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日常のこととかオリジナル小説のこととか。
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HN:
ashita
Webサイト:
性別:
女性
職業:
地主(土地貸してます)
趣味:
漫画やアニメを見るのが好きです。最推しはフーディーニ ♡
自己紹介:
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ブログ、もう書かないと思ってました。

けれど、去年から書き始めた小説によって、過去に書いてた小説も書き始め、ここに載せることにしたのです。

小説は、主に『時間と時間を繋ぐ恋の物語』と『妖精村と愉快な仲間たち』をメインに書いています。
現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。

純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。

元々このブログは病気の記録用として立ち上げたものですが、小説載せるようになってからは、ここは出来るだけ趣味的なことを綴りたいと思っております。
病気の記録や様々な思いを綴るブログは移転済みなのです。

ただ、今は日記は個人的な徒然、或いはお知らせとして綴ることが多いかと思います。

小説、ぼちぼちマイペースに書いてゆきます。

よろしくお願い致します。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

お知らせ。

イラストは現在「ナノハナ家の日常」に載せております。サイドバーにリンクあります。

また、「カラクリよろずや」にて無料のフリーイラスト素材配布もはじめました✩.*˚

フリーイラスト素材も増やしていく予定です(*'ᴗ'*)

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

模倣・無断転載などは、ご遠慮ください。

ブログの小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。

小説・純愛偏差値に関しましては、武家名・貴族名(程度による) / 及び、武官の階級 / 扇子・羽子板・花札・百人一首・紙飛行機などのアイテム使用方法の模倣の一切を禁じております。

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X @kigenzen1874

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〈資格履歴〉

2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2010年02月10日
→セルフ・カウンセリング
ステップ2 合格
2011年05月28日
→セルフ・カウンセリング
指導講師資格審査 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年01月20日
→鉛筆デッサンマスター 合格
→絵画インストラクター 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
→茶道アドバイザー 合格
→お点前インストラクター 合格
2025年04月17日
→着物マイスター 合格
→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
→サイキックアドバイザー 合格
→サイキックヒーラー 合格
2025年07月01日
→アンガーカウンセラー 合格
→アンガーコントロール士 合格
2025年08月04日
→漢方コーディネーター 合格
→薬膳調整師 合格

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〈資格証明バナー〉

鉛筆デッサンマスター®認定試験資格取得証明
絵画インストラクター資格資格認定証
宝石鑑定アドバイザー資格認定試験資格取得証明
鉱石セラピスト資格資格保持証明
茶道アドバイザー資格認定試験資格取得証明
お点前インストラクター資格資格認定証
着物マイスター®資格認定試験資格取得証明
着付け方インストラクター資格資格認定証
サイキックアドバイザー®資格資格証明
サイキックヒーラー資格資格保持証明
アンガーカウンセラー®資格資格保持証明
アンガーコントロール士資格資格認定証
漢方コーディネーター®資格認定試験資格保持証明
薬膳調整師®資格認定試験資格保持証明
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純愛偏差値 未来編 一人称版 31話

《ナミネ》

10月初旬。
私とヨルクさんは、あるカフェにいた。私とヨルクさんは鳥さんのケーキセットを注文して、写真に撮るとカップル日記に投稿した。
『今日はヨルクさんと2人でデート』

ヨルクさんの誕生日は7月7日なのである。私たちが交際したのは7月17日だったから、お祝いは出来ずにいたのだ。
それで、休日にヨルクさんを呼び出してここにいるというわけだ。
「ヨルクさん、これ、遅いけど誕生日プレゼントです」
「えっ、わざわざ用意してくれたの?」
「はい」
ヨルクさんはラッピングを開いた。星空と動物たちの自作の絵を額縁に入れたのだけど、喜んでくれただろうか。
「ナミネは絵が上手いね。ありがとう、ナミネ。大切にするね」
その時、携帯が鳴った。私とヨルクさんはカップル日記を開いた。セナ王女からコメントがあった。
『抜け駆けなんて狡いわね』
抜け駆けのつもりなんて全然ないのに。
『私動物園行きたいな』
セレナールさんまで。
『じゃ、19時に紅葉町動物園に集合だ!』
落ち武者さん……。
これって絶対行かなきゃいけないパターンだよね。
今日はヨルクさんと2人でのんびり過ごしたかったのにな。
けれど、私も動物園気になるし、ヨルクさんとバスで紅葉町動物園へ向かった。

紅葉町動物園に着くとユメさんと委員長はまだ来ていなかった。
って、カラルリさん来てるの!?借金どうなったんだろう。
「一目惚れカラルリ、あんたこんなところに来てる場合じゃないだろ!」
「借金は、おばあ様が返してくれた」
結局家族に頼ったわけか。って、セナ王女はとっくにカラルリさんとのカップル日記は退会しているのにカラルリさんは退会してなかったの!?何だか、ストーカーみたいでやだな。
「ねえ、ラルク、早くも10月だね」
「そうだな」
「ハロウィン会楽しみだね」
「まあな」
ラルク、あまり元気ない?どうしたのかな。
「そういえば、セレナールさんもセナ王女もクレナイ家に通ってるんだよね」
「ああ」
「ラルク、私考えたんだけど、ラルクが無理ならセレナールさんのことはラルクが抱える必要ないと思う」
「そうしたいけど、しばらくはセレナール先輩を守ることにする」
そんなこと言っても、もう殆ど好きじゃないんでしょ?セレナールさんが教師してた頃のように愛し合えてないんでしょ?そんな関係続かないよ。
「でも、好きでもないのに交際しても続かないよ」
「別に好きじゃないわけではない。セレナール先輩のことは好きだし、でも、僕が守ることを重視しているせいで、少しのすれ違いがあるだけだと思う。セレナール先輩にはやっぱり生きて欲しい」
「そっか、ラルクがそう思うなら私も協力するよ!一緒にセレナールさん守ろうね!」
「ありがとう、ナミネ」
ラルクは私を抱き締めた。
ラルク、1人じゃないよ。私がいるからね。
その時、ユメさんと委員長が来た。
「ごめん、気づくの遅くて遅れちゃった。今日は私が奢るわ」
「いいのよ、ユメさん。いつも通りアルフォンスの奢りだから」
「じゃ、順番に回るぞ」
みんなは地図の順番に回りはじめた。

ここも随分変わった気がする。いつかのヨルクさんとデートしていた時は、もう少しシンプルだったのにな。
「ナミネ、ロバさんがいるよ。可愛いね」
「交尾のためにメスを追いかけてますな。所詮は脳内は人間と同じ作りですな」
「ナミネ、どうしてそういうこと言うの!お土産買わないからね!」
「だって事実じゃありませんか!動物園の動物は人間に可愛さをアピールしながらも、やることやってるんです!」
「今日はお土産買わないから!」
ヨルクさんは、昔から固い。真面目すぎるというか、冗談は通用しないし、そういう意味ではラルクのほうが話しやすいかも。
「そうですか」
私はラルクに近付いた。
「ラルク、セレナールさんと一緒に歩かないの?」
「セレナール先輩は最近、セナ王女と仲良くしてるし、自由にさせてあげたいと思ってる」
「そっかあ、そうだよね。恋人だからって何もずっと一緒にいることなんてないもんね。ハロウィン会何になるのかな」
そうだよね。セレナールさんはセレナールさんで話したい人と話したらいいよね。
「小さいカボチャのストラップ作りを考えてる」
「そうなの、委員長?楽しそう」
その時、ヨルクさんが私の手を握った。あーあ、ヨルクさんの短パン姿も9月の中旬で見納めだったな。いっぱい写真撮ったからいっか。

この季節だから、動物園はいい時期かもしれないけど、夏とか冬とか客いるのかな。私たちは、ひと通り、動物を見た。歩き回って疲れた私たちは、一昔前の、まだ改装していない大きなレストランに入った。
え、客は誰もいない?休日なのかな。
その瞬間、伝説初級武官が50人ほど現れ、1人の伝説初級武官がセレナールさんに短剣を突き付けた。
「助けて!!」
こんな人数じゃいくら何でも助けられるか分からない。どうしたらいいの。ミナクさんはセナ王女守ってるし、アルフォンス王子もカナエさん守ってるし、委員長もユメさんを守ってる。みんなはセレナールさんから距離を置いて、自分のパートナーだけを守ってる。私もヨルクさんを守りながらセレナールさんを救出する方法を考えた。
でも、この展開って前にも……というか、少し前の前世でもあったみたいなことセレナールさん言ってたよね。あの時は、特殊武官に捉えられたセレナールさんを究極奥義でカナエさんが助けたんだっけ。でも、その時とは人数が違いすぎるよ。
「なあ、あんたら、望みはなんだよ!」
「アルフォンス王子には既に王妃が決めた婚約者がいる。だから、アルフォンス王子がその小汚いカナエと別れなければ、こっちの娘は命は助かるが俺らの自由にさせてもらう」
あの時と同じ条件だ。いったいどうなっているの。どうして、同じことが起きてしまうの。
「カナエ、お願い!アルフォンス王子と別れて!」
「カナエは、アルフォンス王子様とは別れません!でも、必ずセレナールを救います!」
その間にもセレナールさんは、伝説初級武官の好きにされかかっている。
「どうしてなのよ!私はどうなってもいいの?もし、ここを無事で出られたら兄さんに何もかも言うわ!」
「セレナール!カナエはセレナールを必ず救います!」
「セレナール、カナエを責めないでくれ!今、みんなで考えてる!」
そんなの結局セレナールさんを捨てたも同然じゃない。
「あの、お母様の命令でしょうか?」
「違う。アルフォンス王子を後の王にしたい者たちのトップの女官が命じた」
王妃の命令じゃないんだ。王室では跡目争いが既に起きているのか。
「お願いよ、カナエ、アルフォンス王子と別れて!出ないと兄さんから皇帝陛下に掛け合ってもらうわ!」
「セレナール!卑怯な真似はやめるのです!」
「セルファ、兄さんに連絡して!」
「姉さん、ここ圏外」
伝説初級武官がイタズラをするたびにセレナールさんは悲鳴をあげた。同じ状況だったら、私なら別れるだろうか。ううん、別れないと思う。同情はするけど、ヨルクさんとだけは別れられない。
「カナエ!!アルフォンス王子と別れて!!ここで穢されたくない!!カナエだって私と同じ立場なら同じ要求をするでしょ!」
「カナエは別れろなんて言いません!」
その時、落ち武者さんがカナエさんに扇子を突き付けた。
「あんたら別れろ!でないと、今すぐ皇帝陛下に文飛ばす」
「卑怯です!」
「は?姉さんが捕らわれてんだ!何が卑怯なんだよ!」
そう言うと、落ち武者さんは文を書きはじめた。が、カナエさんが破った。落ち武者さんは、走りながら文を書いた。
「やめるのです!カナエの幸せを壊さないでください!」
「いやーー!やめてーー!」
セレナールさん、もうギリギリだ。このままだと、セレナールさんの人生が奪われてしまう。
「ラルク、どうする?」
「ナミネ、囮になって欲しい」
え?今なんて言ったの?囮?私が?それってどういう意味?
「ラルク、一緒にセレナールさん助けようねって言ってたじゃない」
「セレナール先輩は、もうギリギリなんだ!カナエ先輩もアルフォンス王子も別れる気はさらさらない。もう時間がないんだよ!セレナール先輩に傷ついて欲しくない!」
ラルクは突然泣きはじめた。
「ねえ、囮って何?」
「ナミネが1回イタズラされているうちに全てを片付ける!今はそれしかない!」
何それ……。私の知ってるラルクとは思えない発言。セレナールさんが助かれば私はどうなってもいいの?私を捨ててセレナールさんを助けるの?ラルクにとって私はその程度の存在だったの?
「ラルク、何言ってるの?ナミネを囮になんかさせないから!」
「ラルク、あんたちょっと頭冷やせ!こっちも姉さん助けたいけど、誰かを犠牲にするのは流石にアウトだろ!」
「いやーーー!!カナエ!別れて!」
「カナエは別れません!でも、セレナールのことは助けます!セレナールも時間稼いでください!」
ダメだ……カナエさんは宛にならない。その時、カラン王子が、ラルクにF938を見せた。
「どうか、ナミネさんを犠牲にしないでください」
カラン王子……。ラルクがカラン王子からF938を取り上げようとするのを落ち武者さんが止めた。
「あんたF938出されてるんだぞ!王命に背くのかよ!」
「いやーー!助けてーー!カナエ、別れて!」
「ナミネ、囮になれ!!」
そう言うとラルクは扇子で私をセレナールさんのところまで吹き飛ばした。ラルク、無事で戻れたらラルクとの縁はお終いだよ。
「ナミネ!!!」
「あんた何してんだよ!」
もうここまで来たら仕方ない。その時、泣きながらヨルクさんが駆け寄ってきた。
「ヨルクさん、来てはいけません!!」
私は扇子でヨルクさんを吹き飛ばした。そして、セレナールさんを解放し、ラルクの元に吹き飛ばした。
「ラルク!これでいいでしょ!」
私は涙を零していた。
「ああ、完璧だ!ナミネが囮になってる間に全て終わらせる!だから、1回は我慢して欲しい!」
もう遅いよ。
「ラルク、怖かったわ」
「セレナール先輩が無事で良かったです。今後もどんな手を使ってでもセレナール先輩を救います!」
私は走って伝説初級武官を1箇所に集めた。そして、百人一首全てを投げ付けた。伝説初級武官たちの回りを百人一首が猛スピードで回った。私は花札で伝説初級武官をまとめて拘束し、そのうちの1人に思いっきり羽子板で肩を叩いた。これで、全ての伝説初級武官に電流が流れたはず。私は後5人の肩を羽子板で叩いた後、一人一人を花札で拘束した。
終わった……助かった……。
のはずだったのに、今度は1人の男性が、いきなり入ってくるなりカナエさんを押し倒した。アルフォンス王子は何度もカナエさんを救おうとしたが、何度も突き飛ばされた。
この人かなり強い。ん?どこかで見たことのあるような……。廃位になった皇室のレオナルド元第1王子!?
「セレナールとラルクは別れろ!」
何なの、このやり取り。さっきと同じじゃない。
「セレナール!ラルクと別れるのです!」
カナエさん、自分の時は別れないと何度も言ってたのに、これって何だか卑怯。私、囮にまでされたのに。
「別れないわよ?カナエが私にそう言ったんじゃない!」
「男尽くしカナエ、あんた無様だな」
カナエさんは、もうレオナルド王子にイタズラされかける寸前だった。
「セレナール!別れるのです!」
「セレナール、別れないとお父様に言いつけるぞ!」
「やってみなさいよ!こっちも兄さんに言いつけるわ!」
「セレナール!!いい加減にしろ!!カナエが傷ついたらタダでは済まさないぞ!」
みんな、カナエさんからかなり離れてる。そうだよね。レオナルド王子には勝てない。
「セナ王女、あの者には誰にも勝てません。セナ王女だけでも逃げてください」
「ミナクは!?」
「私は残ります」
ミナクさん残るの!?いったいどうして!?
「セレナール先輩、行きましょう」
「そうね」
「セレナール!別れるのです!カナエをイジメないでください!」
ダメだ……。カナエさん、もう助からない。でも、ここで見捨てたら、ミドリお姉様を見捨てた4人と同じになっちゃう。私はカナエさんの元へ走った。するとヨルクさんも着いて来た。
「ヨルクさん、来ないでください!!」
私はヨルクさんを扇子で吹き飛ばそうとしたが、ヨルクさんは逆に私を扇子で吹き飛ばした。私は着地するなり、レオナルド王子に百人一首を飛ばしたが全て剣で切られてしまった。
もう特攻するしかない!私は2つの扇子を手に持ちレオナルド王子に突っ込んだ。
「レオナルド王子は穢されたと思っているんですよね?けれど、あなたの意思なんかではなかったでしょう?だったら、どうして穢されたと位置付け出来ましょう?確かに起きてしまったことは人為的なものであれ、背負っていく必要があります。辛かったかもしれません。死ぬほど苦しかったかもしれません。けれど、あなたの愛した人はずっとあなたに寄り添ってましたよね?ここで、カナエさんに危害を加えてしまったら、それこそあなたは自ら穢れてしまったことになるんです」
ヨルクさんは1枚の写真をレオナルド王子に見せた。隣の人誰だろう。とても綺麗な人。
「今更遅い!私は何もかも失った!人生壊され他人の人生も壊して、いい晒し者だ!」
「そんなことありません。あなたの婚約者だった人は今でもあなたを心配し、愛しています」
あれ、キクスケさんと写真の人……?
「レオナルド!どうして1人で何も言わずいなくなったの!」
「どうしてここにいる!」
「レオナルドのしたことは私も一緒に償っていく!だから、もうこんなことやめて!」
「サユリ……」
え、この人が……。私は委員長を見たが、委員長はずっとユメさんに寄り添っている。でも、後で確認しないと。
レオナルド王子はカナエさんを解放し、サユリさんと抱き締め合った。

レオナルド王子とサユリさんが去った後、アルフォンス王子がカナエさんに駆け寄った。
「来ないでください!!アルフォンス王子様!!」
これって……いつかのセイさんの時と同じ展開だ……。カナエさん、大粒の涙を流している。
「アルフォンス様、一時的なものだと思いますので、カナエにはしばらく私とクラフが寄り添っています」
「あ、ああ、分かった」
アルフォンス王子は酷くショックを受けているようだった。
「委員長、サユリさんのことだけど……」
「何もしない。ユメを危険に晒したくないから」
「そ、そうだよね」
良かった。委員長にとっては許せない相手だろうけど、この世界でサユリさんは新たな道を歩みはじめていた。

全てが片付いた後、みんなはお土産屋さんを見たあと、動物園を出て、カフェに入った。
私は強い。でも、強い人なんてこの世にたくさんいる。強いだけじゃどうにもならないこともある。ヨルクさんは命懸けでレオナルド王子を説得し、私を助けてくれた。
人の心を動かすのは時として強さではなく言葉なこともあるのかもしれない。だとしたら、丸腰でレオナルド王子に突っ込んだ私は馬鹿だ。
でも、私は私を見捨てず、どこまでも愛し抜いてくれるヨルクさんのことを、どうしようもないくらい好きで好きで愛して慈しくて、離れられなくなっていた。
「セレナール!どうしてラルクと別れてくれなかったのですか!カナエを見殺しにした慰謝料はキッチリ払ってもらいます!」
カナエさん、震えながらセレナールさんに扇子を突き付けている。その扇子を落ち武者さんが扇子で振り落とした。
「あんた、随分とずる賢いんだな。姉さんが別れ求めた時は別れないと言って、いざ自分が同じ状況になったら別れろと言うのかよ!でも、あんた終わったな。平凡アルフォンスはいつまでもはあんたを待たない。このまま奈落に堕ちろ!」
カナエさんって、こんなに卑怯な人だったっけ。そもそも、セレナールさんもカナエさんも純粋だったのに。いつから変わってしまったの?
「ナミネ、さっきはごめん。気が動転してて本音じゃないこと言ってしまった」
「私、ラルクとは縁を切るね。もうセレナールさんのことも助けない。クレナイ家に行っても話さないし、ラルクに話しかけられても今後は無視するね」
私はヨルクさんの膝の上に乗った。
「ナミネ、本当に悪かったと思ってる!だから、一度だけ許して欲しい!二度とナミネを危険に晒したりしない!」
私は何も言わなかった。ラルク、もうラルクとは終わりだよ。もうラルクとの想い出全部捨てるね。私、ヨルクさんと生きるよ。
「ナミネ、どれにする?」
ヨルクさんの紅葉の香り。私の大好きな香り。
ヨルクさん、ありがとう。これからはヨルクさんだけを守るよ。
ラルクとは縁を切った。でも、私はヨルクさんからの愛情にいっぱいいっぱい幸せを感じていた。

……

あとがき。

1度目が覚めたら眠れなくて書いちゃいました。

今回はセレナールとカナエのピンチでしたね。カナエは意外にも主人公気取り。自分だけ助かりたい人だったなんて、悲しいです。

みんなもいざとなったら仲間を見捨てるんですね。結局みんな他人の不幸には目をつむる生き物なのかもしれません。
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純愛偏差値 未来編 一人称版 30話

《ヨルク》

ユメさんの別荘でのナミネの誕生日会が終わった後、みんなはナヤセスさんのマンションに移動した。
セナ王女やセレナールさんも着いてきている。ナミネを目の敵にしている人には正直来て欲しくない。やっぱりナミネの言ったようにナヤセスさんのマンションでナミネの誕生日会をすれば良かったのだろうか。

ナヤセスさんのマンションは高級そうだった。いったい月にいくら払っているのだろう。よく見るとお手伝いさんもいる。
「ねえ、セナさん、よく考えたんだけど、カナエも狡くないかしら?私もユメさんも前世で穢されているけど、いつもカナエだけ綺麗なままだったわよね。それに、アルフォンス王子から高級なのいっぱいもらってるし」
「そうね、カラルリの妹なだけあって、私も見るのも辛いわ」
ナミネの次はカナエさんを目の敵にするのか。セレナールさんはラルクと付き合って幸せじゃないのか?
「カナエは、お兄様のしようとしていることに全く気が付きませんでした。セナさんとお兄様は愛し合っていると少しも疑いませんでした。セナさんがカナエを憎むならカナエは死んでも構いません」
カナエさんのせいなんかじゃないのに。あれは、完全にカラルリさんが計画したこと。
「セナ、カナエは何もしてないよね?カラルリがカナエの兄だからって何でもかんでもカナエのせいにするわけ?次、カナエ攻撃したら私はセナの敵に回るし、セレナールには慰謝料請求する!」
「もう本気にしないでよ。カラルリに無理矢理流産させられたばかりで滅入ってるのよ」
「甘えセナ、あんた一度病院で診てもらいな」
そっか。セナ王女は、あの一件で心を病んだかもしれない。だとしたら、ナミネの時のように何かしら病名がついている可能性もなくはないよね。
「セナさん、ちゃんと話し合いたい」
「一目惚れカラルリ、あんたもうフラれてんだよ!いい加減受け止めろよ!」
あんなことしておいて、まだセナ王女に復縁迫るだなんてどういう神経してるんだか。
「ねえ、ラルク、そろそろ夢騎士の資格取らない?」
「そうだな。でも、僕も伝説最上級武官取ってから夢騎士に挑戦しようと思う」
「じゃ、僕も伝説最上級武官から挑戦する」
3人とも強くて輪に入っていけない。ナミネもラルクも0歳の頃から究極奥義使っていたらしいし。弟に負けるのはかなり悔しかったけど、今となっては、他のことでナミネを癒したいと思っている。強さも欲しかったけど、私には素質がないようだ。
そうだ、ナミネの誕生日プレゼント渡さないと。でも、今渡すとナミネがまた目の敵にされかねない。寝る時に渡すか。
「強気なナミネ、ほらよ!誕生日プレゼントだ」
「ナミネ、誕生日僕からもお祝いだ」
「ナミネ、私とクラフからよ」
「ナミネ、また大人になったね」
ナミネは、ラルクと落ち武者さんと、ユメさん、クラフ、ナヤセスさんから誕生日プレゼントをもらっていた。
「みんなありがとう!」
「顔だけヨルク、あんたも渡しな」
「え、でも、あれは特別なものだし」
もし、何かあったら……。
「大丈夫だ。他のヤツには触らせたりしない」
「わ、分かった」
私は小さな箱を取り出した。
「ナミネ、誕生日プレゼントだよ」
「ありがとうございます、ヨルクさん」
ナミネは早速箱を開けた。
「星型のサファイアのイヤリングですか?」
「たまたまデパートにあったんだよ。かなり古いものなのに状態はいい。店員がかなり古い時代のものだと気付いた瞬間5000万円以上に値上げしようとしたところ、元の値段で買ったんだよ。遠い遠い前世に顔だけヨルクがあんたに渡したものだ」
「そうだったんですか。記憶にはないですが、とても嬉しいです。ヨルクさん、ありがとう」
ナミネは私に抱き着いた。喜んでくれて良かった。ナミネと私との想い出。私はこれからも探そうと思う。
「良かったね、ナミネ。思いやりのある彼氏で」
「はい、ヨルクさんは女たらしで、すぐ女に変な感情を抱き、女を連れ込んでは浮気をし、とにかく女にはだらしないですが、私、ヨルクさんと結婚するんです」
何故ないことないこと言われないといけない。私はナミネに喜んで欲しくて買ったのに……。
そう言いながらもナミネは私がプレゼントした星型のサファイアのネックレスを菜の花とかすみ草の花束と共に写真に撮った。そして、イヤリングを私の耳につけるとまた写真に撮った。撮影が終わるとナミネは私からイヤリングを外し箱に戻した。
私はカップル日記を見た。

『ヨルクさんから誕生日プレゼントをもらった。
私とヨルクさんの想い出らしい』
私がイヤリングつけてる写真をやっぱり載っけたか。

「ねえ、ナミネ、そのイヤリング見せてくれないかしら?」
やっぱり、セナ王女は即妬んだのか。
「甘えセナ、これは現世では2つとない代物だ。簡単に触らせるわけにはいかないな」
「何よ、ナミネだけいい思いしちゃって。カナエもだけど」
本当、どうしてセナ王女着いてきたの。他人の家で騒がないで欲しい。
「セナ王女、学校でも見てたけど、カラルリの件から、その日のうちに病気になってると思う。ヒステリー本音症候群の可能性が高いし、出来るだけ早く病院で治療したほうがいいと思うよ」
ナヤセスさんは相当頭がいいらしいけど、もうだいたいの知識は備わっている感じなのだろうか。月城総合病院で働くことも決まっているみたいだし。
「あの、ヒステリー本音症候群って何ですか?」
私は思わず聞いてしまった。
「酷いトラウマを経験した人がかかる病気で、トラウマの原因になった人だけでなく、他の人にも責任があると他責とヒステリーを繰り返す病気なんだ。放っておくと、まともに生きられないだろう」
そうだったのか。普通に見えて、セナ王女はとっくに病魔に侵されていたのか。何もかも全てカラルリさんのせいだ。それなのに、ここに来てからカラルリさんはずっとセナ王女に付きまとっている。しつこい人だな。
セナ王女は一瞬カラルリさんを睨むとミナクお兄様と部屋に入っていった。私は部屋の前に立った。すると中から声が聞こえてきた。
『カラルリにあんな卑劣なことされて辛すぎる』
『セナ王女、お腹の子は戻って来ないし第1修復も厳しいですが、有名な医者を何人か探して、第2修復とまた妊娠出来るように、必ず治療してもらいます』
セナ王女はミナクお兄様を頼るために交際したのだろうか。
『お願い……もうミナクしかいないわ』
けれど、治療したところで、カラルリさんのしたことが消えるわけでもない。それでも足掻くしかないのだろうか、今のセナ王女にとっては。私もナミネをカラルリさんには近づけたくなくなってきた。
『セナ王女を全力で今の状態から脱出させる努力をします』
『セレナールもナミネもユメさんもカナエも幸せなのにどうして私だけ……私だけこんな目に……』
確かに、いくらセナ王女がワガママすぎるとはいえ、カラルリさんのやり方はあんまりすぎる、
『ユメさんとカナエさんは分かりませんが、少なくともラルクもヨルクも幸せとは言えないでしょう』
『どうして?』
『ナミネはミドリさんのことがあってから、もう前のナミネには戻れずヨルクでは支えきれないでしょう。ラルクはセレナールさんがクレナイ家に来てもあまり嬉しそうにしていませんし、みんな上辺だけなんですよ。けれど、私はセナ王女を全力で愛し抜きます!』
私はナミネと交際出来て幸せだし、何でもかんでも支えられる人間なんて逆にいないでしょ。ミナクお兄様って適当なこと言って、今はセナ王女と仲良くしていても、いつセナ王女を捨てるか知れたもんじゃない。
私は扉から離れた。
「へえ、あんたが盗み聞きなんて、あんたも人が悪いな」
「落ち武者さん、びっくりさせないでよ」
私は咄嗟に後ろを振り向いた。
「ヨルクさん、あの悪徳商法のパンでクマさんのフレンチトースト作ってください」
どうして悪徳商法だなんて言うのだろう。
「ナミネ、そういう言い方良くないって言ったよね。それに夕食の下ごしらえ、もうお手伝いさんがしてるし」
「ナミネ、ご飯作ってもらってるの?」
「はい、これがヨルクさんが作ったお弁当です」
ナミネは私が学校に行く時用に作っているお弁当をナヤセスさんに見せた。
「可愛いお弁当だね。良かったね、ナミネ。キャラ弁作ってもらえて」
ナヤセスさんはナヤレスさんとは比べものにならないくらい紳士的だ。
「ナミネ、またバイト手伝ってくれないか?」
「ねえ、カラルリさん……」
「カラルリ、ナミネはカラルリの召使いじゃない。妹を巻き込むのはやめて欲しい」
カラルリさんは泣き崩れた。
「ローンは返しきれないし、携帯も持てなくなったし、1番大切なセナさんを失って、私にはもう何も残っていない」
「一目惚れカラルリ、今更後悔しても遅いんだ。あんたが中絶薬盛った時点で、あんたら終わったんだよ」
ナミネにバイト手伝えだなんて何様だろう。その時、チャイムが鳴った。ナヤセスさんは、慌ててドアを開けた。
誰だろう。知り合いかな?
「すみません。思いっきり間違えました。でも、この部屋空き家でしたよね?最近引っ越してきたんですか?」
「うん、そうだよ。君もここのマンションの人かな?」
「副委員長!」
「副委員長!」
え、セレナールさんとカナエさんのクラスの副委員長なのか。世間は狭いな。
「セレナール、カナエ、どうしてここにいるの?」
「今日はユメさんの別荘でナミネの誕生日会でした。帰りにここに来て今日はここに泊まるのです」
「どうぞどうぞ、ご自由に出入りしてください、ロナさん」
「それじゃあ、少しお邪魔しようかな。せっかくだから、ナミネの誕生日祝いも兼ねて私が料理作るねー!」
このマンションの住人ということは、ご両親は相当なお金持ちなのだろうか。人って見かけだけでは分からないな。
「それは悪いからいいよ。ナミネにはプレゼント渡したし」
「いつも作っているので。それにお隣さんになるわけだから、仲良くしましょうー!」
副委員長なだけに随分と社交的だな。ロナさんは夕ご飯を作りはじめた。
「なあ、あんたの親、何してんだよ」
「セリルさんの弟にしては全然似てないねー!父がplantグループの専務してるよー!」
父親が大手企業の重役をしているのか。ナヤレスさんも、こういったお金持ちのところにもらわれていったら、あんなふうにはならなかったのだろうか。
「ナヤセス殿、ロナさんに縁談を持ちかけてはどうですかな?」
「やっと、こっちに戻ってきたばかりで、流石に彼女作ることまで回らないよ」
「タワマンの最上階の暮らしはどうでしたかな?」
「忙しくて夜景も見る暇なかったよ」
「あんた、どれだけ苦労してんだよ。僕も天の川村時代はタワマンの最上階に住んでたけど?303号室にね」
ナヤセスさんも落ち武者さんも、1人でも生きていける素質を持っているから羨ましい。誰の助けもなく、1人でタワマン借りれる稼ぎを得られるだなんて。
「僕は302号室だったよ。何となく見た気はしてたけど、お隣さんだったんだ」
世間は何て狭いのだろう。同じ時期に同じ場所で暮らしていただなんて。

ナミネは私とのツーショットを撮ると、ロナさんの手料理を美味しそうに食べていた。それにしても、ウサギさんのカレーだなんて、ロナさんも料理慣れてるんだな。
「ロナって料理上手なのね」
「毎日作ってるからねー!」
「ロナさんは、いいお嫁さんになりそうですな」
「恋愛には興味ないよー!」
何かあったのだろうか。それとも、元々興味がないだけなのだろうか。人って表面上だけでは何も分からないな。
ケーキもウサギさん。何だか本格的な誕生日パーティー。
「ねえ、クラフもユメさんにお弁当作ってるの?」
「はい、ユメには全力で尽くしたいので」
クラフは彼女思いだな。ユメさんもクラフに巡り会えて良かった。
「ミナク、私にもお弁当作ってくれるかしら?」
「料理経験がないので週に1回からでも構わないでしょうか?」
「ええ、構わないわ」
ユメさんの時とは違って力量でミナクお兄様を支配しているというわけか。だったら、とっととミナクお兄様を王室に連れて行って欲しい。
「ラルクもセレナールさんにお弁当作ってもらってるんだよね」
「そうだな」
「美味しい?」
「まあな」
その時、ロナさんはエプロンを外した。そっか、お家の料理も作らないといけないんだっけ。
「ナミネ、ヨルクと幸せにねー!」
「ロナ、初対面なのに妹を祝ってくれてありがとう」
「ううん、また来るねー!」
そして、ロナさんは隣の部屋に戻って行った。
その時、ナミネがケーキに手を伸ばした。
「ナミネ、何してるの?」
「ケーキ食べます」
「それ、みんなのケーキだよ。手で掴もうとしないで」
「でも、私の誕生日なので私のケーキです」
「もう、困らせないで。私が分けるから」
ナミネが写真を撮った後、私はロナさんの作ったケーキを分けた。口元にクリームを付けながら美味しそうに食べているナミネ可愛すぎる。

食事の後は、短時間だけどナミネと2人でお風呂に入り、部屋を借りて、ナミネと同じ布団に入った。
ナミネ、来年も再来年も、ずっとお祝いするからね。

翌朝、目を覚ますとセレナールさんが隣で寝ていた。身体を起こすと私も服を着ていなかった。どうして?セレナールさんにはラルクがいるのにどうしてこんなこと……。
「ねえ、ラルク、私のお婿さん、セレナールさんと裸で抱き合ってたよ」
「ナミネ、放っておいて行こう」
「でもね、ないの……ヨルクさんからもらったイヤリングがないの……」
私がナミネに弁解しようとした時、セレナールさんが悲鳴をあげた。みんなはこの部屋に来た。
「みんな、私、ヨルクに犯されたの!あんまりだわ!」
「あなたが私の布団に入って来たんじゃないですか!本当何なんですか!」
「とりあえず、2人とも服着ろ!」
私とセレナールさんは服を着た。ナミネは相変わらずイヤリングを探している。
「ラルク、やっぱりないよ」
ナミネは涙をポロポロ零しはじめた。
「カナエ、あなた、羨ましいからってナミネのイヤリング盗んだんじゃないの?」
「カナエはそんなことしてません!セレナール、どうしてカナエにばかり突っかかるのですか!」
「セレナール先輩、あなたと話すことは何もありません」
「違う、ラルク!ヨルクが夜中に私を連れ去って無理矢理犯したのよ!」
まさかセレナールさんに陥れられるとは思っていなかった。でも、どうしてこんなことしたのだろう。イヤリングも盗まれたし、何もかもがめちゃくちゃだ。
「ラルク、玄関に走れ!」
え、何?私も玄関に向かった。すると、落ち武者さんがカラルリさんから荷物を奪い取っていた。
「一目惚れカラルリ、あんた借金返すために顔だけヨルクが強気なナミネにプレゼントしたイヤリング盗んだのか!」
「ち、違う!カナエが私の荷物の中に入れたんだ!」
「どうしてみんなカナエのせいにするのですか!」
本当にカラルリさんが……?
「へえ、まだ開けてもない荷物の中にイヤリングが入ってるって分かるんだ」
落ち武者さんはカラルリさんのカバンの中を開け、箱を取り出すと中身を確認し、ナミネにイヤリングを渡した。
「あんた、通報するぞ!」
「そのイヤリング、5000万円の価値があるって言ってたから、ローンだけでも返したかった」
カラルリさんが借金返すためだけにイヤリングを盗んだなんて……。私とナミネの想い出のイヤリングを……。
「どうしよう、このままだと異父過妊娠してしまうわ」
「何なんですか!もうあなたとは口も聞きたくありません!」
私は穢されてしまったのだろうか。夜中のことなんて覚えていない。ナミネだけの私でいたかったのに……。私は気付いたら涙が流れていた。
「顔だけヨルク、あんたはまだ童貞だ」
その言い方めちゃくちゃ気に触るけど、何もなくて良かった。
「ねえ、ラルク、セレナールさんを許してあげて。中学生に上がってから、みんなでセレナールさん助けてきたんだよ」
「ナミネの言いたいことは分かるし、ナミネに協力してもらったことも感謝しているけど、僕はヨルクお兄様みたいになんでも許す人間じゃない」
ミナクお兄様がセナ王女に言っていたように、ラルクはセレナールさんに冷めてきているのか?
「セレナールは、どうしてラルクがいるのにヨルクと寝たの?」
「何も覚えてないのよ。起きたらヨルクに犯されていたわ」
「セレナール先輩、嘘をついても無駄です。どうしてヨルクお兄様と寝ていたのですか?」
「カラルリに頼まれた……イヤリングが欲しいからヨルクが起きそうになったら睡眠薬飲ませて欲しいって」
何それ。イヤリングのためにナミネとの関係を拗らせようとしただなんて……。
「それだけですか?」
「ナミネが羨ましかった……。お弁当作ってもらえて、プライベートでも料理作ってもらえて、前世の想い出のものまで買ってもらえて……私もナミネみたいに愛されたかった」
「だったら、ラルクに愛してもらえばいいでしょう!」
本当に苛立つ。どうしてナミネとの幸せを壊されるようなことされなきゃいけないのか。
「ラルク、セレナールさんを許して、これまで以上に愛してあげて」
「今回は許すけど、もう愛することは出来ないな」
「ねえ、どうしてナミネはセレナールが犯人だと思うの?」
「私だけでなく、ラルクも落ち武者さんもそう思ってます」
私への疑いはなかったものの、ナミネはラルクを説得し続けた。けれど、ラルクはセレナールさんをこの先、愛することはないと折れることはなかった。

……

あとがき。

めちゃくちゃ具合悪くて集中して書けなかった……。
純愛偏差値 未来編 一人称版 29話

《ナミネ》

文化祭から数日後、ユナナさんがイヤガラセされた。
理由は、ナヤレス殿がセレナールさんに魅力を感じ、セレナールさんを襲っていて、裏切られたと思ったタリさんは、同級生の男に頼んでナヤレス殿が大切にしているユナナさんの人生を壊したらしい。

第2まで破られたユナナさんは、登校はしているものの、常に何かに怯え、頻繁に悲鳴を上げるようになったとか。
それだけではなく、原因がナヤレス殿にあると知ったユナナさんは、ナヤレス殿を『一生恨む』と言ったらしい。

一方でナヤレス殿は、大切にしてきたユナナさんが取り返しのつかない事態になり、酷く後悔している。

隣町の桜木町で起きている連続イジワル事件の犯人もナヤレス殿だった。ナヤレスの父親はパチンコで借金を作り、母親がパートで働いてやりくりしているそうだが、生活はかなり厳しいとか。それが限界で事件に繋がってしまったそうだ。

ユナナさんの件を知ってから、私も傷つき病んだ。
ヨルクさんは、私を心配して毎日ナノハナ家に来てくれている。

ちなみに、高等部2年3組の黒板にイタズラ書きした犯人はセナ王女に、カラルリさんと交際させてあげると言われ惑わされた女子生徒だったらしい。セリルさんが突き止めたと聞いている。

また、テンネさんはカラルリさんのフェアリーZ広場をブロックし、フェアリーチューブやブログなどの全てのネットサイトのアクセスを禁止したとか。原因はセナ王女が捨て垢からF938の画像を付けて毎日テンネさんに攻撃コメントをし続けていたかららしい。でも、セナ王女の苦しみに比べたら、この程度靴に砂がついたようなもんだよ。

どうして上手くいかないのだろう。
どうして誰もかれも悲しむのだろう。
どうして憎しみ合うのだろう。
どうして幸せになれないのだろう。
どうして幸せが壊されるのだろう。

「ナミネ、今日は何が食べたい?」
それでも、私にはヨルクさんがいる。ヨルクさんと幸せでいれば、他者なんてどうでもいい。
不必要なノイズなど入って来ないで欲しい。
私はヨルクさんにシチューのルーを渡した。
「シューが食べたいの?」
「イルカさん……」
「そっか、ナミネは食べてなかったもんね。今から作るね」
そう言うとヨルクさんは第4居間の隣のキッチンで料理をしはじめた。

ヨルクさんのハート型イルカのシチューは青緑で背景は星空みたいだった。私は嬉しくって写真に撮って、即カップル日記に投稿した。
『ヨルクさんが作ったハート型のイルカのシチュー』
私は他のメンバーの投稿も見た。

『カラルリが私のために料理を作ってくれた♡』
『カラルリとFメモリイ♡』
ここまで来るともう何だか見ていられない。この先、どうするのだろう、セナ王女。

『ラルクのために料理を作ったꯁꯧ』
『ラルクとFメモリイꯁꯧ』
セレナールさんて料理苦手そう。ラルク美味しく食べれたかな。

『いつも家事全般をしてくれるカナエ。
結婚したら本当にいいお嫁さんになりそうだ』
『アルフォンス王子からブレスレットをもらいました。
大切にするのです』
カナエさん、また高そうな宝石もらったんだ。カナエさん、家事のエキスパートだし、どこに嫁いでも恥ずかしくないもんね。

『ユメと公園でソフトクリーム食べた』
『クラフとチェスをした』
ユメさんと委員長、本当に幸せそう。

ヨルクさんの料理はいつも美味しい。美味しいからもっと食べたくなる。そして、とても幸せを感じるのであった。

ヨルクさんとのお風呂の時間もまた幸せ。
「ナミネ、誕生日にはユメさんの別荘でお祝いしてくれるの嬉しいね」
「あ、そのことなのですが、セナ王女とカラルリさんのこともありますし、天の川村から戻って来た兄のマンションでひっそりお祝いしてもらおうかと思ってるんです」
「えっ、そうなの?でも、セナ王女が後から知るとややこしそうだし、ユメさんに相談してみるね」
そう言うとヨルクさんはユメさんにメールをした。何通かやり取りをしているようだった。
うーん、やっぱりユメさんの別荘でお祝いしてもらったほうがいいのかな。セナ王女とカラルリさんや、カナエさん、アルフォンス王子を仲間外れにすることにもなっちゃうもんな。
「やっぱりユメさんも、ユメさんの別荘でお祝いしたほうがいいって言ってるよ。セナ王女に知られたら、後から仲間外れにされたって騒がれる可能性が高いからって」
「そうですか。では、兄には連絡しておきます」
「お兄様どこに住んでるの?転校してくるの?」
「ここから25分先のマンションに住んでいます。もう転校手続きは済ませました」
ナヤセス殿はナヤレス殿の双子の兄なのだ。生まれてすぐに生活のためにナヤセス殿は孤児院に入れられたと聞いている。天の川村では医学の研究員をしていたらしい。たまに手紙のやり取りをしていたがとても忙しい感じであった。ナヤセス殿は医者を目指していて、将来は月城総合病院で働くそうだ。
「どんな人なの?」
私はヨルクさんにナヤセス殿の写真を見せた。
「黒髪だけど、あまりナミネと似てないね」
「ナヤレス殿の双子の兄です。生まれてすぐ孤児院に入れられました」
「そうだったんだね……」
生活のためとはいえ、どうしてナヤレス殿ではなくらナヤセス殿が捨てられてしまったのだろう。そのことはまだ誰も知らない。けれど、ナヤセス殿は持ち前の知力でのし上がった。

お風呂から上がると、私とヨルクさんは、私の部屋でソファーに座りながらテレビを見た。その時、ラルクからメールが来た。
『カラルリ先輩のローンは携帯だけでなく、セナ王女がカラルリ先輩の携帯から5000万円分のブランドのバック買ったんだ!』
えっ……。それじゃあ、指輪買った時に戻っただけじゃない。カラルリさん、またバイトするのかな。
『カラルリさん、どうしてるの?』
『キクリ家でセナ王女に居座られて身動き取れなくなってる。カナエ先輩とアルフォンス王子もキクリ家にいるとか』
『もうセナ王女は誰にも止められないね』
『そうだな。あれだけのことされて黙ってる人間なんかいないからな』
同情は出来ないけど、せめて、セナ王女のお腹の子だけには手を出さないで欲しかった。あの日、誰かがキクリ家に行くのを止めていたら……。
「ナミネ、どうしたの?」
「ラルクからメール来たんですけど、カラルリさんローン5000万円超えたそうです」
「そっか。でも、あんなことしたんだし、死刑にならなかったことが不思議なくらいだよ」
「そうですね……」
仲間でも仲間じゃない。特に彼女の立場からしたら来世でも恨み続けるくらいのことだと思う。
夜も更け、私とヨルクさんは布団に入った。

私は少し寒気を感じていた。もうすぐ10月だからだろうか。
交際してみて思ったけど、ヨルクさんって積極的……。ヨルクさんの紅葉の香りがまた強くなった。私はヨルクさんの背中に腕を回し、何度もヨルクさんを好きだと言った。
「ナミネ、大丈夫?」
「何だか少し寒いです」
すると、ヨルクさんは押し入れから私の引き出しを開いてカーディガンを取り出し、私に着せた。
「ナミネ、風邪引かないでね」
「はい」
ヨルクさんは私を抱き締めた。私とヨルクさんは少し話をした後眠った。

9月30日。
ユメさんの別荘のパーティー会場では、多くの貴族が来ていた。
あっ、ナヤセス殿!私はナヤセス殿に駆け寄った。
「ナヤセス殿〜!」
「ナミネ、元気にしてた?」
「はい!」
「あ、あの、クレナイ家の次男のヨルクです。ナミネとは真剣に交際しています」
「えっ、ナミネ、彼氏いるの?」
「はい」
私に恋人がいるのってそんなにおかしいかな?私だって青春したいよ。
「ナミネ、幸せそうだね」
「とても幸せです。今日はナヤセス殿のマンションに泊まっていいんですよね?」
「いいよ」
「え、そうだったの?ナミネ、どうして早く言ってくれなかったの」
「みんなにも言ってません」
ナヤセス殿は、天の川村にいた時は、タワーマンションに住んでいたらしい。今では研究員のバイトで相当稼いでいるとか。確か落ち武者さんも在宅ワークしてたんだっけ。
セナ王女とカラルリさんもやっぱり来ている。何だか気まずいな。
「へえ、あんたがナヤレスの兄かよ!似てないな」
「ナヤセス殿とナヤレス殿は二卵生です。ナヤセス殿は医者になって月城総合病院で働く予定なんです」
「随分とご立派なものだな。後は彼女見つけるだけってわけか」
「僕は恋愛したことないし、誰かを好きになる暇さえなかったから、あまり想像つかないよ」
ナヤセス殿とナヤレス殿は二卵生で似ていないから、クラスでは双子だと気付かれてはいないみたい。ナヤセス殿はナヤレス殿のしたことや、ユナナさんという妹がいることを知ったものの、捨てられた以上、今更、弟とか妹とかそういうのは考えられないと言っていた。
「ナヤセス殿はクラスに馴染めましたかな?」
「うん、副委員長のセリルと仲良くなったよ」
セリルさんかあ。ナヤセス殿となら話も合いそう。
「セリルかよ」
「あ、ナヤセス殿、落ち武者さんはセリルさんの弟君なのですぞ」
「そうだったんだ。よく見たら似てるね」
「セリルみたいにはなりたくないけどね?」
その時、ラルクがこっちに来た。
「ナミネ、ミナクお兄様が来てる!」
ミナクさんか?どうして?ユメさんとはもうとっくに別れたんだよね?いったい何をしに来たのだろう。
「どうしてミナクさんが……」
その時、ミナクさんがパーティー会場の前に立ちマイクを持った。
「セナ王女、友達からでも構いません。私と真剣交際を視野に入れて頂けないでしょうか?」
えええええ!何この展開!
セナ王女は慌ててミナクさんの元に走った。
「交際は今からでいいわ!私、ミナクと付き合う!」
その瞬間、ミナクさんはセナ王女に跪いて、受付に預けていただろう50本の青い薔薇の花束をセナ王女に向けて持った。セナ王女は嬉しそうにミナクさんから花束を受け取った。
「セナ王女、一生幸せにします」
その瞬間、ユメさんがマイクを手に持った。
「本日は、ナノハナ家4女 ナミネの誕生日会にお越しくださりありがとうございます。とても、意外な展開になりましたが、カップルの誕生を祝福して頂けると嬉しいです。それでは、引き続きパーティーをお楽しみください」
そう言うとユメさんはマイクを元に戻した。
「甘えセナの野郎図ったわけか!」
「ねえ、ラルク、とりあえずセナ王女のところに行こう」
「そうだな」
私とラルクと落ち武者さんはセナ王女の元に走った。後からヨルクさんも着いてきていた。
「ユメさん、今更だけど、本当に悪かった」
「すぐには許せないけど、カップル日記もシェアするんだし、セナさんのこと思うと、こうなって良かったと思うわ」
すんなり和解している。って、カップル日記!?私は咄嗟にカップル日記を開いた。すると、セナ王女はカラルリさんとのカップル日記は退会していて、新しくミナクさんとはじめていた。

『ミナクから告白されて交際することになった。
50本の青い薔薇の花束。
素敵だわ』
これで良かったのだろうか。けれど、少なくともこれでセナ王女はカラルリさんを攻撃しなくなるだろう。

そんなカラルリさんはセナ王女のところに駆け寄った。カナエさんとアルフォンス王子も一緒だった。
「セナさん、考え直して欲しい」
「あら、私と別れたって言っていたのは誰かしら?」
「本気じゃなかった。今回セナさんは子供産めなかったけど、結婚後、子供のこと考えるつもりだった!セナさん、どうか別れないで欲しい」
そんなの今更遅いに決まってるじゃない。何考えてるの。
「は?甘えセナに中絶薬盛って流産させて、よくぬけぬけとそんなこと言えるな!」
「カラルリ、セナのことはもう諦めて欲しい!カラルリがあんなことするとは思わなかった!」
「セナさん、私は返しきれないローンも抱えてしまったし、テンネからはブロックされてしまった。けれど、セナさんだけは失いたくない!頼む、一度だけチャンスが欲しい!」
だったら、どうしてセナ王女のお腹の子殺したの!カラルリさんのしたのこって絶対許されない。私はセナ王女とカラルリさんが別れて良かったと思ってる。セナ王女の交際相手がミナクさんというのは心配だけど。
「カラルリ、幸せになってね」
「セナさん、待って!」
その瞬間、アルフォンス王子がカラルリさんを殴り付けた。
「セナは大きな傷を負ったんだ!どうしてセナのお腹の子を殺した!二度とセナに関わらないでくれ!」
「わざとじゃなかった。中絶薬なんて知らなかった!そそのかされた!」
「は?誰にだよ」
今更白々しい。死刑とまではいかないけど、それなりの罰は受けるべきだと思う。皇帝陛下もどうして不問にしたのだろう。今となっては分からないことだらけだよ。
考えていたら、ある女性が王室の武官に連れられて来た。
え?ルリコさん?
「この人かしら?ねえ、ルリコさん、あなた、私が妊娠してること知っててカラルリに中絶薬のこと話したのよね。いえ、盛れって言ったのよね」
「誤解でございます。カラルリ坊っちゃまから、初期の流産の方法はあるか聞かれ答えたまでです。セナ王女の妊娠も知らなければ、盛れなどと一切口にしていません」
カラルリさん専用の使用人なら何も知らないわけがない。セナ王女はカラルリさんに相応しくないと思って、カラルリさんに話したんだ。
「白々しい嘘ね!王室で確認済みよ!今すぐ、ルリコを王室に連行してくれるかしら?」
え、いったい何をするの?
「かしこまりました」
王室の武官たちはルリコさんを連れて行った。

「カナエ、メンバーの女子1人にルーレットで決めて、ウルクに私が体験したのと同じ体験させてくれないかしら?」
え、何言ってるの?
「分かりました」
その瞬間、ヨルクさんは携帯を取り出し誰かとメールをした。咄嗟に私はヨルクさんが何をしているのか自分の携帯から確認をした。すると、キクスケさんにメールをしていた。
『ナミネだけは助けてください』
『かしこまりました』
ヨルクさん……。でも、それだと私以外の誰かが傷付いちゃうよ。
「セナさん、どうしちゃったの?流石に度が過ぎているわ」
「冗談よ、ユメさん。カナエ、何もしなくていいわ」
「はい、セナさん」
「ねえ、セナさん、ちなみに実行するとしたら誰が良かった?」
どうしてそんなこと聞くの?セレナールさん。本当に実行していたら取り返しつかない事態になっていたのに。
「ナミネかしらね。傷付いたことないし、綺麗な身体のままだし、狡いわよね」
「そうね、セナさんの言う通りだわ」
セナ王女もセレナールさんも私が嫌いなんだ。とっくに私の敵に回っていたんだ。全く気づかなかったよ。
その瞬間、ラルクが2つの扇子を重ね合わせパチンと鳴らせた。
「セレナール先輩、次ナミネが傷付いてもいい発言をしたら別れます。セナ王女も、次はありません。セイさんのお母様に先程の映像をお見せします!」
「セナ王女、私からもお願いです。ナミネは妹同然の存在です。ナミネを傷付けないでください」
「僕も次やったら、甘えセナだけ転生させるから」
ラルク……ミナクさん……落ち武者さん……。
「ラルク、二度と言わない!」
「分かったわよ!ラルクもセルファも卑怯ね。ミナク、ただの冗談よ。本当にはしないわ」
その時、ヨルクさんが土下座をした。
「お願いです。ナミネへの罰なら全て私が受けます。ナミネだけは絶対に傷付けないでください」
ヨルクさん……泣いてるの?
「分かってるって言ってるじゃない。カラルリにされたこと思い出して思ってもないこと言っただけよ。本気にしないでよ」
私、セナ王女が分からない。あんな劇的な告白をされて幸せいっぱいだったのに。
私はヨルクさんを立たせた。

あーあ、私の誕生日会なのに、何だかいやな日になった。
私は零れる涙を何度も手で拭った。するとヨルクさんが、私に菜の花とかすみ草の花束を渡した。
「ナミネ、誕生日おめでとう」
「ヨルクさん……」
私は泣きながらヨルクさんに抱き着いた。

……

あとがき。

書いていたらとんでもない展開になってしまったので、一度修正しました。

それにしても、ナミネの誕生日会なのに、セナが飛び火を散らしている。カラルリもセナがまさかミナクと交際するとは思ってなかったみたいですね。

でも、セナはもうカラルリの元には戻らないだろう。
次はミナクと幸せになれるといいね。
純愛偏差値 未来編 一人称版 28話

《ヨルク》

セナ王女が流産した後……いや、図られた後、ナミネは酷くショックを受けていた。私は毎日ナノハナ家に行き、ナミネに料理を作った。

遠い前世からの運命だとか、交際当初の気持ちは一生変わらない、彼女がいれば如何わしいサイトも見ないとか、あれだけ散々言っていたのに、愛する彼女に中絶薬を盛るだなんて、人間のすることだとは思えなかった。

ナミネ、元気出して。
私は何があろうとカラルリさんと同じことはしないし、常にナミネのことを考えながら生きて行く。

その後、セナ王女とカラルリさんは別れるわけでもなく、曖昧な関係を続けている。もしかしたら、次はカラルリさんが復讐されるかもしれない。私はそんな不吉なことを考えていた。

今日は文化祭。
私はナミネのことが心配で交代時間にナミネのクラスに行った。
ハーフアップにして下ろした髪に、お手玉の着物にヒラヒラの白いエプロン。ナミネ、可愛すぎる。
「ヨルクさん〜!」
「ナミネ、体調は大丈夫?」
「はい」
ナミネは私を椅子に座らせメニューを渡した。
「じゃあ、たい焼きにするね」
「かしこまりました」
少しするとナミネは、たい焼きを持って来た。
「お待たせしました」
「ありがとう、ナミネ」
「もう交代の時間なので、他のところ見に行きませんか?」
「うん、そうする」
私は、たい焼きを食べるとナミネの手を繋いで他のクラスを回ることにした。

「あんたら、2人で抜け駆けかよ」
「ナミネとデートなの。落ち武者さん、邪魔しないで!」
「何言ってんだよ!甘えセナの様子見に行くんだよ!もうラルクと姉さんも向かってるぜ?」
そうだったのか。せっかくナミネとデート出来ると思ったのに。私は肩を落とした。
「落ち武者さん、やっぱり毒ですかね?」
「ま、不能にされたり?身体障害者にされる可能性もあるけどね?」
やっぱり、セナ王女はカラルリさんを逃さないつもりなのか。セナ王女の性格からして、やられっぱなしのままとは思えなかったが、やはり復讐は続くのか。

セナ王女のクラスに着くと、セナ王女とカラルリさんは仲良く手を繋いでいた。
「セナさん、大丈夫?」
「セナさん、無理しないほうがいいわ」
セレナールさんとユメさんはセナ王女を気遣っていた。ナミネはカップル日記を見ているのか?私も開いてみた。

『クラフとレストランデート』
『ユメの家、すっかり変わってる。
絶対に幸せにするから』
ユメさんとクラフは上手くやってそうだ。本当、ミナクお兄様と別れてくれて良かったと思っている。

『カラルリとFメモリイ♡』
『流産しちゃった私のために毎日気遣ってくれる優しい彼氏♡カラルリの子供産めなくてごめんね……』
カラルリさん、またカップル日記登録したのか?この間にもセナ王女はカラルリさんに攻撃を仕掛けているのだろうか。

『ラルクとFメモリイꯁꯧ』
『ラルクに手料理作った』
セレナールさんて、料理出来なかったのか。落ち武者さんの姉とは思えないな。

『ヨルクさんと見た流星群は悲しいほどに、たくさん星が降っていた』
『ヨルクさんが毎日ナノハナ家に来て作ってくれた料理たち』
ナミネ、元気出してね。私はナミネがいないと生きていけない。きっと、あの時みたいに後追い自殺してしまうと思う。

「なあ、セリル、あんたはどう思う?」
「どうもこうも、2人が決めることなんだよ。どんなに揉めても、どんなにいやなことされても、決めた道進んでいかなきゃいけないんだよ。セルファもね」
セリルさんは、あまり立ち入ったことはしないというわけか。
「あんた何悠長なこと言ってんだよ!今この瞬間にも毒盛られているかもしれないんだぞ?」
「仲間を心配する気持ちは分かるけど、決めるのはセルファじゃないよね?どんな結果になっても、それが結果なんだよ。あの時もね。どうしても回避したいなら、憎しみは生み出さないことかな」
結果……。でも、あんなものは、とてもじゃないけど、受け入れがたかった。憎しみだってセナ王女がカラルリさんを追い詰めたから、タイミング悪くカラルリさんがやってはいけないことをしてしまったわけで……。
「セリル、あんた使いもんになんねえな」
「はいはい、今日は文化祭だからそれに集中しようね」
あれっ、セリルさんって、どことなくナノハさんに似ている。心理学の集まりで会っているんだっけ。

あれは、私が2歳の頃だった。
私はナノハナ家の次女である(あの時は3女だった)ナノハさんに懐いていた。
『ナノハさん、抱っこ』
『はいはい、ヨルクは甘えん坊さんね』
ナノハさんは私を抱っこした。
『ミルクの時間』
『はいはい、今作るからね』
その後、ナノハナ家にいると小さな女の子がいた。
『ナノハさん、あの子は?』
『私の妹のナミネよ』
私はナミネを見た瞬間、凄く可愛いと感じた。
『可愛い』
『ヨルクはナミネと結婚したい?』
『結婚出来るの?』
『ヨルクが望めばね』
『結婚する!ナミネと結婚する!』
それから私は毎日のようにナミネに会いに行った。
『ヨルクしゃんは私のお婿しゃんですか?』
『うん、そうだよ!大きくなったら結婚しようね!』
『はい』
ナミネが眠っている時は私もナミネと同じ布団で眠った。
ある日、ナノハさんが私とナミネにアイスを買ってくれた。けれど、ナミネは私の分も食べてしまい、私は泣きじゃくった。
『ナノハさん、私のアイス、ナミネが!』
『こんな弱い男いりません!私は強い男がいいです!』
『はいはい、ナミネは仕方ないわね。ヨルクのアイスは今度買ってあげる』
懐かしい想い出だ。

「セレナールさんの花魁姿にみんな釘付けですな、ラルク」
「セレナール先輩は可愛いからな」
「胸の谷間が見えておりますぞ」
「高校生なんだから普通だろ!」
それにしても、少し露出が多い気がする。裾も短いし。カナエさんも花魁のコスプレか。
「カナエ、すっごく綺麗」
「嬉しいです、アルフォンス王子様」
一見仲の良い恋人に見えるのだが。それとも、私が勘繰りすぎだろうか。
その瞬間、セナ王女がカラルリさんの携帯を割った。
「あら、ごめん遊ばせ」
「セナさん、許して欲しい!携帯買い換えるたびに壊されたらローンも増えていくし、流石に耐えきれない」
「うーん、わざとじゃないのよね」
そういうパターンの嫌がらせか。でも、カラルリさんは人殺してるしな。同情は出来なかった。
「もう7個も壊されて、お金もないし、携帯がストップしてしまう。頼む、許して欲しい」
確か、現代の携帯は1つだいたい15万円くらいだっけ。7個だと、指輪買ったカラルリさんは、またローン地獄だ。
「カラルリと同じでわざとじゃないから、許してね」
「セナさん、もう別れているし、カップル日記も退会したいし、テンネのことも見たい」
「うーん、全部ダメかな」
そりゃ、あんなことしたんだもんな。許すはずないよね。永久に。その時、セナ王女はカナエさんに水をかけた。
「ごめん遊ばせ。気付かなかったわ」
「セナさん、本当にすみません。許してとは言いません。カナエは一生償います」
「セナ!カナエ巻き込むのやめて!次やったやら、協力しないから!」
「分かったわよ」
協力?何のことだ?
ナミネは私の手を引っ張ってセナ王女のところへ連れて行った。
「ナミネ、他のとこ行こっか」
「あんた何言ってんのさ。二次被害防がなきゃいけねーだろ」
「ナヤレス殿、なんですかな?」
ん?携帯でやり取り?何だろう。
「セレナールさん〜、ナヤレス殿が話あるそうなので、理科室行ってくれませんか?」
「分かったわ!行ってくるわね、ラルク」
凄くいやな予感がする。ナミネは何も知らないし……。それにしても彼女のタリさんも来てるのに、どうして堂々と呼び出すのだろう。
「ねえ、ラルク、このいちごパフェ一緒に食べようよ」
「そうだな、注文するか」
えっ、待って!私と食べてくれないの?ラルクはいちごパフェを注文した。私は少し拗ねながら、サイダーを注文した。
「なあ、カラルリ、何があったんだよ」
エミルさん……。カラクリ家には小さい頃行ったことあったっけ。
「いや、何でもない」
「何でもないのに携帯割るのか?」
「ねえ、ラルク、またバイト手伝う?」
「いや、やめとく。流石にキリないだろ」
「え、バイトって何?」
「それが、カラルリさんがセナ王女に3500万円のペアリング買った時に、みんなで深夜までバイトしてたんですよ」
「何だそれ。寝る時間ないじゃん」
セナ王女も、もう新しい人探したらいいのに。どうしてもカラルリさんに復讐しないと気が済まないのだろうか。でも、そうだよな。簡単には許せることではないかもしれない。
ん?周りが騒いでいる?
前を見ると、黒板に文字が書かれていた。
『カラルリはセナ王女を妊娠させ、中絶薬を持って無理矢理流産させた』
誰が書いたのだろう。
「カラルリ、本当なのかよ?」
カラルリさんはエミルさんの問いかけに答えなかった。
「セナさん、いい加減にしてくれ!」
「ヨルクさん、いい加減にしてください!」
「え、何?どうしたの?」
その時、誰かが教壇に立った。
「みんな静かにしてくれ。黒板にこれを書いたのは誰だ?」
「でも、事実っぽいし、書かれても仕方なくない?」
「カラルリって真面目そうに見えて、やることエグイな」
「私は事実かそうでないかを言っているのではない。書いたのは誰かと言っている。このクラスで騒ぎを起こすのはやめて欲しい」
委員長なのかな?頭良さそう。
「委員長、事実よ!」
セナ王女、やっぱり、どこまでも逃がさないのか。まるで、公開処刑。
「そうか、しかし私は書いた犯人を探している」
「僕が手伝ってやろうか?」
「セルファ、このクラスの問題だから口を挟むのはやめようか」
「セリル!あんたが何もしないから悪化してんだろうがよ!」
セリルさんも教壇に立った。その時、セナ王女はナミネとラルクが食べているパフェを持ったかと思うとカラルリさんにかけた。
「ねえ、ラルク、セレナールさん遅くない?」
「ちょっと遅いかもな」
「顔だけヨルク、行くぞ!」
え?行くって?
私は無理矢理落ち武者さんにクラスから出され、理科室に向かわせられた。

理科室の扉を開くとセレナールさんがナヤレスさんに襲われていた。落ち武者さんが近付こうとしたら、タリさんがナヤレスさんを蹴った。
「どういうことよ!連続事件のことも受け入れながら、ナヤレスのこと支えてきたのに!お金だって渡して来たのに!どうして、その女がいいのよ!」
「タリ、違う!転んだだけだ!」
「姉さん、とっとと行くぞ!」
落ち武者さんは、セレナールさんを連れて理科室を出た。私はナヤレスさんとタリさんを2人にしていいのか分からなかったが、巻き込まれたくないゆえ、理科室を出て、あのクラスに戻った。そして、私の選択は後に誤りだったと気づかさせられることになるのである。

数日後の学校からの帰り道、タリさんの同級生にユナナさんが屈辱されていた。

……

あとがき。

今回も悲しい話となりました。
妬みや恨みは人の人生を壊してしまうこともあるんですね。

ユナナは何も関係ないのに。
ちなみに、走り書き版では、温水プールである事情によって、みんながユナナを見捨てます。

悲しいことはいつまで続くのだろう。
きっと初代前世から……。
純愛偏差値 未来編 一人称版 27話

《ナミネ》

あれから、私たちはセナ王女の別荘に集まって、説得すると言っていたカナエさんは戻って来たけれど、カラルリさんは責任はとうそうだけど、別荘には来なかった。
カラルリさん、本当に責任取るのだろうか。私はそんなふうには思えなかった。でも、2人の問題だし、他人が疑っても仕方ないか。

夜になると、私はヨルクさんとお風呂に入った。私はヨルクさんにくっついた。ヨルクさんの紅葉の香り。とても幸せ。
「あの悪徳商法のシールは集められそうですかな?」
「そういう言い方良くないって言ったでしょ!もうナミネにフレンチトースト作らない!」
「ヨルクさん、意地悪はやめてください」
あの日から、ヨルクさんと恋人らしくなった気がする。ラルクもそうなのかな?ミナクさんもそうだけど、ヨルクさんも大人になるほどに身体がガッチリしてくる。今でも身長は高いほうだし。私と並んで歩いても、あまり似合わないと思う。
「ナミネとこは文化祭何するの?」
「大正ロマンメイド喫茶です。着物はナノハナ家のを使うことになりました」
「そうなんだ!絶対行く!私のクラスは不思議の国のアンナの模型を展示するよ」
「そうですか。では、私も見に行きますかな」
セナ王女のクラスもメイドカフェらしいし、やっぱり人気あるよね。セレナールさんのところは吉原の再現だとか。セレナールさんの花魁コスプレ綺麗だろうな。
「ヨウヘイさんは本当にヨシカさんを好きだったのですかな?」
私はまたあの質問をした。
「遅い初恋にどうしようもなくときめいて、ヨシカさんを見るだけで幸せで、毎日ヨシカさんに会いに行って、交際をする。それって尊いことだと私は思う」
そっか。ヨルクさんは、ヨウヘイさんのヨシカさんへの一目惚れを重視してるんだ。
「けれど、ヨウヘイさんはヨシカさんが襲われた時、何もせず突っ立って見ていましたぞ」
「ヨウヘイさんは現代で言うところの境界性人格障害だよね。私は病気だからって、人を愛してないとか、好きになる権利がないとかそんなふうには思わない。病気の症状でその場から動けなかったことが、好きでなかっただんて位置付けしたくないし、ヨウヘイさんが酷く傷ついたのはヨシカさんのこと本気だったからだと思う」
作者のダザフさんは境界性人格障害だったと言われている。可能性なだけで実際はどうか分からないけど。ヨルクさんの話を聞いていると、私がヨウヘイさんを差別していたのかな。でも、やっぱりおかしいって思ってしまうのは何故だろう。まるで、アルフォンス王子みたいに……。ううん、考えちゃダメ。
「ヨシカさんは美少女です。綺麗な人はみんなから好かれます。それは恋であって恋でないような気も私はするのです」
「ヨウヘイさんは恋だったと思う。ただ、綺麗だと思っただけなら、毎日会いに行ったりしないから!」
「そうですか」
私たちは、しばらく話すとお風呂を出てリビングに向かった。

けれど、私は突然あることを思い出した。
「私、荷物確認して来ます」
「私も行く!」
私とヨルクさんは3階の客室に向かった。

客室に入ると私はカバンを開いた。そして、ピルを取り出した。
「ナミネ、それ何?買ったの?」
「はい、今日から使います」
「ナミネは、こんなの飲まなくていい!ナミネの身体にも悪いんだよ?」
「でも、ヨルクさんには大学を卒業して欲しいです」
「そんなのどうでもいい!お願いだからこんなの飲まないで」
ヨルクさんは悲しそうに私を抱き締めた。ヨルクさんはやっぱり真面目。あれ、ヨルクさん……?
ヨルクさんの紅葉の香りが強い。私はヨルクさんの背中に腕を回し、何度もヨルクさんを好きだと言った。ヨルクさんは布団の中でしばらく私を抱き締めていた。
「ナミネ、飲まないでね」
「はい」
夕ご飯前なのに……ヨルクさん……愛おしい……。
私たちは、少しすると部屋を出た。

3階を歩いていると声が聞こえてきた。
セレナールさん……?
「ラルク、最近、何だか痛いのよ。どうしてかしら」
「セレナール先輩、しばらくやめましょう。それから病院には必ず行ってください」
「え、でも、ラルクと……」
「セレナール先輩、異変を感じているのに続けるのは良くありませんし、元に戻るまで絶対しません」
カップル日記には『毎日Fメモリイꯁꯧ幸せいっぱいꯁꯧ』って書いてあったのにな。痛いって何だか怖い。原因は何なのだろう。
「若い者はお盛んですなあ」
「ナミネ、行くよ」
歩いているとまた別の部屋から声が聞こえてきた。今度はカナエさん?
「カナエ、私はカナエの身体のことを心配している。カナエが妊娠したら必ず責任は取る。でも、ピルは生理周期を整えたり貧血が改善されたり大切な日の移動にも繋がる。だから、カナエの身体のためにも飲んで欲しいんだ」
「はい、アルフォンス王子様。カナエはアルフォンス王子様を信じています」
「じゃあ、2錠飲んでくれる?」
「はい、アルフォンス王子様」
え、あの市販のピルって、1回1錠じゃなかったっけ?どうして2錠も飲ませるの?カナエさんの身体が心配なら、そもそもピルなんか飲ませたりしないよ。
「ヨルクさん、あのピルは1回1錠です」
「ナミネ、気持ちは分かるんだけど、外野が色々思っても仕方ないよ」
「でも、本当にカナエさんのことを思うなら飲ませたりしません!」
「ナミネ、他所はよそなんだよ。少なくとも私はナミネに飲ませないし、避妊もするし、ちゃんと責任取るから。ナミネ、行くよ」
私はアルフォンス王子を疑ったまま、ヨルクさんに手を引っ張られ、リビングへと向かった。

リビングでは、ユメさんとカラン王子がセナ王女を慰めていた。
「セナお姉様、カラルリさんはセナお姉様を想っています」
「そうよ、あれだけ運命運命言ってたカラルリがセナさんを裏切るはずないわ」
その時、ラルクとセレナールさんが降りてきた。セレナールさんも落ち込むセナ王女を慰めていた。私はラルクに駆け寄った。そして、小声で伝えた。
「あのね、ラルク、カナエさん、アルフォンス王子からピルはカナエさんの身体のためにもなるから2錠も飲ませてたよ」
「ナミネ、それ誰にも言うなよ」
「完全アウトだね!もう愛もヘチマもないな」
「ナミネ、軽々しく広めちゃいけないでしょ」
ヨルクさんは私を連れ戻そうとするけれど、正直、今セナ王女付近に行きたくないんだよな。その時、セレナールさんが痛みを訴えた。ラルクはすぐに主治医を呼んだ。
原因は、カンジタと内部が炎上していて出血していたそうだ。免疫力の低下と言われていたけど、何かストレスになることでもあるのだろうか。
「ラルクのせいよ!ラルクがちゃんとしてくれないから!」
セレナールさん泣いてる。でも、ラルクのせいにされるのは何だかいやだな。
その時、カナエさんが料理を運んで来た。
「美味しそうだね、ラルク」
「そうだな」
セレナールさんは、無言でカナエさんに、料理をかけた。
「セレナール、何をするのです!」
「ねえ、セレナール、落ち着いてくれないかしら。私、カラルリのことで不安なの」
「ごめんなさい」
セナ王女が言うとセレナールさんは大人しくなった。セレナールさんも、病気でもないのに、騒ぐだなんて……。セナ王女のほうが抱えているものずっと大きいのにな。
もし、私がヨルクさんに責任とってもらえなかったら、やっぱり辛いと思うし、1人で生きて行くと思う。

夕ご飯を食べ終わり、みんなでセナ王女を慰めた後、私とヨルクさんは客室に向かった。
客室で私とヨルクさんはソファーの上でテレビを見た後、一緒の布団で色々語り合った。そして、ヨルクさんが私を抱き締めた時、私は生理が来て、慌ててトイレに駆け込んだ。

翌日、学校の後、私たちはキクリ家に寄った。カラルリさんがセナ王女のために手料理を作ってくれるそうだ。今日は幸い半日だったから、キクリ家で長く過ごせそう。
「ねえ、ラルク、カラルリさん機嫌治って良かったよね」
「本当にそうだといいけどな」
だよね。わざわざキクリ家に呼んだ時点で私も怪しいと感じていた。でも、カラルリさんはカナエさんと料理してるし、疑いすぎかな。
「あ、ヨルクさん、ナノハナ家でもそうですが、キクリ家でも、キョックやってるんですよ。昼ご飯食べたら体験行きませんか?」
「うーん、私には向いてないからやめとく」
「そうですか」
ヨルクさんが馬に乗っているところ見たいんだけどな。ヨルクさんは前世から武官向けではない。けれど、私はいつも美味しい料理を作ってくれたり、私を心の底から想ってくれるヨルクさんが好きなのだ。
「ヨルクさんは、トルスィーさんのアンリ・ルーカロスをどう思いますかな?」
「どんな理由があっても不倫は良くないよ」
「でも、アンリさんは恋を知らないまま結婚しました。アレキィさんに対する想いは止められなかったと思います!」
アンリさんは、恋愛をする間もなく家庭の事情でお金持ちのルーカロスさんに嫁いだのだ。
「うーん、でも、家庭を壊さないためには、心の中に秘めるべきだと思う」
「アンリさんはアレキィさんに強い恋心を抱いていました!家庭があっても求める心のほうが強かったんです」
「ナミネの言ってることは分かるけど、その後、アンリさんは幸せになれたの?」
私とヨルクさんが話していると、カラルリさんがセナさんの料理を持って来た。カナエさんは他のメンバーの料理を持ってきたのである。
「セナさん、愛情たっぷり込めて作ったよ。この前はごめんね。色々混乱してた。でも、セナさんを大切な気持ちは変わらない!」
「カラルリ……とても嬉しい……」
セナ王女、とても嬉しそうに食べてる。カップル日記を見るとセナ王女は
『妊娠した私のためにカラルリが作ってくれた愛情たっぷりの料理♡』
と書いていた。
「いいな、セナさん」
あの後、セレナールさんとラルクはどこかぎこちない。私とヨルクさんも写真を撮った。
「では、私も食べますかな」
あれ?これ何だか味が変。でも、みんな普通に食べてる。私の気のせいかな。私はお茶を飲んだ。
えっ、ピックティー!?
「食べちゃダメです!」
私は咄嗟に叫んだ。けれど、セナ王女は料理もお茶も完食していた。
「このクソ一目惚れカラルリ!やってくれたな!今すぐ甘えセナを月城総合病院に連れてくぞ!」
「何言ってるの?セナさんのために一生懸命作ったんだよ」
その瞬間、セナ王女は苦しみはじめた。
「お腹が痛い……助けて……」
落ち武者さんはセナ王女を背負い、タクシーを呼んで月城総合病院に向かった。

しかし、この日、月城総合病院は臨時休業だった。
図られた。
「他の婦人科行きましょう!」
みんなは他の婦人科へ向かった。セナ王女のお腹の子、どうか助かって。気がつくとヨルクさんが私の手を握っていた。
ヨルクさん……。

婦人科に着くとセナ王女の緊急オペがはじまった。みんなはセナ王女の胎児の無事をただただ祈り続けた。
1時間半が経つとオペは終わり、セナ王女は病室のベッドに移された。少しするとセナ王女は目を覚ました。
「痛い!痛い!」
セナ王女は悲鳴を上げた。
「残念ながら流産です。原因は不明ですが、しばらくは処方した薬を飲んでください」
そんな……どうして!どうして、カラルリさん!!
「あの、セナ王女はピックティーを飲んだんです!」
「ピックティーは飲み続けると流産のリスクが高いと言うだけで、今回の流産の直接な原因には考えにくいでしょう」
え、だったら、何が原因なの?周りを見ると、みんな驚いているけど全然悲しんでない……。どうして……?
「ピックティーの効果は即効性がないから、料理に中絶薬を入れたんだよ」
そんな……。酷すぎる。どうしてそんなことしたの?
「私は一生懸命セナさんと料理作ったし、ピックティーのことも知らなかった!それに私はカナエと一緒に作った!」
ダメだ、証拠がないと何も言えない。

翌日、白黒ハッキリ付けるために、落ち武者さんがビニール袋に入れたカラルリさんとカナエさんが作った料理を持って、みんなは月城総合病院に行った。

「中絶薬が含まれているね。無断で入れたなら、違法になるよ。昨日セナ王女が手術をした婦人科は、評判が悪いと言われてる。だから、しばらくは、ここで処方する薬を飲んでくれるかな?それと、言いにくいんだけど、もう妊娠は出来ないかもしれない。出来るだけ修復はしたけど、胎児を取り出す時にかなり子宮が傷付いてしまってたんだよ。とにかく、しばらくは激しい運動は避けて安静にして。最後に聞くね。どうしてこんなことしたのかな?」
「カナエ!何てことしてくれたんだ!セナさんの子供殺したんだぞ!」
もうみんな分かってるのに、どうして無駄な足掻きをするの?カラルリさん。
「カナエじゃありません!カナエは中絶薬なんて買っていません!」
「セナさん、ごめんね。カナエがカナエがセナさんの子供……殺したんだ……」
カラルリさんは嘘泣きをしていた。
「カラルリ、一度だけ聞くわ。本当に何も知らなかったの?カナエが入れたの?」
「うん、私は何も知らなかった。カナエがやった。カナナお姉様の指示だと思う」
「分かったわ」
「待ってください!カナエは何もしてません!」
セナ王女は大声でその場に泣き崩れた。こんなのあんまりすぎる。責任取りたくないならそれはそれで、セナ王女1人が産んだらいいじゃない。どうして、わざわざ殺すの?
「どうしてですか!どうしてセナ王女の未来を奪ったんですか!」
「カナエ!一生償え!セナさん、許して欲しいとは言わない。別れて欲しいなら別れる。本当にごめん……」
「カナエは本当に何もしていません!お兄様、どうして中絶薬など入れたのですか!」
「あのさ、セナのこと何だと思ってんの?中絶薬?ふざけんな!セナのお腹の中の子はちゃんと生きてたんだ!それを殺すなんて、許さない!今すぐお父様に報告する!」
アルフォンス王子は、王室に電話をかけた。ヨルクさんはまた私の手を握っている。
「今、セリルにカナコに会うよう連絡した。どっちか知らないけど、一度死んでみろ!」
「ナミネ、今夜は流星群だよ。一緒に見よっか」
「ヨルクさん……」
私はヨルクさんに抱き着き、ひたすら泣き続けた。そして、その夜は流星群をヨルクさんと見た。流れ星はいっぱい流れた。まるでセナ王女の悲しみの分だけ。

数日後、キクリ家ではカラルリさんとカナエさんの拷問が行われ、中絶薬を料理に混ぜたのはカラルリさんであることが分かった。カナコさんは国王に何度も謝罪したものの、国王は許さず、カラルリさんに死罪を言い渡したものの、皇帝陛下が不問にした。

カラルリさんはセナ王女を慰めるどころか、チューリップ妖精さんのテンネさんに毎日コメントをし、セナ王女はカラルリさんの携帯をまた真っ二つに割った。

けれど、セナ王女が流産した子は二度と戻ってくることはなかった。

その後、カラルリさんはカップル日記を退会していた。

……

あとがき。

走り書きでは、セナは妊娠していなくて、別の登場人物が妊娠しています。

中絶薬を料理に混ぜる。
現実でそんなことがあったら恐ろしいですね。

カラルリはどうしてそんなことをしたのだろう。
セナとは運命なのではなかったのだろうか。

今回の話は私も書いていて悲しくなりました。
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