるかもしれないけれど、ここへかかったことがあるからと今現在も病が続いているものなのだろうか。なんとなくいやな予感がする。
「お待たせしました。ナミネさんも診察室へどうぞ」
え、ナミネもここにかかったことがあるのか?心配になった私は付き添いとしてナミネに着いて行った。
本当にここは、どこも灰色だらけで医師の顔もよく見えない。
「セルファさんは、以前かかったほどではありませんが、軽度の喘息がありますね」
そういえば、以前、幼少期に熱を出したけど、家に誰もいなかったとか話してたな。そういうのは、後遺症として残ってしまうものなのか。
「で?薬はいるわけ?」
普段は明るいから、全然そんなふうに見えないのに。
「この程度でしたら、薬での治療は必要ありませんが、もし、悪化していると感じたら直ぐにかかりつけの病院で診察を受けてください」
「はいはいー!」
すんなり終わった。ナミネのほうは、いったいなんなのだろう。
「では、次はナミネさんです」
緊張が私の中を走る。
「はーい!」
もし、ナミネが悪い病気をずっと抱えていたら……。余命宣告をされたら……。
「心的外傷後ストレス障害(PTSD)が残ってますね」
ミドリさんは、もう戻って来たし、私の暗殺の件も、もうカンザシさんの後ろ盾はないから、同じことにはならない。ナミネは、どんな後遺症を持っているのだろう。
「心的外傷後ストレス障害ですか?」
とてもいやな予感がする。
「はい。地獄村2年1月1日のことですね。当時は『生贄』を差し出す風習がありました。皇室が春風町にあった頃、春風神社の祭りで赤花咲を行う風習があり、ナミネさんが、当時の生贄となっています。赤花咲が終わった後、ナミネさんは生死を彷徨う状態でここに運ばれました」
ナ、ナミネが!?いったいどういう経緯でそんなことに!
「そうですか」
ナミネ、酷くショックを受けている。見ているのが辛い。
「当時、ナミネさんは『セレナールさんに決まっていたのが突然自分になった』とかすれた声で仰っていました」
セレナールさんの予定がナミネに?誰がそんなことを!
「あの、どうして私になったのでしょう?」
その時、セレナールさんとセリルさんが入って来た。
「ずっと黙っててごめん。セレナールが不憫過ぎて、セレナールがナミネにしてほしいと何度も僕に迫り、僕が皇帝陛下に掛け合ったんだ」
そんな……まさか、セリルさんが!?とてもじゃないけど信じられない。私は思わず立ち上がった。
「顔だけヨルク!アンタがどうこう言うことじゃない。アンタ、強気なナミネの生贄儀式の途中で雪流零してたんだ!情けないと思わないのか!」
全く覚えていないし、全く分からない。そもそも、落ち武者さんは、その場で実際に見ていたのか?
「風習だったんですよ。彼女の赤花咲中に恋人が目の前で雪流零をすることは」
そんな……あまりに惨すぎる。
「セリルさんのこと信じていたのに……私、許しません!」
ナミネはセレナールさんに扇子を突き付けた。
「あー、怖いわね。あの時、ナミネがイヤガラセされる姿見たさに兄さんに頼んで良かった。ヤダ、本音出ちゃった」
それが……それが目的だったのか。私も許せない。セレナールさんにはラルクとも別れてほしい。
「セレナール!そんなこと僕は聞いてないよ!セレナールが純白を守りたいから、村の美しい女性を探してた。何人か推薦したけど通らず、結局ナミネしかいなかった。それなのに、セレナールは、わざとナミネを犠牲にしたのか?」
あんまりだ。ナミネの心も身体も弄ぶだなんて。
「だって、私はイジワルばかりの人生だったのに、ナミネは生まれてくる度、純愛だもの。許せなかったわ」
そんな理由で……。
「セリル、アンタ、姉さんに利用されてたんだよ」
利用されたとはいえ、妹であるセレナールさんを選んでナミネを犠牲にしたことには変わりない。
「私、絶対に許しません!」
ナミネは立ち上がった。
「あら、お武家連盟会議で話しちゃうのかしら?」
セレナールさんは本当に性格が悪い。
「ナミネ、本当に申し訳なかったと思ってる。でも、関係のないカナコさんに危害を加えることだけはやめてほしい」
セリルさんも、自分と自分の大切な人だけが無事ならそれでいいのか。
「話の途中ですが。その後、ナミネさんはヨルクさんとの子供を妊娠し出産しました。名前はヨナです。残念ながらナミネさんは出産と同時に命を落としましたが」
私とナミネに子供がいたのか。
「私は女の子を産んでいたのですね」
「いえ、男の子です」
私とナミネの名前を取ったのだろうか。
「そうですか。その子はどうしてますか?」
「申し上げにくいのですが、幼い頃はヨルクさんが面倒を見て幸せに暮らしていましたが、中学生になり、ナミネさんが赤花咲を受けていたことを知り、周りからからかわれてからはグレるようになり、高校生で危ないグループに入り、命を落としました」
そんな……せっかくの私とナミネの愛の結晶も、いなくなってしまうだなんて……。悔しくてセレナールさんを憎んでしまう。
「そうでしたか……」
どうして、セレナールさんはナミネを憎み苦しめるのだろう。幾度も私たちの幸せを壊してきたのだろうな。本当に気分が悪い。
「ナミネ、さっも言ったように……」
「そんなこと知りません!苦しむのは、あなた方です!」
今、一瞬、揺れた?地震ではないのに、人がブレていたような。
「う、嘘!?どうして!どうして赤花咲が私になっているのよ!」
え、どういうことだ?皇帝陛下は歴史までは変えられない。いったい何をしたのだろう。
「では、セレナールさん、こちらに座ってください。診察をします」
セレナールさんは、青ざめた顔で椅子に座った。
「心的外傷後ストレス障害ですね。地獄村2年の生贄の傷が残っているようです。当時、セレナールさんには恋人がいなくて、雪流零はセイさんが務めました」
何故、歴史が変わった。だったら、私とナミネの子はどうなったのだろう。
「そんな!そんな!ナミネ、何をしたのよ!」
「残念ながら、入院の必要があります」
悪いが、同情など出来ない。出来るはずがない。けれど、ヨナの行方が気になる。
「あの、ヨナはどうなったのでしょうか?」
思わず聞いてしまった。
「ここで入院するセレナールさんを心配し、灰色町で引越し幸せに暮らしましたよ。ヨナは16歳で結婚し、この町で生涯を終えました」
完全に歴史が変わっている。
その時、病院の無線が流れた。
『長らく廃止されていた生贄制度が解禁されました。今年の7月7日、春風町の春風神社にて行われます。生贄に選ばれたのは、キクリ家の長女です』
いったい、なにがどうなっているのだ。ナミネが無事になったのは正直安心した。セレナールさんには悪いが。けれど、また生贄だなんて、またいやな予感がしてきた。
この時の私は、ナミネがテナロスさんに依頼し、地獄村の番人と掛け合ってもらい、歴史を変えたこと、現代の生贄制度もテナロスさんの力であることを全く知らなかったのである。
「人にしたことは、そのまんま返ってきますね。では、私は皆さんのところへ戻ります」
ナミネが立ち上がると同時に、私も立ち上がった。もう、ここにいる意味がないからだ。
「ナミネ、許してほしい。僕が間違っていた。生贄制度にちゃんと反対するべきだった」
セリルさんは泣きながらナミネにすがるものの、ナミネはセリルさんを振り払った。
「別にいいじゃない。カナコさん一人が犠牲になるくらい!辛いのは私よ!セイの前で儀式が行われたのよ!」
セレナールさんは、おかしい。何故、人の苦しみが分からない。
「セレナール、どうしてナミネへの嫉妬だけで、僕を騙したんだ!カナコさんは何の関係もないだろ!」
声を張り上げるセリルさんを見るのははじめてかもしれない。完璧に思える人にも欠点はある。しかし、こんなにボロボロになるセリルさんを見るのは気が引ける。
そして、ナミネはスタスタと部屋を出て行った。
アルフォンス王子の病室では、リリカお姉様とカナエさんがアヤネさんを攻撃している。アヤネさんは悪くないだろうに。
「あ、カラルリ。原石のことなんだけど、転生ローンの分だけは与えるわ。でも、余った分は私の取り分にしてほしいの」
急に態度が変わった。さっきとは180度違う。女子(おなご)という生き物は、男だけで、こうまで変わるものなのか。
「ありがとう、セナさん!感謝する!」
確定ではないけれど、ほぼ確定のセナ王女とシャム軍医の関係をカラルリさんが知ったらどうなるのだろう。
「いいのよ。元々、カラルリを助けるためにみんなで頑張ってるものね。あと、明日は原石採取はお休みにして、シャム軍医の家を見てみたいわ」
えっ、それみんなで行くの?交際するなら、セナ王女とシャム軍医二人きりのほうがいいのではないだろうか。
「私も見てみたいです!」
ナミネ、すっかり元気になっている。けれど、落ち武者さんは黙ったままだ。
「カナエは、アルフォンス王子様のお傍にいます」
どうして、終わった関係を敢えて復活させるのだろう。
「今日は、色々あったから明日は休んだほうがいいね。行きたい人だけ行けばいいと思うよ」
ナルホさんは行くのだろうか。
「私行く!」
「私も行こうかしら」
「僕も行く」
「まあ、貴重な体験なので僕も行きます」
「私も行きたいです」
なんだかんだで、行くメンバーが多い。
「でも、本当に何もないよ」
セナ王女も一人で行けばいいのに。
「見てみたいの。シャム軍医の暮らし」
ある程度、距離は置いているものの、こんな雰囲気だと周りが気付くのも時間の問題だろう。
その時、セレナールさんとセリルさんが入って来た。
「ナミネ!いい加減にしなさいよ!赤花咲はあなただったのに、どうして歴史を変えたのよ!」
リリカお姉様は立ち上がった。
「さっきの無線は、そういうことだったのね!あなたどこまで人を陥れたら気が済むの?カナコさんが傷つかないように、レイカさんが代わりに引き受けるって紙飛行機が飛んできたわ!」
レイカさんが!?流石にそれはあってはならない。
「ナミネ、私が言うのもなんだけど、私たちのかつての子供は無事だったのだし、セリルさんのことは許してあげれない?」
レイカさんは、紅葉町になくてはならない存在だ。ここで、生贄になってしまえば、レイカさんとて武士としては本領発揮が出来なくなるだろう。それも、カナコさんの代わりにだなんて、どこまで仲間想いなんだ。
「ナミネが、カナコさんを使命したんだね。どうしてそんなことしたのかな?」
ナルホさんも、カナコさんかレイカさんのどちらかが犠牲になるのは食い止めたいだろう。
「セレナールさんが、私をハメたんです!私は春風神社で生贄となりました!当時は、元旦に赤花咲をする習わしがありました。元々は村で一番美しいセレナールさんの予定でしたが、セレナールさんがセリルさんに私にしろと頼み込んで、私は犠牲になりました!こんなの許せません!」
歴史が変わったとはいえ、一度体験したことはなかなか消すことは不可能だ。
「姉さんが、アンタを犠牲にしたのは分かった。でも、結局生贄になったのは姉さんに変わったし、生贄制度は取り消せ!」
落ち武者さんはナミネに扇子を突き付けた。けれど、ナミネは落ち武者さんの扇子を振り落とした。
「また、エルナさんを昔に飛ばしましょうか?簡単に私の苦痛を決めつけないでください!」
ナミネ、かなり怒ってる。でも、カナコさんとレイカさんの犠牲はあってはならない。そんなことになれば、先立つものがなくなり、武家の存続が難しくなる可能性もある。
「ナミネ、生贄制度はやめて、せめて、カナコさんの好きな人を変えろ!何もかもセリルさんのせいじゃないだろ!」
ラルクは、どんな時もナミネに意見をする。私はそれが出来ない。
「分かったよ。納得は出来ないけど、少しでもセリルさんが苦しむならそうする」
ナミネはラルクのことなら殆どのことを聞く。
「じゃ、今すぐそうしろ!」
なんだかんだで、落ち武者さんはセレナールさんとセリルさんが大事なんだ。無理もないか。
病院の無線が流れた。
『先程お伝えした生贄制度の復活ですが、取り止めになりました。生贄制度は、引き続き廃止です』
いったい、何をどうやってナミネは操っているのだろう。
「じゃ、カナコの男は適当に選べ」
落ち武者さんは、それでいいのだろうか。
「ナミネ、ちょっと話そうか」
ナルホさんは、どこまでも公平に考える人だ。あどけない顔をして、中身はしっかりしている。
「もういいんだよ。カナコさんは既に他の人気にしはじめてるみたいだし」
えっ、カナコさんとセリルさんは誰が見ても理想のカップルなのに。セリルさんの思い違いではないだろうか。
「うーん、三角かな。カナコはセリルを想っている。それはずっと変わらない。でも、セリルならなんでも許してくれると思ってるんだろうね。今の段階なら、深いものにはならないから、食い止めるなら今だと思うよ」
ズルエヌさんの言うことが本当なら、簡単に言えば二股ということだろうか。
「とにかく、セレナールのことは、お武家連盟会議にかけることが決まったわ。本当に人でなしね」
前世を覚えていない人にとってはなんでもないことが、我々からしてみれば、どれだけ時間経とうとも罪になってしまうのか。
「待って!本当に悪気はなかったの。それに、結局私にされてしまったし、私はこれまでずっとイジワルばかりされてきたわ」
セレナールさんは不幸すぎる。どうして、そのような人生ばかりなのだろう。皇太子様と上手くいっていた時も最後の最後で皇太子様はエミリさんを選んだ。
「決まったものは決まったんだから、ごちゃごちゃ言っても無駄よ。あなたの行動でカナコさんの運命が決まるのよ!覚えてなさい!」
人が集まれば、責任を負う人も暗黙に出てくる。今、キクリ家が存続出来なくなれば、他の武家も危うくなる。
この日は、病院の隣にある温泉に行ったあと、そこのご飯を食べて病院へ戻った。眠くなって来た頃、ナミネとラルクが部屋を抜け出した。気になった私も着いて行ったら、セナ王女とシャム軍医が客用の部屋に入って行った。
「ナミネ、ラルク。戻ろう。こういうのよくないから」
何故、人の恋路にここまで執着する。
「だったら、アンタが着いて来なきゃいいだけの話だろ」
落ち武者さんもいるのか。
「ねえ、どうして人の恋路をこうまで気にするの?」
カラルリさんもまだ知らないことだし、そっとしてあげる心がないのだろうか。
「人は、何世紀も経てば変わるんです!セナ王女は、時を経てやっと本命の殿方と一緒になれたのです!その幸せを直接目にして何が悪いのですか!」
本命って。そんなの、現世からしてみれば後付じゃないか。結界はかけられないから、3人とも聞き耳立ててる。もう何を言ってもダメなパターンだな。
と思いきや、中から声が聞こえてくる。
『セナ元帥、本当に後悔しませんか?』
もうあからさまじゃないか。
『しないわ。好きなの。シャム軍医が好きなの!』
そもそも、いつから好きだったんだ。切り替え早過ぎないか?
「ねえ、ラルク。シャム軍医、私には全然アプローチして来なかったのに、セナ王女には猛アプローチだよね」
「ナミネは子供っぽいからな」
そういえば、軍事基地で一緒だったっけ。
『こんな日が来るとは思いませんでした。まるで夢のようです』
なんだか、カラルリさんよりシャム軍医のほうがセナ王女を支えられる気がする。
『後悔してるわ。仕事ばかりで、恋を知らずカラクリ家で知り合ったカラルリと交際したこと。シャム軍医のアプローチ受けていれば……』
女子(おなご)というのは実に不可思議な生き物だ。あれほどに、カラルリさんに夢中だったセナ王女が、光の速さでシャム軍医を好きになるなんて。男の想いとは異なりすぎている。
『昔は昔です。好きな気持ちは今も変わりませんし、やっと想いが届いて、これ以上の幸せはありません』
『シャム軍医……』
私には女子(おなご)としての幸せは分からない。けれど、少なくとも、今のセナ王女は報われたのかもしれない。カラルリさんから酷い仕打ちを受けた挙句、ミナクお兄様からも呆気なく捨てられてしまったわけなのだから。
(省略)
結局この日、セナ王女とシャム軍医はアルフォンス王子の病室には戻らなかった。
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あとがき。
イラスト描いていて、小説のほうがなかなか進められませんでした。ちょっと色々あり身体を壊した状態です。
セナとシャム軍医が恋愛関係になったのは意外ですが、もしかしたら、古代編も何かが揃っていれば、カラルリではなくシャム軍医だったかもしれませんね。
セナには現世で幸せになってほしいです。
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この小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
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