日常のこととかオリジナル小説のこととか。
カレンダー
プロフィール
HN:
ashita
Webサイト:
性別:
女性
職業:
地主(土地貸してます)
趣味:
漫画やアニメを見るのが好きです。最推しはフーディーニ ♡
自己紹介:
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
ブログ、もう書かないと思ってました。
けれど、去年から書き始めた小説によって、過去に書いてた小説も書き始め、ここに載せることにしたのです。
小説は、主に『時間と時間を繋ぐ恋の物語』と『妖精村と愉快な仲間たち』をメインに書いています。
現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。
純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。
元々このブログは病気の記録用として立ち上げたものですが、小説載せるようになってからは、ここは出来るだけ趣味的なことを綴りたいと思っております。
病気の記録や様々な思いを綴るブログは移転済みなのです。
ただ、今は日記は個人的な徒然、或いはお知らせとして綴ることが多いかと思います。
小説、ぼちぼちマイペースに書いてゆきます。
よろしくお願い致します。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
お知らせ。
イラストは現在「ナノハナ家の日常」に載せております。サイドバーにリンクあります。
また、「カラクリよろずや」にて無料のフリーイラスト素材配布もはじめました✩.*˚
フリーイラスト素材も増やしていく予定です(*'ᴗ'*)
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
模倣・無断転載などは、ご遠慮ください。
ブログの小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
小説・純愛偏差値に関しましては、武家名・貴族名(程度による) / 及び、武官の階級 / 扇子・羽子板・花札・百人一首・紙飛行機などのアイテム使用方法の模倣の一切を禁じております。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
X @kigenzen1874
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
ブログ、もう書かないと思ってました。
けれど、去年から書き始めた小説によって、過去に書いてた小説も書き始め、ここに載せることにしたのです。
小説は、主に『時間と時間を繋ぐ恋の物語』と『妖精村と愉快な仲間たち』をメインに書いています。
現在は、中高生の武家・貴族・王族が過去を遡るジャンルはダークファンタジーの『純愛偏差値』という小説に力入れています。
純愛偏差値は私の人生を描いた自伝です。
終わることのない小説として書き続ける予定です。
純愛偏差値は今年100話を迎えました。
私にとって、はじめての長編です。キャラクターも気に入っています。
が、走り書きに走り書きしてしまったので、1話から書き直すことにしました。これまで書いたものは鍵付けて残しています。
元々このブログは病気の記録用として立ち上げたものですが、小説載せるようになってからは、ここは出来るだけ趣味的なことを綴りたいと思っております。
病気の記録や様々な思いを綴るブログは移転済みなのです。
ただ、今は日記は個人的な徒然、或いはお知らせとして綴ることが多いかと思います。
小説、ぼちぼちマイペースに書いてゆきます。
よろしくお願い致します。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
お知らせ。
イラストは現在「ナノハナ家の日常」に載せております。サイドバーにリンクあります。
また、「カラクリよろずや」にて無料のフリーイラスト素材配布もはじめました✩.*˚
フリーイラスト素材も増やしていく予定です(*'ᴗ'*)
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
模倣・無断転載などは、ご遠慮ください。
ブログの小説はフィクションであり、登場人物・団体名などは全て架空です。
小説・純愛偏差値に関しましては、武家名・貴族名(程度による) / 及び、武官の階級 / 扇子・羽子板・花札・百人一首・紙飛行機などのアイテム使用方法の模倣の一切を禁じております。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
X @kigenzen1874
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
カテゴリー
最新記事
アーカイブ
ブログ内検索
フリーエリア
〈資格履歴〉
2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2010年02月10日
→セルフ・カウンセリング
ステップ2 合格
2011年05月28日
→セルフ・カウンセリング
指導講師資格審査 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年01月20日
→鉛筆デッサンマスター 合格
→絵画インストラクター 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
→茶道アドバイザー 合格
→お点前インストラクター 合格
2025年04月17日
→着物マイスター 合格
→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
→サイキックアドバイザー 合格
→サイキックヒーラー 合格
2025年07月01日
→アンガーカウンセラー 合格
→アンガーコントロール士 合格
2025年08月
→漢方コーディネーター 合格
→薬膳調整師 合格
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
〈資格証明バナー〉

2008年09月09日
→さし絵ライター3級 合格
2010年02月10日
→セルフ・カウンセリング
ステップ2 合格
2011年05月28日
→セルフ・カウンセリング
指導講師資格審査 合格
2012年10月25日
→環境カオリスタ検定 合格
2025年01月20日
→鉛筆デッサンマスター 合格
→絵画インストラクター 合格
2025年03月07日
→宝石鑑定アドバイザー 合格
→鉱石セラピスト 合格
2025年04月07日
→茶道アドバイザー 合格
→お点前インストラクター 合格
2025年04月17日
→着物マイスター 合格
→着付け方インストラクター 合格
2025年05月19日
→サイキックアドバイザー 合格
→サイキックヒーラー 合格
2025年07月01日
→アンガーカウンセラー 合格
→アンガーコントロール士 合格
2025年08月
→漢方コーディネーター 合格
→薬膳調整師 合格
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
〈資格証明バナー〉














時間を急げ! 2話
……
前回までのあらすじ。
春美の命日に、あるお店に集まった省吾たち。しかし、梨花とハルを仲直りさせようとした省吾は友梨架の怒りを買ってしまった。そして省吾は一人店を出たのである。
それでは、2話をお楽しみください。
……
俺が店を出た後、追いかけてくれた委員長が車に轢かれそうになった。いや、あの時、確かに委員長は交通事故に巻き込まれていた。俺を庇って。
けれど、気がつくと、俺は、俺と委員長は、知らない場所にいた。
「お目覚めですか?」
「あの、俺……」
「私(わたくし)は忙しいもので、単刀直入に申し上げます。人は、死んでも時折この世に留まることがあります。人の生きた記憶や思い出。それは、魂とも呼ばれます。今は、存在しなくても、確かに存在していた。そんな時間を温めることで幸せになれませんか?」
「待ってください……待ってください……」
それしか言えなかった。ここがどこで、誰が話しかけているのか、それはさほど重要ではなかった。そんなことどうでも良かった。けれど、過去とか時間とか記憶とか、それを冷静になって考えられるほどのゆとりが今の俺にはなかった。俺は間違いなく空回りしている。
「ご友人は大丈夫ですよ。ご友人が気がついたら速やかにお帰りください」
待ってください。俺は、そう言おうとした。けれど、声が出なかった。いや、出さなかったのかもしれない。どちらにしても、俺は、今この時をこの一瞬を失ってしまった。
その場に崩れ落ちた俺を気遣ってか、一度背を向けた男性は、振り返った。
「里見省吾、29歳。桜野学園出身で、現在はその母校の教師をしている」
「あの……あなたはいったい……」
「申し遅れました。私(わたくし)は、菊助と言います。以後、お見知り置きを」
「はあ……」
「時の流れというものには、その全てに理由が存在しているのです。一瞬であれ、意味のない理由のない時間などこの世には存在しません。死ぬはずだった人間に魂を吹き込んだのなら、生きるはずだった人間が魂を吸い取られる。ご友人は、あなたを庇って一度死にました。けれど、こうして生きています。これがどういうことかお分かりですか?」
床に崩れ落ちた俺は、立ち上がる気力もなく、菊助と名乗る人物が何を言っているのか理解出来なかった。ひとつひとつ言葉を辿ることが出来るくらいの精神力が今の俺にはなかったのだ。けれど、どうしてか涙が零れた。
「俺は……」
「11年間あなたが苦しみ続けたことは知っています。しかし、今ここにいるご友人、月城ハルさんは、あなたのせいであなたの身勝手で一度死にました。今のあなたにいったい何が出来ると言うのです? 親友一人守れないあなたに出来ることなどあるのでしょうか?」
俺は、何も言えなかった。その通りだったから。春美のことで苦しみ続けた結果、俺は委員長を失いかけた。友里架の言うように、俺は最低な人間だ。
「黙って聞いていれば言いたい放題だな」
「委員長!?」
「あんた、俺が死んだって言ったよな?」
「ええ、あなたは間違いなく一度死にました」
「けれど、こうやって生きている。あんたが救ってくれたのなら感謝する。でも、省吾に分かったようなことを言うな」
「いいんだ、委員長。全部この人の言う通りだし、委員長が無事でいて本当に良かった」
「月城さんも目を覚ましたことですし、今日のところはお帰りになってください」
菊助と名乗る人物の言葉に俺はどうにか立ち上がって扉の方へ歩いて行こうとした。
「今日のところは? だったら、また来ていいんだな? 一度死んだ俺を生き返らせた上に、俺や省吾、11年前の出来事まで知っている。あんたが何者か分からないけど、あんたなら省吾を助けてやれるんじゃないか?」
「月城さん、お言葉ですが、私は魔法使いではありません。あなた方が私に何かを求めたとしても、それはただの夢見事で終わってしまいます。例え、里見さんを私が助けることが出来たとして、そこには大きな代償が伴います。あなた方が払いきれないくらいの代償が」
頭の中では分かってはいた。俺は俺自身が無力だから、春美を失ってから死んだように生きてきた。本音では後追い自殺をしたい。1度したことだってあった。けれど、あの時、何かが俺を止めた。今の俺は俺が救われたいがために見ず知らずの人に頼ろうとしているだけなのだ。
「あんたには分からないだろうが、省吾は精一杯苦しんできた。簡単に失ったことに対して代償とか言うけど、全力で取り戻したいものがあるんだ!それを望むことの何が悪いんだ!幸せを夢見て何が悪いんだよ!生きてるから辛いんだよ!それでも省吾は毎日戦い続けてるんだ!」
「里見さん、月城さん、お2人は《禁忌》という言葉を知らないようですね。1度死んだ人間を一般人が生き返させる。それは決してやってはならないことなのです。どれだけ苦しくても、今の時代を生きてください」
禁忌……禁忌……禁忌……。見知らぬ人に言われた言葉が頭をグルグル回っているうちに俺と委員長は、春美の命日に集まっていた店の斜め前にいた。そして、俺と委員長が確かに会って話していた菊助という人物はいなくなっていて、今の俺の目の前にあっただろう菊助とやらの不思議な骨董品屋があった場所は空き地となっていた。俺と委員長は何が何だか分からないまま、それぞれの家に帰った。
……
あとがき。
久しぶりに続き書いたー!けれど、現在書いてる純愛偏差値にも、省吾、ハル、菊助は出てくるのだけど、省吾とハルは21歳で教師と医師をしていて、菊助は23歳で村の番人をしているの。菊助は決して人の命を軽く見ているわけではないと思う。それでも、人間時代に自分を見失った菊助にとって、不思議骨董品屋や、番人として死後の世界に行けず現世に留まり続けるのは何かしら意味があるのかもしれない。果たして省吾は春美を取り戻すことが出来るのか!?時間を急げ!3話、お楽しみに。
……
前回までのあらすじ。
春美の命日に、あるお店に集まった省吾たち。しかし、梨花とハルを仲直りさせようとした省吾は友梨架の怒りを買ってしまった。そして省吾は一人店を出たのである。
それでは、2話をお楽しみください。
……
俺が店を出た後、追いかけてくれた委員長が車に轢かれそうになった。いや、あの時、確かに委員長は交通事故に巻き込まれていた。俺を庇って。
けれど、気がつくと、俺は、俺と委員長は、知らない場所にいた。
「お目覚めですか?」
「あの、俺……」
「私(わたくし)は忙しいもので、単刀直入に申し上げます。人は、死んでも時折この世に留まることがあります。人の生きた記憶や思い出。それは、魂とも呼ばれます。今は、存在しなくても、確かに存在していた。そんな時間を温めることで幸せになれませんか?」
「待ってください……待ってください……」
それしか言えなかった。ここがどこで、誰が話しかけているのか、それはさほど重要ではなかった。そんなことどうでも良かった。けれど、過去とか時間とか記憶とか、それを冷静になって考えられるほどのゆとりが今の俺にはなかった。俺は間違いなく空回りしている。
「ご友人は大丈夫ですよ。ご友人が気がついたら速やかにお帰りください」
待ってください。俺は、そう言おうとした。けれど、声が出なかった。いや、出さなかったのかもしれない。どちらにしても、俺は、今この時をこの一瞬を失ってしまった。
その場に崩れ落ちた俺を気遣ってか、一度背を向けた男性は、振り返った。
「里見省吾、29歳。桜野学園出身で、現在はその母校の教師をしている」
「あの……あなたはいったい……」
「申し遅れました。私(わたくし)は、菊助と言います。以後、お見知り置きを」
「はあ……」
「時の流れというものには、その全てに理由が存在しているのです。一瞬であれ、意味のない理由のない時間などこの世には存在しません。死ぬはずだった人間に魂を吹き込んだのなら、生きるはずだった人間が魂を吸い取られる。ご友人は、あなたを庇って一度死にました。けれど、こうして生きています。これがどういうことかお分かりですか?」
床に崩れ落ちた俺は、立ち上がる気力もなく、菊助と名乗る人物が何を言っているのか理解出来なかった。ひとつひとつ言葉を辿ることが出来るくらいの精神力が今の俺にはなかったのだ。けれど、どうしてか涙が零れた。
「俺は……」
「11年間あなたが苦しみ続けたことは知っています。しかし、今ここにいるご友人、月城ハルさんは、あなたのせいであなたの身勝手で一度死にました。今のあなたにいったい何が出来ると言うのです? 親友一人守れないあなたに出来ることなどあるのでしょうか?」
俺は、何も言えなかった。その通りだったから。春美のことで苦しみ続けた結果、俺は委員長を失いかけた。友里架の言うように、俺は最低な人間だ。
「黙って聞いていれば言いたい放題だな」
「委員長!?」
「あんた、俺が死んだって言ったよな?」
「ええ、あなたは間違いなく一度死にました」
「けれど、こうやって生きている。あんたが救ってくれたのなら感謝する。でも、省吾に分かったようなことを言うな」
「いいんだ、委員長。全部この人の言う通りだし、委員長が無事でいて本当に良かった」
「月城さんも目を覚ましたことですし、今日のところはお帰りになってください」
菊助と名乗る人物の言葉に俺はどうにか立ち上がって扉の方へ歩いて行こうとした。
「今日のところは? だったら、また来ていいんだな? 一度死んだ俺を生き返らせた上に、俺や省吾、11年前の出来事まで知っている。あんたが何者か分からないけど、あんたなら省吾を助けてやれるんじゃないか?」
「月城さん、お言葉ですが、私は魔法使いではありません。あなた方が私に何かを求めたとしても、それはただの夢見事で終わってしまいます。例え、里見さんを私が助けることが出来たとして、そこには大きな代償が伴います。あなた方が払いきれないくらいの代償が」
頭の中では分かってはいた。俺は俺自身が無力だから、春美を失ってから死んだように生きてきた。本音では後追い自殺をしたい。1度したことだってあった。けれど、あの時、何かが俺を止めた。今の俺は俺が救われたいがために見ず知らずの人に頼ろうとしているだけなのだ。
「あんたには分からないだろうが、省吾は精一杯苦しんできた。簡単に失ったことに対して代償とか言うけど、全力で取り戻したいものがあるんだ!それを望むことの何が悪いんだ!幸せを夢見て何が悪いんだよ!生きてるから辛いんだよ!それでも省吾は毎日戦い続けてるんだ!」
「里見さん、月城さん、お2人は《禁忌》という言葉を知らないようですね。1度死んだ人間を一般人が生き返させる。それは決してやってはならないことなのです。どれだけ苦しくても、今の時代を生きてください」
禁忌……禁忌……禁忌……。見知らぬ人に言われた言葉が頭をグルグル回っているうちに俺と委員長は、春美の命日に集まっていた店の斜め前にいた。そして、俺と委員長が確かに会って話していた菊助という人物はいなくなっていて、今の俺の目の前にあっただろう菊助とやらの不思議な骨董品屋があった場所は空き地となっていた。俺と委員長は何が何だか分からないまま、それぞれの家に帰った。
……
あとがき。
久しぶりに続き書いたー!けれど、現在書いてる純愛偏差値にも、省吾、ハル、菊助は出てくるのだけど、省吾とハルは21歳で教師と医師をしていて、菊助は23歳で村の番人をしているの。菊助は決して人の命を軽く見ているわけではないと思う。それでも、人間時代に自分を見失った菊助にとって、不思議骨董品屋や、番人として死後の世界に行けず現世に留まり続けるのは何かしら意味があるのかもしれない。果たして省吾は春美を取り戻すことが出来るのか!?時間を急げ!3話、お楽しみに。
PR
時間を急げ! 1話
……
はじめに
時間を急げ! は、時間と時間を繋ぐ恋の物語の続編となります。
時間と時間を繋ぐ恋の物語を読まれていないと、内容が分からないと思うので、読まれていない方は本編から読むことをオススメします。
時間と時間を繋ぐ恋の物語でも書いたように、僕は、2006年の時点で続編を書くことを決めていました。
けれど、小説を書けなかった時期があり、かなり時間が空いてしまいました。
でも、続編を書くと決めていた以上はやはり書きたいです。
本編の中途半端なままでは終わらせたくないです。
私の未熟な小説にお付き合い頂ける方はよろしくお願い致します。
……
短期大学を卒業した後、俺は、母校である桜野学園の教師になった。
学生時代勉強の出来なかった俺が教師という教える立場になっているなんて、あの頃の俺には想像もつかなかったと思う。けれど、俺には教師という道しかなかった。周りからは、進学はまず無理だからと何度も就職を勧められた。俺だって分かっていた。全教科赤点しか取れない俺に入れる大学なんかない。就職したほうが人生の近道であると。
でも、俺には遠回りしかなかった。近道なんて用意されていなかった。
「遅かったな、省吾」
予約していた店に入ると、当時同じクラスだった同級生が既に何人か来ていた。最初に俺に声をかけたのは、当時クラスの委員長をしていた月城ハルである。
「変わんねえな、委員長」
俺は、ハルの隣に座った。
「今は、院長だ」
ハルの父親は、総合病院の院長をしていた。去年の春に、父親が倒れ、今は、ハルが総合病院の院長をしている。
「それはそれは、立派なご出世だことで」
「出世? それはこっちのセリフだ。まさか、省吾が桜野学園の教師をしてるとは。世の中分からないな」
「全部、お前のお陰だろ」
そう。進学が不可能と言われ、諦めたくなくても道は閉ざされ途方に暮れていた俺にハルは必死になって勉強を教えてくれた。ハルがいなければ、今の俺はなかった。いや、存在さえしていなかっただろう。
「省吾に礼を言われるなんて。今夜は霙かな」
ハルは微笑んでいた。そして、乾杯の音頭が始まった。
「省吾、無理しなくていいよ。今日は……」
「友里架、彼氏いない歴更新しちゃってたり?」
「バカっ! 彼氏くらいいるわよ! 私、モテるんだから、馬鹿にしないでよね!」
友里架は、俺の幼馴染みで、学生時代に告白されたことがある。あの時は、色々大変だったけれど、大人になった今でも、こうしてたまに集まってはふざけ合っている。
「で、委員長は? おっと、院長だった。梨花ちゃんの姿見えないけど?」
「別れた」
「え?」
「大学卒業した4年後に。それからは、誰とも付き合ってはいない」
「ちょっと待てよ! 委員長と梨花ちゃんあんなに仲良かったじゃないか! 何があったんだよ!」
最後まで言えたのだろうか。いや、言い切る前だったのだろうか。気づいたら俺は水浸しになっていた。
「止めなよ、省吾! 誰のために今日集まってると……」
どうやら、俺は、友里架に水をかけられたようだ。友里架は、怒っていた。
「いいんだ、南野さん。省吾に話さなかった俺が悪い。梨花に言われたんだ。変わったと。俺は、そんなつもりはなかった。けれど、家を継ぐって甘いもんじゃなかった。気づいたら俺は仕事のことばかりで、梨花の話一つ聞いてやれなかった」
「そんな……それって、一時的なすれ違いで委員長のせいじゃねえじゃん! 謝ろ、梨花ちゃんに。そして、話し合お? 今からだって遅くはない! 俺、着いていくからさ」
「最低」
水浸しになったあげく、俺は、梨花に右の頬をぶたれた。
「どこまで無神経なの? 私達もう29だよ? 社会人にもなれば、皆それぞれ抱えるものってのがあるじゃない! 何、自分だけ傷ついた振り装って、現実から逃げて、いつまでも学生気分でいてさ! あんたのせいで白川先生は死んだのよ!!」
「ごめん。そうだよな、全部俺が悪い。帰るわ」
友里架の言葉に言い返せない自分に腹が立ったわけではない。友里架の言ったことは全部本当なのだ。表面上、ニコニコ笑いながら毎日を過ごしていても、やっぱりどこかやり切れなかった。
席を立つ俺を、委員長が止めたが、「ごめん」と言い残し、俺は店を出た。
11年前の今日、クリスマスイブに春美は死んだ
今日は、春美の命日だった。
……
あとがき
「今は、院長だ」
このセリフ、とにかく入れたかったんです。
すみません。
多分、第一章より、書くのが困難になってくると思う。第一章を書いていた時の気持ちも思い出さないといけないし、主人公たちの動作に食い違いがないか気をつけていかなければならない。
それでも、2006年みたいに繋がりのない文章になってしまったとしても、書きたい。
ずっとそう思っていたから。
ここまで読んでくれた方、ありがとうございます。
……
はじめに
時間を急げ! は、時間と時間を繋ぐ恋の物語の続編となります。
時間と時間を繋ぐ恋の物語を読まれていないと、内容が分からないと思うので、読まれていない方は本編から読むことをオススメします。
時間と時間を繋ぐ恋の物語でも書いたように、僕は、2006年の時点で続編を書くことを決めていました。
けれど、小説を書けなかった時期があり、かなり時間が空いてしまいました。
でも、続編を書くと決めていた以上はやはり書きたいです。
本編の中途半端なままでは終わらせたくないです。
私の未熟な小説にお付き合い頂ける方はよろしくお願い致します。
……
短期大学を卒業した後、俺は、母校である桜野学園の教師になった。
学生時代勉強の出来なかった俺が教師という教える立場になっているなんて、あの頃の俺には想像もつかなかったと思う。けれど、俺には教師という道しかなかった。周りからは、進学はまず無理だからと何度も就職を勧められた。俺だって分かっていた。全教科赤点しか取れない俺に入れる大学なんかない。就職したほうが人生の近道であると。
でも、俺には遠回りしかなかった。近道なんて用意されていなかった。
「遅かったな、省吾」
予約していた店に入ると、当時同じクラスだった同級生が既に何人か来ていた。最初に俺に声をかけたのは、当時クラスの委員長をしていた月城ハルである。
「変わんねえな、委員長」
俺は、ハルの隣に座った。
「今は、院長だ」
ハルの父親は、総合病院の院長をしていた。去年の春に、父親が倒れ、今は、ハルが総合病院の院長をしている。
「それはそれは、立派なご出世だことで」
「出世? それはこっちのセリフだ。まさか、省吾が桜野学園の教師をしてるとは。世の中分からないな」
「全部、お前のお陰だろ」
そう。進学が不可能と言われ、諦めたくなくても道は閉ざされ途方に暮れていた俺にハルは必死になって勉強を教えてくれた。ハルがいなければ、今の俺はなかった。いや、存在さえしていなかっただろう。
「省吾に礼を言われるなんて。今夜は霙かな」
ハルは微笑んでいた。そして、乾杯の音頭が始まった。
「省吾、無理しなくていいよ。今日は……」
「友里架、彼氏いない歴更新しちゃってたり?」
「バカっ! 彼氏くらいいるわよ! 私、モテるんだから、馬鹿にしないでよね!」
友里架は、俺の幼馴染みで、学生時代に告白されたことがある。あの時は、色々大変だったけれど、大人になった今でも、こうしてたまに集まってはふざけ合っている。
「で、委員長は? おっと、院長だった。梨花ちゃんの姿見えないけど?」
「別れた」
「え?」
「大学卒業した4年後に。それからは、誰とも付き合ってはいない」
「ちょっと待てよ! 委員長と梨花ちゃんあんなに仲良かったじゃないか! 何があったんだよ!」
最後まで言えたのだろうか。いや、言い切る前だったのだろうか。気づいたら俺は水浸しになっていた。
「止めなよ、省吾! 誰のために今日集まってると……」
どうやら、俺は、友里架に水をかけられたようだ。友里架は、怒っていた。
「いいんだ、南野さん。省吾に話さなかった俺が悪い。梨花に言われたんだ。変わったと。俺は、そんなつもりはなかった。けれど、家を継ぐって甘いもんじゃなかった。気づいたら俺は仕事のことばかりで、梨花の話一つ聞いてやれなかった」
「そんな……それって、一時的なすれ違いで委員長のせいじゃねえじゃん! 謝ろ、梨花ちゃんに。そして、話し合お? 今からだって遅くはない! 俺、着いていくからさ」
「最低」
水浸しになったあげく、俺は、梨花に右の頬をぶたれた。
「どこまで無神経なの? 私達もう29だよ? 社会人にもなれば、皆それぞれ抱えるものってのがあるじゃない! 何、自分だけ傷ついた振り装って、現実から逃げて、いつまでも学生気分でいてさ! あんたのせいで白川先生は死んだのよ!!」
「ごめん。そうだよな、全部俺が悪い。帰るわ」
友里架の言葉に言い返せない自分に腹が立ったわけではない。友里架の言ったことは全部本当なのだ。表面上、ニコニコ笑いながら毎日を過ごしていても、やっぱりどこかやり切れなかった。
席を立つ俺を、委員長が止めたが、「ごめん」と言い残し、俺は店を出た。
11年前の今日、クリスマスイブに春美は死んだ
今日は、春美の命日だった。
……
あとがき
「今は、院長だ」
このセリフ、とにかく入れたかったんです。
すみません。
多分、第一章より、書くのが困難になってくると思う。第一章を書いていた時の気持ちも思い出さないといけないし、主人公たちの動作に食い違いがないか気をつけていかなければならない。
それでも、2006年みたいに繋がりのない文章になってしまったとしても、書きたい。
ずっとそう思っていたから。
ここまで読んでくれた方、ありがとうございます。