日常のこととかオリジナル小説のこととか。
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ashita
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女性
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地主(土地貸してます)
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漫画やアニメを見るのが好きです。最推しはフーディーニ ♡
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ブログ、もう書かないと思ってました。
けれど、去年から書き始めた小説によって、過去に書いてた小説も書き始め、ここに載せることにしたのです。
小説は、主に『時間と時間を繋ぐ恋の物語』と『妖精村と愉快な仲間たち』をメインに書いています。
現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。
純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。
元々このブログは病気の記録用として立ち上げたものですが、小説載せるようになってからは、ここは出来るだけ趣味的なことを綴りたいと思っております。
病気の記録や様々な思いを綴るブログは移転済みなのです。
ただ、今は日記は個人的な徒然、或いはお知らせとして綴ることが多いかと思います。
小説、ぼちぼちマイペースに書いてゆきます。
よろしくお願い致します。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
お知らせ。
イラストは現在「ナノハナ家の日常」に載せております。サイドバーにリンクあります。
また、「カラクリよろずや」にて無料のフリーイラスト素材配布もはじめました✩.*˚
フリーイラスト素材も増やしていく予定です(*'ᴗ'*)
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
模倣・無断転載などは、ご遠慮ください。
ブログの小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
小説・純愛偏差値に関しましては、武家名・貴族名(程度による) / 及び、武官の階級 / 扇子・羽子板・花札・百人一首・紙飛行機などのアイテム使用方法の模倣の一切を禁じております。
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X @kigenzen1874
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小説は、主に『時間と時間を繋ぐ恋の物語』と『妖精村と愉快な仲間たち』をメインに書いています。
現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。
純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。
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〈資格履歴〉
2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2010年02月10日
→セルフ・カウンセリング
ステップ2 合格
2011年05月28日
→セルフ・カウンセリング
指導講師資格審査 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年01月20日
→鉛筆デッサンマスター 合格
→絵画インストラクター 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
→茶道アドバイザー 合格
→お点前インストラクター 合格
2025年04月17日
→着物マイスター 合格
→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
→サイキックアドバイザー 合格
→サイキックヒーラー 合格
2025年07月01日
→アンガーカウンセラー 合格
→アンガーコントロール士 合格
2025年08月04日
→漢方コーディネーター 合格
→薬膳調整師 合格
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〈資格証明バナー〉

2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2010年02月10日
→セルフ・カウンセリング
ステップ2 合格
2011年05月28日
→セルフ・カウンセリング
指導講師資格審査 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年01月20日
→鉛筆デッサンマスター 合格
→絵画インストラクター 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
→茶道アドバイザー 合格
→お点前インストラクター 合格
2025年04月17日
→着物マイスター 合格
→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
→サイキックアドバイザー 合格
→サイキックヒーラー 合格
2025年07月01日
→アンガーカウンセラー 合格
→アンガーコントロール士 合格
2025年08月04日
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→薬膳調整師 合格
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〈資格証明バナー〉

純愛偏差値 未来編 一人称版 65話
《ナミネ》
カンザシさんから共演して欲しいと言われたドラマのパンフレットを見て、ふと思い出した。
その昔、舞台女優の演技中に名場面があり、観客席はファンの客で埋まっていた。しかし、それを違法と見なした当時の皇帝陛下は妖精村警察に舞台会場に張り付かせた。警察が見張る中、舞台女優はいつものように演じたが、あるシーンが近付くと観客席から、いくつもの叫び声がコダマした。舞台女優を純粋に応援する男性は逮捕されて欲しくなかったのだ。けれど、舞台女優は逮捕されると分かっていても演じてしまったのだ。その舞台女優は現行犯逮捕となった。
私は、何故それ式のことでその舞台女優の人生が奪われなければならなかったのか苛立たしく思った。現代だって、ドラマや映画でリアルな名場面を演じていたり、第3を喪失し撮影中に命を落としている女優だってそれなりにいる。無論、第3を喪失させた関係者は警察に捕まっているが。
私はこの制度自体がおかしいと感じている。女優にだってプロ意識がある。その作品で、そうしたいと感じたのなら、そうさせてあげるべきだと思う。何故法律は個人の自由を奪うのか、この時の私は理解が出来なかった。
大晦日になるとズームさんとミネルナさんが帰ってきた。ナノハナ家では正月をいつものメンバーで過ごすため、メンバーは既に集まっていた。ズームさんはみんなにお土産を渡すと私を客間に連れて行き、当時のミドリお姉様のことを調べた結果、ある真実が明らかになったと私にある映像を見せた。
映像は、ミドリお姉様が突然死した日のものだった。
ミドリお姉様が放課後、変える準備をしていた時、ナクリお姉様が理科室でガラの悪い同級生5人にお金を渡していた。
『少しだけミドリにイタズラしてくれないかしら』
『けど、姉なんだろ。流石に出来ないわ』
ナクリお姉様はカッターナイフをガラの悪い同級生1人に突き付けた。
『少しイタズラしてって言ってるの』
『わ、分かった。回して第1だけ喪失させればいいんだな』
話がつくと、ナクリお姉様は理科室を出た。
ミドリお姉様は、友達との下校中、5人のガラの悪い同級生5人と遭遇した。ミドリお姉様の友達はミドリお姉様に『助けを呼びに行くから時間を稼いで欲しい』と言って4人揃って逃げて行った。
そこへナクリお姉様が現れた。
『助けて、ナクリ』
『コンビニ行ってからまた来る』
ナクリお姉様は一旦その場を離れた。けれど、ものの数分だった。ミドリお姉様はガラの悪い同級生5人にイヤガラセされた。ナクリお姉様は少しイタズラして欲しいと言っていたのに、ガラの悪い同級生は興奮し、第2を破り、最後の人が第3を破った。
そうとも知らないナクリお姉様は現場に戻った時、ミドリお姉様は無惨な姿で亡くなっていた。怖くなったナクリお姉様はその場から逃げた。
そして、何事もなかったかのようにナノハナ家で普通に過ごしていた。その夜、ナノハナ家ではミドリお姉様のお通夜が行われた。
映像はそこで途切れていた。
本当の犯人はナクリお姉様だったなんて……。私は涙が止まらなかった。そして、涙が止まらないまま、私は第1居間に走った。
第1居間にはナノハお姉様もいたが、私はナクリお姉様にズームさんからもらった映像を見せた。
「私、絶対ナクリお姉様を許しません!今は普通に暮らせていても、時がそれを許さないでしょう!必ず報いの受ける時が来ます!」
私は泣きながらナクリお姉様に訴えた。
「待って!死ぬだなんて思ってなかった!私だってピアニスト目指してた!でも、ミドリのほうが才能があって私には才能がなかった。それが悔しくて、少しミドリに痛い目にあってもらおうと思っただけ!死ぬなんて本当に思ってなかった!許して!」
たかがピアニストという夢が叶わないからってミドリお姉様を亡き者にしただなんて本当に許せない!
「ナクリお姉様は人間ではありません!バケモノです!これはいつか公になってナクリお姉様の結婚生活が破綻するでしょう!」
悔しくて悔しくて人の命を奪ったナクリお姉様が穢らわしくて、私はナクリお姉様の脇腹を数回蹴った。
「ナクリお姉様、最低ね。これ、世間に公になったら、あなた、タダじゃ済まないよ」
「ナノハ、私は死なせるつもりはなかった!」
今この場でナクリお姉様を殺してしまいたい!けれど、こんなことをして許されるはずがない。仲の良い姉妹だと思っていたのに。そんなのは表面上で、ナクリお姉様はミドリお姉様への劣等感を抱え続けた挙句、ミドリお姉様を殺めてしまった。表と裏は違う。どんなに仲良しに見えても裏では人は何を考えているか分からない。私はミドリお姉様を亡き者にしたナクリお姉様を恨みながら扇子でナクリお姉様を強く吹き飛ばし、泣きながら第1居間を出た。
第4居間に戻ると、みんな既に支度をしていた。
今日は大晦日だというのに女神の湖に行く日なのだ。
「ナミネ、どうしたの?」
「何でもありません」
この日は、ズームさんがカンザシさんも行く必要があると判断し、ナヤセス殿、ナルホお兄様も行くことになった。
ヨルクさんは私に新しいコートを着せた。
「ありがとうございます、ヨルクさん」
ヨルクさんは、私はオレンジ系が似合っているからと、淡いオレンジのワンピースコートを買ってくれたのだ。
女神の湖に行く途中の電車の中では、カナエさんとアルフォンス王子が仲違いしたままだった。カナエさんは、昔のアルフォンス王子が見知らぬ女性とホテルに行ったことが堪えたらしい。
ミナクさんはアヤネさんを軽蔑しているし、セナ王女はカラルリさんを軽蔑していた。
女神の湖に着くとズームさんが時間を遅らせた。
気温はわりと温かく私はコートを脱ぎ捨てた。それにしても女神の湖なだけに、湖には数名の女神が水浴びをしている。女神はどの人も古代のような簡易的な布を身体に巻いていた。けれど、1人だけ貴族のようなドレスを着ている。
「ナミネさん、あの緑の髪の女神があなたとカンザシの実の姉ですよ」
私とカンザシさんの実のお姉様……?私とカンザシさんは緑の髪の女神に近付いた。
「あの、ナミネですが、私とカンザシさんのお姉様なのでしょうか?」
私は信じられないながらも話しかけた。
「久しぶりね。そうよ。私がナミネとカンザシの実の姉のナミザ。何世紀もあなたたちの実の姉だった。でもそれは、ここにいる間だけ。転生すれば他人になるわ」
「そうですか。ナミザお姉様は、どうして女神になったのですか?」
「女神になったのは妖精村に入ってからだけど、辛かったのよ。綺麗な容姿に生まれてこなかったことが。何度もあなたを羨みそして妬んだわ」
今の容姿と人間時代の容姿は違うのか。はじめて会うけれど、私とカンザシさんだけの姉なのか。
「どうして私とカンザシさんだけのお姉様なのですか?」
「遠い遠い大昔、あなたとカンザシは兄妹だった。あなたとカンザシはナノハナ家の父親が実の父親だけど、私はロメルカーター伯爵家の両親の娘だったわ」
父親違いの姉妹だったのか。その時、年配の男性が女神の湖に入って、女神たちを触りはじめた。この人誰だろう。
「おい、エロじじい!あんた誰だよ!」
「僕は妖精村の神様のダンゴロだけど?」
神様?この人が?
「神様って何なんだよ!ここにいる女神はあんたが支配してんのかよ!」
「神様だからその名の通り何でも出来るよ。妖精村を破壊することもね。ここにいる女神はみんな人間時代は貧しい娼婦だった。そんな暮らしを抜け出したい者をここに連れて来た。もちろん僕と交際前提でね。ここに来たばかりの女神はみんな純白だったよ。けれど、ミナコだけが未だに許してくれないんだよね」
ミナコさん……。もしかして、あのドレスを着た人だろうか。ダンゴロさんは湖から出て来た。そして、ヨルクさんにカードを渡した。
「ここに来た記念にあげる」
「あの、これは……」
「神様呼び出しカードだよ。僕を呼び出せば君の願いを聞く。けれど、聞ける願いは力量によるから聞けないのもあるけどね」
神様呼び出しカード!?私やラルクのほうが力量は上なのに、どうしてヨルクさんだけもらえるの?
ていうか、ここに来てからミナクさんもアルフォンス王子もカラルリさんも女神のことやたら見てる?何だかまた揉めそうでやだな。
ダンゴロさんはまた湖に入って1人の女神の布を外して抱き着いた。女神も人間界で貧しい暮らしをするより、ここで豊かな暮らしをしていたいのだろうか。
「エロじじい!なんでヨルクだけが、あんた呼び出せるカードもらえるんだよ!」
「まあそれはともかくとして、ナミネ。君が望むならミドリを人間界に連れて行っていいよ。人間界に行けば、本来の年齢に戻るけどね。既にナノハは恋人のズルエヌを人間界に連れて行ったよ」
えええええ!スルエヌさんってもしかしてズームさんのお兄様!?そんなことより、ミドリお姉様がもう一度人間界で生きることが出来るの?それなら何としてでもミドリお姉様を説得しなければ!
「あの、ミドリお姉様は今どこにいますか?」
「あの通路を通れば天界。転生してない死者が暮らしてる。そのどこかにいるよ」
「分かりました。ありがとうございます!」
私は天界に続く通路へと走った。
通路を抜けると賑わった街がそこには存在した。家は古民家風だけど、レストランやカフェ、市場、美容院などお店もしっかりある。ここが天界なのか。ミドリお姉様はどこにいるのだろう。
「ナミネ、ミドリお姉様は2ブロックの2-3にいるって」
「ナルホお兄様!」
私はナルホお兄様と2ブロックの2-3へ走った。
古民家に近付こうとしたら、ミドリお姉様が家から出て来て洗濯物を干していた。
「ミドリお姉様!」
「ナミネ、ナルホ。久しぶりだね。元気にしてた?」
あの頃から少しも変わらない優しい雰囲気。
「ミドリお姉様をあんな目にあわせたのはナクリお姉様だったんです!神様のダンゴロさんが、もう一度ミドリお姉様が人間界で暮らせるチャンスを与えてくれています!今すぐ人間界に行きましょう!」
私は何となくミドリお姉様が行かない気がして焦っていた。
「そっか。ナクリもピアニスト目指していたけど、いつも機嫌が悪そうだったな。でも、私はナクリを恨んでないよ。人間界かあ。懐かしいけど、今の暮らしとっても幸せだから戻りたくないな」
やっぱりミドリお姉様はここにい続けるつもりなのか。どうやって説得したらいいのだろう。
「ミドリお姉様が逃げたい気持ちは分かるけどさ。ピアニスト目指してたんだよね?今人間界に戻るチャンスを捨ててしまえば後悔すると思うよ」
「そうかもしれないねえ。でも、私は今がいいんだよ」
ミドリお姉様は十分に傷付いた。ナノハナ家には戻りたくないだろう。でも、今連れて帰らないとミドリお姉様はピアニストになれなくなってしまう!
「そんなのただのエゴです!傷つきたくないからずっと平和なところにいたいだけでしょう!でも、それで何か得られますか?いずれここにいる人は皆転生していきます!そんな中、今の暮らしにずっと逃げていたら、いずれ後悔するのはミドリお姉様です!人間界で幸せになろうと思えないのですか?あなたは現実に打ち勝つ心を捨てたのですか?」
私はここに留まって逃げ続けるミドリお姉様にもミドリお姉様を連れ戻せない自分にも苛立っていた。
「そうだね。でも、私は私だから。誰かと比べて生きたりせずマイペースにやっていきたいの」
「それが逃げだと言ってるんです!現実と向き合わないで何と向き合うんですか!ほら、ちゃんと現実見てください!これがあなたの最後の姿です!」
私はミドリお姉様に亡くなった時の写真を見せた。するとミドリお姉様は泣き崩れた。
「やめて!今でも怖いの!どうしてこんないやがらせするの!私だって夢を叶えたかった!でも、死んだ身でどうしろって言うの!」
「お言葉ですがミドリお姉様が死んでナノハナ家がどれだけ不幸になったか。私はあれから酷い悪夢を見るようになったし、あなたの死んだ姿見た時は冷静さを失いました。あなたがここにいるということは生きている人間にあなたの死を全て抱えさせるということです!こっちこそ、そんないやがらせするのやめてください!ほら、ちゃんと現実見てください!」
私はミドリお姉様の最後の写真をミドリお姉様に握らせた。死んだ人間の人生はそこで終わるけれど、残された者は、死んだ人の悲しみを背負って生きていかないといけない。まるで今のミドリお姉様は自殺者みたいだ。自殺したその家族も現実を受け入れられず立ち直れないほどの苦しみを抱きながら生きていかなければならない。言ってしまえば自殺というのは、家族にその後の人生も不幸も丸投げし擦り付ける行為だ。私はそんな無責任な人を許せない。どんなに辛くても苦しくても生きないと他者を深く傷付ける。時には家族の人生そのものを奪い取る。後追い自殺だってある。そんなの間違っている。
「お願い、そっとしといて!もう戻りたくないの!今でもあの時のこと苦しみ続けてる!ここにいたいの!」
本人が1番辛い。そんなの分かってる。でも、逃げて次に苦しむのはその家族だ。けれど、自分の人生は自分が責任を持って生きるべきだと思う。苦しみを家族に丸投げしてもその人は幸せにはなれない。私は自殺もミドリお姉様の生き方も100%悪いとは言わない。ただ、この世に生きたからには1%だけでも自分の人生に責任を持って欲しいのだ。無論、自殺者もミドリお姉様も十分に苦しんだ上での判断。それを他者がどうこう言っても仕方ない。それでも私はミドリお姉様が亡くなって自分を破壊し死んだように生きた。私とて十分に苦しんだのだ。
「ねえ、ミドリお姉様は本当にここにいることが1番いいのかな?絶対後悔しないと言い切れる?今人間界に戻ればもう一度ピアニストを目指せる。でも、ここにい続ければ、人間界で日々訓練している人にどんどん差をつけられてしまうよね。無理に戻ろうとは言わない。でも、このままで本当にいいのかな?ナクリお姉様をそのままにしていいのかな?夢を放棄してそれでいいのかな?絶対に後悔しないなら僕は何も言わないよ」
後悔するに決まってる。今、また夢を置い続ければ成功するかもしれない。でも、何もしないで、ずっとここにいれば、いつか何もしなかった自分を責めることになりうる。
「分からない。どうしたらいい?私、置いていかれたくない。もう一度ピアニストを目指したい……。ピアノが弾きたい……。でも、あの日のことが頭にこびりついてどうしたらいいか分からないの!」
「頭にこびりついているってことは、少なくとも許せてないってことだよね。ミドリお姉様は許したフリをし続けて自分を誤魔化してたんじゃないかな?許せないなら許せないと本人に堂々と言うべきだと僕は思うよ。ピアニストになりたいなら目指すべきなんじゃない?この先は自分で考えてくれるかな」
私もナクリお姉様含め、ミドリお姉様を殺めた人は許せない。けれど、ミドリお姉様本人が逃げたままだと、ナノハナ家は不幸の塊だ。不幸を家族に丸投げするのではなく、ちゃんと自分の人生自分で向き合って欲しい。
「分かった。もう一度だけピアニストを目指してみるよ」
ミドリお姉様……。
「そっか。じゃあ、友達に別れを告げて一緒に人間界に戻ろうか。ナミネ、僕はミドリお姉様を連れて行くからナミネは旧友から昔話でも聞くといいよ」
昔話か。確かに、忘れていた過去を聞くことが出来るかもしれない。
「分かりました。時間以内には戻ります」
ナルホお兄様はミドリお姉様を連れて行った。
私が天界をが歩いていると遥か昔の旧友だろう人が現れた。
「ナミネ?」
誰だろう、全く思い出せない。
「えっと、どちら様でしょうか?」
「学生時代のアルタよ。今もヨルクと付き合っているの?」
「ヨルクさんを知っているのですか?生きていたのはいつですか?ヨルクさんが私に渡したものとか覚えてますか?」
「天使村初期よ。ヨルクがナミネに何を渡していたかは分からないけど、2人が仲違いした日、ヨルクは紅葉橋でナミネを待っていると言ってナミネを何時間も待ち続けてた。でもナミネは現れなかった。その日は途中から雨が降って、それでもヨルクは18時から3時までナミネを待ち続けたわ」
そんな……。私はヨルクさんを紅葉橋に1人にしてしまっていたのか。
「その後どうなりましたか?」
「次の人、風邪で欠席したヨルクの家にナミネが行って仲直りしたわ」
私は涙が零れていた。
「どうして仲違いしたんですか?」
「ヨルクが学年のマドンナと仲良くしていたからよ。それに嫉妬したナミネはヨルクと別れると言い出してナミネの言葉を真に受けたヨルクは紅葉橋で待っているって花束を持ってナミネを待ち続けたのよ」
ヨルクさん、私が来ると思ってずっと待っていたんだ。それなのに、私行かなかっただなんて……。
「そうですか……あの、他に私を知っている人はここにいますか?」
「そうね、天使村初期の終わり頃の学友が2ブロック先にいるわ」
「ありがとうございます」
私は走り出した。
そして、かつての学友に声をかけた。
「あの、私を知ってますか?」
「かなり久しぶりね。ここで会えるとは思わなかった」
「私とヨルクさんの昔話が聞きたいです」
「そうね、ナミネとヨルクは誰が見ても羨むカップルだったわ。でも、2人が婚約した日、2人は仲違いしてナミネはヨルクと別れると言い出したの。ナミネは婚約したのにヨルクが相談で他の女性と会っていたことに嫉妬したのよね。ヨルクは時間を指定して紅葉橋で待っているとナミネに伝え花束を持ってナミネを待ち続けたけどナミネはなかなか現れなかったの。ヨルクが帰ろうとした時、ナミネが紅葉橋に来てヨルクに抱き着いて2人は無事に仲直りしたわ」
そして、その後も私は自分を知る人の元に次々に聞き込みに言ったのだ。みんな、ヨルクさんと私が仲違いした時は、必ずヨルクが時間指定して紅葉橋で待っていると言って花束を持って待っていたけど、嫉妬してすぐにヨルクさんを許せなかった私はヨルクさんを紅葉橋で何時間も待たせた後、紅葉橋に行きヨルクさんと仲直りしていたと言っていたのである。また、ヨルクさんとの結婚後は私はヨルクさんに近づく女性がいればすぐに嫉妬してヨルクに離婚届と共に別れ話を切り出して、その度にヨルクさんはナミネに話し合いを求め、数日後仲直りすると毎回ヨルクさんは菜の花とカスミソウの花束をナミネに渡していたと言っていたのだ。
そして、妖精村時代は天使村時代とは違って私は長い髪を2つに分け三つ編みにしていて、ヨルクとのデートをいつも楽しみにしていたけど、最後のデートの後、ヨルクさんは私に時間指定して紅葉橋で菜の花とカスミソウの花束と婚約指輪を持って私を待ち続けていたと言っていた。けれど、私は紅葉橋には行かず、ヨルクさんは何日も泣いたそうだ。
また、別のエピソードとしては、結婚後、レストランで学友と会っていたヨルクさんを私が見た時、学友がヨルクさんの手を握っていて私は問い詰めたがヨルクさんはそんな関係ではないと何度も否定したものの、私は酷くショックを受け他の男性と関係を持ってしまい、ヨルクさんは許したものの私はヨルクさんを責め続け心を病み入退院を繰り返していたらしい。私の入院中はヨルクさんは毎回私に会いに行き、菜の花とカスミソウの花束を病室に飾っていたそうだ。
そして、私がどれだけヨルクさんの浮気を疑いヨルクを責め続けてもヨルクさんは私を愛し1度も浮気しなかったと学友は私に話してくれた。
それから、ヨルクさんが現世での副委員長である当時の学友から一方的に口付けされていた時は私は泣きながらヨルクさんに別れると言い離婚届を突き付け2週間、社交界で出会った男のマンションに泊まり関係を持っていてヨルクさんが迎えに来て私は帰ったらしい。
学友によると私が落ち着いている時は、ヨルクさんの休日にはヨルクさんとのデートを楽しみ私は常にヨルクさんにくっついて嬉しそうに過ごしていたとも言っていた。ヨルクさんは家事と仕事を両立させながら私を養っていたらしい。私に子供が出来た時、私は酷いうつ病にかかりヨルクさんが家で出来る仕事を見つけ、私の看病をしながら仕事と家事、育児をしていたとか。
誰に聞いてもヨルクさんは生涯私だけを愛し私の入院中も私がヨルクさんに手をあげた時も私が浮気をした時もヨルクさんは私を責めずひたすら私だけを愛し続けていたと言っていたのである。
私は泣きながら天界を走った。
私は自分勝手にヨルクさんを傷付け続けていた。待たせ続けていた。泣かせ続けていた。いっぱい酷いことをしたのに、ヨルクさんと交際する資格なんかないのに、現代で私はヨルクさんを再び愛してしまった。こんな私だけどヨルクさんを手放したくない。
もう二度とヨルクさんを待たせない!
私は石に躓いて転んで泣き続けた。
……
あとがき。
昔の舞台も色々ありますね。
大昔のナミネ……。
《ナミネ》
カンザシさんから共演して欲しいと言われたドラマのパンフレットを見て、ふと思い出した。
その昔、舞台女優の演技中に名場面があり、観客席はファンの客で埋まっていた。しかし、それを違法と見なした当時の皇帝陛下は妖精村警察に舞台会場に張り付かせた。警察が見張る中、舞台女優はいつものように演じたが、あるシーンが近付くと観客席から、いくつもの叫び声がコダマした。舞台女優を純粋に応援する男性は逮捕されて欲しくなかったのだ。けれど、舞台女優は逮捕されると分かっていても演じてしまったのだ。その舞台女優は現行犯逮捕となった。
私は、何故それ式のことでその舞台女優の人生が奪われなければならなかったのか苛立たしく思った。現代だって、ドラマや映画でリアルな名場面を演じていたり、第3を喪失し撮影中に命を落としている女優だってそれなりにいる。無論、第3を喪失させた関係者は警察に捕まっているが。
私はこの制度自体がおかしいと感じている。女優にだってプロ意識がある。その作品で、そうしたいと感じたのなら、そうさせてあげるべきだと思う。何故法律は個人の自由を奪うのか、この時の私は理解が出来なかった。
大晦日になるとズームさんとミネルナさんが帰ってきた。ナノハナ家では正月をいつものメンバーで過ごすため、メンバーは既に集まっていた。ズームさんはみんなにお土産を渡すと私を客間に連れて行き、当時のミドリお姉様のことを調べた結果、ある真実が明らかになったと私にある映像を見せた。
映像は、ミドリお姉様が突然死した日のものだった。
ミドリお姉様が放課後、変える準備をしていた時、ナクリお姉様が理科室でガラの悪い同級生5人にお金を渡していた。
『少しだけミドリにイタズラしてくれないかしら』
『けど、姉なんだろ。流石に出来ないわ』
ナクリお姉様はカッターナイフをガラの悪い同級生1人に突き付けた。
『少しイタズラしてって言ってるの』
『わ、分かった。回して第1だけ喪失させればいいんだな』
話がつくと、ナクリお姉様は理科室を出た。
ミドリお姉様は、友達との下校中、5人のガラの悪い同級生5人と遭遇した。ミドリお姉様の友達はミドリお姉様に『助けを呼びに行くから時間を稼いで欲しい』と言って4人揃って逃げて行った。
そこへナクリお姉様が現れた。
『助けて、ナクリ』
『コンビニ行ってからまた来る』
ナクリお姉様は一旦その場を離れた。けれど、ものの数分だった。ミドリお姉様はガラの悪い同級生5人にイヤガラセされた。ナクリお姉様は少しイタズラして欲しいと言っていたのに、ガラの悪い同級生は興奮し、第2を破り、最後の人が第3を破った。
そうとも知らないナクリお姉様は現場に戻った時、ミドリお姉様は無惨な姿で亡くなっていた。怖くなったナクリお姉様はその場から逃げた。
そして、何事もなかったかのようにナノハナ家で普通に過ごしていた。その夜、ナノハナ家ではミドリお姉様のお通夜が行われた。
映像はそこで途切れていた。
本当の犯人はナクリお姉様だったなんて……。私は涙が止まらなかった。そして、涙が止まらないまま、私は第1居間に走った。
第1居間にはナノハお姉様もいたが、私はナクリお姉様にズームさんからもらった映像を見せた。
「私、絶対ナクリお姉様を許しません!今は普通に暮らせていても、時がそれを許さないでしょう!必ず報いの受ける時が来ます!」
私は泣きながらナクリお姉様に訴えた。
「待って!死ぬだなんて思ってなかった!私だってピアニスト目指してた!でも、ミドリのほうが才能があって私には才能がなかった。それが悔しくて、少しミドリに痛い目にあってもらおうと思っただけ!死ぬなんて本当に思ってなかった!許して!」
たかがピアニストという夢が叶わないからってミドリお姉様を亡き者にしただなんて本当に許せない!
「ナクリお姉様は人間ではありません!バケモノです!これはいつか公になってナクリお姉様の結婚生活が破綻するでしょう!」
悔しくて悔しくて人の命を奪ったナクリお姉様が穢らわしくて、私はナクリお姉様の脇腹を数回蹴った。
「ナクリお姉様、最低ね。これ、世間に公になったら、あなた、タダじゃ済まないよ」
「ナノハ、私は死なせるつもりはなかった!」
今この場でナクリお姉様を殺してしまいたい!けれど、こんなことをして許されるはずがない。仲の良い姉妹だと思っていたのに。そんなのは表面上で、ナクリお姉様はミドリお姉様への劣等感を抱え続けた挙句、ミドリお姉様を殺めてしまった。表と裏は違う。どんなに仲良しに見えても裏では人は何を考えているか分からない。私はミドリお姉様を亡き者にしたナクリお姉様を恨みながら扇子でナクリお姉様を強く吹き飛ばし、泣きながら第1居間を出た。
第4居間に戻ると、みんな既に支度をしていた。
今日は大晦日だというのに女神の湖に行く日なのだ。
「ナミネ、どうしたの?」
「何でもありません」
この日は、ズームさんがカンザシさんも行く必要があると判断し、ナヤセス殿、ナルホお兄様も行くことになった。
ヨルクさんは私に新しいコートを着せた。
「ありがとうございます、ヨルクさん」
ヨルクさんは、私はオレンジ系が似合っているからと、淡いオレンジのワンピースコートを買ってくれたのだ。
女神の湖に行く途中の電車の中では、カナエさんとアルフォンス王子が仲違いしたままだった。カナエさんは、昔のアルフォンス王子が見知らぬ女性とホテルに行ったことが堪えたらしい。
ミナクさんはアヤネさんを軽蔑しているし、セナ王女はカラルリさんを軽蔑していた。
女神の湖に着くとズームさんが時間を遅らせた。
気温はわりと温かく私はコートを脱ぎ捨てた。それにしても女神の湖なだけに、湖には数名の女神が水浴びをしている。女神はどの人も古代のような簡易的な布を身体に巻いていた。けれど、1人だけ貴族のようなドレスを着ている。
「ナミネさん、あの緑の髪の女神があなたとカンザシの実の姉ですよ」
私とカンザシさんの実のお姉様……?私とカンザシさんは緑の髪の女神に近付いた。
「あの、ナミネですが、私とカンザシさんのお姉様なのでしょうか?」
私は信じられないながらも話しかけた。
「久しぶりね。そうよ。私がナミネとカンザシの実の姉のナミザ。何世紀もあなたたちの実の姉だった。でもそれは、ここにいる間だけ。転生すれば他人になるわ」
「そうですか。ナミザお姉様は、どうして女神になったのですか?」
「女神になったのは妖精村に入ってからだけど、辛かったのよ。綺麗な容姿に生まれてこなかったことが。何度もあなたを羨みそして妬んだわ」
今の容姿と人間時代の容姿は違うのか。はじめて会うけれど、私とカンザシさんだけの姉なのか。
「どうして私とカンザシさんだけのお姉様なのですか?」
「遠い遠い大昔、あなたとカンザシは兄妹だった。あなたとカンザシはナノハナ家の父親が実の父親だけど、私はロメルカーター伯爵家の両親の娘だったわ」
父親違いの姉妹だったのか。その時、年配の男性が女神の湖に入って、女神たちを触りはじめた。この人誰だろう。
「おい、エロじじい!あんた誰だよ!」
「僕は妖精村の神様のダンゴロだけど?」
神様?この人が?
「神様って何なんだよ!ここにいる女神はあんたが支配してんのかよ!」
「神様だからその名の通り何でも出来るよ。妖精村を破壊することもね。ここにいる女神はみんな人間時代は貧しい娼婦だった。そんな暮らしを抜け出したい者をここに連れて来た。もちろん僕と交際前提でね。ここに来たばかりの女神はみんな純白だったよ。けれど、ミナコだけが未だに許してくれないんだよね」
ミナコさん……。もしかして、あのドレスを着た人だろうか。ダンゴロさんは湖から出て来た。そして、ヨルクさんにカードを渡した。
「ここに来た記念にあげる」
「あの、これは……」
「神様呼び出しカードだよ。僕を呼び出せば君の願いを聞く。けれど、聞ける願いは力量によるから聞けないのもあるけどね」
神様呼び出しカード!?私やラルクのほうが力量は上なのに、どうしてヨルクさんだけもらえるの?
ていうか、ここに来てからミナクさんもアルフォンス王子もカラルリさんも女神のことやたら見てる?何だかまた揉めそうでやだな。
ダンゴロさんはまた湖に入って1人の女神の布を外して抱き着いた。女神も人間界で貧しい暮らしをするより、ここで豊かな暮らしをしていたいのだろうか。
「エロじじい!なんでヨルクだけが、あんた呼び出せるカードもらえるんだよ!」
「まあそれはともかくとして、ナミネ。君が望むならミドリを人間界に連れて行っていいよ。人間界に行けば、本来の年齢に戻るけどね。既にナノハは恋人のズルエヌを人間界に連れて行ったよ」
えええええ!スルエヌさんってもしかしてズームさんのお兄様!?そんなことより、ミドリお姉様がもう一度人間界で生きることが出来るの?それなら何としてでもミドリお姉様を説得しなければ!
「あの、ミドリお姉様は今どこにいますか?」
「あの通路を通れば天界。転生してない死者が暮らしてる。そのどこかにいるよ」
「分かりました。ありがとうございます!」
私は天界に続く通路へと走った。
通路を抜けると賑わった街がそこには存在した。家は古民家風だけど、レストランやカフェ、市場、美容院などお店もしっかりある。ここが天界なのか。ミドリお姉様はどこにいるのだろう。
「ナミネ、ミドリお姉様は2ブロックの2-3にいるって」
「ナルホお兄様!」
私はナルホお兄様と2ブロックの2-3へ走った。
古民家に近付こうとしたら、ミドリお姉様が家から出て来て洗濯物を干していた。
「ミドリお姉様!」
「ナミネ、ナルホ。久しぶりだね。元気にしてた?」
あの頃から少しも変わらない優しい雰囲気。
「ミドリお姉様をあんな目にあわせたのはナクリお姉様だったんです!神様のダンゴロさんが、もう一度ミドリお姉様が人間界で暮らせるチャンスを与えてくれています!今すぐ人間界に行きましょう!」
私は何となくミドリお姉様が行かない気がして焦っていた。
「そっか。ナクリもピアニスト目指していたけど、いつも機嫌が悪そうだったな。でも、私はナクリを恨んでないよ。人間界かあ。懐かしいけど、今の暮らしとっても幸せだから戻りたくないな」
やっぱりミドリお姉様はここにい続けるつもりなのか。どうやって説得したらいいのだろう。
「ミドリお姉様が逃げたい気持ちは分かるけどさ。ピアニスト目指してたんだよね?今人間界に戻るチャンスを捨ててしまえば後悔すると思うよ」
「そうかもしれないねえ。でも、私は今がいいんだよ」
ミドリお姉様は十分に傷付いた。ナノハナ家には戻りたくないだろう。でも、今連れて帰らないとミドリお姉様はピアニストになれなくなってしまう!
「そんなのただのエゴです!傷つきたくないからずっと平和なところにいたいだけでしょう!でも、それで何か得られますか?いずれここにいる人は皆転生していきます!そんな中、今の暮らしにずっと逃げていたら、いずれ後悔するのはミドリお姉様です!人間界で幸せになろうと思えないのですか?あなたは現実に打ち勝つ心を捨てたのですか?」
私はここに留まって逃げ続けるミドリお姉様にもミドリお姉様を連れ戻せない自分にも苛立っていた。
「そうだね。でも、私は私だから。誰かと比べて生きたりせずマイペースにやっていきたいの」
「それが逃げだと言ってるんです!現実と向き合わないで何と向き合うんですか!ほら、ちゃんと現実見てください!これがあなたの最後の姿です!」
私はミドリお姉様に亡くなった時の写真を見せた。するとミドリお姉様は泣き崩れた。
「やめて!今でも怖いの!どうしてこんないやがらせするの!私だって夢を叶えたかった!でも、死んだ身でどうしろって言うの!」
「お言葉ですがミドリお姉様が死んでナノハナ家がどれだけ不幸になったか。私はあれから酷い悪夢を見るようになったし、あなたの死んだ姿見た時は冷静さを失いました。あなたがここにいるということは生きている人間にあなたの死を全て抱えさせるということです!こっちこそ、そんないやがらせするのやめてください!ほら、ちゃんと現実見てください!」
私はミドリお姉様の最後の写真をミドリお姉様に握らせた。死んだ人間の人生はそこで終わるけれど、残された者は、死んだ人の悲しみを背負って生きていかないといけない。まるで今のミドリお姉様は自殺者みたいだ。自殺したその家族も現実を受け入れられず立ち直れないほどの苦しみを抱きながら生きていかなければならない。言ってしまえば自殺というのは、家族にその後の人生も不幸も丸投げし擦り付ける行為だ。私はそんな無責任な人を許せない。どんなに辛くても苦しくても生きないと他者を深く傷付ける。時には家族の人生そのものを奪い取る。後追い自殺だってある。そんなの間違っている。
「お願い、そっとしといて!もう戻りたくないの!今でもあの時のこと苦しみ続けてる!ここにいたいの!」
本人が1番辛い。そんなの分かってる。でも、逃げて次に苦しむのはその家族だ。けれど、自分の人生は自分が責任を持って生きるべきだと思う。苦しみを家族に丸投げしてもその人は幸せにはなれない。私は自殺もミドリお姉様の生き方も100%悪いとは言わない。ただ、この世に生きたからには1%だけでも自分の人生に責任を持って欲しいのだ。無論、自殺者もミドリお姉様も十分に苦しんだ上での判断。それを他者がどうこう言っても仕方ない。それでも私はミドリお姉様が亡くなって自分を破壊し死んだように生きた。私とて十分に苦しんだのだ。
「ねえ、ミドリお姉様は本当にここにいることが1番いいのかな?絶対後悔しないと言い切れる?今人間界に戻ればもう一度ピアニストを目指せる。でも、ここにい続ければ、人間界で日々訓練している人にどんどん差をつけられてしまうよね。無理に戻ろうとは言わない。でも、このままで本当にいいのかな?ナクリお姉様をそのままにしていいのかな?夢を放棄してそれでいいのかな?絶対に後悔しないなら僕は何も言わないよ」
後悔するに決まってる。今、また夢を置い続ければ成功するかもしれない。でも、何もしないで、ずっとここにいれば、いつか何もしなかった自分を責めることになりうる。
「分からない。どうしたらいい?私、置いていかれたくない。もう一度ピアニストを目指したい……。ピアノが弾きたい……。でも、あの日のことが頭にこびりついてどうしたらいいか分からないの!」
「頭にこびりついているってことは、少なくとも許せてないってことだよね。ミドリお姉様は許したフリをし続けて自分を誤魔化してたんじゃないかな?許せないなら許せないと本人に堂々と言うべきだと僕は思うよ。ピアニストになりたいなら目指すべきなんじゃない?この先は自分で考えてくれるかな」
私もナクリお姉様含め、ミドリお姉様を殺めた人は許せない。けれど、ミドリお姉様本人が逃げたままだと、ナノハナ家は不幸の塊だ。不幸を家族に丸投げするのではなく、ちゃんと自分の人生自分で向き合って欲しい。
「分かった。もう一度だけピアニストを目指してみるよ」
ミドリお姉様……。
「そっか。じゃあ、友達に別れを告げて一緒に人間界に戻ろうか。ナミネ、僕はミドリお姉様を連れて行くからナミネは旧友から昔話でも聞くといいよ」
昔話か。確かに、忘れていた過去を聞くことが出来るかもしれない。
「分かりました。時間以内には戻ります」
ナルホお兄様はミドリお姉様を連れて行った。
私が天界をが歩いていると遥か昔の旧友だろう人が現れた。
「ナミネ?」
誰だろう、全く思い出せない。
「えっと、どちら様でしょうか?」
「学生時代のアルタよ。今もヨルクと付き合っているの?」
「ヨルクさんを知っているのですか?生きていたのはいつですか?ヨルクさんが私に渡したものとか覚えてますか?」
「天使村初期よ。ヨルクがナミネに何を渡していたかは分からないけど、2人が仲違いした日、ヨルクは紅葉橋でナミネを待っていると言ってナミネを何時間も待ち続けてた。でもナミネは現れなかった。その日は途中から雨が降って、それでもヨルクは18時から3時までナミネを待ち続けたわ」
そんな……。私はヨルクさんを紅葉橋に1人にしてしまっていたのか。
「その後どうなりましたか?」
「次の人、風邪で欠席したヨルクの家にナミネが行って仲直りしたわ」
私は涙が零れていた。
「どうして仲違いしたんですか?」
「ヨルクが学年のマドンナと仲良くしていたからよ。それに嫉妬したナミネはヨルクと別れると言い出してナミネの言葉を真に受けたヨルクは紅葉橋で待っているって花束を持ってナミネを待ち続けたのよ」
ヨルクさん、私が来ると思ってずっと待っていたんだ。それなのに、私行かなかっただなんて……。
「そうですか……あの、他に私を知っている人はここにいますか?」
「そうね、天使村初期の終わり頃の学友が2ブロック先にいるわ」
「ありがとうございます」
私は走り出した。
そして、かつての学友に声をかけた。
「あの、私を知ってますか?」
「かなり久しぶりね。ここで会えるとは思わなかった」
「私とヨルクさんの昔話が聞きたいです」
「そうね、ナミネとヨルクは誰が見ても羨むカップルだったわ。でも、2人が婚約した日、2人は仲違いしてナミネはヨルクと別れると言い出したの。ナミネは婚約したのにヨルクが相談で他の女性と会っていたことに嫉妬したのよね。ヨルクは時間を指定して紅葉橋で待っているとナミネに伝え花束を持ってナミネを待ち続けたけどナミネはなかなか現れなかったの。ヨルクが帰ろうとした時、ナミネが紅葉橋に来てヨルクに抱き着いて2人は無事に仲直りしたわ」
そして、その後も私は自分を知る人の元に次々に聞き込みに言ったのだ。みんな、ヨルクさんと私が仲違いした時は、必ずヨルクが時間指定して紅葉橋で待っていると言って花束を持って待っていたけど、嫉妬してすぐにヨルクさんを許せなかった私はヨルクさんを紅葉橋で何時間も待たせた後、紅葉橋に行きヨルクさんと仲直りしていたと言っていたのである。また、ヨルクさんとの結婚後は私はヨルクさんに近づく女性がいればすぐに嫉妬してヨルクに離婚届と共に別れ話を切り出して、その度にヨルクさんはナミネに話し合いを求め、数日後仲直りすると毎回ヨルクさんは菜の花とカスミソウの花束をナミネに渡していたと言っていたのだ。
そして、妖精村時代は天使村時代とは違って私は長い髪を2つに分け三つ編みにしていて、ヨルクとのデートをいつも楽しみにしていたけど、最後のデートの後、ヨルクさんは私に時間指定して紅葉橋で菜の花とカスミソウの花束と婚約指輪を持って私を待ち続けていたと言っていた。けれど、私は紅葉橋には行かず、ヨルクさんは何日も泣いたそうだ。
また、別のエピソードとしては、結婚後、レストランで学友と会っていたヨルクさんを私が見た時、学友がヨルクさんの手を握っていて私は問い詰めたがヨルクさんはそんな関係ではないと何度も否定したものの、私は酷くショックを受け他の男性と関係を持ってしまい、ヨルクさんは許したものの私はヨルクさんを責め続け心を病み入退院を繰り返していたらしい。私の入院中はヨルクさんは毎回私に会いに行き、菜の花とカスミソウの花束を病室に飾っていたそうだ。
そして、私がどれだけヨルクさんの浮気を疑いヨルクを責め続けてもヨルクさんは私を愛し1度も浮気しなかったと学友は私に話してくれた。
それから、ヨルクさんが現世での副委員長である当時の学友から一方的に口付けされていた時は私は泣きながらヨルクさんに別れると言い離婚届を突き付け2週間、社交界で出会った男のマンションに泊まり関係を持っていてヨルクさんが迎えに来て私は帰ったらしい。
学友によると私が落ち着いている時は、ヨルクさんの休日にはヨルクさんとのデートを楽しみ私は常にヨルクさんにくっついて嬉しそうに過ごしていたとも言っていた。ヨルクさんは家事と仕事を両立させながら私を養っていたらしい。私に子供が出来た時、私は酷いうつ病にかかりヨルクさんが家で出来る仕事を見つけ、私の看病をしながら仕事と家事、育児をしていたとか。
誰に聞いてもヨルクさんは生涯私だけを愛し私の入院中も私がヨルクさんに手をあげた時も私が浮気をした時もヨルクさんは私を責めずひたすら私だけを愛し続けていたと言っていたのである。
私は泣きながら天界を走った。
私は自分勝手にヨルクさんを傷付け続けていた。待たせ続けていた。泣かせ続けていた。いっぱい酷いことをしたのに、ヨルクさんと交際する資格なんかないのに、現代で私はヨルクさんを再び愛してしまった。こんな私だけどヨルクさんを手放したくない。
もう二度とヨルクさんを待たせない!
私は石に躓いて転んで泣き続けた。
……
あとがき。
昔の舞台も色々ありますね。
大昔のナミネ……。
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