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日常のこととかオリジナル小説のこととか。
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ashita
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女性
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地主(土地貸してます)
趣味:
漫画やアニメを見るのが好きです。最推しはフーディーニ ♡
自己紹介:
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ブログ、もう書かないと思ってました。

けれど、去年から書き始めた小説によって、過去に書いてた小説も書き始め、ここに載せることにしたのです。

小説は、主に『時間と時間を繋ぐ恋の物語』と『妖精村と愉快な仲間たち』をメインに書いています。
現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。

純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。

元々このブログは病気の記録用として立ち上げたものですが、小説載せるようになってからは、ここは出来るだけ趣味的なことを綴りたいと思っております。
病気の記録や様々な思いを綴るブログは移転済みなのです。

ただ、今は日記は個人的な徒然、或いはお知らせとして綴ることが多いかと思います。

小説、ぼちぼちマイペースに書いてゆきます。

よろしくお願い致します。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

お知らせ。

イラストは現在「ナノハナ家の日常」に載せております。サイドバーにリンクあります。

また、「カラクリよろずや」にて無料のフリーイラスト素材配布もはじめました✩.*˚

フリーイラスト素材も増やしていく予定です(*'ᴗ'*)

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

模倣・無断転載などは、ご遠慮ください。

ブログの小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。

小説・純愛偏差値に関しましては、武家名・貴族名(程度による) / 及び、武官の階級 / 扇子・羽子板・花札・百人一首・紙飛行機などのアイテム使用方法の模倣の一切を禁じております。

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X @kigenzen1874

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〈資格履歴〉

2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2010年02月10日
→セルフ・カウンセリング
ステップ2 合格
2011年05月28日
→セルフ・カウンセリング
指導講師資格審査 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年01月20日
→鉛筆デッサンマスター 合格
→絵画インストラクター 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
→茶道アドバイザー 合格
→お点前インストラクター 合格
2025年04月17日
→着物マイスター 合格
→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
→サイキックアドバイザー 合格
→サイキックヒーラー 合格
2025年07月01日
→アンガーカウンセラー 合格
→アンガーコントロール士 合格
2025年08月
→漢方コーディネーター 合格
→薬膳調整師 合格

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〈資格証明バナー〉

鉛筆デッサンマスター®認定試験資格取得証明
絵画インストラクター資格資格認定証
宝石鑑定アドバイザー資格認定試験資格取得証明
鉱石セラピスト資格資格保持証明
茶道アドバイザー資格認定試験資格取得証明
お点前インストラクター資格資格認定証
着物マイスター®資格認定試験資格取得証明
着付け方インストラクター資格資格認定証
サイキックアドバイザー®資格資格証明
サイキックヒーラー資格資格保持証明
アンガーカウンセラー®資格資格保持証明
アンガーコントロール士資格資格認定証
漢方コーディネーター®資格認定試験資格保持証明
薬膳調整師®資格認定試験資格保持証明
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時間と時間を繋ぐ恋の物語 1話

〈新たな春の幕開け〉

中学を卒業したら高校へ進む。そんなことは、今の時代の俺らにとっては当たり前のことで……。ただ、当たり前なだけに、一本道を無理矢理歩かされているような気がして、何となく怠さを感じた。
春という季節は一般的に言えば、出会いの季節であり、別れの季節でもあり……学生にとっての新たなスタートでもある。
けれど、俺にとって春という季節が何なのか未だによく分からなかった。
前に、幼なじみの有里架にそんなことを話したら『出会いの季節に恋をしなくてどうするのよ』と、半ば決めつけるような口振りで返ってきて『お前はそれしかねえのかよ』と、口に出さずに心の中で呟いたのを覚えている。
中学の時まで普通より上を保ち続けいただけに高校も、それから先も同じように今の地位を保っていくのだろう。俺は今でもそう思っている。
けれど本当にそうだろうか……本当にこれから先も今のように小さな障害付きの一本道を歩み続けるのだろうか……。
いや……俺は首を横に振った。
そんなこと、高校入ったばかりの子供(ガキ)が考えることじゃない。

入学式を行っている体育館では、校長が生徒には不釣り合いとも言える挨拶(勉強に興味ねえヤツにとっては)を長々と話し続けていた。
眼鏡をかけたいかにもガリ勉っぽいヤツは真剣になって校長の話に耳を傾けているし、かと思いきや、俺みたいなチャラチャラしたヤツらは耳を傾けるどころか、携帯をいじったりMDを聞いていたのである。ま、保護者がいるだけに話したりしてるヤツはいねえけど……。携帯をやたらいじいっていることに気づきながらもそれをさせている保護者も保護者だなと思ったりもした。
しばらくは、そんな周囲を伺っていた俺だけど次第に眠気が襲ってきて途中からは夢の中へ……。

家に帰ると今日初めて着た制服のことなど忘れて、普段着になった俺は、いつものようにベッドに仰向けになりながら、ぼんやりと天井を眺めていた。
そこへ携帯が鳴り、表示画面で相手を確認するなり電話に出た。
『省吾!生きてるか?』
有里架だった。
「ま、一応な」
『相変わらずやる気なさそうね。やっぱ失恋したこと気に病んでる?』
この時の俺は有里架が何故中学の時のことを聞いてきたのか分からずにいた。
「なわけねえだろ。あれは俺が振ったの。それに元々好きじゃなかったし」
告白されて付き合ったものの、好きになれず別れを告げた苦い記憶だった。
『はあ、そういうこと繰り返してると、いずれ羽目外すよ?アンタのそのチャラチャラした性格、今のうちに直したほうがいいんじゃない?』
「るせぇよ。だいたい、そんな俺に告るヤツのほうがどうかしてるだろ。くだらないってゆーか」
もしかしたら、あの時の苦い思い出の相手には傷つけてしまったのかもしれない。俺は不意に過ぎった。
『くだらない……か。人を批判してる間にアンタも本当の恋したら?』
「恋したことのねぇヤツに言われたかねぇよ〜!」
『な!私だって恋くらいしてるわよ!気づかない相手が悪いの!』
有里架が恋?夢でも見てんのか?俺は有里架の言ったことを本気にしていなかった。
「はあ?逆ギレかよ。てゆーか、そんな話聞いたことねえぞ。相手誰なんだよ」
『ああ、もう知らない!』
ちょ、有里架?と口に出した頃には既に電話は切れていた。
いったい何なんだよ……と思いつつ思考は瞬時に切り替わった。そうなのだ。俺はこれまで一度たりとも本気で人を好きになったことはない。とゆーより、そんなヤツが現れなかったと言ったほうが正しい。
まあ、この先もそうとは限らないし、普通にいつも通り過ごしてりゃ、いつか本気で好きになれるヤツだって現れるだろう。そう暢気に思いながらこの15年間生きてきたわけだけど。流石にそろそろヤバイんじゃないかなって思い始めてる。
俺は、勉強はともかくとして、容姿は人並み以上にイケてるし、スポーツだって人並み以上に出来る。だから、これまでそれなりに告白を受けていたわけだけど。この先もずっととはいかねえな。流石にそんなことでは、いつか自分に呆れ後悔するに違いない。
とは言ってもなかなか上手くいかねぇんだよな。ま、気長にいくしかないか。

そんなわけで、一本道の延長線である高校生活のはじまりが幕を開けた。

……

あとがき。

2006年頃に書いた小説の打ち込み。もう懐かし過ぎて言葉にならない。今更、この小説に触れるとは思っていなかった。けれど、純愛偏差値にて大人になった省吾やハルが登場したから、やっぱり原作気にしてしまってた。続編の「時間を急げ!」は書き始めていたけど、だんだん小説も書かなくなって、純愛偏差値書き始めた頃には、高校生だった省吾も大人になって教師をしている。私の思考も若かった頃とは異なっている。時間と時間を繋ぐ恋の物語も、あの頃の私にとっては現実を見つめていたけれど、今では、すっかり、あの頃とは真逆。あの頃なかったものを手に入れ、あの頃あったものをなくしてしまっていると思う。それが何かは、きっと周りもそうなのだろうけど。せっかく、書いた小説だし、打ち込める時に手直ししながら打ち込めたらって思う。
時間と時間を繋ぐ恋の物語 登場人物

里見 省吾(18)
物語の主人公。友里架の幼馴染みで、運動は人並みに好きだが、勉強は苦手でテストは殆ど赤点。
性格は明るく、何処にでもいるごくごく普通の高校生。
就学式の日に、春美に一目惚れをする。

白川 春美(23)
春から、省吾の担任引き受けることになった新米教師。
大人っぽいけれど、どこか可愛らしく、男性からモテる。
けれど、春美は、恋人である薫を学生時代に亡くしている。
明るく振舞っているものの、過去の闇を抱え続けている。

南野 友里架(18)
省吾の幼馴染みで、省吾に片想いをしている。
真琴と付き合っていた時は、表面上では応援していた振りをしていたが、省吾が春美に本気になったことを知り、酷く傷付く。

月城 ハル(18)
省吾のクラスの委員長。
勉強もスポーツも学年トップで、女の子から非常にモテる。
最初は、チャラい印象の省吾を嫌うが、後に仲良くなる。
梨花に想いを寄せている。

桐島 梨花(18)
省吾や、ハルと同じクラス。
可愛くて明るい高校生。
琉未とは、唯一の親友だったが、ある出来事をきっかけに仲違いしてしまう。
ハルに想いを寄せている。

東条 琉未(18)
あまり、友達がいなく、陰気な高校生。
梨花は、1人しか居ない友達であり、親友であった。
ハルに片想いをしている。

原川 真琴(18)
省吾の元彼女。
省吾は、遊びで付き合っていたと知っていながらも、省吾のことを本気で好きで、ある日、別れたくないと電話をする。

水瀬 薫(18)
春美の彼氏。
大人しく穏やかな性格。
高校生の時、事故で亡くなる。
Make Laveは偽り!? 6話

……

前回までのあらすじ

さゆりのことを本気で好きでなかったことに気づいたひろし。そして、さゆりに別れを告げられたやまと。更に、委員長と交際をしはじめたさゆり。いったいどこでどうなっているのだろう。
菊助はひろしに別れの時が近づいていると言った。それはいったいどういう意味なのか。妖精村?番人?ひろしには何のことだかさっぱり分からずにいた。
……

登場人物。

影村ひろし(18)…物語の主人公。かつて、さゆりに想いを寄せていた。

光野さゆり(18)…いつも明るくて可愛くクラスで人気の女の子。くらふと交際をはじめた。

雲風やまと(18)…さゆりと交際したが別れてしまった。

神山くらふ(18)…ひろしたちのクラスの委員長で、さゆりと交際をしはじめた。

空川ゆめ(18)…くらふの想い人で、ずっと入院をしていたが突然亡くなった。

……

進路。
そんなもの僕には分からなかった。けれど、高校卒業して直ぐに就職というのも気が引ける。別に頭がいいわけではないが、僕は滑り止めをいくつか受けることにした。言ってしまえば就職までの時間稼ぎである。

光野さんと委員長が交際してから、学年中が大騒ぎ。美男美女のカップルだから仕方ないのかもしれないが。また、2人はいつも下校は一緒にしていて、休みの日はデートに行っているようだった。内心僕は光野さんと委員長のスピード交際に対して心配をしていたが、僕の思い過ごしのようだった。やまとには可哀想だが、光野さんが幸せなら、僕はそれでいいと思う。
恋愛。こればかりは誰も操れないのだから。僕は惚れ薬の件で散々思い知った。
「影村君、これ進路表だから帰る前に提出しておいて」
突然光野さんに渡された。
「え、委員長はどうしたの?」
「分からないのだけど、今日は休んでる。帰りに様子見に行くつもり」
「そっか。委員長、早く元気になるといいな」
この時、誰もが知らなかった。委員長が亡くなった幼なじみのお墓参りに行っていることを。そして、僕はまた光野さんを心配しはじめた。交際は上手くいっているようだけれど、やっぱり、委員長の幼なじみが亡くなったというのに、光野さんが委員長に告白したことは、どうも腑に落ちなかった。まあ、僕の思い過ごしかもしれないけどね。

放課後、僕は真っ直ぐに家に帰った。しかし、進路表を書くところか置いてしまったことに気づき、僕は学校まで取りに帰ることにした。

家を出て、学校の途中にある公園を通り過ぎようとしたら、何やら揉めているようだった。僕は巻き込まれたくなくて、横断歩道を通ろうとしたら、よく見たら光野さんと委員長がいた。また、見かけない他校の制服を着た男子も何名かいたのである。そして、光野さんは委員長の前で他校生に押し倒されていた。なのに、委員長は助けようともせず、傍観していた。慌てて僕は公園の中に入っていった。

公園の中に入ると光野さんは見ず知らずの他校生に押し倒され、制服を脱がされていた。僕は他校生を突き飛ばしたが、別の他校生に押さえられてしまった。
「光野さん!」
「助けて!影村君!」
光野さんは叫ぶものの、僕は他校生に押さえられたまま動くことさえ出来なかった。光野さんは、泣きながら悲鳴をあげ、抵抗も出来ない状態で他校生がことに及んだ。
「痛いーーー!いやーーー!やめてーーー!」
「みんな何してるの?光野さんを解放してあげて!」
「は?お前なんだよ!くらふの命令なんだよ!」
委員長の命令?どういうことだ?光野さんの彼氏である委員長がいったいどうして……。僕は頭が真っ白になっていた。そして、光野さんは1人目に屈辱受けた後、残りの4人からも同じことをされた。ボロボロになった光野さんを委員長は蹴った。
「よくも僕の恋人の人生台無しにしてくれたな!」
委員長はそれだけ言うと他校生と去って行った。
僕はボロボロになった光野さんに駆け寄った。
「光野さん……」
「影村君……私の人生何だったのかな……委員長、私のこと恨んでた……どうしてなのかな……どうしてこうなったのかな……」
光野さんは、ボロボロのまま泣きながら仰向けの状態で呟いた。僕は何も答えないまま光野さんの制服を元に戻し、光野さんの家に届けた。

進路表を取りに戻るのを忘れた僕は家に帰ろうとしていた。しかし、何故か不思議屋にいたのである。
「影村さん、この前、私(わたくし)が申しあげたことを覚えていますか?」
「すみません……何一つ覚えてません……」
僕は、光野さんの身に起こったことばかりが頭の中を何度も駆け巡り、他のことなど考えられなかったのだ。
「記憶というのは時として恐ろしいものなのです。人は前世の記憶は転生した瞬間に忘れてしまうことが殆どです。しかし、6つ前の前世にて光野さんは高校時代に、今の神山さんの幼なじみである空川さんをクラスの男子に頼み屈辱させました。理由は神山さんのことが好きで彼女である空川さんのことが気に入らなかったからです。空川さんは転生しても前世の記憶を忘れられない体質で、現世まで光野さんからされたことを思い出しては苦しみ続けました。そして、現世で病院の屋上から飛び降りる前、空川さんは神山さんに『同じ苦しみを味わえばいい。もうこんな輪廻耐えられない!』と書き置きを病室に残しました。1時間後、神山さんは自殺した空川さんの亡骸を抱き締め光野さんへの復讐を決意したのです」
前世の記憶を覚えている?そんなことってあるのだろうか。とてもじゃないけれど、僕は信じられなかった。けれど、もし、菊助さんの言うことが本当なら、空川さんという人物は6つ分の人生を青春を奪われ、耐えきれないほどの苦しみを感じ続けていたのかもしれない。前世のことなのに、一方の記憶が残ることで、もう一方の人生も失われてしまうだなんて。僕は光野さんを不憫に思ったものの、空川さんが、前世を今のように覚えているのであれば、空川さんにとっての前世は現世となんら変わらないものになってくると思ったのである。
「そうですか……。信じ難い話ではありますが、復讐なんかして空川さんも委員長も幸せになれたのでしょうか。今の光野さんは、とても明るくていい子です。そんな子の人生を前世の記憶があるからと一方的に壊すことに何の意味があるのでしょう」
光野さんに味方をしているわけではない。けれど、ボロボロになった光野さんを思い出すと、一瞬、空川さんには運命を受け入れて、人に危害は加えないで欲しいと思ってしまったのだ。
「影村さん、人は耐えきれないことを体験し続けることによって、救いを求めます。でも、いつまでも救われないまま苦しみ続けると、性格までも変わってしまうこともあるのですよ。復讐したいわけでもなく、幸せになりたいわけでもなく、苦しみから逃れたいものなのです」
菊助さんの言葉を聞けば聞くほど残酷だった。苦しみから逃れたい……。それがために光野さんの人生を壊してしまえば、今度は、いつかの来世で光野さんが再び空川さんに同じことをしてしまうかもしれない。人の苦しみにはキリがない。けれど、他人の人生を僕が生きられるわけでもなく、光野さんの人生は、これからも光野さん自身が背負っていかないといけないのだと僕は思った。
「何となくは分かりますが、それでも分かりません」
僕は曖昧な言葉を言ってしまった。今の僕に僕の答えなどなかったのだ。
「影村さん、復讐も苦しみも幸せも紙一重です。全ては人の醜い感情が人の人生を左右させているものなのですよ。人生は現世のみではありません。初代前世からずっと繋がっているのです。光野さんの現世での人生は悲惨なものとなりましたが、影村さん、あなたは正しい道を歩んでください。どんなに理不尽でどんなに苦しくても道を外してはなりません」
光野さんは、いつかの前世で道を外してしまったことになるのだろうか。だとしたら、委員長だってそうだ。当人でないから憶測でしか考えられないけれど。それでも僕は前世を理由にして、現世の光野さんを傷つけることは決して正しいことだとは思えなかった。
「菊助さん、本当にこの町を出てしまうのですか?この店はどうなるのですか?」
「この店は元々あってないようなものです。見える人にしか見えませんし、時間と時代が重なった時にしか、この店は現れません。まあ、僕がいなくなっても、誰かが継ぐでしょう」
「そうですか……」
「影村さん、短い期間でしたが、お知り合いになれたことは1つの縁(えにし)であると思っています。どうかお幸せに」

5年後、僕は大学を卒業した後、普通のサラリーマンになっていた。光野さんは、あの後入院したものの、大学には通わず今は花屋でパートをしている。僕は光野さんの仕事先の花屋に度々寄っていた。
「影村君、今帰り?」
「うん」

〈完〉

……

あとがき。

Make Loveは偽り!?は、これで終わりとなります。

悲しいですね。ただただ悲しいです。
書き始め当初はこんな結末考えもしなかったのに、やはり純愛偏差値を書き始めたからでしょうか。
ちなみに、前世の記憶を持つ人は現実世界にもいるそうですよ。

この小説はハッピーエンドなのか、バッドエンドなのか、人によって思いは異なると思います。けれど、私はこの小説を通して『屈折したことはよくない』と伝えたかったのかもしれません。
今書いている純愛偏差値は屈折しまくりですが。
とにかく、このような終わり方ですが、私としては書き終えることが出来て一段落ついたかもしれません。
今後は純愛偏差値に集中します。
Make Laveは偽り!? 5話

……

前回までのあらすじ

学校を休みすぎて来年の1月になってしまったひろし。周りが進路を決めている中、ひろしは失恋に落ち込んだまま。そんな時、菊助から、さゆりには既に好きな人がいたと、それはひろしのクラスの委員長であると聞かされる。更には、さゆりが惚れ薬と知ってひろしからもらった飲み物を飲んだことまで聞かされ、ひろしは慌ててさゆりに謝りに行った。

……

登場人物。

影村ひろし(18)…物語の主人公。さゆりに想いを寄せていた。

光野さゆり(18)…くらふに想いを寄せ続けている。いつも明るく可愛い少女。

雲風やまと(18)…さゆりと交際したが別れてしまった。

神山くらふ(18)…ひろしたちのクラスの委員長で、さゆりの想い人。

……

公園で光野さんと別れた後、偶然やまとと会った。正直、めちゃくちゃ気まずかった。光野さんはやまとのことが全く好きではなくて、それも今日別れたばかりだなんて。僕は、やまとになんて声をかけていいのか分からなかった。
「ひろし、見下してんだろ?」
「えっ、急にどうしたの?やまと」
僕は決して見下しているわけではない。寧ろ、既に光野さんに対しての恋愛感情はなくなっている。
「見下してんのかって聞いてんだよ!」
「見下してないよ。僕、もう光野さんのこと好きじゃないし」
「なんだよそれ」
やまとはため息をついた。
「さゆりちゃんには、マジでガッカリしたわ。騙されたってゆーか、ハッキリ言ってムカつく」
やまとの言葉からして、やまとも、光野さんが委員長を好きなことを知っているのだろうか。分からないけれど、そうだとしたら、やまとにとっては、かなり酷だと思う。
「なんて言ったらいいか分からないけど、少なくとも僕は光野さんを通して恋に恋をしてた。決して光野さんが好きというわけではなかったんだよね」
「俺はそんな恋もありだと思う。少しでも気持ちがあったなら、好きの親戚のようなもんだしさ。俺は、ゼロからさゆりちゃんと好き合いたかった。でも、さゆりちゃんは違った。やり切れねえ」
僕は、やまとのように好きだと感じた人とゼロから親睦を深めるだなんてハードルが高すぎる。けれど、少なくともやまとにとっては、光野さんのことは本気だったのだろう。でないと、こんなにも傷つかないと思う。
「辛いよな。人生なんで思い通りにいかないんだろうね」
今の僕にはこれくらいしか言うことが出来なかった。多分、今のやまとには何を言っても励みにさえならないと僕は思ったのである。それでも、僕が光野さんとやまとが付き合った時、やまとはあれだけ僕を見下したのに、いざ、自分が同じ立場になってみれば、悲劇を装うなんて、人はどうしてこうも自分の幸せのみしか考えられない生き物なのかと僕は思った。
「さゆりちゃんとは一緒の大学行こうって仲良く話してたのに……なんで……何でこうなるんだよ!!」
とてもじゃないけど、今の僕には気の利いた言葉なんて1つも思い浮かばなかった。終わったことはどうしようもない。もし、やまとが光野さんと交際したいなら、やまとの力で光野さんの気持ちを掴む他ないのだ。僕にはどうにも出来ない。そして、僕には何の関係もないのである。

数日後、やまとが先に帰った放課後の教室で、僕は光野さんといた。
「あのね、私、委員長と交際することになったの」
「おめでとう。でも、急にどうして?」
「委員長がずっと好きだった幼なじみがいるんだけど、その人入院中に亡くなったみたいで、委員長を励ましているうちに委員長も私を好きになってくれたみたいで、思い切って告白したらOKもらえたの」
この時、僕は妙な違和感を覚えた。委員長の大切な人が亡くなったというのに、光野さんは、まるでそれを喜んでいるかのような、間違った形で幸せを手に入れたような気がしてしまったのだ。僕の思い違いだったらいいのだけれど。
「そっか。その幼なじみのことは残念だけど、光野さんの想いが実ってよかったね」
僕は当たり障りのない言葉を返した。不幸と幸せが同時に舞い降りた時、人はどう感じどう行動に移すのだろう。少なくとも今の光野さんは僕が憧れていた頃の光野さんではなくなっていた。

光野さんと話した後、家に帰ったつもりが、何故か不思議屋にいた。
「影村さん、もうすぐお別れの日が近づいています」
「えっ、どういうことですか?」
僕は何を言われたのか分からなかった。菊助さんはずっとこの店の主を続けて、僕が大学を卒業して社会人になっても、いつもこの場所にいるものだと思い込んでいた。
「私(わたくし)はあまり内情をお話することはありませんが、1度死んだ身なのです。けれど、成仏は出来ず、この世に留まっています。しかし、妖精村の番人を任されました。桜が舞う頃までに、この町からいなくなっているでしょう」
1度死んでいる?妖精村?番人?それっていったいなんなんだ?もうここへは戻ってこないのだろうか。僕は何を言われたのか意味がさっぱり分からずにいた。
「どうしてですか?どうしてここからいなくなるのですか?妖精村ってどこですか?」
「影村さん、記憶というのは時として恐ろしいものなのです。自分が抱え込ませられたり、他者に記憶を植え付けたり。それって、1種のループとも言えます。少し話しすぎたようですね。では、これにて失礼」
菊助さん!そう呼ぼうとした時には僕は何もない空き地にいた。そして、僕は最後に菊助さんの言ったことの意味を何一つ把握出来ていなかったのである。

……

あとがき。

時を経て……時を経て……。
当初とは違うストーリーも出てきましたね。まさかの純愛偏差値とのコラボ!
菊助は行っちゃうのね……。
妖精村の番人は自殺した人しかなれない。純愛偏差値にそう書いたよね。

さて、次回がラストとなります!

ひろしの未来は?やまとの未来は?
そして、さゆりの幸せの行方は?

次回6話お楽しみに!
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